休職理由、どう書く？40代が知っておくべき「自己都合」「メンタル」などの具体例

休職理由を「なし」や「嘘」で乗り切れる？現実とリスク

休職理由を曖昧にすることの弊害

40代で休職を検討する際、その理由を会社に明確に伝えることは非常に重要です。しかし、「具体的な理由を言いたくない」「トラブルを避けたい」という思いから、休職理由を曖昧にしたり、口頭で簡単に済ませようとしたりするケースも少なくありません。
しかし、曖昧な伝え方は、結果的にあなた自身を苦しめることになりかねません。会社側が休職の真の理由を把握できないため、適切なサポートや復職支援の計画を立てることが困難になります。
特に近年増加傾向にあるメンタルヘルス不調や、最も多い休職理由とされる「人間関係不和」（56.4%）が背景にある場合、それを隠すことで根本的な問題解決が遠のき、自身の回復にも悪影響を及ぼす可能性があります。会社に「よく分からないけれど、とりあえず休む」という印象を与えてしまうと、復職時やその後のキャリア形成においても不利に働く可能性があるので注意が必要です。

嘘の理由を伝えることのリスク

休職理由について嘘をつくことは、絶対に避けるべき行為です。たとえば、本当はメンタル不調であるにもかかわらず「家庭の事情」と偽ったり、軽微な理由を過大に伝えたりすることは、非常に大きなリスクを伴います。
万が一、その嘘が発覚した場合、会社からの信用を完全に失うことになります。最悪の場合、就業規則に基づき懲戒処分を受けたり、解雇に至ったりする可能性も否定できません。また、虚偽の理由で休職し、傷病手当金などの給付を申請した場合、不正受給と見なされ、法的な問題に発展することも考えられます。
何よりも、嘘を維持し続けること自体が、あなたの精神に大きな負担をかけます。休職の本来の目的である療養や問題解決に集中できなくなり、回復を遅らせる原因にもなりかねません。正直な情報に基づいていないため、会社が提供できるはずの適切なサポートを受けられず、孤立感を深めてしまう危険性もあります。

正直な理由を伝えることのメリット

正直な休職理由を会社に伝えることは、多くのメリットをもたらします。まず、会社があなたの状況を正確に理解できるため、産業医との面談設定や、休職制度の適切な適用など、あなたにとって必要なサポートを提供しやすくなります。
特に、メンタルヘルス不調が理由の場合、会社側もその深刻さを認識し、復職に向けたプログラムやリハビリ出勤などを検討しやすくなります。これにより、安心して療養に専念できる環境が整い、回復への道筋が明確になります。
また、正直であることは、あなたの精神的な負担を軽減し、回復力を高めます。会社との信頼関係を維持することで、復職後の円滑な業務遂行や、長期的なキャリア形成においてもプラスに作用するでしょう。専門家（医師、産業医、キャリアコンサルタントなど）に相談し、適切なアドバイスを得ながら、会社に正直な理由を伝えることが、結果的に最も賢明な選択と言えるのです。

「自己都合」で休職を伝える際の書き方と注意点

自己都合休職の具体的なケース

「自己都合」による休職とは、従業員自身の個人的な事情によって仕事から離れることを指します。これは、会社都合や病気・怪我といった不可抗力によるものではなく、あくまで従業員自身の希望や選択に基づくものです。
具体的なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。

• 家庭の事情：産前産後休業や育児休業は制度として確立していますが、特に40代では高齢の親の介護が必要になるケースも少なくありません。これは、介護休業制度を利用できる場合と、そうでない場合のどちらも自己都合となり得ます。
• 個人的なボランティア活動：社会貢献活動など、業務とは関係のない個人的な活動に一定期間専念したい場合です。
• 海外留学：語学力の向上や異文化理解、専門分野の学習など、キャリアアップやスキル向上を目的とした留学。
• 資格取得：現職とは異なる分野の専門資格取得のため、集中的に勉強する期間を設けたい場合などが該当します。

これらの理由は、従業員の成長やライフステージの変化に伴うものであり、会社にとっても将来的なメリットがあることを説明できれば、比較的理解を得やすいでしょう。

会社への伝え方のポイントと書面例

自己都合による休職を申し出る際は、まず会社の就業規則を確認し、休職制度の有無や条件を把握することが重要です。その上で、以下のポイントを踏まえて会社に伝えましょう。

1. 明確な理由と期間：「〇〇（具体的な理由）のため、〇月〇日から〇月〇日まで休職を希望します」と、理由と期間を具体的に提示します。
2. 目的の明確化：休職期間中に何を達成したいのか、休職がその後のキャリアや会社にどのように貢献し得るのかを簡潔に伝えます。例えば「海外留学により語学力と異文化理解を深め、帰国後はグローバルビジネスに貢献したいと考えております」といった具合です。
3. 業務引継ぎ計画：休職に入る前に、現在の業務を誰にどのように引き継ぐのか、具体的な計画を提示することで、会社への負担を最小限に抑えようとする姿勢を示せます。
4. 書面での提出：口頭だけでなく、書面で休職願を提出することが一般的です。以下の書面例を参考に、必要な情報を網羅しましょう。

件名：休職願
〇〇株式会社
代表取締役社長 〇〇様
私儀、私事都合により、下記の通り休職を希望いたします。
記
1. 休職理由：海外留学（〇〇大学へ〇〇の学位取得のため）
2. 休職期間：〇年〇月〇日 ～ 〇年〇月〇日
3. 復職予定日：〇年〇月〇日
4. 連絡先：〇〇（休職中の連絡先）
以上
〇年〇月〇日
所属部署 〇〇
氏名 〇〇 ㊞

自己都合休職で注意すべき点

自己都合による休職には、いくつかの注意点があります。これらを事前に把握し、後悔のない選択をすることが40代にとっては特に重要です。

• 給与の支払い：自己都合休職の場合、原則として給与は支払われません（ノーワーク・ノーペイの原則）。経済的な計画をしっかりと立てておく必要があります。
• 社会保険料：健康保険や厚生年金保険の社会保険料は、休職中も原則として支払い義務があります。会社との取り決めを確認し、支払い方法について相談しましょう。
• 傷病手当金：病気や怪我による休職ではないため、健康保険からの「傷病手当金」は支給対象外となります。これも経済的な負担増につながる可能性があります。
• 会社の規定：自己都合休職が会社の就業規則で認められているか、どのような条件があるかを必ず確認してください。規定がない場合、会社が休職を認めない可能性もゼロではありません。
• キャリアへの影響：長期間の休職は、キャリアのブランクとなる可能性も考慮する必要があります。休職の目的を明確にし、復職後のキャリアパスについても見通しを立てておくことが望ましいでしょう。

これらの点を踏まえ、自身の状況と会社の制度をよく理解した上で、慎重に判断することが求められます。

メンタル不調で休職する場合の伝え方と、知っておきたいこと

メンタルヘルス不調による休職の現状

近年、メンタルヘルス不調を理由とした休職は増加傾向にあり、社会全体の大きな課題となっています。特に40代は、仕事での責任が増す一方で、家庭での役割（育児や介護）も重なるライフステージであり、ストレスを抱えやすい状況にあります。
参考情報によると、休職をした背景として「人間関係不和」が56.4%で最多、次いで「長時間労働」が47.3%と高い割合を占めており、これらがメンタル不調の引き金となるケースが少なくありません。具体的には、適応障害、うつ病、燃え尽き症候群（バーンアウト）など、様々な形で心身に影響を及ぼします。
「自分だけが弱いのではないか」「甘えていると思われたくない」と感じる方もいますが、メンタル不調は誰にでも起こり得るものであり、早期の対応と適切な休養が不可欠です。無理をして働き続けることは、症状の悪化を招き、回復を遅らせるだけでなく、最悪の場合、取り返しのつかない事態にも繋がりかねません。

医師の診断書を基にした伝え方

メンタルヘルス不調で休職を申し出る場合、最も重要なのは医師の診断書です。診断書は、あなたの病状と休養の必要性を客観的に証明するものであり、会社に提出することでスムーズな休職手続きが可能になります。
会社への伝え方としては、感情的な表現や曖昧な言葉は避け、診断書の内容に基づいて事実を簡潔に伝えることがポイントです。
例えば、以下のように伝えましょう。

「この度、〇〇（病名：例、適応障害、うつ病）と診断され、医師より〇ヶ月間の休養が必要との指示を受けております。つきましては、〇月〇日から休職させていただきたく、診断書を提出いたします。」

病名や具体的な症状について、会社に詳細を話す義務はありませんが、休養期間については診断書に記載された内容を正確に伝えるようにしましょう。
また、会社によっては産業医との面談を求められる場合があります。産業医は、従業員の健康管理を専門とする医師であり、あなたの状況を会社に適切に伝えるための橋渡し役となります。産業医面談は、あなたのプライバシー保護にも配慮しつつ、復職に向けたサポート体制を検討する上で非常に有効な機会となりますので、積極的に活用しましょう。

休職中の手当と復職に向けた準備

メンタルヘルス不調による休職期間中、経済的な不安は大きなストレス要因となります。しかし、健康保険に加入している場合、「傷病手当金」を受給できる可能性があります。
傷病手当金は、業務外の病気や怪我で働くことができない場合に支給されるもので、以下の条件を満たすと申請できます。

• 業務外の病気や怪我で療養中であること
• 仕事に就くことができないこと
• 連続する3日間（待期期間）を含む4日以上仕事を休んでいること
• 給与の支払いがない、または傷病手当金の額より少ないこと

支給期間は最長1年6ヶ月で、支給額は標準報酬日額のおおよそ3分の2程度です。申請手続きは会社の人事・総務部門を通じて行うのが一般的ですので、担当部署に相談しましょう。
休職期間中は、無理に復職を急がず、医師の指示に従い療養に専念することが最優先です。十分な休養を取り、治療に専念することで、心身の回復を促しましょう。
復職が近づいてきたら、会社が提供する復職支援プログラムやリハビリ出勤の活用も検討してください。段階的に仕事に慣れていくことで、スムーズな社会復帰を目指すことができます。焦らず、自身のペースで回復への道を歩むことが、再発防止にも繋がります。

介護や転職など、その他の休職理由とその書き方

40代に増える「親の介護」による休職

40代は、仕事での責任が増す一方で、親が高齢になり、介護が必要となるライフステージに差し掛かる方が少なくありません。参考情報にもあるように「特に40代は、高齢の親の介護が必要になるケースも少なくありません」という状況は、多くの方が直面する現実です。
このような場合、国の制度として「介護休業制度」を利用できることがあります。これは、要介護状態にある家族を介護するために取得できる休業で、原則として対象家族1人につき通算93日まで取得可能です。分割して取得することもできます。
会社に休職を申し出る際は、以下の点を明確に伝えることが望ましいでしょう。

• 介護の対象者：誰を、どのような理由で介護するのか（例：母、要介護〇認定）。
• 介護の必要性：なぜ自身の介護が必要なのか、介護サービスだけでは難しいのか。
• 休職希望期間：介護に必要な具体的な期間（介護休業制度の範囲内か、それ以上か）。
• 介護体制：休職期間中の介護体制や、復職後の介護と仕事の両立プラン（例：地域の介護サービス利用、家族との分担など）。

書面での申請が求められるため、会社の担当部署に相談し、必要な書類や手続きを確認しましょう。

人間関係が原因の場合の伝え方

職場での人間関係の不和が原因で休職に至るケースは、「56.4%で最多」という調査結果が示す通り、非常に多く見られます。しかし、この理由を直接的に「〇〇さんと合わないから休職したい」と伝えるのは、避けるべきです。
会社に伝える際は、感情的に相手を非難するのではなく、客観的な事実に基づき、それが自身の業務遂行にどのような影響を与えているかを説明するよう心がけましょう。
例えば、「特定の状況下での業務遂行が困難となり、精神的な負担が大きくなっている」といった表現を用いることで、会社側も問題の深刻さを理解しやすくなります。
ただし、参考情報にもあるように、「退職理由と同様に、一方的に相手を非難するのではなく、自身の業務遂行への影響や、改善に向けた自身の努力などを客観的に伝えることが望ましい」としつつ、「休職理由として伝える場合は、メンタルヘルス不調に繋がった、といった形で伝える方が、会社に理解を得やすい場合もあります」という点も重要です。
つまり、人間関係が原因で心身に不調を来している場合は、「人間関係に起因するメンタルヘルス不調（例：適応障害）により、医師より休養が必要との診断を受けている」と伝える方が、会社も適切な対応を取りやすい傾向にあります。この場合も、医師の診断書を添えることが不可欠です。

転職準備としての休職の考え方と注意点

「休職期間の長さや回復度合いによっては、元の職場への復職が難しい場合もあります。その際は、退職や転職も選択肢となります」という参考情報にあるように、休職中に自身のキャリアを見つめ直し、転職を検討する方もいるでしょう。
しかし、注意が必要なのは、休職が本来、療養や特定の事情に対応するための制度であるという点です。純粋に転職活動のために休職をすることは、倫理的な問題が生じる可能性があり、会社の就業規則に反する行為とみなされることもあります。
もし、心身の不調で休職し、療養中に自身のキャリアプランを再考した結果、転職という選択肢に至ったのであれば、それは自然な流れです。この場合、転職活動を行う際は、休職理由を正直に、かつ前向きに伝えることが重要になります。
例えば、「休職期間を通じて、自身のキャリアと向き合う時間を得ました。この経験を活かし、〇〇の分野で新たな挑戦をしたいと考えております」といったように、自身の学びや成長に繋がったという視点で説明することで、面接官に好印象を与えることができます。
休職はあくまで病気や家庭の事情など、やむを得ない理由で利用する制度であることを理解し、安易に転職準備のために利用するのではなく、まずは自身の健康回復や問題解決に専念することが最優先です。

40代からの休職：後悔しないための準備と活用法

休職を決断する前のセルフチェック

40代で休職を決断することは、決して軽い選択ではありません。仕事での責任が増し、家庭では育児や介護といった重要な役割を担う方も多いため、休職がその後の生活やキャリアに与える影響は大きいです。
だからこそ、休職を決める前に、以下の点をしっかりとセルフチェックし、後悔のない選択をすることが重要です。

1. 自身の健康状態：本当に心身の限界が来ているのか、医師の診断や専門家の意見はどうか。
2. 家庭環境：休職が家族（配偶者、子ども、親など）にどのような影響を与えるか、経済的負担はどうか、サポートは得られるか。
3. キャリアプラン：休職が長期的なキャリアにどう影響するか、復職後の働き方はどうしたいか、転職も視野に入れているか。
4. 代替手段の有無：休職以外に、時短勤務や部署異動、業務内容の調整など、他に解決策はないか。

これらの問いに対し、一人で抱え込まず、必要であれば医師、産業医、キャリアコンサルタントといった専門家にも相談し、客観的な意見を取り入れることが有効です。自身の状況を総合的に見つめ直し、休職が最善の選択であるかを慎重に判断しましょう。

休職中の効果的な過ごし方

休職期間は、単に仕事を休むだけでなく、その後の人生を豊かにするための貴重な時間と捉えることができます。目的によって過ごし方は異なりますが、共通して重要なのは「計画性」と「適切なコミュニケーション」です。

療養が目的の場合

• 治療に専念：医師の指示に従い、通院や服薬をきちんと行いましょう。焦らず、心身の回復を最優先に考えます。
• 情報から離れる：仕事に関する情報やSNSなどから意識的に距離を置き、精神的な負担を軽減します。
• 無理のない範囲での活動：散歩、読書、軽い運動など、気分転換になる活動を無理のない範囲で取り入れます。
• 会社との連絡：定期的に会社からの連絡がある場合は、自身の体調や回復状況を簡潔に、しかし正直に伝えます。復職の時期については、医師と相談しながら慎重に判断しましょう。

自己都合の場合

• 目的の達成：留学や資格取得など、休職の目的を達成するために計画的に時間を使いましょう。
• スキルアップ：復職後や将来のキャリアに役立つスキルを磨く機会と捉えることもできます。
• 会社とのコミュニケーション：定期的な状況報告を怠らず、必要に応じて業務引継ぎや復職時期の調整を行います。

いずれの場合も、休職期間中に使える給付金（傷病手当金など）や、復職支援制度について、事前に会社や社会保険事務所に確認しておくことも大切です。

復職・再就職への円滑な移行

休職期間を終え、いよいよ復職や再就職へと移行する際は、円滑なプロセスを踏むことがその後の安定したキャリアを築く上で非常に重要です。

復職の場合

• 復職支援プログラムの活用：多くの企業では、休職者がスムーズに職場復帰できるよう、リハビリ出勤や試し出社などのプログラムを提供しています。積極的に活用し、徐々に仕事のペースを取り戻しましょう。
• 復職面談：復職前に会社や産業医との面談を通じて、現在の健康状態、業務への意欲、今後の働き方についてすり合わせを行います。必要であれば、業務内容や勤務時間の配慮について相談することも重要です。
• 再発防止：休職に至った原因を振り返り、ストレス管理の方法を学ぶなど、再発防止策を講じることが長期的なキャリア継続につながります。

転職の場合

• 休職理由の説明：転職活動を行う際、休職期間があること、そしてその理由を正直に、しかし前向きに説明することが求められます。「休職期間で心身を整え、今後のキャリアについて深く考えることができました。この経験を活かし、貴社で貢献したいと考えております」といったように、自身の成長や学びの機会であったことをアピールしましょう。
• 自己分析の徹底：休職期間を自己分析に充て、自身の強みや弱み、本当にやりたいことなどを明確にすることで、ミスマッチのない転職を目指せます。

40代からの休職は、キャリアのターニングポイントとなる可能性を秘めています。後悔しないために、事前の準備と休職中の過ごし方、そして復職・再就職への移行プロセスを慎重に進めていきましょう。