男性育休、理想と現実:取得のメリット・デメリットと企業事例

男性の育児休業(以下、育休)取得に関する意識や制度は、近年大きく変化しています。少子化対策や働き方改革の一環として、男性の育休取得を促進する動きが加速しており、企業側の取り組みも活発化しているのが現状です。

本記事では、最新のデータに基づき、男性育休の現状、取得のメリット・デメリット、そして先進的な企業事例について深掘りし、男性育休をより円滑に進めるためのヒントを提案します。

  1. 男性育休取得の現状と課題:なぜ進まないのか?
    1. 取得率向上の背景と政府目標
    2. 企業規模・産業による取得率の偏り
    3. 取得が進まない主な要因
  2. 男性育休取得で得られるメリット:家庭・仕事・自身の変化
    1. 家庭における絆の深化とパートナーシップの強化
    2. 仕事への新たな視点とキャリア形成への好影響
    3. 企業価値の向上と助成金活用によるメリット
  3. 男性育休取得のデメリットと乗り越え方
    1. 経済的な懸念と給付金の活用
    2. 職場での孤立感や評価への不安の解消
    3. 企業側の業務負担増加への対策
  4. 先進的な企業の取り組み:育休取得を後押しする施策
    1. 経営層による強力なメッセージ発信と文化醸成
    2. 独自の育休制度と手厚い支援策
    3. 「産後パパ育休」の積極的な活用促進
  5. 男性育休をより円滑に進めるためのヒント
    1. 取得前の周到な計画と情報収集
    2. 企業が取り組むべき制度と風土づくり
    3. 育休期間中の過ごし方と復帰後のキャリアデザイン
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 男性育休を取得することの主なメリットは何ですか?
    2. Q: 男性育休の取得によって、仕事で不利になることはありますか?
    3. Q: 男性育休を取得したいのですが、職場にどう伝えれば良いですか?
    4. Q: 育児休業中の病気や、病気休暇との違いは何ですか?
    5. Q: 男性育休取得を推進している企業には、どのような特徴がありますか?

男性育休取得の現状と課題:なぜ進まないのか?

取得率向上の背景と政府目標

男性の育休取得率は着実に上昇傾向にあります。

厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、2024年度には取得率が40.5%に達し、過去最高を更新しました。これは、2023年度の30.1%から10.4ポイントもの大幅な上昇であり、社会全体の意識変化と制度の後押しが明確に表れています。

この背景には、2022年10月に開始された「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度や、企業における育休取得の意向確認義務化などが大きく影響していると考えられます。これらの制度改正が、男性が育児休業を取得しやすい環境整備に寄与していることは間違いありません。

政府はさらなる取得促進を目指し、2025年までに男性の育休取得率を50%、そして2030年には85%とする高い目標を掲げています。しかし、女性の育休取得率が2023年度で84.1%に達していることを考慮すると、男性の取得率は依然として低い水準にあり、目標達成にはさらなる努力と具体的な施策が求められています。

育休取得が特別なことではなく、当たり前の選択肢となる社会を目指す上で、現状の課題を一つずつクリアしていくことが不可欠です。

企業規模・産業による取得率の偏り

男性育休の取得状況は、一概に全国平均だけで語れるものではありません。事業所の規模や産業によって、取得率に顕著な偏りが見られるのが実情です。

具体的には、従業員100~499人規模の企業で55.3%、500人以上規模の企業では53.8%と、大企業ほど取得率が高い傾向にあります。これは、大企業の方が制度が整備され、育休取得をサポートする体制が整っていること、また多様な人材が働く中で育休取得への理解が進んでいることが背景にあると考えられます。さらに、産業別では、金融・保険業が60%を超えており、特定の業界で積極的に育休取得が進められていることが分かります。

一方で、中小企業においては、人材の余裕がないことや、育休制度の整備・運用ノウハウが不足していることなどから、取得率が伸び悩んでいるケースも少なくありません。特定の産業や中小企業で男性育休が進まない現状は、日本全体の取得率向上に向けた大きな課題と言えます。

企業規模や産業の特性に応じたきめ細やかな支援策や、制度導入のハードルを下げる工夫が、今後の男性育休促進において重要となるでしょう。

取得が進まない主な要因

男性育休の取得率が上昇しているとはいえ、いまだ多くの男性が育休取得に踏み切れない背景には、複数の要因が存在します。

最も大きな懸念の一つが、「収入の減少」です。育休期間中は給与が減額されるため、家計収入への影響を心配し、育休をためらうケースが多く見られます。育児休業給付金によって収入の一定割合が保障されるとはいえ、生活費の全てをカバーできるわけではないため、経済的な不安は根強いものがあります。

次に、「職場での孤立感や評価への不安」も大きな要因です。周囲の理解が得られにくい職場の雰囲気や、育休取得が自身のキャリア形成にマイナスに影響するのではないかという懸念から、取得を諦める男性も少なくありません。特に、育休取得の先駆者が少ない職場では、心理的なハードルが高くなりがちです。

また、「業務の遅れや情報不足」に対する不安も挙げられます。休業期間中の業務の進捗が気になったり、復帰後の情報収集やキャッチアップに不安を感じたりすることは、育休取得への躊躇につながります。企業側から見ても、従業員の育休取得による一時的な人手不足や、他の従業員への業務負担増加といったデメリットがあり、これらの課題が育休取得を阻む要因となっています。

これらの要因を一つずつ解消し、育休を「取得しやすい」から「取得して当たり前」の環境へと変えていくことが、今後の社会に求められています。

男性育休取得で得られるメリット:家庭・仕事・自身の変化

家庭における絆の深化とパートナーシップの強化

男性が育休を取得することは、家庭にもたらすメリットが計り知れません。

まず、何よりも「子どもの成長を間近で感じられる」喜びは、育休中にしか味わえない特別な体験です。初めての寝返り、お座り、つかまり立ちといった子どもの貴重な成長過程をリアルタイムで目撃し、深く関わることで、親としての喜びと責任を実感できます。このかけがえのない時間は、子どもとの間に強固な絆を築く礎となります。

さらに、育児を共に担うことで、夫婦間のコミュニケーションが飛躍的に増加し、協力関係が深まります。育児の喜びだけでなく、大変さや悩みも共有することで、お互いの理解が深まり、より強固なパートナーシップを築くことができます。これにより、育児中の孤独感や負担感が軽減され、夫婦ともに笑顔で子育てに取り組めるようになるでしょう。

また、妻の育児・家事負担を軽減し、気分転換をサポートできる点も大きなメリットです。産後の女性は身体的・精神的に大きな負担を抱えています。男性が育休を取得し、育児や家事を分担することで、妻の休息時間を確保したり、自分のための時間を提供したりすることが可能になります。これは、夫婦の心の健康を保つ上でも非常に重要であり、家族全体の幸福度向上に直結します。

仕事への新たな視点とキャリア形成への好影響

男性育休は、家庭だけでなく、取得者自身の仕事やキャリアにも多大なプラスの影響をもたらします。

育児経験を通じて、仕事に対する新たな視点や価値観を得られることがあります。子育てを通じて培われるタイムマネジメント能力、問題解決能力、多様な視点から物事を捉える力などは、ビジネスシーンにおいても大いに役立つスキルです。限られた時間の中で効率的に家事や育児をこなす経験は、職場での生産性向上にもつながるでしょう。

また、育休取得は、職場へのエンゲージメント向上に繋がる可能性があります。会社が育児と仕事の両立を支援してくれることで、企業への愛着や貢献意欲が高まり、復帰後のモチベーション維持にも繋がります。育休経験者は、多様な働き方を理解し、チーム内の多様性を尊重する姿勢を身につけるため、組織全体の柔軟性向上にも貢献できるでしょう。

長期的な視点で見れば、男性の育休取得はキャリア形成において決してマイナスではありません。育児経験は、人生を豊かにし、人間的な成長を促す貴重な機会です。この経験を通じて得られた新たなスキルや価値観は、将来のキャリアパスを広げ、より充実した職業人生を送るための糧となります。企業も育休取得を推進することで、従業員が長期的に活躍できる環境を整備し、結果的に組織全体のパフォーマンス向上に繋げることが可能です。

企業価値の向上と助成金活用によるメリット

男性育休の促進は、企業にとっても多角的なメリットをもたらし、持続可能な成長に貢献します。

まず、男性育休を積極的に推進する企業は、「企業イメージの向上」という大きな恩恵を受けます。ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、ワークライフバランスを重視する企業としての評価が高まることで、社会的な信頼を得られるだけでなく、優秀な人材の獲得にも有利に働きます。特に、共働き世帯が増加する中で、子育て支援に積極的な企業は、就職活動を行う学生や転職希望者にとって魅力的な選択肢となります。

次に、国は中小企業に対し、男性育休取得を支援するための助成金制度を設けています。例えば、「両立支援等助成金(育児休業等支援コース)」などを活用することで、育休取得に伴う企業側の経済的負担を軽減し、制度導入や運用コストの一部を補填することが可能です。これらの助成金は、特にリソースが限られる中小企業にとって、育休制度整備への大きな後押しとなります。

さらに、男性育休の促進は「多様な働き方の推進」に直結します。社員がライフイベントとキャリアを両立できる環境を整備することは、従業員満足度の向上だけでなく、組織全体の生産性向上にも寄与します。育休取得者だけでなく、全従業員が「自分らしく働ける」と感じることで、職場へのエンゲージメントが高まり、結果的に離職率の低下や創造性の向上に繋がります。育休制度の充実と運用は、単なる福利厚生ではなく、企業の競争力を高めるための重要な経営戦略と言えるでしょう。

男性育休取得のデメリットと乗り越え方

経済的な懸念と給付金の活用

男性育休取得を検討する上で、多くの人が最初に抱く懸念が「収入の減少」です。

育休期間中は給与が支給されないか、減額されるため、家計収入に影響が出ることは避けられません。特に、子どもの誕生に伴い出費が増える時期であるため、この経済的な不安は育休取得を躊躇させる大きな要因となりがちです。しかし、このデメリットを乗り越えるための公的な支援制度が存在します。

それが「育児休業給付金」です。雇用保険の被保険者であれば、育休開始から6ヶ月間は賃金の67%、それ以降は50%が支給されます。この給付金は非課税であり、社会保険料の免除も受けられるため、額面上の賃金減少ほど手取り収入が減るわけではありません。育休取得を検討する際には、夫婦で事前に家計シミュレーションを行い、育児休業給付金を含めた収入の見込みを把握することが重要です。また、自治体によっては独自の補助金制度がある場合もあるため、情報収集も欠かせません。計画的な準備と制度の活用により、経済的な不安を軽減し、安心して育休を取得できる道筋を立てることが可能です。

職場での孤立感や評価への不安の解消

育休取得者が直面しやすいデメリットとして、「職場での孤立感や評価への不安」が挙げられます。

特に、まだ男性育休取得が一般的でない職場では、自分が例外的な存在であるかのように感じ、周囲の理解が得られないことにストレスを感じることがあります。また、「休業中にキャリアに遅れが出るのではないか」「復帰後の評価に影響するのではないか」といった懸念から、育休取得に二の足を踏む男性も少なくありません。

これらの不安を乗り越えるためには、上司や同僚との事前の丁寧なコミュニケーションが不可欠です。育休取得の意思を早めに伝え、業務の引き継ぎ計画を綿密に立てることで、周囲の理解と協力を得やすくなります。また、復帰後の業務内容やキャリアパスについて、会社の人事担当者や上司と事前に話し合い、不安を解消することも有効です。

育休中も、会社の情報共有ツールを通じて適度に情報に触れる機会を設けたり、定期的に上司と連絡を取ったりすることで、職場からの孤立感を軽減し、復帰後のスムーズなキャッチアップに繋げることができます。企業側も、育休取得者に対する定期的なフォローアップや、復帰前面談の実施など、心理的なサポート体制を整えることが求められます。

企業側の業務負担増加への対策

男性育休の取得が進む一方で、企業側が懸念するデメリットとして、「業務負担の増加」があります。

育休取得者の業務を他の従業員が一時的に引き継ぐことで、残されたメンバーの業務量が偏ったり、一時的な人手不足が生じたりする可能性があります。特に、中小企業や特定の専門業務を担う従業員の場合、業務の属人化が進んでいると、代替要員の確保や業務の再配分が困難になるケースも少なくありません。

この課題を乗り越えるためには、事前の計画と組織的な対策が不可欠です。まず、業務の属人化を防ぐために、日頃から業務マニュアルの整備や、複数人での担当制を導入することが重要です。これにより、誰か一人が不在になっても業務が滞るリスクを低減できます。

次に、育休取得が決まった際には、余裕を持った引き継ぎ期間を設定し、業務内容を細分化して責任者を明確に定めることが求められます。必要に応じて、期間限定の代替要員を雇用したり、アウトソーシングを活用したりすることも有効な手段です。また、業務効率化ツールの導入や、会議のオンライン化、ペーパーレス化といった取り組みを進めることで、組織全体の生産性を高め、育休取得による一時的な業務量の変動にも柔軟に対応できる体制を構築できます。これらの対策は、育休取得者だけでなく、全従業員の働きがい向上にも繋がるでしょう。

先進的な企業の取り組み:育休取得を後押しする施策

経営層による強力なメッセージ発信と文化醸成

男性育休の取得を促進する上で、最も重要な要素の一つが、経営層からの強力なメッセージ発信と、それに基づく企業文化の醸成です。

経営トップが自ら育休取得の重要性を繰り返し発信し、育児と仕事の両立を奨励する姿勢を示すことで、社内の雰囲気を大きく変えることができます。これにより、「育休は取得しても大丈夫」という安心感が広がり、従業員が心理的なハードルを感じることなく育休を検討できるようになります。例えば、育休取得者の体験談を社内報や社内イベントで共有したり、育児に関する研修を定期的に実施したりすることも有効です。

これにより、育児経験のない従業員も含めて、子育てに対する理解を深め、「男性も育児に参加するのが当たり前」という共通認識を社内に根付かせることができます。株式会社ペンシルは、男性育休取得推進の取り組みが厚生労働省の「イクメンプロジェクト」で先進事例として紹介されており、経営層のコミットメントが文化醸成に成功した好例と言えるでしょう。このような企業の取り組みは、従業員のエンゲージメントを高め、結果として企業の成長にも繋がります。

独自の育休制度と手厚い支援策

先進的な企業は、法定基準を上回る独自の育休制度や手厚い支援策を導入し、男性従業員の育休取得を強力に後押ししています。

単に制度を設けるだけでなく、「育休中の給与補填」や「育休期間の延長」など、経済的な不安を軽減する具体策を講じている企業が増えています。例えば、NTT西日本は「男性育児事由休暇取得率100%」を掲げ、単なる育休取得だけでなく、復職後のキャリア形成支援にも力を入れています。これにより、育休取得者が安心して職場に戻り、継続的に活躍できる環境を整備しています。

また、髙島屋のように、3年平均で男性育児休業取得率180.2%という驚異的な数値を記録している企業もあります。これは、男性が複数回にわたって育休を取得することを奨励していることの表れであり、育休を「特別な休暇」ではなく「当たり前の選択肢」として位置付けている証拠です。これらの企業は、従業員がライフイベントを柔軟に乗り越えながらキャリアを築けるよう、手厚い支援を提供することで、従業員のエンゲージメントを高め、結果として企業全体の生産性向上にも貢献しています。

独自の制度は、企業が従業員の幸福と成長を真剣に考えているというメッセージとなり、企業ブランド価値の向上にも繋がります。

「産後パパ育休」の積極的な活用促進

2022年10月に施行された「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、男性育休取得を大きく前進させるための画期的な制度です。

この制度は、子どもの出生後8週間以内に最大4週間まで、2回に分割して取得できるもので、通常の育児休業とは別に取得が可能です。先進的な企業では、この制度を積極的に活用するよう、従業員に周知・奨励する取り組みを進めています。例えば、制度の説明会を定期的に開催したり、社内ポータルサイトで分かりやすい情報を発提供したりすることで、従業員が制度を正しく理解し、利用しやすい環境を整えています。

産後パパ育休は、短期間であるため、従来の育休よりも取得への心理的・業務的ハードルが低いという特徴があります。この制度をきっかけとして、男性が育児への参加の第一歩を踏み出しやすくなるため、企業は取得目標を設定し、進捗を管理するなど、具体的な推進策を講じています。例えば、役職者が率先して取得する「ロールモデル」を示すことで、より一層取得しやすい雰囲気を作り出すことも可能です。

この制度の積極的な活用は、男性が育児初期から深く関わる機会を創出し、夫婦での育児協力体制を早期に構築する上で非常に有効です。企業がこの制度を戦略的に推進することで、男性育休の取得率向上だけでなく、従業員のワークライフバランス支援と企業文化の改善に繋がるでしょう。

男性育休をより円滑に進めるためのヒント

取得前の周到な計画と情報収集

男性育休を円滑に進めるためには、何よりも取得前の周到な計画と情報収集が不可欠です。

まず、企業が提供している育休制度の内容(期間、給与補填、復職支援など)を正確に理解しましょう。併せて、育児休業給付金制度や、自治体が提供する子育て支援策なども含め、利用可能な公的支援制度について徹底的に情報収集することが大切です。これらの情報を基に、夫婦で育休の期間、家事・育児の役割分担、そして育休期間中の家計シミュレーションを具体的に行い、共有認識を深めることが重要です。

次に、上司や同僚との綿密なコミュニケーションを図る必要があります。育休取得の意思をできるだけ早く伝え、業務の引き継ぎ計画を具体的に作成し、協力をお願いしましょう。業務の属人化を防ぎ、スムーズな引き継ぎを行うことで、職場への負担を最小限に抑え、復帰後も良好な人間関係を維持できます。また、復帰後のキャリアパスについても、不安な点があれば事前に上司と相談し、認識のズレがないようにしておくことも大切です。

計画的な準備と情報収集は、育休期間中の不安を軽減し、有意義な時間を過ごすための土台となります。これらを怠らずに行うことが、男性育休を成功させるための第一歩と言えるでしょう。

企業が取り組むべき制度と風土づくり

男性育休を円滑に進めるためには、個人の努力だけでなく、企業側の積極的な取り組みが不可欠です。

企業がまず取り組むべきは、育休取得に関する明確なガイドラインの整備と周知徹底です。育休制度の内容、申請手続き、給付金に関する情報、復帰支援策などを分かりやすくまとめ、全従業員がいつでもアクセスできるようにしておくべきです。これにより、従業員が育休取得を検討する際の不安や疑問を解消し、スムーズな手続きをサポートできます。

次に、「育休は当たり前」という文化を醸成する風土づくりが求められます。経営層や管理職が率先して育休取得を奨励するメッセージを発信し、実際に育休を取得した従業員の成功事例を共有することで、ポジティブな雰囲気を生み出すことができます。特に、管理職層への育児理解促進研修は非常に重要です。育休取得者が出ることを前提とした業務計画の立て方や、代替要員の確保、業務の標準化・効率化を日頃から進めることで、育休取得による一時的な業務負担を軽減し、組織全体の柔軟性を高めることができます。

これらの制度と風土づくりは、育休取得者だけでなく、全ての従業員にとって働きやすい環境を構築し、結果として企業の持続的な成長に貢献するでしょう。

育休期間中の過ごし方と復帰後のキャリアデザイン

育休を単なる休暇と捉えるのではなく、育児に積極的に関わり、自身の成長にも繋がる期間として捉えることが重要です。

育休中は、家事や育児に積極的に参加し、パートナーと協力しながら子育ての喜びや大変さを分かち合いましょう。この経験は、子どもとの絆を深めるだけでなく、夫婦間の信頼関係を強固にし、チームワークを育む貴重な機会となります。また、自身の心身のリフレッシュを図りながら、読書やオンライン学習などを通じて、スキルアップや自己成長の機会として活用することも可能です。

育休期間中に、復帰後のキャリアについて考える時間を持つことも有効です。育児経験を通じて得られた新たな視点やスキルを、どのように仕事に活かしていくか、また、ワークライフバランスを考慮した柔軟な働き方(時短勤務やリモートワークなど)ができないかなどを検討してみましょう。復帰前に上司や人事担当者と面談し、具体的なキャリアプランや働き方について話し合うことで、スムーズな職場復帰とモチベーションの維持に繋がります。

男性育休は、仕事と育児を両立しながら、自身の人生をより豊かにするための大切な期間です。この期間を最大限に活用し、復帰後のキャリアを前向きにデザインしていくことで、個人と企業双方にとって大きなプラスとなるでしょう。