賞与（ボーナス）はどれくらいもらえる？平均額の目安

全国的な平均額とその推移

毎年楽しみにしている人も多い賞与（ボーナス）ですが、一体どれくらいの金額が平均的なのでしょうか。最新の調査データから、その目安を見ていきましょう。

パーソルキャリア株式会社の調査によると、2024年の年間平均支給額は106.7万円でした。これは前回の調査からはわずかに減少していますが、特に20代（74.8万円、前年比3.9万円増）と30代（100.3万円、前年比1.0万円増）では増加傾向が見られ、若手層のボーナスが着実に上がっていることがうかがえます。

また、「ジョブカン給与計算」のデータでは、2024年の年間賞与平均支給額は866,283円とされており、調査主体によって金額に多少の差はあるものの、年間で数十万円規模の支給が一般的であることが分かります。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」からも、2023年冬季ボーナスの平均額が395,647円、2024年夏季ボーナスの平均額が414,515円と公表されており、半期ごとにまとまった金額が支給されていることが確認できます。これらの情報から、あなたのボーナスが平均と比べてどの位置にあるのか、一つの目安として活用できるでしょう。

年齢・性別・業種によるボーナスの違い

賞与の金額は、年代、性別、そして勤めている業種によっても大きく変動します。これらの要素がどのように影響するのか、具体的なデータを見ていきましょう。

まず、性別による違いでは、男性の平均支給額が121.9万円であるのに対し、女性は77.7万円と、女性は男性の約6割の水準にとどまっています。この差には、役職や勤続年数、働き方の違いなどが複合的に影響していると考えられます。

次に、業種別の傾向では、ボーナス額の大きな差が浮き彫りになります。例えば、電気・ガス業の平均ボーナス額は803,194円と全体平均を大きく上回る一方で、飲食サービス業などは69,234円と低い水準にあります。

これは、各業種の収益性や人件費の構造の違いによるもので、ご自身の業界の平均を知ることは、今後のキャリアプランを考える上でも重要です。年代別では、20代から30代にかけて平均額が大きく伸びる傾向があり、キャリアアップと共にボーナスも増加していくことが期待されます。

大企業と中小企業、将来のボーナス見込み

賞与の金額を語る上で、企業の規模は非常に重要な要素の一つです。一般的に、企業規模が大きくなるほど、ボーナスの平均額も高くなる傾向が見られます。

具体的には、従業員数1,000人以上の大企業と、100人未満の中小企業を比較した場合、大企業の平均支給額が中小企業を大きく上回る結果が示されています。これは、大企業の方が収益基盤が安定していることや、労働組合の影響力などが関係していると考えられます。

さて、気になる将来の見通しですが、2024年冬のボーナスは明るい兆しを見せています。民間企業では前年比+2.5%～+2.7%増、国家公務員では前年比+5.0%増と、4年連続の増加が見込まれています。

この背景には、企業業績の改善や、人手不足の深刻化による人材確保の必要性があるとされています。経済全体の動きや業界の動向に注目することで、ご自身のボーナスが今後どうなっていくのか、ある程度の予測を立てることができるでしょう。

賞与の倍率とは？平均倍率と賢い計算方法

月収に対するボーナス倍率の実態

「ボーナスは何ヶ月分もらえるの？」という疑問は、賞与が支給されるたびに多くの人が抱くものです。この「何か月分」というのが、月収に対するボーナスの倍率を指します。

最新の調査によると、2023年9月から2024年8月までの期間に支給されたボーナスは、月収の平均2.6ヶ月分という結果が出ています。これは、例えば月収が30万円であれば、年間で約78万円のボーナスが支給される計算になります。

年代別に見ると、20代が2.4ヶ月、30代が2.7ヶ月、40代が2.5ヶ月、50代が2.6ヶ月と、年代による大きな差は見られませんでした。これは、若手層でも経験を積んだベテラン層でも、月収に対するボーナスの比率は比較的安定していることを示唆しています。

この倍率を把握することは、年収全体を計算する上で非常に重要です。自分の月収にこの平均倍率を当てはめてみることで、ざっくりとした年間の賞与額を予測することができます。ただし、あくまで平均値であるため、実際の支給額は企業の業績や個人の評価によって変動する点には注意が必要です。

あなたのボーナスを左右する計算の仕組み

「どうやってボーナス額が決まるの？」と疑問に思ったことはありませんか？賞与の総支給額は、いくつかの計算方法に基づいて決定されます。主な計算方法は以下の通りです。

  • 基本給連動型: 基準となる基本給に、会社が定める支給月数を乗じて計算されます。例えば、「基本給 × 2ヶ月分」といった形で、最も一般的な計算方法です。基本給が上がれば、自動的に賞与額も増加します。
  • 業績賞与・決算賞与: 基準額に、個人の業績評価や会社の業績に応じた評価係数を乗じて計算されます。例えば、「基準額 × 評価係数（例: 1.0～1.5）」のように、個人の頑張りや会社の好不調が直接反映されます。
  • 年俸制: 年俸を16等分し、その4ヶ月分をボーナスとして支給するケースなど、あらかじめ年俸に含まれる形で支給月数が決められている場合があります。

会社によっては、これらの方法を組み合わせて賞与額を決定することもあります。例えば、基本給連動をベースにしながら、個人の業績評価による加算を行うなどです。ご自身の会社の就業規則や給与規定を確認することで、どのような計算方法が採用されているかを正確に知ることができます。

知っておきたい！控除される税金と社会保険料

ボーナスが支給されて「手取りが思ったより少ない」と感じることはありませんか？それは、総支給額から税金や社会保険料が控除されているためです。具体的に何が引かれているのかを知ることで、手取り額を正しく理解し、賢く計画を立てることができます。

総支給額から差し引かれる主な控除は以下の通りです。

  • 所得税: 前月の給与額や扶養人数に基づいて税率が決定され、計算されます。賞与は一時的な高額所得とみなされるため、税率が高めに設定されることがあります。
  • 社会保険料:

    • 健康保険料: 標準賞与額（賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額）に健康保険料率を掛けて計算され、事業主と従業員で折半します。年度上限額は573万円です。
    • 厚生年金保険料: 標準賞与額に厚生年金保険料率（18.300%）を掛けて計算され、こちらも事業主と折半です。ただし、1回の賞与額が150万円を超える場合は、150万円が標準賞与額の上限となります。
    • 介護保険料: 40歳から64歳までの従業員が対象で、標準賞与額に介護保険料率（2024年2月時点では1.6%）を掛けて計算されます。
    • 雇用保険料: 賞与支給額に雇用保険料率を掛けて計算されます。料率は毎年見直されるため、最新の料率を確認することが重要です。

これらの控除額を差し引いた金額が、実際にあなたの口座に振り込まれる手取り額となります。手取り額を計算する際は、これらの税金や保険料が引かれることを念頭に置いて計画を立てるようにしましょう。

賞与のベースアップとパーセント：給与への影響

賞与計算の基本：基本給連動型と業績連動型

賞与がどのように計算されるかを知ることは、支給額を理解する上で不可欠です。賞与の計算方法には大きく分けて「基本給連動型」と「業績連動型」の2つがあり、多くの企業でどちらか、あるいは両方を組み合わせて採用されています。

基本給連動型は、その名の通り、毎月の基本給を基準にして賞与額が決定される最も一般的な形式です。たとえば、「基本給の2ヶ月分」といった形で支給月数が定められており、基本給が上がればその分賞与も自動的に増える仕組みです。安定しており、従業員にとっては予測しやすいメリットがあります。

一方、業績連動型は、個人の業績評価や会社の全体的な業績に応じて支給額が変動するタイプです。個人の目標達成度合いや、部署の成果、会社の年間利益などに応じて、「評価係数」が掛け合わされて賞与額が決定されます。これにより、会社の業績向上や個人の努力が直接賞与に反映されるため、モチベーション向上に繋がりますが、支給額は変動しやすい特性があります。

多くの企業では、基本給連動をベースとしつつ、業績評価を一部加味する「ハイブリッド型」を採用しています。ご自身の会社の支給規定を確認し、どのような計算基準が用いられているか理解することが大切です。

ベースアップが賞与に与える具体的な影響

春闘などで賃上げが議論される「ベースアップ」は、毎月の給与だけでなく、賞与にも大きな影響を与えます。特に基本給連動型の賞与を採用している企業では、ベースアップが直接的に賞与額の増加に繋がります。

例えば、あなたの基本給が30万円で、賞与が「基本給の2ヶ月分」と定められているとします。この場合、賞与は60万円です。もしベースアップによって基本給が1万円上がって31万円になったとすると、賞与も「31万円 × 2ヶ月分」で62万円となり、賞与だけで2万円の増加が見込めます。

年間2回の賞与支給であれば、年間で4万円の増額です。このように、ベースアップは月々の給与に加えて、賞与を通じて年間収入全体を大きく押し上げる効果があるため、従業員にとって非常に大きな意味を持ちます。

また、近年は物価上昇や人手不足を背景に、多くの企業でベースアップの動きが見られます。この賃上げトレンドは、今後の賞与額にも好影響をもたらす可能性が高く、従業員にとっては嬉しい傾向と言えるでしょう。

年俸制の場合のボーナスはどうなる？

多くの企業で採用されている月給制とは異なり、年俸制の場合、賞与の考え方や支給形態は大きく異なります。年俸制では、文字通り「年間の総支給額」が最初に決められており、その中にボーナス分も含まれているのが一般的です。

例えば、「年俸500万円」と決定された場合、この500万円の中から月々の給与と賞与が支払われます。よくあるケースとしては、年俸を14分割して、12ヶ月分の月給と2ヶ月分の賞与として支給する、あるいは年俸を16分割して4ヶ月分を賞与として支給するといったパターンがあります。

つまり、年俸制においては、賞与は「追加で支給されるもの」というよりは、「年間の報酬を複数回に分けて受け取るための一部分」という位置づけになります。そのため、月給制のように基本給が上がったからといって、自動的に賞与額が増えるという関係性ではありません。

年俸交渉の際に、年俸総額に対する賞与の割合や支給回数についてしっかりと確認し、ご自身の納得のいく形で契約を結ぶことが重要です。企業によっては、年俸制であっても業績に応じて別途インセンティブが支給される場合もあるため、就業規則や雇用契約書を細かくチェックするようにしましょう。

賞与の疑問を解決！何ヶ月分もらえる？

一般的な賞与の支給月数とは？

賞与が「何ヶ月分」もらえるのかは、従業員にとって最も気になる情報の一つです。前述した通り、月収に対するボーナス倍率は、平均で2.6ヶ月分というデータがあります。

このことから、一般的には年間で「2ヶ月分～3ヶ月分」程度の賞与が支給されるケースが多いと言えるでしょう。例えば、夏のボーナスで1.5ヶ月分、冬のボーナスで1.5ヶ月分といった内訳で、合計3ヶ月分が支給されるといったパターンがよく見られます。

しかし、これはあくまで全国的な平均値であり、企業や業界、個人の評価によって大きく変動する可能性があります。例えば、業績が非常に好調な企業では、平均を大きく上回る4ヶ月分や5ヶ月分の賞与が支給されることもあれば、厳しい経営状況の企業では1ヶ月分を切る場合や、支給自体が見送られることもあり得ます。

ご自身の会社の支給月数については、入社時の条件提示や就業規則、あるいは先輩社員へのヒアリングを通じて確認するのが確実です。平均値を知ることは目安になりますが、最終的には個別の条件が重要となります。

支給月数を左右する要因と企業規模

賞与の支給月数は、単純に会社の規模や業績だけで決まるものではありません。いくつかの要因が複雑に絡み合って決定されます。主な要因としては、以下の点が挙げられます。

  • 企業の業績: 最も大きな要因であり、会社の収益が好調であれば支給月数も増える傾向にあります。
  • 個人の評価: 査定期間中の個人の業務成績や目標達成度合いが、支給月数に影響します。特に業績連動型の賞与では顕著です。
  • 業界の特性: 安定した収益を上げやすい業界や、人手不足が深刻な業界では、平均よりも高い支給月数が期待できることがあります。
  • 企業規模: 参考情報でも触れたように、企業規模が大きいほど、ボーナスの平均支給額が高くなる傾向があります。従業員数1,000人以上の大企業では、安定した高額支給が期待されやすいです。

特に企業規模の影響は大きく、大企業では安定した経営基盤と労働組合の存在により、交渉力も強く、高い支給月数が維持される傾向にあります。中小企業でも業績が良ければ高水準のボーナスを支給するところもありますが、全体的な平均では大企業に軍配が上がることが多いでしょう。

年間複数回支給の場合の注意点

一般的に賞与は夏と冬の年2回支給されることが多いですが、企業によっては年3回や年4回と、複数回に分けて支給されるケースもあります。このような場合、社会保険料の計算において特別な注意が必要です。

社会保険料（健康保険、厚生年金保険）の計算では、「賞与」と「報酬」という区分があります。年3回まで支給される賞与は「賞与」として扱われ、標準賞与額に基づいて保険料が計算されます。しかし、年に4回以上賞与が支給される場合、その賞与は「報酬」扱いとなり、毎月の給与と合算されて社会保険料が計算されることになります。

これにより、毎月の社会保険料の負担が増加する可能性があります。例えば、これまではボーナス月に一時的に社会保険料が高くなっていたのが、年4回以上の支給になると、毎月の給与から控除される社会保険料が恒常的に高くなるというケースが考えられます。

ご自身の会社の賞与支給回数を確認し、もし年4回以上の支給がある場合は、社会保険料の計算方法が変更される可能性を念頭に置いておくことが大切です。不明な点があれば、人事部や給与計算担当者に確認するようにしましょう。

賞与を理解して、納得のいく年末年始を迎えよう

賞与明細のチェックポイント

ボーナスが支給されたら、明細書をきちんと確認することが大切です。単に振り込まれた金額を見るだけでなく、内訳を理解することで、ご自身の報酬がどのように構成されているかを把握できます。

まず、最も重要なのは「総支給額」と「手取り額」の確認です。総支給額は、各種控除が引かれる前の本来のボーナス額で、手取り額は実際に口座に振り込まれる金額です。この2つの差額が、控除されている税金や社会保険料の合計額となります。

次に、基本給連動型の場合は、明細書に記載されている基本給と支給月数が、会社の規定やご自身の認識と一致しているかを確認しましょう。業績連動型の場合は、評価係数や査定内容がどのように反映されているかを見ることで、今後の業務改善にも繋がります。

そして、控除額の内訳も確認しましょう。所得税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料（該当者のみ）がそれぞれいくら引かれているかをチェックします。特に、前回の賞与や月給と比較して大きく変動している項目がないかを確認することで、誤りがないかを確認できます。不明な点があれば、必ず経理部や人事部に問い合わせるようにしてください。

賞与を賢く活用するためのヒント

まとまった金額が支給される賞与は、賢く活用することで、生活の安定や将来の目標達成に大きく貢献します。漫然と使ってしまうのではなく、事前に計画を立てておくことが重要です。

まず、おすすめなのは「貯蓄・投資」です。将来のための資金形成として、ボーナスの一部を貯蓄に回したり、NISAなどの非課税制度を活用して投資に充てることで、効率的に資産を増やせる可能性があります。

次に、「ローンや借入金の返済」に充てるのも賢い選択です。住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどの繰り上げ返済にボーナスを充てることで、総返済額を減らしたり、返済期間を短縮したりすることが可能です。

また、「自己投資」も有効な選択肢です。資格取得のための学習費用や、スキルアップのための研修費用など、自身の市場価値を高めるための投資は、長期的に見てリターンが大きい可能性があります。もちろん、一年間頑張った自分への「ご褒美」として、旅行や欲しかったものを購入するのも良いでしょう。ただし、その際も予算を決めて計画的に使うことが大切です。

疑問があれば就業規則を確認しよう

賞与は、会社と従業員の間の重要な契約に基づき支給されるものです。そのため、賞与の支給可否、計算方法、査定基準、支給時期などの詳細なルールは、すべて企業の「就業規則」や「社内規定」によって定められています。

もし、ご自身の賞与額について疑問を感じたり、計算方法が不明確だと感じたりした場合は、まずは就業規則を確認することから始めましょう。就業規則には、賞与に関する具体的な規定が明記されており、あなたの疑問を解決する手がかりがそこに隠されているかもしれません。

就業規則を確認しても解決しない場合や、記載内容が理解しにくい場合は、遠慮なく人事部や労務担当者に相談することをおすすめします。曖昧なままにしておくと、誤解が生じたり、本来受け取れるはずの権利を失ってしまう可能性もあります。

自身の権利と義務を正しく理解し、会社との良好な関係を築くためにも、賞与に関する情報は積極的に把握しておくことが重要です。納得のいくボーナスを得て、充実した年末年始や新たな一年を迎えるためにも、ぜひこの機会に賞与への理解を深めてください。