1. 雇用保険とは? 基本的な仕組みと目的
    1. 雇用保険の「なぜ?」:セーフティネットとしての役割
    2. 雇用保険が支える対象:加入者と給付の種類
    3. 令和6年8月改定の重要性:制度変更の背景
  2. 令和6年最新!雇用保険の金額早見表(概算)
    1. 基本手当日額の仕組み:賃金日額と給付率
    2. 【年齢別】基本手当日額の上限・下限額一覧
    3. 具体例で理解!あなたの基本手当日額をシミュレーション
  3. 雇用保険の給付期間と受給資格のポイント
    1. 給付日数を決める要素:離職理由と被保険者期間
    2. 自己都合退職と会社都合退職で異なる給付制限
    3. 知っておきたい!受給資格の確認ポイント
  4. 雇用保険の対象となる金額(基本手当日額)の計算方法
    1. 賃金日額の算出方法:もらえる額の基礎
    2. 給付率の適用:賃金日額と年齢に応じた割合
    3. 計算例でマスター!基本手当日額の具体的な算出
  5. 雇用保険が0円になるケースとその理由
    1. 受給資格がない場合の落とし穴:被保険者期間の不足
    2. 「働く意思がない」と判断されると給付停止に
    3. 〇〇しないと給付制限が長引く!?注意すべき行動
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 雇用保険の基本手当日額は、どのように計算されますか?
    2. Q: 雇用保険の金額は、具体的にいくらもらえるのか早見表で確認できますか?
    3. Q: 雇用保険の受給期間は、どのように決まりますか?
    4. Q: 雇用保険の対象となる金額(賃金日額)の上限・下限はありますか?
    5. Q: 雇用保険が0円になることはありますか? また、その理由は?

雇用保険とは? 基本的な仕組みと目的

「もしもの時に備えて雇用保険に加入しているけれど、実際にいくらもらえるの?」「そもそもどんな制度なの?」そう思っている方も多いのではないでしょうか。

雇用保険は、働く私たちにとって非常に重要な社会保障制度の一つです。失業した際の生活を支え、新たな仕事を見つけるまでの期間を経済的に安定させる役割を担っています。

この章では、雇用保険の基本的な仕組みと、2024年8月1日から改定された最新情報に触れながら、その目的を詳しく解説していきます。

雇用保険の「なぜ?」:セーフティネットとしての役割

雇用保険は、労働者が失業した場合に、その生活の安定を図り、再就職を促進するために設けられた国の制度です。

主な目的は、「働く意思と能力があるにもかかわらず、就職できない状態」にある方々に対して、一定期間の生活費(基本手当、いわゆる失業手当)を支給することにあります。これにより、焦って不本意な転職を選んでしまうことを防ぎ、じっくりと自分に合った仕事を探す時間を確保できるよう支援します。

また、失業手当だけでなく、教育訓練給付や育児休業給付など、働く人の能力開発や職業生活の継続を支援するための様々な給付も行っています。まさに、働く人々が安心して働き続けられる社会のセーフティネットと言えるでしょう。

雇用保険が支える対象:加入者と給付の種類

雇用保険の加入対象となるのは、原則として「雇用される労働者」です。具体的には、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上継続して雇用される見込みがある人が対象となります。

なお、令和6年10月からは、週所定労働時間が10時間以上の人も雇用保険の被保険者対象となる予定であり、適用範囲がさらに広がります。これにより、より多くのパート・アルバイトの方が保障を受けられるようになります。

雇用保険から受けられる給付は、失業時の「基本手当」が代表的ですが、他にも以下のようなものがあります。

  • 再就職を促進するための「再就職手当」
  • 職業訓練受講中の生活を支援する「教育訓練支援給付金」
  • 60歳以降も働き続ける方を支援する「高年齢雇用継続給付」
  • 育児休業中の生活を支える「育児休業給付」

これらの多様な給付を通じて、労働者のキャリアアップやライフイベントにも寄り添い、安定した職業生活をサポートしています。

令和6年8月改定の重要性:制度変更の背景

雇用保険の基本手当の日額は、日本の平均給与額の変動に応じて、毎年見直しが行われています。これは、物価や賃金の変化に対応し、常に実情に合った給付水準を保つための重要な調整です。

そして、令和6年8月1日から、この基本手当の日額が改定されました。特に注目すべきは、下限額の引き上げと、年齢区分による上限額の変更です。

この改定は、特に賃金水準が低い方々へのセーフティネットを強化し、また年齢による働き方の多様化に対応するためのものです。今回の改定によって、実際に受け取れる金額がどう変わるのか、ご自身の状況と照らし合わせて確認することが非常に重要になります。

次の章では、具体的な金額の早見表と計算方法について詳しく見ていきましょう。

令和6年最新!雇用保険の金額早見表(概算)

「結局、失業したら毎月いくらもらえるの?」この疑問に答えるのが、基本手当の金額です。雇用保険の基本手当は、あなたの離職時の給与額や年齢によって支給額が変動します。

特に令和6年8月1日からの改定により、上限額と下限額が変更されました。この章では、最新情報に基づいた基本手当日額の概算早見表と、具体的なシミュレーション例をご紹介します。

基本手当日額の仕組み:賃金日額と給付率

雇用保険の基本手当日額は、主に「賃金日額」「給付率」の2つの要素によって決まります。

賃金日額とは、あなたが離職する直前6ヶ月間の給与総額を180日で割った金額を指します。この賃金日額が高ければ高いほど、基本手当の額も高くなる傾向にありますが、上限額が設定されています。

給付率は、この賃金日額に対して何%が支給されるかを示す割合です。一般的に、賃金日額が低いほど給付率は高く(80%)、賃金日額が高いほど給付率は低く(50%)なります。これにより、低所得者層への手厚い保障が図られています。

ただし、実際に支給される日額は、後述する年齢別の上限額や下限額によって調整されることを理解しておく必要があります。

【年齢別】基本手当日額の上限・下限額一覧

令和6年8月1日からの改定により、基本手当日額の下限額と上限額が変更されました。特に上限額は年齢によって異なるため、ご自身の年齢区分を確認しましょう。

以下の表で、最新の情報を確認してください。

区分 基本手当日額
下限額(全年齢共通) 2,295円
上限額(29歳以下) 7,065円
上限額(30歳~44歳) 7,845円
上限額(45歳~59歳) 8,635円
上限額(60歳~64歳) 7,420円

(※これらの金額は「賃金日額」に基づいて計算された後の最終的な上限・下限額です。)

例えば、どんなに賃金日額が高くても、29歳以下であれば1日にもらえる基本手当は7,065円が最大となります。一方で、賃金が低くても、最低2,295円は保障されることになります。

具体例で理解!あなたの基本手当日額をシミュレーション

実際にあなたの基本手当日額がいくらになるのか、具体的な例で見てみましょう。

まず、賃金日額が5,200円以上12,790円以下の場合は、賃金日額の80%~50%で基本手当日額が計算されます。12,790円を超える場合は、賃金日額の50%となります。この給付率と、先ほどの上限・下限額を考慮して計算します。

  1. 例1:離職時の年齢が29歳で、賃金日額が17,000円の場合
    賃金日額が12,790円を超えるため、原則として賃金日額の50%が適用されます。
    17,000円 × 50% = 8,500円となりますが、29歳以下の上限額は7,065円です。
    そのため、このケースでは7,065円が基本手当日額となります。
  2. 例2:離職時の年齢が40歳で、賃金日額が9,000円の場合
    賃金日額が5,200円以上12,790円以下に該当し、仮に給付率が60%とします(賃金日額に応じて変動)。
    9,000円 × 60% = 5,400円となります。40歳(30歳~44歳)の上限額7,845円、下限額2,295円の範囲内です。
    そのため、このケースでは5,400円程度が基本手当日額となります。

このように、年齢、賃金日額、そして給付率によって受給額は大きく異なります。ご自身の正確な基本手当日額を知りたい場合は、ハローワークで計算してもらうのが最も確実です。

雇用保険の給付期間と受給資格のポイント

雇用保険の基本手当は、誰もが無条件で受け取れるわけではありません。受給するためには特定の条件を満たす必要があり、また支給される期間も個人の状況によって異なります。

この章では、あなたが雇用保険を受けられる期間(給付日数)や、給付を受けるために必要な条件(受給資格)、そして給付が始まるまでの期間(給付制限)について、令和6年版の最新情報に基づいて詳しく解説します。

給付日数を決める要素:離職理由と被保険者期間

雇用保険の基本手当が支給される期間、すなわち「給付日数」は、主に「離職理由」「雇用保険の被保険者だった期間」、そして「離職時の年齢」によって決まります。

離職理由には大きく分けて、「自己都合退職」と「会社都合退職(倒産・解雇など)」があります。一般的に、自己都合退職の場合は90日~150日、会社都合退職(特定受給資格者)の場合は90日~330日と、会社都合の方が長く給付される傾向にあります。

また、雇用保険の被保険者期間が長いほど、給付日数も長くなります。例えば、会社都合退職の場合、被保険者期間が20年以上で離職時の年齢が45歳以上65歳未満であれば、最大の330日間給付される可能性があります。

ご自身の正確な給付日数を把握するためには、最終的にハローワークで受給資格の決定を受ける必要があります。

自己都合退職と会社都合退職で異なる給付制限

雇用保険の基本手当は、ハローワークで求職の申し込みをした後、すぐに支給が開始されるわけではありません。給付が始まるまでに「待期期間」や「給付制限期間」が設けられています。

共通して、求職の申し込みから7日間の「待期期間」があります。この7日間は離職理由に関わらず、給付は行われません。

そして、特に自己都合退職の場合には、この待期期間満了後、さらに2ヶ月間の「給付制限期間」が設けられます。(※過去5年以内に2回目以降の自己都合退職の場合は3ヶ月間)

しかし、令和6年4月1日以降は、特定の職業訓練等を受講した場合には、この給付制限が解除される場合があるという特例措置が導入されました。積極的に再就職を目指す方にとっては朗報と言えるでしょう。

一方、倒産や解雇など、会社都合による退職(特定受給資格者)の場合には、この給付制限期間は原則としてありません。待期期間満了後、すぐに給付が開始されます。

知っておきたい!受給資格の確認ポイント

雇用保険の基本手当を受給するためには、以下の3つの重要な条件をすべて満たす必要があります。

  1. 失業状態であること
    「失業状態」とは、働く意思と能力があるにもかかわらず、就職できない状態を指します。病気やけがで働けない場合や、出産・育児で一時的に就職できない場合は、原則として失業状態とはみなされません。
  2. ハローワークでの求職活動
    ハローワークに求職の申し込みを行い、積極的に転職活動を行っていることが必要です。単に登録するだけでなく、指定された回数以上の求職活動実績が求められます。
  3. 被保険者期間
    離職日以前に雇用保険に加入していた期間が一定以上必要です。

    • 自己都合退職などの一般受給資格者:離職日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上必要です。
    • 会社都合退職(特定受給資格者)や特定理由離職者:離職日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上必要です。
    • 60歳以上または59歳以下で離職し受給資格を満たす場合:被保険者期間が6ヶ月以上あれば受給可能です。

これらの条件は非常に重要ですので、ご自身の状況が該当するかどうか、しっかり確認しましょう。不明な点があれば、迷わずハローワークに相談することをおすすめします。

雇用保険の対象となる金額(基本手当日額)の計算方法

「私の給料だったら、だいたいいくらもらえるんだろう?」と具体的な金額を知りたい方も多いでしょう。雇用保険の基本手当は、あなたの離職前の給与額に基づいて計算されます。

この章では、基本手当の基となる「賃金日額」の算出方法から、それに対する「給付率」の適用、そして最終的な基本手当日額がどのように決まるのかを、具体的な計算例を交えながら解説していきます。

賃金日額の算出方法:もらえる額の基礎

雇用保険の基本手当の計算において、最も基本となるのが「賃金日額」です。

賃金日額は、原則として、あなたが離職した日の直前6ヶ月間に支払われた給与(賞与などを除く)の総額を180で割って算出されます。例えば、直前6ヶ月間の給与総額が180万円だった場合、賃金日額は180万円 ÷ 180日 = 10,000円となります。

この賃金日額が高ければ高いほど、基本手当の額も上がりますが、先ほど解説した通り、年齢ごとに上限額が設定されています。

賃金に含まれるのは、基本給のほか、通勤手当や残業代など、労働の対価として毎月決まって支払われるものです。一方で、ボーナス(賞与)や退職金、結婚祝い金などの一時的な収入は賃金日額の計算には含まれません。

給付率の適用:賃金日額と年齢に応じた割合

賃金日額が算出されたら、次に「給付率」を適用して基本手当の額を計算します。

給付率は、賃金日額の50%~80%の範囲で変動します。特徴的なのは、賃金日額が低い人ほど高い給付率(最大80%)が適用され、賃金日額が高い人ほど低い給付率(最低50%)が適用されるという点です。

これは、生活保障の観点から、所得が低い方への手当を厚くするという考え方に基づいています。具体的には、賃金日額が5,200円未満の場合には80%の給付率が適用され、賃金日額が12,790円を超える場合には50%が適用されます(令和6年8月1日時点の目安)。

ただし、この給付率を適用して算出された金額が、その人の年齢に定められた基本手当日額の上限額や下限額の範囲内に収まるように調整されます。いくら計算上の金額が高くても、上限額を超えることはありませんし、低くても下限額を下回ることはありません。

計算例でマスター!基本手当日額の具体的な算出

それでは、具体的な計算例で基本手当日額の算出方法をマスターしましょう。

  1. 例1:40歳、離職前の賃金日額が7,000円の場合
    賃金日額が5,200円以上12,790円以下の範囲のため、仮に給付率を70%とします。
    7,000円 × 70% = 4,900円
    40歳(30歳~44歳)の上限額は7,845円、下限額は2,295円です。算出された4,900円はこの範囲内に収まっています。
    したがって、この場合の基本手当日額は4,900円となります。
  2. 例2:29歳、離職前の賃金日額が15,000円の場合
    賃金日額が12,790円を超えるため、給付率は50%が適用されます。
    15,000円 × 50% = 7,500円
    しかし、29歳以下の上限額は7,065円です。算出された7,500円は上限額を超えているため、上限額が適用されます。
    したがって、この場合の基本手当日額は7,065円となります。
  3. 例3:50歳、離職前の賃金日額が3,000円の場合
    賃金日額が5,200円未満のため、給付率は80%が適用されます。
    3,000円 × 80% = 2,400円
    50歳(45歳~59歳)の上限額は8,635円、下限額は2,295円です。算出された2,400円はこの範囲内に収まっています。
    したがって、この場合の基本手当日額は2,400円となります。

このように、ご自身の賃金日額と年齢に応じた上限・下限を考慮して計算することで、おおよその受給額を把握することができます。正確な金額については、ハローワークで確認するようにしましょう。

雇用保険が0円になるケースとその理由

「自分は雇用保険に加入していたはずなのに、いざという時にお金がもらえない!?」そんな事態は避けたいですよね。

雇用保険の基本手当は、誰もが申請すれば必ずもらえるわけではありません。特定の条件を満たしていなかったり、ハローワークの指示に従わなかったりすると、給付が停止されたり、最悪の場合0円になってしまうこともあります。

この章では、雇用保険の基本手当が支給されない、または停止されてしまう主なケースとその理由について解説します。

受給資格がない場合の落とし穴:被保険者期間の不足

雇用保険の基本手当が0円になる最も基本的なケースは、そもそも「受給資格を満たしていない」場合です。

特に重要なのが「被保険者期間」の条件です。あなたが離職する直前の一定期間に、雇用保険に加入していた期間が定められた基準を満たしている必要があります。

  • 自己都合退職などの一般受給資格者の場合:
    離職日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上必要です。
  • 会社都合退職(特定受給資格者)や特定理由離職者の場合:
    離職日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上必要です。

例えば、短期間の雇用で雇用保険の加入期間が不足していたり、アルバイトなどで雇用保険の加入条件を満たしていなかったりするケースがこれに該当します。ご自身の雇用保険加入期間は、離職票で確認することができます。

「働く意思がない」と判断されると給付停止に

雇用保険の基本手当は、あくまで「働く意思と能力があるにもかかわらず、就職できない状態」

にある方への生活保障です。

そのため、ハローワークに求職の申し込みをした後も、積極的に再就職活動を行うことが義務付けられています。もし、ハローワークが「働く意思がない」と判断した場合、基本手当の支給は停止されてしまいます。

具体的には、以下のような行動が「働く意思がない」とみなされる可能性があります。

  • ハローワークが指定する失業認定日に来所しない。
  • 失業認定申告書に虚偽の内容を記載する。
  • 正当な理由なく、ハローワークが紹介する仕事や職業訓練を複数回にわたって拒否する。
  • 月に2回以上など、定められた求職活動実績を満たさない。

単にハローワークに登録しただけでは不十分で、積極的に求職活動を行う姿勢が求められることを忘れないでください。

〇〇しないと給付制限が長引く!?注意すべき行動

自己都合退職の場合に設けられている「給付制限期間」(原則2ヶ月、5年以内2回目以降は3ヶ月)は、再就職に向けた準備期間とされています。この期間中に誤った行動を取ると、給付開始がさらに遅れたり、給付が受けられなくなったりする可能性があります。

例えば、給付制限期間中にアルバイトなどを行った場合、その収入額や労働時間によっては、基本手当の減額や支給停止の対象となることがあります。事前にハローワークに相談し、適切な手続きを踏むことが重要です。

また、失業認定期間中に海外旅行に行くなど、働くことができない期間があった場合も、その期間の基本手当は支給されません。

さらに、不正受給は絶対に避けるべき行為です。虚偽の申告や隠蔽によって基本手当を受給した場合、支給された手当の全額返還はもちろんのこと、延滞金や罰金が科せられるなど、重いペナルティが課されます。

雇用保険の制度を正しく理解し、不明な点は必ずハローワークに確認することで、安心して基本手当を受け取り、次のステップへと進んでいきましょう。