概要: 雇用契約書は、働く上で非常に重要な書類です。特に「絶対的記載事項」を理解しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。この記事では、パートや有期雇用の方、法改正の動向、さらに36協定との関連性まで、雇用契約書に関する疑問を網羅的に解説します。
雇用契約書とは?労働条件通知書との違い
雇用契約書の役割と重要性
雇用契約書は、会社と従業員が労働条件について合意した内容を明確にするための非常に重要な書類です。これは単なる形式的なものではなく、労使間の認識のズレを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐための「約束事」を具体的に記すものと言えるでしょう。
労働基準法第15条では、労働契約を締結する際に、会社が従業員に対して特定の労働条件を書面で明示することを義務付けています。この明示義務を果たすためにも、雇用契約書は不可欠な存在です。特に、給与、勤務時間、休日、業務内容といった基本的な労働条件は、従業員が安心して働く上で最も関心の高い事項であり、これらを明確にすることで、従業員のモチベーション向上にも繋がります。
また、雇用契約書を締結することは、法的な義務を果たすだけでなく、労使間の信頼関係を築く上でも極めて重要です。口頭での約束は時間が経つと曖昧になりがちですが、書面に残すことで、いつでも内容を確認でき、双方の権利と義務が明確になります。これにより、従業員は自分の労働条件を理解し、安心して業務に取り組むことができるのです。
労働条件通知書との違いを徹底解説
雇用契約書と混同されがちな書類に「労働条件通知書」があります。この二つには明確な違いがあることを理解しておきましょう。労働条件通知書は、会社が従業員に対して一方的に労働条件を「通知」する義務を果たすための書類です。そのため、会社側の署名(記名)のみで成立し、従業員の署名・捺印は必須ではありません。
一方、雇用契約書は、会社と従業員が双方で労働条件に「合意」したことを証明する書類です。つまり、従業員側も内容を確認し、同意した上で署名・捺印をすることが一般的です。この「合意」の有無が、両者の最も大きな違いと言えるでしょう。労働条件通知書が従業員への情報提供を目的とするのに対し、雇用契約書は双方向の意思確認と契約締結を目的とするのです。
労働基準法では労働条件の「明示」を義務付けており、この義務は労働条件通知書でも果たせます。しかし、後にトラブルになった際に、「同意した」「していない」の水掛け論にならないためにも、合意の証として雇用契約書を作成することの意義は非常に大きいと言えます。従業員が安心して働ける環境を整える上で、双方の合意を示す書面は不可欠なのです。
「労働条件通知書兼雇用契約書」の活用法
では、雇用契約書と労働条件通知書、両方を準備する必要があるのでしょうか?実は、多くの企業では、この二つの書類を兼ねた「労働条件通知書兼雇用契約書」を作成・交付しています。これにより、企業は法的な明示義務を果たしつつ、労使間の合意形成も同時に行うことが可能になります。
この一体型書類の最大のメリットは、労務管理の手間を削減できる点と、従業員側も一つの書類で全ての条件を確認し、同意できるため、よりスムーズに手続きを進められる点にあります。採用プロセスの効率化にも繋がり、双方にとってメリットが大きいと言えるでしょう。
ただし、一体型書類を作成する際には、いくつか注意すべき点があります。まず、法的に明示が義務付けられている全ての記載事項が網羅されているかを必ず確認してください。さらに、会社と従業員双方の記名・捺印(または署名)欄が適切に設けられていることも重要です。記載漏れや形式不備があると、せっかくの書類もその効力を十分に発揮できない可能性があります。厚生労働省が提供するテンプレートなどを活用したり、社会保険労務士などの専門家に相談したりして、完璧な書類作成を目指しましょう。
雇用契約書の絶対的記載事項を漏れなく確認
「絶対的記載事項」14項目を徹底解説
労働基準法に基づき、会社が従業員との雇用契約締結時に書面で明示しなければならない項目は多岐にわたります。これらは「絶対的記載事項」と呼ばれ、一つでも記載が漏れていると法律違反となる可能性があります。特に重要な14項目を、以下で再確認していきましょう。
- 労働契約の期間:正社員(期間の定めなし)か、契約社員・パート(期間の定めあり)かを明記します。
 - 有期雇用契約の場合の更新の有無・基準:契約更新の可能性とその判断基準を具体的に記載。通算契約期間や更新回数の上限も含む場合があります。
 - 就業の場所:主な勤務地を明示。将来的な配置転換の可能性についても触れる必要があります。
 - 従事すべき業務の内容:担当業務を具体的に記載し、将来的な業務変更の可能性についても言及します。
 - 始業・終業時刻:勤務開始時間と終了時間を明確にします。変形労働時間制の場合はその旨も。
 - 所定労働時間を超える労働の有無:時間外労働(残業)の有無について明記します。
 - 休憩時間:労働時間の途中に取得する休憩時間を記載します。
 - 休日:週休2日制、シフト制など、休日制度を明確にします。
 - 休暇:年次有給休暇、特別休暇(慶弔休暇など)の付与条件や種類を記載します。
 - 交替制勤務に関する事項:複数グループでの勤務がある場合に、そのローテーションや勤務順序を記載します。
 - 賃金の決定・計算方法:基本給、手当の種類とその算出方法を具体的に明記します。
 - 賃金の支払方法:銀行振込、手渡しなど、具体的な支払い方法を記載します。
 - 賃金の締切日・支払時期:給与計算の締め日と、給与が支払われる日を明記します。
 - 退職に関する事項:定年、自己都合退職、解雇の事由や手続きについて記載します。特に解雇事由は重要です。
 
これらの項目は、企業が従業員を雇用する上で、最低限明示しなければならない重要なルールであり、記載漏れは許されません。
記載漏れが招くリスクと罰則
雇用契約書における絶対的記載事項に一つでも漏れがあった場合、企業は労働基準法違反となり、重大なリスクを負うことになります。最も直接的なのは、労働基準監督署による指導や是正勧告です。これに従わない場合、30万円以下の罰金が課される可能性もあります。これは、企業の社会的信用を大きく損なう結果にも繋がります。
しかし、金銭的な罰則以上に深刻なのが、労使間の信頼関係の失墜と、それによって引き起こされるトラブルです。労働条件が不明確であると、従業員は会社に対する不信感を抱き、安心して業務に集中できません。例えば、「残業代の計算方法が不明瞭だ」「休日がいつなのか分からない」といった不満は、従業員のモチベーションを低下させ、最悪の場合、労働審判や訴訟に発展する可能性もあります。
採用後のミスマッチを防ぐためにも、入社前に全ての労働条件を明確に提示し、従業員が納得した上で働き始めることが極めて重要です。記載漏れは、後々の大きなトラブルの火種となりかねないため、経営者は細心の注意を払い、完璧な雇用契約書作成を心がけるべきでしょう。
具体例で見る!正しい記載のポイント
絶対的記載事項はただ羅列するだけでなく、具体的に分かりやすく記載することが求められます。例えば、「就業の場所」は単に「本社」と記載するだけでなく、「本社(〇〇県〇〇市〇〇町〇〇-〇)」のように詳細な住所を記載し、将来的に転勤の可能性がある場合は「会社の定める事業所」といった文言に加え、「〇〇支店への転勤の可能性あり」など、具体的な可能性の範囲も明示することが望ましいとされています。
「従事すべき業務の内容」も、「事務」だけではなく「経理事務全般(仕訳入力、伝票処理、月次決算補助等)及びそれに付随する業務」のように具体性を高めることが重要です。これにより、従業員は自身の役割を正確に理解し、企業側も業務範囲の認識違いによるトラブルを避けることができます。
特に「賃金の決定・計算方法」は複雑になりがちですが、基本給、各種手当(役職手当、住宅手当など)、そしてそれらの計算方法、残業代の計算方法についても分かりやすく記載することで、従業員からの賃金に関する問い合わせや不満を減らすことができます。曖昧な表現は避け、誰が読んでも理解できる明確な表現を心がけ、従業員が安心して働ける土台を築きましょう。
パート・アルバイト・有期雇用の場合の注意点
パート・有期雇用に求められる追加事項
パートタイム労働者、アルバイト、契約社員といった有期雇用労働者については、上記で解説した絶対的記載事項に加えて、さらに追加で書面明示が義務付けられている項目があります。これは、「パートタイム・有期雇用労働法」に基づき、正社員との不合理な待遇差を是正し、労働条件の透明性を高める目的があるためです。
具体的には、以下の4項目が追加で明示義務の対象となります。
- 昇給の有無:昇給制度があるか、ない場合はその旨を明記します。ある場合は、その条件や評価基準についても可能な範囲で記載すると良いでしょう。
 - 退職手当の有無:退職金制度があるか、ない場合はその旨を明記します。
 - 賞与の有無:賞与(ボーナス)制度があるか、ない場合はその旨を明記します。
 - 雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口:従業員からの相談に対応する部署や担当者、連絡先を具体的に記載します。これは、キャリアアップや待遇改善に関する相談を円滑に進めるための重要な窓口となります。
 
これらの追加事項は、有期雇用労働者が自身の待遇を正しく理解し、安心して働く上で非常に大切な情報であり、企業側はこれらを漏れなく明示する義務があります。
2024年4月法改正で変わる有期雇用のルール
2024年4月1日より、労働条件の明示ルールがさらに改正され、特に有期雇用労働者に関する明示事項が追加されました。これは、いわゆる「無期転換ルール」の周知徹底と、雇用の安定を図ることを目的としています。企業はこの改正に適切に対応することが求められます。
追加された明示事項は以下の通りです。
- 有期労働契約の更新上限の有無と内容:例えば「契約更新は3回まで」「通算契約期間は5年まで」といった上限がある場合は、その内容を明示する必要があります。これにより、従業員は将来のキャリアプランを立てやすくなります。
 - 無期転換申込機会:有期雇用労働者が、同一の事業主との間で通算5年を超えて契約を更新した場合に、無期雇用への転換を申し込むことができる「無期転換ルール」の存在を明示しなければなりません。
 - 無期転換後の労働条件:無期転換した場合に適用される労働条件(職務、勤務地、賃金など)について、明示が必要です。これは、転換後の処遇が不明瞭であることによる不安を解消し、従業員が安心して無期転換を検討できるようにするためです。
 
これらの改正は、有期雇用労働者の権利保護を強化するものであり、企業は最新の法令を遵守し、適切な情報提供を行う義務があります。
同一労働同一賃金の原則と待遇差
パートタイム・有期雇用労働者を取り巻く大きなテーマの一つに、「同一労働同一賃金」の原則があります。これは、正社員とパートタイム・有期雇用労働者の間で、業務内容や責任の程度が同じであるにもかかわらず、不合理な待遇差を設けることを禁止するものです。この原則は、全ての事業主に適用されます。
具体的には、基本給、賞与、各種手当、福利厚生(通勤手当、食堂利用、慶弔休暇など)において、不合理な差がないように配慮しなければなりません。もし待遇差がある場合は、それが業務内容や責任の範囲、貢献度など、客観的で合理的な理由に基づいていることを明確に説明できるようにしておく必要があります。例えば、正社員の方が広範囲な業務を担当し、転勤の可能性もあるため、基本給が高いといった説明が求められます。
雇用契約書には直接全ての待遇差の根拠を記載する必要はありませんが、前述の昇給、退職手当、賞与の有無を明示することは、この原則を遵守するための第一歩となります。企業は、自身の待遇制度が同一労働同一賃金の原則に適合しているか、定期的に見直しを行うことが重要です。不適切な待遇差は、従業員の不満だけでなく、法的なリスクも伴うため、十分な注意が必要です。
法改正で変わる?最新情報と36協定との関係
2024年4月からの明示義務追加ポイント
2024年4月1日からの労働条件明示ルールの改正は、企業の雇用契約書作成において非常に重要な変更点となります。特に注目すべきは、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示義務が追加された点です。これまでは現在の就業場所や業務内容のみを明示すれば良かったのですが、改正後は将来的に配置転換や異動によって「変更される可能性のある就業場所や業務の範囲」も明確に記載する必要があります。
これは、従業員が自身のキャリアパスを具体的にイメージしやすくするための措置であり、企業側も採用時に将来的な人材配置の可能性について説明責任を果たすことになります。例えば、「就業場所:本社(東京都〇〇区〇〇)変更の範囲:会社の定める事業所」といった記載だけでなく、「将来的に〇〇支店(神奈川県〇〇市〇〇)への転勤の可能性あり」といった具体的な情報を加えることが望ましいとされています。
この明示義務は、ジョブ型雇用への移行や、従業員のキャリア形成支援といった現代の労働市場のニーズに応えるものです。採用後の「話が違う」といった認識のズレを防ぎ、従業員が安心して長期的に働ける環境を整備するために、企業は積極的に対応していく必要があります。
36協定は雇用契約書に記載する?
「36(サブロク)協定」は、労働基準法第36条に基づき、法定労働時間を超えて労働させたり、法定休日に労働させたりする場合に、労使間で締結し、労働基準監督署に届け出る義務のある協定です。では、この36協定の内容は雇用契約書に記載する必要があるのでしょうか。
結論から言うと、36協定そのものを雇用契約書に詳細に記載する義務はありません。雇用契約書に記載すべき絶対的記載事項の中には、「所定労働時間を超える労働の有無」という項目があります。この項目で、時間外労働をさせる可能性がある旨を明記すれば十分です。例えば、「時間外労働:有(36協定の範囲内)」といった記載が一般的です。
ただし、36協定が締結されていないにもかかわらず、従業員に時間外労働をさせることは労働基準法違反となります。雇用契約書で時間外労働の可能性を明示する際は、同時に有効な36協定が締結されていることを確認しておくことが企業の責任です。従業員に時間外労働を命じる可能性がある場合は、必ず36協定の締結と労働基準監督署への届出を忘れずに行い、労働基準法を遵守するようにしましょう。
電磁的交付とSMS利用時の注意点
雇用契約書の明示は原則として「書面」で行うことが義務付けられています。しかし、従業員が希望し、会社が認める場合は、FAXや電子メールなどの電磁的交付も可能です。これは、デジタル化が進む現代において、企業と従業員双方にとって利便性の高い選択肢と言えるでしょう。
ただし、電磁的交付を行う際にはいくつかの注意点があります。まず、従業員が「電磁的方法による交付」を希望し、かつその方法で内容を確認できる環境にあることが前提となります。例えば、会社支給のPCやスマートフォンで閲覧できる、自宅にPCやプリンターがある、といった状況が考えられます。
特に、スマートフォンなどで手軽に利用できるSMS(ショートメッセージサービス)での交付については注意が必要です。SMSは文字数制限があり、労働条件の全ての事項を網羅的に、かつ分かりやすく明示することは困難な場合が多いため、推奨されません。内容が不完全であったり、従業員が十分理解できなかったりするリスクを避けるためにも、PDF形式の添付ファイル付き電子メールや、企業の人事システムを通じた閲覧など、情報が正確に伝わる方法を選ぶようにしましょう。従業員が内容を十分に理解し、後々のトラブルを避けることが最も重要です。
10人以下の小規模事業所でも雇用契約書は必要?
事業規模に関わらず義務!法的な根拠
「うちの会社は従業員が少ないから、雇用契約書は必要ないだろう」と誤解されている小規模事業所の経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは明確に間違いです。労働基準法は、事業の規模や従業員の人数に関わらず、全ての事業所に適用されます。つまり、従業員が1人でもいる事業所であれば、雇用契約書(労働条件通知書)の交付義務が発生するのです。
労働基準法第15条で定められた労働条件の明示義務は、大企業も中小企業も、そして10人以下の小規模事業所も例外なく対象となります。もし、雇用契約書を交付せずに従業員を雇用した場合、労働基準法違反となり、前述の通り30万円以下の罰金が科される可能性があります。これは、事業所の規模に関わらず、全ての企業に課せられた法的な義務であることを認識することが重要です。
事業規模が小さいからこそ、書面での合意形成は特に重要だと言えます。従業員数が少ないからこそ、一人ひとりの労働条件が明確でないと、後々大きなトラブルに発展しやすく、会社の存続を脅かす事態になりかねません。
小規模事業所が抱える課題と解決策
小規模事業所では、人事や労務管理の専門部署がない、担当者が他の業務と兼任している、専門知識を持つ人材が不足している、といった課題を抱えていることが少なくありません。そのため、雇用契約書の作成や法改正への対応がおろそかになりがちです。しかし、適切な対策を講じることで、これらの課題を乗り越えることは可能です。
まず、厚生労働省やハローワークが提供している雇用契約書のテンプレートやひな形を積極的に活用することです。これらは最新の法令に準拠しており、記載すべき項目が網羅されています。無料で使用できるものが多く、初期費用を抑えながらも法的な要件を満たした書類を作成できます。
また、社会保険労務士などの専門家への相談も非常に有効です。専門家に依頼することで、自社の状況に合わせた適切な雇用契約書を作成できるだけでなく、複雑な法改正への対応や、その他労務管理全般に関するアドバイスを受けることができます。初期費用はかかりますが、将来的なトラブルを未然に防ぎ、安心して事業を運営できると考えれば、決して高い投資ではありません。専門家の知見を借りることは、小規模事業所にとって強力なサポートとなるでしょう。
雇用契約書がもたらすメリットと信頼関係
雇用契約書は、単に法的な義務を果たすための書類ではありません。小規模事業所にとっても、適切に作成・運用することで、多くのメリットをもたらします。法的なリスクを回避するだけでなく、事業の成長にも寄与する重要なツールなのです。
第一に、労使間の信頼関係を構築する基盤となります。労働条件が明確であることで、従業員は安心して働き始めることができ、企業に対する信頼感が生まれます。これにより、早期離職の防止や、従業員のエンゲージメント向上に繋がり、生産性の向上にも貢献します。
第二に、認識のズレやトラブルを未然に防ぐ効果があります。「言った」「言わない」の水掛け論を避け、万が一トラブルが発生した場合でも、書面による証拠があることでスムーズな解決が期待できます。特に小規模事業所では、トラブルが事業運営に与える影響が大きいため、予防策は不可欠です。
第三に、優秀な人材の確保にも役立ちます。求職者は、入社前に自社の労働条件が明確に提示されている企業に対して、より安心感や誠実さを感じるものです。これは、採用競争が激化する現代において、他社との差別化を図る重要な要素となります。小規模事業所であっても、雇用契約書を適切に作成・運用することは、健全な経営と持続的な成長のための第一歩なのです。
まとめ
よくある質問
Q: 雇用契約書と労働条件通知書の違いは何ですか?
A: 労働条件通知書は使用者が一方的に発行するのに対し、雇用契約書は労働者と使用者の合意を示す書類です。ただし、記載すべき事項はほぼ同じです。最近では、労働条件通知書と雇用契約書を兼ねた書面を発行することも一般的になっています。
Q: 雇用契約書の絶対的記載事項とは具体的に何ですか?
A: 労働基準法で定められた、労働条件のうち、書面で明示しなければならない事項です。具体的には、就業場所、業務内容、労働時間、賃金(計算方法・支払方法・支払日・昇給)、退職に関する事項(解雇の事由を含む)などが該当します。
Q: パートやアルバイトでも雇用契約書は必要ですか?
A: はい、パートやアルバイトでも、雇用契約書(または労働条件通知書)の交付は義務です。特に、短時間労働者特有の労働条件(就業時間、休憩時間、休日など)を明確に記載することが重要です。
Q: 有期雇用契約の場合、特に注意すべき点はありますか?
A: 有期雇用契約では、契約期間の更新の有無や、更新する場合の判断基準、契約期間の上限などを明記することが重要です。また、厚生労働省のガイドラインなどを参考に、不合理な契約期間の設定でないか確認しましょう。
Q: 10人以下の小規模事業所でも雇用契約書は必要ですか?
A: はい、事業所の規模にかかわらず、労働者を雇用する際には雇用契約書(または労働条件通知書)の交付が義務付けられています。10人以下の事業所でも、労働条件を明確にするために必ず作成・交付しましょう。
  
  
  
  