概要: 退職時に必要な離職票。歩合給やボーナス(賞与)がある場合、パート・アルバイトの場合で記入方法や注意点が異なります。この記事では、これらのケースにおける離職票の記入方法や、よくある疑問について詳しく解説します。
こんにちは!転職や退職を経験された皆さん、またはこれからされる皆さんにとって、「離職票」は非常に重要な書類です。
特に、営業職などで歩合給があったり、ボーナス(賞与)が支給されていたりする方は、離職票の記入方法に疑問や不安を感じるかもしれませんね。
離職票の記入を間違えてしまうと、失業手当の給付額が少なくなったり、受給期間が延びたりする可能性もあります。
この記事では、歩合給やボーナスがある場合の離職票の正確な記入方法と、知っておくべき注意点を分かりやすく解説します。読みやすいブログ記事形式で、必要な情報を網羅しているので、ぜひ最後までお読みください!
離職票とは?基本を理解しよう
離職票の役割と構成
離職票は、退職後に失業手当(基本手当)を受給するために必要不可欠な公的書類です。これがなければ、失業手当の申請はできません。
離職票は、具体的に「離職票-1」と「離職票-2」の2枚組で構成されています。「離職票-1」は雇用保険資格喪失通知書を兼ねており、主に失業手当の振込先口座などを本人が記入する欄があります。
一方、「離職票-2」には、退職理由、退職前の賃金、雇用保険の被保険者期間など、失業手当の支給額や期間を決定するための重要な情報が詳細に記載されます。
企業側には、従業員の退職日の翌々日から10日以内に離職票の発行手続きを行う義務があります。この期間内にハローワークへ必要書類を提出し、離職票が発行されるのを待つことになります。
離職票がなぜ重要なのか
離職票の記載内容は、あなたが失業手当を受け取る際の給付日数や給付額、さらには受給資格にまで直接影響を与えます。
例えば、賃金が過少に記入されていれば、受け取れる手当額が少なくなってしまいますし、退職理由の記載に誤りがあれば、給付開始時期が遅れたり、給付日数が短縮されたりする可能性もあります。
特に、歩合給やボーナスがあった方は、その金額が正しく賃金として算入されているかどうかが、手当額に大きく関わってきます。
失業手当は、退職後の生活を支える大切なセーフティネットですから、その給付を左右する離職票の情報を正確に理解し、必要に応じて確認することが非常に重要です。
離職票を受け取るまでの流れ
離職票は、退職者自身が直接発行するものではなく、企業(事業主)がハローワークを通じて発行するものです。
具体的な流れとしては、まず企業が退職者の退職日以降に、ハローワークへ「雇用保険被保険者離職証明書」を提出します。この際に、離職理由を確認できる書類(退職届、雇用契約書、就業規則など)の添付が必要です。
ハローワークは提出された離職証明書の内容を確認し、問題がなければ「離職票-1」と「離職票-2」を発行し、企業へ送付します。その後、企業から退職者の手元に離職票が郵送される、というのが一般的な流れです。
通常、退職から2週間程度で手元に届くことが多いですが、企業の対応状況やハローワークの混雑状況によって前後することもあります。なかなか届かない場合は、まず前職の会社の人事・労務担当者に確認してみましょう。
歩合給・ボーナス(賞与)がある場合の離職票記入のポイント
賃金に含まれるもの・含まれないもの
離職票に記入する「賃金」は、労働の対価として支払われたものが対象となります。これが失業手当の算定基礎となるため、非常に重要です。
具体的には、基本給(月給、日給、時給)はもちろん、休日手当、深夜手当、技能手当、住宅手当、通勤手当なども賃金に含まれます。特に、通勤手当は数ヶ月に一度まとめて支給される場合でも、月割計算して記入する必要があります。
そして、今回のテーマである「歩合給」も労働の対価として支払われるため、賃金に含まれます。
一方で、ボーナス(賞与)や祝い金などは、原則として賃金には含まれません。ただし、「3ヶ月以内の期間ごとに支払われる賃金」に該当するボーナス(例えば、年2回や3回支給される通常の賞与)は、「賃金に関する特記事項」欄にその支払日、名称、支給額を記載する必要があります。3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は該当しませんので注意が必要です。
その他、退職金(前払い退職金として毎月支給されるものは除く)、休業補償費、チップなどは賃金には含まれません。記入する賃金は、社会保険料や所得税が天引きされる前の「総支給額」である点も忘れないでください。
以下にまとめます。
賃金に含まれるもの | 賃金に含まれないもの |
---|---|
基本給(月給、日給、時給) | 退職金(前払いを除く) |
各種手当(休日、深夜、技能、住宅、通勤など) | 休業補償費 |
歩合給 | チップ |
ボーナス(3ヶ月以内の期間ごとに支払われるものは特記事項に記載) |
歩合給の正確な算出方法
歩合給は、労働の成果に応じて変動する賃金形態であり、その全額が労働の対価として賃金に含まれます。離職票の記入では、過去6ヶ月間の賃金が特に重要視されます。
歩合給の場合、毎月の支給額が大きく変動することが考えられます。そのため、企業側は、過去の給与明細や賃金台帳に基づいて、対象期間(通常は退職日以前の完全な6ヶ月間)における歩合給を含む総支給額を正確に集計する必要があります。
もし、月によって歩合給の割合や基準が変更されていた場合は、その変更も踏まえて計算しなければなりません。企業の人事・労務担当者は、給与計算システムやデータから正確な情報を抽出し、離職票-2の「賃金支払状況」欄に月ごとの賃金総額を記入します。
退職者側も、自身の給与明細を確認し、記載内容に誤りがないか照合できるように準備しておくことをお勧めします。
ボーナス(賞与)を正しく記入するコツ
ボーナス(賞与)の取り扱いが、歩合給と並んで最も複雑に感じられるかもしれません。原則として賃金には含まれませんが、「3ヶ月以内の期間ごとに支払われる賃金」に該当する場合は、例外的に記載が必要です。
これは、一般的な「年2回支給される夏季・冬季賞与」や「年3回支給される決算賞与」などがこれに該当する可能性が高いことを意味します。これらのボーナスは、失業手当の算定基礎には直接含まれませんが、「賃金に関する特記事項」欄に詳細を記載することで、ハローワークが個別の状況を正確に把握するために利用されます。
記載する際は、以下の情報を具体的に明記します。
- 支払日:ボーナスが支給された日付
- 名称:「夏季賞与」「冬季賞与」「決算賞与」など、支給されたボーナスの正式名称
- 支給額:社会保険料や所得税が天引きされる前の総支給額
もし、ボーナスが3ヶ月を超える期間ごとに支給されていた場合は、この特記事項欄に記載する必要はありません。ご自身の賞与がどちらに該当するか不明な場合は、前職の労務担当者やハローワークに直接確認することをおすすめします。
パート・アルバイトの場合の離職票記入例と注意点
パート・アルバイトも離職票は必要?
「パート・アルバイトだから離職票は関係ない」と思われがちですが、それは誤解です。パート・アルバイトの方でも、雇用保険の加入条件を満たしていれば、正社員と同様に離職票は必要となります。
雇用保険の加入条件は、一般的に「週の所定労働時間が20時間以上」であり、「31日以上の雇用見込みがあること」とされています。これらの条件を満たしていれば、雇用形態に関わらず雇用保険の被保険者となり、退職時には離職票が発行される対象となります。
離職票が発行されれば、失業手当の申請が可能です。もしご自身の加入状況が不明な場合は、給与明細で雇用保険料が控除されているかを確認するか、前職の会社の人事・労務担当者に問い合わせてみましょう。
もし雇用保険の加入条件を満たしていなかった場合は、離職票は発行されず、失業手当の受給資格もありません。</
時給・日給制の場合の賃金計算
時給制や日給制のパート・アルバイトの場合も、基本的な賃金計算方法は正社員と同じく、労働の対価として支払われた「総支給額」を記入します。
具体的には、基本となる時給や日給に加えて、交通費、残業手当、深夜手当など、すべての手当を含んだ金額を月ごとに集計します。
パート・アルバイトの方は、月によって勤務時間や日数が変動することが多いため、正確な賃金集計がより重要になります。特に、直近6ヶ月間の給与明細をしっかりと保管しておき、会社が記入した離職票の内容と照合できるようにしておくと安心です。
また、通勤手当が数ヶ月に一度まとめて支給される場合でも、月割計算して各月の賃金に含める必要があります。この点も正社員の場合と同様ですので、企業側は忘れずに対応しましょう。
離職理由の慎重な確認
パート・アルバイトの方にとって、離職理由の記入は特に慎重に行うべき点です。正社員と同様に、自己都合退職か会社都合退職かによって、失業手当の給付日数や給付開始時期が大きく変わります。
例えば、契約期間満了による退職で、更新を希望していたにもかかわらず更新されなかった場合などは、「特定理由離職者」に該当し、自己都合退職よりも手厚い給付を受けられる可能性があります。
しかし、単に「契約期間満了」とだけ書かれてしまうと、自己都合とみなされてしまうこともあります。そのため、退職理由が会社都合に近い「特定理由離職者」に該当すると思われる場合は、その旨を明確に記載し、必要に応じて企業側に訂正を依頼することも検討しましょう。
ご自身の雇用契約書、労働条件通知書、更新履歴などを確認し、客観的な事実に基づいた離職理由を記載することが大切です。</不明な点があれば、ハローワークで相談することも可能です。
離職票作成でよくある疑問を解決!Q&A
Q1: 離職票の内容に誤りがあったらどうすればいい?
もし離職票を受け取った後、内容に誤りがあることに気づいた場合は、速やかにハローワークと前職の会社に連絡し、訂正を依頼しましょう。
特に賃金や離職理由の誤りは、失業手当の給付額や給付期間に直接影響するため、放置してはいけません。ハローワークで失業手当の申請手続きを行う際に、窓口で誤りを指摘することも可能です。
訂正には、前職の会社が「雇用保険被保険者離職証明書」の訂正手続きを行い、再度ハローワークに提出するなどの手間と時間がかかります。そのため、間違いに気づいたらできるだけ早く対応することが重要です。ご自身の給与明細や雇用契約書など、客観的な資料を準備しておくと、スムーズな訂正に繋がります。
Q2: 企業が離職票を発行してくれない場合は?
企業には、従業員の退職後、一定期間内に離職票を発行する義務があります。
もし、退職から2週間以上経過しても離職票が届かない場合は、まず前職の会社の人事・労務担当者に連絡し、発行状況を確認してください。単に手続きが遅れているだけの可能性もあります。
それでも発行されなかったり、会社側が発行を拒否したりするような場合は、管轄のハローワークに相談しましょう。ハローワークは企業に対して離職票の発行指導を行うことができますし、最悪の場合、退職者自身が直接ハローワークに申請して発行を促すことも可能です。
離職票が発行されないと失業手当を受け取れませんので、諦めずにハローワークに相談することが大切です。</
Q3: 離職票の申請が遅れたらどうなる?
離職票の提出が遅れても、すぐに失業手当が受け取れなくなるわけではありませんが、受給開始が遅れることになります。
最も注意すべき点は、基本手当の「受給期間」です。基本手当は、原則として「離職日の翌日から1年間」という受給期間内に、所定給付日数分を受け取る必要があります。この1年という期間を超えてしまうと、たとえ残りの給付日数が残っていても、それ以上の手当は受け取れなくなってしまいます。
離職票の提出が遅れてハローワークでの手続きが滞ると、その分、受給期間が消費されてしまいます。特に、自己都合退職の場合は7日間の待期期間に加え、2ヶ月間の給付制限期間があるため、早めに手続きを済ませることが肝心です。
失業手当を最大限に活用するためにも、離職票を受け取ったら速やかにハローワークでの申請手続きを行いましょう。</
離職票の申請をスムーズに進めるために
退職前から情報を整理しよう
離職票の申請をスムーズに進めるためには、退職前から計画的に準備を進めることが非常に重要です。
まず、退職前には自身の給与明細(特に直近6ヶ月分は重要)、雇用契約書、就業規則などをしっかりと確認し、手元に保管しておきましょう。これらの書類は、離職票の内容をチェックしたり、万が一誤りがあった際に訂正を依頼したりする際の客観的な証拠となります。
また、ご自身の退職理由を明確にし、必要であれば退職届の控えなども保管しておくと良いでしょう。
退職に関する疑問や不安があれば、退職前に人事・労務担当者とのコミュニケーションを密に取り、不明な点を解消しておくことで、後の手続きがスムーズになります。早めの情報整理が、余計なトラブルを未然に防ぐ鍵となります。
企業担当者が押さえるべきポイント
企業側の人事・労務担当者は、離職票の作成においていくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
最も重要なのは、「退職日の翌々日から10日以内」という離職票の発行期限を厳守することです。この期限を過ぎると、企業側に遅延理由の提出が求められるだけでなく、退職者の失業手当受給開始が遅れる原因となります。
また、離職証明書を作成する際には、離職理由を確認できる書類(退職届、雇用契約書、就業規則、労働条件通知書など)を漏れなく添付することが求められます。
さらに、賃金計算の正確性を期すことは非常に重要です。特に歩合給やボーナス(賞与)の取り扱いについては、本記事で解説した内容を参考に、間違いのないよう慎重に集計・記入する必要があります。不明な点があれば、すぐにハローワークに確認し、最新の情報に基づいて対応するようにしましょう。
不明点はハローワークに相談する
離職票の記入や申請手続きは、個々のケースによって複雑になることがあります。
この記事で一般的な情報はお伝えしましたが、あなたの特定の状況に合わせた具体的なアドバイスが必要な場合もあるでしょう。特に、歩合給やボーナスが複雑に絡む場合や、退職理由に疑問がある場合などは、専門家であるハローワークに直接相談するのが最も確実な方法です。
ハローワークの職員は、最新の法律や通達に基づいて、あなたの疑問に答えてくれます。また、個別の事情に応じた手続きの案内や、必要書類に関するアドバイスも得られます。
少しでも不安や疑問を感じたら、ためらわずに最寄りのハローワークに問い合わせてみましょう。ウェブサイトでの情報提供も行われていますので、まずはそちらを確認してみるのも良いでしょう。スムーズな失業手当の受給のために、積極的に情報を収集し、専門機関を活用してください。
まとめ
よくある質問
Q: 離職票とは具体的にどのような書類ですか?
A: 離職票は、雇用保険の失業等給付(いわゆる失業保険)を受給するために必要な書類です。退職した事業主から交付され、ハローワークに提出することで、受給資格の確認や給付手続きが進められます。
Q: 歩合給やボーナス(賞与)は離職票のどこに記入しますか?
A: 歩合給やボーナス(賞与)は、離職票に記載される「賃金」の対象となります。離職票の「賃金」欄には、退職日から遡って一定期間(通常は6ヶ月)の賃金総額を記入します。歩合給やボーナスもこの期間に含まれる場合は、それらも含めた金額を合算して記入します。
Q: パート・アルバイトでも離職票はもらえますか?
A: はい、パート・アルバイトでも一定の要件(被保険者期間など)を満たしていれば離職票の交付を受けることができます。特に、離職日以前1年間に被保険者期間が11日以上ある月が6ヶ月以上ある場合などが該当します。
Q: 離職票の「基礎日数」とは何ですか?
A: 離職票における「基礎日数」とは、賃金計算の対象となった日数のことを指します。パート・アルバイトの場合、実労働日数や所定労働日数など、賃金の計算方法によって異なります。正確な基礎日数を把握することが重要です。
Q: 離職票の記入で扶養になっているかどうかは関係ありますか?
A: 離職票の記入自体に、扶養になっているかどうかが直接影響する項目はありません。ただし、失業等給付の受給期間中に扶養に入るかどうかは、給付額や税金などに影響する場合があります。これは離職票とは別の手続きとなります。