休職する前に知っておきたい!制度、申請、流れを徹底解説

心身の不調や家庭の事情などで、一時的に仕事から離れる「休職」を検討している方は少なくないでしょう。しかし、「休職ってどうすればいいの?」「お給料はどうなるの?」といった疑問や不安を抱えている方も多いはずです。

この記事では、休職制度の基本から具体的な申請方法、休職中の過ごし方、そして復職やその後のキャリア形成まで、休職に関するあらゆる情報を網羅的に解説します。最新の正確な情報を基に、あなたの不安を解消し、安心して休職期間を過ごせるようサポートします。

休職制度とは?知っておくべき基本

休職は、従業員が病気や怪我、その他個人的な理由で一時的に就労が困難になった際、雇用関係を維持したまま仕事を休むことができる制度です。まずは、その定義と法的側面、必要となる状況、そして休職中の経済的な支えについて理解しましょう。

休職制度の定義と法的根拠

休職制度は、実は法律で義務付けられたものではなく、各企業が独自の就業規則によって定めているものです。そのため、休職の申請方法、期間、休職中の給与の取り扱いなどは、会社によって大きく異なります。休職を検討する際は、まずご自身の会社の就業規則を確認することが最も重要です。不明な点があれば、人事担当部署に問い合わせてみましょう。

休職が必要となる主な理由

休職が必要となる理由は多岐にわたりますが、一般的には病気や怪我、特にメンタルヘルス不調による休職が増加傾向にあります。参考情報によれば、長期休業者のうち精神疾患による休業者は約57.5%と半数以上を占めています。その他、家族の介護や育児、自己啓発のための留学など、個人的な理由で休職が認められる場合もあります。

休職中の経済的支援と社会保障制度

休職中は給与が支払われない、または減額されることがほとんどであるため、経済的な不安が生じがちです。しかし、そうした状況を支えるための社会保障制度があります。最も代表的なのが、健康保険から支給される「傷病手当金」です。その他にも、医療費の負担を軽減する「高額療養費制度」や「自立支援医療制度」、緊急時に生活費を借りられる「生活福祉資金貸付制度」なども利用できる場合があります。

休職申請の具体的な方法と必要書類

休職を検討し始めたら、次に知るべきは具体的な申請方法と準備すべき書類です。会社の規則を理解し、必要な手続きをスムーズに進めるためのステップを解説します。

会社の就業規則の確認と初期行動

休職申請の第一歩は、会社の就業規則を徹底的に確認することです。休職に関する規定(申請方法、期間、必要書類、給与の扱い、復職の条件など)を把握し、不明な点は人事担当者や上司に相談しましょう。早期に相談することで、会社側も準備を進めやすくなり、あなた自身も安心して休職に入ることができます。

医師の診断書の取得と役割

病気や怪我で休職する場合、医師の診断書が必須となります。診断書には、病名、症状、休職の必要性、そして推奨される休職期間が明確に記載されることが一般的です。医療機関での診断書取得には、通常1〜2週間程度の時間がかかり、費用も2,000円〜10,000円程度かかる場合があります。会社によっては特定の書式を求められることもあるため、事前に確認しておきましょう。

休職願の提出と会社との協議

就業規則と医師の診断書が揃ったら、会社所定の書式(休職願、休職届、休職申請書など)に必要事項を記入し、直属の上司や人事担当部署に提出します。提出後には、休職期間中の連絡方法や、復職に向けた具体的な相談、試し出勤の可能性など、会社との協議を行います。この話し合いを通じて、休職中の不安を軽減し、スムーズな復職への道筋を立てることが重要です。

休職までの流れと注意点:いつから、何日前?

休職を決意してから実際に休職に入るまでの具体的な流れと、その際に特に注意すべき点について解説します。適切な準備をすることで、より安心して休職期間をスタートできます。

休職申請から承認までのステップ

休職の承認までの一般的なステップは以下の通りです。

  1. 症状の自覚・医療機関の受診: まずは体調の異変を感じたら、速やかに専門医を受診しましょう。
  2. 医師の診断書取得: 診断書取得には1~2週間程度かかることを考慮し、早めに受診を。
  3. 会社の就業規則確認・上司/人事への相談: 診断書が得られたら、速やかに会社に相談し、規定を確認します。
  4. 休職願の提出: 診断書と規定に基づき、休職願を提出します。
  5. 会社との協議・承認: 会社との話し合いを経て、休職が承認されます。

これらのステップは、状況や会社によって前後したり、期間が変動することもあります。早めに相談を始めることが、スムーズな休職につながります。

休職期間の決定と会社の対応

休職期間は、医師の診断書に記載された推奨期間と会社の就業規則に定められた期間を基に決定されます。うつ病などのメンタル不調による休職期間は、一般的に3ヶ月から1年半程度が目安とされていますが、個々の症状や会社の規定によって異なります。会社は、従業員の心身の回復を支援するために、休職期間中も雇用関係を維持し、復職に向けたサポートを検討してくれます。

休職前に確認すべき重要事項

休職に入る前に、以下の点を必ず確認しておきましょう。

  • 給与の有無と傷病手当金の申請準備: 傷病手当金は申請から支給まで1~2ヶ月かかるため、早めに準備が必要です。
  • 社会保険料の支払い: 休職中も社会保険料の支払いは原則発生します。
  • 会社からの連絡方法: 休職期間中の連絡手段や頻度について、会社と合意しておきましょう。
  • 非正社員への制度適用: 参考情報によると、病気休職制度がある企業のうち約48.5%は「非正社員には適用されない」と回答しており、雇用形態による違いにも注意が必要です。

休職中の過ごし方と復職への準備

休職期間は、心身の回復と、その後の復職に向けた準備に専念する貴重な時間です。焦らず、計画的に過ごすことが、再発を防ぎ、安定した復職につながります。

休養と治療に専念する期間

休職に入ったら、まずは徹底的に心身を休ませることに専念しましょう。医師の指示に従い、処方された薬の服用や定期的な通院を怠らないことが大切です。無理に活動しようとせず、ストレス要因から距離を置き、十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけてください。この時期は、復職へのプレッシャーを感じすぎず、「休むこと」を最優先に考えましょう。

復職に向けた準備とリハビリ

症状が回復してきたら、段階的に復職に向けた準備を始めます。まずは生活リズムを整え、規則正しい睡眠や食事の習慣を取り戻しましょう。軽い散歩や趣味活動など、心身に負担の少ない活動から始め、少しずつ活動量を増やしていきます。会社によっては、短時間勤務などの「試し出勤」や「リワークプログラム」を利用できる場合もあります。復職の条件として、医師の診断書や生活リズムの回復、意欲・思考の回復などが挙げられることが多いです。

傷病手当金などの申請手続き

休職中の経済的支えとなる傷病手当金は、申請手続きが必要です。傷病手当金支給申請書は4枚綴りとなっており、本人記入用、医師記入用、会社記入用があります。加入している健康保険組合などから取り寄せ、必要事項を記入してもらい、最終的に提出します。申請には時効があり、休業開始日の翌日から2年を過ぎると申請できなくなるため、注意が必要です。支給には申請から通常1〜2ヶ月程度かかりますので、早めの手続きを心がけましょう。

休職後の手続きと再就職へのステップ

休職期間を経て、復職するのか、あるいは退職して新たな道を歩むのか、その後の進路にはいくつかの選択肢があります。それぞれの状況に応じた手続きと、将来に向けたステップを解説します。

復職時の手続きと職場復帰支援

復職する際には、再度医師の診断書を提出し、就労が可能であることの判断を会社に求めます。会社は、復職者の状況に応じて、試し出勤や短時間勤務、配置転換などの職場復帰支援を行うことがあります。復職後も、再発予防のためには、定期的な通院や、職場の環境調整、ストレスマネジメントが重要です。参考情報によれば、復職後6ヶ月以内に約20%、1年以内では約30%が再度休職してしまうというデータもあり、焦らず慎重な復職が求められます。

復職が難しい場合の選択肢

休職期間が満了しても復職が難しい場合や、現在の職場での継続が困難だと判断した場合は、退職という選択肢も視野に入れることになります。退職の際には、会社都合退職か自己都合退職かによって、失業保険(雇用保険の基本手当)の給付期間や金額が変わるため、ご自身の状況をよく確認し、ハローワークなどに相談することをおすすめします。精神疾患での休職者のうち、最終的に約17.4%が復職できずに退職するというデータも示されています。

新たなキャリアへの移行と支援

退職を選択し、新たなキャリアを築くことを決めた場合も、利用できる支援制度はあります。ハローワークでは、失業中の生活を支える雇用保険の基本手当に加え、職業訓練の紹介や、再就職に向けた相談・支援を受けることができます。また、転職エージェントの活用や、自己啓発のための資格取得なども有効な手段です。これまでの経験や休職期間に得た学びを活かし、ご自身のペースで新しい一歩を踏み出しましょう。