副業禁止の壁を乗り越える!職種別・現状と可能性

近年、働き方改革や個人のキャリア形成への意識の高まりから、副業への関心が高まっています。

政府も副業・兼業を推進しており、多くの企業で副業が解禁されつつありますが、職種や企業によっては、依然として副業禁止の壁が存在することも事実です。

本記事では、副業の最新動向、職種別の現状と可能性、そして副業を成功させるためのポイントについて解説します。

  1. 公務員・正社員・契約社員:副業禁止の現状と例外
    1. 公務員の厳しい現状と限定的な許可
    2. 正社員・契約社員における企業のスタンス
    3. 「副業したいけどできない」人の課題と解決策
  2. スナック・農家・作業療法士:職業ごとの副業事情
    1. 夜職・接客業における副業の考え方
    2. 農家が副業・兼業に取り組むメリットと課題
    3. 医療・介護職(作業療法士など)の副業可能性
  3. 「兼業農家」サラリーマンの副業、どこまで許される?
    1. 「兼業」の定義と許可される範囲
    2. 本業への影響と競業避止義務
    3. 許可を得るためのステップと注意点
  4. 副業禁止でも諦めない!スキマ時間を活用する方法
    1. 本業に影響なく始められる「内緒の副業」?
    2. スキルアップに繋がる自己投資としての活動
    3. 「副業予備軍」として準備を始める
  5. 知っておきたい!副業解禁の兆しと今後の動向
    1. 政府の推進と企業の対応の変化
    2. 副業解禁が進む業界と職種
    3. 副業における法制度・税制の今後の課題
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 公務員の副業は絶対に禁止ですか?
    2. Q: サラリーマンの副業禁止規定は、会社によって異なりますか?
    3. Q: 契約社員でも副業は禁止されますか?
    4. Q: 作業療法士が副業をする場合、どのような点に注意すべきですか?
    5. Q: 兼業農家やスナック経営などの副業は、サラリーマンとして認められますか?

公務員・正社員・契約社員:副業禁止の現状と例外

公務員の厳しい現状と限定的な許可

公務員は、国家公務員法および地方公務員法により、原則として副業が厳しく制限されています。これは、公務員が国民全体の奉仕者として、職務に専念し、公務の信用を維持する必要があるためです。

しかし、例外的に許可される副業も存在します。例えば、実家の家業の手伝い(農業など)、不動産の賃貸(一定規模以下)、小規模な太陽光発電などです。これらは「事業規模が小さく、職務の遂行に支障がなく、公務の信用を損なわない」といった厳格な条件を満たす必要があります。

近年では、地域貢献を目的とした副業(兼業)が一部の自治体で試験的に導入され始めており、専門スキルを活かした地域課題解決への貢献が期待されています。しかし、無許可での副業は懲戒処分の対象となり、公務員の信頼を失墜させる行為となるため、細心の注意が必要です。

正社員・契約社員における企業のスタンス

正社員や契約社員の場合、副業の可否は勤務先の就業規則によって大きく異なります。多くの企業では、「企業秩序の維持」「秘密保持」「競業避止」などを理由に、副業を制限または禁止する規定を設けています。

しかし、政府が副業・兼業を推進している影響もあり、企業の副業容認率は上昇傾向にあります。2023年10月時点の調査では、企業の副業容認率は60.9%に達しており、2021年調査から5.9ポイント上昇しています。

特に大企業では8割以上が副業を認める、または認める予定であるという調査結果もあり、人材の流出防止や従業員のスキルアップ支援といったメリットを認識する企業が増えています。それでも、副業を始める前には必ず就業規則を確認し、必要であれば会社に相談することが不可欠です。

「副業したいけどできない」人の課題と解決策

企業の副業容認率が上昇している一方で、正社員の副業実施率は7.0%と伸び悩んでいます。これは「副業したいけどできない」と感じている人が多い現状を示唆しています。

主な理由としては、「本業が忙しくて時間がない」「希望やスキルに合う求人が少ない」といった点が挙げられます。また、副業禁止の会社で働いていることが壁になっているケースも少なくありません。

解決策としては、まず自分の勤務先の就業規則を正確に把握することから始めましょう。もし副業が認められていなくても、投資のように労働時間を伴わない活動は副業とみなされない場合もあります。

また、すぐに収入を得る副業ではなく、将来的なキャリアアップに繋がるスキル学習や自己投資に時間を使うことも有効です。</

スナック・農家・作業療法士:職業ごとの副業事情

夜職・接客業における副業の考え方

スナックやバーなどの夜職・接客業は、比較的短時間で高収入が得られることから、副業として関心を持つ人が少なくありません。しかし、本業を持つ会社員が夜職を副業とする場合、いくつかの注意点があります。

まず、体力的な負担が大きく、本業のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。また、会社の就業規則に「競業避止義務」や「会社の信用を損なわない」といった規定がある場合、夜職がそれに抵触するリスクも考慮しなければなりません。

さらに、源泉徴収が適切に行われないケースや、多額の収入があった場合に確定申告を怠ると、税務署から問い合わせが来て、結果的に会社に副業が発覚するリスクもあります。特に本業と全く異なるイメージの仕事であるため、会社への説明は困難を極めるでしょう。

農家が副業・兼業に取り組むメリットと課題

「兼業農家」という言葉があるように、農業は古くから副業として成り立ってきた歴史があります。季節によって作業量が変動するため、本業と調整しやすい側面があります。

特に近年では、スマート農業の普及やオンライン販売の多様化により、兼業農家として事業を拡大する可能性も広がっています。週末だけ作業を行う「週末農業」や、ITスキルを活かして農作物のブランディングや販売戦略を担うなど、その形は多岐にわたります。

ただし、初期投資として農地の確保や機械の購入が必要になる場合があるほか、農業に関する専門知識やノウハウも求められます。また、規模が大きくなれば事業所得となり、確定申告や会社の許可が必要になるため、計画的な取り組みが重要です。

医療・介護職(作業療法士など)の副業可能性

作業療法士のような医療・介護職は、高い専門スキルを持つため、副業の選択肢が豊富です。例えば、地域の診療所やデイサービスでの非常勤勤務、高齢者施設でのレクリエーション指導、専門知識を活かしたWebライターやオンライン講師などが考えられます。

これらの職種は社会的な需要も高く、人手不足の現場も多いため、自身のスキルを活かせる機会は少なくありません。副業によって新たな経験を積むことで、本業にも良い影響を与える可能性があります。

一方で、医療・介護の現場では患者様の個人情報保護や、医療事故防止のための注意義務が非常に重要です。勤務先の就業規則を遵守し、情報漏洩や競業避止といったリスク管理を徹底する必要があります。本業のパフォーマンスに影響が出ないよう、適切な時間管理も求められます。

「兼業農家」サラリーマンの副業、どこまで許される?

「兼業」の定義と許可される範囲

「兼業」とは、本業の他に別の仕事を掛け持ちすることを指し、副業とほぼ同じ意味で使われます。サラリーマンが兼業農家になる場合、会社がどこまでを許容するのかは、その規模と本業への影響度によって大きく異なります。

一般的に、ごく小規模な家庭菜園の延長や、実家の家業を手伝う程度の規模であれば、会社から黙認されるケースが多いでしょう。しかし、本格的な農業経営を行い、多額の利益を上げたり、本業の勤務時間中に農業作業を行ったりする場合は、会社の許可が必要となる可能性が高まります。

多くの企業の就業規則では「会社の許可なく、他の会社等の業務に従事してはならない」といった規定があります。そのため、少しでも事業性があると判断される兼業を行う場合は、事前に会社への確認と許可を得ることが賢明です。

本業への影響と競業避止義務

会社が副業・兼業を制限する最大の理由の一つは、本業への影響を懸念するためです。兼業農家として活動する上で、体力の消耗が激しく本業の業務効率が低下したり、過労によって体調を崩したりする事態は避けなければなりません。

また、会社の事業内容と兼業農家としての活動が競合しないか、「競業避止義務」の観点からも確認が必要です。例えば、本業が食品関連企業である場合、副業の農業がそれに直接的な競合とならないか、会社の機密情報やノウハウを不正に利用しないかといった点が問われます。

本業に支障を与えず、会社の利益を損なわない範囲での兼業でなければ、後々トラブルに発展するリスクがあることを理解しておくべきでしょう。

許可を得るためのステップと注意点

兼業農家として副業を検討するサラリーマンが、会社から許可を得るためには、いくつかのステップを踏むことが重要です。まず、自身の会社の就業規則を隅々まで確認し、副業に関する規定を把握します。もし不明な点があれば、人事部や上司に相談窓口がないか確認しましょう。

次に、兼業農家としての具体的な活動内容(規模、作業時間、年間収益見込みなど)を明確にし、本業に支障が出ないこと、会社の利益を損なわないことを具体的に説明できるよう準備します。

許可を得る際は、口頭だけでなく書面で申請し、会社の正式な許可を得ることが望ましいです。万が一、許可が得られない場合でも、無許可で副業を強行することは避け、別の副業方法を検討するなど、慎重な対応が求められます。

副業禁止でも諦めない!スキマ時間を活用する方法

本業に影響なく始められる「内緒の副業」?

副業禁止の会社に勤めている場合でも、完全に諦める必要はありません。労働時間を伴わない投資活動は、一般的に副業とはみなされないことが多いです。

具体的には、株式投資、FX、暗号資産などが挙げられます。これらはあくまで資産運用であり、本業の就業規則で禁止される「会社の業務に支障をきたす兼業」には該当しないと解釈される傾向があります。ただし、大きな損失を出すリスクや、投資に没頭しすぎて本業がおろそかになることのないよう、自己管理が重要です。

また、フリマアプリでの不用品販売や、ポイントサイトでのポイ活、アンケートモニターなども、趣味の延長や小遣い稼ぎとして見なされることが多く、会社にバレにくい副業と言えるでしょう。しかし、年間所得が20万円を超えると確定申告が必要となり、住民税の金額から会社にバレる可能性があるため、注意が必要です。

スキルアップに繋がる自己投資としての活動

副業として直接的な収入を得られなくても、将来のキャリア形成やスキルアップに繋がる自己投資に時間を使うことは、会社から咎められることはありません。むしろ、積極的に学ぶ姿勢は高く評価されるでしょう。

例えば、プログラミング学習、Webデザイン、語学学習、資格取得のための勉強などが挙げられます。これらの学習を通じて得たスキルは、将来的に副業が解禁された際や、転職を考える際の大きな武器となります。

オンライン学習プラットフォームや専門スクールを活用すれば、自宅やスキマ時間に効率的に学習を進めることができます。自己成長を目的とした活動は、本業のパフォーマンス向上にも寄与し、会社にとってもメリットをもたらす可能性があります。

「副業予備軍」として準備を始める

すぐに副業を始められなくても、「副業予備軍」として、将来に備えた準備を始めることは非常に有効です。情報収集、スキル習得、人脈作りなど、できることはたくさんあります。

例えば、Webライターを目指すのであれば、まずは自分のブログを開設して文章力を磨くことができます。動画編集に興味があるなら、無料の編集ソフトを使って趣味の動画を作成し、ポートフォリオを構築することも可能です。

SNSを活用して自分の得意なことや学んでいることを発信し、同じ興味を持つ人々と交流することも、将来的な副業案件獲得に繋がるかもしれません。副業関連のセミナーや書籍で知識を深めるなど、今できることから一歩ずつ始めることで、チャンスが訪れた際にスムーズに移行できるようになります。

知っておきたい!副業解禁の兆しと今後の動向

政府の推進と企業の対応の変化

政府は「働き方改革」の一環として、個人の多様な働き方を推進しており、副業・兼業もその重要な柱の一つです。厚生労働省が公開する「モデル就業規則」も副業・兼業を原則禁止から原則容認へと改定され、企業に積極的な対応を促しています。

このような政府の動きを受け、多くの企業が副業容認へと舵を切り始めています。前述の通り、2023年10月時点の調査では、企業の副業容認率は60.9%に達しており、大企業では8割以上が容認済みまたは容認予定であるというデータからも、その変化が読み取れます。

企業側も、副業を解禁することで、従業員のスキルアップやモチベーション向上、人材流出の防止、新たな事業アイデアの創出といったメリットを認識し始めています。今後もこの流れは加速すると予測されます。

副業解禁が進む業界と職種

副業が認められている割合が高い業界としては、「人材サービス・アウトソーシング・コールセンター」(52.6%)「警備・清掃」(41.3%)「コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ」(40.5%)などが挙げられます。

職種別では、ITエンジニア、Webライター、動画編集、オンライン講師など、専門スキルを活かしてリモートで完結できる仕事が高い人気と需要を誇っています。これらの職種は場所や時間に縛られずに働きやすく、副業として始めやすいという特徴があります。

今後も、デジタル化の進展に伴い、オンラインで完結するギグワークや、特定の専門スキルを外部に提供するコンサルティング業務など、多様な形の副業が増加していくことが予想されます。

副業における法制度・税制の今後の課題

副業が広がる中で、法制度や税制に関する課題も浮上しています。特に、副業による年間所得が20万円を超える場合は確定申告が義務付けられており、税金に関する知識は不可欠です。

また、複数の職場で働くことによる労働時間の把握、社会保険の適用、労働災害時の補償など、現在の法制度では対応しきれていない部分も少なくありません。政府は今後も副業・兼業に関するガイドラインの見直しや、制度整備を進めることで、より安心して副業に取り組める環境を整えることが期待されています。

働く側も企業側も、最新の法制度や税制に関する情報を常に収集し、適切な対応を心がけることが、副業を健全に継続するための鍵となります。