近年、働き方の多様化が進み、ダブルワーク(副業)を検討する方が増えています。しかし、「本業に知られずに副業をしたい」「労働時間の上限が心配」「育児休業中に副業しても大丈夫?」といった疑問や不安も尽きません。

この記事では、ダブルワークや育児休業中の働き方に関する疑問を解決し、安心して賢く働くための具体的な注意点を解説します。法的な側面から給付金への影響まで、あなたの不安を解消するための情報が満載です。

  1. ダブルワーク、正直に伝えるべき?言わない・嘘をつくリスク
    1. 会社の就業規則を必ず確認しよう
    2. 言わないことの法的なリスク
    3. 住民税や社会保険でバレることも
  2. 週40時間超えはNG?ダブルワークで労働時間が問題になるケース
    1. 労働基準法の原則「週40時間」はダブルワークにも適用
    2. 週40時間超えは「36協定」と割増賃金の対象
    3. 自身の健康管理と労災リスクも考慮する
  3. ダブルワークで「バレる」のはどんな時?8時間以上や36協定との関連
    1. 住民税の異変から発覚するケース
    2. 社会保険や雇用保険の加入状況からの発覚
    3. 同僚からの情報や業務への影響でバレることも
  4. 育児休業中のダブルワークは可能?育休手当への影響も解説
    1. 育児休業中の副業は法律上は可能
    2. 育児休業給付金が減額・不支給になる条件
    3. 会社の就業規則と確定申告の注意点
  5. ダブルワークを賢く行うための基本ルールと注意点
    1. 会社の就業規則を理解し、必要なら相談を
    2. 労働時間の徹底管理と体調への配慮
    3. 税金と社会保険の知識を深める
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: ダブルワークは会社に言わないといけませんか?
    2. Q: ダブルワークで週40時間を超えるとどうなりますか?
    3. Q: ダブルワークで1日8時間以上働くとバレますか?
    4. Q: 育児休業中にダブルワークはできますか?
    5. Q: 育児休業中にダブルワークをすると育休手当はもらえませんか?

ダブルワーク、正直に伝えるべき?言わない・嘘をつくリスク

会社の就業規則を必ず確認しよう

ダブルワークを始める前に最も重要なのは、勤務先の就業規則を確認することです。多くの企業では、副業に関する規定が設けられており、「原則禁止」「許可制」など、その内容は多岐にわたります。無許可で副業を行い、それが会社に発覚した場合、就業規則違反として懲戒処分の対象となる可能性もあります。

例えば、本業の競合となる業務を行うことや、本業の業務に支障をきたすような働き方は、たとえ副業が許可制であっても認められないケースが多いでしょう。まずは自身の会社のルールを把握し、必要であれば人事に相談する姿勢が大切です。

言わないことの法的なリスク

副業を会社に隠したまま続けることは、法的なリスクも伴います。特に、労働基準法で定められた「1日8時間、週40時間」という労働時間の上限は、本業と副業の労働時間を通算して適用されます。

もし、会社があなたの副業を知らずに労働時間が超過した場合、本来企業が締結・届出を行うべき「36協定」がないことになり、企業側が法的に罰せられる可能性があります。また、万が一副業中に災害が発生した際の労災認定など、思わぬ問題に発展することも考えられます。

住民税や社会保険でバレることも

ダブルワークが会社にバレるきっかけとして多いのが、住民税や社会保険からの発覚です。一般的に、会社員の場合、住民税は給与から天引き(特別徴収)されます。副業で得た所得が加算されることで、本業の給与額に比して住民税額が不自然に高くなり、会社の経理担当者が異変に気づくことがあります。

また、社会保険の加入状況も注意が必要です。複数の会社で一定以上の労働時間・賃金がある場合、社会保険の加入が必要になるケースがあり、その情報から副業が明るみに出ることも考えられます。

週40時間超えはNG?ダブルワークで労働時間が問題になるケース

労働基準法の原則「週40時間」はダブルワークにも適用

労働基準法では、労働時間は原則として「1日8時間、週40時間」以内と定められています。これは、雇用形態に関わらず適用される重要なルールです。ダブルワークの場合、この法定労働時間は本業と副業の時間を合計して考えなければなりません。

例えば、本業で週30時間働いている場合、副業で働けるのは週10時間までが原則となります。このルールを知らずに合計時間が週40時間を超えてしまうと、労働基準法違反となる可能性があります。

週40時間超えは「36協定」と割増賃金の対象

本業と副業の労働時間を合計して週40時間を超える場合、それは法定労働時間を超える「時間外労働」とみなされます。この場合、企業は労働者との間で「36協定」を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

もし36協定がないにもかかわらず法定労働時間を超えて働かせた場合、企業には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。また、超過した労働時間に対しては割増賃金(残業代)が発生し、原則として後から雇用契約を結んだ企業が支払う義務を負います。

自身の健康管理と労災リスクも考慮する

労働時間の問題は、法的な側面だけでなく、自身の健康にも直結します。週40時間を大幅に超える労働は、肉体的・精神的な疲労を蓄積させ、過労による体調不良や病気の原因となるリスクが高まります。

過重労働は、本業や副業のパフォーマンス低下を招くだけでなく、日常生活にも悪影響を及ぼしかねません。また、万が一労働中に事故や怪我が発生した場合、労働時間が適切に管理されていないと、労災保険の適用を巡って複雑な問題が生じる可能性もあります。自身の健康を最優先し、無理のない労働時間を心がけましょう。

ダブルワークで「バレる」のはどんな時?8時間以上や36協定との関連

住民税の異変から発覚するケース

ダブルワークが会社にバレる最も典型的なパターンの一つが、住民税の「特別徴収」によるものです。会社員の場合、住民税は通常、給与から天引きされます。副業で収入があると、その所得も合算され、結果として本業の給与額と比べて不自然に住民税額が高くなることがあります。

会社の経理担当者は、従業員ごとの住民税額を把握しているため、この異変に気づき、「なぜこの人の住民税が高いのだろう?」と疑問を抱くことで副業が発覚することがあります。対策として確定申告時に住民税を「普通徴収」に切り替える方法もありますが、全ての自治体で対応可能とは限らず、確実ではありません。

社会保険や雇用保険の加入状況からの発覚

複数の勤務先で社会保険の加入条件を満たした場合、情報が共有されることで副業が発覚する可能性があります。例えば、本業と副業の両方で週20時間以上働き、月の賃金が8.8万円以上になるようなケースでは、両方の会社で社会保険に加入することになります。

また、雇用保険については、複数の会社で加入条件を満たしても、原則として主たる賃金を得ている会社でのみ加入となります。これらの保険情報の調整や確認の過程で、会社の担当者が副業の存在を知ることがあります。

同僚からの情報や業務への影響でバレることも

最も避けたいのが、人づてでバレてしまうケースです。SNSでの投稿や、知人が副業している現場を目撃してしまうといった偶然の出来事から、会社の同僚や上司に情報が伝わる可能性があります。

また、ダブルワークによる疲労が原因で、本業でのパフォーマンスが低下したり、集中力が散漫になったりすることも、間接的に副業の存在を疑われるきっかけになり得ます。本業に支障が出ると、会社の就業規則に違反するだけでなく、自身の評価にも悪影響を及ぼしかねません。

育児休業中のダブルワークは可能?育休手当への影響も解説

育児休業中の副業は法律上は可能

育児休業中に副業をすることは、法律上、原則として禁止されていません。育児休業給付金を受け取りながら、在宅ワークやフリーランスの仕事で収入を得ることは可能です。しかし、ここで注意が必要なのが、育児休業給付金の支給条件です。

育児に専念するための制度であるため、あまりにも多くの時間や収入を得てしまうと、給付金が減額されたり、支給されなくなったりする可能性があります。また、会社の就業規則で育児休業中の副業について特別な規定が設けられている場合もあるため、事前に確認することが重要です。

育児休業給付金が減額・不支給になる条件

育児休業中に副業を行う際、最も注意すべきは育児休業給付金への影響です。以下の2つの条件に注意してください。

  • 育児休業期間中の就業日数が10日以下(または就業時間が80時間以下)であること。
  • 育児休業期間中に支払われる賃金が、休業開始前の賃金の80%未満であること。

特に、副業収入の金額は給付金の支給額に大きく影響します。具体的な目安は以下の通りです。

副業収入の割合(育休開始前の賃金に対し) 育児休業給付金の支給額
13%以下 満額支給
13%超~80%未満 減額支給(支給額 = 賃金月額 × 80% – 育休中副業収入)
80%以上 支給なし

せっかくの給付金が減額されないよう、副業の労働時間や収入は慎重に調整しましょう。

会社の就業規則と確定申告の注意点

法律上は問題なくても、会社の就業規則で育児休業中の副業を制限している場合があります。例えば、「育児休業中は業務に専念し、他の事業に従事してはならない」といった規定があるかもしれません。給付金の条件を満たしていても、会社の規則に違反すると問題になるため、必ず事前に確認しましょう。

また、育児休業中に副業で得た収入も所得となり、年間所得が20万円を超える場合は原則として確定申告が必要です。20万円以下の場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。さらに、副業先の雇用形態によっては社会保険料が発生する可能性もあるため、税金や保険についても事前に確認し、計画的に行動することが大切です。

ダブルワークを賢く行うための基本ルールと注意点

会社の就業規則を理解し、必要なら相談を

ダブルワークを成功させる第一歩は、本業の会社の就業規則を正しく理解することです。副業の可否、許可申請の要件、禁止されている業務内容などを事前に確認し、不明な点があれば人事部門に問い合わせましょう。

もし会社が副業を許可している場合でも、無許可で進めるのではなく、定められた手続きに従って申請することが重要です。正直に相談することで、会社との信頼関係を維持し、万が一のトラブルを未然に防ぐことにも繋がります。

労働時間の徹底管理と体調への配慮

本業と副業の合計労働時間が週40時間を超えないように、自身の労働時間を徹底して管理しましょう。手帳やアプリなどを活用し、本業と副業それぞれの勤務時間を毎日記録する習慣をつけることをおすすめします。労働時間が超過していることに気づいたら、速やかに調整する柔軟性も必要です。

また、何よりも大切なのは、自身の健康です。ダブルワークによって過労に陥り、体調を崩してしまっては元も子もありません。十分な睡眠時間を確保し、適度な休息を取ることを心がけましょう。体調に異変を感じたら、無理せず休息を取る勇気も必要です。

税金と社会保険の知識を深める

ダブルワークには、税金や社会保険に関する複雑な側面が伴います。副業による年間所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になりますし、20万円以下でも住民税の申告は必要となることがあります。住民税を本業の会社に知られずに普通徴収で納める方法なども、事前に調べておく価値があります。

社会保険についても、副業の労働時間や収入によっては、副業先での加入や、本業の保険料への影響が生じる可能性があります。これらの知識を深めることで、予期せぬトラブルを避け、安心してダブルワークを続けることができます。必要であれば、税理士や社会保険労務士といった専門家への相談も検討しましょう。