概要: 年末調整は、会社員にとって所得税の過不足を精算する大切な手続きです。フリーランスや個人事業主の場合は確定申告が必要になります。この記事では、年末調整の基本から、賢く控除を活用する方法、よくある疑問までを解説します。
年末調整、損していませんか?会社員・フリーランス必見の控除・申告
毎年やってくる年末調整や確定申告。会社員の方は会社任せにしがちですが、フリーランスや個人事業主の方にとっては、賢く節税できるかどうかの重要なイベントです。
「自分には関係ない」「難しそう」と思っていても、知っているか知らないかで手取り額に大きな差が生まれる可能性があります。
特に2024年以降の税制変更点や、活用できる最新の制度を理解しておくことは、賢く家計を管理するために不可欠です。この記事では、会社員もフリーランスも損をしないための年末調整・確定申告のポイントを、最新情報も交えて詳しく解説します。
ご自身の状況に合わせて、最大限の節税効果を得るためのヒントを見つけていきましょう。
年末調整の基本:会社員なら会社が代行!
会社員にとって年末調整は、年に一度の税金の精算作業です。会社が手続きを代行してくれるため、確定申告に比べて手間は少ないですが、制度を理解し、必要な情報を正確に提出することが非常に重要です。
ここでは、年末調整の基本的な仕組みから、会社員が特に注意すべき点について解説します。
年末調整の仕組みと対象者
年末調整とは、会社が毎月の給与から源泉徴収している所得税の合計額と、本来年間で支払うべき所得税額との差額を調整する手続きです。
会社員の場合、通常1年間(1月1日~12月31日)の収入が確定する12月頃に実施されます。これにより、税金を多く払いすぎていれば還付され、不足していれば追加で徴収されます。
主な対象者は、会社から給与を受け取っている会社員やパート・アルバイトの方です。ただし、年収が2,000万円を超える人や、複数の会社から給与を受け取っている人で一定の条件に該当する人、副業による所得が20万円を超える人などは、年末調整の対象外となり、自身で確定申告をする必要があります。
会社員は、給与所得者として「給与所得控除」が適用されますが、フリーランスのように必要経費を個別に計上することはできません。しかし、後述する各種所得控除を活用することで、課税所得を減らし、税負担を軽減することが可能です。
年末調整は会社が代行してくれるため、書類の提出を忘れずに行うことが最も大切だと言えるでしょう。
会社員が年末調整で確認すべきこと
会社員が年末調整で最も重要なのは、必要な書類を正確に、そして期日までに提出することです。主な提出書類には、扶養控除等申告書、保険料控除申告書、配偶者控除等申告書などがあります。
これらの書類には、家族構成や生命保険、地震保険の加入状況、住宅ローンの残高などが反映されます。特に、生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金払込証明書など、控除の適用を受けるために添付が必要な書類は、紛失しないように注意しましょう。
これらの証明書は保険会社や金融機関から送られてくるため、届いたらすぐに内容を確認し、年末調整の時期まで大切に保管しておくことが肝心です。
また、結婚や出産、離婚、扶養家族の追加・削除、引っ越しによる住所変更など、年に一度は自身の個人情報や家族構成に変動がないかを確認し、必要に応じて会社に申告する必要があります。これらの情報が正しく反映されていないと、適用される控除額が変わってしまい、税金を払い過ぎてしまう可能性があります。
不明な点があれば、会社の担当部署や税務署に確認し、正確な情報で年末調整を完了させましょう。
年末調整で申告する主な控除
年末調整で申告できる主な所得控除は、以下の通りです。これらの控除を正しく申告することで、課税所得が減少し、所得税や住民税の負担を軽減することができます。
- 社会保険料控除:健康保険、厚生年金、雇用保険など、自身で支払った社会保険料の全額が対象です。
- 生命保険料控除:生命保険、介護医療保険、個人年金保険の保険料が対象となります。新契約と旧契約で控除額の計算方法が異なります。
- 地震保険料控除:地震保険の保険料が対象です。
- 配偶者控除・扶養控除:配偶者や扶養親族の有無、所得に応じて適用されます。特に扶養親族がいる場合は、扶養控除申告書の提出が必須です。
- 小規模企業共済等掛金控除:iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金全額がこの控除の対象となります。参考情報にもあるように、iDeCoの掛金は所得税と住民税を軽減する大きなメリットがあります。
これらの控除以外に、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)、ふるさと納税(ワンストップ特例制度を利用しない場合)などは、年末調整では申告できず、別途確定申告を行う必要があります。これらの制度を利用している場合は、年末調整とは別に確定申告の準備を進めるようにしましょう。
控除証明書は、原則として原本の提出が求められます。電子交付された証明書を利用する場合は、電子証明書として提出するか、印刷して提出するなど、会社の指示に従ってください。
フリーランス・個人事業主の年末調整(確定申告)のポイント
フリーランスや個人事業主の方には「年末調整」という制度は存在しません。その代わりに、1年間の所得と経費を計算し、自分で税額を確定させる「確定申告」を行う必要があります。
確定申告は会社員よりも手間がかかりますが、その分、様々な節税策を活用できる大きなメリットがあります。ここでは、フリーランスが知っておくべき確定申告の基本と、活用すべき節税制度について解説します。
確定申告の基礎知識と対象者
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得金額とそれに対する所得税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署に申告・納税する手続きです。
フリーランスや個人事業主は、この確定申告を通じて自身の納税額を確定させます。対象となるのは、主に事業所得を得ている個人事業主の他、副業で得た所得が年間20万円を超える会社員、不動産所得や譲渡所得がある人など多岐にわたります。
会社員と異なり、フリーランスは「給与所得控除」が適用されない代わりに、事業運営にかかった費用を「必要経費」として計上することができます。この必要経費をいかに正確に、そして漏れなく計上するかが、節税の重要なポイントとなります。
交通費、通信費、消耗品費、家賃(事業使用分)、広告宣伝費、打ち合わせの飲食費など、事業に関わる支出はすべて経費として認められる可能性があります。日頃から領収書やレシートを整理し、何が経費になるのかを理解しておくことが大切です。
確定申告は複雑に感じられるかもしれませんが、正しく申告することで、税負担を適正に抑え、手元に残る資金を増やすことができます。
フリーランスが活用すべき節税制度
フリーランスは、会社員以上に多様な節税制度を活用できます。特に重要なのは以下の制度です。
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税を軽減できます。また、運用益も非課税で再投資されるため、将来の資産形成にも非常に有効です。
- ふるさと納税:応援したい自治体に寄付をすることで、自己負担額2,000円を除いた寄付金額が所得税や住民税から控除されます。返礼品を受け取れるため、実質的なメリットも大きい制度です。フリーランスの場合、確定申告時に寄付金控除として申告します。
- 青色申告特別控除:後述しますが、青色申告を選択し、所定の要件を満たすことで、最大65万円の所得控除が受けられます。これは、課税所得を大幅に減らすことができ、フリーランスにとって非常に強力な節税策です。
- 社会保険料控除:フリーランスは国民健康保険料や国民年金保険料を全額自己負担しますが、これらの社会保険料は全額所得控除の対象となります。忘れずに申告しましょう。
- 小規模企業共済:個人事業主や法人役員が退職金代わりに積み立てる制度で、掛金全額が所得控除の対象となります。
これらの制度を組み合わせることで、大きな節税効果が期待できます。特にiDeCoやふるさと納税は、計画的に利用することで、無理なく節税と資産形成を両立できるため、積極的に検討してみることをおすすめします。
各制度の控除上限額や利用条件は、年収や家族構成によって異なるため、ご自身の状況に合わせて確認し、効率的に活用することが重要です。
青色申告と白色申告の違い
フリーランスや個人事業主が確定申告を行う際、大きく分けて「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があります。どちらを選ぶかで、受けられる控除やメリットが大きく異なります。
青色申告は、事前の申請(青色申告承認申請書)が必要で、日々の取引を複式簿記という方法で記帳する手間がかかります。しかし、その手間をかけることで、以下のような大きな節税メリットを享受できます。
- 青色申告特別控除:最大65万円の所得控除が受けられます。この控除額は、課税所得から直接差し引かれるため、節税効果は非常に高いです。
- 赤字の繰り越し:事業で赤字が出た場合、その赤字を翌年以降3年間繰り越して、将来の黒字と相殺することができます。
- 青色事業専従者給与:生計を共にする家族に支払った給与を、一定の条件のもとで経費にできます。
- 減価償却の特例:少額減価償却資産の特例など、設備投資に関する優遇措置があります。
一方、白色申告は、事前の申請が不要で、簡易な帳簿付けで済むため、手間がかからないのが特徴です。しかし、青色申告のような特別控除や税制優遇は受けられません。帳簿付けの義務はありますが、その内容は青色申告に比べると非常にシンプルです。
「青色申告特別控除(最大65万円)を活用すると、節税につながります」という参考情報にある通り、節税効果を最大化したいのであれば、多少手間がかかっても青色申告を選ぶべきでしょう。最近では、会計ソフトの進化により、複式簿記の知識がなくても比較的容易に青色申告ができるようになっています。
事業の規模や収益状況、記帳の手間などを考慮し、ご自身にとって最適な申告方法を選択しましょう。
知っておきたい!意外と多い控除の種類と活用法
年末調整や確定申告では、さまざまな控除を活用して税負担を軽減することができます。控除には、課税所得を減らす「所得控除」と、税額そのものを減らす「税額控除」があり、それぞれに異なる効果があります。
ここでは、代表的な控除の種類と、特に2024年以降に注目すべき新しい制度について詳しく解説し、賢い活用法を探っていきましょう。
所得控除を徹底活用する
所得控除は、所得税や住民税の計算の基礎となる「課税所得」を減らす効果があります。課税所得が少なくなればなるほど、適用される税率が下がり、結果として納める税金も少なくなります。
代表的な所得控除は以下の通りです。
- 基礎控除:すべての人に適用される控除で、2025年度からは最大95万円に引き上げられます(改正前は48万円)。所得に応じて控除額が変動する場合があります。
- 社会保険料控除:国民健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料など、支払った社会保険料の全額が対象です。
- 生命保険料控除:生命保険、介護医療保険、個人年金保険の保険料が対象です。支払った保険料に応じて、最大12万円の控除が受けられます。
- 地震保険料控除:地震保険の保険料が対象で、最大5万円の控除が受けられます。
- 医療費控除:年間で一定額(原則10万円または所得の5%)を超えて支払った医療費が対象です。年末調整では申告できず、確定申告が必要です。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の小規模企業共済等掛金控除:「iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として、全額所得控除の対象となります」と参考情報にある通り、非常に強力な節税効果があります。掛金が全額控除されるため、所得税と住民税を大きく軽減できます。
- 扶養控除・配偶者控除:扶養している家族がいる場合に適用される控除です。2025年度からは扶養親族等の所得要件が緩和され、19歳以上23歳未満の特定親族特別控除も創設されます。
これらの控除は、自動的に適用されるわけではなく、年末調整や確定申告で自身が申告する必要があります。証明書が必要なものも多いため、日頃から書類を整理し、漏れなく申告できるよう準備しましょう。
税額控除で直接税金を減らす
税額控除は、所得控除とは異なり、課税所得から計算された所得税額から直接差し引かれるため、節税効果が非常に高いのが特徴です。
主な税額控除には以下のものがあります。
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除):住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築・増改築した場合に、年末時点のローン残高の一定割合が所得税額から控除される制度です。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で申告できます。
- 寄付金控除:国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄付をした場合に適用される控除です。ふるさと納税もこの寄付金控除の一種で、自己負担額2,000円を超えた部分が所得税・住民税から控除されます。
- 配当控除:上場株式の配当金などを受け取った場合に適用される控除です。
ふるさと納税は、所得控除と税額控除の両方の性質を持つ制度です。具体的には、所得税からは「所得控除」として、住民税からは「税額控除」として控除されます。自己負担額2,000円で全国の特産品を受け取りながら節税できるため、非常に人気が高い制度です。
ただし、ふるさと納税の控除上限額は年収や家族構成、お住まいの地域によって異なります。「控除上限額は、年収、家族構成、お住まいの地域などによって異なります。自己負担額2,000円で寄付できる上限額を把握し、効率的に活用することが重要です」と参考情報にもあるように、まずは自身の控除上限額をしっかり確認しましょう。
確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」も便利ですが、年間5団体までの寄付に限定されるため、多くの自治体に寄付をする場合は確定申告が必要です。
2024年以降の新しい制度(NISA拡充)
2024年からは、「新NISA」としてNISA制度が大幅に拡充されました。これは直接的な年末調整・確定申告の控除制度ではありませんが、資産形成を通じて手取りを増やす上で非常に重要な制度です。
新NISAの主な変更点は以下の通りです。
- 制度の恒久化・非課税保有期間の無期限化:いつでもNISA口座を開設でき、非課税で保有できる期間が無期限になりました。これにより、より長期的な視点での資産運用が可能になります。
- 投資枠の拡大:
- つみたて投資枠:年間120万円まで投資可能(旧つみたてNISAは年間40万円)。
- 成長投資枠:年間240万円まで投資可能(旧一般NISAは年間120万円)。
- 生涯投資枠:全体で1,800万円まで非課税で投資可能です(うち成長投資枠は1,200万円まで)。この生涯投資枠は、売却した金融商品の枠が翌年以降に再利用できるため、柔軟な運用が可能になりました。
- つみたて投資枠と成長投資枠の併用:旧制度ではどちらか一方しか選択できませんでしたが、新NISAでは両方を併用できるようになり、投資戦略の幅が広がりました。
新NISAは、投資で得た利益(運用益や配当金)が非課税となる制度です。通常の投資では利益に対して約20%の税金がかかるため、非課税は非常に大きなメリットと言えます。
「旧NISAからの移行」については、2023年末までに旧NISAで購入した商品は、非課税期間終了までそのまま保有できますが、新NISA枠へのロールオーバー(移管)はできません。そのため、旧NISAの非課税期間終了後の方針も考慮しておく必要があります。
新NISAを賢く活用することで、税金で減らされることなく効率的に資産を増やし、将来に向けた手取りを最大化できるでしょう。
年末調整でよくある疑問と注意点
年末調整は会社員にとって毎年恒例の行事ですが、それでも様々な疑問や注意点が生じることがあります。特に、提出を忘れてしまった場合や、特定の控除を適用する際のルールなど、知っておくべきポイントは多いです。
ここでは、年末調整に関するよくある疑問とその対処法、そして2025年度からの税制変更点について解説します。
年末調整を忘れたらどうなる?
年末調整の書類提出を忘れてしまった場合でも、ご安心ください。基本的には、自身で確定申告を行うことで対処できます。
会社が年末調整を完了した後でも、翌年の1月1日から5年間は、過去の所得について確定申告(還付申告)を行うことが可能です。多くの場合、年末調整を忘れたということは、適用されるべき控除が適用されていない状態であるため、税金を払いすぎている可能性が高いです。
例えば、生命保険料控除やiDeCoの掛金控除、医療費控除などを年末調整で申告し忘れた場合、確定申告を行うことで過払い分の税金が還付されます。還付申告は、通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日)に限らず、対象となる年の翌年1月1日から5年間いつでも提出できます。
ただし、会社に迷惑をかけないためにも、期日内の提出を心がけることが最も重要です。もし提出し忘れたことに気づいたら、まずは会社の経理担当者に相談してみましょう。まだ間に合う場合は、会社が対応してくれることもあります。
いずれにせよ、忘れずに適切な手続きを踏むことで、本来受けられるはずの還付金を受け取ることができますので、諦めずに対応しましょう。
医療費控除や住宅ローン控除の注意点
年末調整では申告できない、または初年度のみ確定申告が必要な控除があるため注意が必要です。
- 医療費控除:
- 年間10万円(所得200万円未満の場合は所得の5%)を超える医療費(本人または生計を同一にする家族の分)が対象です。
- 年末調整では申告できません。必ず自身で確定申告を行う必要があります。
- 医療費控除の対象となるのは、病院での診療費、薬代、入院費、通院のための交通費(公共交通機関利用時)、歯科治療費などが含まれます。市販薬の購入費も対象となる「セルフメディケーション税制」もあります。
- 領収書や明細の保管が必須で、確定申告時には医療費控除の明細書を作成して提出します。
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除):
- 住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築・増改築した場合に適用されます。
- 初年度は必ず確定申告が必要です。この際、住民票や売買契約書、源泉徴収票、住宅ローンの残高証明書など、多くの書類が必要になります。
- 2年目以降は、税務署から送られてくる「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と金融機関から送られてくる「住宅ローンの残高証明書」を会社に提出することで、年末調整で控除を受けられます。
これらの控除は節税効果が大きいため、該当する場合は忘れずに確定申告または年末調整で申告するようにしましょう。特に医療費控除は、家族全体の医療費を合算できるため、高額な医療費がかかった年などは積極的に活用すべきです。
いずれの控除も、必要な書類の準備と正確な情報記入が求められますので、早めに準備を始めることをおすすめします。
2025年度以降の税制変更に備える
2025年度(令和7年度)の年末調整では、所得税の基礎控除や給与所得控除などにいくつかの変更が予定されており、これからの年末調整に大きな影響を与える可能性があります。
主な変更点は以下の通りです。
- 基礎控除・給与所得控除の見直し:
- 基礎控除額が最大95万円(改正前は48万円)に引き上げられます。これにより、所得税の課税対象となる所得が減少する可能性があります。
- 給与所得控除の最低保障額が65万円(改正前は55万円)に引き上げられます。ただし、これは給与収入190万円以下の給与所得者に限られます。
- これらの変更により、いわゆる「103万円の壁」が実質的に「160万円の壁」へと引き上げられます。これは、扶養内で働くパート・アルバイトの方や配偶者控除・扶養控除の適用範囲に影響を与えます。
- 扶養控除に関する変更:
- 扶養親族等の所得要件が、年収48万円以下から58万円以下に緩和されます。
- 19歳以上23歳未満の親族を扶養する場合、年収123万円を超えても188万円まで控除対象となる「特定親族特別控除」が創設されます。これにより、学費や生活費がかかる年代の子供を持つ家庭にとって、税負担が軽減される可能性があります。
これらの変更は、2025年度の年末調整から適用されるため、来年以降の自身の税負担や、扶養家族の働き方にも影響が出てくるでしょう。
特に、「103万円の壁」の変更は、扶養内で働くことを意識している方々にとっては、働き方を再検討する良い機会となるかもしれません。企業側も、年末調整に用いる申告書の記載内容が変わるため、従業員への周知と新しい様式への対応が必要になります。
最新の情報を常にチェックし、ご自身の状況に合わせた最適な対策を講じることが大切です。
年末調整を賢く活用して、賢く節税しよう
年末調整や確定申告は、単なる事務手続きではありません。ご自身の所得や支出を見つめ直し、利用できる控除や制度を最大限に活用することで、賢く節税し、手元に残るお金を増やすための重要な機会です。
最後に、年末調整を賢く活用するための具体的なアクションと、今後の税制改正への心構えについてまとめます。
計画的な節税対策のすすめ
節税は、年末調整や確定申告の時期になって慌てて行うものではなく、年間を通して計画的に取り組むことで、最大の効果を発揮します。まずは、ご自身の家計や資産状況を把握し、どのような控除や制度が利用できるのかを洗い出すことから始めましょう。
- 家計簿や領収書の整理を習慣に:日々の支出を記録し、事業に関するものは特に領収書を保管することで、確定申告時の経費計上漏れを防げます。
- iDeCoやNISAの活用を検討:これらは長期的な資産形成と節税を両立できる強力なツールです。特にiDeCoは掛金が全額所得控除となるため、早めに始めることで複利効果と節税効果を最大限に享受できます。
- ふるさと納税の上限額を把握し、計画的に寄付を:年収や家族構成で変わる控除上限額を把握し、年間を通して計画的に寄付を行うことで、無理なく返礼品を受け取りながら節税できます。年末に慌てて駆け込み寄付をするよりも、計画的に分散して寄付する方が、お得な返礼品を見つけやすいでしょう。
- 生命保険や医療保険の見直し:保険料控除の対象となる保険に加入しているか、不必要な保険に加入していないかなど、定期的に見直すことで、家計の最適化と控除の活用に繋がります。
これらの対策を年間スケジュールに組み込むことで、年末調整・確定申告がスムーズに進み、想定以上の還付金を受け取れる可能性も高まります。
専門家への相談も視野に
ご自身の所得状況が複雑な場合や、複数の事業を営んでいるフリーランスの方、あるいは多額の資産を運用している方などは、税理士などの専門家への相談を検討することも非常に有効です。
税理士は、最新の税制改正情報を熟知しており、ご自身の状況に合わせた最適な節税策を提案してくれます。自分では見落としがちな控除や、申告方法の最適化など、専門家ならではの視点でアドバイスを受けることができるでしょう。
特にフリーランスの場合、確定申告の準備や書類作成は大きな負担となることがあります。専門家に依頼することで、申告漏れや誤りを防ぎ、時間と手間を節約できるだけでなく、より多くの節税効果を得られる可能性もあります。
相談料はかかりますが、その費用以上の節税効果や安心感を得られることも少なくありません。初回の無料相談を受け付けている税理士事務所も多いため、まずは気軽に相談してみて、自身の状況に合わせたサポートを検討してみてください。
専門家の知見を借りることで、より賢く、そして安心して税金と向き合うことができるでしょう。
今後の税制改正にアンテナを張る
税制は社会情勢や経済状況の変化に合わせて、毎年見直しが行われます。特に近年は、NISA制度の拡充やiDeCoの変更、そして2025年度からの年末調整の変更点など、個人の税金に大きな影響を与える改正が相次いでいます。
例えば、「ふるさと納税の上限額に影響が出る可能性があります」や「iDeCoの拠出限度額および加入可能年齢の引上げが予定されています」といった参考情報にもあるように、今後も様々な制度が変更される可能性があります。
これらの最新情報を把握しておくことは、賢く節税し、資産を形成していく上で不可欠です。国税庁や自治体のウェブサイト、税務署からの情報、信頼できる税務関連のニュースや専門家のブログなどを定期的にチェックする習慣をつけましょう。
また、ご自身のライフステージの変化(結婚、出産、住宅購入、退職など)によって、適用される控除や制度も大きく変わります。それに合わせて、自身の税金対策も柔軟に見直していく必要があります。
常にアンテナを張り、変化に対応することで、税金で損をすることなく、ご自身の資産を最大限に守り、増やしていくことができるでしょう。年末調整を賢く活用し、賢い節税で豊かな生活を目指しましょう。
まとめ
よくある質問
Q: 年末調整とは何ですか?
A: 年末調整とは、会社員が1年間の給与から源泉徴収された所得税額と、本来納めるべき年間の所得税額との差額を精算する手続きです。原則として、12月分の給与から過不足分が精算されます。
Q: フリーランスや個人事業主は年末調整できますか?
A: フリーランスや個人事業主は、会社員のように会社が年末調整を行ってくれないため、自身で確定申告を行う必要があります。確定申告で、一年間の収入から経費などを差し引き、所得税額を計算します。
Q: 年末調整で利用できる控除にはどのようなものがありますか?
A: 扶養控除、配偶者控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除(確定申告時)、住宅ローン控除など、様々な控除があります。ご自身の状況に合わせて確認しましょう。
Q: 年末調整で申告し忘れた場合はどうなりますか?
A: 年末調整で申告し忘れた場合でも、確定申告期間中に確定申告をすることで、還付を受けられる場合があります。ただし、申告期間を過ぎると還付を受けられなくなる可能性もありますので注意が必要です。
Q: 年末調整でよく見かける「RSU」や「SBI VCトレード」とは何ですか?
A: 「RSU (Restricted Stock Unit)」は、制限付き株式ユニットという報酬の一種で、特定の条件を満たすことで付与される株式です。SBI VCトレードは、暗号資産(仮想通貨)の取引所です。これらの収入がある場合、年末調整や確定申告で適切に申告する必要があります。
