年末調整は、会社員にとって1年間の所得税の過不足を精算する大切な手続きです。しかし、「マイナンバーってどう書くんだっけ?」「交通費って給与に含まれるの?」「そもそも給与収入と所得の違いって?」など、毎年多くの疑問が浮かぶ方も少なくないでしょう。

そこで今回は、年末調整で特に質問が多い「個人番号(マイナンバー)」「給与収入」「交通費」の基本を、最新の税制情報(主に2024年~2025年度の税制改正等)を交えてわかりやすく解説します。

この記事を読めば、あなたの年末調整に関するモヤモヤがきっと解消されるはずです!

  1. 年末調整で必須!個人番号(マイナンバー)とは?
    1. なぜマイナンバーが必要なの?
    2. マイナンバーの確認方法と紛失時の対応
    3. 扶養親族のマイナンバーも必要?
  2. 給与収入とは?年末調整で知っておきたい収入金額の基礎
    1. 「給与収入」と「給与所得」の違いを理解する
    2. 給与所得控除の仕組みと2025年改正のポイント
    3. その他の重要な控除:基礎控除と医療費控除
  3. 年末調整における交通費の取り扱い:控除対象になる?
    1. 通勤手当(交通費)の非課税限度額とは
    2. 課税対象となる交通費のケース
    3. 交通費と年末調整の申告における注意点
  4. 年末調整の疑問を解消!クイズ形式で理解を深めよう
    1. クイズ1:マイナンバーの提出義務について
    2. クイズ2:給与収入と給与所得、税金がかかるのはどっち?
    3. クイズ3:徒歩通勤の交通費は非課税?
  5. アフラック・県民共済と年末調整:保険料控除のポイント
    1. 生命保険料控除の基礎知識
    2. アフラック・県民共済などの保険料と控除
    3. 2025年改正:扶養親族がいる場合の生命保険料控除
  6. まとめ
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 年末調整でいう「個人番号」とは何ですか?
    2. Q: 年末調整でいう「給与収入」とは具体的に何を含みますか?
    3. Q: 年末調整で交通費は控除対象になりますか?
    4. Q: 年末調整の英語での一般的な表現は何ですか?
    5. Q: アフラックの生命保険料は年末調整で控除できますか?

年末調整で必須!個人番号(マイナンバー)とは?

年末調整の手続きを進める上で、避けて通れないのが個人番号、通称マイナンバーです。

「なぜ必要なのか」「どうやって確認するのか」といった基本的な疑問から、その提出に関するポイントを見ていきましょう。

なぜマイナンバーが必要なの?

年末調整では、「給与所得者の扶養控除等申告書」や「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書」、さらに「保険料控除申告書」など、複数の書類を提出します。

これらの書類には、あなたの個人番号(マイナンバー)を記載することが義務付けられています。これは、企業が税務署へあなたの所得情報や控除情報を正確に報告するために不可欠な情報となるためです。

企業側も、マイナンバーを厳重に管理し、目的外で利用しないよう法律で定められています。もし提出を忘れたり、拒否したりした場合でも、法律上の罰則は通常ありませんが、企業側は税務署への報告義務を果たすために、提出を強く求めることが一般的です。スムーズな年末調整のためにも、協力を心がけましょう。

マイナンバーの確認方法と紛失時の対応

自身のマイナンバーを確認する方法はいくつかあります。最も一般的なのは、顔写真付きの「マイナンバーカード」の裏面を確認することです。もしマイナンバーカードをお持ちでない場合は、「通知カード」(2020年5月で新規発行は終了)や、マイナンバーが記載された「住民票の写し」でも確認できます。

「通知カード」を紛失してしまった場合は、お住まいの市区町村役場で「住民票の写し」を取得するか、またはマイナンバーカードの申請を検討してください。

会社に提出する際は、通常、マイナンバーカードのコピーと運転免許証などの本人確認書類の提示が求められます。会社の手続きに沿って、確実に提出しましょう。

扶養親族のマイナンバーも必要?

年末調整で扶養控除や配偶者控除を受ける場合、あなただけでなく、扶養している親族のマイナンバーも提出する必要があります。

これは、年末調整を通じて申告する扶養親族の情報が正確であるかを確認するために利用されます。例えば、配偶者の所得が控除の要件を満たしているか、扶養親族が本当にあなたによって扶養されているかといった確認です。

通常、会社から送られてくる年末調整の書類に、扶養親族の氏名、生年月日、そしてマイナンバーを記載する欄が設けられています。結婚や出産、あるいは扶養親族の所得状況に変化があった際は、漏れなく最新の情報を記載するよう注意しましょう。家族分のマイナンバーも、年末調整の前に確認しておくと安心です。

給与収入とは?年末調整で知っておきたい収入金額の基礎

「給与収入」と「給与所得」という似た言葉に戸惑う方もいるかもしれません。

年末調整を正しく理解するには、まずこの二つの違いと、所得税計算の基礎となる「給与所得控除」について把握することが重要です。

「給与収入」と「給与所得」の違いを理解する

「給与収入」とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に会社から支払われた給料、賞与、各種手当(交通費の非課税限度額を超える部分など)の源泉徴収前の総額を指します。いわゆる「年収」と同じ意味合いで使われることが多いです。

一方、「給与所得」とは、この給与収入から「給与所得控除」というものが差し引かれた金額のことです。所得税は、この「給与所得」に対して課税されます。給与所得控除は、会社員が事業を行う上での経費に相当するもので、「みなし経費」とも呼ばれます。この違いを理解することが、税金の計算を理解する第一歩となります。

  • 給与収入:会社から受け取ったお金の合計額(税金が引かれる前)
  • 給与所得:給与収入 – 給与所得控除

給与所得控除の仕組みと2025年改正のポイント

給与所得控除は、会社員にとって必要経費のような役割を果たすもので、収入額に応じて一定額が所得から差し引かれます。これにより、実際に税金がかかる金額(課税所得)が減り、納税者の負担が軽減されます。

ここで注目すべきは、2025年度(令和7年)の税制改正です。給与所得控除の最低保障額が、2024年度(令和6年度)までの55万円から、一律65万円に引き上げられることが決定しました。これは、特に低・中所得者の負担軽減を目的とした改正です。

例えば、給与収入が150万円の方の場合、2025年度以降は給与所得控除額が65万円となり、給与所得は150万円 – 65万円 = 85万円となります。この改正は、いわゆる「年収の壁」対策の一環でもあり、所得税の「年収の壁」が実質的に106万円から160万円程度まで引き上げられる効果があります。あなたの税金にも影響があるかもしれませんので、しっかり確認しましょう。

その他の重要な控除:基礎控除と医療費控除

給与所得控除の他にも、年末調整や確定申告で活用できる重要な控除があります。

  • 基礎控除:納税者全員に適用される控除です。これも2025年度(令和7年)税制改正で、合計所得金額が2,500万円以下の場合、最大58万円(以前は48万円)まで引き上げられる見込みです。さらに、低・中所得者に対しては、所得に応じて控除額が上乗せされる場合もあります。
  • 医療費控除:1年間に支払った医療費が一定額(通常10万円、総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられる所得控除です。ただし、医療費控除は年末調整では申告できず、確定申告が必要となります。領収書などを大切に保管しておきましょう。

これらの控除を適切に申告することで、課税される所得金額が減り、結果として納める所得税・住民税が安くなります。自分の状況に合わせて、どんな控除が適用できるのか確認することが大切です。

年末調整における交通費の取り扱い:控除対象になる?

通勤手当として支給される交通費は、会社員にとってありがたい手当の一つです。しかし、この交通費が年末調整でどのように扱われるかを知っていますか?

「非課税限度額」がキーワードとなります。

通勤手当(交通費)の非課税限度額とは

会社から支給される通勤手当は、一定の金額までは「非課税」として扱われ、給与収入には含まれません。つまり、その部分には所得税がかからないということです。これは、通勤が業務を遂行するために必要な費用とみなされるためです。

  • 公共交通機関(電車、バスなど)の場合月額15万円までが非課税限度額です。例えば、定期代が月10万円であれば、全額が非課税となります。
  • マイカー通勤の場合:通勤距離に応じて非課税限度額が定められています。国税庁の定める基準に基づいて計算されます。

この非課税限度額内であれば、交通費がいくら支給されていても、あなたの給与収入や所得税額には影響しませんのでご安心ください。

課税対象となる交通費のケース

もし支給される交通費が非課税限度額を超えた場合、その超えた部分については課税対象となり、給与収入として扱われます。

例えば、公共交通機関の定期代が月16万円支給されている場合、非課税限度額の15万円を超える1万円は課税対象となり、給与に加算されて所得税の計算対象となります。

また、徒歩通勤の場合には注意が必要です。所得税法上、徒歩通勤は通勤交通費の対象とはならないため、もし会社から徒歩通勤手当が支給されたとしても、その全額が課税対象となります。これは、自転車通勤など、自動車や公共交通機関を利用しない通勤にも同様に適用されることがあります。

交通費と年末調整の申告における注意点

通常、会社が支給する通勤手当は、非課税限度額を考慮して給与計算されており、給与明細にもその内訳が記載されています。そのため、従業員自身が年末調整で交通費について特別な申告をする必要はほとんどありません。

しかし、ご自身の通勤手当が非課税限度額を超えているかどうか、あるいは徒歩通勤などで手当が全額課税対象になっているかを知っておくことは重要です。

これは、自身の給与収入の総額や、そこから計算される所得税額、さらには社会保険料の算出にも影響を与える可能性があるためです。もし不明な点があれば、会社の給与担当者に確認してみるのが確実でしょう。

年末調整の疑問を解消!クイズ形式で理解を深めよう

ここまで学んだ内容を、クイズ形式で確認してみましょう。年末調整に関する理解度をチェックしてみてください。

クイズ1:マイナンバーの提出義務について

問題:年末調整でマイナンバーの提出は義務ですか?提出しないと罰則がありますか?

答えと解説:

原則として、マイナンバーの提出は義務とされています。これは、企業が税務署に提出する法定調書にマイナンバーの記載が義務付けられているためです。

ただし、従業員が提出を拒否した場合でも、国税庁によると、企業側は「安易に拒否を認めず、粘り強く提供を求める」こととされており、個人に対する罰則は設けられていません

しかし、企業側にはマイナンバーを収集・管理する義務があり、提出がない場合は税務署にその旨を報告することになります。円滑な手続きのためにも、協力して提出することが望ましいでしょう。

クイズ2:給与収入と給与所得、税金がかかるのはどっち?

問題:所得税の計算対象となるのは「給与収入」と「給与所得」のどちらでしょう?

答えと解説:

正解は、「給与所得」です。給与収入から「給与所得控除」を差し引いた金額が給与所得となり、この給与所得に対して所得税が課税されます。

給与所得控除は、会社員が受けられる「みなし経費」のようなもので、税金の負担を軽減する重要な役割を果たしています。

2025年度からは最低保障額が65万円に引き上げられるため、より多くの人がその恩恵を受けられるようになります。自身の給与収入からいくら差し引かれるのか、知っておくと良いでしょう。

クイズ3:徒歩通勤の交通費は非課税?

問題:会社から支給される徒歩通勤手当は、非課税になりますか?

答えと解説:

残念ながら、いいえ、全額課税対象となります

所得税法上、通勤交通費として非課税の対象となるのは、電車、バス、自動車、自転車などの交通手段を利用して通勤する場合に限られます。徒歩通勤は、これらの対象外とされているため、会社から支給される徒歩通勤手当は、たとえ少額であっても全額が給与収入に含められ、所得税の課税対象となります。

「自分は徒歩通勤だから関係ない」と思わずに、支給される手当がどのように扱われるかを確認しておくことが大切です。

アフラック・県民共済と年末調整:保険料控除のポイント

生命保険や医療保険に加入している方は、年末調整で「生命保険料控除」を利用することで、所得税や住民税の負担を軽減できます。アフラックや県民共済などの保険に加入している場合のポイントを見ていきましょう。

生命保険料控除の基礎知識

生命保険料控除は、特定の生命保険や医療保険、個人年金保険の保険料を支払った場合に、その支払った保険料に応じて所得から一定額が控除される制度です。これにより、課税される所得が減少し、結果的に税金が安くなります。

生命保険料控除には、以下の3つの種類があります。

  • 一般生命保険料控除:終身保険、定期保険など
  • 介護医療保険料控除:医療保険、がん保険、介護保険など
  • 個人年金保険料控除:個人年金保険(要件あり)

それぞれに控除額の上限が定められており、新契約(2012年1月1日以後に締結)の場合、所得税では各控除最大4万円、合計で最大12万円が控除されます(住民税は各控除最大2.8万円、合計最大7万円)。

アフラック・県民共済などの保険料と控除

アフラックや県民共済など、あなたが加入している保険会社から、毎年秋頃に「生命保険料控除証明書」が送付されます。この証明書には、1年間に支払った保険料の金額と、それがどの控除区分(一般、介護医療、個人年金)に該当するかが記載されています。

年末調整の手続きでは、この証明書を「保険料控除申告書」に添付して会社に提出する必要があります。証明書が届いたら、紛失しないように大切に保管しておきましょう。

複数の保険会社で保険に加入している場合は、それぞれの保険会社から送られてくる証明書を全て集め、合算して申告することになります。どの種類の控除に該当するか不明な場合は、保険会社のカスタマーサービスに問い合わせてみましょう。

2025年改正:扶養親族がいる場合の生命保険料控除

生命保険料控除にも、2025年度(令和7年)税制改正で変更が予定されています。

具体的には、23歳未満の扶養親族がいる場合、一般生命保険料控除の所得税における適用限度額が4万円から6万円に引き上げられる見込みです。これは、子育て世帯や若年扶養親族を持つ世帯の経済的負担を軽減することを目的としたものです。

もしあなたが23歳未満の扶養親族を抱え、終身保険や定期保険などの一般生命保険に加入しているのであれば、この改正によって控除額が増え、税負担がさらに軽くなる可能性があります。

改正の詳細については、今後の税制改正情報にご注目ください。

まとめ

年末調整は、会社員にとって避けて通れない大切な手続きです。今回解説した個人番号(マイナンバー)、給与収入と給与所得の違い、交通費の取り扱い、そして生命保険料控除のポイントを理解することで、よりスムーズに、そして正確に申告を進めることができるでしょう。

特に、2025年度(令和7年)の税制改正では、給与所得控除の最低保障額の引き上げや基礎控除の拡充、扶養親族がいる場合の生命保険料控除の限度額変更など、注目すべき点が多くあります。

これらの情報をご自身の状況と照らし合わせ、適切な年末調整を行うことで、納めすぎた税金が還付され、手取り額が増えるかもしれません。もし不明な点や、個別の状況で判断に迷うことがあれば、会社の経理担当者や税務署、あるいは税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

この記事が、あなたの年末調整に対する疑問解消の一助となれば幸いです。