議事録の書き方|どこまで詳しく書く?基本から応用まで徹底解説

会議の議事録は、決定事項や議論の経緯を正確に記録し、関係者間で共有するための重要な文書です。
近年、AI技術の進化により、議事録作成の効率化が飛躍的に進んでいます。
本記事では、議事録の基本的な書き方から、最新のAIツール活用法、そして効率的な作成のためのポイントまでを網羅的に解説します。

議事録の目的と「どこまで書くか」の基準

議事録作成の根本的な目的

議事録を作成する根本的な目的は、会議で話し合われた内容を正確に記録し、関係者間で共有することで、その後の業務を円滑に進めることにあります。

具体的には、「情報共有と認識の統一」「備忘録・記録」「『言った・言わない』問題の防止」「タスク管理」「業務効率化」といった多岐にわたる役割を担います。例えば、会議に参加できなかったメンバーが議事録を読むことで、会議の雰囲気を掴み、決定事項や議論の経緯を正しく理解できるようになります。

また、過去の議論や決定事項を遡って参照できる記録として機能し、将来的なトラブルを未然に防ぐ重要な役割も果たします。これらの目的を達成するためには、単に会議内容を羅列するだけでなく、要点を簡潔にまとめ、誰が読んでも理解できる文書に仕上げることが求められます。

「どこまで詳しく書くか」の判断基準

議事録を「どこまで詳しく書くか」は、会議の目的と読み手のニーズによって判断基準が変わります。たとえば、意思決定を目的とした会議であれば、決定事項、その背景となる議論の主な論点、そして今後のアクションプランは詳細に記録する必要があります。

一方で、情報共有が主な目的の定例会議であれば、議題ごとに重要なポイントや共有事項を簡潔にまとめる程度で十分でしょう。読み手についても、会議参加者だけでなく、後日内容を確認する可能性のある関係部署や上長、あるいは将来のプロジェクトメンバーも想定しておくべきです。

細かすぎる議事録は読まれにくく、簡潔すぎる議事録は情報不足になりがちです。重要なのは、「この議事録を読んで、誰が何を理解し、どう行動できるか」という視点を持つことです。不要な発言は省きつつ、議論の核心や決定に至った経緯は的確に記述するバランスが求められます。

効率的な議事録のためのポイント

効率的かつ分かりやすい議事録を作成するためには、いくつかのポイントがあります。まず、「5W1H」(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して情報を整理することが基本です。

これにより、情報の抜け漏れを防ぎ、読み手が会議の全体像を素早く把握できます。また、文章は簡潔にし、冗長な表現や曖昧な言い回しは避けるべきです。情報を整理し、視覚的に分かりやすくするために箇条書きを効果的に使用することも重要です。

特に、決定事項や担当者、期限が明確に示されているかは、議事録の価値を大きく左右します。近年では、AI議事録作成ツールを活用することで、自動文字起こしや要約機能により、これらの効率化が飛躍的に進んでいます。適切なツールを導入し、手作業での負担を減らすことも、効率的な議事録作成には不可欠な要素と言えるでしょう。

議事録の基本構成要素:網羅すべき情報とは

必須項目と記載のポイント

どのような会議の議事録であっても、最低限網羅すべき基本構成要素が存在します。これらの項目を適切に記載することで、後から見返した際に必要な情報を素早く、正確に把握することができます。

主な必須項目は以下の通りです。

  • 見出し・タイトル: 会議名、プロジェクト名など、会議の内容が一目でわかるように記載します。
  • 会議の日時・場所: いつ、どこで行われた会議であるかを明確にします。
  • 参加者: 参加者の氏名、所属を記載し、誰が会議に参加したかを記録します。
  • アジェンダ・議題: 会議の目的や議題を記載し、議論の範囲を示します。
  • 決定事項・確認事項: 会議で何が決定されたのか、何が確認されたのかを具体的に記載します。これが議事録の最も重要な部分の一つです。
  • 会議後のタスク(担当者、期限含む): 決定事項に基づき、誰が何を、いつまでに実行するのかを明確にします。
  • 備考: 必要に応じて、補足情報や次回開催予定日などを記載します。

これらの項目を簡潔かつ具体的に記載することで、「言った・言わない」の認識齟齬を防ぎ、会議の成果を次の行動へとつなげることができます。

情報整理と視覚的工夫

議事録は、単に情報を羅列するだけでなく、読み手にとって分かりやすい形で整理されていることが重要です。そのために、いくつかの視覚的な工夫を取り入れると良いでしょう。

まず、箇条書きや番号付きリストを積極的に活用し、複雑な議論の経過や複数の決定事項を整理します。これにより、文章の塊が減り、重要な情報が際立ちます。また、特に重要なキーワードや決定事項、担当者名などは、太字(strongタグ)やマーカー(markタグ)を使用して強調することで、読者の注意を引くことができます。

必要に応じて、議論のフェーズや決定事項を表形式でまとめるなど、

タグを用いるのも効果的です。会議中に共有された資料のスクリーンショットや、関連リンクを埋め込むなどの非テキスト情報も活用すると、情報の補強と理解促進に繋がります。

これらの工夫は、読み手が短時間で議事録の内容を把握し、必要な情報にアクセスしやすくするために役立ちます。

「誰が読んでもわかる」ための配慮

議事録は、会議に参加していなかった人や、業界知識が少ない人でも内容を理解できるよう、「誰が読んでもわかる」表現を心がける必要があります。

そのためには、まず専門用語や社内独自の略語を使用する際は、必ず簡単な説明を加えるか、正式名称を併記することが重要です。これにより、誤解を防ぎ、情報の正確性を保つことができます。

また、発言者を明確にすることも不可欠です。「〇〇氏が〜と発言しました」のように、誰がどのような意見や提案をしたのかを具体的に記載することで、責任の所在を明確にし、後日の問い合わせや確認作業をスムーズにします。特に議論が白熱した場合や、異なる意見が出た際には、それぞれの発言を客観的に記述するよう努めましょう。

議事録の表現は、主観を排し、客観的な事実に基づいて記述することを基本とします。曖昧な表現や憶測を避け、明確な言葉で情報を伝える意識が、質の高い議事録作成には不可欠です。

議事録の文体と表現:ですます調、文語体、口語体の使い分け

一般的な文体と選び方

議事録の文体は、その内容の信頼性や読みやすさに大きく影響します。一般的には、「ですます調」(口語体)「である調」(文語体)の2種類が用いられますが、どちらを選ぶかは、その議事録が誰に対して、どのような目的で共有されるかによって決めるのが適切です。

ですます調は、丁寧で読みやすく、社内向けのカジュアルな会議や情報共有を目的とした議事録に適しています。親しみやすさがあり、多くの人が抵抗なく読むことができます。一方、である調は、簡潔で客観的な印象を与え、公式文書や対外的な会議の議事録、法的拘束力を持つ可能性がある決定事項の記録などに用いられることが多いです。

どちらの文体を選ぶにしても、議事録全体で一貫した文体を用いることが非常に重要です。途中で文体が混在すると、読み手に混乱を与え、プロフェッショナルな印象を損なう可能性があります。

口語体と文語体の特徴と活用場面

口語体(ですます調)は、日常会話に近い表現で、話し言葉をそのまま書き起こしたような自然な流れが特徴です。例えば「〜しました」「〜と考えています」といった表現がこれにあたります。この文体は、会議の雰囲気を伝えやすく、読み手に親近感を与えやすいため、参加者間の情報共有をスムーズにしたい場合に有効です。

特に、AI議事録ツールが自動生成する文字起こしは口語体に近いことが多く、それを編集して利用する際は、この文体で統一すると良いでしょう。

対照的に、文語体(である調)は、「〜であった」「〜と決定した」のように、簡潔で断定的な表現が特徴です。客観性や権威性を重んじるため、公的な記録や重要な決定事項を記す際に適しています。例えば、取締役会の議事録や、外部パートナーとの契約に関わる会議の議事録などでは、である調が選ばれることが多いです。

文語体は、余計な装飾を省き、事実を端的に伝えることに重点を置いています。

正確性を高める表現のコツ

議事録は、単に事実を記録するだけでなく、その内容を正確に伝えるための表現力が求められます。正確性を高めるための重要なコツは、曖昧な表現を避け、具体的な言葉遣いを心がけることです。

例えば、「いくつか課題がある」ではなく、「〇〇と△△の2点が課題である」と具体的に記述します。また、主語と述語を明確にすることも不可欠です。「議論された」ではなく、「〇〇氏から△△について議論が提起された」のように、誰が何を言ったのか、何がどのように決定されたのかを具体的に示します。

意見と事実を区別することも重要です。「〇〇が良いと考える」という意見と、「〇〇が良いというデータがある」という事実では、その持つ意味が大きく異なります。議事録では、これらを混同しないように明確に区別して記述することで、後日の誤解を防ぎます。

さらに、修飾語を最小限に抑え、客観的な表現を徹底することで、感情や主観が入り込む余地をなくし、より信頼性の高い議事録に仕上げることができます。

議事録で「大事なこと」を正確に伝えるためのコツ

決定事項とタスクの明確化

議事録において最も「大事なこと」は、会議で何が決定され、次に何をすべきかという決定事項とタスク(アクションアイテム)です。これらが不明確では、会議の成果が行動に繋がりません。

決定事項は、誰が見ても「Yes/No」が明確に判断できる形で記述することが重要です。「〜する方向で検討」のような曖昧な表現ではなく、「〇〇の実施を決定した」と断言的に記します。また、タスクについては、「誰が」「何を」「いつまでに」実行するのかを具体的に記載する必要があります。

参考情報にもあるように、「決定事項と担当者を明確にする」ことは議事録作成の基本的な書き方のひとつです。例えば、

タスク 担当者 期限 備考
新機能Aの市場調査 田中 5月31日 競合他社Bの動向も分析
製品Cのプロトタイプ作成 鈴木 6月15日 デザインチームと連携

のように表形式でまとめることで、一目でタスク状況が把握でき、責任の所在と進捗管理が容易になります。

議論の要点の捉え方

会議中に行われるすべての発言を逐一記録することは現実的でなく、また効率的でもありません。議事録作成では、議論の要点を的確に捉え、記録する能力が求められます。

参考情報にも「要点を中心にメモを取る」とありますが、これは会議の目的とアジェンダを常に意識し、「この会議のゴールは何か」「どの発言がそのゴールに最も貢献するか」という視点を持つことで可能になります。重要なのは、決定に至った背景や論点、そして対立意見とその解決策です。

例えば、意見が複数出た場合は、それぞれの意見を簡潔にまとめ、最終的にどの意見が採用されたのか、あるいはどのような合意形成がなされたのかを明確に記述します。発言の細部ではなく、その発言が会議全体にどのような影響を与え、どのような結論に繋がったのかという「意味」を捉えることが重要です。AI議事録ツールの自動要約機能も、この要点把握の強力なサポートとなります。

迅速な共有とフィードバックの促進

議事録の価値は、その内容の正確性だけでなく、どれだけ迅速に共有されるかにも大きく左右されます。会議の内容がまだ鮮明なうちに共有することで、参加者の記憶も新しく、認識の齟齬を防ぎやすくなります。

参考情報でも「会議終了後24時間以内に確認・共有する」ことが推奨されていますが、これは内容の確認・修正をスムーズに行い、迅速に情報を行動へと繋げるための重要なポイントです。

共有後には、関係者からのフィードバックを促すことも大切です。これにより、記載漏れや誤りの修正、さらなる認識の統一を図ることができます。例えば、共有する際に「内容にご意見や修正点があれば〇日までにご連絡ください」といった一文を添えることで、フィードバックの機会を積極的に設けることができます。

迅速な共有とフィードバックのプロセスは、議事録の正確性と実効性を高め、会議の生産性を最大化するための重要なステップとなります。

議事録作成を効率化するテクニックと注意点

AI議事録作成ツールの活用

近年、AI技術の進化により、議事録作成の効率化は飛躍的に進んでいます。AI議事録作成ツールは、音声認識技術を用いて会議の音声を自動で文字起こしし、議事録作成の負担を大幅に軽減します。

これらのツールは、単なる文字起こしだけでなく、自動要約機能で会議の重要なポイントを抽出し、タスク抽出機能で決定事項やToDoを自動で洗い出すことができます。例えば、「Rimo Voice」は日本語に特化した高精度な文字起こし、「Notta」は多言語対応とAI要約、「スマート書記」は90%以上の高精度な文字起こしと音声・テキスト連携が特徴です。

参考情報にもあるように、手作業で2〜3時間かかっていた作業が、ツール活用により30分以下に短縮されることも珍しくありません。これにより、担当者は本来の業務に集中でき、会議全体の生産性向上にも繋がります。

事前準備と作成中の工夫

AIツールの活用だけでなく、効率的な議事録作成には、事前の準備と作成中の工夫も欠かせません。

【事前準備】

  • 会議の目的とアジェンダを把握する: 議論の方向性を理解し、要点を掴みやすくします。
  • 参加者と役割を確認する: 誰がどのような立場で発言するのかを事前に把握します。
  • 過去の議事録を確認する: 議論の背景や継続事項を理解し、深い洞察を得ます。
  • IMEの単語登録: 専門用語や固有名詞をPCのIMEに登録し、入力効率を向上させます。

【作成中のコツ】

  • 要点を中心にメモを取る: 全てを記録しようとせず、決定事項、ToDo、重要な発言に絞って記録します。
  • 簡潔な言葉で記録する: 後から見返した際に意味が分かるよう、専門用語や略語を適切に用います。
  • テンプレートを活用する: WordやGoogleドキュメントのテンプレートを利用することで、フォーマット作成の手間を省き、効率的に内容を記述できます。

これらのアナログな工夫とAIツールの組み合わせが、議事録作成の質とスピードを最大限に高めます。

ツール選定と導入時の注意点

AI議事録作成ツールを導入する際は、自社のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。選定時のポイントは以下の通りです。

  • 音声認識・AI学習の精度: 特に専門用語やノイズが多い環境での認識精度を確認しましょう。これは修正の手間に直結します。
  • 編集機能の充実度: 自動生成されたテキストをどれだけ容易に修正・加筆できるかを確認します。
  • 他のツールとの連携: Zoom、Microsoft Teams、Google MeetなどのWeb会議ツールや、グループウェア、チャットツールとの連携がスムーズか確認します。
  • 費用対効果: 自社の利用頻度や必要な機能に見合ったプランを選択します。無料トライアルを活用し、実際の使い勝手を試すことが強く推奨されます。
  • 社内ルールとセキュリティ: クラウド型かスタンドアローン型か、データ管理に関するセキュリティ要件やプライバシーポリシーを事前に確認し、社内ルールに適合しているかを検討することも忘れてはなりません。

これらの点を踏まえて慎重にツールを選び、適切に導入することで、議事録作成のプロセスを大幅に改善し、組織全体の生産性向上に貢献できるでしょう。