1. 【徹底解説】源泉徴収票の誤字・誤送付・不一致を解決!
  2. 源泉徴収票の誤字・誤送付:よくある原因と正しい対処法
    1. 誤字・誤送付の一般的な原因
    2. 発行前の誤りを発見した場合の対応(1月31日まで)
    3. 発行後の誤りを発見した場合の対応(2月1日以降)
  3. 源泉徴収票の合計が合わない?ズレが生じる理由と確認ポイント
    1. 合計金額が合わない主な原因
    2. ズレを発見した際の確認ポイント
    3. 不一致が引き起こす影響と解決策
      1. 従業員への影響
      2. 会社への影響
  4. 源泉徴収票を紛失・破損したら?代替手段と再発行手続き
    1. 源泉徴収票を紛失・破損した場合の一般的な対応
    2. 勤務先での再発行手続き
    3. その他の代替手段と注意点
      1. 代替手段
      2. 注意点
  5. 源泉徴収票の疑問を解決!Q&A
    1. Q1: 年末調整後に扶養家族が増減しました。どうすればいいですか?
    2. Q2: 会社を退職しました。源泉徴収票はいつもらえますか?
    3. Q3: ふるさと納税の控除限度額を知りたいのですが、源泉徴収票が手元にありません。どうすればいいですか?
      1. 代替手段
      2. 注意点と最善策
  6. 源泉徴収票のミスを防ぐためのチェックリスト
    1. 従業員側が確認すべきポイント
    2. 会社側が確認すべきポイント
    3. 源泉徴収票に関する年間スケジュールと注意点
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 源泉徴収票に誤字を見つけたらどうすればいいですか?
    2. Q: 源泉徴収票が誤って他の人に送付されてしまった場合は?
    3. Q: 源泉徴収票の支払金額や所得控除額の合計が合わないのですが、なぜですか?
    4. Q: 源泉徴収票に記載されている金額にズレがある場合、どうすればいいですか?
    5. Q: 源泉徴収票を紛失してしまいましたが、確定申告はできますか?

【徹底解説】源泉徴収票の誤字・誤送付・不一致を解決!

毎年冬から春にかけて、会社員にとって特に意識が高まる書類の一つが「源泉徴収票」です。これは1年間の所得と、そこから徴収された所得税額を証明する重要な書類であり、確定申告や各種手続きで必要となります。しかし、「源泉徴収票に誤りがある」「手元に届かない」「記載内容が給与明細と合わない」といったトラブルに見舞われることも少なくありません。

本記事では、源泉徴収票に関するよくあるトラブルと、その具体的な解決策を徹底解説します。誤りを発見した際の対処法から、紛失時の再発行手続き、さらにはミスを未然に防ぐためのチェックリストまで、最新の正確な情報に基づき分かりやすくご紹介します。源泉徴収票の疑問を解消し、スムーズな税務手続きを行いましょう。

源泉徴収票の誤字・誤送付:よくある原因と正しい対処法

誤字・誤送付の一般的な原因

源泉徴収票の記載内容に誤りや、誤った宛先への送付は、意外と頻繁に発生する問題です。その背景には、いくつかの共通する原因が挙げられます。まず、最も多いのは従業員情報の入力ミスです。氏名、住所、生年月日、マイナンバーなどの個人情報は、わずかなタイプミスでも大きな影響を及ぼします。特に年末調整の繁忙期には、多くの従業員の情報を短期間で処理するため、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。

次に、扶養控除等申告書の内容不備や提出漏れも大きな原因の一つです。従業員が誤った情報を記載したり、必要書類(生命保険料控除証明書など)の提出を忘れたりすることで、源泉徴収票の控除額が正しく反映されないことがあります。また、会社側のシステム連携ミスや、印刷時のエラーも考えられます。

誤送付に関しては、宛名間違いや封入ミスがほとんどです。個人情報を含む重要な書類であるため、取り扱いには細心の注意が必要ですが、ここでも繁忙期の人手不足や不注意が原因となることがあります。これらのミスは、従業員にとって税金の過不足だけでなく、個人情報の漏洩リスクにもつながりかねないため、早期発見と適切な対処が非常に重要です。会社側としては、入力時の複数人チェックや、システムによる自動照合機能の導入などが有効な対策となります。

発行前の誤りを発見した場合の対応(1月31日まで)

源泉徴収票は、原則として翌年1月31日までに従業員へ交付されますが、この発行前、または税務署への提出期限(1月31日)より前に誤りが見つかった場合は、会社内で年末調整の再調整・再計算が可能です。この期間であれば、比較的スムーズに訂正することができます。

具体的な訂正方法は、誤りの内容によって異なります。

  • 金額の間違い(例:給与額、控除額):該当箇所に二重線を引き、訂正印を押して正しい金額を記載します。修正液や修正テープの使用は認められていないため注意が必要です。
  • 扶養家族の変更(例:扶養親族の増減、配偶者控除の適用間違い):従業員にヒアリングを行い、増減の理由や変更日を確認。必要に応じて、新たに扶養控除等申告書などを回収し、担当者が内容を確認した上で修正を行います。
  • その他の変更(年収の誤り、保険料控除の漏れ、住宅ローン控除の適用忘れなど):従業員から再度情報を聴取し、提出された控除証明書や借入金残高証明書などの必要書類を確認して、正しい情報に修正します。

この期間内であれば、会社が従業員の代理で税務署に提出する「給与支払報告書」も修正できるため、従業員が確定申告を行う手間を省くことができます。正確な情報で源泉徴収票を発行することが、後の手間を省くことにつながります。

発行後の誤りを発見した場合の対応(2月1日以降)

源泉徴収票が従業員に交付された後、あるいは給与支払報告書の提出期限である翌年1月31日を過ぎてから誤りが発覚した場合、残念ながら会社側での年末調整のやり直し(修正・訂正)は原則としてできません。この時点では、すでに会社から税務署や市区町村へ情報が提出されているためです。

このようなケースでは、主に以下の2つの対応が必要となります。

  1. 従業員による確定申告

    従業員自身が、翌年の2月16日から3月15日までの期間に確定申告を行うことで、正しい税額に修正します。例えば、控除漏れがあった場合は、確定申告によって過払い分の税金が還付される可能性があります。会社は従業員に対し、誤りがある源泉徴収票の原本を渡した上で、確定申告が必要であることを案内することが重要です。

  2. 会社による税務署への提出書類の修正

    会社は、税務署に提出済みの法定調書(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表や個別の源泉徴収票)の訂正を行う必要があります。具体的には、国税庁の提供する「PCdesk」などのシステムを利用し、まず提出済みの誤った源泉徴収票を「取消(無効)」として処理し、その後、正しい内容の源泉徴収票を「訂正」として再提出する手順となります。この手続きは会社の義務であり、怠ると税務署からの指摘やペナルティの対象となることがあります。

税務署から年末調整の誤りについて指摘があった場合、企業は従業員に事情を確認し、申告内容を修正して再計算し、不足分の税金を納付する必要があります。発行後のミスは双方にとって大きな負担となるため、発行前の念入りな確認が非常に重要です。

源泉徴収票の合計が合わない?ズレが生じる理由と確認ポイント

合計金額が合わない主な原因

源泉徴収票に記載されている金額(支払金額、所得控除額など)が、自身の認識や給与明細書の合計額と合わないと感じた場合、いくつかの原因が考えられます。これらのズレは、多くの場合、申告漏れや情報反映の遅れによって生じます。

  • 扶養家族の増減や配偶者控除の漏れ:結婚や出産、配偶者の所得変更などにより、扶養親族の状況が変わったにもかかわらず、年末調整時に会社へ適切に申告できていないケースです。
  • 保険料控除の申告漏れ:生命保険料、地震保険料、社会保険料(国民年金保険料、国民健康保険料など)、iDeCoの掛け金など、控除対象となる保険料や掛金を支払っていても、年末調整時に証明書を提出し忘れたり、申告書への記載を誤ったりすることがあります。
  • 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の申告忘れ:住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で適用を受けることができます。しかし、必要書類(金融機関が発行する残高証明書など)の提出を忘れると、控除が適用されず、源泉徴収票の金額が合わなくなります。
  • 中途入社の場合、前職の源泉徴収票が未提出:年度途中に転職した場合、前職の源泉徴収票を新しい勤務先に提出しないと、正しく年間の所得や税額が計算されません。
  • 会社側の計算ミス:稀なケースですが、給与計算や各種控除額の計算において、会社側で入力ミスや計算ミスが発生している可能性もゼロではありません。

これらの原因により、源泉徴収票の金額が過少または過大に記載され、本来納めるべき税額とズレが生じることがあります。

ズレを発見した際の確認ポイント

源泉徴収票の合計額にズレを感じた場合、まずは慌てずに以下のポイントを確認してみましょう。

  1. 給与明細書との比較

    源泉徴収票の「支払金額」や「社会保険料等の金額」が、自身の給与明細書(1年間の合計)と一致するかどうかを確認します。特に社会保険料は、給与明細から徴収されている金額と合致しているか確認が必要です。

  2. 扶養控除等申告書の内容確認

    会社に提出した扶養控除等申告書の内容と、源泉徴収票の「控除対象配偶者の有無等」や「控除対象扶養親族の数」が一致しているかを確認します。家族構成に変更があった場合は特に注意深く確認しましょう。

  3. 控除証明書との照合

    年末調整時に提出した生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、iDeCoの払込証明書などと、源泉徴収票の「生命保険料の控除額」「地震保険料の控除額」「社会保険料等の控除額」が正しく反映されているかを確認します。控除額は上限があるため、支払額がそのまま控除額になるわけではありませんが、支払った金額が正しく申告されているかは重要です。

  4. 住宅ローン控除関係書類の確認

    住宅ローン控除を受けている場合、「住宅借入金等特別控除の額」が源泉徴収票に記載されているか、その金額が正しいかを確認します。金融機関から送付される残高証明書と照らし合わせましょう。

  5. 前職の源泉徴収票の確認(中途入社の場合)

    中途入社の場合は、前職の源泉徴収票が正しく現在の勤務先に提出され、その情報が反映されているかを確認します。源泉徴収票の「支払金額」には、前職と現職の合算額が記載されているはずです。

これらの確認を通じて、どこにズレが生じているのかを特定し、次の対処法へと進みます。

不一致が引き起こす影響と解決策

源泉徴収票の不一致は、単なる記載ミスにとどまらず、従業員と会社双方に様々な影響を及ぼす可能性があります。

従業員への影響

  • 税金の過不足:控除漏れがあれば税金を多く払いすぎ、逆に控除額が過大であれば税金が不足している状態になります。
  • 確定申告の手間:税金の過不足が生じた場合、従業員自身で確定申告を行う必要があり、余計な手間と時間を要します。還付金がある場合は嬉しいですが、追加納付が必要な場合は金銭的な負担も伴います。
  • その他の行政サービスへの影響:保育料の算定基準や、住宅ローンの審査、社会保障制度における所得区分など、源泉徴収票の情報は多岐にわたる行政サービスや私的契約に利用されます。誤った情報が反映されることで、予期せぬ不利益を被る可能性があります。例えば、ふるさと納税の控除限度額計算にも源泉徴収票の年収が重要となります。

会社への影響

  • 税務署からの指摘・ペナルティ:誤った源泉徴収票を提出し続けると、税務署から年末調整の誤りを指摘され、場合によっては過少申告加算税や延滞税といった罰金が科されるリスクがあります。これは企業の信頼性にも関わる問題です。
  • 訂正作業の手間:税務署からの指摘があった場合、会社は従業員への確認、申告内容の修正、再計算、不足分の税金納付といった一連の対応に追われることになります。

解決策としては、誤りが発覚した時期によりますが、源泉徴収票発行後の場合は、従業員自身が確定申告を行うのが基本です。特に住宅ローン控除が漏れている場合などは、確定申告を行うことで還付を受けられる可能性が高いです。会社は、税務署に提出済みの法定調書を訂正する義務があります。不一致は放置せず、速やかに対応することが重要です。

源泉徴収票を紛失・破損したら?代替手段と再発行手続き

源泉徴収票を紛失・破損した場合の一般的な対応

源泉徴収票は、確定申告や住宅ローンの審査、転職先の年末調整など、さまざまな場面で必要となる重要な書類です。もし紛失してしまったり、誤って破損してしまったりした場合は、まず冷静に、そして速やかに対応することが肝心です。

最初に取るべき行動は、勤務先(または以前の勤務先)の人事・経理担当部署に連絡を入れることです。企業には従業員から源泉徴収票の再発行依頼があった場合、それに応じる義務があります。これは所得税法によって定められているため、基本的にはどの企業でも対応してくれます。

再発行には、申請から交付までに時間がかかる場合があります。特に年末調整時期の前後や、確定申告が近づく時期は、依頼が集中し、通常よりも時間がかかる可能性もあります。そのため、必要となる時期が決まっている場合は、できるだけ早めに依頼するようにしましょう。確定申告の提出期限が迫っているなど、急ぎで必要な場合は、その旨を担当者に具体的に伝えることが重要です。また、退職している場合でも、前の勤務先に連絡して再発行を依頼できますのでご安心ください。

紛失や破損を防ぐためにも、源泉徴収票が交付されたら、すぐに必要な手続き(確定申告など)を済ませ、その後は安全な場所(書類保管ファイルやデジタルデータとしてバックアップ)に大切に保管しておく習慣をつけることをお勧めします。

勤務先での再発行手続き

勤務先に源泉徴収票の再発行を依頼する際の手続きは、企業によって多少異なりますが、一般的な流れは以下のようになります。

  1. 申請書の提出:多くの企業では、源泉徴収票再発行のための申請書が用意されています。氏名、従業員コード、再発行を希望する年度、再発行理由などを記入して提出します。
  2. 本人確認:個人情報保護の観点から、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)の提示を求められることがあります。
  3. 交付:申請内容と本人確認が完了すれば、通常は数日から1週間程度で再発行された源泉徴収票が交付されます。郵送での受け取りを希望する場合は、返信用封筒の同封を求められることもあります。

再発行される源泉徴収票は、通常、原本と同じフォーマットで、記載内容も全く同じものです。ただし、再発行であることが分かるように「再発行」の印が押される場合もあります。

また、近年ではマイナポータルを通じて源泉徴収票の電子データを受け取れる企業も増えています。日本年金機構が発行する公的年金等に係る源泉徴収票は、マイナポータルを通じて再交付申請が可能です。企業によっては電子データでの交付に対応している場合もあるため、依頼時に確認してみると良いでしょう。

もし、前の勤務先が再発行に応じてくれないなどの問題が発生した場合は、管轄の税務署に相談することも検討できます。しかし、そのようなケースは稀であり、ほとんどの企業は迅速に対応してくれます。

その他の代替手段と注意点

源泉徴収票の再発行には時間がかかる場合があり、緊急で情報が必要な場面もあるかもしれません。その際の代替手段と、利用における注意点を解説します。

代替手段

  • 給与明細書などからの概算

    確定申告やふるさと納税の控除限度額計算などで、一時的に年収の概算が必要な場合、過去1年分の給与明細書や賞与明細書を合計することで、おおよその年収を確認できます。ただし、源泉徴収票の「支払金額」には通勤手当などの非課税所得は含まれませんので、概算時には注意が必要です。また、年末調整による調整額などは反映されていないため、あくまで目安として利用し、正式な手続きには再発行された源泉徴収票を使用することをお勧めします。

  • 日本年金機構からの再交付

    公的年金等を受け取っている場合、日本年金機構が発行する「公的年金等の源泉徴収票」は、マイナポータルを利用して再交付申請が可能です。これは会社から発行されるものとは別物ですが、年金所得がある方には重要な書類です。

注意点

  • 正確性の問題:給与明細書からの概算は、源泉徴収票に記載される最終的な「支払金額」や「所得控除額」と完全に一致するわけではありません。特に年末調整による調整後の正確な金額とは異なる可能性があります。
  • 用途の限定:住宅ローンの申請や転職先の年末調整など、公式な手続きでは、原則として再発行された源泉徴収票の提出が求められます。代替手段はあくまで一時的な情報確認に留め、正式な手続きには再発行を待ちましょう。
  • 保管の重要性:源泉徴収票は、所得と納税額を証明する最も重要な書類の一つです。紛失・破損といった事態を避けるためにも、交付されたらすぐにコピーを取る、スキャンしてデータで保存するなど、複数箇所で安全に保管する習慣をつけましょう。

万が一の事態に備え、源泉徴収票は大切に管理することが何よりも重要です。

源泉徴収票の疑問を解決!Q&A

Q1: 年末調整後に扶養家族が増減しました。どうすればいいですか?

A1: 年末調整後に扶養家族の状況(結婚、出産、死亡、離婚、所得の変動など)に変更があった場合、対応は源泉徴収票の発行時期によって異なります。

もし源泉徴収票が発行される前、すなわち翌年1月31日までに変更が判明した場合は、会社に連絡して年末調整の再調整を依頼することができます。この期間であれば、会社が給与支払報告書を提出する前なので、会社内で修正を行い、正しい内容の源泉徴収票を交付してもらうことが可能です。

しかし、源泉徴収票が発行された後、または1月31日を過ぎてから変更が判明した場合は、会社側での年末調整のやり直しはできません。この場合、従業員自身が確定申告を行う必要があります。

  • 扶養家族が増えて控除が増える場合:税金を多く払いすぎている可能性が高いため、確定申告(翌年2月16日~3月15日)を行うことで、過払い分の税金が還付されます。例えば、年途中で配偶者が扶養に入ったが、年末調整で申告し忘れたケースなどが該当します。
  • 扶養家族が減って控除が減る場合:税金が不足している可能性が高いため、確定申告で追加納付が必要になることがあります。

会社側は、税務署に提出済みの法定調書(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)の訂正が必要になりますので、従業員から申告があった際は、その旨を伝える必要があります。従業員としては、変更があった際は速やかに会社に報告し、適切な対応方法を確認することが重要です。

Q2: 会社を退職しました。源泉徴収票はいつもらえますか?

A2: 会社を退職した場合、退職者にも源泉徴収票が交付されます。これは、その年の1月1日から退職日までの所得と、それまでに源泉徴収された所得税額を証明する重要な書類です。

所得税法第226条により、会社には退職後1ヶ月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。ただし、退職したのがその年の1月1日から12月31日の間で、かつその年に支払う給与等の総額が確定しない場合は、遅れて交付されることもあります。

退職後に源泉徴収票が必要となる主な場面は以下の通りです。

  • 転職先での年末調整:その年の途中で転職した場合、新しい勤務先で年末調整を行う際に、前職の源泉徴収票を提出する必要があります。これにより、前職と現職の所得を合算して年間の正しい税額が計算されます。
  • 確定申告:年内に再就職しない場合や、医療費控除などの理由で確定申告を行う場合にも源泉徴収票が必要です。
  • 住宅ローンの審査や各種手続き:金融機関や行政機関での手続きにおいて、所得証明として提示を求められることがあります。

もし退職後1ヶ月を過ぎても源泉徴収票が届かない場合は、まず前の勤務先に連絡して請求しましょう。それでも対応がない場合や、意図的に交付を渋るような場合は、管轄の税務署に相談することができます。税務署から会社へ指導が入ることで、交付されるケースがほとんどです。退職時に忘れずに住所変更なども会社に伝えておくことが、スムーズな受け取りにつながります。

Q3: ふるさと納税の控除限度額を知りたいのですが、源泉徴収票が手元にありません。どうすればいいですか?

A3: ふるさと納税の控除限度額は、個人の年収(所得)、家族構成、他の所得控除額などによって変動するため、正確な金額を知るには源泉徴収票に記載されている「支払金額」(=年収)が最も確実な情報となります。しかし、手元に源泉徴収票がない場合でも、いくつかの方法で概算を知ることができます。

代替手段

  • 給与明細書で概算する

    過去1年分の給与明細書と賞与明細書をすべて集め、それぞれの「総支給額」を合計することで、おおよその年収を計算できます。ただし、源泉徴収票の「支払金額」には通勤手当などの非課税所得は含まれませんので、概算時には注意が必要です。また、年末調整による調整額などは反映されていないため、あくまで参考値となります。

  • シミュレーションサイトの利用

    多くのふるさと納税サイトには、年収や家族構成などを入力するだけで控除限度額を試算できるシミュレーターが用意されています。給与明細書で概算した年収をもとに利用してみると良いでしょう。

注意点と最善策

これらの代替手段はあくまで概算であり、正確な控除限度額とは異なる可能性があります。特に、生命保険料控除や社会保険料控除など、源泉徴収票に記載される各種所得控除額が正確でないと、ふるさと納税の控除限度額もズレてしまいます。

したがって、最も確実な方法は、勤務先に源泉徴収票の再発行を依頼することです。正確な情報に基づいてふるさと納税を行うことで、控除上限額を超過して自己負担が増えるリスクを防ぎ、最大限のメリットを享受できます。再発行には時間がかかる場合があるため、計画的にふるさと納税を行う場合は、早めに源泉徴収票を確保しておくことが大切です。

源泉徴収票のミスを防ぐためのチェックリスト

従業員側が確認すべきポイント

源泉徴収票の誤りを未然に防ぐためには、従業員自身の意識と行動が非常に重要です。年末調整の時期には、以下の点を重点的に確認しましょう。

  • 扶養控除等申告書の正確な記入と期日までの提出:氏名、住所、生年月日、マイナンバーはもちろんのこと、扶養親族の氏名・生年月日・所得状況などを正確に記入し、会社が定める期日までに提出しましょう。変更があった場合は速やかに報告することが肝心です。
  • 控除証明書の一括提出:生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、iDeCoの払込証明書、国民年金保険料の控除証明書など、所得控除の対象となる証明書はすべて揃えて提出しましょう。特に年末に届くものもありますので、見落としがないように注意が必要です。
  • 住宅ローン控除の必要書類提出:2年目以降の住宅ローン控除を受ける場合は、金融機関から送付される「住宅借入金等特別控除証明書」と「年末残高証明書」を忘れずに提出しましょう。
  • 交付された源泉徴収票の内容確認:年末調整後に源泉徴収票が交付されたら、必ず記載内容を確認してください。特に「支払金額(年収)」、「社会保険料等の金額」、「生命保険料の控除額」「地震保険料の控除額」といった各控除額、「扶養親族の数」などが自身の認識と合っているか、隅々まで目を通しましょう。不明な点があれば、速やかに会社の人事・経理担当者に問い合わせてください。

これらのチェックを怠らないことで、後の確定申告の手間や税金の過不足を防ぐことができます。

会社側が確認すべきポイント

企業側が源泉徴収票のミスを防ぐためには、体系的なチェック体制と従業員への適切な情報提供が不可欠です。

  • 提出書類の徹底的な確認と照合:従業員から提出された扶養控除等申告書や各種控除証明書が全て揃っているか、記載内容に漏れや誤りがないかを厳重に確認しましょう。特に、入力データと書類の内容が一致しているか、複数人でのチェック体制を構築することが望ましいです。
  • 中途入社者の情報確認:年度途中に中途入社した従業員については、前職の源泉徴収票が提出されているか、その情報が正しく年末調整計算に反映されているかを重点的に確認します。未提出の場合は速やかに提出を促しましょう。
  • 計算ミス防止策:年末調整の計算は複雑であり、特に各種控除額の適用には細心の注意が必要です。年末調整計算ソフトを使用している場合でも、入力データの正確性を確保するための二重チェックや、ベテラン担当者による最終確認を行うことが重要です。
  • 源泉徴収票の印刷・交付時の厳重な管理:個人情報が記載された源泉徴収票の印刷、封入、送付時には、宛名間違いや誤送付といった人為的ミスが発生しないよう、細心の注意を払う必要があります。封入前の氏名と宛先の最終確認、誤送付防止のためのプロセス確立が不可欠です。
  • 従業員への情報提供とサポート:従業員が年末調整に必要な書類を確実に提出できるよう、事前に詳細な案内を行い、疑問点に対応できる体制を整えましょう。

これらの対策を講じることで、源泉徴収票の正確性を高め、従業員の信頼を得るとともに、税務上のリスクを低減できます。

源泉徴収票に関する年間スケジュールと注意点

源泉徴収票の発行や関連手続きには年間を通して特定の時期があり、それぞれのフェーズで注意すべき点があります。このスケジュールを理解しておくことで、ミスを未然に防ぎ、スムーズな対応が可能になります。

時期 主なタスク(会社側) 従業員側の注意点
11月~12月 年末調整の準備、必要書類の配布 扶養控除等申告書、保険料控除証明書などを
正確に記入・準備し、期限内に提出
12月~1月上旬 年末調整の計算、源泉徴収票の発行準備 自身の提出書類に不備がないか再確認
不明点は早めに会社に確認
翌年1月31日 源泉徴収票の従業員への交付期限
税務署・市区町村への提出期限(給与支払報告書含む)
交付された源泉徴収票の記載内容を速やかに確認
誤りがあればこの期限までに会社に申し出る
翌年2月1日以降 (原則)会社での年末調整修正は不可 源泉徴収票に誤りがある場合、
自身で確定申告が必要
翌年2月16日~3月15日 確定申告期間(医療費控除、住宅ローン控除初年度、
源泉徴収票の誤り訂正など)

特に重要なのは、翌年1月31日までの期間です。この期限を過ぎると、会社側での年末調整の修正が原則としてできなくなり、従業員自身が確定申告を行うという手間が増えてしまいます。

したがって、源泉徴収票が交付されたら、記載内容をその場で確認し、少しでも疑問点や誤りがないか最終チェックを行うことが、従業員・会社双方にとって最も効率的かつリスクの少ない対処法となります。もし、誤りを発見したら、この期限内に会社の人事・経理担当者に速やかに相談するようにしましょう。