年末調整の基本を徹底解説!あなたはいくら返ってくる?

年末調整は、1年間に支払った税金の過不足を精算する、会社員にとって非常に大切な手続きです。

毎月の給与から天引きされている所得税はあくまで概算。年末調整によって、正しい税額を算出し、多く払いすぎていれば還付金として戻ってきます。

この記事では、2025年の年末調整に関する最新情報や還付金の仕組み、そして「あなたはいくら返ってくるのか?」という疑問に焦点を当てて、わかりやすく解説していきます。

年末調整とは?わかりやすく解説

年末調整のキホン|なぜ必要なの?

年末調整とは、会社が従業員に代わって、その年の1月1日から12月31日までの所得税を確定させ、過不足を調整する手続きのことです。

普段、毎月の給与から天引きされている所得税(源泉徴収税額)は、扶養親族の数や社会保険料などを考慮して計算された概算の金額です。

しかし、生命保険料控除や地震保険料控除、iDeCoの掛金控除など、年末にならないと確定しない控除もあります。そのため、概算の税額と実際の税額との間にズレが生じることがほとんどです。

このズレを年末に調整し、もし多く税金を納めすぎていた場合は、還付金として従業員に戻される仕組みになっています。

逆に、少なかった場合は追加で徴収されることもありますが、多くの場合は還付金が発生するため、「年末調整でお金が戻ってくる」というイメージが強いでしょう。

2025年の年末調整、変更点はココ!

2025年の年末調整では、いくつかの重要な変更点があり、より多くの人が節税の恩恵を受けやすくなる可能性があります。これらの変更点を理解しておくことで、ご自身の還付額を正しく把握し、手続きをスムーズに進めることができます。

まず大きな変更点として、基礎控除・給与所得控除の引き上げが挙げられます。基礎控除額が合計所得金額に応じて58万円から最大95万円に引き上げられるため、所得税がかからない年収のラインが実質的に引き上げられることになります。

次に、特定親族特別控除の創設です。これは、19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合、年収123万円を超えても188万円まで控除対象となる新しい制度です。

さらに、扶養親族等の所得要件の改正も注目すべき点です。扶養親族の所得要件が、これまでの48万円(年収103万円以下)から58万円(年収123万円以下)に引き上げられ、より広い範囲の人が扶養控除の対象となるようになります。

還付金はどうやって計算される?

年末調整による還付金の計算は、以下のステップで行われます。この流れを理解しておくと、ご自身の還付金がなぜ発生するのか、いくらになるのかがより明確になります。

  1. 年間の給与収入額を合計する: 1年間(1月1日~12月31日)の給与と賞与の総額を把握します。これは源泉徴収票で確認できます。
  2. 給与所得額を算出する: 給与収入から「給与所得控除」を差し引きます。給与所得控除は会社員にとっての必要経費のようなもので、収入に応じて一定額が差し引かれます。
  3. 課税所得金額を算出する: 給与所得額から、各種所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除など)を差し引きます。この金額に対して税金がかかります。
  4. 所得税額を確定する: 課税所得金額に所得税率を掛けて、本来納めるべき所得税額を計算します。所得税率は課税所得金額に応じて段階的に上がります。
  5. 還付金額を算出する: ステップ4で計算した「本来納めるべき所得税額」と、1年間で源泉徴収された「天引き済みの税額」を比較し、差額を算出します。源泉徴収額が多ければ還付金となり、少なければ追加徴収となります。

このプロセスを経て、最終的な還付額が決定されるのです。

パート・アルバイトも関係ある?年末調整の対象者

どんな人が年末調整の対象になるの?

年末調整の対象となるのは、基本的に会社に勤務して給与をもらっている人(給与所得者)です。

正社員だけでなく、パートやアルバイトとして働いている人も、一定の条件を満たせば年末調整の対象となります。重要なのは、会社から給与を支払われていること、そして「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出していることです。

この申告書を提出していると、その会社が「主たる給与の支払者」となり、年末調整が行われます。

ただし、年の途中で退職した人や、複数の会社から給与をもらっていて、主たる給与以外で年末調整を行う場合は、確定申告が必要になるケースもあります。詳しくは後述します。

年収いくらまでなら対象?

年末調整の対象となる給与所得者には、年収の上限があります。

具体的には、給与収入が2,000万円を超える人は、年末調整の対象外となります。この場合は、ご自身で確定申告を行う必要があります。

パートやアルバイトの方についても、年収2,000万円を超えない限りは年末調整の対象となり得ます。例えば、年間の給与収入が103万円以下の場合は、所得税が発生しないため年末調整で還付金が発生する可能性は低いですが、それでも社会保険料などが天引きされていれば、還付される場合があります。

特に、2025年からは扶養親族の所得要件が年収123万円以下に引き上げられるため、パート・アルバイトで働く方の働き方にも影響があるかもしれません。

年末調整を受けられないケースとは?

多くの給与所得者が年末調整の対象となりますが、中には年末調整を受けられず、確定申告を自分で行う必要があるケースも存在します。

まず、年の途中で退職し、その後再就職せずに12月31日を迎えた人は、年末調整の対象外です。この場合、退職時までの給与については確定申告が必要です。

次に、先ほども触れたように、給与収入が2,000万円を超える人も年末調整の対象外となり、確定申告が必須となります。

また、2箇所以上の会社から給与をもらっていて、主たる給与以外の給与収入が20万円を超える人も、原則として確定申告が必要です。この場合、年末調整は主たる給与を受け取る会社でのみ行われます。

さらに、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を利用しない場合)、住宅ローン控除の初年度など、年末調整では処理できない控除を受けたい場合も、確定申告が必要となります。

扶養控除の活用で還付金はいくら?

扶養控除の基本と2025年の変更点

扶養控除は、生計を一つにする親族(子供や高齢の親など)がいる場合に受けられる所得控除です。

この控除を適用することで課税所得が減り、結果として納める税金が少なくなるため、還付金が増える可能性があります。

扶養控除の対象となる親族の所得要件は、「合計所得金額が48万円以下」(給与収入のみなら103万円以下)が一般的でしたが、2025年からは「合計所得金額が58万円以下」(給与収入のみなら123万円以下)に引き上げられます。これは、より多くの親族が扶養控除の対象となることを意味します。

また、2025年からは「特定親族特別控除」が新設されます。これは、19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合、年収123万円を超えても188万円まで控除対象となるものです。これにより、大学などでアルバイトをしているお子さんなどがいる家庭にとって、大きな節税メリットが生まれることになります。

その他、見落としがちな控除の種類

年末調整で適用される所得控除は多岐にわたり、扶養控除以外にも見落としがちなものがあります。これらを漏れなく申告することで、還付金を増やすことができます。

  • 基礎控除: 全ての人が受けられる控除で、2025年からは所得に応じて最大95万円に引き上げられます。
  • 配偶者控除・配偶者特別控除: 配偶者の所得に応じて適用される控除です。
  • 生命保険料控除: 生命保険、介護医療保険、個人年金保険の保険料が対象です。
  • 地震保険料控除: 地震保険の保険料が対象です。
  • 社会保険料控除: 健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などを自身で支払った場合に全額控除されます。
  • 小規模企業共済等掛金控除: iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金が全額所得控除の対象となり、非常に強力な節税効果があります。
  • 障害者控除: 従業員本人や扶養親族が障害者に該当する場合に適用されます。
  • ひとり親控除・寡婦控除: ひとり親または寡婦である場合に適用されます。

これらの控除証明書は、保険会社や金融機関から送られてくるので、大切に保管し、年末調整時に忘れずに提出しましょう。

控除を賢く使って還付金を増やそう!

各種控除を上手に活用することは、還付金を増やすための重要なポイントです。

例えば、iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となるため、節税効果が非常に高い制度です。将来のための資産形成をしながら、今の税負担を軽減できる一石二鳥の制度と言えるでしょう。

また、生命保険や地震保険に加入している場合は、控除証明書を提出するだけで控除が適用されます。これらの控除は、日々の生活の中で見落としがちですが、積み重なると大きな節税効果をもたらします。

扶養控除や配偶者控除も、家族構成に応じて適用される重要な控除です。特に2025年の制度改正により、扶養親族の所得要件が緩和されたことで、今まで対象外だった親族も控除対象になる可能性があります。

ご自身の状況に合わせた控除を漏れなく申告することで、本来受け取るべき還付金をしっかりと手に入れましょう。

年末調整で0円になるケースと確定申告の必要性

還付金が0円になるのはどんな時?

年末調整をしても、必ずしも還付金が戻ってくるとは限りません。還付金が0円になる、あるいは追加徴収になるケースもあります。

主なケースとしては、まず毎月の給与から天引きされている所得税額が、すでに正しい税額とほとんど変わらなかった場合が挙げられます。例えば、家族構成や控除対象となる支出に大きな変動がなかった場合などです。

また、各種控除を適用した結果、課税所得金額が0円となり、そもそも納めるべき所得税がない場合も、還付金は発生しません。

逆に、年の途中で扶養親族が減った、または副業などで追加の所得があったにもかかわらず、毎月の源泉徴収額が適切に調整されていなかった場合は、追加徴収となる可能性もあります。追加徴収の場合、還付金どころか不足分を支払う必要があります。

これらの状況は、個々の所得や控除の内訳によって異なりますが、自身の源泉徴収票や控除証明書を確認することで、おおよその見当をつけることができます。

年末調整ではできない控除と確定申告

年末調整では対応できない所得控除や税額控除があり、これらを利用したい場合は確定申告が必要です。代表的なものには以下のものがあります。

  • ふるさと納税: 「ワンストップ特例制度」を利用しない場合や、6自治体以上に寄付した場合は確定申告が必要です。寄付金控除として税金が軽減されます。
  • 医療費控除: 1年間の医療費が10万円(または総所得金額等の5%)を超えた場合に適用されます。生計を一つにする家族の医療費も合算できます。
  • 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除): 初めて住宅ローン控除を受ける年は、年末調整ではなく確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で手続きが可能です。
  • 雑損控除: 災害や盗難などで資産に損害を受けた場合に適用されます。
  • 特定の寄付金控除: ふるさと納税以外の特定の団体への寄付も対象になる場合があります。

これらの控除を適用することで、年末調整で還付金が0円だったとしても、確定申告によって還付金が戻ってくる可能性があります。

確定申告の手続きとメリット

年末調整ではできなかった控除を適用するためには、確定申告という形で自ら税務署に申告書を提出する必要があります。確定申告の手続きは一見複雑に思えるかもしれませんが、いくつかのメリットがあります。

まず、年末調整では扱えない控除(医療費控除や住宅ローン控除の初年度など)を適用することで、税金が還付される可能性が高まります。これにより、手元に戻ってくるお金が増えることになります。

手続きは、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って比較的簡単に作成できます。必要書類(源泉徴収票、控除証明書、医療費の領収書など)を準備し、指示に従って入力していけば完成します。

作成した申告書は、e-Tax(電子申告)で提出することも、印刷して郵送または税務署の窓口に提出することも可能です。

確定申告は、自身の納税額を正しく把握し、受けられる控除を最大限に活用するための重要な機会です。面倒に思わず、積極的にチャレンジしてみましょう。

年末調整の疑問を解決!よくある質問

還付金はいつ、どうやって受け取れるの?

年末調整の結果、還付金が発生した場合、多くの会社では12月の給与と合わせて支給されることが一般的です。

ただし、会社の経理処理の都合により、1月や2月の給与振込時に支給されるケースもあります。具体的な支給時期については、会社の給与担当者や人事部門に確認するのが最も確実です。

還付金は、通常、給与と同じ口座に振り込まれるため、特別な手続きは不要です。

源泉徴収票には、年末調整後の正しい所得税額と、実際に徴収された税額が記載されており、その差額が還付金または追加徴収額として示されます。還付金が正しく支払われたかどうかの確認にも、源泉徴収票は重要な書類となります。

控除証明書をなくしてしまったら?

年末調整で各種控除を申請するには、生命保険料控除証明書やiDeCoの掛金証明書など、それぞれの控除証明書が必要になります。

もしこれらの証明書を紛失してしまった場合でも、諦める必要はありません。まずは、証明書を発行している保険会社や金融機関に連絡し、再発行を依頼しましょう。多くの機関が再発行に応じてくれますが、手続きに時間がかかる場合があるため、早めに連絡することが大切です。

会社への提出期限に間に合わない場合は、その旨を会社の担当者に相談してください。

もし再発行が間に合わなかったり、年末調整の期限を過ぎてしまったりした場合は、翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行うことで、控除を適用し還付金を受け取ることができます。慌てずに、適切な手続きを踏むようにしましょう。

不明な点があったらどこに相談すればいい?

年末調整の手続きや、ご自身の控除について不明な点や疑問がある場合は、一人で悩まずに専門家や関係機関に相談することをおすすめします。

まず、最も身近な相談先は会社の給与担当者や人事部門です。年末調整の書類の書き方や、会社独自のルールなどについて詳しく教えてくれます。

また、一般的な税務に関する質問や、具体的な控除の適用については、税務署の相談窓口を利用することもできます。税務署では、年末調整や確定申告に関する無料相談を受け付けています。

より複雑なケースや、専門的なアドバイスが必要な場合は、税理士に相談することも有効です。税理士は税務のプロフェッショナルであり、個別の状況に応じた最適なアドバイスを提供してくれます。

不明な点をそのままにせず、積極的に相談することで、正確な年末調整を行い、適切な還付金を受け取りましょう。

2025年の年末調整は、控除制度の見直しにより、より多くの人が節税の恩恵を受けやすくなる可能性があります。ご自身の状況に合わせて、各種控除を漏れなく申告し、賢く税金を取り戻しましょう。