【アルバイト・パート】扶養控除等申告書の書き方!学生の疑問も解消

アルバイトやパートとして働く皆さん、年末に会社から渡される「扶養控除等申告書」について、毎年どのように書けばいいか迷っていませんか?

特に学生の方や、税金について詳しくない方にとっては、少し難しく感じるかもしれません。

この記事では、2025年度(令和7年)の最新の税制改正に対応した扶養控除等申告書の書き方について、アルバイト・パートの方々、そして学生の皆さんの疑問を解消できるよう、分かりやすく解説します。

「年収の壁」対策として、制度が大きく変わりますので、ぜひ最後まで読んで、正確な申告を行いましょう。

  1. 扶養控除等申告書とは?アルバイト・パート・学生の必要性
    1. そもそも扶養控除等申告書とは?
    2. 2025年度の税制改正で何が変わる?「年収の壁」対策
    3. なぜ年末調整時に提出するの?
  2. 扶養控除等申告書の基本的な書き方:アルバイター・パートタイマー編
    1. 基本的な個人情報とマイナンバーの記入
    2. 配偶者や扶養親族がいる場合の記入方法
    3. その他の控除に該当する場合の記入(障害者・寡婦・ひとり親など)
  3. 学生アルバイト必見!勤労学生控除についてと申告書の記入例
    1. 勤労学生控除とは?適用条件とメリット
    2. 2025年度から変わる「年収の壁」と学生
    3. 申告書「勤労学生」欄の具体的な記入方法
  4. アルバイト掛け持ち・複数勤務の場合の扶養控除等申告書の注意点
    1. 原則は「主たる給与の勤務先」に提出
    2. 提出しなかった場合の年末調整と確定申告
    3. 年末調整と確定申告:どちらを選ぶべき?
  5. 扶養控除等申告書を提出しないとどうなる?
    1. 所得税・住民税が高くなる
    2. 年末調整の対象外となり、確定申告が必須に
    3. 「提出しない」選択は避けるべき理由
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 扶養控除等申告書とは何ですか?
    2. Q: アルバイトやパートでも扶養控除等申告書は提出する必要がありますか?
    3. Q: 学生アルバイトの場合、勤労学生控除とは何ですか?
    4. Q: アルバイトを複数掛け持ちしている場合、扶養控除等申告書はどうなりますか?
    5. Q: 扶養控除等申告書を提出しないとどうなりますか?

扶養控除等申告書とは?アルバイト・パート・学生の必要性

そもそも扶養控除等申告書とは?

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、年末調整で所得控除を受けるために、すべての給与所得者が勤務先に提出する重要な書類です。

この書類を提出することで、所得税や住民税を計算する際に、基礎控除や配偶者控除、扶養控除、勤労学生控除といった各種控除が適用され、適切な税額で源泉徴収されるようになります。

アルバイトやパートで働いている皆さんも、この書類を提出することで、毎月の給与から引かれる税金が本来よりも高くなるのを防ぐことができます。

会社から渡されたら、必ず内容を確認して提出するようにしましょう。

2025年度の税制改正で何が変わる?「年収の壁」対策

2025年度(令和7年)の年末調整では、「年収の壁」対策として、税制が大きく変更されます。

これにより、扶養控除等申告書の記載内容や、控除が適用される条件にも変更点がありますので注意が必要です。

  • 基礎控除・給与所得控除の見直し:これまでの「103万円の壁」と呼ばれていた所得税がかからない年収の上限が、「160万円の壁」へと引き上げられます。これは、従業員本人の手取りを増やし、働き控えを解消するためのものです。
  • 扶養親族の所得要件の緩和:税法上の扶養親族となるための所得要件が、年間の合計所得金額で58万円以下(給与収入換算で約123万円以下)に引き上げられます。これにより、親族を扶養している世帯にとって、より多くの収入を得ても扶養から外れにくくなります。
  • 特定親族特別控除の創設:19歳以上23歳未満の「特定親族」(主に大学生など)を扶養している場合、年収が123万円を超えても、一定の範囲内(年収188万円まで段階的に控除適用)で扶養控除の対象となる「特定親族特別控除」が新設されます。具体的には、12月31日時点の年齢が19歳から22歳までの子供が対象です。

これらの変更は、アルバイト・パートで働く方々、特に学生アルバイトの方々にとって大きなメリットとなります。

なぜ年末調整時に提出するの?

扶養控除等申告書は、年末調整の際に所得控除を適用するために不可欠な書類です。

会社は、提出された申告書の内容に基づいて、従業員の毎月の給与から源泉徴収する所得税額を計算しています。これにより、各種控除が考慮された適切な税額が給与から差し引かれるのです。

もしこの書類を提出しないと、控除が一切適用されず、高い税率で所得税が計算されてしまうため、毎月の手取りが少なくなってしまいます。

一度提出すれば、その年の途中で扶養親族に増減があったり、結婚・出産などで状況が変わらない限り、再度提出する必要はありません。年末調整をスムーズに行い、過不足なく税金を精算するためにも、必ず提出するようにしましょう。

扶養控除等申告書の基本的な書き方:アルバイター・パートタイマー編

基本的な個人情報とマイナンバーの記入

扶養控除等申告書の一番上部には、自身の基本的な情報を正確に記入する必要があります。

具体的には、氏名、住所、生年月日、そして個人番号(マイナンバー)です。これらの情報は、税務署への申告や、会社が年末調整を行う上で必須となるため、誤りがないよう細心の注意を払って記入してください。

マイナンバーの記入にあたっては、マイナンバーカードや通知カードなどで番号を確認し、正確に記載しましょう。会社によっては、本人確認書類の提示を求められることもありますので、準備しておくとスムーズです。

特に住所は、引っ越しなどで変更があった場合は速やかに会社に報告し、年末調整までに最新の情報に更新することが重要です。

配偶者や扶養親族がいる場合の記入方法

配偶者や扶養親族がいる場合は、以下の欄に該当する情報を記入します。

  • A 源泉控除対象配偶者:配偶者がいる場合に記入します。2025年度からは、配偶者の年間の所得の見積額が95万円以下(給与収入換算で約160万円以下)の場合に、配偶者控除の対象となります。配偶者の氏名、個人番号、生年月日などを正確に記入しましょう。
  • B 控除対象扶養親族(16歳以上):16歳以上の扶養親族がいる場合に記入します。氏名、個人番号、続柄、生年月日、その親族の所得の見積額などを記載します。2025年度からは、扶養親族の所得要件が年間の合計所得金額で58万円以下(給与収入換算で約123万円以下)に緩和されています。
  • 住民税に関する事項:16歳未満の扶養親族については、所得税の扶養控除の対象外ですが、住民税の計算には必要となるため、この欄に氏名、続柄、生年月日、個人番号などを記入します。

扶養親族の所得見積額は、あくまで概算で構いませんが、大きく食い違いがないように注意してください。不明な場合は、扶養親族本人に確認することが大切です。

その他の控除に該当する場合の記入(障害者・寡婦・ひとり親など)

扶養控除等申告書には、配偶者控除や扶養控除以外にも、さまざまな所得控除を申告するための欄があります。

C欄には、障害者、寡婦、ひとり親、または勤労学生に該当する場合にチェックを入れる箇所があります。自身がこれらのいずれかに該当する場合は、忘れずに該当する項目にチェックを入れ、必要な情報を記入しましょう。

  • 障害者:本人または扶養親族が障害者の場合に該当します。障害の程度により控除額が異なります。
  • 寡婦:夫と死別・離婚後再婚せず、扶養親族がいて特定の所得要件を満たす場合に該当します。
  • ひとり親:原則として、未婚の母または父で扶養親族がいて、特定の所得要件を満たす場合に該当します。
  • 勤労学生:学生アルバイトの方が、特定の所得要件(後述)を満たす場合に該当します。

これらの控除は、適用されると税負担が大きく軽減されるため、自分が該当しないか必ず確認し、正しく申告することが重要です。

学生アルバイト必見!勤労学生控除についてと申告書の記入例

勤労学生控除とは?適用条件とメリット

「勤労学生控除」は、学生アルバイトの皆さんの税負担を軽減するための制度です。

この控除が適用されると、所得税がかからない年収の上限が、通常の103万円から150万円に引き上げられます(住民税の所得割は年収134万円以下で非課税)。

適用されるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 合計所得金額が85万円以下であること(給与所得のみの場合、年収150万円以下)。
  • 勤労に基づく所得以外の所得(株の配当や不動産収入など)が10万円以下であること。
  • 特定の学校の学生・生徒であること(大学、高校、専門学校など)。

勤労学生控除を適用すれば、年間150万円までの収入であれば所得税が源泉徴収されなくなるため、手取りが増える大きなメリットがあります。

2025年度から変わる「年収の壁」と学生

2025年度の税制改正により、学生アルバイトを取り巻く「年収の壁」も大きく変化します。

これまでは、学生が年収103万円を超えると、親の扶養から外れ、親の税負担が増えるという「103万円の壁」が課題でした。しかし、2025年度からは、この「壁」が実質的に緩和されます。

特に、19歳から22歳の学生アルバイト(特定扶養親族)の場合、年収が123万円までは引き続き「特定扶養控除」の対象となり、親の税負担は変わりません。さらに、年収123万円を超えても、188万円までは「特定親族特別控除」が適用され、段階的に親の税負担が軽減されるようになります。

これにより、学生は以前よりも多くの収入を得ても、親の税負担への影響を心配することなくアルバイトを続けやすくなります。自身の年収がどの範囲に該当するかを確認し、適切に申告しましょう。

申告書「勤労学生」欄の具体的な記入方法

勤労学生控除の適用を受けるには、扶養控除等申告書の「C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」欄にある「勤労学生」の項目にチェックを入れます。

その下にある「内容」の欄には、以下の情報を記入してください。

  • 学校名:通っている学校の正式名称を記入します。
  • 入学年月日:学校に入学した年月日を記入します。
  • 所得の見積額:その年の1月1日から12月31日までのアルバイト収入(給与収入)の見込み額を記入します。

会社によっては、勤労学生であることを証明するために、学生証のコピーや在学証明書の提出を求められる場合がありますので、準備しておくと良いでしょう。

正しく記入し、提出することで、勤労学生控除が適用され、所得税の負担を軽減することができます。

アルバイト掛け持ち・複数勤務の場合の扶養控除等申告書の注意点

原則は「主たる給与の勤務先」に提出

複数のアルバイトやパートを掛け持ちしている場合でも、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、原則として最も収入の多い勤務先(主たる給与の支払いを受けている企業)にのみ提出します。

これは、扶養控除などの所得控除を二重に受けることを防ぐためです。

もし複数の勤務先に提出してしまうと、本来よりも多くの控除が適用され、年末調整で税額が不足する事態になりかねません。

どの勤務先が「主たる給与の勤務先」になるかは、一般的に年間の給与収入が一番高くなると見込まれる勤務先で判断します。迷った場合は、それぞれの勤務先に相談してみるのが良いでしょう。

提出しなかった場合の年末調整と確定申告

扶養控除等申告書を提出しなかった勤務先からの給与については、年末調整が行われません。

これは、控除が適用されない「乙欄」と呼ばれる高い税率で源泉徴収されることを意味します。そのため、本来支払うべき税金よりも多くの税金が毎月の給与から差し引かれることになります。

もし、年末調整でこれらの過払い分を精算できなかった場合は、翌年の2月16日から3月15日の間に、ご自身で確定申告を行う必要があります。

確定申告は、すべての勤務先からの収入を合算して正しい所得税額を計算し、源泉徴収された税金との過不足を精算する手続きです。手間がかかりますので、原則として年末調整で済ませることをおすすめします。

年末調整と確定申告:どちらを選ぶべき?

複数勤務のアルバイト・パートの方の場合、基本的には年末調整で済ませるのが最も簡単で手間がかかりません。

最も収入の多い勤務先に扶養控除等申告書を提出し、年末調整を受けていれば、通常は追加で確定申告をする必要はありません。これにより、払いすぎた税金があれば還付され、不足があれば徴収される形で税金の精算が完了します。

しかし、以下のような場合は確定申告が必要になります。

  • 主たる勤務先以外に、扶養控除等申告書を提出しなかった勤務先の給与収入が年間20万円を超える場合。
  • すべての勤務先で年末調整を受けられなかった場合。
  • アルバイト収入以外に、不動産所得や事業所得など、他の種類の所得がある場合。

年末調整を適切に行うことで、確定申告の手間を省き、税金を正確に精算することができます。

扶養控除等申告書を提出しないとどうなる?

所得税・住民税が高くなる

扶養控除等申告書を勤務先に提出しないと、給与計算時に「甲欄」ではなく「乙欄」と呼ばれる高い税率で所得税が源泉徴収されてしまいます。

これは、扶養控除や基礎控除といった各種所得控除が適用されないためです。本来であれば控除されるべき金額が考慮されないため、毎月の給与から引かれる所得税が大幅に高くなってしまいます。

例えば、独身で扶養親族がいない場合でも、基礎控除や給与所得控除は本来適用されるべきものです。これらが適用されないと、手取り額が大きく減少し、経済的な不利益を被ることになります。

また、所得税だけでなく、翌年の住民税にも影響が出ることがありますので、注意が必要です。

年末調整の対象外となり、確定申告が必須に

扶養控除等申告書は、年末調整を行う上で会社に提出が義務付けられている書類です。

この書類が提出されていない場合、勤務先は従業員の年末調整を行うことができません。その結果、本来受けられるはずの所得控除が適用されず、多めに徴収された所得税が精算されないままになってしまいます。

過払い分の税金を還付してもらうためには、ご自身で翌年2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。

確定申告は、書類の準備や記入、税務署への提出など、手間と時間がかかる作業です。年末調整で済ませられる手続きを、あえて確定申告に回す必要はありません。

「提出しない」選択は避けるべき理由

扶養控除等申告書を「提出しない」という選択は、皆さんにとって何のメリットもなく、むしろ不利益しかありません。

所得税・住民税の負担が増えるだけでなく、年末調整が行われないことで、確定申告という余計な手間が発生します。会社側も適切な税務処理ができなくなるため、必ず提出を求められるでしょう。

もし、書き方が分からなかったり、自分の状況が控除に該当するか不明な点があれば、一人で抱え込まず、必ず勤務先の担当者や、税務署の相談窓口に確認するようにしてください。

正確な申告を行い、適切な税負担で働くためにも、期日までに必ず扶養控除等申告書を提出しましょう。

まとめ

2025年度の年末調整では、年収の壁対策として扶養控除に関する制度が大きく変更されます。特に学生アルバイトの方にとっては、勤労学生控除や特定親族特別控除の適用条件などを理解し、適切に申告することが重要です。

扶養控除等申告書は、皆さんの税金と手取りに直結する重要な書類です。最新の情報に基づき、正確に記入し、忘れずに勤務先に提出しましょう。

不明な点があれば、勤務先の担当者や税務署に確認することをおすすめします。