1. キャリアアップ助成金でスキルアップ!申請から受給までの完全ガイド
  2. キャリアアップ助成金とは?制度の基本を解説
    1. 非正規雇用労働者のキャリアアップを支援する目的
    2. 対象となる労働者と事業主
    3. 主なコースと概要
  3. キャリアアップ助成金、計画書作成のポイント
    1. 計画書の重要性と作成のタイミング
    2. 記載すべき主要項目と注意点
    3. 労働局への提出と承認プロセス
  4. キャリアアップ助成金、申請から受給までの流れ(Q&A形式で解決!)
    1. Q1. 申請プロセスの全体像は?
    2. Q2. 各ステップで何が必要?
    3. Q3. 支給申請後の審査と決定について
  5. キャリアアップ助成金、申請先と電子申請について
    1. 申請窓口と提出方法
    2. 電子申請のメリットと注意点
    3. 相談窓口の活用方法
  6. キャリアアップ助成金、個人事業主や1人親方でも活用できる?
    1. 助成金制度の基本的な対象(事業主)
    2. 個人事業主・1人親方が活用するための要件
    3. 共同事業主としての可能性や代替案
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: キャリアアップ助成金とは、どのような制度ですか?
    2. Q: キャリアアップ助成金の計画書作成で特に注意すべき点は?
    3. Q: キャリアアップ助成金の申請から受給までの流れを教えてください。
    4. Q: キャリアアップ助成金の提出先はどこですか?また、電子申請は可能ですか?
    5. Q: 個人事業主や1人親方でもキャリアアップ助成金は利用できますか?

キャリアアップ助成金でスキルアップ!申請から受給までの完全ガイド

非正規雇用労働者のキャリアアップを支援し、企業の成長を後押しする「キャリアアップ助成金」。2025年版の最新情報をもとに、この重要な制度の申請から受給までの全プロセスを、わかりやすく解説します。ぜひ、貴社の取り組みにご活用ください。

キャリアアップ助成金とは?制度の基本を解説

非正規雇用労働者のキャリアアップを支援する目的

キャリアアップ助成金は、日本における雇用形態の多様化が進む中で、非正規雇用労働者の皆様がより安定した働き方やスキルアップを目指せるよう、国が強力に支援する制度です。この助成金の最大の目的は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の方々が、正社員として活躍できる機会を創出することにあります。さらに、正社員にならなくとも、賃金規定の改定や賞与・退職金制度の導入などを通じて、処遇改善を図ることを積極的に促しています。これにより、非正規雇用労働者が抱える雇用不安を解消し、長期的なキャリア形成を支援することで、労働市場全体の活性化を図ります。

これは単に労働者個人のためだけではありません。非正規雇用労働者のモチベーション向上と能力開発は、結果として企業の生産性向上にも繋がり、優秀な人材の定着にも大きく貢献します。企業が非正規雇用労働者のキャリア形成に積極的に取り組むことで、社会全体の雇用安定と経済の活性化を目指す、非常に重要な制度と言えるでしょう。特に2025年版として、この制度は労働市場のニーズに応え、より効果的な支援ができるよう進化し続けており、事業主にとって人材投資の強力な後押しとなります。

対象となる労働者と事業主

キャリアアップ助成金の対象となる「非正規雇用労働者」とは、具体的には有期雇用契約で働く方、短時間勤務の方(例えば週20時間以上30時間未満のパートタイマー)、そして派遣社員として働く方を指します。これらの労働者を雇用し、正社員化や処遇改善に取り組む「事業主」が助成金の申請者となります。重要なのは、労働者自身が直接申請するのではなく、その労働者を雇用している企業や個人事業主が、キャリアアップ計画を策定し、取り組みを実施することで助成金を受給できる点です。対象となる事業主は、中小企業だけでなく、大企業も含まれますが、企業の規模(中小企業か大企業か)や、生産性向上要件を満たすか否かによって、支給額や一部の要件が異なる場合がありますので、事前の確認が必要です。

この制度は、全ての事業主に対して、非正規雇用労働者の活躍を後押しするための強力なインセンティブを提供します。例えば、正社員化に踏み切る際の経済的負担を軽減し、より多くの企業が労働者のキャリアアップ支援に積極的になれるよう設計されており、事業主にとっては優秀な人材確保と定着のための有効な手段となり得ます。自社の雇用戦略にどのように組み込むかを検討することが成功の鍵となります。

主なコースと概要

キャリアアップ助成金には、事業主が取り組む内容に応じて複数のコースが設けられています。以下に、代表的なコースの概要と、中小企業における主な支給額をご紹介します。

  • 正社員化コース: 有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換、または直接雇用した場合に支給されます。例えば、有期雇用で6ヶ月以上勤務した従業員を正社員にすると、1人あたり最大80万円(2期に分けて申請可能)が支給されます。さらに、母子・父子家庭の親や若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者等を正社員化した場合など、重点支援対象者であれば支給額が増額される場合があります。無期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合でも、1人あたり最大40万円が支給され、長期雇用への移行を強力に支援します。
  • 賃金規定等改定コース: 有期雇用労働者等の基本給を3%以上増額改定した場合に適用されます。賃金引き上げ率に応じて、1人あたり4万円~7万円が支給されるため、賃金アップに取り組む事業主の負担を軽減します。例えば、賃金を5%以上引き上げた場合、中小企業は1人あたり6.5万円が支給されるなど、具体的な数値目標が設定されています。
  • 賞与・退職金制度導入コース: 有期雇用労働者等に対して、新たに賞与または退職金制度を設け、支給または積立てを実施した場合に支給されます。いずれか一方の制度導入で40万円、両制度同時導入で56万8,000円(中小企業の場合)と、処遇改善の幅を広げる支援です。これにより、正社員との待遇差を縮め、非正規雇用労働者のエンゲージメントを高めることが期待されます。
  • 社会保険適用時処遇改善コース: 短時間労働者等が社会保険の適用要件を満たすよう、処遇を改善した場合に適用されます。手当等支給メニューの場合、従業員1人あたり最初の2年間で最大40万円、3年目で10万円が支給されるため、社会保険加入の促進を後押しします。

これらのコースは、事業主が労働者の定着とモチベーション向上を図るための多様な選択肢を提供します。自社の状況に合わせて最適なコースを選び、活用することが、人材育成と企業成長の鍵となります。最新の支給額や詳細な要件については、厚生労働省のウェブサイト等で必ずご確認ください。

キャリアアップ助成金、計画書作成のポイント

計画書の重要性と作成のタイミング

キャリアアップ助成金を受給するためには、まず「キャリアアップ計画」の作成と提出が不可欠です。この計画書は、非正規雇用労働者のキャリアアップをどのように支援していくかを具体的に示す、いわばロードマップのようなものです。助成対象となる取り組みを開始する日の「前日までに」管轄の労働局に提出することが義務付けられており、このタイミングを逃すと助成金の対象外となってしまうため、細心の注意が必要です。例えば、2025年4月1日に正社員転換を行う場合は、遅くとも2025年3月31日までに計画書を提出しなければなりません。

計画書なしに制度を導入しても、助成金は支給されません。事前に労働局に承認を得ることで、その後の取り組みが助成金の要件を満たしていることを明確にし、安心して事業を進めることができます。この計画は、企業が非正規雇用労働者のキャリア形成に真剣に取り組む姿勢を示す、重要な第一歩であり、企業の社会的責任(CSR)を果たす上でも意味のあるプロセスです。計画の具体的な内容と実現可能性が審査の重要なポイントとなります。

記載すべき主要項目と注意点

キャリアアップ計画書には、以下の主要項目を具体的に記載する必要があります。これらの項目は、計画の実行可能性と助成金要件への適合性を判断するために不可欠です。

  • 対象となる労働者の範囲: どの非正規雇用労働者を対象とするのかを明確にします。例えば、「勤続1年以上の有期雇用契約社員全員」といった具体的な範囲を設定します。
  • 実施するキャリアアップの取り組み: 正社員化、賃金規定の改定、社会保険の適用拡大など、どのコースの取り組みを行うのかを具体的に記述します。複数のコースを組み合わせることも可能です。
  • 目標: 取り組みを通じてどのような状態を目指すのかを明確にします。例えば、「向こう1年間で〇名の有期雇用から正規雇用への転換を目指す」といった具体的かつ測定可能な目標を設定します。
  • 実施期間: キャリアアップ計画の開始日と終了日を記載します。通常は3〜5年程度の期間で設定されることが多いですが、各コースの要件に合わせる必要があります。
  • 責任者: 計画の実施責任者の氏名と役職を明記します。実際に責任を持って計画を推進する人物を指定しましょう。
  • 就業規則等: 関連する就業規則や賃金規定の改定内容も必要に応じて記載し、労働局への届出を完了させておく必要があります。

特に注意したいのは、記載内容が曖昧であったり、計画と実際の実施内容に齟齬があったりする場合です。提出前に、計画が現実的かつ具体的に実行可能であるか、そして助成金の要件を正確に満たしているかを十分に確認することが重要です。必要であれば、労働法に詳しい社会保険労務士などの専門家のアドバイスも積極的に活用しましょう。

労働局への提出と承認プロセス

キャリアアップ計画書が完成したら、事業所の所在地を管轄する労働局(雇用環境・均等部(室))に提出します。提出方法は、直接窓口への持参、郵送、そして一部のケースでは電子申請も可能です。提出後、労働局による内容の確認が行われ、助成金要件を満たしていると判断されれば、承認されます。この承認プロセスを経て、ようやく助成金受給に向けた具体的な取り組みを開始できる状態になります。

承認されるまでの期間は、労働局の混雑状況や計画書の内容、不備の有無によって異なりますが、通常は数週間から1ヶ月程度を見込む必要があります。そのため、取り組み開始予定日から余裕をもって計画書を提出することが賢明です。万が一、計画書に不備があった場合は、労働局から修正指示が入ることがありますので、迅速に対応できるよう準備しておきましょう。計画の承認書は、その後の支給申請時に必要となる重要な書類ですので、大切に保管してください。計画承認後の取り組みが、最終的な助成金支給の判断基準となるため、計画通りに、かつ法令を遵守して実施することが極めて重要です。

キャリアアップ助成金、申請から受給までの流れ(Q&A形式で解決!)

キャリアアップ助成金の申請プロセスは、複数のステップから構成されており、それぞれに重要なポイントと厳守すべき期間が設定されています。ここでは、Q&A形式で、申請から受給までの具体的な流れを解説し、皆さんの疑問を解決します。

Q1. 申請プロセスの全体像は?

キャリアアップ助成金の申請から受給までの全体像は、以下の6つの主要なステップで構成されます。これらのステップを一つ一つ着実に進めることが、助成金受給への道となります。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出: 助成対象となる取り組みを開始する日の前日までに、計画書(様式第1号)を管轄の労働局に提出し、承認を得ます。これは全ての助成金コースに共通する最初のステップです。
  2. 就業規則等の改定・届出: 必要に応じて、正社員転換制度や賃金規定の改定などを就業規則に明確に規定し、労働基準監督署に届け出ます。これにより、制度の根拠を明確にし、労働者への周知徹底を図ります。
  3. 正社員転換または処遇改善の実施: 承認された計画に基づき、対象労働者を正社員に転換する、または賃金規定の改定、賞与・退職金制度の導入などの処遇改善を実行します。労働契約書の変更や労働条件通知書の交付もこの段階で行います。
  4. 賃金支払い・期間の経過: 正社員転換の場合は転換後6ヶ月以上、処遇改善の場合は規定適用後6ヶ月分の賃金を、それぞれの規定に基づき支払います。この期間中の賃金台帳や出勤簿の記録が、後の支給申請で重要となります。
  5. 支給申請: 上記の賃金支払いを完了した日の翌日から起算して2ヶ月以内に、必要書類(支給申請書、賃金台帳、出勤簿、就業規則など)を添えて管轄の労働局に申請します。この期間を過ぎると申請ができなくなるため、厳守が必要です。
  6. 審査・支給決定: 労働局による厳正な審査を経て、助成金の支給が決定されます。審査は提出された書類に基づいて行われ、場合によっては追加資料の提出や実地調査も行われます。

特に、期間の遵守と必要書類の正確な準備が、スムーズな受給のための鍵となります。

Q2. 各ステップで何が必要?

各ステップで求められる主な行動と準備、そしてその際の注意点を以下の表にまとめました。

ステップ 主な行動と準備 注意点
キャリアアップ計画作成・提出
  • 計画書(様式第1号)の作成
  • 就業規則、賃金規定、雇用契約書などの関連資料の準備
  • 取り組みの目標設定と具体的な実施方法の明記
取り組み開始日の前日までに提出必須。計画と実際の実施内容に齟齬がないか確認。
就業規則等改定・届出
  • 正社員転換制度や賃金規定の改定(適用コースによる)
  • 労働基準監督署への届出(労働者の過半数代表者の意見聴取も含む)
  • 改定後の就業規則や賃金規定の労働者への周知
法令遵守と労働者への説明・周知を徹底。
正社員転換または処遇改善の実施
  • 対象労働者との労働契約書等の変更手続き
  • 労働条件通知書の交付
  • 転換(改定)対象者の選定基準の明確化
計画書の内容と完全に合致させること。転換日や改定日の明確化。
賃金支払い・期間の経過
  • 転換(改定)後の賃金台帳の正確な記録
  • 出勤簿、タイムカードなど勤務実態を証明する書類の保管
  • 6ヶ月間の継続的な賃金支払い(賃金規定に基づき)
支給額の要件(例:3%増額)を満たしているか確認。賃金支払い状況の明確な記録が必須。
支給申請
  • 支給申請書(各コース様式)の作成
  • 賃金台帳、出勤簿、就業規則、労働契約書、キャリアアップ計画書等の添付書類
  • 各コースの要件を満たす証拠書類(研修実施記録など)
賃金支払完了の翌日から2ヶ月以内の厳守。書類に不備がないか最終チェック。

これらの書類は厚生労働省のウェブサイトからダウンロード可能です。記入漏れや添付書類の不足がないよう、申請前には必ずチェックリストで確認しましょう。

Q3. 支給申請後の審査と決定について

支給申請書と必要書類を提出した後、労働局による厳正な審査が行われます。この審査では、提出された書類に基づき、キャリアアップ計画が適切に実施されたか、助成金の支給要件が全て満たされているかなどが厳しくチェックされます。労働局の担当者は、提出書類の内容と整合性を確認し、必要に応じて事業所への実地調査や関係者へのヒアリングを実施することもあります。例えば、賃金台帳や出勤簿だけでなく、実際の労働者の勤務実態や正社員化後の定着状況なども確認される場合があります。

審査の期間は、申請内容の複雑さや労働局の処理状況、提出書類の完璧さによって大きく異なりますが、通常は数ヶ月を要することも珍しくありません。この期間は、焦らず労働局からの連絡を待ちましょう。審査の結果、要件を満たしていると認められれば、助成金の支給が決定され、事業主が指定した金融機関の口座に振り込まれます。支給決定通知書は大切に保管してください。

注意すべきは、不正受給です。もし虚偽の申請や不正な手段による受給が発覚した場合、助成金の返還命令はもちろんのこと、助成金の返還に加えて、延滞金や罰金の課徴、さらには一定期間、他の助成金の受給資格を失うといった非常に厳しい措置が取られます。これは企業の信用失墜にも繋がりかねません。常に法令を遵守し、正直かつ正確な申請を心がけましょう。疑問点があれば、申請前に必ず管轄の労働局やハローワークに相談することが、トラブルを避け、確実に助成金を受給するための最も重要なポイントです。

キャリアアップ助成金、申請先と電子申請について

申請窓口と提出方法

キャリアアップ助成金の申請窓口は、事業主の所在地を管轄する「労働局」です。具体的には、各労働局内に設置されている雇用環境・均等部(室)が助成金関連業務を担当しています。申請書や添付書類の提出方法には、主に以下の3つの選択肢がありますので、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

  • 窓口への持参: 労働局の開庁時間内に直接窓口に提出する方法です。書類に不備がないかその場で確認してもらえたり、不明な点があれば担当者に直接質問できるメリットがあります。ただし、移動時間や待ち時間が発生し、遠隔地の場合は手間がかかります。
  • 郵送: 必要書類一式を管轄の労働局宛に郵送する方法です。時間や場所の制約を受けにくく、多忙な事業主にとっては便利な選択肢です。しかし、書類に不備があった場合の確認に時間がかかる可能性があるため、簡易書留など、送付記録が残り、追跡可能な方法で送ることをお勧めします。提出期限に間に合うよう、余裕を持った発送が必要です。
  • 電子申請: オンライン上で申請手続きを完結させる方法です。行政手続きのデジタル化推進の一環として、近年積極的に推奨されています。後述する多くのメリットがあるため、ぜひ検討したい方法です。

どの方法を選ぶにしても、キャリアアップ計画の提出期限や支給申請の期限は厳守しなければなりません。特に郵送の場合、郵便事情も考慮し、提出期限日を過ぎないよう十分な注意が必要です。また、申請書の提出時には、必ず控えを保管し、提出日を記録しておくことが重要です。

電子申請のメリットと注意点

近年、政府は行政手続きのデジタル化を推進しており、キャリアアップ助成金も電子申請に対応しています。電子申請の最大のメリットは、24時間いつでも、インターネット環境があればどこからでも申請手続きが可能になる点です。これにより、労働局の窓口に行く手間や、郵送にかかる費用と時間が削減でき、事業主の負担が大幅に軽減されます。

具体的なメリットとしては:

  • 利便性の向上: 労働局の営業時間や場所の制約を受けず、自社の都合の良いタイミングで申請作業を進められます。これにより、日中の業務時間を削ることなく、効率的に手続きを行えます。
  • 処理の迅速化: 申請情報がデータとして直接システムに連携されるため、紙媒体に比べて処理が迅速に進む可能性があります。これは、支給までの期間短縮にも繋がり得ます。
  • コスト削減: 郵送費や印刷費用、窓口への交通費などを削減できます。また、書類の保管スペースも不要になります。
  • 書類作成支援: 電子申請システムは、入力漏れや誤りを自動でチェックする機能を備えていることが多く、申請書類の不備を減らすのに役立ちます。

ただし、電子申請を行うためにはいくつかの準備と注意点があります。まず、電子申請を行うための本人認証として、「GビズID(gBizIDプライム)」の取得が必須となります。GビズIDの取得には、印鑑証明書を用意したり、申請書を郵送したりする必要があり、取得までに2週間から3週間程度かかる場合があるため、電子申請を検討している場合は、早めに手続きを開始しましょう。また、添付書類も電子データ化(PDFなど)してアップロードする必要があるため、スキャナーなどの準備も必要になります。初めて電子申請を行う場合は、厚生労働省のウェブサイトに掲載されている詳細なマニュアルを熟読し、手順を正確に理解することが重要です。

相談窓口の活用方法

キャリアアップ助成金の申請プロセスは、多くの書類作成や要件確認が必要となるため、複雑に感じられることも少なくありません。疑問点や不安がある場合は、積極的に相談窓口を活用し、正確な情報を得ることが成功への鍵となります。

主な相談窓口は以下の通りです。

  • 管轄の労働局: 助成金制度に関する最も確実な情報源です。申請に関する具体的な相談や、計画書の内容確認、必要な添付書類の確認など、個別のケースに対応してくれます。不明点があれば、まずは労働局に問い合わせるのが最も確実です。
  • ハローワーク: 雇用に関する幅広い相談を受け付けており、助成金制度についても基本的な情報提供や相談が可能です。特に、求人活動や雇用促進に関連する助成金と合わせて相談することもできます。
  • 社会保険労務士: 助成金の申請代行を専門とする国家資格者です。複雑な申請手続きや、就業規則の作成・改定、賃金規定の見直しなどについて、専門的なサポートを受けることができます。費用はかかりますが、確実に受給したい場合や、自社で手続きを行うリソースや専門知識がない場合に非常に有効です。複雑な要件の解釈や、提出書類の準備において、専門家の知識は大きな助けとなります。

特に、申請を検討している段階で、自社がどのコースに該当するのか、どのような要件を満たす必要があるのかといった基本的な質問から、具体的な書類作成のアドバイスまで、幅広く相談することが可能です。誤った情報に基づいて手続きを進めないためにも、信頼できる情報源からのアドバイスを仰ぐことが、スムーズな助成金受給への近道です。

キャリアアップ助成金、個人事業主や1人親方でも活用できる?

助成金制度の基本的な対象(事業主)

キャリアアップ助成金は、その名の通り、企業や事業主が「非正規雇用労働者のキャリアアップを促進する」取り組みに対して支給される制度です。この助成金は、あくまで「雇用主」が「従業員(非正規雇用労働者)」に対して行う施策を支援するものであり、個人が自身のキャリアアップや事業活動のために直接受給するものではありません。制度の基本的な対象となるのは、法人格を持つ企業(株式会社、合同会社など)や、従業員を雇用している個人事業主です。

助成金の目的は、事業主が雇用環境を改善し、人材育成に投資することを奨励することにあります。これにより、非正規雇用労働者の処遇が改善され、結果として企業全体の生産性向上や優秀な人材の定着に繋がるという構図です。したがって、制度の根幹には、雇用主と被雇用者の関係性が存在することが前提となります。この点を理解しておくことが、ご自身の事業形態が助成金の活用可能性を判断する上で非常に重要です。

個人事業主・1人親方が活用するための要件

「個人事業主」や「1人親方」(建設業などで自営業を営み、通常は従業員を雇用していない方)がキャリアアップ助成金を活用するためには、基本的な要件として「従業員を雇用していること」が必須となります。つまり、ご自身が事業主として、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者を、法人と同じように雇用し、給与を支払っている場合に限り、助成金の対象となり得ます。

例えば、飲食店を経営する個人事業主が、アルバイトとして雇用している有期雇用労働者(パートタイマー)を正社員に転換した場合や、週の所定労働時間を増やして社会保険に加入させた場合などは、キャリアアップ助成金の申請資格があります。重要なのは、「ご自身が誰かを雇用し、その雇用する従業員のキャリアアップを支援する立場にあるか」という点です。もし、完全に一人で事業を営んでおり、従業員を雇用していない場合は、残念ながらこの助成金の対象とはなりません。ご自身が「雇用される側」である場合、この助成金は適用されません。

共同事業主としての可能性や代替案

従業員を雇用していない個人事業主や1人親方の場合、キャリアアップ助成金を直接活用することは難しいのが現状です。これは、この助成金が雇用主と従業員の関係性を前提としているためです。しかし、全く支援制度がないわけではありません。

例えば、将来的に事業拡大を見据え、従業員を雇用することを検討している個人事業主であれば、キャリアアップ助成金の要件を満たすよう、雇用形態や就業規則を整備していくことが賢明です。また、特定の業種や地域においては、個人事業主やフリーランス向けのスキルアップ支援や研修補助金などが別途用意されている場合があります。例えば、以下のような国の制度があります。

  • 人材開発支援助成金: 従業員の職業訓練を支援する制度で、個人事業主が従業員を雇用し、計画的に訓練を受けさせる場合に活用できる可能性があります。特定の訓練コースによっては、訓練費用の一部が助成されます。
  • 特定求職者雇用開発助成金: 高齢者(65歳以上)や障害者など、就職が困難な方を継続して雇用する事業主への助成金です。この助成金は、雇用形態は問わないため、個人事業主も対象になり得ます。
  • キャリアアップ助成金以外の中小企業向け助成金・補助金: 創業支援、IT導入支援、事業承継支援など、個人事業主も対象となる多様な補助金・助成金が存在します。
  • 各自治体が実施する支援制度: 地域によっては、個人事業主やフリーランスのスキルアップ、事業拡大を目的とした独自の補助金や融資制度がある場合があります。地方創生に関連する事業や、特定の産業分野に特化した支援策も多く見られます。

これらの代替案や他の助成金・補助金については、厚生労働省のウェブサイトや、各自治体の商工会議所、中小企業支援センターなどで情報収集することをお勧めします。キャリアアップ助成金が直接適用されなくても、ご自身の事業やキャリアを支援する他の制度が見つかる可能性は十分にありますので、諦めずに情報収集を続けましょう。