1. 【雇用保険】誰でも加入?対象者・手続き・意外な疑問を徹底解説
  2. 雇用保険とは?加入は絶対?基本を理解しよう
    1. 社会保険のセーフティネット「雇用保険」の役割
    2. 加入条件の基本ルール:3つのポイント
    3. 給付金の種類を知ろう!もしもの時に役立つ制度
  3. 雇用保険の加入手続き:どこで・どうやって進める?
    1. 事業主の義務!ハローワークへの届け出
    2. 雇用保険加入手続きの具体的な流れ
    3. 被保険者証の確認と重要性
  4. 意外と知らない?雇用保険の加入対象者と例外
    1. パート・アルバイトも対象?雇用形態と加入義務
    2. 65歳以上でも加入できる!高年齢労働者のセーフティネット
    3. 学生は原則対象外?例外ケースとは
  5. 後から加入できる?法人・個人事業主・代表者のケース
    1. 事業主は加入義務者?法人と個人事業主の違い
    2. 法人の役員は雇用保険に加入できる?例外的なケース
    3. 遅れて加入した場合はどうなる?
  6. 雇用保険に関するよくある質問(QA)
    1. Q1: 自己都合退職の場合、すぐに給付は受けられますか?
    2. Q2: 育児休業中の給付は変わりますか?
    3. Q3: キャリアアップのための訓練費用は補助されますか?
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 雇用保険には全員加入しないといけないのですか?
    2. Q: 雇用保険はどこで加入手続きをするのですか?
    3. Q: アルバイトやパートでも雇用保険に加入できますか?
    4. Q: 代表取締役や個人事業主は雇用保険に加入できますか?
    5. Q: 外国籍の労働者も雇用保険に加入できますか?

【雇用保険】誰でも加入?対象者・手続き・意外な疑問を徹底解説

雇用保険は、働く私たちにとって非常に重要な社会保険制度の一つです。

「自分には関係ない」と思っている方もいるかもしれませんが、実はパートやアルバイト、65歳以上の方まで、条件を満たせば誰もが加入の対象となりえます。

失業時の「失業手当」として知られていますが、実は育児や介護、キャリアアップの際にも私たちの生活を支えてくれる、頼れるセーフティネットなのです。

この記事では、そんな雇用保険の基本的な仕組みから、加入手続き、そして意外と知られていない疑問点まで、最新の情報も交えながら分かりやすく解説していきます。

あなたの「もしも」の時に備え、この機会に雇用保険について深く理解していきましょう。

雇用保険とは?加入は絶対?基本を理解しよう

社会保険のセーフティネット「雇用保険」の役割

雇用保険とは、労働者の生活と雇用の安定を図ることを目的とした、国の社会保険制度の一つです。

もしあなたが失業してしまっても、再就職までの期間の生活を支えるための「失業手当(求職者給付)」が支給されます。

しかし、雇用保険の役割はそれだけにとどまりません。

育児休業や介護休業を取得する際に収入を保障する「育児休業給付金」や「介護休業給付金」、さらにはスキルアップのための教育訓練を受ける際に費用の一部を補助する「教育訓練給付金」など、人生の様々な転機において私たちの生活とキャリアを多角的にサポートしてくれる制度なのです。

事業主は、加入条件を満たす労働者を雇用した場合、雇用形態に関わらず雇用保険に加入させる義務があります。つまり、労働者側からすれば、条件を満たせば加入は「絶対」の義務であり権利でもあるのです。

加入条件の基本ルール:3つのポイント

雇用保険に加入するためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 雇用契約が31日以上あること

    雇用期間の定めがない場合や、31日以上の期間を定めて雇用される場合に該当します。たとえ最初の契約期間が31日未満であっても、更新の可能性があり、その更新によって31日以上になる見込みがある場合も加入対象となります。

  2. 週20時間以上の労働時間

    就業規則や雇用契約に基づき、通常の週に勤務する時間が20時間以上であることが条件です。この時間が週の所定労働時間として定められている必要があります。

  3. 学生でないこと

    原則として、昼間部で全日制の学校に通う学生は加入対象外となります。しかし、例外として休学中である場合や、卒業見込みで卒業後も継続勤務する予定がある場合は加入できることがあります。夜間部や通信制の学生は、上記1,2の条件を満たせば加入対象となるのが一般的です。

【今後の変更点に注目!】

2028年10月1日からは、週の所定労働時間が10時間以上であれば、雇用保険の加入対象となります。これにより、より多くのパート・アルバイト労働者が雇用保険のセーフティネットに守られることになります。

給付金の種類を知ろう!もしもの時に役立つ制度

雇用保険から支給される給付金は、様々な状況に対応できるよういくつかの種類に分けられています。

  • 求職者給付失業手当がこれにあたります。失業した場合に、生活の安定を図りながら再就職を支援するための給付金です。
  • 就職促進給付:再就職が決まった際に支給される給付金で、早期の再就職を促す目的があります。
  • 教育訓練給付:キャリア形成やスキルアップを目的とした教育訓練を受講する際に、費用の一部が支給されます。自己投資を支援する制度として注目されています。
  • 雇用継続給付:高年齢者や育児・介護休業を取得する労働者の収入を保障する給付金です。
    • 高年齢雇用継続給付:60歳以降も働き続ける方をサポートします。
    • 育児休業給付:育児のために休業する期間の生活を支えます。
    • 介護休業給付:家族の介護のために休業する期間の収入を保障します。

これらの給付金は、単なる失業時の保障に留まらず、労働者のキャリアプランやライフステージの変化に柔軟に対応し、働き続けることを支援する多角的な役割を担っています。

雇用保険の加入手続き:どこで・どうやって進める?

事業主の義務!ハローワークへの届け出

雇用保険の加入手続きは、事業主(会社)の義務です。加入条件を満たす従業員を雇用した場合、事業主は速やかに管轄のハローワークに届け出る必要があります。

労働者自身が手続きを行うわけではありませんが、事業主が適切に手続きを行っているかを確認し、自身が雇用保険に加入している証である「雇用保険被保険者証」を確実に受け取ることが大切です。

もし事業主が手続きを怠っていた場合、労働者側からハローワークに相談することも可能です。

雇用保険は、万一の際に私たちを守ってくれる重要な制度ですので、正しく加入されているか常に意識しておきましょう。

雇用保険加入手続きの具体的な流れ

事業主が雇用保険に加入する際の一般的な手続きの流れは以下の通りです。

  1. 労働保険関係成立届の提出

    事業所が労働保険(雇用保険・労災保険)に加入する際に、事業開始日から10日以内に労働基準監督署またはハローワークへ提出します。

  2. 概算保険料申告書の提出

    労働保険料の申告と納付に関する書類で、労働保険関係成立届と同時に提出します。

  3. 雇用保険適用事業所設置届の提出

    事業所が雇用保険の適用事業所となったことを示す書類で、事業開始日から10日以内に管轄のハローワークに提出します。

  4. 雇用保険被保険者資格取得届の提出

    新しく雇用した従業員が雇用保険の加入条件を満たした場合、雇用開始日の翌月10日までに、管轄のハローワークに提出します。この手続きによって、従業員一人ひとりが被保険者として登録されます。

これらの手続きを通じて、従業員は雇用保険の被保険者となり、将来的に給付金を受け取る権利を得ることになります。

被保険者証の確認と重要性

事業主は、上記の手続きが完了すると、従業員に「雇用保険被保険者証」を交付する義務があります。

この被保険者証は、あなたが雇用保険に加入していることの証明となる非常に重要な書類です。

失業手当をはじめとする各種給付金を申請する際や、転職時に新たな勤務先に提出する際に必要となります。

紙のカード形式で交付されることもあれば、電子データとして扱われることもありますので、会社から交付されたら大切に保管するようにしましょう。

もし被保険者証を受け取っていない、または紛失してしまった場合は、勤務先の人事担当者や管轄のハローワークに相談して再発行の手続きを依頼することができます。

自身の雇用保険加入状況は、この被保険者証で確認できるほか、ハローワークの窓口で照会することも可能です。

意外と知らない?雇用保険の加入対象者と例外

パート・アルバイトも対象?雇用形態と加入義務

「雇用保険は正社員だけのものでは?」と思われがちですが、実はそうではありません。

前述の加入条件(雇用契約が31日以上、週20時間以上の労働、学生でないこと)を満たせば、パートタイマーやアルバイトであっても雇用保険への加入が義務付けられています。

これは、雇用形態に関わらず、すべての労働者の生活の安定と雇用の促進を図るという雇用保険の基本的な理念に基づいているためです。

実際に、雇用保険の加入率は年々上昇傾向にあります。2015年(平成27年)の調査では労働者別の加入率は82%でしたが、2024年4月時点では95%にまで達しています。

これは、多様な働き方が広がる中で、非正規雇用労働者のセーフティネットとしての雇用保険の役割がより一層認識されてきた結果と言えるでしょう。

さらに、2028年10月1日からは週の所定労働時間が10時間以上であれば加入対象となるため、今後ますます多くのパート・アルバイトの方が雇用保険の恩恵を受けられるようになります。

65歳以上でも加入できる!高年齢労働者のセーフティネット

かつては65歳以上の労働者は雇用保険の適用対象外でしたが、高齢化社会の進展や高年齢者の就労支援の観点から、2017年の法改正により、65歳以上の労働者も加入条件を満たせば雇用保険の対象となりました。

これにより、65歳以上で働き続ける方も、失業時には失業手当の対象となったり、介護休業を取得する際に給付金を受け取ったりすることが可能になります。

また、60歳以降も働き続け、賃金が低下した場合に支給される「高年齢雇用継続給付」も、高年齢労働者の生活を支える重要な制度です。

ただし、この高年齢雇用継続給付は、2025年4月以降に60歳に達する方を対象に、支給率の上限が15%から10%に引き下げられる予定ですので、今後の動向に注意が必要です。

学生は原則対象外?例外ケースとは

雇用保険の加入条件の一つに「学生でないこと」がありますが、これは原則として昼間部に通う全日制の学生が対象外となることを意味します。

学生の本分は学業であり、雇用保険の目的である「生活の安定と雇用の促進」の対象とはなりにくいという考え方に基づいています。

しかし、以下のような場合は例外的に加入対象となることがあります。

  • 休学中の学生:学業を一時停止しているため、労働者としての側面が強まります。
  • 卒業見込みで、卒業後も現在の勤務先に継続して勤務する予定がある学生:実質的に通常の労働者と見なされます。
  • 夜間部や通信制の学校に通う学生:これらは学業と仕事を両立することが前提とされており、労働者としての立場が優先されるため、他の加入条件を満たせば対象となります。

もしあなたが学生で、自身の雇用保険の加入状況について疑問がある場合は、勤務先の人事担当者やハローワークに直接問い合わせて確認することをおすすめします。

後から加入できる?法人・個人事業主・代表者のケース

事業主は加入義務者?法人と個人事業主の違い

雇用保険の仕組みにおいて、事業主と労働者は異なる立場にあります。

事業主は、従業員を雇用した場合に、その従業員を雇用保険に加入させる「加入義務者」です。しかし、事業主自身(法人の代表者や個人事業主本人)は、原則として雇用保険の被保険者にはなれません。

これは、雇用保険が「雇用されている労働者」のための制度であり、事業主は自らを「雇用する側」と見なされるためです。

個人事業主の場合、一人で事業を営んでいるのであれば、雇用保険に加入することはできません。

しかし、従業員を雇用した場合は、その従業員を雇用保険に加入させる義務が生じます。法人においても、代表取締役や役員は原則として雇用保険の被保険者にはなれないという点を理解しておく必要があります。

法人の役員は雇用保険に加入できる?例外的なケース

法人の役員は原則として雇用保険の被保険者にはなれないと述べましたが、例外的に加入できるケースも存在します。

それは、役員としての業務だけでなく、同時に労働者としての側面が強く、従業員と同じように業務に従事し、その対価として賃金を受けている場合です。

例えば、「兼務役員」と呼ばれるケースがこれにあたります。

会社の部長職などを兼務し、役員報酬とは別に、その部長としての労働に対する賃金を受け取っている場合などが該当します。

このようなケースでは、労働者としての実態があるかどうかが重要な判断基準となります。

判断が非常に複雑であるため、もし役員の方で雇用保険の加入を検討している場合は、自己判断せずに必ず管轄のハローワークに相談し、具体的な状況を説明して確認するようにしてください。

明確な基準に基づいて判断されますので、事前に相談することがトラブルを避ける最善の方法です。

遅れて加入した場合はどうなる?

事業主が雇用保険の加入手続きを怠っていたなど、本来加入すべき時期から遅れて加入することになった場合、原則として遡って加入することができます。

これは、雇用保険の加入が事業主の義務であるため、事業主の責任によって従業員が不利益を被らないようにするためです。

遡及加入が認められれば、遅れてしまった期間の雇用保険料を支払い、その期間も被保険者期間として算定されます。

ただし、遡及できる期間には上限が設けられている場合があるため注意が必要です。

労働者自身が雇用保険に加入していることを知らなかった場合でも、事業主には届け出の義務があるため、遡及加入の対象となる可能性が高いです。

もし自身の雇用保険加入が遅れていることに気づいた場合は、まずは勤務先の人事・総務部門に相談し、適切な手続きを求めることが重要です。

それでも解決しない場合は、管轄のハローワークに相談してアドバイスを求めることをおすすめします。

雇用保険に関するよくある質問(QA)

Q1: 自己都合退職の場合、すぐに給付は受けられますか?

A: 自己都合で会社を退職した場合、通常は給付制限期間が設けられており、すぐに失業手当(求職者給付)を受け取ることはできません。

現在の制度では原則として2ヶ月間の給付制限があります。

しかし、働く方々をより手厚くサポートするため、2025年4月以降、この自己都合退職時の給付制限期間が原則2ヶ月から1ヶ月に短縮される予定です。

これは、早期の再就職を支援し、離職者の生活不安を軽減するための重要な改正と言えるでしょう。

また、新しい制度では、失業中に特定の職業訓練を受けた場合、給付制限が解除される特例も導入される予定です。

これにより、リスキリングなどを通じたキャリアアップを目指す方にとっても、より利用しやすい制度へと変わっていきます。

Q2: 育児休業中の給付は変わりますか?

A: 育児休業給付金についても、近年大きな見直しが行われ、今後もさらに拡充される予定です。

特に、育児休業給付の給付率が引き上げられ、手取りで約8割が保障される水準となるなど、育児と仕事の両立を支援する動きが加速しています。

さらに、2025年4月1日からは「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」という新たな給付金が創設されることになっています。

出生後休業支援給付は、産後パパ育休(出生時育児休業)の取得を促進し、育児時短就業給付は、育児のために労働時間を短縮した際の収入減を補填する目的があります。

これらの改正は、男女ともに育児休業を取得しやすい環境を整備し、少子化対策にも貢献することが期待されています。

ただし、これらの給付拡充に伴い、雇用保険財政の安定化のため、将来的に雇用保険料率が引き上げられる可能性も示唆されています。

Q3: キャリアアップのための訓練費用は補助されますか?

A: はい、雇用保険にはキャリアアップやスキルアップを支援する「教育訓練給付金」という制度があります。

この制度を利用すれば、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講した場合、受講費用の一部が給付金として支給されます。

近年、政府は「人への投資」を重視しており、教育訓練給付制度もその一環として強化されています。

具体的には、教育訓練給付金の給付率上限の引き上げや、働きながら学び直すための「教育訓練休暇給付金」の創設などが予定されています。

これは、転職やキャリアチェンジを考えている方、あるいは現在の職場でさらなるスキルアップを目指したい方にとって、非常に心強い支援となるでしょう。

対象となる講座は多岐にわたり、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があります。自身のキャリアプランに合わせて、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

詳細はハローワークのウェブサイトなどで確認できますので、ぜひ一度調べてみてください。