概要: 源泉徴収票を郵送またはメールで受け取る方法について解説します。郵送の場合は簡易書留の利用、メールの場合は丁寧な依頼文の作成が重要です。受け取りに関する疑問も解消します。
源泉徴収票の郵送・メールでの受け取り方法と注意点
源泉徴収票は、年間の給与から差し引かれた所得税額などを証明する、極めて重要な公的書類です。年末調整や確定申告、住宅ローン申請、保育園の入園申請など、日常生活や重要な手続きの様々な場面でその提出が求められます。
会社勤めをしている方にとって、源泉徴収票の受け取りは年間の大きなイベントの一つと言えるでしょう。しかし、その受け取り方法や、紛失してしまった場合の再発行手続き、あるいは会社が倒産してしまった際の対応など、具体的な情報は意外と知られていないものです。ここでは、源泉徴収票を勤務先から郵送またはメールで受け取る具体的な方法と、その際に注意すべき重要なポイントについて、詳しく解説していきます。
この記事を通じて、源泉徴収票の確実な受け取りと適切な管理に役立つ情報を提供し、皆さんの税務関連手続きがスムーズに進むようサポートします。
源泉徴収票を郵送で受け取る方法とは?
会社からの郵送・交付の基本原則
源泉徴収票は、所得税法によって事業者に交付が義務付けられている重要な書類です。通常、会社員の場合は年末調整後に、退職者の場合は退職後1ヶ月以内を目安に、勤務先から従業員へと交付されます。
多くの場合、年末調整が完了した後の12月末から翌年1月にかけて、会社から直接郵送されるか、社内で手渡しで交付されるのが一般的です。郵送の場合、登録されている住所に送付されますので、引越しなどで住所が変わった際は速やかに会社に報告しておくことが非常に重要です。住所変更が間に合わず、旧住所に送られてしまうと、再発行の手間が生じるだけでなく、個人情報の漏洩リスクも伴います。
手渡しの場合、社内の担当部署(経理や人事)から配布されることが多いため、配布期間や受け取り場所を確認しておく必要があります。特に、退職した場合は会社との関係がなくなるため、郵送での受け取りが主となりますが、退職時に郵送先の住所確認や、いつ頃郵送されるかを確認しておくことをおすすめします。会社によっては、年末調整対象者には一括で送付し、中途退職者には個別に郵送するなどの対応の違いがあるため、自身の状況に応じた確認が必要です。また、法的な交付義務があるとはいえ、スムーズな受け取りのためには、会社が提示するスケジュールや手続きに協力する姿勢が求められます。
再発行の依頼手続きと連絡先
「源泉徴収票を受け取ったはずなのに見当たらない」「引越しで郵便物が届かなかった」「年末調整までに受け取れなかった」といった理由で源泉徴収票が手元にない場合、速やかに勤務先に再発行を依頼する必要があります。これは確定申告や年末調整、各種ローン申請などで提出が求められるため、早めの対応が肝心です。
再発行の依頼は、電話、メール、または会社の問い合わせフォームを通じて行います。依頼の際には、以下の情報を明確に伝えることが重要です。
- 氏名: フルネームを正確に伝えます。
- 従業員番号: 会社によっては必要な場合があります。
- 勤務期間: 依頼したい源泉徴収票の対象期間を明確にします(例: 令和5年分)。
- 依頼内容: 「源泉徴収票の再発行を希望する」旨を伝えます。複数枚必要な場合はその旨も記載。
- 連絡先: 再発行された源泉徴収票の送付先住所、連絡の取れる電話番号やメールアドレス。
依頼の際は、丁寧な言葉遣いを心がけ、会社の担当者の負担を考慮することが円滑な手続きにつながります。特にメールで依頼する場合は、件名を「源泉徴収票再発行のお願い(〇〇年分) 氏名:△△△△」のように具体的に記載し、本文には上記情報を簡潔にまとめましょう。再発行には数日から数週間かかる場合があるため、必要な時期に間に合うよう、余裕をもって依頼することが大切です。また、再発行の理由を簡潔に伝えることで、会社側も状況を把握しやすくなります。
会社が倒産した場合の対応策
最も困るケースの一つが、勤務先が倒産してしまい、源泉徴収票の再発行を依頼できない場合です。このような状況では、通常の手段で源泉徴収票を入手することが困難になります。しかし、安心してください。法律に基づいた適切な手続きを行うことで、源泉徴収票がない場合でも確定申告を行うことが可能です。
会社が倒産し、源泉徴収票の交付が見込めない場合は、所轄の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。この届出書は、税務署に対して「勤務先から源泉徴収票が交付されないため、確定申告に必要な情報を得られない」という事実を知らせるためのものです。
届出書には、勤務先の名称、所在地、給与支払期間、おおよその給与額や源泉徴収税額などを記載します。正確な金額が分からなくても、給与明細や通帳の記録など、手元にある資料を基にできる限り詳細に記載しましょう。届出書を提出すると、税務署は会社に対して源泉徴収票の交付を指導します。しかし、倒産している場合は発行が難しいことも多いため、税務署の指導にもかかわらず交付されない場合は、税務署の指示に従って「源泉徴収票不交付の届出書」と、手元にある給与に関する資料(給与明細書や預金通帳の入金記録など)を添付して確定申告を行います。
これにより、源泉徴収票がなくても確定申告は可能です。万が一に備え、給与明細は大切に保管しておく習慣をつけましょう。不明な点があれば、速やかに最寄りの税務署に相談することが賢明です。
源泉徴収票の郵送方法:簡易書留がおすすめ
なぜ簡易書留が推奨されるのか?
源泉徴収票は、個人の所得情報が詳細に記載された「個人情報」の塊であり、税務手続きにおいて不可欠な「重要書類」です。そのため、会社が従業員に郵送する場合や、再発行を依頼して会社から自宅へ送ってもらう場合、あるいは自身が会社に返信用封筒を送る場合など、郵送手段の選択は非常に重要になります。
数ある郵送方法の中で、源泉徴収票のような重要書類の送付には「簡易書留」が最も推奨されます。その最大の理由は、「追跡サービス」と「補償」が標準で付帯している点です。普通郵便では、郵便物の行方が分からなくなっても追跡することはできず、紛失した場合の補償もありません。しかし、簡易書留であれば、郵便局のウェブサイトで郵便物の配送状況をリアルタイムで確認できるため、配達途中でどこにあるのかが把握でき、万が一の紛失や誤配のリスクを大幅に低減できます。
さらに、簡易書留は原則として受取人の郵便受箱に投函されるのではなく、受取人への手渡しが基本となります。これにより、他人が勝手に受け取るリスクを防ぎ、確実に本人に届けることができます。もし不在の場合は不在票が投函され、再配達の依頼や郵便局窓口での受け取りが可能です。普通郵便に比べて切手代は高くなりますが、その費用は個人情報保護と確実な書類の受け渡しに対する安心料と考えるべきでしょう。
その他の安全な郵送方法と選び方
簡易書留以外にも、重要書類の郵送に適したサービスがいくつかあります。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて使い分けることが大切です。
まず「特定記録郵便」は、郵便物を差し出した記録が残り、追跡サービスも利用できますが、受取人の郵便受箱に投函されるため、手渡しではありません。簡易書留よりも料金が安く、受領印が不要なため、受け取り側が不在でも受け取れるというメリットがあります。ただし、紛失時の補償はありません。
次に「一般書留」は、簡易書留よりも高額な料金設定ですが、より手厚い補償(実損額500万円まで)と厳重な取り扱いが特徴です。非常に高額な金券や貴重品を送る際に利用されますが、源泉徴収票には過剰なサービスとなるでしょう。
また、「レターパック」も選択肢の一つです。レターパックには「レターパックプラス」(対面配達)と「レターパックライト」(郵便受箱投函)の2種類があり、専用封筒を購入すれば切手を貼る手間がなく、全国一律料金で送れます。レターパックプラスは追跡サービスがあり対面での受け渡しなので、簡易書留と同様の安心感があります。一方、レターパックライトは追跡サービスはあるものの郵便受箱投函なので、特定記録郵便に近い位置づけです。
これらの郵送方法の中から最適なものを選ぶ際は、「確実性(追跡・手渡し)」と「費用」、そして「緊急性」を考慮に入れると良いでしょう。源泉徴収票のように個人情報を含む重要書類の場合は、多少費用がかさんでも簡易書留やレターパックプラスのように「対面での受け渡し」が保証される方法を選ぶのが賢明です。
郵送時の封筒・宛名書きのポイント
源泉徴収票を郵送する際、封筒の選び方や宛名書きも非常に重要なポイントです。これらの細部にまで気を配ることで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズなやり取りが可能になります。
まず封筒の選び方ですが、一般的にA4用紙を三つ折りにするとぴったり収まる「長形3号」封筒が適しています。市販されている一般的な封筒で問題ありません。色の指定は特にありませんが、ビジネス文書として送る場合は白や薄い青色の封筒が好ましいでしょう。封筒の中身が透けないように、厚手のものや内側が加工されているものを選ぶと、より個人情報保護の観点から安心です。
宛名書きは、送付先の住所を正確に、楷書ではっきりと記載することが最も重要です。郵便番号、都道府県、市区町村、番地、建物名、部屋番号まで、間違いのないように確認しましょう。特に、アパートやマンションなどの集合住宅の場合は、建物名と部屋番号の記載漏れがないか二重にチェックしてください。送付先の会社名や担当部署名、担当者名も正確に記入します。会社宛の場合は「御中」、個人宛の場合は「様」を使い分けましょう。
自分の氏名と住所は、封筒の裏面に記載します。これも万が一、配達先に届かなかった場合に返送されるために不可欠な情報です。さらに、封筒の封入が完了したら、のり付けやテープなどでしっかりと封を閉じることも忘れずに行いましょう。個人情報保護のため、封筒の表に「親展」と朱書きすることで、関係者以外の開封を防ぐ効果も期待できます。
これらの細かな配慮が、源泉徴収票というデリケートな書類を安全かつ確実に届ける上で非常に大きな意味を持ちます。
源泉徴収票をメールで受け取るには?依頼方法と例文
メール交付サービスの現状とメリット
近年、デジタル化の進展に伴い、源泉徴収票の受け取り方法も多様化しています。以前は紙媒体での交付が主流でしたが、一部の企業では源泉徴収票をメールで送付するサービスを導入しており、従業員にとっての利便性が向上しています。
メール交付の主なメリットは以下の通りです。
- 迅速性: 紙の郵送に比べて、発行から受け取りまでのタイムラグがほとんどありません。
- ペーパーレス化: 紙の消費を抑え、環境保護に貢献できます。また、書類の保管場所を確保する必要がなくなります。
- 管理のしやすさ: PDF形式などで送付されるため、データとしてパソコンやクラウド上に保存し、いつでも必要な時に閲覧・印刷が可能です。紛失のリスクも低減します。
- 利便性: 確定申告などで電子申告(e-Tax)を利用する際に、データを取り込みやすくなります。
このサービスは、主に給与計算システムや人事システムと連携して提供されており、従業員は事前にシステムへの登録やメールアドレスの認証を行う必要があります。しかし、まだ全ての企業が対応しているわけではなく、利用できる対象者や年度、機能に制限がある場合もあります。例えば、中途退職者には郵送のみ、といった企業も存在します。導入されている場合は、会社から案内があるはずですので、見落とさないようにしましょう。
メールでの依頼方法とセキュリティ対策
源泉徴収票のメール交付サービスを利用するには、まず会社がこのサービスを提供しているかを確認し、提供されている場合はその利用方法に従って依頼する必要があります。
依頼の際には、通常、人事部や経理部に問い合わせる形になります。会社の指示に従い、専用のウェブサイトやメールフォームから申請するか、メールで直接依頼します。メールで依頼する場合は、件名を「源泉徴収票のメール交付希望(〇〇年分)」のように具体的に記載し、本文には氏名、社員番号、連絡先、希望する源泉徴収票の年度を明確に伝えます。この際も、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
メールで個人情報を含む重要書類を送付するにあたり、セキュリティ対策は最重要課題となります。多くの企業では、源泉徴収票のPDFファイルをパスワードで保護して送付します。パスワードは別のメールで送られてくるか、事前に登録した携帯電話番号にSMSで送信されるなど、セキュリティを強化するための工夫が凝らされています。パスワードの受け取り方法を事前に確認しておくことは必須です。
また、従業員側も、送られてきたメールの差出人アドレスが会社の正式なものであるかを確認し、不審なメールや添付ファイルは開かないなど、フィッシング詐欺やマルウェア感染に対する警戒を怠らないようにしましょう。パスワード付きであっても、安易に情報漏洩のリスクを負うべきではありません。会社のシステム対応状況やセキュリティポリシーを理解し、適切に利用することが大切です。
依頼メールの書き方と例文
源泉徴収票のメール交付を依頼する際のメールは、簡潔かつ明確に、そして丁寧な言葉遣いで作成することが大切です。以下に例文を示します。
件名: 源泉徴収票のメール交付希望について(令和〇年分)/〇〇〇〇(氏名)
本文:
〇〇部 〇〇様(またはご担当者様)
いつもお世話になっております。〇〇部に所属しております〇〇〇〇です。
この度、令和〇年分の源泉徴収票について、メールでの交付を希望させていただきたく、ご連絡いたしました。
お忙しいところ恐縮ですが、メールでの交付が可能でしたら、ご対応いただけますと幸いです。
つきましては、お手数をおかけいたしますが、以下の情報をご確認いただけますでしょうか。
- 氏名:〇〇〇〇
- 社員番号:〇〇〇〇(不明な場合は記載不要)
- 対象年度:令和〇年分
- 送付希望メールアドレス:xxxxxx@example.com (このメールアドレスで問題ありません)
貴社のメール交付サービスがパスワード保護に対応している場合、パスワードの受け取り方法についてもご教示いただけますと幸いです。
お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
署名:
〇〇〇〇(氏名)
〇〇部
電話番号:000-0000-0000
メールアドレス:xxxxxx@example.com
上記の例文を参考に、自身の状況に合わせて適宜修正してください。特に、件名に氏名と依頼内容を明記することで、担当者が一目で内容を把握しやすくなります。本文では、所属部署や氏名を述べた後、具体的な依頼内容(何年分の源泉徴収票をメールで受け取りたいか)を明確に伝えます。必要に応じて社員番号や送付希望メールアドレスなどを記載し、「パスワード保護の有無や受け取り方法」についても尋ねておくと、二度手間を防げます。最後に、丁寧な締めの言葉と署名で締めくくりましょう。返信が来ない場合は、改めて状況を確認することも忘れずに行ってください。
源泉徴収票の返送に必要な封筒と切手の費用
返信用封筒の準備とマナー
源泉徴収票の再発行を会社に依頼した場合や、特別な事情で会社に書類を送り、その返送を求める際には、「返信用封筒」を同封するのが一般的なマナーです。これにより、会社側の手間を省き、スムーズな手続きを促すことができます。
返信用封筒の準備にはいくつかのポイントがあります。
- 封筒の種類: 源泉徴収票はA4サイズなので、三つ折りにして収まる「長形3号」封筒が最も適しています。会社から送られてくる場合もこのサイズが多いです。
- 宛名書き: 返信用封筒には、自分の住所と氏名を宛名として記載します。この際、自分の名前の後に「行」または「宛」と書き、相手が返送する際に「様」に訂正しやすいように配慮するのがビジネスマナーです。
- 切手の貼り付け: 忘れずに必要な額の切手を貼り付けておきましょう。切手が貼られていないと、会社側に費用負担を強いることになり、失礼にあたります。切手代については後述します。
- 同封方法: 郵送する封筒に入れる際は、返信用封筒を折り曲げても問題ありませんが、受取人が開けやすいように、折り目に沿って丁寧に折り、他の書類と一緒に整頓して入れましょう。封筒の向きも揃えると親切です。
これらの準備をしっかり行うことで、会社への配慮を示し、迅速な対応を期待できます。特に重要な書類のやり取りでは、相手に手間をかけさせない気遣いが、円滑なコミュニケーションの鍵となります。
切手代の目安と郵送方法による違い
返信用封筒に貼る切手代は、郵便物の重さと選択する郵送方法によって異なります。源泉徴収票1枚だけであれば軽量ですが、他に書類を同封する場合や、郵送方法にこだわりたい場合は、注意が必要です。
基本的な切手代の目安は以下の通りです(2024年現在の料金を参考にしています)。
- 定形郵便物(長形3号封筒の場合):
- ~25gまで: 84円
- 25g~50gまで: 94円
源泉徴収票1枚であれば通常25g以下に収まるため、84円切手で十分です。
- 簡易書留:
- 基本料金(上記定形郵便物の料金) + 簡易書留料金 320円
例えば、84円切手+320円で、合計404円となります。簡易書留は追跡サービスと損害補償が付くため、重要書類の郵送に最も推奨される方法です。もし、会社側が簡易書留で返送してくれることを期待するなら、返信用封筒にも簡易書留分の切手を貼って同封するか、その旨を依頼書に明記して費用を負担する意思を示す必要があります。
- 特定記録郵便:
- 基本料金(上記定形郵便物の料金) + 特定記録料金 160円
例えば、84円切手+160円で、合計244円となります。記録が残り追跡はできますが、手渡しではなく郵便受け投函です。簡易書留よりは安価で、最低限の記録を残したい場合に選択肢となります。
複数の書類を同封する場合や、厚みが出る場合は50gを超える可能性もあります。不安な場合は、郵便局の窓口で重さを計ってもらうか、日本郵便のウェブサイトで料金を確認しましょう。安全性を重視するなら、少し高額になっても簡易書留分の切手を貼っておくことをおすすめします。
封筒への同封・送付時の注意点
返信用封筒を同封して源泉徴収票の再発行を依頼する際には、いくつかの注意点を押さえることで、より確実かつスムーズな手続きが期待できます。
まず、個人情報保護への配慮です。返信用封筒の宛名に自分の住所氏名を書いた場合、その情報が会社に知られることになります。これは通常問題ありませんが、もし不安がある場合は、自分の氏名の上に「親展」と朱書きで記載することで、開封者を限定するよう促すことができます。
次に、会社が指定する書式や同封物の確認です。再発行依頼書や本人確認書類のコピーなど、会社から別途提出を求められる書類があるかもしれません。返信用封筒を同封する前に、これらの必要書類を全て揃え、間違いなく同封されているかをチェックリストなどで確認しましょう。依頼書には、どの年度の源泉徴収票が必要か、何枚必要かなどを具体的に記載します。
また、郵便局で手続きを行う際は、送付記録を残すためにも、レシートなどを受け取っておくことをおすすめします。特に簡易書留などで送る場合は、控えを大切に保管し、追跡番号で配送状況を確認できるようにしておきましょう。万が一のトラブルが発生した際に、いつ、どのような方法で送ったかの証明になります。
最後に、封筒を封入する際は、しっかりと糊付けまたはテープで封を閉じることが重要です。輸送中に中身が飛び出したり、個人情報が漏洩したりするリスクを防ぎます。これらの細かな注意点を守ることで、源泉徴収票のような重要書類のやり取りを安心して行えるでしょう。
源泉徴収票の受け取りに関するよくある質問
源泉徴収票の発行時期と確認方法
源泉徴収票の発行時期は、在職中の方と退職された方で異なります。これらを把握し、必要な時期にスムーズに受け取れるように準備しておくことが大切です。
在職中の従業員の場合、通常、年末調整が完了した後、12月末から翌年の1月末にかけて発行・交付されるのが一般的です。多くの企業では、12月または1月の給与明細と一緒に手渡しされたり、郵送されたりします。これは、年末調整の事務手続きが年内または年明けに完了するためです。会社によっては、社内システムを通じて電子データで確認できる場合もあります。発行時期は会社ごとに異なるため、不安な場合は人事部や経理部に直接問い合わせて確認するのが確実です。社内ポータルサイトや掲示板などで案内されていることもあるので、定期的に確認する習慣をつけましょう。
一方、退職された方の場合、退職後1ヶ月以内に源泉徴収票が交付されることが所得税法で義務付けられています。この期間はあくまで目安であり、会社の事務処理状況によっては多少前後することもあります。退職時に会社と源泉徴収票の送付先住所や発行時期について確認しておくことが、後のトラブルを防ぐ上で非常に重要です。もし1ヶ月を過ぎても届かない場合は、速やかに前の勤務先に連絡を取り、状況を確認しましょう。催促する際は、丁寧な言葉遣いを心がけ、氏名と退職時期を明確に伝えることがスムーズな対応につながります。
いずれの場合も、源泉徴収票は確定申告などの重要な手続きで必要となるため、発行時期を事前に確認し、余裕をもって受け取れるように準備しておくことが賢明です。
電子交付とマイナポータル連携について
近年、税務手続きのデジタル化が進む中で、源泉徴収票の受け取り方法も進化しています。「電子交付」は、源泉徴収票を紙ではなく電子データ(PDFなど)で受け取る方法を指し、すでに多くの企業が導入を進めています。この方法の最大のメリットは、ペーパーレス化による環境負荷の軽減と、データでの管理のしやすさです。
さらに進んだ形として注目されているのが、「マイナポータル連携」です。マイナポータルとは、政府が運営するオンラインサービスで、自分の行政手続きに関する情報を一元的に確認できる個人専用のサイトです。このマイナポータルを通じて、源泉徴収票を電子データで受け取ることが可能になります。
マイナポータル連携の主なメリットは以下の通りです。
- 確定申告の簡素化: e-Taxで確定申告を行う際に、マイナポータルから源泉徴収票のデータを自動的に取り込むことができるため、入力の手間が省け、入力ミスも防げます。
- 書類管理の手間削減: 紙の源泉徴収票を保管する必要がなくなります。
- 情報の一元管理: マイナポータル上で、他の税金情報や社会保険料情報など、さまざまな行政情報をまとめて確認できるようになります。
ただし、マイナポータル連携を利用するには、マイナンバーカードの取得と、マイナポータルへのログイン、そして勤務先がこのサービスに対応している必要があります。すべての企業が対応しているわけではないため、利用を検討する場合は勤務先の人事・経理担当部署に確認しましょう。また、初回設定には少々手間がかかるかもしれませんが、一度設定してしまえば、以降の確定申告が格段に楽になるという大きなメリットがあります。
源泉徴収票の保存期間と重要性
源泉徴収票は、単なる給与証明書ではありません。それは個人の所得と納税状況を証明する、極めて重要な税務上の書類です。そのため、受け取ったらすぐに捨てたりせず、適切に管理・保存することが義務付けられています。
一般的に、源泉徴収票の保存期間は、税法上「7年間」が推奨されています。これは、税務署による税務調査の対象期間が7年とされていることによるものです。もちろん、すぐに税務調査が入るわけではありませんが、過去の所得状況について確認を求められた際に、迅速に提示できるよう準備しておく必要があります。
源泉徴収票が重要である理由は多岐にわたります。
- 確定申告: 年末調整を受けられなかった場合や、医療費控除などの控除を受けるために確定申告を行う際に必須です。
- 住宅ローン・自動車ローン等の審査: 金融機関が融資の審査を行う際、返済能力を測るために所得の証明として提出を求められます。
- 転職・再就職: 新しい職場に提出を求められる場合があります。
- 保育園・学童保育の入園申請: 所得に応じた保育料の算定のために提出が必要な場合があります。
- 公営住宅の入居申請: 所得制限がある場合に、所得証明として提出を求められます。
これらの重要な場面で源泉徴収票が必要になった際に、手元にないとなると、再発行の手続きに時間がかかり、手続きが遅延する原因となります。紙媒体で受け取った場合は、ファイルボックスやクリアファイルに入れて、紛失しないよう大切に保管しましょう。電子データで受け取った場合も、パソコンの特定のフォルダに保存したり、クラウドストレージにバックアップを取るなど、適切に管理することが重要です。万が一の紛失に備え、コピーを取っておくのも良い方法です。源泉徴収票の適切な管理は、将来的なトラブルを避ける上で不可欠な習慣と言えるでしょう。
まとめ
よくある質問
Q: 源泉徴収票を郵送で受け取るには、どのような方法がありますか?
A: 会社によっては、返信用封筒と切手を送ることで郵送してもらえる場合があります。直接会社に受け取りに行くことも可能です。
Q: 源泉徴収票の郵送には、どのような封筒が適していますか?
A: 個人情報が含まれるため、封筒に「重要」「親展」などの記載をするとより丁寧です。また、特定記録郵便や簡易書留を利用すると、郵便物の追跡が可能で安心です。
Q: 源泉徴収票をメールで受け取ることは可能ですか?
A: 会社によっては、メールでの送付に対応している場合があります。まずは社内の担当者に確認してみましょう。メールで依頼する場合は、件名や本文を丁寧に作成することが大切です。
Q: 源泉徴収票をメールで依頼する際の例文を教えてください。
A: 「〇〇(氏名)です。源泉徴収票のご送付をお願いしたく、ご連絡いたしました。お忙しいところ恐縮ですが、メール添付でのご対応は可能でしょうか。もし難しい場合は、郵送でのご対応をお願いできますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。」といった内容で依頼できます。
Q: 源泉徴収票の返信用封筒に貼る切手の料金はいくらですか?
A: 通常、定形郵便物の料金(84円~)に、特定記録郵便(240円~)や簡易書留(320円~)の料金を加算した金額になります。封筒のサイズや重さによって変動するため、事前に郵便局で確認することをおすすめします。