概要: 3人目の出産を控えている方へ、育児休暇の取得条件や期間、取得中の注意点などを解説します。有給休暇との併用や、海外の育児休暇事情にも触れ、取得を検討されている方々の疑問を解消します。
3人目の育児休暇、取得は可能?知っておきたい制度の基本
育児休業制度の基本的な仕組みと取得条件
3人目のお子さんの育児休暇、取得できるのかご不安な方もいらっしゃるかもしれませんね。ご安心ください、日本の育児休業制度は、性別や子の人数に関わらず、条件を満たせば誰もが取得できる制度です。
3人目であっても、通常の育児休業と同様に、労働者としての要件(雇用期間など)を満たしていれば取得が可能です。
ただし、育児休業給付金を受給するためには、育児休業開始前2年間に「11日以上働いた月が12ヶ月以上必要」という条件があります。これは、雇用保険の被保険者期間を指します。
制度を上手に活用して、新しい家族との時間を大切に過ごしましょう。
3人目の育児休業給付金:連続取得の注意点
育児休業中の生活を支える大切な育児休業給付金(育児休業手当)。3人目の場合でももちろん受給可能ですが、連続して育児休業を取得している場合は少し注意が必要です。
特に、1人目、2人目、そして3人目と続けて育児休業を取得している場合、給付金の受給要件を満たしにくくなることがあります。
参考情報によると、「1人目と2人目の育児休業の間に一定期間(1年以上)職場復帰している場合、3人目の育児休業手当を受給できる可能性が高まります」とあります。
つまり、間の職場復帰期間がポイントとなることが多いのです。ご自身の状況で受給可能か不安な場合は、必ずお勤め先の人事担当者やハローワークに事前に確認するようにしましょう。
男性育休取得の現状と「産後パパ育休」の効果
日本における男性の育児休業取得率は年々増加しています。参考情報によれば、2023年度の男性の育児休業取得率は30.1%でしたが、2024年度には40.5%に達したという報告もあります。
これは、2022年10月から施行された「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度の効果も大きいと考えられます。
しかし、女性の取得率が84.1%であることと比較すると、まだ多くの男性が育児休業の取得に踏み切れていない現状も見えてきます。
また、男性の取得期間については、半数以上が2週間未満にとどまっており、まとまった期間の取得は依然として課題です。
3人目の育児休暇取得を考える際、ご夫婦での協力体制や期間についてもぜひ話し合ってみてくださいね。
有給休暇との併用やアルバイトとの関係性、気になる疑問を解説
育児休業中の有給休暇の取り扱い
育児休業は、育児に専念するための休業制度であり、その期間中は労働義務がありません。そのため、原則として育児休業中に有給休暇を取得することはできません。
有給休暇は、労働義務のある日に休みを取得する際に使用する制度だからです。
もし有給休暇を消化したい場合は、育児休業に入る前、または育児休業を終えて職場復帰した後に取得することになります。
育児休業期間中は給付金が支給されるとはいえ、無給期間が発生することも多いため、育休開始前に有給休暇を計画的に消化し、収入の確保に充てるケースも少なくありません。
会社の就業規則や人事担当者に確認し、最適な方法を検討しましょう。
育児休業中にアルバイトはできる?注意点と制限
育児休業は「育児に専念するため」に取得するものですので、原則として育児休業期間中にアルバイトなどの労働を行うことは認められていません。
しかし、例外的に、以下の条件を満たせば可能な場合があります。
- 一時的または臨時的な就労であること
- 育児休業給付金の支給対象となる期間であること
- 育児休業給付金の減額条件に抵触しないこと(賃金と給付金の合計が休業前賃金の80%を超える場合など)
特に、会社の許可なくアルバイトを行うと、就業規則違反となる可能性や、育児休業給付金が減額・不支給になるリスクがあります。
事前に必ず会社の担当部署とハローワークに相談し、ルールや制限を確認するようにしてください。
育児休業期間中の社会保険料免除と給付金の計算
育児休業を取得する大きなメリットの一つが、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)の免除制度です。
育児休業期間中は、要件を満たせばこれらの保険料が免除され、家計の負担を軽減することができます。
免除期間中も将来の年金額には影響がなく、医療給付も通常通り受けられるため、安心して育児に専念できます。
また、育児休業給付金は、休業開始前の賃金日額をもとに計算されます。具体的には、休業開始から最初の6ヶ月間は「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」、それ以降は「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%」が支給されます。
この給付金は非課税所得であり、確定申告の対象にはなりません。
海外の育児休暇事情:アメリカや韓国ではどうなっている?
ヨーロッパ諸国の先進的な育児休業制度
海外、特にヨーロッパ諸国では、育児休業制度が非常に充実しており、日本と比較しても先進的な取り組みが多く見られます。
例えば、ノルウェーでは男性の育児休業取得率が約75%に達し、平均取得期間も3ヶ月半と長期です。
さらに、育休中の賃金も80〜100%が補償されるため、経済的な心配が少なく、原則として0歳児を保育園に通わせる必要がないという特徴があります。
また、フィンランドには「ネウボラ」という妊娠・出産から子育てまでを包括的にサポートする無料の支援施設があり、地域全体で子育てを支える体制が確立されています。
アメリカの育児休業:日本との大きな違い
一方で、アメリカの育児休業制度は、日本やヨーロッパ諸国とは大きく異なります。
アメリカには、日本のような法定の産休・育休制度は存在しません。
ただし、「FMLA(The Family and Medical Leave Act:家族医療休暇法)」という制度があり、一定の条件を満たす労働者は、無給で最大12週間の休業を取得できます。
これは最低限の保障であり、有給での育児休業は企業の福利厚生に依存するため、企業ごとの差が非常に大きいのが特徴です。
このような違いから、国の制度が子育てに与える影響の大きさがうかがえます。
海外の多様な育児支援:日本が学べる点
世界各国が、それぞれの文化や経済状況に合わせて多様な育児支援策を講じています。
例えば、スウェーデンなどでは、男女平等を実現するために父親の育児休業取得が強く推奨され、育児休暇中の給付水準も高く設定されています。
これらの海外事例からは、育児休業の取得を促進するためには、制度の充実だけでなく、社会全体の意識改革や経済的な支援が不可欠であることが学べます。
日本でも、男性の育児参加を促進するため、育児・介護休業法などの改正が進められており、2025年4月には子の看護休暇の対象年齢拡大などが施行されます。
海外の先進事例を参考に、より子育てしやすい社会を目指していくことが期待されます。
育児休暇中の確定申告や運動会・遊びとの両立について
育児休業中の確定申告は必要?住民税の扱いは?
育児休業中に受け取る育児休業給付金は「非課税所得」であるため、原則として確定申告をする必要はありません。
これは、所得税の計算対象にならないという意味です。
ただし、育児休業中であっても、医療費控除や住宅ローン控除などによって税金の還付を受けたい場合は、確定申告を行うことで還付金を受け取ることができます。
一方、住民税は前年度の所得に対して課税されるため、育児休業中でも納付が必要です。育休中は給与天引きではなく、自分で納付書で支払う普通徴収に切り替わるケースが多いので、事前に確認しておきましょう。
育児休業中に上の子のイベント参加:運動会や習い事
育児休業中は、下のお子さんの育児に専念する期間ではありますが、上の子との時間もこれまで以上に大切にできる貴重な機会です。
普段、仕事でなかなか参加できなかった上の子の運動会や授業参観、発表会などの学校・園行事に、心置きなく参加できるのは大きなメリットです。
平日に行われる習い事の送迎なども可能になり、上の子の活動を間近でサポートできる喜びを味わえます。
育児休業は、新しい家族が増えた喜びと共に、上の子との絆をより一層深めるための絶好のチャンスと捉えましょう。
育児休業中の過ごし方:上の子との遊びと兄弟の関わり
下のお子さんの世話はもちろん大切ですが、育児休業中は上の子との個別時間も意識して確保することが、家族全体の調和を保つ上で重要です。
例えば、下の子が寝ている間に上の子と公園で遊んだり、一緒に絵本を読んだり、料理のお手伝いをしてもらったりするのも良いでしょう。
上の子に、下の子のおむつ替えや着替えを手伝ってもらうことで、兄弟愛が育まれ、親としての自覚も芽生えるかもしれません。
3人目のお子さんとの生活は賑やかですが、この時期だからこそできる、家族全員での特別な思い出をたくさん作ってくださいね。
上のお子さんの保育園はどうなる?育児休暇中の不安を解消
育児休業中の上の子の保育園継続問題
「3人目の育児休業中に、上の子が保育園を退園させられるのではないか」という不安をお持ちの保護者の方も少なくありません。
しかし、原則として、育児休業中の上の子の保育園利用は継続が可能です。
育児休業制度は、子育て中の保護者の仕事と育児の両立を支援するためのものであり、上の子の保育園を退園させることでかえって保護者の負担が増えるという考えが一般的だからです。
ただし、自治体によっては独自のルールや条件(例:育休中の預かり時間の制限や一時預かりへの切り替え)を設けている場合があるので、事前の確認が非常に重要です。
保育園の利用継続のための手続きと自治体ごとの違い
育児休業中に上の子の保育園を継続利用するためには、いくつかの手続きが必要になることがほとんどです。
一般的には、育児休業取得証明書など、育児休業中であることを示す書類を自治体や保育園に提出が求められます。
また、自治体によっては、「育児休業中の保育園の必要性」について、保護者の状況を具体的に記述した申請書を求める場合もあります。
これらの手続きや必要書類、ルールは自治体によって異なるため、必ずお住まいの市区町村の役所窓口やウェブサイトで確認するようにしてください。
早めの情報収集と準備が、スムーズな継続利用に繋がります。
育児休業期間の延長と保育園入園の準備
育児休業期間の延長を検討する際、下のお子さんの保育園入園のタイミングが大きな要素となります。
特に、0歳児クラスでの4月入園は激戦となることが多いため、育児休業中から計画的に保活(保育園入園活動)を進めることが重要です。
自治体の保育園入園に関する説明会に参加したり、入園のしおりを熟読したり、見学可能な保育園をリストアップしたりと、情報収集を怠らないようにしましょう。
育児休業は、育児に専念できる貴重な期間であると同時に、復帰後の生活を見据えた準備を進めるための大切な時間でもあります。
ご自身の状況に合わせて、無理のない範囲で保活を進めていきましょう。
まとめ
よくある質問
Q: 3人目の出産でも育児休暇は取得できますか?
A: はい、原則として取得可能です。ただし、勤務先の就業規則や雇用形態によって条件が異なる場合があります。事前に会社に確認しましょう。
Q: 育児休暇中に有給休暇を5日間取得することは可能ですか?
A: 育児休暇と有給休暇の取得方法については、会社の規定によります。一般的には、育児休暇とは別に有給休暇を取得できる場合が多いですが、念のため就業規則を確認してください。
Q: 育児休暇中にアルバイトをすることはできますか?
A: 原則として、育児休暇中は育児に専念することが期待されています。アルバイトが可能かどうかは会社の規定によりますが、兼業が認められていない場合が多いです。詳細はお勤めの会社にご確認ください。
Q: アメリカや韓国の育児休暇制度について教えてください。
A: アメリカでは連邦政府による育児休暇制度は限定的で、州によって制度が異なります。有給で取得できる場合もあれば、無給の場合もあります。韓国では、育児休業制度があり、一定期間給付金を受け取りながら休業できます。国ごとに制度が大きく異なるため、渡航や移住を検討されている場合は、最新の情報を確認することが重要です。
Q: 育児休暇中に運動会や上の子の遊びに付き添うことはできますか?
A: 育児休暇は育児に専念するための制度ですが、子供の行事や遊びに付き添うこと自体が禁止されているわけではありません。ただし、長時間の外出や頻繁な勤務時間外の活動は、育児休暇の趣旨に反すると見なされる可能性もゼロではありません。状況に応じて、上司や同僚と相談しながら柔軟に対応するのが良いでしょう。