休職中に給与はどうなる?基本は減額、一部手当は支給の可能性も

ノーワーク・ノーペイの原則と給与減額

休職中の給与は、多くのケースで減額されるか、全く支払われないことがあります。これは「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づき、働いていない期間の給与は支給されないという基本的な考え方があるためです。
しかし、すべてのケースで給与がゼロになるわけではありません。休職理由、雇用形態、そして所属する企業の就業規則によって、その扱いは大きく異なります。
特に公務員や一部の大企業では、一定期間にわたり給与の一部、あるいは全額が支給される独自の制度を設けている場合もあります。

会社の就業規則が重要

会社員の場合、休職中の給与に関する明確な法律は存在しません。そのため、各企業の「就業規則」が非常に重要な判断基準となります。
多くの企業では休職期間を無給と定めていることが多いですが、中には企業独自の給与補償制度を設けているところもあります。
休職を検討する際は、まずご自身の会社の就業規則を必ず確認し、人事や労務担当者へ具体的な待遇について相談することが不可欠です。

傷病手当金による生活保障

給与が支払われない期間も、生活を保障するための公的な制度として「傷病手当金」があります。これは、健康保険に加入している人が、業務外の病気や怪我で療養のために休業し、給与が支給されない場合に利用できます。
支給額は、おおよそ給与の3分の2程度で、最長で1年6ヶ月間支給されます。
休職中に経済的な不安がある場合、この傷病手当金が生活を支える大きな助けとなるでしょう。

公務員の休職中の給与:共済組合や手当について

病気休暇中の給与満額支給

公務員が病気を理由に休職する場合、一般的に最初の期間は「病気休暇」として扱われます。この病気休暇期間は、ほとんどの場合、給与が満額支給されます。
具体的な期間は制度によりますが、参考情報によると最初の90日間がこれに該当します。
この期間は、通常の勤務時と変わらない給与を受け取れるため、療養に専念しやすい環境が整っています。

休職期間中の給与と手当の減額

病気休暇期間が終了し、本格的な「休職期間」に入ると、給与の扱いは変わります。多くの公務員の場合、休職の最初の1年間は給与の約80%が支給されることになります。
この際、基本給だけでなく、一部の手当も80%に減額されるのが一般的です。
さらに、休職期間が1年を超え2年目に入ると、給与は無給となりますが、共済組合から「傷病手当金」として給与の約3分の2が支給されます。

最長3年の休職期間と制度の活用

公務員の休職期間は、通算で最長3年までと定められています。これは、長期的な療養が必要な場合でも、一定期間は身分が保障される手厚い制度と言えるでしょう。
休職期間が長期に及ぶ際には、前述の傷病手当金や、必要に応じて共済組合が提供するその他の支援制度の活用を検討することが重要です。
不明な点があれば、所属する共済組合や人事担当者に早めに相談し、ご自身の状況に合った制度を最大限に利用しましょう。

うつ病や適応障害で休職した場合の給与・社会保険料

精神疾患における給与の基本原則

うつ病や適応障害といった精神疾患で休職する場合も、給与の基本的な扱いは他の病気や怪我の場合と同様です。
会社員であれば、多くの場合、企業の就業規則に基づき無給となることが一般的です。ただし、企業によっては独自の給与補償制度がある可能性もあります。
公務員の場合は、前述の通り、病気休暇期間を経て、休職期間に応じた給与が支給される仕組みが適用されます。

傷病手当金が生活を支える

精神疾患による休職でも、健康保険に加入していれば「傷病手当金」の申請が可能です。この制度は、業務外の病気や怪我による休業で給与が支払われない期間の生活を保障するものです。
支給額は原則として給与のおよそ3分の2で、支給期間は支給開始日から最長1年6ヶ月です。
療養に専念するためにも、この制度を積極的に活用し、経済的な不安を軽減することが大切です。

休職中の社会保険料の支払い義務

給与が支払われない休職期間中も、原則として社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)の支払い義務は継続します。
通常は給与から天引きされますが、休職中は給与がないため、自分で支払う、または会社が一時的に立て替えるなどの対応が必要になります。
社会保険料は決して少ない金額ではないため、休職に入る前に会社の人事・労務担当者に支払い方法を確認し、準備をしておくことが非常に重要です。

休職期間中の給与明細はどうなる?控除やマイナスになるケース

給与明細の記載内容と変化

休職期間中の給与明細は、大きく変化します。基本給や各種手当の項目は、減額されるか「0」と記載されることがほとんどです。
傷病手当金は健康保険からの支給であり、給与とは異なるため、通常は給与明細には記載されません
一方で、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)や住民税などの控除項目は、引き続き記載され、支払い義務が発生します。

社会保険料・住民税の支払い負担

休職により給与が支給されなくても、社会保険料の支払い義務は継続します。これらは前月の給与を基に計算されるため、休職に入った後も一定額の負担が生じます。
また、住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、給与がない期間であっても支払い続ける必要があります。
これらの支払いは決して軽視できない金額となるため、休職前に支払い方法や金額を確認し、計画的に資金を準備しておくことが重要です。

マイナス支給になる可能性

休職期間中に給与がゼロになったとしても、社会保険料や住民税などの控除額が大きい場合、給与明細上の支給額が「マイナス」になることがあります。
これは、会社が本来従業員から徴収すべき金額を、給与がゼロであっても徴収する必要があるために発生します。
もしマイナスになった場合、会社から不足分を請求されることがありますので、休職前に人事・労務担当者に具体的な支払い方法や金額について確認しておくことが肝心です。

休職中のボーナス支給は?

ボーナス支給の原則と就業規則

休職中のボーナス(賞与)の支給についても、給与と同様に法律で一律の定めはありません。その扱いは、各企業の「就業規則」によって大きく異なります。
ボーナスは、会社の業績や個人の貢献度を評価して支払われる性格が強いため、算定期間中の勤務実績が重要視されます。
したがって、休職期間がボーナスの算定期間にどのように影響するかが、支給の有無を左右するポイントとなります。

支給されるケースとされないケース

ボーナスが支給される可能性のあるケースとしては、算定期間中に休職に入ったものの、その前に一定期間の勤務実績があり、それが評価対象となる場合が挙げられます。
一方で、ボーナス算定期間のほとんど、あるいは全てを休職していた場合、支給されないことがほとんどです。
ボーナスの支給基準は企業によって様々ですので、一概には言えませんが、勤務実績が短い場合は支給額が減額されるか、不支給となる傾向にあります。

人事・労務担当者への確認の重要性

休職中のボーナスに関する不安や疑問がある場合は、必ず会社の人事・労務担当者へ直接問い合わせることが最も確実な方法です。
具体的な支給条件、評価期間、そして休職がボーナスに与える影響について、明確な情報を入手しておきましょう。
休職を検討する際には、給与だけでなくボーナスの扱いについても確認しておくことで、将来的な経済的な計画をより正確に立てることができます。