概要: 退職届の記入で迷いがちな「記入日」「旧姓」「私儀」などの書き方から、数字の表記、宛名、サインまでを徹底解説します。迷わず、正確に退職届を作成しましょう。
【完全ガイド】退職届の記入日、旧姓、私儀など完全解説
退職を決意し、いざ退職届を作成しようとすると、意外と細かい部分で迷うことが多いものです。
「記入日はいつの日付を書けばいい?」「氏名変更後の旧姓はどうする?」「『私儀』って何?」など、疑問は尽きません。
このガイドでは、退職届作成時に特に迷いやすいポイントを徹底解説。最新情報に基づいた正確な書き方をマスターし、円満退社を目指しましょう。
退職届の「記入日」「旧姓」の書き方と注意点
退職届の記入日、いつを書けばいい?
退職届に記載する日付は、主に2種類あります。
一つは「退職届を提出する日」。手渡しならその日、郵送なら発送する日付を記入します。
もう一つは「退職日(退職予定日)」です。こちらは上司との話し合いで決定した日を記載します。
日付の表記は、西暦・和暦のどちらでも構いませんが、会社の公式書類で使われている表記に合わせると良いでしょう。縦書きの場合は漢数字、横書きの場合は算用数字を使うのが一般的です。
氏名変更後の旧姓、どう書く?
婚姻などにより氏名が変更されている場合、退職届に旧姓を記載する欄があれば、旧姓と氏が変わった年月日を記入します。
もし記載欄がない場合や不明な場合は、必ずしも記入する必要はありません。
近年、職場での旧姓使用を認める企業は増加傾向にあり、帝国データバンクの調査では63.6%が認めているとされています。これも時代とともに働き方が多様化している現れと言えるでしょう。
旧姓使用が増える理由とは
職場での旧姓使用が増えている背景には、従業員の意思尊重や円滑なコミュニケーション、メールアドレスなどの変更手続きの手間を省くといった実用的な理由があります。
特に若い世代ほど職場で旧姓を使用する割合が高い傾向にあり、20代既婚女性の24.4%が旧姓を使用しているという調査結果も出ています。
「浸透している名前で仕事を続ける方が楽」「名刺の更新が面倒」といった現実的な声が、旧姓使用を後押ししています。
「私儀」「私事」の正しい使い方と「空白」で提出するのはNG?
「私儀」と「私事」の使い分け
退職届の書き出しには、「私儀(わたくしぎ)」または「私事」を使用するのが一般的です。
これらは「わたくしごとではありますが」という意味を持つ謙譲語として使われます。
記載位置は、退職願の場合は1行目の行末に、退職届の場合は本文の最初に改行して記載します。横書きの場合は、右端に寄せて書くのがマナーです。
なぜ空白はNGなのか
退職届は、会社に正式な意思を伝える重要な書類です。
そのため、書き出しに「私儀」のような定型句を用いることは、ビジネスマナーとして非常に重要とされています。
空白で提出すると、形式を軽視しているという印象を与えかねません。円満退社のためにも、適切な言葉を選びましょう。
退職願と退職届、書き出しのニュアンスの違い
「退職願」は退職を「願い出る」書類であり、退職がまだ確定していない段階で提出します。
一方、「退職届」は退職が確定した後に、手続きのために「届け出る」書類です。
この違いを理解し、自身の状況に合った書類と書き出しを選ぶことが、相手に正確な意図を伝える上で大切になります。
数字は「漢字」?「西暦」「和暦」の書き分け、退職理由の書き方
日付の表記:西暦と和暦、どちらを選ぶ?
退職届の日付表記は、西暦・和暦どちらでも問題ありません。
しかし、会社によっては使用する表記が統一されている場合もありますので、会社の公式書類に合わせるのが最も無難な選択です。
また、縦書きの書類では漢数字(例:二〇二四年)、横書きの書類では算用数字(例:2024年)を使用するのが一般的です。
退職理由の書き方:詳細説明は不要?
自己都合退職の場合、退職理由の欄には「一身上の都合により」と記載するのが一般的です。
詳細な退職理由を書く必要はなく、これが最も適切な表現とされています。
ただし、会社都合による退職(退職勧奨など)の場合は、「退職勧奨に伴い」や「会社都合により」といった表現を用い、会社側の事情であることを明確にすることが重要です。
手書きかPCか?作成方法の注意点
退職届は手書きで作成するイメージが強いかもしれませんが、近年ではPCで作成したものを印刷しても問題ありません。
ただし、手書きの方がより丁寧に作成しているという印象を与えることは確かです。</
どちらの方法を選ぶにしても、一度提出した退職届は原則として撤回できないため、内容には細心の注意を払いましょう。
宛名「社長宛」「様」「殿」の使い分けと「所属」について
宛名の基本ルール:誰にどう書く?
退職届の宛名は、最終的な受理者である会社の代表者、つまり代表取締役社長の名前を記載するのが基本です。
敬称は「〇〇株式会社 代表取締役社長 〇〇〇〇 殿」のように「殿」を使用するのが適切です。</
「様」ではなく「殿」を用いるのは、公文書や組織の代表者に対する敬称として使われることが多いためです。
直属の上司に提出する場合の宛名
退職届は、実際に提出する相手が直属の上司であっても、宛名は最終的に受理する代表取締役社長宛にするのが通例です。
上司に手渡しする場合でも、書類上の宛名が社長であることに変わりはありません。
円滑な手続きのためにも、事前に誰に提出すれば良いか確認しておくことをお勧めします。
封筒への記載と所属について
退職届を入れる封筒は、白の無地の封筒を使用します。
表面には「退職願」または「退職届」と記載し、裏面には所属部署と自身の氏名を記載します。
封筒の書き方も正式な書類の一部として丁寧に行い、受け取った相手に失礼のないようにしましょう。
退職届の「サイン」はサインペン?シャチハタでも良い?
押印の重要性と種類
退職届には、署名(氏名を手書きすること)と合わせて押印するのが一般的です。
押印に使用する印鑑は、実印である必要はなく、認印で問題ありません。
ただし、インク浸透印であるシャチハタは、正式な書類には不向きとされているため、避けるようにしましょう。
署名と押印の正しい位置
署名した氏名のすぐ右側に押印するのが正しい位置です。
印鑑は、かすれたり逆さまになったりしないよう、朱肉を均一につけて丁寧に押しましょう。
押印一つにも丁寧な印象を与えることができます。
退職届の法的な効力と取り扱い
退職届は、一度提出すると原則として撤回できないという法的な効力を持つ書類です。
そのため、作成・提出前には、本当に退職して良いのか、十分に検討する時間を持つことが非常に重要です。
正確かつ丁寧に作成し、後々のトラブルを避けるためにも、慎重な取り扱いを心がけましょう。
まとめ
よくある質問
Q: 退職届の記入日は、提出日と何日かずれていても問題ありませんか?
A: 一般的には提出日を記入しますが、退職の意思を伝える日付として、提出日より数日前を記入することも可能です。ただし、あまりにも日付が離れていると意図が不明確になる可能性があるので注意しましょう。
Q: 退職届は旧姓で書くべきですか?それとも現姓ですか?
A: 基本的には婚姻等で姓が変わった場合でも、現在の姓(現姓)で記入します。ただし、会社の規定や慣習で旧姓での記入が求められる場合もあるので、念のため確認すると安心です。
Q: 「私儀」や「私事」と書く欄が空白のまま提出しても大丈夫ですか?
A: 「私儀」や「私事」は、退職理由などを述べる前の枕詞のようなものです。空白のまま提出するのは失礼にあたる場合があります。一般的には「私儀、」や「私事、」と記入してから本文を書き始めます。
Q: 退職届に書く数字は、すべて漢字で書く必要がありますか?
A: 退職届に書く数字は、一般的に漢数字(例: 令和五年、一月一日)で記入することが推奨されます。これは、改ざん防止や、より丁寧な印象を与えるためです。ただし、西暦をアルファベットやアラビア数字で記入する場合もあります。会社の規定を確認しましょう。
Q: 退職届のサインは、シャチハタでも認められますか?
A: 退職届は公的な書類ではありませんが、正式な意思表示となるため、認印またはサインペンで記入するのが一般的です。シャチハタはインクが滲みやすく、改ざんのリスクも指摘されることがあるため、避けた方が無難です。可能であれば、認印の使用をおすすめします。