1. 発注書とは?基本のキを理解しよう
    1. 発注書の役割と法的側面
    2. 発注書と注文書の違いを明確に
    3. 発注書の基本項目と作成時の注意点
  2. 発注書作成に役立つ!Word・Excelテンプレート活用術
    1. 効率的な発注書作成の基本ステップ
    2. テンプレート活用のメリットと選び方
    3. 具体的な記載例と作成のコツ
  3. 見栄えも重要!発注書のレイアウトとデザインのポイント
    1. プロフェッショナルな印象を与えるデザインの秘訣
    2. 視認性を高めるためのフォントとカラー選び
    3. 電子発注書におけるレイアウトの考慮点
  4. 知っておくと便利!発注書にまつわる応用テクニック
    1. 電子帳簿保存法に対応した発注書の管理
    2. DX推進による受発注業務の効率化
    3. 業務効率を劇的に改善する電子受発注システム
  5. 発注書と請書の違い、割印など、よくある疑問を解消
    1. 発注書と請書の役割の違いと併用
    2. 収入印紙と割印の必要性・正しい使い方
    3. 発注書に関するQ&A:よくある疑問を徹底解説
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 発注書とは具体的にどのような書類ですか?
    2. Q: WordやExcelで発注書を作成するメリットは何ですか?
    3. Q: 発注書のレイアウトで特に注意すべき点はありますか?
    4. Q: 図面や画像を発注書に添付することは可能ですか?
    5. Q: 発注書と請書の違いと、割印の必要性について教えてください。

発注書とは?基本のキを理解しよう

ビジネスにおいて、商品やサービスの注文は日常的に行われます。その際、口頭でのやり取りだけでは、「言った」「言わない」のトラブルが発生したり、取引内容の認識にズレが生じたりするリスクがあります。そこで重要な役割を果たすのが「発注書」です。

発注書は、取引先との間で交わされる正式な注文書類であり、取引内容の明確化やトラブル防止に役立つ、まさにビジネスの根幹を支える大切な書類と言えるでしょう。

初心者の方でも安心して発注書を作成できるよう、その基本から具体的な作成方法、さらに応用テクニックまでを徹底的に解説していきます。

発注書の役割と法的側面

発注書(注文書とも呼ばれます)は、発注者(注文する側)が受注者(請け負う側)に対して、商品やサービスの購入・依頼の意思表示をするために発行する書類です。

この書類が持つ主な役割は、以下の3点に集約されます。

  • 取引内容の明確化: 商品名、数量、単価、納期、支払い条件などを具体的に記載することで、双方の認識のずれを防ぎ、円滑な取引を促進します。
  • トラブル防止: 口頭でのやり取りでは発生しがちな「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、安心して取引を進めるための証拠となります。特に、後で「こんな話は聞いていない」といった事態を避けるために非常に有効です。
  • 取引の信頼性担保: 正式な書類として発行することで、取引の信頼性を高め、お互いに責任を持ったビジネス関係を築くことができます。これは、特に新規取引先との間で信頼関係を構築する上で重要です。

法的には、下請法(下請代金支払遅延等防止法)の対象となる取引を除き、発注書の発行は義務ではありません。

しかし、実務上は、円滑で確実な取引のために発行されることが一般的であり、多くの企業でスタンダードな業務フローとして定着しています。発注書は単なる書類ではなく、ビジネスコミュニケーションを円滑に進めるための重要なツールなのです。

発注書と注文書の違いを明確に

「発注書」と「注文書」という言葉は、ビジネスシーンでよく耳にしますが、これらの間に法的な違いは存在しません。

基本的に同じ意味で使われることが多く、どちらの名称を使用しても問題はありません。

ただし、企業によっては、使い分けの慣習が見られることもあります。例えば、形のある「製品」の購入・発注には「注文書」を、形のない「サービス」の依頼やプロジェクトの発注には「発注書」を使用するといったケースです。

しかし、これはあくまで社内や業界内での慣例であり、法的な拘束力を持つものではありません。むしろ、社内で複数の名称が混在すると、書類管理が煩雑になったり、取引先との間で混乱を招いたりする可能性もあります。

そのため、企業全体でどちらか一方に統一して使用することが推奨されます。これにより、書類の検索性や管理効率が向上し、ヒューマンエラーのリスクも低減できるでしょう。重要なのは、名称ではなく、記載されている内容と、それが取引関係者の間で正確に共有されることです。

発注書の基本項目と作成時の注意点

発注書には法的に定められた決まったフォーマットはありませんが、円滑な取引のために一般的に記載すべきとされる項目が存在します。

これらを網羅することで、誤解なくスムーズな取引が可能になります。

発注書の基本的な記載項目:

  • 宛先: 発注先の会社名、部署名、担当者名
  • 発行日: 発注書を作成した日付
  • 発注番号: 社内管理用の番号(任意ですが、管理のために重要です)
  • 発行元情報: 発注元の会社名、住所、連絡先、担当者名
  • 件名: 「発注書」または「注文書」と明記
  • 商品・サービス名: 具体的な名称。必要に応じて「〇〇一式」とし、詳細を備考欄に記載
  • 数量・単価: 購入する数量と単価
  • 金額: 各品目の合計金額
  • 小計・消費税・合計金額(税込): 税抜きの小計、消費税額、最終的な税込合計金額
  • 納期・納品場所: 商品の納品期限や納品先
  • 支払い条件: 支払い方法、支払い期日など
  • 備考: 特記事項や補足事項

発注書作成時の注意点:

  • 見積書との照合: 見積書がある場合、その内容と発注書の内容が完全に一致しているかを必ず確認してください。
  • 正確な記載: 受注者は発注書をもとに準備を進めるため、誤字脱字や金額の間違いは大きなトラブルに繋がります。複数回確認しましょう。
  • 下請法の確認: 下請法が適用される取引の場合、記載しなければならない項目が法律で定められています。違反すると罰則の対象となるため、事前に確認が必要です。
  • 収入印紙: 原則として、課税文書とみなされる発注書(特に金額が大きい場合や、発注請書がない場合など)には収入印紙が必要です。ただし、メール添付や電子データでの送付、1万円未満の場合は不要です。
  • 送付方法: 取引先が希望する方法(郵送、FAX、メールなど)で送付し、送付方法については事前に確認することが丁寧な対応です。

発注書作成に役立つ!Word・Excelテンプレート活用術

発注書を毎回ゼロから作成するのは、時間も手間もかかります。そこで大いに役立つのが、WordやExcelなどの文書作成ソフトで利用できるテンプレートです。

テンプレートを上手に活用することで、業務効率が格段にアップし、ヒューマンエラーのリスクも低減できます。

ここでは、効率的な発注書作成のステップから、テンプレートの選び方、具体的な記載例までを詳しく解説していきます。

効率的な発注書作成の基本ステップ

発注書を効率的に、かつ正確に作成するためには、いくつかの基本ステップを踏むことが重要です。

  1. 情報収集と確認: まず、発注に必要な全ての情報(商品・サービス名、数量、単価、納期、支払い条件など)を正確に集めます。特に、事前に受け取っている見積書がある場合は、その内容と発注内容が合致しているかを綿密に確認しましょう。この段階での確認が、後のトラブル防止に直結します。
  2. テンプレートの選定: 自社の業務内容や取引先に適した発注書テンプレートを選びます。インターネット上には無料で利用できる高品質なテンプレートが多数公開されていますし、既存の自社フォーマットを使用することも可能です。テンプレートは、必要な項目が網羅されているか、カスタマイズしやすいかなどを基準に選びましょう。
  3. 情報の入力: 選定したテンプレートに、収集した情報を正確に入力していきます。特に、数値(単価、数量、合計金額)や日付(発行日、納期、支払期日)は間違いのないように細心の注意を払ってください。Excelテンプレートの場合、自動計算機能を活用すると計算ミスを防げます。
  4. 最終確認と承認: 入力作業が完了したら、発注書の内容全体を再確認します。誤字脱字、金額の誤り、記載漏れがないかを最終的にチェックし、必要に応じて上長の承認を得てから発行に進みましょう。
  5. 送付と控えの保存: 確認・承認が済んだら、取引先に指定された方法で発注書を送付します。また、発行した発注書の控えは、電子帳簿保存法の要件に従って適切に保存しておくことが不可欠です。

これらのステップをルーティン化することで、発注書作成業務は格段に効率化されるでしょう。

テンプレート活用のメリットと選び方

発注書テンプレートを活用することには、数多くのメリットがあります。

主なメリットとしては、「時間短縮」「標準化」「ミス削減」「プロフェッショナルな見た目」が挙げられます。ゼロから作成する手間が省けるため、他の重要な業務に時間を割くことができ、業務全体の生産性向上に繋がります。

また、統一されたフォーマットを使用することで、社内での書類管理が容易になり、誰が作成しても同じ品質の発注書が発行できるようになります。これにより、記載漏れや誤りのリスクが低減され、取引先に対しても信頼性の高い企業イメージを築くことができるでしょう。

では、数あるテンプレートの中から、どのように最適なものを選べば良いのでしょうか?

テンプレート選びのポイント:

  • 用途に合っているか: 商品発注用、サービス発注用など、自社の主要な取引内容に適したレイアウトであるかを確認します。
  • 必要な項目が網羅されているか: 自社が必ず記載したい項目(発注番号、納期、支払い条件など)が標準で含まれているかを確認します。
  • カスタマイズしやすいか: テンプレートによっては、ロゴの挿入や項目名の変更が容易にできるものがあります。自社のブランドイメージに合わせて調整できる柔軟性も重要です。
  • 使いやすさ: WordやExcelなど、普段使い慣れているソフトに対応した形式を選ぶと、導入がスムーズです。Excelの場合、計算式が組み込まれていると便利です。
  • 法的要件への対応: 特に下請法が関係する取引を行う場合は、法的に必要な記載事項に対応しているテンプレートを選ぶことが重要です。

インターネット上には、Microsoft Officeの公式サイトやビジネス書式サイトなどで無料のテンプレートが豊富に提供されていますので、これらを活用して自社にぴったりのテンプレートを見つけましょう。

具体的な記載例と作成のコツ

ここでは、WordやExcelで発注書を作成する際の具体的な記載例と、作成をスムーズに進めるためのコツをご紹介します。テンプレートを活用しつつ、これらのポイントを押さえることで、より正確で分かりやすい発注書を作成できます。

発注書テンプレートの記載例:

発注書
発注先 株式会社〇〇御担当者様
発注元 株式会社△△
〒123-4567 東京都〇〇区△△1-2-3
TEL: 03-XXXX-XXXX FAX: 03-XXXX-XXXX
発注番号 No.20240615-001
発行日 2024年06月15日

品名・仕様 数量 単価 金額
ウェブサイト制作一式(企画・デザイン・コーディング) 1 ¥300,000 ¥300,000
SEOコンサルティング費用(3ヶ月分) 1 ¥150,000 ¥150,000
サーバー費用(初期設定含む) 1 ¥30,000 ¥30,000
小計 ¥480,000
消費税 (10%) ¥48,000
合計金額 (税込) ¥528,000

納期 2024年07月31日
納品場所 電子データにて納品(指定URLにアップロード)
支払条件 月末締め翌月末払い
備考 詳細は別途送付の企画書をご参照ください。

発注書作成のコツ:

  • 具体的な品名・仕様: 「〇〇一式」と記載する場合は、必ず別途詳細資料を添付するか、備考欄に主要な内容を記載し、誤解が生じないようにしましょう。
  • 金額の自動計算(Excel): Excelテンプレートを使用する場合、数量と単価を入力すれば金額が自動計算されるように設定しておくと、計算ミスを防げます。小計、消費税、合計金額も同様に設定しておくと非常に便利です。
  • 備考欄の活用: 標準項目では表現しきれない特別な条件や補足事項は、備考欄に明確に記載しましょう。例えば、「見積書No.〇〇を参照」といった形で関連書類への参照情報を入れると、後々の確認が容易になります。
  • ロゴ・社印の挿入: 自社のロゴを挿入したり、印刷後に社印を押したりすることで、発注書の信頼性が高まります。電子データで送付する場合は、電子印鑑の活用も検討しましょう。

見栄えも重要!発注書のレイアウトとデザインのポイント

発注書は単なる注文内容を伝える書類ではありません。取引先へのプロフェッショナルな印象を与え、円滑なビジネスコミュニケーションを促進するための重要なツールです。

そのため、記載内容の正確さだけでなく、その「見栄え」にも配慮することが求められます。ここでは、発注書のレイアウトとデザインに関するポイントを詳しく見ていきましょう。

プロフェッショナルな印象を与えるデザインの秘訣

発注書は、自社のブランドイメージを反映し、取引先に対してプロフェッショナルな印象を与える重要なビジネス文書です。

見た目が整った発注書は、作成者の丁寧さや企業の信頼性をアピールすることに繋がります。

プロフェッショナルな印象を与えるためのデザインの秘訣は、以下の要素にあります。

  • 統一感のあるフォーマット: 全てのビジネス文書で一貫した書式やレイアウトを使用することで、企業としての統一感を演出できます。これは、テンプレートを活用する大きなメリットの一つです。
  • ロゴと社名の配置: 発注書のヘッダー部分など、目につきやすい位置に自社のロゴや正式名称を配置しましょう。これにより、一目でどの企業からの発注書であるかを識別でき、信頼性を高めます。
  • 適切な余白の確保: 余白はデザインにおいて非常に重要です。適切な余白を確保することで、文書全体にゆとりが生まれ、情報を読みやすくするだけでなく、洗練された印象を与えます。情報がぎっしり詰まりすぎていると、読みにくいだけでなく、雑な印象を与えかねません。
  • 情報のグルーピング: 関連する情報はまとめて配置し、視覚的に分かりやすく整理しましょう。例えば、発注元情報、発注先情報、発注内容、支払い条件など、それぞれを区切ることで、必要な情報がどこにあるのかを一目で把握できるようになります。
  • 簡潔で明確な表現: 専門用語の多用は避け、誰が読んでも理解しやすい言葉遣いを心がけましょう。また、必要に応じて太字や色を使って強調する部分を限定し、視覚的なノイズを減らすことも大切です。

これらのポイントを意識することで、発注書は単なる書類以上の価値を持つようになります。

視認性を高めるためのフォントとカラー選び

発注書の「読みやすさ」は、正確な情報伝達のために不可欠です。視認性を高めるためには、フォントの選択とカラーの使い方が重要になります。

フォント選びのポイント:

  • 可読性の高いフォント: 日本語文書の場合、一般的には「メイリオ」「游ゴシック」「ヒラギノ角ゴ」などのゴシック系のフォントが推奨されます。これらのフォントは、線の太さが均一で文字が潰れにくいため、特にデジタル環境での表示や印刷時に高い可読性を発揮します。明朝体も美しいですが、細部が潰れやすいこともあるため注意が必要です。
  • 適切な文字サイズ: 本文の文字サイズは、10pt〜12pt程度が一般的です。小さすぎると読みにくく、大きすぎると情報量が入りきらなくなる可能性があります。見出しや合計金額など、特に強調したい部分は少し大きめのサイズや太字(タグ)で表現すると良いでしょう。
  • 太字と斜体の使い方: 重要な項目や強調したいキーワードには、太字(タグ)を使用します。ただし、多用しすぎるとかえって読みづらくなるため、ここぞというポイントに絞って使うのがコツです。斜体は日本語文書ではあまり一般的ではありませんが、英数字の強調には有効な場合があります。

カラー選びのポイント:

  • 基本的なカラーは黒: 本文の色は基本的に黒を使用しましょう。最も読みやすく、印刷時にも問題が起こりにくい色です。
  • アクセントカラーの活用: 必要であれば、会社のブランドカラーをアクセントとして使用することも可能です。例えば、会社のロゴの色を一部の見出しやラインの色に取り入れるなど、控えめに使用することで、プロフェッショナルな印象を保ちつつ、視覚的な魅力を高められます。ただし、複数の色を使いすぎたり、彩度の高すぎる色を使用したりすると、かえって情報が散漫に見え、安っぽい印象を与えてしまう可能性があるので注意が必要です。
  • コントラスト: 文字色と背景色のコントラストを十分に確保し、誰が見ても読みやすいデザインを心がけましょう。

電子発注書におけるレイアウトの考慮点

近年、電子帳簿保存法の改正やDXの推進により、発注書を電子データとして作成・送付・保存する機会が増えています。

電子発注書は、紙の書類とは異なる特性を持つため、レイアウトやデザインにおいても特有の考慮点があります。

  • 多様な表示環境への対応: 電子発注書は、PCのモニター、タブレット、スマートフォンの画面など、様々なデバイスで表示される可能性があります。どのデバイスでもレイアウトが崩れず、情報が正確に表示されるように配慮が必要です。PDF形式での保存は、表示環境に左右されにくく、レイアウトの固定に有効です。
  • 編集不可の確保: 発注書は正式な契約文書の一部となるため、一度発行した内容は容易に改ざんできないようにする必要があります。WordやExcelのまま送付するのではなく、PDF化して送付することを強く推奨します。これにより、相手方による意図しない編集や改ざんを防ぐことができます。
  • 視認性とアクセシビリティ: 画面上で長時間読むことを考慮し、文字サイズや行間を適切に設定し、視認性を確保しましょう。また、色覚多様性を持つ方にも配慮し、色だけに頼らない情報伝達を心がけることも重要です。例えば、強調したい情報は太字と色を併用するなど、複数の手段で表現します。
  • 電子サイン・電子印鑑のスペース: 電子契約システムなどを利用して電子サインや電子印鑑を付与する場合、それらを配置するのに十分なスペースを確保しておく必要があります。印影が他の文字と重なったり、読みにくくなったりしないよう、事前にレイアウトを検討しておきましょう。
  • ファイル名の工夫: 電子データとして保存する際、ファイル名には「発注先名_発注番号_発行日」など、内容が分かりやすく、検索しやすい命名規則を設けることが、後の管理効率向上に繋がります。

知っておくと便利!発注書にまつわる応用テクニック

発注書の作成と管理は、ただ単に書類を作るだけにとどまりません。法制度の変更やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、発注書を取り巻く環境は大きく変化しています。

ここでは、電子帳簿保存法への対応や、DXによる受発注業務の効率化といった、知っておくと便利な応用テクニックについて解説します。

電子帳簿保存法に対応した発注書の管理

2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正は、経理業務だけでなく、発注書を含む取引書類の管理方法に大きな影響を与えています。

この改正により、電子データでやり取りされた取引書類(発注書、請求書、領収書など)は、原則として電子データのまま保存することが義務付けられました。紙に印刷して保存することは認められなくなりましたので、従来の運用を見直す必要があります。

電子保存の義務化に伴い、電子データには以下の「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たすことが求められます。

  • 真実性の確保:

    電子データが改ざんや削除されていないことを証明するための措置です。具体的には、タイムスタンプの付与、訂正・削除履歴が確認できるシステムでの保存、または訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用するなどのいずれかの方法で対応する必要があります。

  • 可視性の確保:

    必要な時にいつでも電子データを表示・印刷できる状態にすること。加えて、特定の項目(日付、金額、取引先など)で検索ができる検索機能の確保が求められます。特に、税務調査などの際に迅速にデータを提供できるよう、システム要件を満たすことが重要です。

これらの要件を満たすためには、電子データ管理システム(文書管理システムやERPシステムなど)の導入を検討したり、既存のシステムの改修が必要となる場合があります。自社の規模や取引量に応じた最適な方法を選択し、社内での事務処理規程を整備することも忘れてはなりません。

電子帳簿保存法への対応は、単なる法令遵守だけでなく、書類管理の効率化やペーパーレス化を推進する良い機会とも捉えられます。

DX推進による受発注業務の効率化

政府は「電子受発注システムの導入率約5割」を目標として掲げるなど、日本全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)が強く推進されており、受発注業務もその大きな対象となっています。

DXによる受発注業務の効率化は、企業の競争力向上に直結する重要な取り組みです。

現状、日本の企業における電子受発注の導入状況は、経済産業省の調査(2021年時点)によると、受注側で48.5%、発注側で40.9%でした。特に製造業では対応済みの割合が54.7%とやや高めですが、依然として「当面対応の予定なし」と回答する企業も一定数存在します。

しかし、DX推進によって得られるメリットは計り知れません。

  • 業務時間の大幅な削減: 紙ベースでの書類作成・郵送・ファイリングにかかる手間と時間が削減されます。
  • 生産性の向上: 定型業務の自動化により、従業員はより戦略的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。
  • 人的ミスの削減: 手入力によるミスや計算ミスなどが自動化により排除され、業務の正確性が向上します。
  • コスト削減: 印刷費、郵送費、保管スペースといった物理的なコストが削減されます。

DXは単なるツールの導入ではなく、企業全体の業務プロセスや組織文化を変革するものです。受発注業務のデジタル化は、その変革の第一歩として非常に有効な手段と言えるでしょう。

業務効率を劇的に改善する電子受発注システム

DX推進の中核となるのが、電子受発注システムの導入です。このシステムを活用することで、発注書だけでなく、見積書や請求書、納品書といった一連の取引書類を電子データで一元的に管理し、業務効率を劇的に改善することが可能です。

電子受発注システムの主なメリット:

  • リアルタイム連携: 発注データがシステム上でリアルタイムに共有されるため、発注から受注、納品、請求までのプロセスがスムーズに連携し、滞留を防ぎます。
  • 自動化: 定型的な発注業務や承認フローを自動化できます。例えば、一定額以下の発注は自動承認とする、特定の商品が在庫切れ寸前になったら自動で発注書を作成するといった設定が可能です。
  • 履歴管理と可視化: 全ての取引履歴がシステム上に保存されるため、過去の発注内容や支払い状況などをいつでも簡単に検索・確認できます。これにより、監査対応や経営分析にも役立ちます。
  • セキュリティ強化: 適切なアクセス権限設定や暗号化により、機密性の高い取引情報の漏洩リスクを低減できます。

一方で、電子受発注システムの導入には課題も存在します。異なるシステム間のデータ連携の難しさや、中小企業にとって複数のシステム導入に伴う初期投資や運用負荷が大きいことなどが挙げられます。

しかし、これらの課題を乗り越え、電子受発注システムを導入することは、長期的に見て大きな投資対効果をもたらします。業務効率化だけでなく、サプライチェーン全体の透明性向上、迅速な意思決定、そして最終的には企業の競争力向上に繋がる重要な戦略的投資と言えるでしょう。システム選定にあたっては、自社の業務フローや取引先の状況に合わせた柔軟な対応が可能なベンダーと連携することが成功の鍵となります。

発注書と請書の違い、割印など、よくある疑問を解消

発注書を扱う上で、関連する書類や手続きについて疑問を持つことは少なくありません。例えば、「発注書と請書はどう違うの?」「収入印紙は必要?」「割印ってどうするの?」といった質問はよく聞かれます。

ここでは、これらのよくある疑問を解消し、発注書に関する理解をさらに深めていきましょう。

発注書と請書の役割の違いと併用

発注書と並んでよく耳にする書類に「請書(うけしょ)」があります。これらはそれぞれ異なる役割を持つ書類であり、両方を適切に活用することで、取引の信頼性と安全性を高めることができます。

  • 発注書(注文書)の役割:

    発注書は、発注側が「この内容で商品やサービスを注文します」という意思表示をするための書類です。つまり、「注文する側からの申し入れ」としての性質を持っています。これにより、取引内容の明確化とトラブル防止に貢献します。

  • 請書(注文請書)の役割:

    請書は、受注側が「この内容で注文をお受けしました」という承諾の意思表示をするための書類です。発注書を受け取った受注側が、その内容を間違いなく引き受けたことを発注側に伝えるために発行します。

つまり、発注書は「申し込み」であり、請書は「承諾」です。

この両者が揃うことで、双方の合意形成が書面で明確に示され、契約の証拠力は格段に高まります。口頭での合意も法的には有効ですが、万が一のトラブルの際に証拠として提示できる書面があることは、自社を守る上で非常に重要です。

特に、高額な取引や長期にわたるプロジェクト、初めての取引先との間では、発注書と請書を併用することを強く推奨します。これにより、取引の透明性が確保され、お互いに安心してビジネスを進めることができるでしょう。

収入印紙と割印の必要性・正しい使い方

発注書や請書を発行する際、収入印紙や割印の必要性について疑問を持つ方も少なくありません。これらは、特定の条件下で必要となる手続きであり、正しく理解しておくことが重要です。

収入印紙について:

  • 原則: 収入印紙は、印紙税法で定められた「課税文書」に貼付する税金です。発注書は原則として課税文書ではありませんが、発注請書のように「契約成立の証拠となる文書」とみなされる場合や、発注書自体が契約書としての性質を強く帯びる場合(例: 工事請負契約書など特定の契約に準じるもの)には、収入印紙が必要になることがあります。特に、金額が1万円を超える場合、契約金額に応じた印紙税がかかります。
  • 不要なケース:

    • 記載金額が1万円未満の場合。
    • 電子データ(メール添付、クラウド上での送付など)でやり取りされる場合。電子データは「文書」ではないため、印紙税の対象外となります。
    • 発注書と請書の両方を発行し、請書に印紙を貼付する場合、発注書側には不要となることが多いです。
  • 注意点: 収入印紙を貼付する際は、印紙と文書の彩紋にまたがるように印鑑(または署名)を押して「消印」をする必要があります。これを怠ると、印紙税法違反となる可能性があります。

割印について:

  • 目的: 割印は、複数枚にわたる書類(発注書と請書、契約書とその付属書類など)の一体性や関連性を示すために押すものです。また、片方の書類だけを改ざんされるのを防ぐ効果もあります。
  • 正しい押し方: 割印は、関連する複数の書類を少しずらして重ね、それぞれの書類にまたがるように印鑑を押します。例えば、発注書と請書に割印を押す場合、2枚を重ねて、両方の書類にかかるように押印します。これにより、どの発注書がどの請書に対応しているかが明確になり、後から書類を差し替えたりする不正を防ぎます。
  • 必要性: 法的に必須ではありませんが、取引の安全性を高めるための慣習として広く行われています。

発注書に関するQ&A:よくある疑問を徹底解説

発注書に関して、多くの人が抱くであろう疑問とその回答をまとめました。これらの情報を活用して、発注書に関する理解を深め、実務に役立ててください。

Q1: 発注書はいつ発行すべきですか?

A1: 原則として、取引先から見積書を受け取り、その内容に合意した上で正式に注文を確定する段階で、速やかに発行するのが一般的です。発注内容が固まったら、できるだけ早く発行することで、受注側も準備に取り掛かることができ、納期遅延などのトラブルを未然に防ぎやすくなります。

Q2: 発注書の控えは必要ですか?

A2: はい、必ず必要です。発行した発注書の控えは、自社の取引記録として保管するだけでなく、万が一トラブルが発生した際の重要な証拠となります。紙で発行した場合はコピーを、電子データで発行した場合は電子データのまま、電子帳簿保存法の要件に従って保存しましょう。

Q3: 発注書の内容を修正したい場合はどうすれば良いですか?

A3: 発行済みの発注書を修正する場合、まずは取引先に連絡し、修正内容について合意を得ることが重要です。合意後、一般的には以下のいずれかの方法で対応します。

  • 元の発注書に訂正線を引き、訂正印を押して修正する(簡単な修正の場合)。
  • 新たな発注書を「再発行」し、元の発注書を無効とする。この際、再発行した旨と元の発注書番号を明記し、混乱が生じないように注意します。
  • 「変更発注書」を発行し、変更点のみを明確に示す。

Q4: 電子発注書は法的に有効ですか?

A4: はい、電子発注書も法的に有効です。日本の法律では、契約は口頭でも成立し、書面での作成が義務付けられているケースは限られています。電子データによる発注書も、双方の合意が確認できれば有効な意思表示とみなされます。さらに、電子帳簿保存法の改正により、電子データでの保存が義務付けられていますので、適切な方法で管理されていれば全く問題ありません。電子署名を付与することで、さらに証拠力を高めることができます。

Q5: 発注書がなくても取引は成立しますか?

A5: 法的には口頭での合意でも取引は成立します。しかし、書面がないと、取引内容、金額、納期、支払い条件など、具体的な合意事項が曖昧になり、後々のトラブルに発展するリスクが非常に高くなります。「言った・言わない」の水掛け論を避けるためにも、発注書などの書面を交わすことを強く推奨します。小規模な取引であっても、書面による記録を残す習慣をつけることが大切です。