日本の英語力、最新の世界ランキングと順位は？

世界ランキングの衝撃的な現状

2024年のEF EPI英語能力指数が発表され、日本の英語力は世界116カ国・地域中92位という衝撃的な結果となりました。
これは非英語圏の国・地域の中での順位であり、アジア23カ国・地域の中でも16位と、かなり低い位置に甘んじています。
国際社会における日本のプレゼンスを考えると、この結果は決して看過できるものではありません。

世界の舞台で活躍するためには、英語は不可欠なコミュニケーションツールであり、このランキングは日本の国際競争力にも影響を及ぼしかねないことを示唆しています。

過去最低を更新した日本の順位とスコア

日本の英語力は、2011年の調査開始以来、一貫して低下傾向にあり、2024年の順位は過去最低を更新してしまいました。
平均スコアは前年の457ポイントから減少し、454ポイントとなっています。

このスコアは、EF EPIの5段階評価で「低い能力レベル」に分類される圏内の最下位にあたります。
残念ながら、日本は「限定的な会話はできるが、複雑な内容の理解や表現は難しい」レベルに位置づけられてしまっているのが現状です。
この厳しい現実に目を向け、改善策を真剣に考える必要があります。

世界的な英語力低下の背景

日本の英語力低下は単独の現象ではなく、実は世界的に見ても英語習熟度の低下傾向が続いています。
2024年調査では、世界の60%の国・地域で平均スコアが下降していることが報告されました。

EF EPI分析チーム責任者のケイト・ベル氏は、「多くの国・地域で『誰もが英語を話せるだろう』との思い込みが定着し、教育制度や民間分野で『英語力の向上』が重視されなくなっている」可能性を指摘しています。
この「思い込み」が、日本においても英語学習へのモチベーション低下や教育の優先順位の低下に繋がっているのかもしれません。
グローバル化が進む現代において、英語力の重要性はむしろ高まっているはずです。

なぜ日本の英語力は世界で92位なのか？考えられる原因

教育システムの問題点と学習機会の不足

日本の英語力が低い最大の原因の一つとして、現在の教育システムの問題点が挙げられます。
多くの学校教育では、文法や読解に偏重し、実践的なスピーキングやリスニングが軽視されがちです。

また、入試制度が特定の形式に限定されていることも、生徒が実際の言語運用能力を習得する意欲を妨げている可能性があります。
さらに、日常生活や職場で英語を使う機会が極めて限定されていることも大きな課題です。
特に地方では英語に触れる必要性が低く、学習のモチベーション維持が困難になりがちです。
テレビ番組の吹き替え文化も、リスニング力向上を妨げる一因と考えられます。

文化的要因と「間違いへの恐れ」

日本特有の文化的背景も、英語学習に影響を与えている可能性が指摘されています。
その一つが、「間違えることへの抵抗感」です。

多くの日本人は、完璧な英語を話そうとし過ぎるあまり、間違いを恐れて発言をためらってしまう傾向があります。
しかし、言語学習において間違いは成長の過程であり、積極的にコミュニケーションを取る中で上達していくものです。
この「間違いへの恐れ」が、英語を話す機会を減少させ、結果的に実践的な英語力習得の大きな障壁となっています。

「恥ずかしい」「完璧でなければ」という意識を乗り越え、まずは「伝えること」を重視するマインドセットへの転換が求められます。

コロナ禍が若年層に与えた影響

近年特に注目されているのが、コロナ禍が日本の英語力、特に若年層に与えた影響です。
18歳から20歳の若年層でスコアの低下が著しく、これはコロナ禍における対面授業の制限や、リアルな国際交流の機会が減少したことが大きな要因の一つとして挙げられています。

海外への留学やワーキングホリデーの機会が減り、オンライン授業が主流になったことで、英語を「生きた言語」として使う経験が失われた可能性が高いです。
特に、対面でのコミュニケーションや異文化体験は、言語能力だけでなく、非言語的なコミュニケーション能力や異文化理解を深める上で極めて重要です。
若年層の英語力低下は、将来の日本の国際的な活躍を考える上で深刻な問題であり、早急な対策が求められます。

都道府県別！英語力ランキング2024で見る地域差

中学生・高校生の英語力に見る地域差

都道府県別の英語力に関する調査結果を見ると、地域によって英語教育への取り組みや成果に明確な差があることがわかります。
例えば、文部科学省の調査によると、中学生の英語力では興味深い結果が出ています。

2021年度の調査では、CEFR A1（英検3級相当）以上の生徒の割合で福井県が85.8%を誇り、堂々の1位でした。
続いて群馬県が60.9%で2位となっています。

高校3年生の英語力では、2023年度の調査でCEFR A2（英検準2級相当）以上の生徒の割合で富山県が1位を獲得。
福井県も61.1%で2位に名を連ねています。
これらのデータは、一部の地域が非常に高いレベルの英語教育を実践していることを示しています。

教員の英語力が示す地域ごとの取り組み

生徒の英語力に大きな影響を与えるのが、英語を教える教員の質です。
この点においても、都道府県による差が見られます。

高校教師では、英検準1級以上を取得している教員の割合で、ここでも福井県が86.6%で1位という非常に高い数値を記録しています。
教員の高い英語力は、質の高い英語教育の提供に直結し、それが生徒たちの英語力向上にも繋がっていると考えられます。

教員自身が自信を持って英語を使いこなせることで、生徒たちに実践的な英語を教え、学習へのモチベーションを高めることができるでしょう。
英語教育を重視する地域の取り組みは、教員育成にも力を入れていることがうかがえます。

地域差から学ぶ英語力向上のヒント

これらの都道府県別のデータは、日本全体の英語力向上に向けた重要なヒントを与えてくれます。
福井県や富山県のように高い英語力を示している地域では、早期からの実践的な英語教育、教員の質の向上、そして地域全体での英語学習への意識の高さが要因として考えられます。

例えば、CEFR基準に基づいた目標設定の徹底や、アウトプット重視の授業導入、国際交流プログラムの推進などが効果を上げている可能性があります。
地域ごとに異なる教育環境や社会背景を踏まえつつも、これらの成功事例を参考に、全国的に英語教育の改善を進めることが、日本の英語力底上げには不可欠です。
地域間のベストプラクティスを共有し、互いに学び合うことが重要となるでしょう。

日本人英語力向上のための具体的な学習法

実践的なアウトプット重視の学習法

日本の英語学習はインプット（読み書き）に偏りがちですが、英語力向上にはアウトプット（話す・書く）が不可欠です。
まずはオンライン英会話サービスを活用し、ネイティブスピーカーやプロの講師と定期的に会話する機会を設けましょう。

また、言語交換アプリを使って外国人とチャットや音声通話をするのも良い方法です。
積極的に英語で意見を述べたり、質問したりすることで、コミュニケーション能力が飛躍的に向上します。
最初は間違えることを恐れずに、「伝えること」を最優先にしてください。
自分の言葉で表現する練習を繰り返すことで、自然と正確な英語が身につきます。
英語でのディベートやプレゼンテーションに参加することも、実践力を鍛える上で非常に有効です。

日常生活に英語を取り入れる工夫

英語力を日常的に向上させるためには、意識的に英語に触れる機会を増やすことが大切です。
例えば、好きな洋画や海外ドラマを字幕なし（または英語字幕）で見る習慣をつけましょう。
最初は内容の理解が難しくても、耳が英語に慣れてきます。

また、英語のニュースサイトやポッドキャストを毎日チェックし、情報収集を英語で行うのも効果的です。
興味のある分野のYouTubeチャンネルを英語でフォローしたり、SNSで英語圏のインフルエンサーを参考にしたりするのも良いでしょう。
英語の楽曲を聞きながら歌詞の意味を調べたり、簡単な日記を英語でつけてみたりするのもおすすめです。
このように日常生活の中に英語を溶け込ませることで、英語学習が「勉強」ではなく、自然な習慣へと変わっていきます。

「間違えを恐れない」マインドセットの醸成

日本の文化的な背景として「間違えることへの抵抗感」があることは先に述べましたが、英語力向上のためにはこのマインドセットを大きく変える必要があります。
完璧な英語を話すことよりも、まずは「伝える」ことを目標にしましょう。

言語学習において、間違いは避けられないものであり、むしろ成長のための重要なステップです。
積極的に間違いを経験し、そこから学ぶ姿勢が重要です。
完璧主義を手放し、まずは一言でも多く英語を話す勇気を持つことから始めましょう。
仲間と英語学習グループを作り、お互いに間違いを指摘し合いながらも、励まし合う環境を作るのも有効です。
「間違えても大丈夫」という安心感の中で、徐々に自信を持って英語を話せるようになるはずです。

未来の日本における英語教育への期待

教育現場の変革と新たな学習環境

日本の英語力向上のためには、教育現場の大胆な変革が不可欠です。
従来の文法中心の教育から、より実践的でコミュニケーションに重点を置いた教育へのシフトが強く求められています。
小学校からの英語教育をさらに充実させ、早い段階から「英語で話す楽しさ」を体験できる環境を提供することが重要です。

中学・高校では、単に知識を詰め込むだけでなく、英語を使ったプレゼンテーションやディスカッション、グループワークを積極的に取り入れるべきでしょう。
また、ALT（外国語指導助手）の活用を強化し、生徒がネイティブスピーカーと触れ合う機会を増やすことも有効です。
大学入試制度も、英語の4技能（読む・聞く・話す・書く）をバランス良く評価する形へと見直されることで、学習者のモチベーションをさらに高めることができると期待されます。

テクノロジーが拓く英語学習の可能性

現代社会では、テクノロジーが英語学習に革命をもたらす可能性を秘めています。
AIを活用した発音矯正アプリや、文法チェックツールは、個々の学習者の弱点を特定し、パーソナライズされた学習をサポートしてくれます。

VR/AR技術を使ったシミュレーション学習では、まるで海外にいるかのような環境で英語を話す練習ができ、実践的なコミュニケーション能力を養うことができます。
オンラインでのグローバルコラボレーションツールを使えば、世界中の人々とリアルタイムで交流し、異文化理解を深めながら英語を使う機会を創出できます。
これらの最新テクノロジーを教育現場や個人学習に積極的に取り入れることで、時間や場所の制約を超え、より効果的でモチベーションの上がる英語学習が可能になるでしょう。

グローバル社会で活躍するための英語力

英語はもはや単なる「科目」の一つではなく、グローバル社会で生き抜き、活躍するための「必須のツール」です。
ビジネス、学術研究、国際協力、そして日常生活においても、英語力は私たちに limitlessな可能性をもたらします。

多様な文化を理解し、異なるバックグラウンドを持つ人々と円滑にコミュニケーションを取る能力は、これからの日本を支える人材にとって不可欠です。
英語力を高めることは、個人のキャリアを豊かにするだけでなく、日本が国際社会においてより大きな存在感を発揮するためにも重要です。
未来の日本が、英語を当たり前に使いこなし、世界と対等に渡り合える国となることを強く期待します。