1. OJTが「合わない」「うまくいかない」と感じる理由
    1. 指導者と受ける側のミスマッチが引き起こす問題
    2. 指導スキルや時間不足による教育効果の低下
    3. OJT制度そのものが抱える構造的な課題
  2. OJTを受ける側の「相性」や「うざい」と感じる心理
    1. 価値観やコミュニケーションスタイルの衝突
    2. 成長実感の欠如とモチベーションの低下
    3. 「このOJTは自分には合わない」と諦めてしまう前に
  3. OJT担当者(指導者)との良好な関係構築の秘訣
    1. お互いの特性を知ることから始める「相性」対策
    2. 効果的なフィードバックと「勇気づけ」の指導法
    3. OJT担当者自身の「成長」が関係を深める
  4. OJTを成功させるための具体的なステップと工夫
    1. 明確な目標設定とOJT制度の見える化
    2. 時間的制約を乗り越える「頻度」と「協力」
    3. 効果測定と改善サイクルでOJTの質を高める
  5. OJT担当者と受ける側の「挨拶」から始めるコミュニケーション
    1. 良好なOJTは「最初の5分」で決まる
    2. 質問しやすい雰囲気を作る「声がけ」の魔法
    3. 日々の「報連相」を円滑にするコミュニケーションの土台
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: OJTが合わないと感じるのは、具体的にどのような状況ですか?
    2. Q: OJTを受ける側が「うざい」と感じてしまうのはなぜですか?
    3. Q: OJT担当者との相性を良くするためには、どうすれば良いですか?
    4. Q: OJTをうまくいかせるための具体的なアドバイスはありますか?
    5. Q: OJT担当者と受ける側で、最初の「挨拶」で意識すべきことは何ですか?

OJTが「合わない」「うまくいかない」と感じる理由

OJT(On-the-Job Training)は、新入社員の成長を促し、組織への適応を助けるための重要な育成手法です。しかし、多くの企業で導入されている一方で、「合わない」「うまくいかない」と感じるケースも少なくありません。

なぜOJTが機能しないことがあるのでしょうか。ここでは、その主な原因を深掘りしていきます。

指導者と受ける側のミスマッチが引き起こす問題

OJTがうまくいかない原因の多くは、指導者と指導を受ける側の「相性」に起因します。価値観や仕事へのアプローチ、コミュニケーションスタイルが異なると、たとえどちらかに悪気がなくとも、認識のズレやストレスが生じやすくなります。

例えば、指導者が一方的に自分の経験や我流のやり方を押し付けるスタイルであったり、細かな指示を出さない「見て学べ」のスタンスであったりする場合、新入社員は学習意欲を削がれ、指導内容が頭に入りにくくなります。特に、受け身なタイプや質問が苦手な新入社員は、指導者の意図を十分に理解できず、結果として指導が「合わない」と感じてしまうのです。

また、世代間のギャップも無視できません。仕事に対する価値観やデジタルツールへの慣れなど、指導者と新入社員の間にある背景の違いが、コミュニケーションの齟齬を生むこともあります。OJTが効果的に進むためには、こうしたミスマッチを最小限に抑える工夫が不可欠です。

指導スキルや時間不足による教育効果の低下

OJTがうまくいかない二つ目の大きな原因は、指導者側の「指導スキル不足」「時間的な制約」です。

多くの企業がOJTを実施していますが、必ずしも全ての指導者が教育のプロフェッショナルであるわけではありません。参考情報によると、OJTトレーナーの指導にばらつきがあると感じている企業は49.7%にのぼります。これは、指導方法やフィードバックの仕方が個人任せになっている現状を示唆しています。

効果的なOJTには、相手の理解度に合わせて教えるスキル、適切なフィードバックを与えるスキル、そして自律的な学習を促すコーチングスキルなどが求められます。これらのスキルが不足していると、新入社員は業務内容を十分に吸収できず、「結局何が言いたかったのか分からない」「どう改善すればいいか不明確」といった不満を抱えやすくなります。

さらに、指導者が自身の業務で多忙を極め、OJTに十分な時間を確保できないケースも頻繁に見られます。質問をしたいときに指導者が捕まらない、あるいはゆっくり話を聞いてもらえないといった状況は、新入社員の不安を増大させ、OJTの効果を著しく低下させてしまうでしょう。

OJT制度そのものが抱える構造的な課題

OJTがうまくいかないのは、個々の指導者や新入社員の問題だけではなく、組織的な「仕組みの壁」も大きく影響しています。

例えば、OJTの目的や具体的な目標設定が不明確なまま進められている場合、指導者も新入社員も何を目指してOJTに取り組んでいるのかが分からなくなってしまいます。羅針盤がない航海のようなもので、効果的な指導は望めません。

また、OJT担当者への動機づけや評価の仕組みが整っていないことも問題です。OJTは通常業務に加えて発生する負荷でありながら、それが正当に評価されない場合、担当者のモチベーションは低下し、OJTの質も必然的に下がってしまいます。担当者が「やらされ仕事」と感じてしまえば、新入社員への熱心な指導は期待できません。

さらに、OJTの進捗管理や効果測定が行われず、途中で問題が発生しても誰も気づけない、あるいは改善策が講じられないといったケースもあります。OJTを単なる「新入社員を一人つける」という行為で終わらせず、組織として体系的に設計・運用していくことが、成功への鍵となるのです。

OJTを受ける側の「相性」や「うざい」と感じる心理

OJTが合わないと感じるのは、新入社員側の心理的な側面も大きく関係しています。指導者との関係性や、自身の成長実感の有無が、OJTへの意欲を左右するのです。

価値観やコミュニケーションスタイルの衝突

新入社員がOJTに対して「うざい」と感じてしまう背景には、指導者との価値観やコミュニケーションスタイルの衝突が潜んでいます。例えば、指導者がプライベートな話題に過度に踏み込んできたり、業務時間外まで連絡をしてきたりする場合、新入社員はパーソナルスペースを侵されていると感じ、不快感を覚えることがあります。

また、指導者が一方的に指示を出し、新入社員の意見や質問を聞き入れないスタイルも、不満の大きな原因です。現代の若手社員は、単に指示に従うだけでなく、自分の意見を述べたり、主体的に仕事を進めたりすることを望む傾向があります。このような環境では、「なぜその仕事をするのか」「もっと良い方法があるのではないか」といった疑問が解決されないままストレスが蓄積し、「この人とは合わない」という結論に至りやすくなるでしょう。

さらに、指導者の言葉遣いや態度が威圧的に感じられたり、些細なミスに対して過剰に叱責されたりすることも、心理的な壁を作り、新入社員を萎縮させてしまいます。結果として、質問もしにくくなり、良好な関係構築が遠のいてしまうのです。

成長実感の欠如とモチベーションの低下

OJTを受ける新入社員にとって、自身の成長が実感できない状況は、モチベーションの低下に直結します。OJTを通じて「何も学べない」「自分は役に立っていない」と感じてしまうと、「このOJTは意味がない」と諦めてしまう心理に陥りやすいのです。

具体的な例としては、以下のような状況が挙げられます。

  • 指導内容が抽象的すぎて、何をすればいいか具体的にイメージできない。
  • 実践する機会が与えられず、座学ばかりでスキルが身につかない。
  • フィードバックが少なく、自分の何が良くて何が改善点なのかが分からない。
  • 成功体験が積めず、自信を持つ機会がない。

特に、指導者が「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒める」という基本的な指導ステップを意識せずに、一方的に業務を丸投げしたり、説明不足のまま実践を促したりする場合、新入社員は大きな壁にぶつかります。理解できない状態での失敗は、自己肯定感を著しく損ない、OJTへの意欲を失わせる原因となるでしょう。

成長実感は、新入社員がOJTを前向きに捉え、積極的に取り組むための重要なエネルギー源なのです。

「このOJTは自分には合わない」と諦めてしまう前に

OJTがうまくいかないと感じたとき、新入社員が「このOJTは自分には合わない」と諦めてしまうのは非常にもったいないことです。

しかし、OJTを成功させるためには、受け身の姿勢から一歩踏み出し、自ら状況を改善しようとする意識も大切です。例えば、指導者の説明が分かりにくいと感じた場合は、「具体的にどのような点に注意すれば良いですか?」「他に参考になる資料はありますか?」といった具体的な質問を投げかけてみましょう。

また、フィードバックが少ないと感じるなら、「今の仕事について、何か改善点があれば教えていただけますか?」と積極的に意見を求めることも有効です。指導者側も、新入社員が何に困っているのか、何を求めているのかが分からず、指導に迷っているケースも少なくありません。自ら発信することで、指導者もあなたの状況を理解し、より適切なサポートを提供しやすくなるでしょう。

OJTは、指導者と新入社員、双方のコミュニケーションによって成り立ちます。完全に相手に合わせる必要はありませんが、多様な価値観が存在することを理解し、建設的に関わろうとする姿勢が、困難なOJTを乗り越える力になります。諦める前に、できることから行動を起こしてみましょう。

OJT担当者(指導者)との良好な関係構築の秘訣

OJTを成功に導くためには、OJT担当者と指導を受ける新入社員との間に良好な関係を築くことが不可欠です。信頼関係があれば、指導はよりスムーズに進み、新入社員の成長も加速します。ここでは、その秘訣を探ります。

お互いの特性を知ることから始める「相性」対策

「相性が合わない」という壁は、OJTの大きな障壁となりがちです。しかし、この「相性」は努力によって改善できる部分も多くあります。その第一歩は、お互いの特性を理解することです。

企業によっては、OJTの組み合わせを検討する際にアセスメントツールを活用する例が増えています。例えば、個人の価値観や動機を明らかにする「キャリアアンカー」や、コミュニケーションスタイルを分析する「ソーシャルスタイル」といったツールを用いることで、指導者と新入社員の傾向を客観的に把握し、相性の良い組み合わせを模索できます。

もしツールの導入が難しい場合でも、お互いの出身地や趣味、これまでの経験、仕事に対する考え方などを、OJT開始前に簡単な面談や自己紹介シートを通じて共有するだけでも、相手への理解は深まります。相手の特性を事前に知ることで、指導者は新入社員に合わせた指導方法を、新入社員は指導者の意図をより深く理解できるようになり、無用なストレスを軽減できるでしょう。

この「知る」という行為が、「多様性を認め合う」という共通認識を育む土台となるのです。

効果的なフィードバックと「勇気づけ」の指導法

良好な関係を築き、新入社員の成長を促す上で、効果的なフィードバックは欠かせません。ただ業務を教えるだけでなく、新入社員の行動に対して具体的かつ建設的なフィードバックを与えることで、何ができていて、何を改善すべきかが明確になります。

指導の基本としては、昔から伝わる「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒める」という4段階職業指導法があります。特に「褒める」こと、そして「勇気づける」ことが、新入社員のモチベーションを維持・向上させる上で非常に重要です。

OJTでは、「勇気づける」「位置づける」「跡づける」という教え方も意識したいところです。

  • 勇気づける:「よく頑張ったね」「その発想は素晴らしい」など、ポジティブな言葉で行動を認め、自信を持たせる。
  • 位置づける:「これは全体の工程のこの部分だから、こういった意味がある」と、仕事の全体像や意味合いを伝え、役割を理解させる。
  • 跡づける:「前回はここまでできたから、次はこれを試してみよう」と、過去の成長を振り返り、次のステップを明確にする。

こうしたきめ細やかな指導とフィードバックは、新入社員が「自分は大切にされている」「成長を期待されている」と感じ、指導者への信頼感を深めることに繋がります。

OJT担当者自身の「成長」が関係を深める

OJTは、新入社員のためだけの時間ではありません。実は、OJT担当者にとっても、自身の成長を促す貴重な機会となります。

参考情報によると、OJT担当者には「教えることによって知識量や能力がアップする」「周囲からの信頼が高まる」といったメリットがあります。さらに、OJTを通じて、担当者自身が「業務を客観的に見ることができた」「業務の改善ポイントに気が付いた」「自分のスキルや知識を棚卸しできた」と実感する割合は4割を超えています

教えるという行為は、自身の知識を整理し、より深く理解することを促します。また、新入社員の視点から質問を受けることで、普段見過ごしている業務の非効率な点や改善の余地を発見できることも少なくありません。

担当者自身が「このOJTで自分も成長できている」と実感できれば、より前向きな姿勢でOJTに取り組むことができます。そのポジティブな姿勢は新入社員にも伝わり、双方にとって実りの多いOJTとなるでしょう。担当者が成長し、より良い指導ができるようになることが、結果として新入社員との良好な関係構築へと繋がっていくのです。

OJTを成功させるための具体的なステップと工夫

OJTを単なる「個人の指導」に終わらせず、組織として体系的に運用することで、その効果は飛躍的に高まります。ここでは、OJTを成功に導くための具体的なステップと工夫を見ていきましょう。

明確な目標設定とOJT制度の見える化

OJTを成功させるための最初の、そして最も重要なステップは、「目的と目標の明確化」です。

OJTが何のために行われるのか、新入社員に何を期待するのかを、指導者と新入社員だけでなく、関係者全員で共有する必要があります。「〇カ月後までに〇〇の業務を一人で遂行できるようになる」といった具体的な目標を設定し、それをロードマップやチェックリストとして可視化することで、OJTの進捗が分かりやすくなります。

参考情報によれば、70.0%以上の企業がOJTを実施しており、約4社に1社はOJTへの取り組みを強化しています。これは、多くの企業がOJTの重要性を認識し、その効果を最大化しようとしている証拠です。この波に乗るためにも、OJT制度を単なる慣習で終わらせず、目的意識を持って設計し、誰もが理解できる形で見える化することが不可欠です。

また、OJT担当者への動機づけや、OJTの成果を評価する仕組みを構築することも重要です。担当者がOJTを「重要な業務」として捉え、誇りを持って取り組めるような制度設計が、成功の鍵を握ります。

時間的制約を乗り越える「頻度」と「協力」

多忙な業務の中でOJTの時間を確保することは、多くの指導者にとって大きな課題です。この時間的制約を乗り越えるためには、「短い時間でも頻繁にコミュニケーションを取る」こと、そして「周囲の協力を得る」ことが重要となります。

長時間まとめて指導するよりも、10分や15分といった短い時間でも、毎日、あるいは数日おきに顔を合わせ、進捗確認や疑問点の解消を行う方が、新入社員の安心感に繋がり、学習効果も高まります。朝礼後や休憩時間など、ちょっとしたスキマ時間を有効活用することで、密なコミュニケーションを維持できるでしょう。

また、指導者一人にOJTの全てを背負わせるのではなく、部署全体で新入社員を育てる意識を持つことも大切です。業務が多忙な時期には、他のメンバーに一時的なサポートを依頼したり、OJTにサブ担当を置いたりする仕組みを検討するのも良いでしょう。複数人で関わることで、新入社員は多様な視点からの学びを得られるメリットもあります。

最近では、動画教材やAIを活用したフィードバックなど、デジタルツールをOJTに活用する動きも出ています。これらのツールは、時間や場所に縛られずに学習機会を提供し、指導者の負担軽減にも貢献します。

効果測定と改善サイクルでOJTの質を高める

OJTを単発のイベントで終わらせず、継続的に質の高いものにしていくためには、「効果測定」と「改善サイクル」の確立が不可欠です。

OJTの成果を測るためには、明確なKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。例えば、以下のような項目が考えられます。

  • 新入社員の業務習熟度(テスト結果、実務でのパフォーマンス)
  • OJT後の定着率
  • 新入社員とOJT担当者双方の満足度(アンケート、面談)
  • 具体的なスキルや知識の習得度(資格取得、内部試験)

これらの客観的なデータに基づいて、定期的にOJTの進捗や効果を評価します。測定結果を基に、OJTの目的、目標設定、指導方法、時間配分、制度設計などに改善の余地がないかを検討し、具体的な改善策を講じていきましょう。

改善策を講じた後は、その効果を再度測定し、さらに改善を重ねるというPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回し続けることが重要です。この継続的な取り組みによって、OJTの質は段階的に向上し、新入社員の成長意欲も高まるでしょう。効果測定の結果をフィードバックすることは、新入社員自身の成長を可視化し、次のステップへのモチベーションに繋がるからです。

OJT担当者と受ける側の「挨拶」から始めるコミュニケーション

どんなに優れたOJT制度や指導スキルがあっても、人と人との基本的なコミュニケーションが欠けていれば、その効果は半減してしまいます。特に、OJTにおける関係構築は、ごく些細な日々のやり取り、とりわけ「挨拶」から始まります。

良好なOJTは「最初の5分」で決まる

OJTに限らず、人と人との関係性は最初の印象で大きく左右されると言われます。特にOJTにおいては、初対面の挨拶や、毎日の出勤時の「おはようございます」の一言が、その後の関係性を決める重要な要素となります。

指導者からの明るく温かい挨拶は、新入社員に「歓迎されている」という安心感を与え、心理的安全性を高めます。逆に、挨拶がなかったり、形式的なものだったりすると、新入社員は「自分は歓迎されていないのではないか」「話しかけにくい」と感じてしまい、最初から心理的な壁ができてしまう可能性があります。

朝の挨拶に加えて、簡単な雑談を交わす「アイスブレイク」も有効です。「昨日はゆっくり休めた?」「通勤は慣れた?」など、業務以外のフランクな会話を少し取り入れるだけで、新入社員は「この人は親しみやすい」と感じ、安心して話せる雰囲気を作り出すことができます。

この「最初の5分」で築かれる安心感や親近感が、後の質問のしやすさや、密な報連相の土台となるのです。

質問しやすい雰囲気を作る「声がけ」の魔法

OJTを受ける新入社員の中には、受け身であったり、質問することに遠慮を感じたりするタイプも少なくありません。そうした新入社員から積極的に質問を引き出すためには、指導者側からの「声がけ」が非常に重要です。

例えば、新入社員が一人で黙々と作業しているときに、「何か困っていることはない?」「今の作業で、疑問に感じる点は?」と、定期的に声をかけるだけでも状況は大きく変わります。休憩中や移動中などの何気ない会話の中で、「最近、何か面白いことあった?」など、業務と直接関係のない話題を振ってみるのも良いでしょう。これにより、業務中の硬い雰囲気から解放され、よりオープンなコミュニケーションが生まれるきっかけとなります。

声がけのポイントは、「いつでも質問していいよ」というメッセージを言葉だけでなく態度でも示すことです。忙しそうにしていても、質問には手を止めて真摯に耳を傾ける姿勢を見せることで、新入社員は「質問しても大丈夫だ」という安心感を持ち、積極的に疑問を解消しようとするようになります。

こうした日々の積み重ねが、新入社員が安心して業務に取り組める、質問しやすい雰囲気を作り出す「魔法」となるのです。

日々の「報連相」を円滑にするコミュニケーションの土台

挨拶や声がけによって築かれた良好なコミュニケーションは、業務における「報連相(報告・連絡・相談)」を円滑にするための強固な土台となります。

新入社員が指導者に対して心理的なバリアを感じていなければ、業務上の小さな疑問点や課題、あるいはミスをしてしまった際にも、躊躇なく報告・相談ができるようになります。これは、問題の早期発見・早期解決に繋がり、大きなトラブルへの発展を防ぐ上で非常に重要です。

逆に、コミュニケーションが希薄で信頼関係が築けていない場合、新入社員は「こんなこと聞いても大丈夫かな」「怒られるかもしれない」といった不安から、報連相をためらってしまいます。その結果、問題が隠蔽されたり、対応が遅れたりして、組織全体に悪影響を及ぼす可能性も出てくるでしょう。

OJTの成功は、指導者と新入社員が密に連携し、互いに協力し合うことで達成されます。そのために、まずは「挨拶」という最も基本的なコミュニケーションからスタートし、日々の声がけを通じて信頼関係を醸成していくことが、OJT全体の質を高めることに繋がるのです。短い時間でも頻繁にコミュニケーションを取り、良好な関係を維持することが、何よりも大切だと言えるでしょう。