1. 稟議書とは?基本の役割と重要性を理解しよう
    1. 稟議書の基本的な定義と目的
    2. 稟議書が企業活動にもたらすメリット
    3. 「起案書」や「立案書」との違い
  2. 【無料】Excel・Wordで使える!おすすめ稟議書テンプレート
    1. テンプレートを使うべき理由とメリット
    2. 主要なテンプレートの種類と入手方法
    3. 無料テンプレートの探し方と選び方のポイント
  3. 稟議書の例文:備品購入・修理・工事などケース別解説
    1. 備品購入稟議書のポイントと例文
    2. 修理・修繕稟議書のポイントと例文
    3. 業務委託・契約締結稟議書のポイントと例文
  4. 稟議書作成で失敗しない!記載すべき項目と理由の書き方
    1. 必須記載項目とそれぞれの重要性
    2. 承認を得やすい「目的・理由」の書き方
    3. 数値データや具体例を用いた説得力の高め方
  5. 稟議書をスムーズに承認してもらうための3つのコツ
    1. 承認者との事前調整を徹底する
    2. 誰にでも分かりやすい構成と表現を心がける
    3. 最新の承認フローを理解し活用する
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 稟議書とは何ですか?
    2. Q: 稟議書テンプレートはどこで無料入手できますか?
    3. Q: 稟議書の「理由」欄には何を書けば良いですか?
    4. Q: 稟議書の例文で「修理」のケースはどのような内容になりますか?
    5. Q: 稟議書をスムーズに承認してもらうにはどうすれば良いですか?

稟議書とは?基本の役割と重要性を理解しよう

企業活動において、備品の購入から大規模なプロジェクトの開始、重要な契約の締結に至るまで、様々な場面で「承認」が必要となります。

この承認プロセスを円滑に進め、組織全体の意思決定を明確にするために不可欠なのが「稟議書」です。

ここでは、稟議書の基本的な役割とその重要性について深掘りしていきましょう。

稟議書の基本的な定義と目的

稟議書とは、企業内でお金を使う行為や契約の締結など、重要な意思決定を行う際に、関係部署や上司から正式な承認を得るための書類です。

「起案者」と呼ばれる提案者が作成し、会社の規定に基づいた権限を持つ上司や関係者が「決裁承認」を行います。これにより、決定事項の責任の所在が明確になり、プロセスが記録として残されます。

稟議書は、特に合議制を重んじる日本企業独自の文化の中で発展してきた書類であり、海外ではあまり一般的ではありません。その目的は、組織全体で意思を共有し、適切な判断を下すための透明性と合意形成を促進することにあります。

稟議書が企業活動にもたらすメリット

稟議書は、単なる承認手続きの書類以上の多くのメリットを企業活動にもたらします。

第一に、意思決定プロセスの透明化です。誰が、いつ、何を承認したのかが記録されるため、後々の監査や振り返りにも役立ちます。第二に、責任の明確化。起案者、承認者それぞれがその内容に責任を持つことで、無責任な判断を防ぎます。

さらに、事前に複数人の目を通すことで、リスクの早期発見やより良い代替案の検討を促し、誤った判断による損失を未然に防ぐ効果も期待できます。これにより、組織全体のガバナンス強化にも繋がり、企業活動の健全性を保つ上で極めて重要な役割を果たしているのです。

「起案書」や「立案書」との違い

会社によっては、稟議書と同様の目的を持つ書類として「起案書」や「立案書」といった名称が使われることがあります。

これらの書類は、多くの場合、「稟議」という一連の承認プロセスを開始するための出発点となる提案書としての役割を担います。つまり、アイデアや計画を具体的に文書化し、その内容を関係者に提示することで、本格的な検討と承認を求めるための第一歩となるわけです。

厳密な定義は企業によって異なりますが、「起案書」や「立案書」で提案された内容が、承認フローに乗って回覧される際に「稟議書」として扱われるケースが一般的です。重要なのは名称ではなく、「社内での合意形成と正式な承認を得る」という共通の目的を理解し、適切に使い分けることです。

【無料】Excel・Wordで使える!おすすめ稟議書テンプレート

稟議書をゼロから作成するのは、時間も手間もかかり、記載漏れのリスクも伴います。そこで活躍するのが、無料のテンプレートです。

ここでは、テンプレートを活用するメリットや、種類と選び方のポイントについて解説します。

テンプレートを使うべき理由とメリット

稟議書テンプレートを活用することには、多くのメリットがあります。

最も大きな利点は、作成時間の圧倒的な短縮です。すでに必要な項目がフォーマット化されているため、内容の記述に集中できます。また、社内でテンプレートを統一することで、承認者側も書類の構成に慣れ、内容をスムーズに理解できるようになります。

これにより、承認プロセスの迅速化が期待できます。さらに、テンプレートには必須事項があらかじめ盛り込まれているため、記載漏れを防ぎ、承認却下のリスクを低減する効果もあります。定型的な業務における稟議書作成の効率を劇的に向上させ、本来の業務に集中できる環境を整える上で、テンプレートは非常に有効なツールと言えるでしょう。

主要なテンプレートの種類と入手方法

稟議書には、用途に応じて様々な種類のテンプレートが存在します。

一般的なものとしては、「購入稟議書」「契約締結稟議書」「システム導入稟議書」「採用稟議書」などが挙げられます。例えば、備品購入であれば製品情報や費用対効果、契約締結であれば契約内容や相手企業の情報など、それぞれ記載すべき具体的な項目が異なります。

これらのテンプレートは、インターネット上で多数無料で公開されています。信頼できるビジネス情報サイトや、ワークフローシステムを提供している企業のウェブサイトなどで入手可能です。また、Microsoft Officeの公式サイトや、ビジネス文書専門のサイトでもWordやExcel形式のテンプレートが見つかります。

以下のようなサイトで探してみることをお勧めします。

  • NotePM – 無料で使える10種類の稟議書テンプレート・例文
  • マネーフォワード クラウド – 稟議書・決済願のテンプレート・ひな形
  • DXPOカレッジ – 稟議書のテンプレートと一般的な書き方&例文集

無料テンプレートの探し方と選び方のポイント

数多く存在する無料テンプレートの中から、自社に最適なものを見つけるためには、いくつかのポイントがあります。

まず、信頼できる情報源からのダウンロードを心がけましょう。企業が公式に提供しているものや、多数のユーザーに利用されている実績のあるサイトを選ぶと安心です。次に、自社の業務フローや慣習に合致しているかを確認します。項目の追加や削除、承認経路の調整など、ある程度のカスタマイズが可能であることも重要です。

また、汎用性の高いテンプレートをベースに、特定の用途(例:備品購入、出張申請など)に合わせて項目をアレンジしていく方法も効果的です。最終的には、実際に試用してみて、作成しやすさ、分かりやすさ、承認者からのフィードバックなどを参考にしながら、最適なテンプレートを選定しましょう。

稟議書の例文:備品購入・修理・工事などケース別解説

稟議書は、その目的によって記載すべき内容や強調するポイントが異なります。ここでは、代表的なケースを例に挙げ、それぞれの稟議書作成のポイントと例文の考え方をご紹介します。

備品購入稟議書のポイントと例文

備品購入稟議書は、オフィス用品やIT機器など、業務に必要な物品を購入する際に作成します。

ポイントは、購入の必要性、製品の選定理由、費用対効果を明確にすることです。単に「必要だから」ではなく、「〇〇の業務効率が〇〇%向上する見込み」「既存の備品が老朽化し、故障リスクが高いため」といった具体的な理由を添えましょう。

例文では、

項目 記載例
件名 ○○部PC一式購入の件
目的 既存PCの老朽化による業務効率低下の改善とセキュリティ強化
購入品 ノートPC(Dell Latitude 5330)5台
金額 合計 750,000円(単価150,000円×5台)
選定理由 既存ソフトウェアとの互換性、セキュリティ機能の高さ、コストパフォーマンス
効果 業務効率15%向上、データ破損リスクの低減

このように、具体的な情報と期待効果を示すことで、承認者は迅速に判断できます。

修理・修繕稟議書のポイントと例文

故障した機器や設備、破損したオフィスの一部などを修理・修繕する際の稟議書です。

重要なのは、現状の問題点、修理の緊急性、放置した場合のリスク、修理内容と費用、業者選定理由を明確にすることです。単に「壊れたから直したい」ではなく、「このままでは業務に支障が出る」「安全性が損なわれる」といった切迫感を伝えることが重要です。

例文では、

項目 記載例
件名 第3会議室プロジェクター修理の件
現状 プロジェクター電源が入らず、会議に支障をきたしている
修理内容 内部電源ユニットの交換、クリーニング
見積金額 80,000円(税別)
業者 株式会社○○修理サービス
必要性 重要な会議での利用頻度が高く、業務停止につながるため緊急対応が必要

緊急性や業務への影響を具体的に記述し、早急な対応の必要性を訴えましょう。

業務委託・契約締結稟議書のポイントと例文

新たな業務を外部に委託する場合や、サービス利用のための契約を結ぶ際に作成します。

この稟議書では、委託・契約内容、相手企業の情報、契約期間、費用、選定理由、期待される効果、潜在リスクとその対策を詳細に記述することが求められます。

例文では、

項目 記載例
件名 Webサイト改修プロジェクト業務委託契約締結の件
目的 企業ブランディング向上と問い合わせ数増加
委託内容 コーポレートサイトのデザイン改修、CMS導入支援
契約期間 2024年7月1日~2024年9月30日
委託費用 2,500,000円(税別)
委託先 株式会社△△デザイン
選定理由 多数の実績、提案内容の具体性、費用対効果
効果 サイト訪問数20%増、問い合わせ数10%増の見込み

費用だけでなく、委託先の信頼性や、契約によって得られる具体的なメリットを強調することが重要です。

稟議書作成で失敗しない!記載すべき項目と理由の書き方

承認を得やすい稟議書を作成するには、単に形式を整えるだけでなく、内容の充実と説得力のある記述が不可欠です。

ここでは、稟議書に記載すべき必須項目と、承認者が納得する理由の書き方について詳しく解説します。

必須記載項目とそれぞれの重要性

稟議書には、どんな内容であっても共通して記載すべき基本的な項目があります。これらを網羅することで、承認者は必要な情報をスムーズに把握し、適切な判断を下すことができます。

主な必須項目とその重要性は以下の通りです。

  • 件名: 何の稟議書か一目でわかるように簡潔に。
  • 起案日・起案部署・起案者: いつ、誰が申請したかを明確に。
  • 承認経路: 誰が承認するべきか、そのフローを示す。
  • 目的: なぜこの提案が必要なのか、その根本的な理由。
  • 提案内容: 何を承認してほしいのか、具体的な行動や計画。
  • 費用(発生する場合): 必要な金額と内訳。
  • 期待される効果: 提案が承認された場合に得られるメリット。
  • 根拠・理由: なぜその提案が最適なのか、客観的な裏付け。
  • リスクと対策(必要に応じて): 潜在的な問題点とそれへの対応策。

これらの項目を漏れなく、かつ簡潔に記載することが、スムーズな承認への第一歩です。

承認を得やすい「目的・理由」の書き方

稟議書において最も重要なのは、承認者が「なぜこの案件を承認すべきなのか」を理解し、納得することです。

そのためには、目的と理由を明確に、かつ説得力を持たせて記述する必要があります。まず、「結論を先に書く」ことを意識しましょう。多忙な承認者は、最初に「何のための申請か」を知りたいと考えています。その上で、具体的な理由や期待される効果を裏付ける情報を続けます。

参考情報にもあるように、目的を「何のための稟議か」がすぐに分かるよう短く簡潔にまとめること、そして「会社の状況や方針との関連性を示す」ことが非常に重要です。例えば、「この投資は、来期の売上目標達成に貢献し、企業のDX推進という経営方針にも合致しています」のように、上位目標と紐づけることで、承認者は提案の重要性を認識しやすくなります。

数値データや具体例を用いた説得力の高め方

稟議書の説得力を高めるには、感覚的な記述ではなく、客観的な事実とデータを用いることが不可欠です。

「たぶん効果があるだろう」ではなく、「市場調査の結果、このサービス導入により顧客満足度が15%向上する見込み」「過去の事例では、同様のシステム導入で残業時間が月間20時間削減された」といった具体的な数値や調査レポートを提示しましょう。

特に、必要経費、期待される効果(ROI)、リスクとその対策などを具体的に示すことで、承認者は提案の実現可能性や費用対効果を客観的に評価できます。また、競合他社の動向や、業界の最新トレンドに触れることで、提案の妥当性や将来性を示すことも有効です。図表やグラフを挿入して視覚的に分かりやすく表現するのも良いでしょう。

稟議書をスムーズに承認してもらうための3つのコツ

稟議書は作成して終わりではありません。スムーズに承認してもらい、次のステップへ進めることが最終目標です。

ここでは、承認プロセスを円滑に進めるための3つの重要なコツをご紹介します。

承認者との事前調整を徹底する

「承認までに時間がかかる」という悩みは、2022年の調査で約8割の人が感じていると報告されています。この問題を解消する上で最も効果的なのが、承認者との事前調整です。

稟議書を突然回覧するのではなく、事前に案件の概要を口頭やメールで伝え、懸念点がないか確認しましょう。特に、予算が絡む案件や、複数の部署に影響を与える案件では、事前に個別相談を行うことで、承認者からの質問や修正依頼を事前に把握し、本提出前に反映させることができます。

これにより、承認プロセス中に発生しがちな手戻りを減らし、スムーズな決裁へと繋がります。承認者の視点に立ち、何が不安要素になるかを予測して、先回りして情報を提供することが大切です。

誰にでも分かりやすい構成と表現を心がける

稟議書は、様々な部署や役職の人が目を通す可能性があります。そのため、誰が読んでも理解しやすい構成と表現を心がけることが重要です。

専門用語は避け、どうしても使用する場合は簡単な解説を添えましょう。文章は長文を避け、箇条書きやナンバリングを活用することで、視覚的に情報を整理しやすくなります。重要なポイントや結論は、太字マーカーで強調するなど、一目で目を引く工夫も有効です。

例えば、期待される効果や費用対効果を簡潔なグラフや表で示すことで、複雑な情報も直感的に理解できるようになります。承認者が短時間で内容を把握できるよう、読み手の立場に立った「伝わる」文書作成を意識しましょう。

最新の承認フローを理解し活用する

稟議書の承認フローは、時代とともに進化しています。参考情報にもあるように、近年では「ワークフローシステム」を導入している企業が最も多く(41.3%)、電子化が進んでいます。

紙ベースの稟議書に比べ、ワークフローシステムは承認プロセスの迅速化、ペーパーレス化、コスト削減、業務効率化など多くのメリットがあります。自身の会社でどのような承認システムが導入されているかを理解し、最大限に活用することがスムーズな承認への近道です。

また、「計画内稟議」の効率化も重要なポイントです。年初に計画された予算内の稟議書は決裁の割合が高いため、この種類の稟議書作成を集中改善することで、全体の労力削減に繋がります。システムの機能やルールを把握し、それに沿った稟議書作成を心がけましょう。