【労働法】賃金原則から減額・労働時間まで徹底解説

労働者の生活と企業の経営に深く関わる「労働法」。賃金や労働時間、そして賃金の減額など、知っておくべき基本的なルールは多岐にわたります。
特に、近年は「働き方改革」や最低賃金の大幅な引き上げなど、目まぐるしい変化が続いています。
本記事では、2025年時点での最新情報を踏まえ、労働法における賃金の原則、労働時間の上限、そして賃金減額の規制について、具体的なデータや事例を交えながら徹底的に解説します。
経営者の方も労働者の方も、ぜひこの機会に労働法の基礎知識を再確認し、適切な労務管理や自身の権利保護にお役立てください。

労働法における賃金の原則と基本

労働者の生活を支える最低賃金制度

日本の労働法では、労働者の生活水準を保障し、賃金の安値を阻止するために最低賃金制度が定められています。
この制度は、使用者(企業)が労働者に対して支払うべき賃金の最低額を保証するものであり、この額を下回る賃金で労働者を使用することは法律違反となります。
特に注目すべきは、2025年度には全国加重平均で時給1,121円となり、前年度比66円(6.3%)もの引き上げが見込まれている点です。

これは制度開始以来、過去最大の引き上げ幅であり、全国すべての都道府県で最低賃金が時給1,000円を超える画期的な改定となります。
この最低賃金の引き上げは、労働者の生活安定に寄与するだけでなく、消費活動の活性化や地域経済の底上げにも繋がる重要な施策です。
企業側は、この改定を正確に把握し、給与体系の見直しや適正な賃金支払いを徹底することが求められます。
違反した場合には、労働基準法に基づく罰則が科される可能性があり、企業の社会的信用にも影響を及ぼしかねません。

最低賃金の対象となる賃金・ならない賃金

最低賃金の計算において、全ての賃金が対象となるわけではありません。
最低賃金の対象となるのは、毎月決まって支払われる基本的な賃金です。これは、所定労働時間に対して支払われる賃金を指します。
しかし、以下の賃金項目は、最低賃金の計算からは除外されます。

  • 臨時に支払われる賃金:結婚手当、傷病手当など、特定の事由や時期にのみ支払われるもの。
  • 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金:賞与(ボーナス)など。
  • 時間外労働・休日労働・深夜労働に対する割増賃金:所定労働時間を超える労働に対して支払われる割増部分。
  • 精皆勤手当:欠勤や遅刻がないことに対して支給される手当。
  • 通勤手当:通勤にかかる実費を補填する手当。
  • 家族手当:扶養家族の有無に応じて支給される手当。

例えば、時給950円の基本的な賃金に通勤手当が月1万円支給されていたとしても、最低賃金が時給1,000円の場合、通勤手当は最低賃金の計算対象外となるため、最低賃金法違反となる可能性があります。
自身の賃金が最低賃金を下回っていないか確認する際は、これらの除外項目を正しく理解し、基本的な賃金のみで比較することが重要です。

賃金支払いの五原則と重要な考え方

労働基準法第24条では、賃金支払いの基本的なルールとして「賃金支払いの五原則」が定められています。
これは労働者の生活保障と賃金債権の確実な履行を目的としており、企業はこれらの原則を厳守しなければなりません。
五原則とは、以下の通りです。

  1. 通貨払い:賃金は日本円(現金)で支払うこと。(労使協定があれば銀行振込も可)
  2. 直接払い:賃金は労働者本人に直接支払うこと。(代理人や親権者への支払いは原則不可)
  3. 全額払い:賃金は全額を支払うこと。(税金、社会保険料、労使協定で定められた項目以外の控除は不可)
  4. 毎月1回以上払い:賃金は少なくとも毎月1回以上支払うこと。
  5. 一定期日払い:賃金は毎月〇日など、決められた期日に支払うこと。

これらの原則は、労働者が安定した生活を送るための基盤であり、例えば「全額払い」に違反し、会社が勝手に損害賠償額を賃金から差し引くことは認められません。
もし、企業がこれらの原則に違反した場合、労働基準監督署からの指導や是正勧告の対象となり、場合によっては罰則が科されることもあります。
労働者も企業も、賃金に関するこれらの基本原則を正しく理解し、遵守することが健全な労使関係を築く上で不可欠です。

労働時間:1日の上限、月間の目安、待機時間の扱い

労働時間の上限規制と「働き方改革」の成果

長時間労働の是正と労働者の健康確保を目的に、2019年4月(中小企業は2020年4月)から「働き方改革関連法」により時間外労働の上限規制が導入されました。
これは、従来の「厚生労働大臣の告示」による行政指導にとどまらず、法律で罰則付きの規制となった点で大きな意味を持ちます。
原則として、時間外労働は「月45時間、年360時間以内」と定められています。

しかし、繁忙期など臨時的な特別な事情がある場合には、労使間で特別条項付きの36協定を締結することで、例外的に上限を超えることが認められます。
ただし、その場合でも以下の厳しい制限があります。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について、2〜6ヶ月平均で80時間以内
  • 月45時間を超えることができるのは年間6回まで

これらの上限規制に違反した場合、企業には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
企業は、労働者の健康管理と生産性向上の両立を図るため、勤怠管理の徹底と業務の見直しを進めることが不可欠です。

割増賃金のルールと2023年4月からの変更点

法定労働時間を超える労働や、法定休日の労働、深夜帯の労働には、通常の賃金に加えて割増賃金を支払う義務があります。
これは労働者の健康と生活を守るための重要なルールであり、企業はこれを遵守しなければなりません。
主な割増賃金率は以下の通りです。

労働の種類 割増率 適用条件
時間外労働 25%以上 法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超える労働
時間外労働 50%以上 月60時間を超える時間外労働
休日労働 35%以上 法定休日(週1日または4週4日)の労働
深夜労働 25%以上 午後10時~午前5時の労働

特に重要な変更点として、2023年4月からは中小企業においても、月60時間を超える時間外労働に対して50%以上の割増賃金率が適用されるようになりました。
これにより、大企業と中小企業間の時間外労働に関する割増賃金率の差が解消され、全ての企業で同等のルールが適用されています。
この変更は、中小企業の経営に大きな影響を与える可能性があるため、企業は給与計算システムの更新や、従業員への周知を徹底する必要があります。
未払いの割増賃金が発生すると、労働基準法違反だけでなく、企業イメージの失墜にも繋がりかねません。

待機時間(手待ち時間)は労働時間とみなされるか?

労働時間とは、単に実際に作業している時間だけでなく、使用者の指揮命令下にあり、労働者が労働から離れることが保障されていない時間を指します。
この解釈において、しばしば問題となるのが「待機時間(手待ち時間)」の扱いです。
例えば、電話番をしている時間、来客を待っている時間、タクシー運転手が客待ちをしている時間、施設の警備員が巡回せずに待機している時間などは、一見すると作業をしていないように見えます。

しかし、これらの時間は、使用者の指示があればいつでも作業ができる状態にあり、労働者の自由な行動が制限されているため、原則として労働時間とみなされます
休憩時間と待機時間との違いは、労働者が労働から完全に解放され、自由に時間を利用できるかどうかです。
休憩時間は完全に自由な時間であるのに対し、待機時間は使用者の指揮命令下にあるため、賃金支払いの対象となります。
もし、企業がこれらの待機時間を労働時間として適切に扱わず、賃金を支払っていない場合、未払い賃金の問題に発展し、労働基準法違反となる可能性があります。
企業は、従業員がどのような状況で待機しているかを正確に把握し、労働時間の算定に含めるべきか否かを慎重に判断する必要があります。

賃金減額は許される?労働法が定める規制

賃金減額が認められるケースとNGケース

労働契約において、賃金は労働者の生活を支える最も重要な要素です。
そのため、企業が従業員の賃金を一方的に減額することは、原則として認められていません。
しかし、特定の状況下では、法的に賃金減額が許容される場合があります。
賃金減額が認められる主なケースは以下の通りです。

  • 従業員からの合意を得た場合
    減額内容を従業員が十分に理解し、自由な意思に基づいて同意した場合。口頭だけでなく、書面での合意が望ましいです。
  • 就業規則の変更
    賃金体系の変更に伴い、就業規則を合理的な理由に基づいて変更し、従業員への周知が十分に行われている場合。ただし、大幅な減額や、従業員に著しい不利益を与える変更は無効となる可能性があります。
  • 懲戒処分として
    就業規則に定められた懲戒事由に該当し、減給処分が課される場合。ただし、労働基準法第91条により減給額には上限があります。
  • 人事考課や能力・成果が芳しくない場合
    就業規則や賃金規程に、人事考課や業績に応じた賃金体系や基準が明確に定められている場合に限り、減給が認められることがあります。

一方、会社側の一方的な都合による減額や、固定残業代を一方的に廃止し、その結果として賃金を減額するケースなどは、典型的な違法な賃金減額として挙げられます。
このような一方的な減額は労働契約法に違反し、企業は労働者から未払い賃金として請求されるリスクを負うことになります。

懲戒処分による減給の限度額とは?

従業員が就業規則に違反し、懲戒処分として減給が適用される場合でも、その減給額には労働基準法によって厳格な上限が設けられています。
これは、懲戒処分による減給が労働者の生活に過度な影響を与えないようにするための保護措置です。
労働基準法第91条には、以下のように定められています。

  • 1回の減給額
    平均賃金の1日分の半額を超えてはならない。
    例えば、平均賃金が1日1万円の場合、1回の減給額は5,000円が上限となります。
  • 複数の事案に対する総額
    一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならない。
    例えば、月給30万円の従業員に対して、ある賃金支払期間に複数回の懲戒減給を行う場合、その総額は3万円が上限となります。

この上限規定は、たとえ就業規則で減給に関する規定が定められていたとしても、それを超える減給は認められないことを意味します。
企業が懲戒処分として減給を行う際には、まず就業規則に具体的な懲戒事由と処分の種類を明記し、適正な手続きを経て行う必要があります。
そして、何よりもこの法定の限度額を厳守しなければなりません。
これに違反した減給は無効となり、差額の賃金支払い義務が生じるだけでなく、労働基準法違反として罰則の対象となる可能性もあります。

合意なき賃金減額の違法性と企業のリスク

労働契約は、使用者と労働者の合意によって成立するものであり、その内容を一方的に変更することは原則として認められません。
労働契約法第8条でも「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と明記されており、労働者の同意なく賃金を減額することは違法行為となります。
たとえ会社の経営状況が悪化している場合であっても、労働者の同意なしに賃金を減額することは許されません。

もし企業が労働者の同意を得ずに賃金減額を実施した場合、企業は以下のような大きなリスクを負うことになります。

  • 未払い賃金請求
    減額された賃金分が未払いとなり、労働者は企業に対して過去に遡って差額の支払いを請求できます。
  • 付加金の支払い
    裁判所で労働基準法違反が認定された場合、企業は未払い賃金の他に、最大でその未払い賃金額と同額の「付加金」の支払いを命じられることがあります。
  • 損害賠償請求
    賃金減額によって労働者が被った精神的苦痛などに対する損害賠償を請求される可能性もあります。
  • 企業イメージの低下
    違法な賃金減額は、企業の社会的信用を大きく損ない、従業員の士気低下や離職率の増加にも繋がります。

企業は、賃金減額を検討する際は、必ず労働者と十分に協議し、同意を得るための丁寧なプロセスを踏むことが不可欠です。
労働組合がある場合は労働組合との交渉も必要となります。
合意形成に努めることで、法的なリスクを回避し、良好な労使関係を維持することができます。

通勤手当・通勤時間:労働法との関わり

通勤手当は賃金に含まれるのか?最低賃金との関係

多くの企業で支給されている通勤手当ですが、その性質や労働法上の扱いは、他の賃金項目とは異なります。
通勤手当は、従業員が自宅から会社までの通勤にかかる費用の一部または全部を補填する目的で支給されるもので、その性格は「実費弁償的」と捉えられています。
そのため、労働基準法上の「賃金」ではありますが、最低賃金の対象となる賃金からは除外されます。

これは、最低賃金が「労働の対価」として支払われる基本的な賃金を保障するものであるのに対し、通勤手当は労働そのものに対する対価ではないという考え方に基づいています。
したがって、たとえ通勤手当を含めれば最低賃金を上回る場合でも、基本的な賃金のみで最低賃金をクリアしているかを確認する必要があります。
また、企業は原則として通勤手当を支給する法的義務はありません。しかし、就業規則や労働契約で支給を定めている場合は、その定めに従い支給する義務が生じます。
税法上は、一定の非課税限度額が設けられており、限度額内の通勤手当は所得税の課税対象とならないという特徴もあります。
このように、通勤手当は最低賃金や税金との関わりにおいて、独特の扱いを受けることを理解しておくことが重要です。

通勤時間は労働時間とみなされるのか?

一般的に、従業員が自宅から会社へ通勤する時間は、労働時間とはみなされません
これは、通勤中は労働者が使用者の指揮命令下にあるとは言えず、労働者の自由な行動が保障されているという「自由利用の原則」に基づいています。
つまり、通勤中に読書をしたり、音楽を聴いたり、他の用事を済ませたりすることは個人の自由であり、会社からの業務命令を受けているわけではないため、労働時間として扱われないのです。

しかし、例外的に通勤時間が労働時間とみなされるケースも存在します。
例えば、以下のような状況です。

  • 会社からの指示による移動
    会社からの命令で、直接現場へ直行・直帰する場合や、出張先への移動中に業務指示を受けている場合など。
  • 移動中の業務遂行義務
    移動中に業務報告書の作成や資料の確認、特定の連絡を義務付けられている場合。
  • 特定の交通手段の利用強制
    会社が指定した社有車での相乗りを強制し、その移動中に業務指示を行う場合など。

これらの場合は、実質的に使用者の指揮命令下に置かれていると判断され、労働時間として賃金が支払われるべきであると解釈されることがあります。
労働時間の判断はケースバイケースで曖昧な部分もあるため、企業は従業員の移動時間における業務実態を正確に把握し、適切な労務管理を行うことが求められます。

労働災害における通勤災害の範囲

通勤時間は原則として労働時間ではありませんが、通勤中に発生した事故は「労働災害(労災)」の一種である「通勤災害」として、労働者災害補償保険法(労災保険法)の対象となる場合があります。
通勤災害とは、「労働者が通勤によって負傷したり、病気になったり、死亡したりした場合」を指します。
ここでいう「通勤」とは、以下の要件を満たす必要があります。

  • 就業に関するもの
    業務を目的とした移動であること。
  • 合理的な経路及び方法
    住居と就業場所の間を、通常利用する経路と方法で移動すること。
    例えば、自家用車、公共交通機関、自転車などが該当します。
  • 逸脱・中断がないこと
    通勤の途中で経路から外れたり(逸脱)、通勤を中断したりした場合は、その逸脱・中断の間は通勤とはみなされません。

ただし、逸脱・中断であっても、日常生活上必要な行為を最小限行う場合(例:病院での診察、食料品の購入、子供の送迎など)は、合理的な経路に戻った後については再び通勤とみなされるという例外規定があります。
通勤災害と認定されれば、労働者は労災保険から療養補償給付や休業補償給付などの給付を受けることができます。
企業も労働者も、この通勤災害の範囲を正しく理解しておくことで、万が一の事態に備え、適切な対応を取ることが可能になります。

ノーワーク・ノーペイの原則とは?

「働かなければ賃金は発生しない」の基本

労働契約における最も基本的な原則の一つに「ノーワーク・ノーペイの原則」があります。
これは、「労働者が労働を提供しない限り、使用者はその対価である賃金を支払う義務がない」という考え方です。
労働基準法には明示されていませんが、民法上の債務不履行の原則(民法第536条1項)を根拠としており、判例法理として確立されています。

この原則は、労働者が契約に基づいて労働力を提供し、その対価として賃金を受け取るという労働契約の本質を表しています。
例えば、従業員が体調不良で欠勤した場合、あるいは私的な都合で遅刻や早退をした場合、その労働しなかった時間分の賃金は発生しません。
企業は、就業規則に基づいて、遅刻や早退、欠勤時間分の賃金を控除することができます。
ただし、賃金の控除は、実際に労働しなかった時間に見合う合理的な範囲内で行う必要があり、不当な控除は認められません。
この原則を理解することは、労働者にとっては自身の賃金がどのように計算されるかを知る上で、企業にとっては適切な賃金計算を行う上で非常に重要です。

会社都合の休業と労働者の責任による欠勤

ノーワーク・ノーペイの原則は基本的な考え方ですが、その適用には状況に応じた例外や注意点があります。
特に、休業の原因が「誰の責任にあるか」によって、賃金の支払いの有無や手当の種類が変わってきます。

  • 会社都合の休業
    使用者の責めに帰すべき事由(例:経営不振による操業停止、機械故障、資材調達の遅延など)によって従業員を休業させた場合、企業は労働基準法第26条に基づき、従業員に対して平均賃金の60%以上の「休業手当」を支払う義務があります。
    この場合、労働者は労働を提供していませんが、会社都合であるため、ノーワーク・ノーペイ原則の例外として賃金の一部が保証されます。
  • 労働者の責任による欠勤
    従業員自身の都合や責任(例:私傷病による欠勤、公共交通機関の遅延で会社に帰責性がない場合の遅刻など)によって労働しなかった場合、ノーワーク・ノーペイ原則が直接適用され、原則としてその時間分の賃金は発生しません。
    病気休暇や慶弔休暇など、就業規則に定められた特別休暇の場合は、別途賃金が支払われるか否かはその規則によります。

このように、労働しなかった原因が使用者側にあるか、労働者側にあるかによって、賃金支払いの義務が大きく異なるため、企業は休業の原因を正確に特定し、適切な対応をとる必要があります。

有給休暇や特別休暇とノーワーク・ノーペイの原則

ノーワーク・ノーペイの原則には、労働者の権利や福利厚生を保障するための重要な例外がいくつか存在します。
その代表的なものが、年次有給休暇や、企業が独自に定める特別休暇です。

  • 年次有給休暇
    これは労働基準法で労働者に認められた権利であり、労働者が休暇を取得しても、通常通り賃金が支払われます
    文字通り「有給」であるため、ノーワーク・ノーペイの原則の最も重要な例外の一つです。
    労働者が心身のリフレッシュを図り、仕事と生活の調和を保つために不可欠な制度となっています。
  • 特別休暇
    慶弔休暇(結婚、出産、忌引など)、夏季休暇、リフレッシュ休暇など、企業が就業規則等で独自に定める休暇制度です。
    これらの休暇期間中に賃金を支払うかどうかは、企業の裁量に委ねられますが、多くの場合、労働者の福利厚生の一環として有給として扱われます。
    ただし、就業規則に「無給」と明記されている場合は、その定めに従います。
  • 育児休業・介護休業
    育児・介護休業法に基づく休業制度であり、労働者は法律に基づいて休業を取得する権利がありますが、休業期間中の賃金は原則として無給となる場合が多いです。
    ただし、その間、雇用保険から育児休業給付金や介護休業給付金が支給され、生活をサポートする仕組みがあります。

これらの休暇制度は、ノーワーク・ノーペイの原則の例外として、労働者の生活保障やワークライフバランスの実現に大きく貢献しています。
企業はこれらの制度を適切に運用し、労働者も自身の権利を理解して活用することが重要です。

本記事では、労働法における賃金原則、賃金の減額、そして労働時間に関する最新の情報を網羅的に解説しました。
最低賃金の引き上げや労働時間の上限規制、賃金減額の厳格なルール、そしてノーワーク・ノーペイの原則とその例外など、労働法は常に変化し、労働者の権利保護を強化しています。
企業はこれらの情報を正確に理解し、適切な労務管理を行うことで、法的リスクを回避し、従業員が安心して働ける職場環境を提供することが求められます。
また、労働者の方々も自身の権利を知り、不当な扱いから身を守るための知識を身につけておくことが重要です。
不明な点や具体的なケースについては、弁護士や社会保険労務士などの専門家、または労働基準監督署に相談することをお勧めします。