1. 働きがいを高める!組織と働きがい研究所の研究成果を徹底解説
  2. 「組織と働きがい研究所」とは? 働きがい研究の最前線
    1. 「働きがい」研究を牽引する二つの柱
    2. Great Place To Work® Institute Japanの役割と影響力
    3. 「情熱」を核とする働きがい創造研究所のアプローチ
  3. 働きがいを数値化する!研究所が提唱する測定方法と指標
    1. GPTW Japanが定義する「働きがい」の構成要素
    2. エンゲージメントの測定と厚生労働省の視点
    3. 日本における働きがい低下の現状と課題
  4. 働きがいサーベイの活用法:従業員のエンゲージメント向上へ
    1. GPTWサーベイが明らかにする組織課題
    2. 厚生労働省推奨のエンゲージメント向上施策
    3. 継続的な対話とフィードバックの重要性
  5. 具体的な質問項目から読み解く!働きがい診断のポイント
    1. 「働きがい」を測る質問項目の具体例
    2. 働きがい創造研究所の「ビノベーション・レポート診断」
    3. 診断結果から導き出す改善策の方向性
  6. 働きがい創造のための組織づくり:研究所からの提言
    1. データが語る働きがい認定企業の好循環
    2. 「情熱」と「貢献意欲」を育む組織文化
    3. 働きがい向上への多角的なアプローチ
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 「組織と働きがい研究所」はどのような活動を行っていますか?
    2. Q: 働きがいを数値化するメリットは何ですか?
    3. Q: 働きがいサーベイはどのように活用できますか?
    4. Q: 働きがい診断の質問項目で特に重要なのは何ですか?
    5. Q: 研究所は働きがい創造のためにどのような提案をしていますか?

働きがいを高める!組織と働きがい研究所の研究成果を徹底解説

近年、「働きがい」という言葉を耳にする機会が増えました。単なる労働時間や賃金だけでなく、仕事への満足感や充実感が、個人の幸福度や企業の成長に大きく影響することが認識されつつあります。

本記事では、働きがいに関する研究をリードする「働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan)」と「働きがい創造研究所」の成果を深掘りし、さらに厚生労働省の視点も交えながら、働きがいを高めるための具体的なヒントをご紹介します。

あなたの組織で働く人々のモチベーションを高め、持続的な成長を実現するための羅針盤として、ぜひ最後までお読みください。

「組織と働きがい研究所」とは? 働きがい研究の最前線

「働きがい」研究を牽引する二つの柱

「働きがい」の研究と実践を推進する主要な機関として、「働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan、以下GPTW Japan)」と「働きがい創造研究所」が挙げられます。

GPTW Japanは、世界150カ国で展開される「働きがいのある会社」調査プログラムを日本で実施し、客観的なデータに基づいた企業認定とランキング発表を通じて、働きがいのある職場文化の普及に貢献しています。

一方、働きがい創造研究所は、独自の「働きがい心理学」を提唱し、個人の「情熱」と組織の成長を結びつけるアプローチで、キャリア開発や組織開発を支援しています。これら二つの研究所は、異なる視点から「働きがい」を追求し、その本質を解き明かす最前線に立っています。

Great Place To Work® Institute Japanの役割と影響力

GPTW Japanは、企業の働きがいレベルを国際的な基準で評価し、その成果を毎年「働きがいのある会社」ランキングとして発表しています。このランキングは、企業が従業員のエンゲージメントやウェルビーイングを高めるためのベンチマークとして広く認知されています。

彼らの調査では、働きがいが高い企業ほど、業績向上や人材定着といった明確なメリットを享受していることが明らかになっています。例えば、GPTW Japanの調査によると、働きがい認定企業の81%以上が前年比増収を達成し、投資リターンは日経平均を1.2倍上回るというデータがあります。

また、離職率も平均10%を下回るなど、働きがいが企業の競争力に直結することを示しています。これらのデータは、単なる従業員満足度調査に留まらない、ビジネス成果に結びつく働きがい研究の重要性を物語っています。

「情熱」を核とする働きがい創造研究所のアプローチ

働きがい創造研究所は、「情熱」を働きがいの源泉と捉え、独自の「働きがい心理学」に基づいたアプローチを提供しています。

彼らは、個人が内発的な動機に基づき、仕事に喜びや意味を見出すことが、真の働きがいにつながると考えます。具体的なサービスとして、『ビノベーション・レポート診断』や『キャリアリフレクション』を通じて個人の強みや情熱を明確にし、主体的・自律的なキャリア形成を支援しています。

また、組織開発においては、ポジティブアプローチを基盤とし、経営理念の言語化や浸透、組織の現状可視化を支援することで、組織全体の働きがい向上を目指します。日本において働く人のモチベーションが低い傾向にあると指摘される中で、彼らの「情熱」を核としたアプローチは、人手不足や生産性向上の課題解決に貢献する可能性を秘めています。

働きがいを数値化する!研究所が提唱する測定方法と指標

GPTW Japanが定義する「働きがい」の構成要素

GPTW Japanでは、「働きがい」を「働きやすさ」と「やりがい」の掛け合わせとして定義しています。

「働きやすさ」は、公正な評価、透明性の高い情報共有、心理的安全性の確保、福利厚生の充実といった労働環境や制度面を指します。一方、「やりがい」は、仕事への誇り、達成感、成長実感、貢献意識といった内発的な動機付けに関わる要素です。

彼らは、従業員意識調査を通じてこれらの要素を多角的に測定し、各企業の働きがいレベルを数値化します。この測定により、企業は自社の強みと弱みを客観的に把握し、具体的な改善策を立てることが可能になります。目に見えない「働きがい」を可視化することで、感覚的な議論に終止符を打ち、データに基づいた組織変革へと繋げているのです。

エンゲージメントの測定と厚生労働省の視点

厚生労働省もまた、働きがいのある職場づくりにおいて、ワーク・エンゲージメントの重要性を強調しています。

ワーク・エンゲージメントとは、仕事から活力を得て熱心に取り組み、仕事に誇りややりがいを感じている状態を指します。厚生労働省の資料によると、エンゲージメントの向上は、従業員からの組織に対する信頼を高め、能力の最大限の発揮、健康的な労働、そして定着率や生産性の向上に繋がるとされています。

測定方法としては、定期的な従業員アンケートを通じて、従業員の体調、仕事への負担感、働きがい、コンディションの変化などを継続的に把握することが推奨されています。このような継続的な測定により、早期に課題を察知し、迅速な対策を講じることで、従業員が活き活きと働き続けられる環境を築くことが可能になります。

日本における働きがい低下の現状と課題

リクルートワークス研究所の「働きがいの実態調査2020」では、日本の「働きがい」に関する懸念すべき現状が指摘されています。

「働き方改革」により長時間労働の割合は減少傾向にあるものの、必ずしも従業員の仕事への満足度ややりがいの向上には繋がっていないという分析が示されています。これは、労働時間の短縮や制度の整備だけでは、根本的な「働きがい」の向上には不十分であることを示唆しています。

同研究所は、働きがいを高めるためには、単に「働き方」を変えるだけでなく、従業員一人ひとりの「働く意識」、すなわち仕事への意味付けやモチベーションの源泉に目を向け、これらを育む必要があると提言しています。日本が直面する人手不足や生産性向上の課題を解決するためには、働きがいという内面的な側面に深く向き合うことが不可欠です。

働きがいサーベイの活用法:従業員のエンゲージメント向上へ

GPTWサーベイが明らかにする組織課題

Great Place To Work® Institute Japanが提供する従業員意識調査(サーベイ)は、組織の働きがいを客観的に測定し、具体的な課題を浮き彫りにするための強力なツールです。

このサーベイは、信頼、尊敬、公正、誇り、連帯感といった多角的な視点から従業員の意識を深く掘り下げます。例えば、「経営陣は信頼できるか」「キャリアアップの機会が与えられているか」「仕事にやりがいを感じているか」といった質問を通じて、目に見えない職場の雰囲気や従業員の心理状態を数値化します。

これにより、企業は特定の部署や階層における働きがいのボトルネックを特定し、データに基づいた改善計画を策定することが可能になります。サーベイ結果は単なる現状把握に留まらず、具体的な施策へと繋がるアクションプランの根拠となるのです。

厚生労働省推奨のエンゲージメント向上施策

厚生労働省は、ワーク・エンゲージメント向上を目的とした具体的な取り組み例を提示しています。

その一つが、毎月簡単なアンケートを実施し、体調や働きがいについて調査することです。このアンケートでは、仕事の負担感やコンディションの変化に特に着目し、早期に問題を察知して対策を講じることで、働きがいと定着率の向上を目指します。

さらに、個人の思いや部署の状況を把握するため、人事部門が全てのコメントに丁寧に返信し、「打てば響く」ようなインタラクティブな状況を作り出すことも重要視されています。このような丁寧なコミュニケーションと、納得感のある評価や処遇で報いることが、従業員の組織への信頼と貢献意欲を高める上で不可欠であるとされています。

継続的な対話とフィードバックの重要性

働きがいサーベイの真価は、単に結果を分析するだけでなく、その結果を基にした継続的な対話とフィードバックにあります。

サーベイで明らかになった課題に対し、マネージャーはチームメンバーとオープンに議論し、改善策を共に考える場を設けるべきです。例えば、「エンゲージメントが低いと出た項目について、具体的にどうすれば改善できるか」といった建設的な対話は、従業員が「自分の意見が組織に反映される」という実感を持つ上で非常に重要です。

また、個人レベルでのフィードバックも欠かせません。上司が部下と定期的に一対一で面談し、キャリアの展望や仕事への悩みを聞き、適切なサポートを提供することで、個人のエンゲージメントは大きく向上します。このような継続的な取り組みこそが、サーベイを一時的なイベントで終わらせず、組織文化として定着させる鍵となります。

具体的な質問項目から読み解く!働きがい診断のポイント

「働きがい」を測る質問項目の具体例

働きがいを診断するための質問項目は、多岐にわたりますが、Great Place To Work® Institute Japanの定義する「働きやすさ」と「やりがい」の要素をカバーすることが重要です。以下に具体的な質問の例を挙げます。

  • 「私は自分の仕事に誇りを感じている。」
  • 「私の能力は十分に活用されていると感じる。」
  • 「上司は私の意見に真剣に耳を傾けてくれる。」
  • 「会社は従業員のことを大切にしていると感じる。」
  • 「私の努力は公正に評価され、報われている。」
  • 「この会社で長く働き続けたいと思う。」

これらの質問への回答を通じて、従業員が自身の仕事や職場環境、人間関係についてどのように感じているかを具体的に把握できます。特に、「感じる」という主観的な表現は、従業員の内面的な感情や満足度を直接的に測る上で有効です。

働きがい創造研究所の「ビノベーション・レポート診断」

働きがい創造研究所が提供する『ビノベーション・レポート診断』は、個人の内面に深く焦点を当てた診断ツールです。

この診断は、心理学的なアプローチに基づき、個人の「情熱」や「強み」、そして「価値観」を客観的に可視化します。具体的には、どのような仕事内容や環境で自身の才能が最大限に発揮されるのか、何がモチベーションの源泉となるのかといった点が明らかになります。

これにより、従業員は自身のキャリアパスをより明確に描き、組織は個々の従業員が最も輝ける役割やプロジェクトにアサインする際のヒントを得られます。診断結果は、単なる能力評価に留まらず、個人の内発的動機付けを理解し、働きがいへと繋げるための重要な羅針盤となるのです。

診断結果から導き出す改善策の方向性

働きがいに関する診断結果は、単なる数字の羅列ではありません。そこから読み解かれるのは、組織が抱える潜在的な課題と、成長のための具体的なヒントです。

例えば、仕事内容への「やりがい」が高い一方で、「公正な評価」への満足度が低い場合、評価制度の見直しが急務であると判断できます。また、「上司とのコミュニケーション」に課題が見られる場合は、管理職向けのコーチング研修や1on1ミーティングの質の向上などが考えられます。

さらに、個人の診断結果と組織全体の傾向を照らし合わせることで、全体的な組織文化の改善点や、特定の層(例えば若手社員や特定の部署)への重点的な支援策を導き出すことができます。診断結果は、組織がより従業員に寄り添い、効果的な施策を打つための羅針眼となるのです。

働きがい創造のための組織づくり:研究所からの提言

データが語る働きがい認定企業の好循環

Great Place To Work® Institute Japanの調査データは、働きがいのある会社が単に「良い会社」であるだけでなく、明確なビジネス上のメリットを享受していることを明確に示しています。

前述の通り、81%以上の認定企業が前年比増収を達成し、働きがい認定企業への投資リターンは日経平均を1.2倍上回るという事実は、働きがいが企業の競争力と収益性に直結する強力なドライバーであることを物語っています。また、離職率が平均10%を下回るというデータは、働きがいが優秀な人材の定着に不可欠であることを示唆しています。

これらの数値は、働きがいを高める投資が、結果として企業のブランド力向上、優秀な人材の獲得、生産性向上、そして持続的な成長へと繋がる好循環を生み出すことを強く提言しています。働きがいは、もはや「あればいいもの」ではなく、企業戦略の核となるべき要素なのです。

「情熱」と「貢献意欲」を育む組織文化

働きがい創造研究所が提唱する「情熱」と、厚生労働省が重視する「組織への貢献意欲」は、働きがいを育む組織文化の二つの重要な柱です。

組織は、従業員一人ひとりが自身の情熱を見つけ、それを仕事に活かせるような機会を提供することが求められます。これは、単に業務を割り振るだけでなく、個人の興味やスキルに合わせたプロジェクトへのアサインや、キャリア開発支援を通じて実現されます。

また、組織が目指す方向性と個人の目標が重なることで、従業員は「自分の仕事が組織に貢献している」という実感を持ちやすくなります。経営理念の明確化と浸透、そして従業員が意見を言えるオープンなコミュニケーション環境を整備することで、エンゲージメントと貢献意欲が自然と高まる文化を醸成できるでしょう。

働きがい向上への多角的なアプローチ

働きがいを創造するためには、単一の施策に頼るのではなく、多角的なアプローチが必要です。

Great Place To Work® Institute Japanの知見からは、公正な評価制度、透明性の高いコミュニケーション、そして従業員への敬意が、働きがいを高める上で不可欠であることがわかります。一方、働きがい創造研究所は、個人の情熱を引き出し、キャリア支援を通じて自律的な成長を促すことの重要性を強調します。

さらに厚生労働省は、定期的な従業員の声の収集とそれに対する丁寧なフィードバック、そして納得感のある評価・処遇といった、具体的な運用面での工夫を推奨しています。これらの提言を総合的に実践することで、組織は従業員一人ひとりが活き活きと働き、その能力を最大限に発揮できる、真に働きがいのある職場を築き上げることが可能になるでしょう。