「英語力を上げたい!」そう思っても、今の自分の実力がどれくらいなのか、目標とするレベルには何が必要なのか、具体的に把握できている人は意外と少ないかもしれませんね。

やみくもに学習を進めるよりも、まず自分の現在地を知り、目指すゴールを明確にすることが、英語力アップへの一番の近道です。

この記事では、国際的な英語力の指標であるCEFR(セファール)を基に、各レベルでできることや必要な学習時間の目安、さらには無料でできる英語力診断ツールや効果的な学習法まで、詳しく解説していきます。ぜひ最後まで読んで、あなたの英語学習を次のステージへと進めるヒントを見つけてください!

目的別!英語力のレベル目安を知ろう

国際基準CEFRって何?

「CEFR(セファール)」とは、Common European Framework of Reference for Languagesの略で、語学力をA1からC2までの6段階で評価する国際的な指標です。これは、英語だけでなく様々な言語に適用され、世界中であなたの語学力を共通の基準で示すことができます。

例えば、留学や海外での就職を考える際に、このCEFRレベルで自分の英語力を提示できると、相手もあなたの能力を具体的にイメージしやすくなります。まさに、英語力の「世界共通パスポート」のような存在と言えるでしょう。

自分の英語力を客観的に把握し、目標設定や学習計画を立てる上で、CEFRの各レベルを理解することは非常に重要です。効率的な学習のために、まずこの国際基準に目を向けてみましょう。

ただし、日本人が英語を習得するには、他の国と比べて約3.7倍もの学習時間が必要だという研究結果もあります。これは、英語学習において私たちが特別な努力を要することを示唆しており、より戦略的なアプローチが求められるでしょう。

CEFRレベル別:できることと学習時間

それでは、CEFRの各レベルでは具体的にどのようなことができ、どのくらいの学習時間が必要とされるのでしょうか。以下にその目安をまとめました。

  • A1(入門): 日常的な挨拶や自己紹介、簡単な質問への応答ができるレベルです。約333〜370時間の学習が目安とされています。
  • A2(初級): 日常的な範囲の話題であれば会話ができ、小中高で英語を学んだ人はこのレベルの学習時間は既に習得しているとされます。約666〜740時間の学習が目安です。
  • B1(中級): 仕事、学校、エンターテイメントなどの会話を理解でき、正確な文法でライティングも可能です。仕事や日常生活の会話はほとんど理解し、自信を持って対応できます。約600〜800時間、または1,295〜1,480時間の学習が目安です。
  • B2(中上級): 複雑な文章でも内容を理解でき、ネイティブスピーカーとも流暢に話せるレベルです。おおよそ800〜1200時間の学習が必要とされています。
  • C1(上級): 複雑で長い文章でも理解でき、言葉を柔軟に用いながら流暢で自然な表現ができるレベルです。ネイティブスピーカーばかりの環境でも支障なくコミュニケーションが取れます。約2,590〜2,960時間の学習が目安です。
  • C2(最上級): 英語の使用はほぼ完璧で、ネイティブスピーカーと同等の言語能力があると評価されます。学術的な議論や複雑な内容にも対応可能です。約3,700〜4,440時間以上の学習が目安です。

これらの学習時間はあくまで目安ですが、現在の自分のレベルと目標レベルを照らし合わせる際の参考になるでしょう。特にB1レベルからは、実用的な英語力が大きく伸びることが期待できます。

あなたの目標はどのレベル?

英語を学ぶ目的は人それぞれです。海外旅行を楽しみたい、仕事で英語を使いたい、留学して専門知識を深めたいなど、目的によって目指すべきCEFRレベルも変わってきます。

例えば、海外旅行で日常会話を楽しみたい程度であればA2〜B1レベルでも十分かもしれません。しかし、ビジネスシーンで英語を使いこなしたいのであれば、B2レベル以上が求められるでしょう。

大学への留学や専門性の高い分野でのディスカッションに参加するには、C1レベル、あるいはC2レベルの英語力が不可欠です。自分の目的を明確にし、それに合ったレベルを目標に設定することで、学習のモチベーションを高く維持することができます。

まずは現状の英語力を確認し、そこから目標レベルとのギャップを埋めるための具体的な学習プランを立ててみましょう。次のセクションでは、TOEICスコアと英語力の関係性についても見ていきます。

TOEICスコアと英語力の関係性

TOEICスコアで測る英語力

日本で英語力を測る指標として最も広く認知されているのがTOEIC(Test Of English for International Communication)です。特に、就職活動や昇進の際にスコアの提出を求められることが多く、多くの人が目標スコアを設定して学習に取り組んでいます。

TOEICはリスニングとリーディングの2技能に特化したテストであり、主にビジネスシーンにおける英語でのコミュニケーション能力を測ることを目的としています。スコアは10点から990点までの範囲で評価されますが、このスコアがCEFRのどのレベルに相当するのか、おおよその目安があります。

一般的に、TOEICスコア600点前後でCEFRのB1レベル、800点以上でB2レベルに相当すると言われることが多いです。もちろん、TOEICのスコアだけではスピーキングやライティングといったアウトプット能力を測ることはできませんが、インプット能力の指標としては非常に有効です。

目標スコア別!TOEIC学習のポイント

TOEICの目標スコアを設定したら、その達成に向けて効率的な学習を組み立てることが重要です。例えば、600点を目指すのであれば、基礎的な語彙力と文法知識を固め、パートごとの形式に慣れることがポイントになります。

700点台、800点台を目指す場合は、より複雑な長文読解や聞き取り問題への対応力が求められます。特にリスニングパートは、音声変化や速いスピードに慣れる練習が不可欠です。リーディングでは、時間配分を意識した問題演習が鍵となります。

さらに900点以上のハイスコアを目指すには、英文の構造を瞬時に把握する力や、微妙なニュアンスを理解する力が問われます。日頃から多読や多聴を心がけ、英語に触れる絶対量を増やすことが重要です。また、間違えた問題の徹底的な分析を通じて、弱点を克服していく姿勢も欠かせません。

TOEIC対策だけでは不十分?

TOEICのハイスコアは、確かにあなたの英語力を示す強力な武器になります。しかし、TOEICはあくまでリーディングとリスニングの能力を測るテストであり、実践的なコミュニケーション能力、特にスピーキングやライティング能力を直接評価するものではありません。

例えば、TOEICで高得点を取っていても、いざネイティブスピーカーとの会話となると言葉が出てこない、という経験を持つ人も少なくありません。これは、インプットとアウトプットのバランスが取れていないために起こる現象です。

真の「使える英語力」を身につけるためには、TOEIC対策に加えて、積極的に話す練習や書く練習を取り入れることが不可欠です。ビジネスシーンや日常会話で流暢に、そして適切に英語を使いこなすには、総合的な英語力を高める努力が求められます。TOEICはあくまで通過点であり、その先のコミュニケーション能力向上を見据えた学習計画を立てることが、結果的にあなたの英語学習を成功に導くでしょう。

ワーホリ・留学に必要な英語力とは?

ワーホリで「困らない」英語力

ワーキングホリデー(ワーホリ)の最大の魅力は、海外で働きながら異文化を体験できることです。しかし、せっかくのワーホリを最大限に楽しむためには、ある程度の英語力が必要不可欠です。では、「困らない」英語力とはどのレベルを指すのでしょうか。

一般的に、ワーホリで仕事を探したり、現地の友人と交流したり、日常生活を送る上でスムーズなコミュニケーションを取るためには、CEFRのB1レベルが最低限必要だと言われています。B1レベルは「仕事や日常生活の会話はほとんど理解し、自信を持って対応できる」とされており、簡単な職探しや買い物、道案内など、基本的なやり取りには困らないでしょう。

A2レベルでもワーホリは可能ですが、仕事を見つけるのに苦労したり、文化的な背景が異なる人との深い交流が難しくなったりする可能性があります。渡航前にしっかりと英語力を磨き、B1レベル以上を目指すことで、より充実したワーホリ生活を送ることができるでしょう。

留学先で「学習についていく」英語力

留学の目的は、語学力の向上だけでなく、専門分野の知識を深めることや、学位取得を目指すことも多いでしょう。留学先で「学習についていく」ためには、ワーホリ以上に高い英語力が求められます。

語学学校であれば、自分のレベルに合ったクラスからスタートできますが、大学や大学院への正規留学となると、CEFRのB2レベル以上が必須となることがほとんどです。B2レベルは「複雑な文章でも内容を理解でき、ネイティブスピーカーとも流暢に話せる」とされており、授業でのディスカッションに参加したり、学術論文を読んだり書いたりする上で必要な基礎力が備わっています。

さらに高度な学術的な議論や専門的なプレゼンテーションに対応するには、C1レベル、あるいはC2レベルの英語力が望ましいです。留学生活は英語漬けの環境ですが、渡航前の準備が学習効果を大きく左右します。特にリスニング力とライティング力は、アカデミックな環境で成功するための鍵となるでしょう。

渡航前の準備が成功の鍵

ワーホリや留学は、現地での経験を通して英語力を飛躍的に伸ばす絶好の機会です。しかし、英語力に不安があるまま渡航すると、思うような成果が得られず、モチベーションが低下してしまうこともあります。だからこそ、渡航前の準備が非常に重要になります。

まずは、記事の後半で紹介する無料の英語力診断などを活用し、自分の現在の英語レベルや弱点を正確に把握しましょう。その上で、目標とするワーホリや留学のレベルに合わせて、集中的に学習計画を立てることが大切です。

文法や語彙の基礎固めはもちろんのこと、実際に英語を使う機会を増やす練習(オンライン英会話や言語交換など)も積極的に取り入れましょう。特にスピーキングやリスニングは、現地での生活や学習の質に直結します。渡航前にできる限りの準備をしておくことで、現地でのスタートがスムーズになり、より充実した海外生活を送ることができるでしょう。

無料でできる!英語力診断&レベルアップ法

今すぐ試せる無料英語力診断テスト

自分の英語力を知る第一歩は、現状を正確に把握することです。幸いなことに、インターネット上には無料で利用できる高品質な英語力診断テストが多数存在します。これらを活用すれば、自宅にいながら手軽に自分のレベルや弱点を知ることができます。

いくつか代表的なテストをご紹介しましょう。

  • EF SET Englishテスト: パソコンやスマートフォンで約1時間、または15分で受講できる無料のオンラインテストです。リーディングとリスニングのスキルを測り、CEFRレベルに準拠した結果が得られます。
  • Cambridge English レベルチェックテスト: 短時間でレベルチェックができる無料のオンラインテストで、ケンブリッジ大学英語検定の受検準備にも役立ちます。CEFRレベルに対応しています。
  • Weblio語彙力診断テスト: 約2分半で完了する選択式のテストで、推定語彙数を測定できます。語彙力は英語力の土台となるため、定期的なチェックがおすすめです。
  • PROGOS: スマートフォンで約20分で受験できる、AIによるスピーキングテストです。CEFRに準拠しており、コミュニケーション能力、特にスピーキング力を重視した診断が受けられます。
  • NHK英語力診断テスト: レベルに合わせて3つのテストが選べる無料の診断テストです。自分のレベルに合ったテストを選べるため、効率的に弱点を発見できます。

これらのテストを複数試すことで、より多角的に自分の英語力を評価し、具体的な学習課題を見つけることができるでしょう。

診断結果を学習に活かすには

無料診断テストを受けただけでは、英語力は向上しません。診断結果を「学習計画の材料」として最大限に活用することが重要です。診断で「リスニングが苦手」「語彙力が不足している」といった具体的な弱点が判明したら、それらを克服するための学習に重点を置きましょう。

例えば、リスニングが弱点なら、毎日英語のニュースを聞く、シャドーイングを取り入れるなど、集中的なトレーニングが必要です。語彙力不足であれば、単語帳アプリを活用したり、多読を通じて自然に語彙を増やす工夫をします。スピーキング力に課題があるなら、オンライン英会話で積極的に話す機会を設けるのが良いでしょう。

参考情報にもあるように、英語学習において約4割の人が「つまずいてしまった」「レベルが上がらなかった」と回答しています。これは、自分の弱点を把握せず、漫然と学習を進めてしまった結果かもしれません。診断結果を真摯に受け止め、効果的な学習方法を実践していくことで、この「つまずき」を回避し、着実にレベルアップを目指せるはずです。

効果的なレベルアップ法と学習の落とし穴

英語学習において、効果を実感できなかった学習手段として「自習用の教科書やワークブック」が最も多く挙げられています。これは、インプット中心の学習だけでは、アウトプット能力が伸びにくいことを示唆しています。

英語力向上のためには、「より多くの英語実践の機会」と「定期的なフィードバックと指導を受ける機会」が非常に重要です。例えば、オンライン英会話は、自宅で手軽に英語を話す実践の場を提供し、講師からのフィードバックも得られます。言語交換パートナーを見つけるのも良い方法です。

また、学習の落とし穴として「モチベーションの維持」も挙げられます。目標設定が曖昧だったり、学習の成果が見えにくいと、どうしてもやる気が低下しがちです。無料診断を定期的に受けて自分の成長を可視化したり、小さな目標を達成するたびに自分を褒めるなど、モチベーションを維持する工夫も凝らしましょう。

インプットとアウトプットのバランスを意識し、自分の弱点に合わせた学習法を取り入れることで、効率的に英語力をレベルアップさせていくことが可能です。

発音も重要!総合的な英語力向上のために

なぜ発音が重要なのか

英語学習において、文法や語彙、リスニング、リーディングに力を入れる人は多いですが、意外と見過ごされがちなのが「発音」です。しかし、発音はコミュニケーションを円滑に進める上で非常に重要な要素であり、総合的な英語力の一部として捉えるべきです。

適切な発音を習得することは、相手に自分の言葉を正確に理解してもらうために不可欠です。どれだけ流暢に話せても、発音が不正確だと、相手は聞き取りにくさを感じ、コミュニケーションに支障が生じる可能性があります。また、正しい発音は、あなたが自信を持って英語を話すことにも繋がります。

さらに、発音練習はリスニング力の向上にも直結します。自分が正確な音を出せるようになると、ネイティブスピーカーが話す英語の音も聞き取りやすくなるからです。発音は単なる「口の動き」ではなく、英語の音の構造を理解するための重要なステップなのです。

効果的な発音練習法

発音練習には、いくつかの効果的な方法があります。最も基本的なのは、ネイティブスピーカーの音声を真似て発音する「シャドーイング」と「リピーティング」です。

  • シャドーイング: 英語の音声を聞きながら、そのすぐ後を影(シャドー)のように追いかけて発音する練習です。発音だけでなく、イントネーションやリズムも同時に習得できます。
  • リピーティング: 英語の音声を聞き終えた後で、それを繰り返して発音する練習です。一時的に音を記憶し、正確に再現する力を養います。

これらの練習を行う際は、スマートフォンアプリやYouTubeなどで発音記号や口の形を解説している動画を参考にすると良いでしょう。また、自分の発音を録音して、ネイティブスピーカーの音声と比較することで、どこが違うのか客観的に分析できます。

オンライン英会話で講師に発音をチェックしてもらうのも非常に有効な方法です。専門家からのフィードバックは、独学では気づきにくい発音の癖を修正するのに役立ちます。

総合的な英語力を目指して

英語力向上への道は、語彙、文法、リスニング、リーディング、スピーキング、そして発音といった全ての要素をバランス良く伸ばしていくことです。どれか一つに偏った学習では、真の「使える英語力」を身につけることは難しいでしょう。

無料診断テストで自分の弱点を知り、その上で目標レベルと現在のギャップを埋めるための総合的な学習計画を立ててください。発音練習も日々のルーティンに組み込み、自信を持って英語を話せるようになることを目指しましょう。

英語学習はマラソンのようなものです。すぐに結果が出なくても、諦めずに継続することが最も重要です。今日からできることを一つずつ始め、あなたの英語力を確実にレベルアップさせていきましょう!