概要: 職務経歴書は、あなたのスキルや経験を企業に伝える重要な書類です。この記事では、必須項目はもちろん、アピール力を高める書き方、そして状況に応じた伝え方まで、職務経歴書作成の全てを解説します。
職務経歴書に必ず記載すべき基本項目とは?
タイトル・氏名から職務要約までの基本情報
職務経歴書の冒頭には、書類のタイトルを「職務経歴書」と明確に記載し、その下にあなたの氏名と作成年月日を明記します。日付は提出日、もしくは前日を記載するのが一般的です。年号は西暦・和暦のどちらかに統一し、履歴書など他の提出書類とも合わせることで、丁寧な印象を与えることができます。
続いて配置されるのが「職務要約」または「職務概要」です。これはあなたのこれまでの職務経歴を、約200字から400字程度で簡潔にまとめる項目。職務要約は、採用担当者があなたのキャリアを短時間で把握できるようにする狙いがあります。
特にアピールしたい経験やスキル、応募企業で活かせる強みを冒頭に持ってくることで、採用担当者の興味を引きつけ、読み進めてもらうきっかけを作ることができます。具体的な職務内容は詳細に譲り、ここでは「何を専門とし、どんな成果を出してきたのか」を要領よく伝えることを意識しましょう。
例えば、「IT企業で3年間Webディレクターとして従事し、新規プロジェクトの立ち上げから運用までを一貫して担当。特に、顧客満足度向上を目的としたUI/UX改善により、サイトPVを前年比150%に増加させた経験があります。」といった形で、具体的な職種、期間、そして主要な実績を盛り込むと効果的です。
職務経歴・職務内容の具体的な記述方法
職務経歴書の中核をなす「職務経歴・職務内容」は、あなたの経験と能力を最も詳細に伝える部分です。ここでは、勤務した企業ごとに、所属部署、役職、担当業務、そして最も重要な「実績」を具体的に記載していきます。
単なる業務内容の羅列ではなく、「どのような目的で、何を、どのように行い、どのような結果を出したか」という一連の流れを意識して記述することが重要です。特に実績については、可能な限り具体的な数値や客観的な事実を盛り込みましょう。
参考情報にもあるように、「売上を〇%向上させた」「〇時間の作業時間を〇%削減した」「〇人規模のプロジェクトを成功に導いた」など、数字で示すことで説得力は格段に増します。また、困難な状況でどのような課題に直面し、それをどのように工夫して乗り越えたかというエピソードを交えることで、あなたの問題解決能力や主体性をアピールできます。
記載形式には、主に以下の3種類があります。
- 編年体形式: 古い職歴から新しい職歴へと時系列順に記載する最も一般的な形式。キャリアパスが分かりやすいのが特徴です。
- 逆編年体形式: 最新の職歴から古い職歴へと逆時系列順に記載する形式。直近の経験やスキルを強調したい場合に有効です。
- キャリア形式: 職務内容やプロジェクトごとに分類して記載する形式。複数の職種を経験している場合や、特定のスキルを強調したい場合に適しています。
自身のキャリアパスや応募企業が求めるスキルに合わせ、最適な形式を選択。募集要項や企業サイトを丹念に読み込み、求められる人物像に合致する経験・実績を強調することで、書類選考の通過率を高められます。
活かせる知識・スキル、資格・免許、自己PRの重要性
職務経歴書の後半では、あなたの専門性、具体的な能力、そして企業への貢献意欲を明確に伝えます。「活かせる知識・スキル」の項目では、これまでの業務で培ってきた専門知識や、PCスキル、語学力など、具体的なスキルを網羅的に記載しましょう。
例えば、PCスキルであれば「Microsoft Office(Word/Excel/PowerPoint)上級、VBAを活用した業務効率化経験」、語学力であれば「TOEIC〇〇点、ビジネスレベルでの英語対応可能」など、具体的にレベルを示すことが肝要です。応募職種で必要とされるスキルや、企業が重視するであろうスキルを優先的に記述し、自身の強みとして明確にアピールしましょう。
次に「資格・免許」の項目です。保有している資格や免許は、あなたの努力や専門性を客観的に裏付ける重要な情報となります。資格名称、取得年月を正確に記載してください。
特に応募職種と関連性の高い資格は、その資格がどのように実務で活かされているか、あるいはどのように活かしたいかを一言添えることで、より強力なアピールポイントとなります。例えば、経理職であれば「日商簿記1級」、ITエンジニアであれば「基本情報技術者」など、具体的な資格名を挙げることで、採用担当者はあなたの専門性を具体的に把握しやすくなります。
そして最後に「自己PR」。これは単なる意欲表明の場ではありません。これまでの経験やスキルを踏まえ、「応募企業でどのように貢献できるか」を具体的にアピールする場です。抽象的な言葉ではなく、あなたの強みが応募企業でどのように役立つのか、どのような形で貢献できるのかを、具体的なエピソードや実績と紐付けて説明しましょう。
企業が抱える課題や事業目標を理解し、それに対して提供できる価値を明確に。自己PRは、あなたの個性を表現し、書類選考突破の決め手となり得ます。
アピール力を高める!「学んだこと」「マネジメント経験」の書き方
「学んだこと」を具体的にアピールする視点
職務経歴書において「学んだこと」は、単なる業務知識の習得だけでなく、あなたの成長意欲や問題解決能力を示す重要な要素です。この項目を効果的にアピールするには、単に「〇〇を学びました」と記述するのではなく、その学びが「どのような状況で、どのような課題に直面し、それをどう解決しようと試みた結果、何を得て、それがどのように行動変容に繋がったか」という具体的なプロセスを示すことが鍵となります。
例えば、新しいシステム導入プロジェクトで、当初は操作に苦戦したものの、自らマニュアルを読み込み、チームメンバーと協力して試行錯誤を重ねた結果、効率的な運用方法を確立したとします。この場合、「新しいシステムについて学び、操作に習熟した」だけでなく、「不明点があれば自ら積極的に情報収集し、チームで連携しながら課題を解決する能力」を学んだと表現できます。
さらに、その学びが今後の業務や応募企業でどのように活かせるのか、具体的な視点を示すことが重要です。応募企業の事業内容や募集職種で求められるスキルと、あなたが過去の経験で得た「学び」を繋ぎ合わせることで、採用担当者はあなたの適応能力やポテンシャルを高く評価するでしょう。
具体的な事例を挙げ、その学びがあなたのキャリアにどう影響を与えたかを記述することで、あなたの成長性を採用担当者に明確に伝えることができます。学びの背景にある課題や困難を乗り越えた経験は、あなたのレジリエンス(回復力)や主体性を際立たせる要素にもなります。
マネジメント経験を数値で示す効果的な表現
マネジメント経験は、リーダーシップ、計画性、実行力、そして人材育成能力を示す強力なアピールポイントです。この経験を職務経歴書で効果的に伝えるには、「具体的な役割、チーム規模、達成した目標、そしてその結果として生まれた数値的成果」を明確に記述することが不可欠です。
例えば、単に「プロジェクトリーダーを務めた」と記載するだけでなく、「〇名規模のチームを率いて、〇〇プロジェクトの立ち上げから運用までを一貫して担当」といった形で、チームの規模や担当範囲を具体的に示しましょう。さらに、「売上を〇%向上させた」「コストを〇%削減した」「プロジェクトを計画より〇ヶ月早く完了させた」など、マネジメントの結果として生まれた具体的な数値を提示することで、あなたの手腕を客観的に裏付けることができます。
人材育成の経験がある場合は、「新入社員〇名をOJTで指導し、〇ヶ月で独り立ちさせた」「チームメンバーのスキルアッププログラムを企画・実行し、生産性を〇%向上させた」といった具体的なエピソードを盛り込むと良いでしょう。単に指示を出すだけでなく、メンバーのモチベーション向上や成長にどのように貢献したかを記述することで、あなたのマネジメントの質をアピールできます。
常に結果とプロセス、そしてその中でのあなたの役割を明確に結びつけて表現することを心がけましょう。これにより、採用担当者はあなたのマネジメントスキルと、それが企業にどう貢献できるかを具体的にイメージしやすくなります。
応募企業に合わせたアピールポイントの調整術
効果的な職務経歴書を作成する上で最も重要なことの一つは、画一的な内容ではなく、応募企業ごとにアピールポイントを調整することです。
まずは、応募企業の募集要項を徹底的に読み込み、企業サイトやプレスリリースで事業内容、企業理念、文化、そして募集職種が求める人物像やスキルセットを深く理解しましょう。どんな人材を求めているのか、どのような課題を解決したいのか、といった企業のニーズを把握することが第一歩です。
次に、あなたの豊富な職務経験の中から、その企業のニーズに最も合致するエピソードや実績を選び出し、それを重点的にアピールします。例えば、ベンチャー企業であれば「新規事業立ち上げ経験」や「スピード感を持って課題解決に取り組んだ経験」、大企業であれば「大規模プロジェクトのマネジメント経験」や「協調性を持ってチームで成果を出した経験」などを強調するなど、企業文化に合わせて調整することも有効です。
参考情報にもある「マスターシート」の活用は非常に有効です。これは、あなたの職務経歴やスキルを網羅的に記載したもので、企業ごとに職務経歴書を作成する際のベースとなります。マスターシートから関連性の高い情報を抽出し、応募企業向けに再構成することで、効率的かつ質の高い職務経歴書を作成できます。
応募企業の事業内容やプロダクト名を挙げ、「貴社の〇〇事業で、私の〇〇の経験を活かし、〇〇に貢献したい」と具体的な貢献意欲を示し、採用担当者に強い印象を与えましょう。これにより、「なぜ当社を選んだのか」「入社後何ができるのか」という疑問に、先回りして答えることができます。
「表彰」「保有資格」「免許」を効果的に記載する方法
輝かしい「表彰」を記載する際のポイント
職務経歴書における「表彰」の記載は、あなたの業務における突出した成果や貢献が、客観的に認められた事実を示す強力なアピールポイントとなります。
記載する際は、以下の情報を具体的に盛り込みましょう。
- 受賞年月: いつ受賞したのかを正確に記載します。
- 表彰名: 「社長賞」「MVP」「売上達成賞」「新人賞」など、具体的な表彰名を記述します。
- 表彰主体: 誰から表彰されたのか(会社、部署、取引先など)を明確にします。
- 表彰理由・内容: 最も重要なのは、なぜその表彰を受けたのかという具体的な理由です。「新規顧客開拓数〇%増への貢献」「大規模プロジェクトの成功」「コスト削減に大きく貢献」など、具体的な実績や行動を記述することで、表彰の価値を最大限に高めます。
例えば、「20XX年〇月 社長賞(前年比200%の売上目標達成に貢献、新規市場開拓プロジェクトを成功に導いた功績により)」のように記載することで、表彰の重みが伝わります。社内表彰だけでなく、業界団体からの表彰や顧客からの感謝状なども、積極的に記載するべきです。これらは、あなたの専門性や顧客志向の高さを示す客観的な証拠となります。
さらに、その表彰が応募企業の職務でどのように活かせるのか、短い一文で補足できるとより効果的です。例えば、「この経験で培った目標達成意欲と実行力は、貴社の営業職においても大いに貢献できると確信しております」といった形で結びつけることで、あなたの実績が応募企業にとっての価値へと変換されます。
「保有資格」で専門性をアピールする秘訣
職務経歴書に記載する「保有資格」は、あなたが特定の分野で専門的な知識やスキルを習得していることを客観的に示す重要な要素です。単に資格名を羅列するだけでは不十分であり、その資格が「実務でどのように活かされているか、あるいは今後どのように活かしていきたいか」を具体的に記述することで、あなたの専門性をより強力にアピールすることができます。
資格を記載する際は、以下の点を意識しましょう。
- 取得年月: 資格の取得年月を正確に記載します。
- 資格名称: 正式名称で記載します。略称は避けるべきです。
- 関連性: 応募職種との関連性が高い資格を優先的に記載します。直接的な関連が低い場合でも、汎用的なスキル(例:語学、PCスキル)を示す資格は有効です。
例えば、経理職に応募する場合、「日商簿記1級(20XX年〇月取得):連結決算業務や税務申告業務において、この知識を活かし効率的な業務遂行に貢献してきました」と具体的に記述することで、単なる資格保有者以上の価値を伝えることができます。
IT関連の職種であれば、「基本情報技術者(20XX年〇月取得):システム開発における要件定義から設計、テストまでの一連の工程において、基礎的な技術知識を活用し、プロジェクト推進に貢献しました」といった表現が考えられます。もし実務経験がない資格であっても、「〇〇の学習を通じて得た知識を、貴社で〇〇の業務に活かしていきたいと考えております」と、今後の意欲を示すことでポジティブな印象を与えられます。
「免許」の記載と実務での関連付け
「免許」の記載は、職務経歴書において、特定の業務遂行能力や汎用的なスキルを証明する役割を果たします。特に、応募職種で運転や特定の機械操作が求められる場合、または業務上移動が多い職種の場合には、必ず記載すべき重要な項目です。
記載する際は、以下の点を明確にしましょう。
- 取得年月: 免許の取得年月を正確に記載します。
- 免許名称: 「普通自動車第一種運転免許」など、正式名称で記述します。
単に免許名を羅列するだけでなく、それが「どのように実務で役立ってきたか、あるいは今後どのように活用できるか」を具体的に記述することで、あなたの業務遂行能力をより強くアピールできます。
例えば、営業職やフィールドエンジニア職に応募する場合、「普通自動車第一種運転免許(20XX年〇月取得):広範囲の顧客先への訪問や機器設置・メンテナンス業務において、車両を安全かつ効率的に運転し、移動時間の短縮と顧客対応の迅速化に貢献してきました」といった形で、実務での活用例を具体的に示すことで、単なる運転免許以上の価値を伝えることができます。
また、フォークリフト運転技能講習修了証や危険物取扱者乙種第4類などの専門免許は、工場勤務や物流業界、特定の製造業において非常に高い価値を持ちます。これらの免許は、あなたの専門的な業務遂行能力と安全意識を証明するものです。
「役職」「役割」の書き方と、役職なし・閉店経験の場合の伝え方
「役職」「役割」を具体的に示す重要性
職務経歴書において「役職」は、あなたの組織内での立ち位置や責任範囲を示すものです。しかし、単に役職名を記載するだけでは不十分であり、その役職において「どのような役割を担い、どのような権限と責任のもとで、どのような成果を出したか」を具体的に示すことが、採用担当者への説得力を高めます。
例えば、「課長」や「マネージャー」という役職だけでなく、以下のような詳細を補足しましょう。
- 管理体制: 何名の部下をマネジメントしていたか、そのチームはどのような構成だったか。
- 責任範囲: 予算管理、人事評価、プロジェクト全体の進捗管理など、具体的な責任範囲。
- 達成目標: どのような目標が与えられ、それをどのように達成したか。目標設定から達成までのプロセス。
- 特筆すべき貢献: 新規事業の立ち上げ、業務プロセスの改善、チームの士気向上など、役職を通じて果たした特別な役割や貢献。
「営業課長として、5名の部下を率い、年間〇億円の売上目標達成に貢献。特に、若手社員の育成に力を入れ、1年で全員が独り立ちできるプログラムを構築し、チーム全体の営業成績を前年比120%に引き上げました。」のように記述することで、単なる役職以上の具体的な実績とリーダーシップをアピールできます。
また、役職がなくても、プロジェクトリーダーやサブリーダー、あるいは特定のタスクフォースの主担当として「役割」を担った経験は非常に重要です。その場合、「〇〇プロジェクトにおいて、チーム内の〇〇(役割)として、〇〇(具体的な業務)を担当し、〇〇(成果)を達成しました」と具体的に記述することで、役職の有無に関わらず、あなたの主体性や貢献度をアピールすることが可能です。
役職がない場合の強みのアピール方法
役職がない場合でも、職務経歴書で自身の強みを効果的にアピールすることは十分に可能です。重要なのは、「指示待ちではなく、自律的に行動し、組織にどのような貢献をしてきたか」という視点で、具体的なエピソードを語ることです。
役職がなくても、あなたは日々の業務の中で様々な「役割」を担い、成果を出してきたはずです。例えば、以下のような経験を具体的に記述しましょう。
- プロジェクトへの貢献: 特定のプロジェクトで、どのようなタスクを担当し、どのような提案や工夫をして、チームやプロジェクト全体の成功に貢献したか。具体的な数値で成果を示せればさらに良いでしょう。
- 業務改善提案: 既存の業務プロセスに対し、課題意識を持って改善提案を行い、それが採用されて業務効率化やコスト削減に繋がった経験。
- 後輩や同僚への指導・サポート: 公式な役職ではないものの、若手社員のOJTを担当したり、同僚の相談に乗ったり、チーム全体のスキルアップに貢献した経験。
- 主体的な学習とスキルアップ: 業務に必要な知識やスキルを、自ら進んで学習し、それを実務に活かして成果を出した経験。
例えば、「役職はございませんが、〇〇(部署名)にて、業務効率化を目的とした社内システム改修プロジェクトに初期段階から参画。特にユーザーからのフィードバック収集と要件定義を担当し、〇〇(具体的な課題)を解決する機能改善案を提案。結果として、〇〇(具体的な数値)の作業時間削減に貢献しました。」といった形で、主体的な行動と具体的な成果を結びつけてアピールします。
閉店・倒産経験をポジティブに伝える工夫
前職の会社が閉店や倒産に至った経験は、職務経歴書に記載する上でネガティブに捉えられがちですが、伝え方次第であなたの危機対応能力やレジリエンス(回復力)、そして次のステップへの前向きな意欲を示す機会とすることができます。
まず、事実を正確に、しかし簡潔に記載することが重要です。感情的な記述や、会社を非難するような内容は避けるべきです。退職理由として「会社都合により退職(事業閉鎖のため)」のように事実を簡潔に記載しましょう。その上で、面接の機会に、この経験をどのように乗り越え、何を学んだかを語る準備をしておくことが大切です。
ポジティブに伝える工夫としては、以下の視点を取り入れることができます。
- 困難な状況での対応: 閉店や倒産という困難な状況の中で、あなたがどのような役割を担い、どのように行動したか。「顧客への誠実な対応に努めた」「残務処理を最後まで責任を持って行った」など、誠実性や責任感をアピールするエピソード。
- 学びと成長: この経験から何を学び、それがあなたのキャリア観や仕事に対する姿勢にどう影響を与えたか。「予期せぬ変化への対応力」「リスク管理の重要性」「キャリアプランを再考する機会になった」など、ポジティブな学びを強調します。
- 前向きな展望: この経験を経て、次の職場に何を求めているのか、どのように貢献していきたいのかを明確にする。過去の出来事に縛られず、新しい環境での活躍に意欲的であることを伝えます。
例えば、「前職は事業再編に伴い閉店となりましたが、その過程で、顧客との信頼関係構築の重要性を再認識し、また、予期せぬ状況下でも冷静に業務を遂行する力を養いました。この経験を活かし、貴社で〇〇(具体的な業務や貢献内容)を通じて、組織に貢献していきたいと考えております」といった形で、前向きな姿勢をアピールできます。
「本人希望欄」「辞めた理由」で好印象を与えるポイント
「本人希望欄」で希望を伝える際の注意点
職務経歴書における「本人希望欄」は、企業に対しあなたの希望を伝える大切な機会ですが、書き方を誤ると独りよがりな印象を与えかねません。好印象を与えるためには、具体性を持ちつつも、柔軟性と協調性を示すことが重要です。
まず、給与、勤務地、職種など、譲れない条件がある場合は明確に記載します。しかし、単に要求を羅列するのではなく、応募企業への配慮を示す表現を心がけましょう。例えば、「給与は現職と同等以上を希望いたします」ではなく、「これまでの経験やスキルを考慮いただき、貴社の規定に基づきご検討いただければ幸いです」といった表現が適切です。
特に給与については、具体的な金額を提示するよりも、まずは企業側の規定を尊重する姿勢を見せることが一般的です。もし具体的な希望額を伝える場合は、「年収〇〇万円を希望しますが、これまでの経験とスキルを活かせるのであれば、貴社規定に従います」といったように、柔軟性を持たせた記述が好ましいでしょう。
勤務地や職種についても同様です。「〇〇勤務を希望いたしますが、業務内容によっては他拠点での勤務も可能です」といった形で、会社の状況や業務内容に応じて柔軟に対応できる姿勢を示すことで、採用担当者に好印象を与えます。特に記載すべき希望がない場合は、「貴社規定に準じます」と記載するのが最も無難であり、どのような条件にも柔軟に対応できるという意欲を伝えることができます。
「退職理由・転職理由」を前向きに表現するコツ
職務経歴書や面接で必ず聞かれる「退職理由」や「転職理由」は、一歩間違えるとネガティブな印象を与えかねないデリケートな項目です。しかし、これを前向きなキャリアアップの機会として表現することで、あなたの成長意欲と積極性をアピールできます。
まず、過去の職場への不満や批判を述べることは絶対に避けましょう。人間関係や待遇、業務内容への不満が真の理由であったとしても、それをそのまま伝えることは、入社後のミスマッチや早期退職のリスクを企業に感じさせてしまいます。
代わりに、以下のような視点でポジティブな転職理由を構築しましょう。
- キャリアアップ志向: 現職では経験できない、より高度な業務や責任あるポジションに挑戦したいという意欲。
- スキルアップ志向: 特定のスキルを磨きたい、新しい技術を習得したいなど、自己成長への明確な目的。
- 貢献意欲: 応募企業の事業内容やビジョンに魅力を感じ、自身の経験やスキルを通じて貢献したいという具体的な意欲。
- 環境変化への適応: 例えば、事業縮小や異動など、会社都合による変化を成長の機会と捉え、新しい環境で自身の能力を発揮したいという考え。
例えば、「現職では〇〇の分野で実績を上げることができましたが、貴社が注力されている〇〇(具体的な事業や技術)に強い関心があり、これまでの経験を活かしながら、より専門性を深め、貴社の成長に貢献したいと考えて転職を決意いたしました」といった形で、現職での成果を認めつつ、応募企業で実現したいことを具体的に語ることが重要です。
辞めた理由を簡潔に、客観的な事実に基づいて説明し、その上で「これから何をしたいか」という未来志向の姿勢を示すことが、採用担当者に好印象を与えます。
嘘偽りなく、しかしポジティブに伝える姿勢
職務経歴書や面接において、退職理由やネガティブな経験を語る際には、嘘偽りなく事実を伝えつつも、それをいかにポジティブな教訓や成長へと結びつけるかが重要です。完全に事実と異なることを述べるのは避けるべきですが、伝え方一つで相手に与える印象は大きく変わります。
例えば、厳しい業務環境や人間関係が原因で退職した場合でも、それを「業務負荷が高く、人間関係も悪かったため」と直接的に表現するのではなく、「より組織的な連携を重視し、チームで成果を出す環境で働きたい」「ワークライフバランスを考慮し、長期的に貢献できる環境を求めている」といった形で、未来志向で前向きな希望に変換して伝えることができます。
重要なのは、その経験から何を学び、どのように自己成長に繋げたか、そしてその学びが応募企業でどのように活かせるのかを示すことです。困難な経験も、それを乗り越えた過程やそこから得た教訓を語ることで、あなたのレジリエンス(逆境から立ち直る力)や問題解決能力、自己反省力をアピールする機会となります。
具体的な例として、「前職では予期せぬトラブルに直面することも多く、当初は戸惑いましたが、チームメンバーと協力し、課題解決に向けて粘り強く取り組むことの重要性を学びました。この経験を通じて培った冷静な状況判断力と協調性は、貴社の〇〇業務においても貢献できると確信しております」のように、ネガティブな事象から得たポジティブな学びと、それを応募企業でどう活かすかを示すことが効果的です。
あなたの真摯な姿勢と、困難を乗り越える力をポジティブに伝えることで、信頼感と好印象を与えることができるでしょう。
まとめ
よくある質問
Q: 職務経歴書に最低限記載すべき項目は何ですか?
A: 職務経歴書には、職務要約、職務経歴(担当業務、プロジェクト経験)、活かせる経験・知識・スキル、保有資格、自己PRなどを記載するのが一般的です。企業が求める人物像に合わせて、これらの項目を具体的に記述することが重要です。
Q: 「学んだこと」や「マネジメント経験」をどのように書けば効果的ですか?
A: 「学んだこと」は、具体的なエピソードを交え、それをどう活かしていきたいかを明確に伝えましょう。「マネジメント経験」は、人数、期間、達成した成果などを数値で示し、リーダーシップや問題解決能力をアピールすると効果的です。
Q: 表彰や保有資格、免許はどのように記載すれば良いですか?
A: 表彰は、受賞名、受賞理由、受賞年月を具体的に記載します。保有資格や免許は、正式名称と取得年月を記載し、業務でどのように活かせるかを添えると良いでしょう。特に業務に関連性の高いものは強調すると効果的です。
Q: 役職がない場合や、閉店経験がある場合はどのように記載すれば良いですか?
A: 役職がない場合でも、担当した役割や主体的に取り組んだ業務内容を具体的に記載し、実績をアピールしましょう。閉店経験の場合は、その経験から何を学び、どのようなスキルを身につけたのかをポジティブに伝えることが重要です。
Q: 「本人希望欄」や「辞めた理由」で注意すべき点はありますか?
A: 「本人希望欄」は、譲れない条件や希望する働き方があれば具体的に記載しますが、あまり多く書くと選考に不利になる場合もあります。「辞めた理由」は、ネガティブな表現を避け、前向きな理由やキャリアアップのための転職であることを伝えるようにしましょう。