1. 源泉徴収税の基本:なぜ引かれる?税率や早見表、変更点まで徹底解説
  2. 源泉徴収税とは?給与明細で「引かれる」理由を理解しよう
    1. 源泉徴収制度の基本的な仕組み
    2. なぜ給与から天引きされるのか?
    3. 納税者と国の双方にとってのメリット
  3. 源泉徴収税が「引かれる」のはどんな場合?対象となる所得とは
    1. 給与所得だけじゃない!対象となる主な所得
    2. 特定の報酬・料金も源泉徴収の対象に
    3. 非課税所得との違いにも注目
  4. 源泉徴収税の税率を早見表で確認!復興特別所得税についても解説
    1. 所得税の累進課税制度と税率の仕組み
    2. 給与所得の源泉徴収税額表とは?(簡略化した説明)
    3. 忘れずに!復興特別所得税の概要
  5. 源泉徴収税の変更点や注意点:丙欄、非課税、端数処理などを把握しよう
    1. 2024年度の大きな変更点:定額減税と住宅ローン控除
      1. 定額減税の概要(2024年6月1日以降)
    2. 扶養控除等申告書の重要性と記載事項の見直し
    3. その他の注意点:非課税所得と間違いやすい点、端数処理
  6. 源泉徴収票とは?年収との関係や、法人税との違いも解説
    1. 源泉徴収票の役割と見方
    2. 年収との関係:なぜ源泉徴収票は年収を証明するのか
    3. 法人税との明確な違い
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 源泉徴収税は、具体的にどのような場合に引かれますか?
    2. Q: 源泉徴収税の税率について、早見表はありますか?
    3. Q: 復興特別所得税とは何ですか?
    4. Q: 源泉徴収税で「丙欄」とはどのような意味ですか?
    5. Q: 源泉徴収票は、年間収入や源泉徴収税額とどのように関係しますか?

源泉徴収税の基本:なぜ引かれる?税率や早見表、変更点まで徹底解説

給与明細を見て「源泉徴収税」の項目で税金が引かれているのを見て、「これは何だろう?」「なぜ勝手に引かれるのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。

源泉徴収税は、私たちの生活に密接に関わる大切な税金の一つです。

この記事では、源泉徴収税の基本的な仕組みから、具体的な税率、2024年度の変更点、さらには混同されがちな源泉徴収票や法人税との違いまで、わかりやすく徹底的に解説します。

この機会に源泉徴収税の疑問を解消し、ご自身の税金に関する知識を深めましょう。

源泉徴収税とは?給与明細で「引かれる」理由を理解しよう

源泉徴収制度の基本的な仕組み

源泉徴収とは、所得税の課税方法の一つで、所得を支払う側(会社や金融機関など)が、所得税額をあらかじめ計算し、受け取る側(私たち)に代わって国に納付する制度です。

この制度により、所得を受け取る人は自分で税金を計算して納める手間が省け、国は安定して税収を確保できるというメリットがあります。

給与や報酬が支払われるたびに、その一部が税金として差し引かれ、国に納められていると理解してください。

なぜ給与から天引きされるのか?

所得税は本来、個々人がその年の所得を申告し、納税する「申告納税制度」が原則です。しかし、給与所得者の場合、毎月または賞与のたびに支払者である会社が税金を天引きし、国に納める源泉徴収制度が採用されています。

これは、納税者自身が毎年確定申告をする手間を省き、年末調整で税額の過不足を精算することで、手軽に納税を完結させることを目的としています。

このように、給与から税金が天引きされるのは、納税の簡素化と税収の確実な確保という、国と納税者双方にとって合理的な理由があるためなのです。

納税者と国の双方にとってのメリット

源泉徴収制度は、納税者と国の双方に大きなメリットをもたらします。

納税者にとっては、毎月の給与から所得税が自動的に天引きされるため、多額の税金を一度に準備する必要がなく、年末調整で過不足額が精算されることで、原則として確定申告の手間が省けます。

これにより、納税の手続きが大幅に簡素化され、納税者の利便性が向上します。

一方、国にとっては、所得の支払いが行われる都度、所得税を徴収できるため、安定した税収を確保できます。

また、多くの納税者が確定申告を行う必要がなくなることで、税務行政の負担も軽減されるという効果も期待できます。

源泉徴収税が「引かれる」のはどんな場合?対象となる所得とは

給与所得だけじゃない!対象となる主な所得

源泉徴収の対象となる所得は、給与所得だけではありません。

個人の所得税において、特定の種類の所得が支払われる際に、支払者が税金を差し引く義務があります。

主なものとしては、給与所得(給料、賞与など)、退職所得、利子所得(銀行預金の利子など)、配当所得(株式の配当金など)が挙げられます。

例えば、銀行の普通預金の利子が支払われる際や、株式の配当金を受け取る際にも、すでに所得税と復興特別所得税が源泉徴収されているため、手取り額は税金が引かれた後の金額となっています。

これらの所得は、受け取る側が意識しないうちに源泉徴収されていることが多いでしょう。

特定の報酬・料金も源泉徴収の対象に

上記の所得の他に、特定のサービスに対する報酬や料金も源泉徴収の対象となります。

具体的には、原稿料、講演料、弁護士・公認会計士・税理士への報酬、社会保険労務士や司法書士への報酬、医師や歯科医師への報酬などがこれにあたります。

これらの報酬を支払う側は、支払い時に所得税法で定められた税率に基づいて源泉徴収を行い、国に納める義務があります。

例えば、フリーランスのライターが原稿料を受け取る場合、契約によっては源泉徴収された後の金額が振り込まれることがあります。

対象となる報酬・料金の種類や税率は細かく定められているため、支払う側も受け取る側も注意が必要です。

非課税所得との違いにも注目

源泉徴収の対象となる所得がある一方で、そもそも課税されない「非課税所得」というものも存在します。

非課税所得とは、所得税法によって課税対象から除外されている所得のことで、源泉徴収も行われません。

代表的な例としては、通勤手当(一定額まで)、旅費交通費、特定の年金(遺族年金・障害年金)、学資金、宝くじの当選金などが挙げられます。

これらの所得は、社会政策的な配慮や、実費弁償的な性格を持つことから非課税とされています。

例えば、会社から支給される通勤手当は、毎月の給与明細に記載されていても、所得税の計算上は課税対象外となり、源泉徴収もされません。

源泉徴収の対象となる所得と非課税所得の違いを理解することは、自身の所得や税金について正しく認識するために非常に重要です。

源泉徴収税の税率を早見表で確認!復興特別所得税についても解説

所得税の累進課税制度と税率の仕組み

所得税の税率は、所得の金額に応じて段階的に高くなる「累進課税制度」が採用されています。

これは、所得が高い人ほど税負担も重くなるように設計された公平な仕組みです。

源泉徴収において、給与所得者の税額は、国税庁が発行する「給与所得の源泉徴収税額表」に基づいて計算されます。

この税額表は、月々の給与や賞与の額、扶養親族の有無や人数によって適用される税率や税額が細かく定められており、支払者(会社)はこの表に沿って源泉徴収額を算出します。

最終的な年間の所得税額は年末調整で確定し、源泉徴収された額との差額が還付または徴収されます。

給与所得の源泉徴収税額表とは?(簡略化した説明)

給与所得者の源泉徴収税額は、国税庁が毎年発行する「給与所得の源泉徴収税額表」の「月額表」や「日額表」、そして「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて計算されます。

これらの表では、その月の社会保険料等控除後の給与額や、扶養親族等の人数に応じて、差し引かれる税額が具体的に示されています。

例えば、同じ給与額であっても扶養親族がいる場合といない場合では、源泉徴収される税額が異なります。

これは、扶養控除などの所得控除が適用されるためです。

なお、2025年(令和7年)から使用される源泉徴収税額表では、税額や扶養親族数の算定方法に変更がありますが、個々の税額自体に変更はありません。これにより、より正確な源泉徴収が行われるようになります。

忘れずに!復興特別所得税の概要

所得税の計算において忘れてはならないのが、「復興特別所得税」です。

これは、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するために創設された税金で、2013年1月1日から2037年12月31日までの各年分の所得について、所得税額の2.1%が課税されます

源泉徴収される所得税額には、この復興特別所得税も含まれており、私たちの知らない間に一緒に徴収されています。

例えば、所得税が10,000円だった場合、復興特別所得税として210円(10,000円×2.1%)が加算され、合計10,210円が源泉徴収されることになります。

この税金は所得税額に上乗せされる形で課されるため、源泉徴収票などでは「源泉徴収税額」として一括で表示されることが多いですが、内訳として復興特別所得税が含まれていることを理解しておきましょう。

源泉徴収税の変更点や注意点:丙欄、非課税、端数処理などを把握しよう

2024年度の大きな変更点:定額減税と住宅ローン控除

2024年度(令和6年度)の税制改正では、国民の生活に直接影響を与える重要な変更点が導入されました。

特に注目すべきは、物価高騰に対応するための「定額減税」の実施と、「住宅ローン控除」の拡充です。

定額減税の概要(2024年6月1日以降)

対象 減税額(所得税) 減税額(個人住民税) 合計減税額
納税者本人 3万円 1万円 4万円
同一生計配偶者 3万円 1万円 4万円
扶養親族一人あたり 3万円 1万円 4万円

この定額減税は、合計所得金額が1,805万円以下の納税者が対象となり、2024年(令和6年)6月1日以降に支払われる給与等から順次適用されます。

また、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)については、子育て世帯等への支援を目的として、借入限度額が上乗せされる拡充が行われました。これにより、住宅取得の際の税負担が軽減され、より多くの世帯が恩恵を受けられるようになります。

扶養控除等申告書の重要性と記載事項の見直し

源泉徴収税額を適切に計算するために、給与所得者が勤務先に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は非常に重要な書類です。

この申告書を提出することで、扶養控除、配偶者控除、障害者控除などが適用され、源泉徴収される所得税額が計算されます。

提出がない場合、これらの控除が適用されず、源泉徴収税額が高くなる「乙欄」が適用されることになります。扶養親族がいない場合でも、原則として提出が必要です。

また、2024年(令和6年)4月1日以降に提出される「給与所得者の保険料控除申告書」では、申告者との続柄の記載が不要になるなどの変更がありました。

さらに、2025年(令和7年)分および2026年(令和8年)分の申告書では、所得要件や給与所得控除額の改正に伴う変更があり、特に2026年(令和8年)分からは「源泉控除対象親族」の記載欄が新設される予定です。

これらの変更点に注意し、毎年正確に申告書を提出することが大切です。

その他の注意点:非課税所得と間違いやすい点、端数処理

源泉徴収税を理解する上で、いくつかの細かい注意点も押さえておきましょう。

まず、先に述べた「非課税所得」は源泉徴収の対象外ですが、所得税法上の非課税項目を正確に把握していないと、誤って課税対象と認識してしまう可能性があります。例えば、一定額以下の通勤手当や出張旅費は非課税ですが、これを超過する分や、個人的な遊興費は課税対象となる場合があります。

次に、源泉徴収税額の計算における「端数処理」も重要です。源泉徴収税額の計算では、原則として1円未満の端数は切り捨てられます。ただし、税額表の適用や具体的な計算方法によっては異なる場合がありますので、詳細な計算が必要な場合は注意が必要です。

また、源泉徴収税額表には「甲欄」と「乙欄」の他に、「丙欄」というものも存在します。これは、日雇い賃金などに対する源泉徴収の際に適用される欄で、短期間の雇用形態で働く場合に適用される可能性があります。

税法は毎年改正されるため、常に最新の情報を確認することが非常に大切です。不明な点があれば、国税庁のウェブサイトや税務署に問い合わせるなどして、正確な情報を入手しましょう。

源泉徴収票とは?年収との関係や、法人税との違いも解説

源泉徴収票の役割と見方

源泉徴収票は、会社が従業員に1年間で支払った給与や賞与の総額(支払金額)と、そこから徴収した所得税額(源泉徴収税額)を証明する重要な書類です。

通常、年末調整が行われた後に、勤務先から翌年の1月末までに発行されます。

この書類には、給与所得控除後の金額、社会保険料等の金額、生命保険料控除などの所得控除の合計額など、税額計算の基となる情報が詳しく記載されています。

源泉徴収票は、確定申告を行う際や、住宅ローンを組む際、子どもの保育園の入所手続きなど、様々な公的手続きで年収や納税を証明する公的な書類として提出を求められます。

自身の所得と税金の状況を把握するためにも、記載内容をしっかり確認することが大切です。

年収との関係:なぜ源泉徴収票は年収を証明するのか

源泉徴収票の「支払金額」欄に記載されている金額は、その年の1月1日から12月31日までの間に会社から支払われた給与や賞与の総額、つまり「額面の年収」を意味します。

この金額は、税金や社会保険料が差し引かれる前の金額であり、一般的に「手取り額」とは異なります。

源泉徴収票が年収を証明する書類として広く利用されるのは、ここに記載されている「支払金額」が、国の定めたルールに基づいて算出された確かな収入額だからです。

金融機関がローンの審査を行う際や、公的機関が各種助成金の審査を行う際など、個人の収入を正確に把握する必要がある場面で、客観的な証明として源泉徴収票が用いられます。

「年収」という言葉が指す意味は文脈によって変わることがありますが、公的な手続きにおいては源泉徴収票の「支払金額」が最も信頼性の高い年収情報として扱われます。

法人税との明確な違い

源泉徴収税は個人の所得にかかる「所得税」の一種であるのに対し、「法人税」は法人(企業)の所得にかかる税金であり、両者には明確な違いがあります。

源泉徴収税(所得税)の納税義務者は「個人」であり、給与、利子、配当などの個人の所得が課税対象です。

一方、法人税の納税義務者は「法人(会社)」であり、その法人が事業活動によって得た利益(所得)が課税対象となります。

例えば、あなたが会社員であれば、毎月給与から源泉徴収税(所得税)が引かれ、勤務先の会社は、自社の利益に対して法人税を納めています。

納税義務者、課税対象、そして税率の計算方法も大きく異なります。

源泉徴収税と法人税は、同じ「税金」という言葉でくくられますが、それぞれ異なる目的と対象を持つ独立した税金であるため、混同せずに理解することが重要です。

【出典】国税庁ウェブサイト