概要: 健康診断で再検査を勧められたものの、どうすれば良いか迷っていませんか?再検査を放置するリスクや、受診する際の疑問点について、わかりやすく解説します。迷わず適切な対応をとり、健やかな毎日を送りましょう。
健康診断で「要再検査」や「要精密検査」という結果を受け取ったとき、あなたはどのような気持ちになりますか?「特に自覚症状はないし、忙しいから後回しでいいかな…」と、つい放置してしまいたくなる気持ちもよく分かります。しかし、その判断は将来の健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、健康診断の再検査に関する基本情報から、放置する危険性、そして適切な対応まで、知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。あなたの健康を守るための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
健康診断で再検査の通知が来たら?まずは落ち着いて
再検査・精密検査の正しい理解
健康診断で「異常あり」と判定されると、「要再検査」または「要精密検査」という指示が出されます。これらは同じようでいて、意味合いが異なります。
- 再検査: まずは慌てずに、もう一度同じ検査をして、数値が一時的なものなのか、それとも継続的な異常なのかを確認するものです。通常、数週間から数ヶ月後に再度検査が実施されます。
- 精密検査: 再検査で異常が続いている場合や、より詳しく原因を調べる必要がある場合に、専門的な検査を行います。内視鏡検査やCT、MRIなどが該当することが多いです。
どちらの指示も、「すぐに病気だ」と確定するものではありません。 しかし、病気につながる可能性がある「サイン」と捉えるべきです。このサインを見過ごさないことが、あなたの健康を守る上で非常に重要となります。
なぜ再検査が必要なのか?その背景
「なぜ、また検査するの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。健康診断の数値は、その日の体調や検査前の食事、ストレスなど、さまざまな要因で一時的に変動することがあります。
再検査は、そのような一時的な変動と、本当に病気の兆候として現れている異常を区別するために行われます。例えば、コレステロール値が少し高かった場合、一時的なものか、それとも生活習慣病のリスクがあるのかを見極めるために、改めて検査が必要になるのです。
特に、自覚症状がない病気ほど、健康診断での早期発見が非常に重要となります。肝機能障害のように「沈黙の臓器」と呼ばれる部位は、かなり悪化しないと症状が出ないため、健康診断の結果は貴重な情報源となるのです。
まずは通知内容を確認し、適切な行動を
再検査の通知を受け取ったら、まずは冷静に通知書の内容を詳しく確認しましょう。
どの検査項目で異常が指摘されているのか、そして「要再検査」なのか「要精密検査」なのかを正確に把握することが大切です。また、「いつまでに受診すべきか」という期限が記載されていることもありますので、見落とさないようにしてください。
多くの場合は、かかりつけ医や健康診断を受けた医療機関に相談することから始めます。疑問点があれば、遠慮なく医療機関に問い合わせて、適切な次のステップを確認しましょう。決して自己判断で放置せず、まずは「情報収集」と「相談」を心がけてください。
再検査を無視・未受診はなぜダメ?知っておくべきリスク
病気の進行と重症化のリスク
「自覚症状がないから大丈夫」と再検査を放置してしまう人は少なくありません。しかし、これは非常に危険な考え方です。身体の中で異常が起きていても、初期段階では自覚症状が現れない病気は数多く存在します。
例えば、肝機能障害は「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓の異常であり、進行しても自覚症状が出にくい特徴があります。また、糖尿病や高血圧などの生活習慣病も、初期にはほとんど症状がありませんが、放置すればするほど重症化し、心筋梗塞や脳卒中、腎不全といった深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。
早期発見・早期治療が何よりも重要なこれらの病気において、健康診断の「要再検査」のサインを見逃すことは、病気を手遅れにしてしまうことにもつながりかねません。
身体的・経済的負担の増大
病気が進行してからの治療は、初期段階で対応するよりもはるかに身体的・精神的な負担が大きくなります。
例えば、初期の糖尿病であれば生活習慣の改善や内服薬でコントロールできる可能性が高いですが、進行するとインスリン注射が必要になったり、合併症によっては透析治療や手術が必要になるケースもあります。このような場合、治療は複雑化し、身体への負担が増大するだけでなく、医療費も高額になりがちです。
通院の回数や検査の種類が増え、それに伴う時間的拘束や精神的なストレスも計り知れません。再検査は、将来の大きな負担を未然に防ぐための「先行投資」と捉えるべきです。
医療保険や将来設計への影響
健康診断の「要再検査」という結果を放置していると、将来的に思わぬところで不利益を被る可能性があります。特に注意したいのが、医療保険や生命保険への加入です。
保険に加入する際、過去の病歴や健康状態を告知する義務があります。健康診断で「要再検査」と指摘されたにもかかわらず、その後の受診記録がない場合、将来的に新たな病気が見つかった際に、保険会社から告知義務違反を指摘される可能性があります。
また、健康状態によっては、保険料が割増しになったり、特定の保障が受けられなくなったり、最悪の場合は加入を断られることもあります。自身の健康を守るだけでなく、将来の経済的な備えという観点からも、再検査の放置は避けるべきです。
再検査は義務?それとも推奨?線引きを解説
法的な義務と健康管理の観点
まず、健康診断そのものは、労働安全衛生法により事業者に実施が義務付けられています。しかし、健康診断で「要再検査」と判定された場合の再検査の受診は、法的な「義務」とはされていません。 会社から受診を強く推奨されることはあっても、強制力はありません。
しかし、これは「受けなくても良い」という意味では決してありません。再検査は、あなたの健康状態をより詳しく把握し、病気の早期発見・早期治療につなげるための重要なステップです。法的な義務ではなくとも、個人の健康管理という観点からは「強く推奨されるべき行動」であり、実質的には「必須」と考えるべきです。
企業も従業員の健康を管理する義務があり、再検査の勧奨は重要な役割の一つです。自身の健康は自分自身で守るという意識が何よりも大切になります。
放置する人の割合と社会的な問題
残念ながら、再検査が必要と判定されても、医療機関を受診しない人は少なくありません。ある調査では、「再検査」「要受診」となっても約26%の人がそのまま放置しているという結果が示されています。また、別の調査でも、約4人に1人が医療機関を受診していない現状が明らかになっています。
人間ドック受診者においても、精密検査の受診率は61.0%に留まるとの報告があり、この傾向は幅広い層で見られます。
これらの放置された異常が将来的に重症化することは、個人の健康を損なうだけでなく、社会全体の医療費増加にもつながりかねません。再検査の未受診問題は、個人の健康意識だけでなく、医療制度全体にとっても大きな課題と言えるでしょう。
個人の健康を守るための「推奨」の重み
再検査の受診が法的な義務ではないとはいえ、その「推奨」には重い意味が込められています。この推奨は、医師があなたの検査結果を見て「もしかしたら病気が隠れているかもしれない、放っておくのは危険だ」と判断した結果だからです。
自覚症状がない段階で異常を指摘された場合、病気の早期発見につながる最高のチャンスです。この機会を活かすことで、病気が軽いうちに治療を開始し、深刻な事態を避けることができます。たとえ何も異常が見つからなかったとしても、「異常なし」という結果は大きな安心感につながります。
再検査は、決してあなたを不安にさせるためのものではありません。むしろ、あなたの健康を守り、より良い未来を築くための大切なメッセージと捉え、前向きに受診を検討しましょう。
再検査は「何科」を受診すべき?専門医選びのポイント
健康診断結果から受診科を特定する
再検査を受ける際、まず悩むのが「何科を受診すれば良いのだろう?」という点ではないでしょうか。基本的には、健康診断の結果通知書に記載されている異常項目に応じて、専門の診療科を受診します。
具体的な例を挙げると、以下のようになります。
- 肝機能異常(AST, ALT, γ-GTPなど): 消化器内科
- 血糖値異常(HbA1c, 空腹時血糖など): 内分泌内科(糖尿病内科)
- 血圧異常: 循環器内科
- 脂質異常(コレステロール, 中性脂肪など): 内科全般、生活習慣病外来
- 尿検査異常: 腎臓内科、泌尿器科
- 心電図異常: 循環器内科
- 便潜血陽性: 消化器内科
もし、通知書に具体的な診療科の指示がない場合は、健康診断を受けた医療機関に問い合わせて確認するのが確実です。
かかりつけ医への相談と紹介状の活用
どの診療科を受診すべきか迷ったり、複数の項目で異常が見つかったりした場合は、まずかかりつけ医に相談することをお勧めします。 かかりつけ医はあなたのこれまでの病歴や生活習慣を把握しているため、最適な受診先をアドバイスしてくれます。
また、必要に応じて専門病院への「紹介状」を書いてもらうことで、スムーズに受診できます。紹介状があれば、初診時の特定療養費がかからなかったり、これまでの検査結果が共有されることで、重複する検査を避けられるメリットもあります。
健康診断を実施した医療機関が再検査・精密検査に対応している場合は、そのままそこで受診することも可能です。まずは信頼できる医師に相談し、適切な医療機関と診療科を見つけましょう。
専門医選びの注意点と情報収集
専門医を選ぶ際は、いくつかのポイントがあります。まずは、その医師が日本専門医機構が認定する専門医資格を持っているかを確認すると良いでしょう。また、病院のウェブサイトで医師の経歴や専門分野、所属学会などを確認するのも有効です。
特に専門的な検査が必要な場合、その医療機関に検査機器が揃っているかどうかも重要です。受診する前に医療機関に電話で問い合わせ、再検査の内容や持参するもの、予約の有無などを確認しておくとスムーズです。
もし、医師の説明に疑問を感じたり、別の意見を聞いてみたい場合は、セカンドオピニオンを検討することも可能です。納得のいく医療を受けるためにも、積極的に情報収集を行い、信頼できる専門医を選びましょう。
再検査の予約なしでも大丈夫?スムーズな受診方法
基本は「事前予約」が鉄則
再検査や精密検査を受ける際は、原則として事前に医療機関へ予約を入れるのが鉄則です。
特に精密検査の場合、内視鏡検査やCT、MRIなどの専門的な検査機器を使用することが多く、これらの検査は予約なしでは受けられないことがほとんどです。また、採血や尿検査だけでも、多くの医療機関では時間帯によって混雑するため、予約することで待ち時間を短縮し、スムーズに受診できます。
予約なしでいきなり受診してしまうと、長時間待たされた挙句、検査に必要な体制が整っておらず、結局は別の日に再来院を促される可能性もあります。医療機関のウェブサイトを確認するか、電話で直接問い合わせて、予約の要不要や受診可能な日時を確認するようにしましょう。
受診時に持参すべきものリスト
再検査を受診する際には、以下のものを忘れずに持参しましょう。これらを準備しておくことで、医師があなたの健康状態を正確に把握し、適切な診断を行うための手助けとなります。
- 健康診断の結果通知書: 最も重要です。どの項目で異常があったか、具体的な数値が分かります。
- 健康保険証: 忘れずに持参しましょう。
- お薬手帳: 現在服用している薬がある場合は、必ず持参してください。サプリメントなども伝えられるようにしておくと良いでしょう。
- 紹介状: かかりつけ医や健康診断を受けた医療機関から発行された場合。
- 診察券: 過去に受診したことがある医療機関の場合。
- メモ帳と筆記用具: 医師の説明を忘れないように記録するため。
特に、健康診断の結果通知書は、その後の検査方針を決定する上で不可欠な情報源となりますので、必ず持参してください。
費用と時間の準備、そして心の準備
再検査や精密検査は、基本的に健康保険が適用されるため、自己負担割合に応じた費用がかかります。検査の内容によっては数千円から数万円かかることもありますので、ある程度の費用を準備しておくと安心です。
また、検査内容によっては時間がかかることがあります。特に精密検査は半日以上を要する場合もあるため、受診当日は時間に余裕を持ったスケジュールを組みましょう。検査によっては飲食制限などの事前準備が必要な場合もあるので、予約時にしっかり確認してください。
そして何より大切なのは、心の準備です。再検査の結果に不安を感じるのは当然のことです。しかし、不安を抱え込まず、医師にしっかりと相談し、自身の健康状態と向き合うことが、より良い治療へとつながります。必要であれば、ご家族や信頼できる友人に付き添ってもらうことも考えてみましょう。
まとめ
よくある質問
Q: 健康診断で「再検査」と言われたら、必ず行かなければいけないの?
A: 原則として、再検査は医師が異常の可能性を指摘しているため、受診することが強く推奨されます。義務ではありませんが、放置すると病気が進行するリスクがあります。
Q: 再検査を無視したり、行かなかったりすると、どんなリスクがある?
A: 自覚症状がないまま病気が進行し、発見が遅れる可能性があります。早期発見ができず、治療が困難になったり、重症化したりするリスクが高まります。
Q: 再検査は、どこの病院(クリニック)に行けば良い?
A: 健康診断の結果報告書に記載されている指示に従うのが基本です。場合によっては、紹介状を持参して専門医のいる病院を受診する必要があります。不明な場合は、健康診断を受けた機関に問い合わせてみましょう。
Q: 予約なしで再検査を受けることはできる?
A: 医療機関によりますが、予約なしで受診できる場合もあります。ただし、待ち時間が長くなる可能性や、専門医の診察が受けられない場合もあります。事前に電話で確認することをおすすめします。
Q: 健康診断結果報告書に「再検査」と書かれている場合、何科を受診すれば良い?
A: 結果報告書に記載されている「要再検査」の項目や、疑われる疾患によって受診すべき科が異なります。例えば、肝機能の異常なら消化器内科、血圧が高い場合は循環器内科などが考えられます。不明な場合は、結果報告書を持参してかかりつけ医に相談するのが確実です。
