概要: 部下が突然会社に来なくなった、休職や退職を余儀なくされる。そんな時、上司はどのように対応すれば良いのでしょうか。部下の心の健康を守り、円滑な職場環境を維持するために、上司が知っておくべき心構えと具体的なアクションを解説します。
部下が来なくなった…その時、上司がまず取るべき行動
突然の連絡途絶、どう対応する?
部下からの連絡が途絶え、出社もしない──。このような緊急事態に直面した場合、上司がまず取るべきは、安否確認と迅速な情報共有です。まずは電話やメール、社内チャットツールなどで連絡を試みましょう。万が一、連絡が取れない場合は、緊急連絡先(ご家族など)への確認を検討します。ただし、個人のプライバシーに深く関わるため、対応には細心の注意が必要です。
同時に、人事・労務部門に速やかに状況を報告し、今後の対応について連携を図ります。会社として、従業員の安否確認や状況把握は安全配慮義務の一環として重要な責務です。一人で抱え込まず、人事部門や産業保健スタッフなど、社内の専門部署と協力して対応を進めることが円滑な解決につながります。
初期段階での適切な行動は、本人への配慮はもちろん、組織としての責任を果たす上でも極めて重要です。具体的な連絡方法や対応フローは、企業の就業規則や緊急時マニュアルに沿って行うようにしてください。
診断書提出後の事務手続きと情報提供
部下から診断書が提出され、休職が決定した場合、上司は人事・労務部門と連携し、必要な事務手続きを迅速に進める必要があります。診断書には、休職理由や療養期間の見込みが記載されていることが望ましいとされています。これにより、休職期間の見通しを立てやすくなります。
休職中の部下に対しては、経済的な保障に関する情報提供が重要です。「傷病手当金」は、病気やケガで仕事を休んだ際に健康保険から支給される制度であり、生活の不安を軽減する上で非常に役立ちます。この情報とともに、社内外の相談窓口、職場復帰支援サービスなど、利用可能なサポート体制についても具体的に伝えましょう。
これらの情報提供は、部下が安心して療養に専念できる環境を整える上で不可欠です。ただし、頻繁な連絡は療養の妨げになる可能性があるため、連絡の頻度や内容には十分な配慮が必要です。本人の体調や意向を尊重し、一方的な情報提供とならないよう心掛けましょう。
出典: 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
休職中の部下への適切なサポートとコミュニケーション
休職中の部下へのコミュニケーションは、その後の職場復帰をスムーズにするために非常に重要ですが、デリケートな配慮が求められます。連絡の頻度は、「必要最低限」を原則とし、本人の体調や意向を最優先に考えるべきです。例えば、月1回程度のメールで会社の状況を簡潔に伝える、復帰に関する手続きの案内をする、といった形が考えられます。
連絡の内容は、療養への励ましや心配を伝えるとともに、復職支援サービスや相談窓口の再案内など、あくまでサポートを目的としたものに限定しましょう。仕事の状況や復帰の時期について、焦らせるような言動は避けるべきです。復職へのプレッシャーを与えてしまわないよう、配慮が欠かせません。
復職にあたっては、主治医の判断だけでなく、産業医や人事・労務担当者と連携し、復職の可否を慎重に判断することが重要です。厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、復職支援プログラムの策定が推奨されており、これに基づいたきめ細やかなサポート体制が求められます。上司は、復職支援プランの作成において、部下の状態や業務内容を最も理解している立場として、重要な役割を担います。
出典: 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
休職・退職の背景にある「キャパオーバー」と「心の折れ」
現代の職場におけるメンタルヘルスの課題
現代の職場環境は、多様な働き方や生産性向上の追求が進む一方で、従業員のメンタルヘルスに多大な負荷を与える要因も少なくありません。長時間労働、複雑な人間関係、ハラスメント、成果主義によるプレッシャー、デジタル化の急速な進展による情報過多などが挙げられます。これらの要因が複合的に絡み合い、従業員の心身のバランスを崩し、休職や退職に至るケースが増加しています。
厚生労働省の調査などからも、心の健康問題で休業する労働者は増加傾向にあり、企業は従業員のメンタルヘルスケアを経営課題の一つとして捉える必要性が高まっています。特に、ストレスを抱えやすいとされる若い世代や、管理職層においてもメンタルヘルス不調が見られることから、企業全体での取り組みが不可欠です。
上司としては、日頃から部下の様子を注意深く観察し、気軽に相談できる雰囲気作りを心掛けることが、メンタルヘルス不調の早期発見と予防につながります。職場における心理的安全性の確保は、従業員が安心して働くための基盤となります。
出典: 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
「キャパオーバー」が引き起こす心身の影響
部下が自身の「キャパオーバー」に陥ると、心身に様々な異変が生じ始めます。これは、単なる疲労とは異なり、長期的なストレスや過度な負担が蓄積された結果として現れる状態です。具体的には、以下のような症状が見られることがあります。
- 精神的な症状: 集中力の低下、判断力の鈍化、イライラ感、不安感、抑うつ気分、無気力、感情の起伏が激しくなる、喜びを感じにくいなど。
- 身体的な症状: 慢性的な疲労感、不眠症(寝つきが悪い、熟睡できない)、食欲不振または過食、頭痛、肩こり、めまい、胃腸の不調(下痢や便秘)など。
- 行動の変化: 遅刻や欠勤の増加、仕事のミスが増える、業務効率の低下、周囲とのコミュニケーションを避けるようになる、身だしなみが乱れるなど。
これらのサインを放置すると、本格的な精神疾患へと移行するリスクが高まります。上司は、部下の些細な変化にも気づき、積極的に声かけを行うことが重要です。早期に気づき、業務量の調整や休憩の促進、産業医面談の勧奨といった適切な対応を取ることで、深刻な状況を回避できる可能性があります。キャパオーバーは個人の問題ではなく、組織全体で取り組むべき課題として捉える必要があります。
退職の意思表示の裏にある部下の葛藤
部下からの突然の退職申し出は、上司にとって衝撃的な出来事かもしれません。しかし、その意思表示の裏には、部下が長期間にわたって抱えてきた深い葛藤や悩みが存在していることがほとんどです。体調不良、人間関係の悩み、キャリアアップへの意欲、ワークライフバランスへの不満、ハラスメントの経験など、退職理由は多岐にわたります。
多くの場合、部下はこれらの悩みを上司や同僚に相談できずに、一人で抱え込み、最終的に退職という選択肢を選んでしまいます。これは、職場の相談しにくい雰囲気、上司への不信感、あるいは「自分が弱いと思われたくない」というプライドが背景にあることも少なくありません。
上司がすべきことは、まず本人の話に耳を傾け、退職の意思が固いようであれば、円満な退職手続きをサポートすることです。この際、退職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって、退職金や失業給付の扱いが異なるため、正確な情報提供と適切な手続きが求められます。特に「会社都合退職」は、企業の助成金受給に影響を与える場合があるため、その判断は慎重に行う必要があります。部下の話を聞く際には、感情的にならず、あくまで冷静かつ共感的な態度で接し、最後の最後まで部下を尊重する姿勢が重要です。
出典: 労働基準法、厚生労働省情報
「産業医面談」や「体調不良」への適切な対応と責任
産業医面談の適切な勧め方と役割
部下のメンタルヘルス不調が疑われる場合、産業医面談は非常に有効な手段です。産業医は、従業員の健康管理を専門とする医師であり、中立的な立場から医学的見地に基づいたアドバイスを提供します。部下に対して産業医面談を勧める際には、いくつかのポイントがあります。
まず、面談はあくまで「勧奨」であり、強制ではないことを明確に伝えましょう。その上で、産業医には守秘義務があり、面談内容が本人の同意なく会社に開示されることはない、という安心材料を提供することが重要です。面談の目的は、部下の健康回復と、安心して働ける環境を整えることにあると説明しましょう。
産業医面談では、部下の健康状態や職場環境に関する懸念事項がヒアリングされ、必要に応じて医療機関への受診勧奨や、職場における配慮事項(業務量の調整、労働時間、配置転換など)が会社に提言されます。この際、産業医から会社への情報提供は、本人の同意を得た範囲内で行われるため、プライバシー保護の観点からも信頼性が高いと言えます。上司は、産業医からの意見を真摯に受け止め、職場で実践可能な範囲で、部下へのサポート体制を構築する責任があります。
出典: 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
体調不良を訴える部下への具体的な配慮
部下が体調不良を訴えてきた場合、上司は真摯に耳を傾け、具体的な配慮を行うことが不可欠です。単なる「気のせい」と片付けず、その訴えの背景にある可能性のあるストレス要因や疲労の蓄積を理解しようと努めましょう。
具体的な配慮としては、以下のようなものが考えられます。
- 業務量の調整: 一時的に業務量を減らす、締切を延長する、緊急性の低い業務を他メンバーに振り分けるなど。
- 休憩の奨励: 定期的な休憩を促し、短時間でも気分転換を図る機会を与える。
- 労働時間の配慮: 時短勤務やフレックスタイム制度の活用を検討し、柔軟な働き方を提案する。必要であれば、一時的な在宅勤務も選択肢に入れる。
- 医療機関への受診推奨: 体調が優れない状態が続くようであれば、早期の医療機関受診を具体的に勧める。
- 周囲への情報共有: 本人の同意を得た上で、チームメンバーに状況を伝え、協力体制を構築する(例:「〇〇さんの業務量を一時的に調整します」など)。
これらの配慮は、部下が安心して体調回復に専念できる環境を整え、深刻な状況への移行を防ぐ上で非常に重要です。上司のきめ細やかなサポートが、部下の早期回復と職場定着につながります。
企業が負う安全配慮義務と上司の責任
企業は、労働契約法第5条に基づき、従業員が安全で健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」を負っています。これは、従業員の心身の健康を守ることを含む広範な義務であり、上司もその責務を果たす重要な役割を担います。
上司の具体的な責任は、以下の点に集約されます。
- 情報把握: 部下の健康状態や労働状況(長時間労働、ストレスの有無など)を適切に把握する。
- 職場環境の整備: ハラスメントの防止、適切な業務量の割り振り、休憩時間の確保など、健康を害するリスクを低減する職場環境を整備する。
- 指示・指導: 必要に応じて、業務の改善指示、医療機関や産業医への受診勧奨、労働時間の管理などを行う。
- 緊急時の対応: 部下の体調が急変した場合や、緊急の休職・退職に至った場合に、迅速かつ適切な対応を取る。
これらの義務を怠り、従業員の健康問題が悪化した場合には、企業は損害賠償責任を問われる可能性があります。また、労働基準法では、業務上の傷病による休業期間中および復帰後30日間の解雇は原則として制限されています(労働基準法第19条)。上司はこれらの法的側面を理解し、自身の行動が企業の安全配慮義務に直結することを認識して、日々のマネジメントにあたる必要があります。
出典: 労働契約法第5条、労働基準法第19条
部下の「精神疾患」や「ストレス」を早期に察知するサイン
「いつもと違う」行動・態度の変化に気づく
部下の精神疾患や強いストレスのサインは、日々の行動や態度に「いつもと違う」変化として現れることがほとんどです。上司は、部下の些細な変化にも気づけるよう、日頃から部下をよく観察し、コミュニケーションを取ることが重要です。
以下のような変化が見られた場合、注意が必要です。
- 出退勤や勤務状況の変化: 遅刻や早退が増える、欠勤が多くなる、定時に出社できなくなる。
- 業務パフォーマンスの変化: 仕事のミスが増える、集中力が低下する、効率が著しく落ちる、仕事に意欲が見られない。
- コミュニケーションの変化: 口数が減る、笑顔がなくなる、会話のキャッチボールが困難になる、イライラしやすくなる、周囲との交流を避けるようになる。
- 身だしなみや外見の変化: 服装が乱れる、清潔感がなくなる、表情が暗い、顔色が悪い、疲労感が目立つ。
- 感情の変化: 些細なことで怒り出す、不安や緊張が強い、悲観的な発言が増える、涙もろくなる。
これらの変化は、一時的なものかもしれませんが、複数同時に、または長期間にわたって見られる場合は、メンタルヘルス不調の可能性が高いと考えられます。上司は、これらのサインを見逃さず、早期の介入を検討する必要があります。
身体的症状として現れるSOS
精神的なストレスや疲労は、しばしば身体的な症状として現れることがあります。部下が精神疾患や強いストレスを抱えている場合、以下のような身体のSOSサインに注意しましょう。
- 睡眠の質の低下: 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、寝た気がしないといった不眠症状。
- 食欲の変化: 食欲不振で食事が摂れない、逆にストレスで過食に走るなど。
- 慢性的な身体の不調: 原因不明の頭痛、肩こり、腰痛、胃痛、吐き気、めまい、耳鳴り、下痢や便秘といった消化器症状など。
- 極度の疲労感: 休息を取っても回復しない疲労感、だるさ。
これらの身体症状は、内科的な疾患が原因である可能性もあるため、安易に精神的なものと断定せず、医療機関への受診を勧めることが重要です。部下自身も、身体の不調から精神的なストレスに気づかないケースも少なくありません。上司が「もしかしたらストレスが原因かもしれない」という視点を持つことで、早期の専門家への相談を促すことができます。
身体のSOSサインは、心が限界を迎えている証拠でもあります。これらを見逃さずに適切な対応を取ることが、部下の心身の健康を守る上で不可欠です。
上司としてできる傾聴と声かけの重要性
部下の精神的な不調やストレスのサインを早期に察知し、適切に対応するためには、上司による日頃からの傾聴と積極的な声かけが不可欠です。部下が「この上司には何でも話せる」と感じられるような、心理的安全性の高い関係性を築くことが基盤となります。
声かけの際は、以下のような点を心掛けましょう。
- タイミングと場所の配慮: 人目につかない場所で、業務に支障のない時間帯を選ぶ。
- オープンな質問: 「何か困っていることはない?」や「最近、少し元気がないように見えるけど、大丈夫?」のように、相手が話しやすいオープンな質問をする。「どうしたの?」と一方的に問い詰める形は避ける。
- 傾聴の姿勢: 部下の話を途中で遮らず、最後まで耳を傾ける。共感を示し、相手の気持ちを受け止める姿勢が重要。
- 具体的なサポートの提案: 話を聞いた上で、「業務量を調整しようか?」「産業医に相談してみるのもいいかもしれないね」など、具体的な解決策を一緒に考える姿勢を見せる。
- プライバシーの尊重: 話の内容は、本人の同意なしに他者に漏らさないことを約束する。
上司の温かい声かけ一つで、部下は孤立感から解放され、安心して悩みを打ち明けられるようになります。特に長時間労働や強いストレスを抱える部下に対しては、意識的に声かけの機会を増やすことが大切です。上司のそうした行動が、部下の心の健康を守る最初の砦となるのです。
出典: 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
退職の相談なし…上司が心掛けるべきコミュニケーションとは
日頃からの信頼関係構築と心理的安全性
部下が退職を相談なしに決めてしまう背景には、上司との信頼関係不足や、職場における心理的安全性の欠如があることが少なくありません。部下が安心して自分の意見や悩みを話せる環境を日頃から構築しておくことが、突然の退職を防ぐ上で最も重要です。
信頼関係を築くためには、以下の点を意識しましょう。
- 定期的な1on1ミーティング: 業務だけでなく、キャリアや健康、プライベートな悩みについても話せる場を設ける。
- オープンなフィードバック: 良い点も改善点も建設的に伝え、部下の成長をサポートする姿勢を見せる。
- 失敗を許容する文化: 失敗から学び、次につなげる機会として捉えることで、部下が挑戦しやすくなる。
- ハラスメントの排除: あらゆるハラスメントを許さない毅然とした態度を示し、誰もが安心して働ける環境を作る。
部下が「困った時に頼れる」と感じる上司であること、そして「自分の意見が尊重される」と感じる職場であることは、部下が退職を考える前に相談してくれるための基盤となります。心理的安全性が高い職場では、従業員エンゲージメントも向上し、結果として組織全体の生産性向上にもつながります。
退職の申し出があった際の傾聴とサポート
部下から退職の申し出があった場合、上司は感情的にならず、まずは本人の話に耳を傾けることに徹しましょう。「なぜ退職を考えているのか」、その背景にある真意を理解しようと努める姿勢が重要です。感情的な引き止めや、一方的な説得は避け、部下の意思を尊重することが大前提です。
話を聞く際には、共感を示し、「それは大変だったね」「そう感じていたんだね」といった言葉で、部下の気持ちを受け止めましょう。もし引き止めたい場合でも、「どんな条件なら残ってくれる可能性があるか」と問いかけるなど、あくまで部下の意向を尊重する形で対話を進めます。無理な引き止めは、かえって部下の不信感を募らせ、円満な退職を妨げることにもなりかねません。
退職の意思が固いようであれば、その後の円満な退職手続きをサポートすることが上司の役割です。離職票の交付手続きや、業務の引き継ぎ、残されたメンバーへの説明など、会社と部下双方にとってスムーズな移行を促しましょう。退職は、部下にとって新たなステップであり、上司は最後まで部下のキャリアを応援する姿勢を見せることが、企業ブランドの維持にもつながります。
出典: 労働基準法、労働契約法
「会社都合退職」が企業に与える影響
退職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって、企業が受ける影響は大きく異なります。特に「会社都合退職」の場合、企業にとっては複数のデメリットが生じる可能性があります。
「会社都合退職」とは、倒産やリストラ、退職勧奨など、従業員の意思によらず、会社の都合によって離職を余儀なくされた場合に該当します。この場合、失業給付金が早く支給されるなど、退職者にとっては手厚い保障がありますが、企業側には以下のような影響があります。
- 助成金不支給・減額のリスク: キャリアアップ助成金や特定求職者雇用開発助成金など、多くの雇用関連助成金は、「会社都合退職者を出していないこと」が受給要件となっています。会社都合退職者が出ると、これらの助成金が受給できなくなる、または減額される可能性があります。
- 企業イメージの低下: 会社都合退職が多発すると、「従業員を大切にしない会社」というネガティブな企業イメージが広がり、採用活動にも悪影響を及ぼします。
- 残された従業員の士気低下: 不本意な退職者が続くことは、残された従業員の士気を低下させ、不安や不信感につながることがあります。
- 法的リスク: 解雇の場合、労働基準法第20条に基づき、解雇予告または予告手当の支払いが必要です。不当解雇とみなされないよう、解雇理由を明確にし、従業員に十分な説明を行うことが重要です。
これらのリスクを避けるためにも、上司は日頃から部下のエンゲージメント向上に努め、ハラスメントの防止、適切な労務管理を行うことが極めて重要です。やむを得ず退職勧奨を行う場合も、労働契約法第16条に則り、客観的・合理的な理由と社会通念上の相当性を満たす必要があります。
出典: 労働基準法、労働契約法、厚生労働省情報(助成金関連)
まとめ
よくある質問
Q: 部下が突然会社に来なくなりました。どうすればいいですか?
A: まずは冷静に状況を把握し、関係部署(人事など)に速やかに報告しましょう。連絡が取れない場合は、家族や緊急連絡先に連絡を試みることも検討します。
Q: 部下が休職することになり、ショックを受けています。責任を感じるべきでしょうか?
A: 休職は部下自身の問題であり、上司が過度に責任を感じる必要はありません。しかし、休職に至るまでの状況を振り返り、改善できる点がないか検討することは重要です。
Q: 部下が「キャパオーバー」で、最近様子がおかしいです。どう接すればいいですか?
A: まずは話を聞く姿勢を示し、部下が抱える負担を理解しようと努めましょう。業務の調整や、必要であれば専門家(産業医など)への相談を促すことも有効です。
Q: 部下の体調不良や精神的な不調に気づくサインはありますか?
A: 集中力の低下、遅刻・欠勤の増加、表情が暗い、イライラしやすくなる、仕事への意欲がなくなる、といった変化が見られることがあります。
Q: 部下が退職の相談なく辞めてしまいました。どうすればよかったですか?
A: 日頃から信頼関係を築き、気軽に相談できる雰囲気作りが大切です。退職の意向を察知できなかった場合、なぜ相談に至らなかったのかを分析し、今後のコミュニケーション改善に活かしましょう。