夜勤手当の疑問を解消！金額・率・病院例まで徹底解説

夜勤手当はどれくらい？基本からパーセンテージまで

深夜手当との違いと夜勤手当の定義

「夜勤手当」とよく似た言葉に「深夜手当」がありますが、この二つには明確な違いがあります。

深夜手当は、労働基準法によって定められた割増賃金の一種です。原則として、午後10時から翌朝5時までの深夜帯に労働した従業員に対し、通常の賃金の25%以上を増しで支払うことが法律で義務付けられています。これは、深夜労働が身体的・精神的に大きな負担を伴うため、その対価として保障されるものです。

一方、夜勤手当は、企業が独自に設定する手当であり、法律上の支給義務はありません。しかし、多くの医療・介護施設などで夜間勤務の従業員へのインセンティブとして支給されており、その場合は就業規則や賃金規定に明記する必要があります。

対象者については、深夜手当は正社員、パート、アルバイトといった雇用形態にかかわらず、深夜帯に勤務した全ての労働者に適用されます。ただし、18歳未満の年少者や、妊婦・産後間もない女性、育児・介護中の従業員（一定の条件あり）は、深夜労働が制限される場合がありますので注意が必要です。

夜勤手当の一般的な相場と平均額

夜勤手当の金額は、職種や地域、施設のタイプによって大きく異なります。自身の職種や勤務地の相場を把握することが、適正な手当を得る上で重要です。

例えば、介護職の夜勤手当の全国平均は、1回あたり5,000円～8,000円程度とされています。しかし、地域によっては4,000円台の施設もあれば、10,000円を超える高額な手当を支給する施設も存在します。

特に都市部では、人手不足の解消や生活コストの高さから、夜勤手当が高めに設定される傾向にあります。介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、障害者支援施設など、施設の機能やサービス内容によっても手当の額は変動することが一般的です。

看護師の場合、2025年10月からの診療報酬改定により、夜勤手当のさらなる増額が予定されています。現行の手当から約1.5倍の増額が見込まれており、月に8回の夜勤を行う場合、月額で40,000円～50,000円程度の収入増が見込まれるとされています。これにより、年収が平均で54万円～66万円増加する可能性も示唆されており、看護師の処遇改善が大きく進むと期待されています。

また、病院における宿直勤務（夜勤とは異なり、主に待機を伴うもの）の場合、手当の目安は勤務1回につき6,400円（医師・歯科医師の場合は2万円）とされています。

夜勤手当の計算方法と適用される割増率

夜勤手当は、深夜手当（法律上の割増賃金）と企業が独自に定める手当の合算として支給されることがほとんどです。それぞれの計算方法を理解しておくことが大切です。

【深夜手当の計算方法】

• 1時間あたりの賃金 × 深夜労働時間数 × 1.25（25%の割増率）

例えば、時給1,500円の人が深夜に5時間労働した場合、1,500円 × 5時間 × 1.25 = 9,375円が深夜手当として支払われます。このうち、通常の賃金を超える割増分は1,500円 × 5時間 × 0.25 = 1,875円となります。

【企業独自の夜勤手当】

これは企業によって計算方法が異なり、「1回の夜勤につき〇〇円」と定額で支給される場合や、「基本給の〇〇%」といった形で支給される場合もあります。

さらに、深夜労働が時間外労働や休日労働と重なる場合は、割増賃金率が合算されます。

• 深夜残業の場合: 深夜割増（25%）＋時間外割増（25%）＝合計50%増し
• 休日の深夜労働の場合: 深夜割増（25%）＋休日割増（35%）＝合計60%増し

このように、複雑な計算になることもあるため、給与明細を注意深く確認し、不明な点があれば人事担当者に問い合わせることが重要です。

月給23万円の場合、夜勤手当はいくらになる？

基本給からの夜勤手当（深夜手当）の計算例

月給23万円の場合、夜勤手当がどれくらいになるか、具体的な例を挙げて見ていきましょう。まずは、月給を時給に換算する必要があります。仮に1ヶ月の所定労働時間を160時間とすると、

時給 = 230,000円 ÷ 160時間 ＝ 1,437.5円

となります。

この時給をベースに、深夜手当（法律で定められた25%の割増賃金）を計算します。深夜労働1時間あたりの賃金は、

深夜手当を含む時給 = 1,437.5円 × 1.25 ＝ 1,796.875円

仮に1回の夜勤で深夜帯に8時間勤務するとしましょう。この場合の深夜手当として支給される総額は、

1,796.875円 × 8時間 ＝ 14,375円

となります。このうち、純粋な深夜割増分は、1,437.5円 × 0.25（割増率） × 8時間 ＝ 2,875円です。

これに加えて、企業が独自に設定する「夜勤手当」が加算されます。例えば、1回の夜勤につき5,000円の夜勤手当が支給される病院であれば、上記の深夜手当14,375円に5,000円が上乗せされ、1回の夜勤で約19,375円が支給される計算になります。

夜勤回数による収入シミュレーション

夜勤手当は、夜勤回数が増えるほど月収に大きな影響を与えます。月給23万円に加え、1回の夜勤手当が19,375円（上記計算例＋企業独自の夜勤手当5,000円）だと仮定して、シミュレーションしてみましょう。

月の夜勤回数	夜勤手当の合計額	月収（月給23万円＋夜勤手当）
1回	19,375円	249,375円
4回	77,500円	307,500円
8回	155,000円	385,000円

特に医療や介護の現場では、月に数回の夜勤は一般的です。例えば、月に4回夜勤を行うだけで、月収が約7.7万円も増加し、30万円を超える計算になります。看護師の場合、2025年10月からの改定で月に8回の夜勤で月額40,000円～50,000円の増加が見込まれており、月給23万円の人であれば、さらに上乗せされた手当により、月収が大きく向上する可能性があります。

夜勤は身体的な負担が大きいですが、収入面では非常に大きなメリットがあることがわかります。

雇用形態と夜勤手当の影響

夜勤手当は、雇用形態によって支給のされ方に違いがあるのでしょうか。

まず、労働基準法で定められている「深夜手当（25%増しの割増賃金）」については、正社員、パート、アルバイトといった雇用形態にかかわらず、深夜帯に勤務した全ての労働者に支払われる義務があります。したがって、パートやアルバイトとして深夜帯に働く場合でも、通常の時給に25%が上乗せされた賃金を受け取ることができます。

一方、企業が独自に定める「夜勤手当」については、就業規則や雇用契約によって支給基準が異なる場合があります。多くの企業では、正社員だけでなく、一定の条件を満たすパートやアルバイトにも支給されるケースが一般的ですが、その金額や算出方法は企業によって様々です。

例えば、正社員には「1回あたり〇〇円」と定額が支給され、パート・アルバイトには「時給に〇〇円上乗せ」といった形がとられることもあります。そのため、自身の雇用契約書や会社の就業規則をしっかりと確認することが重要です。

いずれにしても、深夜勤務は、どの雇用形態であっても通常の時間帯よりも効率的に収入を増やす手段となります。特に家計を支える上で、夜勤手当が月収・年収に与える影響は非常に大きいと言えるでしょう。

病院・施設ごとの夜勤手当の具体例（横浜・岐阜・大阪など）

介護施設での夜勤手当例（地域差含む）

介護施設における夜勤手当は、地域や施設の運営形態によって幅が広いのが特徴です。一般的に、人件費や生活コストが高い都市部では、地方に比べて夜勤手当が高めに設定される傾向があります。

例えば、横浜や大阪といった大都市圏の特別養護老人ホームや介護老人保健施設では、1回の夜勤につき8,000円～12,000円程度の夜勤手当が支給されるケースが見られます。これらの施設は、職員の定着率向上や人材確保のため、手厚い手当を設定していることが多いです。

一方、岐阜などの地方都市や郊外の施設では、1回の夜勤につき4,000円～7,000円程度が相場となることがあります。ただし、地域の物価水準なども考慮すると、必ずしも「低い」とは言い切れません。また、グループホームや小規模多機能型居宅介護施設など、施設の規模やサービス内容によっても手当額は変動します。

このように、同じ介護職であっても、勤務地や施設の特性によって夜勤手当は大きく異なるため、転職を検討する際は、希望する地域の具体的な求人情報を複数比較検討することが非常に重要です。

病院での夜勤手当例（公立・民間・大学病院）

病院における夜勤手当は、公立病院、大学病院、民間病院といった運営母体の違いによって傾向が見られます。

公立病院や大学病院は、比較的給与体系が安定しており、深夜の割増賃金に加えて、1回の夜勤につき10,000円～15,000円程度の独自の夜勤手当が設定されていることが多いです。例えば、大阪市内の大学病院では、夜勤1回あたり12,000円の手当に加え、深夜割増賃金が別途支給されるといった例が一般的です。横浜市内の公立病院でも、同様に手厚い手当が期待できます。

民間病院では、病院の経営状況や方針によって夜勤手当に幅があります。大規模な民間病院では手当も高水準ですが、中小規模の病院では、1回あたり8,000円～12,000円程度が目安となることがあります。岐阜県内の民間病院などでは、これよりやや控えめな金額設定となる場合もありますが、地域の相場や他の福利厚生とのバランスで判断が必要です。

特に看護師の場合、2025年10月からの診療報酬改定により夜勤手当の増額が予定されており、これにより今後さらに多くの病院で手当が改善されることが期待されます。また、宿直勤務に対する宿直手当は、勤務1回につき6,400円が目安とされており、これは通常の夜勤とは性質が異なるため、明確に区別して理解しておく必要があります。

地域による夜勤手当の傾向と求人情報の見方

夜勤手当の金額は、やはり地域差が顕著に表れます。都市部と地方では、経済状況や人材需給のバランスが異なるためです。

都市部（横浜、大阪など）の傾向:

• 生活費や人件費が高いため、夜勤手当も高めに設定される傾向があります。
• 特に医療・介護分野では慢性的な人手不足のため、高額な手当で人材を確保しようとする動きが強いです。
• 求人情報では「夜勤手当1回10,000円以上」といった記載が多く見られます。

地方（岐阜など）の傾向:

• 都市部に比べると、夜勤手当の金額はやや低い傾向が見られます。
• しかし、家賃や物価も比較的安いため、必ずしも生活水準が低いというわけではありません。
• 地域密着型の施設が多く、アットホームな雰囲気で働けるメリットがあることも。

求人情報を確認する際は、以下の点に注目しましょう。

• 「夜勤手当」が1回あたりの金額か、時給に含まれるのか。
• 「深夜手当」と「夜勤手当」が明確に区別されているか。
• 月の夜勤回数の目安と、それによる月収例が提示されているか。
• 基本給やその他の手当（資格手当、住宅手当など）も合わせて確認し、総収入で比較する。

単純な夜勤手当の金額だけでなく、自身のライフスタイルやキャリアプランに合った職場を選ぶことが、後悔しない転職への鍵となります。

夜勤手当の計算方法と、より多くの手当をもらうためのポイント

正確な夜勤手当の計算ロジック

夜勤手当は、基本的に「深夜手当（法定割増賃金）」と「企業独自の夜勤手当」の合計額として計算されます。この構造を理解することが、自身の給与が適切に支払われているかを確認する上で非常に重要です。

基本的な計算式は以下のようになります:

1時間あたりの賃金 × 深夜労働時間数 × 1.25（深夜割増分） ＋ 企業独自の夜勤手当（1回〇〇円など）

さらに複雑になるのが、時間外労働や休日労働が深夜労働と重なるケースです。この場合、それぞれの割増率が合算されます。

• 深夜時間帯の残業: 通常の賃金に対して、時間外割増25% ＋ 深夜割増25% ＝ 合計50%の割増率が適用されます。
• 休日の深夜労働: 通常の賃金に対して、休日割増35% ＋ 深夜割増25% ＝ 合計60%の割増率が適用されます。

このように、働く時間帯や曜日によって適用される割増率が細かく設定されているため、給与明細を注意深く確認し、自身の勤務時間と照らし合わせることが大切です。もし計算に疑問がある場合は、まずは会社の就業規則を確認し、それでも不明な点があれば人事部や上司に問い合わせてみましょう。

より多くの夜勤手当を得るための働き方

夜勤手当は、自身の収入を増やす上で非常に効果的な手段です。より多くの夜勤手当を得るためのポイントをいくつかご紹介します。

1. 夜勤手当が高い職場を選ぶ:
   • 求人情報を比較検討し、1回あたりの夜勤手当が高額な病院や施設を選びましょう。特に都市部や大規模な医療機関は、手当が高めに設定されている傾向があります。
2. 夜勤回数を増やす:
   • 身体への負担を考慮しつつ、可能な範囲で夜勤の回数を増やすことで、確実に収入はアップします。夜勤専従という働き方も、手当を最大化する選択肢の一つです。
3. 資格取得による手当増額:
   • 看護師であれば専門看護師や認定看護師、介護職であれば介護福祉士などの上位資格を取得することで、資格手当が支給されたり、基本給が上がり深夜手当の計算ベースが高くなったりする可能性があります。
4. 国や業界の施策に注目する:
   • 2025年診療報酬改定における看護師の夜勤手当増額のように、国や業界の処遇改善策によって手当が見直されることがあります。常に最新の情報をチェックし、自身のキャリアプランに活かしましょう。

ただし、夜勤は身体的・精神的な負担が大きいため、手当だけでなく自身の健康状態やライフワークバランスを最優先に考えることが重要です。無理のない範囲で、最適な働き方を見つけることが大切です。

手当額だけでなく、働きやすさやキャリアパスも考慮する

高額な夜勤手当は魅力的ですが、それだけで職場を選ぶのは少し危険かもしれません。長期的な視点で見ると、手当額だけでなく、働きやすさやキャリアパスも非常に重要な要素となります。

夜勤が多い職場は確かに収入は増えますが、その分、生活リズムが不規則になりがちで、心身への負担も大きくなります。人間関係、職場の雰囲気、教育体制、福利厚生、有給消化率なども、長く働き続ける上では非常に重要な要素です。

例えば、手当は平均的でも、「残業がほとんどない」「研修制度が充実している」「子育て支援が手厚い」といった職場であれば、結果的に満足度の高い働き方ができるかもしれません。また、将来的に管理職を目指したい、専門性を高めたいといったキャリアプランがある場合は、そのためのサポート体制が整っているかどうかも確認すべきポイントです。

手当だけに目を奪われず、自分の価値観やライフスタイルに合った職場を選び、ワークライフバランスを保ちながらキャリアを築いていくことが、長く充実した職業生活を送るための鍵となります。求人情報を吟味する際には、給与だけでなく、多角的な視点から職場を評価するようにしましょう。

夜勤手当に関するよくある質問（FAQ）

「深夜手当」と「夜勤手当」の違いは何ですか？

この二つの手当は混同されがちですが、法律上の位置づけが異なります。

深夜手当は、労働基準法第37条で定められた、午後10時から翌朝5時までの深夜労働に対する割増賃金です。通常の賃金の25%以上の割増しが義務付けられており、企業はこれを支払う法的義務があります。雇用形態（正社員、パート、アルバイト）に関わらず、深夜に働いた全ての労働者に適用されます。

一方、夜勤手当は、企業が独自に設定する手当であり、法律上の支給義務はありません。多くの企業では、深夜労働の身体的負担を考慮し、深夜手当に上乗せする形で支給されています。その金額や支給条件は企業の就業規則によって異なり、1回の夜勤につき定額で支給されるケースが一般的です。

給与明細を確認する際は、これらの手当が別項目で記載されているか、あるいは合算されているかを確認し、不明な点があれば必ず人事担当者に問い合わせましょう。

パートやアルバイトでも夜勤手当はもらえますか？

はい、パートやアルバイトの方も、夜勤手当をもらうことができます。

前述の通り、労働基準法で義務付けられている「深夜手当」は、雇用形態にかかわらず、深夜帯（午後10時から翌朝5時）に勤務した全ての労働者に適用されます。そのため、パートやアルバイトとして深夜の時間帯に働けば、通常の時給に25%以上の割増しが加算された賃金が支払われます。

企業が独自に定める「夜勤手当」についても、就業規則や雇用契約の内容によりますが、多くの企業では正社員と同様にパートやアルバイトにも支給しています。ただし、支給される金額や条件が正社員とは異なる場合もあるため、事前に雇用契約書や就業規則を確認することが重要です。

深夜勤務は、パートやアルバイトであっても時給が高くなるため、効率的に収入を増やしたい方にとっては魅力的な働き方と言えるでしょう。

夜勤手当が適切に支払われていないと感じたらどうすればいいですか？

もし夜勤手当が適切に支払われていないと感じたら、以下のステップで対応を検討してください。

1. 就業規則・給与規定の確認: まず、会社の就業規則や給与規定を再度確認し、夜勤手当や深夜手当の計算方法、支給条件について理解を深めましょう。
2. 給与明細と勤務記録の照合: 自身の給与明細と、実際の勤務時間（特に深夜労働時間）が記録されたタイムカードやシフト表などを照らし合わせ、計算が間違っていないか確認します。これらの証拠は必ず保管しておきましょう。
3. 上司・人事担当者への相談: 確認の結果、疑問や誤りが見つかった場合は、まずは直属の上司や人事担当者に事実関係を説明し、確認を求めましょう。この際、感情的にならず、具体的なデータ（給与明細、勤務記録）を提示しながら冷静に話すことが重要です。
4. 専門機関への相談: 会社に相談しても解決しない場合や、納得のいく回答が得られない場合は、一人で抱え込まずに外部の専門機関に相談することを検討してください。

相談できる専門機関の例:

• 労働基準監督署: 労働基準法違反に関する相談を受け付けています。
• 弁護士: 労働問題に詳しい弁護士に相談し、法的な助言や代理交渉を依頼することも可能です。
• 労働組合: 職場に労働組合がある場合は、組合に相談するのも有効な手段です。

未払い賃金は時効があるため、早めに行動を起こすことが大切です。