退職届は誰に提出する?提出先の確認

退職届の提出は、今後の会社との関係を円滑に進める上で非常に重要です。適切な相手に、適切な方法で提出することが求められます。

原則は直属の上司へ

退職届は、原則として直属の上司に提出するのが基本マナーです。口頭での意思表示の後、上司と退職日などを相談し、合意形成ができた上で正式な書類として提出します。就業規則で提出先が指定されている場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。トラブルを避けるためにも、まずは上司との対話が大切です。

郵送する際の宛先は?

やむを得ない事情(病気や遠方での療養など)で直接提出が難しい場合は、郵送も選択肢となります。この場合も、まずは電話やメールで上司に事情を説明し、郵送で提出する旨を伝えてください。郵送の際の宛先は、直属の上司の部署名と氏名を記載するのが一般的です。「人事部御担当者様」など、個人情報保護の観点から適切な宛先を選びましょう。

提出タイミングの考慮点

退職届は、民法上では退職の意思表示から2週間で退職が成立するとされていますが、会社の就業規則で提出期限が定められている場合が多いです。例えば、「退職希望日の1ヶ月前まで」などと規定されていることがあります。まずは「退職願」を提出して退職の意向を示し、退職日が確定した後に「退職届」を提出する流れが一般的です。円満な退職を目指すためにも、余裕を持った行動を心がけましょう。

退職届の送付方法|郵送と直接手渡し

退職届の送付方法には、主に直接手渡しと郵送の二通りがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、状況に応じた最適な方法を選びましょう。

直接手渡しが推奨される理由

退職届は、原則として直属の上司に直接手渡しすることが最も丁寧とされています。これにより、誠実な姿勢を示すことができ、上司とのコミュニケーションも円滑に進めやすくなります。手渡しであれば、書類が確実に上司の手に渡る安心感もあります。また、退職に関する疑問点や引き継ぎの相談なども、その場で直接行えるメリットがあります。

やむを得ない場合の郵送手順

病気や怪我、遠方への引っ越しなど、どうしても直接手渡しが難しい場合に限り、郵送を選択します。郵送する際は、必ず事前に上司へ連絡し、郵送する旨と理由を伝えて了解を得ましょう。事前の連絡なしに突然郵送するのは、マナー違反と受け取られる可能性があります。郵送の際には、退職届を入れた封筒を、さらに一回り大きい郵送用封筒に入れる「二重封筒」にするのが一般的です。

郵送時の配送方法とリスク対策

退職届を郵送する際は、配送トラブルに備えて簡易書留内容証明郵便を利用することを検討しましょう。これにより、送付した事実や内容が公的に証明され、万が一の郵便事故や「届いていない」といったトラブルを未然に防ぐことができます。郵送用封筒には、差出人の住所と氏名を記載し、宛先の左下には「親展」と赤字で明記し、個人情報保護への配慮を示しましょう。

退職届を入れる封筒の選び方|白封筒・クラフト封筒

退職届を入れる封筒の選び方にも、ビジネスマナーが存在します。適切な封筒を選ぶことで、誠意ある姿勢を伝えることができます。

最も丁寧なのは白無地の二重封筒

退職届に使用する封筒は、白無地の二重封筒が最も丁寧でフォーマルな印象を与えます。二重封筒は中身が透けるのを防ぎ、書類の機密性を高める役割もあります。事務的な印象を与える茶封筒は、退職届のような重要な書類には避けるのが一般的です。また、郵便番号枠がない無地の封筒が、より丁寧な印象を与え、手渡しに適しています。

サイズと宛名書きのポイント

封筒のサイズは、退職届の用紙サイズに合わせます。

  • B5サイズの用紙の場合:長形4号
  • A4サイズの用紙の場合:長形3号

が適しています。封筒の表面には、中央よりやや上に「退職届」または「退職願」と黒色のボールペンや万年筆で明記し、宛名は不要です。裏面には、左下に所属部署名と氏名を記載します。

封をするかどうかの判断基準

退職届を直接手渡しする場合は、封をするかしないかはどちらでも構いません。もし封をする場合は、綴じ目の中央に「」マークを書くのが一般的です。一方で、郵送する場合は、必ず封筒をしっかり封をし、「〆」マークを記載しましょう。これは、書類の機密性を保ち、途中で中身が抜け落ちるのを防ぐためです。

退職届に添える送付状(添え状)の書き方とテンプレート

退職届を郵送する際は、送付状(添え状)を同封するのがビジネスマナーです。これにより、受け取る側に対する配慮と丁寧さを伝えることができます。

添え状の目的と重要性

添え状は、送付する書類の内容を簡潔に伝え、これまでの感謝の気持ちなどを添えるためのものです。単に退職届だけを送るよりも、添え状を同封することで、より丁寧で誠実な印象を与えることができます。形式は、パソコンで作成したものでも、手書き(縦書き)でも構いません。

記載すべき基本項目

添え状には以下の項目を記載します。

  • 送付年月日: 右上または左上に記載
  • 宛先: 会社名、部署名、上司の氏名
  • 本文: 退職届を送付する旨と簡単な説明、感謝の言葉
  • 差出人: 所属部署名、氏名

ビジネス文書としての体裁を整え、簡潔で分かりやすい内容を心がけましょう。

添え状の例文と作成時の注意点

以下は添え状の例文です。参考に作成してください。

拝啓

貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

この度、一身上の都合により退職させていただくこととなりました。つきましては、同封のとおり退職届を送付させていただきます。

ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。

短い間ではございましたが、大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。

敬具

(日付)
(所属部署名)
(氏名)

退職理由を詳細に書く必要はありません。あくまで簡潔に、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。

退職届の郵送に必要な切手代と注意点

退職届を郵送する際には、適切な切手代を貼ることが必須です。郵送時の封筒の書き方や注意点を確認し、スムーズな送付を心がけましょう。

手渡しが基本のため切手は不要な場合も

退職届は、本来は直属の上司に直接手渡しするのが基本です。そのため、手渡しであれば切手を貼る必要はありません。切手が必要になるのは、やむを得ない事情で退職届を郵送する場合のみです。退職届自体を入れた封筒に切手を貼るのではなく、それを入れる郵送用の封筒に切手を貼ります。

郵送用封筒の切手代と正しい貼り方

退職届を郵送する際は、送付用封筒に適切な料金の切手を貼る必要があります。切手代は、封筒のサイズや重さによって異なります。退職届と添え状を同封すると、一般的な手紙よりも重くなる可能性があるため、郵便局の窓口で正確な料金を確認するか、念のため多めの切手を貼ると安心です。切手は、封筒の左上にまっすぐ貼りましょう。

郵送用封筒の宛名書きと「親展」の記載

郵送用封筒の表面には、中央やや上に宛先の住所と会社名、部署名、上司の氏名を記載します。そして、封筒の左下には、赤字で「親展」と記載することを忘れないでください。これは、受取人本人のみが開封すべき重要書類であることを示すマナーです。裏面には、差出人としてあなたの住所と氏名を記載しましょう。