退職金いくら？平均額・計算方法・早見表を徹底解説！

長年勤め上げた会社を退職する際に受け取れる「退職金」。老後の生活設計を考える上で非常に重要な要素ですが、「一体いくらもらえるのか？」「どうやって計算されるのか？」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、2024-2025年の最新情報を基に、退職金の平均額から複雑な計算方法、さらには手取り額に影響する税金まで、退職金に関するあらゆる疑問を徹底的に解説します。あなたの退職金がいくらになるのか、一緒に見ていきましょう。

退職金の平均額はいくら？年代・勤続年数・性別・企業規模で比較

退職金の平均額は、勤続年数、企業規模、退職理由など、様々な要因によって大きく変動します。ここでは、統計データに基づき、年代・勤続年数・性別・企業規模別の平均額を比較し、ご自身の状況に近いケースを把握できるよう解説します。

定年退職者の平均額の実態と変動要因

定年退職者の退職金は、長年の功績に対する慰労金として、最も高額になる傾向があります。近年のデータによると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の場合、大学・大学院卒では約1,896万円～2,261万円、高校卒では約2,145万円（または約1,896万円）という調査結果が見られます。このように出典によって金額に幅があるのは、調査対象の企業規模や業種、調査年度の違いによるものです。

近年、退職金制度の見直しや年功序列制度の希薄化により、全体として退職金の平均額は減少傾向にあると言われています。しかし、企業によっては確定給付企業年金や確定拠出年金（DC）などの制度と併用して、より手厚い退職金を用意している場合もあります。そのため、ご自身の会社の退職金規程をしっかりと確認することが重要です。また、勤続年数が20年未満での退職や、早期退職制度の利用など、定年以外の退職ではこの平均額よりも低い金額になることが一般的です。

企業規模による退職金の格差を徹底分析

退職金の平均額を大きく左右する要因の一つが、企業の規模です。一般的に、大企業と中小企業では退職金額に顕著な差が見られます。

具体的には、大学卒で定年退職した場合、大企業では平均約2,230万円というデータがある一方で、中小企業では平均約1,092万円と、約半額程度の水準になることが多いようです。この格差が生じる背景には、大企業の方が福利厚生制度が充実しており、退職金規程も手厚く設定されている傾向があるためです。

中小企業の場合、財務体力や事業継続性への配慮から、大企業のような高額な退職金を用意するのが難しいケースも少なくありません。しかし、中小企業には「中小企業退職金共済（中退共）」という制度があり、これを利用して従業員の退職金準備を行う企業も増えています。中退共は、企業が掛金を拠出し、従業員が退職する際に中退共から直接退職金が支払われる仕組みです。企業規模による格差があることを理解しつつ、ご自身の勤務先の制度がどのようになっているかを確認することが大切です。

勤続年数・退職理由が平均額に与える影響

退職金の額は、勤続年数と退職理由によっても大きく変動します。最も基本的な考え方として、勤続年数が長ければ長いほど退職金額は増加する傾向にあります。多くの企業では、退職金規程の中で勤続年数に応じた支給率や係数を設けており、例えば10年勤続と30年勤続では退職金が数倍以上異なることも珍しくありません。

また、退職理由も重要な要素です。一般的に、「自己都合退職」よりも「会社都合退職」の方が、退職金額が高くなる傾向にあります。これは、会社都合退職が企業の経営上の都合や倒産など、従業員自身の意思とは関係なく退職せざるを得ない状況であるため、企業がより手厚い配慮をするためです。自己都合退職の場合、勤続年数が短いと退職金が支給されないケースや、大幅に減額されるケースも存在します。例えば、新卒で入社し数年で自己都合退職した場合、退職金規程があっても支給対象外となったり、ごくわずかな金額しか支払われないこともあります。自分の退職がどちらの理由に該当するのか、そして会社の規程ではどう扱われるのかを事前に確認しておくことが賢明です。

退職金の計算方法を種類別に解説：自己都合、会社都合、中小企業退職金共済

退職金の計算方法は、企業が採用している制度によって様々です。ここでは、主要な計算方式から、自己都合・会社都合による違い、中小企業退職金共済の仕組みまで、具体的な計算方法を解説します。

一般的な退職金の計算方式を理解する

企業が退職金を計算する際、主に以下の4つの方式が用いられます。ご自身の会社の制度がどのタイプに該当するかを知ることで、退職金の概算を立てやすくなります。

1. 定額方式: 勤続年数のみに基づいて退職金額を決定する方法です。例えば、「勤続10年で100万円、勤続20年で300万円」など、あらかじめ勤続年数に応じた定額が定められています。計算がシンプルで分かりやすい反面、個人の功績や給与水準が反映されにくい点が特徴です。
2. 基本給連動型: 最も広く採用されている方式の一つで、退職時の基本給と勤続年数を基に計算されます。「退職時の基本給 × 支給率（または勤続年数係数）」といった計算式が一般的です。基本給が高いほど、また勤続年数が長いほど退職金額が高くなるため、年功序列型の賃金体系を持つ企業でよく見られます。
3. ポイント制方式: 年齢、資格、役職、人事考課（評価）点などに基づいてポイントを算出し、その累積ポイントに1点あたりの単価を乗じて退職金額を算出する方法です。個人の成果や企業への貢献度をより詳細に反映させることができるため、能力主義や成果主義を導入している企業で採用される傾向があります。
4. 別テーブル制: 基本給とは直接関係なく、勤続年数に応じた基準額と役職係数、退職理由などを定めた独自のテーブル（表）を作成し、それに従って計算する方法です。基本給が変動しても退職金の計算基準が安定しているという特徴があります。

これらの計算方式は、企業の就業規則や退職金規程に明記されていますので、必ず確認するようにしましょう。

自己都合と会社都合で計算方法はどう変わる？

退職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって、退職金の計算に用いる支給率や係数が異なる場合があります。これは、多くの企業が退職金規程において、退職理由に応じた調整を設けているためです。

• 自己都合退職の場合: 従業員自身の意思で退職する場合であり、会社都合退職と比較して、支給率が低く設定されたり、勤続年数が短い場合は支給されないという規定になっていることがあります。特に、勤続3年未満など、入社して間もない期間での自己都合退職では、退職金が発生しないか、ごく少額に留まるケースが一般的です。これは、企業が従業員を育成するためにかけたコストなどを考慮しているためと考えられます。
• 会社都合退職の場合: 企業の都合による解雇、倒産、事業所の閉鎖、希望退職募集に応じた退職など、従業員自身の意思に基づかない退職を指します。この場合、企業は従業員に対する補償の意味合いから、通常の自己都合退職よりも高い支給率を適用したり、特別加算を行うことがあります。例えば、基本給連動型であれば、同じ勤続年数でも会社都合の方が支給率が数割増しになる、といったケースが見られます。

退職を検討する際は、ご自身の退職理由が会社の規程でどのように扱われるのかを事前に確認し、退職金シミュレーションを行うことが重要です。不明な場合は、会社の担当部署（人事部など）に問い合わせて確認するようにしましょう。

中小企業退職金共済（中退共）の仕組みと計算

中小企業に勤務する従業員の退職金を確保するための制度として、「中小企業退職金共済（中退共）」があります。これは、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する公的な制度で、多くの中小企業で退職金制度の柱として導入されています。

中退共の仕組みはシンプルです。企業が従業員に代わって毎月掛金を中退共機構に納付し、従業員が退職した際に、中退共機構から直接従業員に退職金が支払われます。企業は掛金を全額損金として処理できるため、税制上のメリットも享受できます。

退職金の計算は、企業が拠出した「掛金月額」と「納付月数（勤続年数）」に基づいて行われます。中退共のホームページでは、「基本退職金額表」が公開されており、これによって掛金月額と納付月数に応じた退職金の基本額を確認することができます。例えば、掛金月額20,000円で20年（240月）納付した場合、基本退職金額は4,000,000円となります。ただし、この表はあくまで基本額であり、制度加入時期や運用状況によっては「付加退職金」が加算される場合もあります。中退共制度に加入している企業にお勤めの方は、ご自身の掛金月額と勤続年数を確認し、早見表を参考に概算額を把握しておくと良いでしょう。

退職金早見表でチェック！勤続年数別・役職別の平均退職金額

退職金の「早見表」は、あくまで一般的な目安を示すものですが、自分の退職金がどのくらいになるのかをざっくりと把握する上で非常に役立ちます。特に勤続年数や役職といった要素は、退職金額に大きく影響するため、これらの情報と照らし合わせながら早見表をチェックしてみましょう。

勤続年数別の退職金相場を把握する

退職金の金額は、何よりも勤続年数が長いほど高くなる傾向にあります。例えば、勤続5年と勤続30年では、その差は歴然です。多くの企業では、勤続年数が短いうちは退職金の支給率が低く設定されており、年数が長くなるにつれて段階的に支給率が上昇していく仕組みを採用しています。

中小企業退職金共済（中退共）の基本退職金額表を参考にすると、掛金月額が一定でも、納付月数が10年の場合と30年の場合では、支給される基本退職金額に大きな差があることが分かります。例えば、毎月2万円の掛金を拠出している場合、勤続10年（120月）では約100万円程度ですが、勤続30年（360月）では約720万円となり、およそ7倍以上の差が生じます。もちろん、これは中退共の一例であり、各企業の制度によって具体的な金額は異なりますが、勤続年数が長ければ長いほど退職金が増加するという傾向は多くの企業で共通しています。自身の勤続年数が現在何年で、あと何年勤めるとどれくらい増えるのかを概算してみることで、キャリアプランの参考にできるでしょう。

役職が退職金に与える影響と早見表の活用

退職金の金額は、勤続年数だけでなく、役職も重要な決定要因となります。特に「別テーブル制」や「ポイント制」を採用している企業では、役職が高いほど退職金が高額になる傾向が顕著です。

これは、役職手当が基本給に含まれることで基本給連動型の退職金も増加するケースや、役職に応じた「役職係数」や「役職ポイント」が退職金計算に加算されることによるものです。例えば、課長職で退職する場合と部長職で退職する場合では、同じ勤続年数であっても退職金が数十万円から数百万円単位で差が出ることもあります。自身の会社に退職金早見表がない場合でも、就業規則や退職金規程を確認することで、役職別の支給率や計算式を把握することが可能です。もし「役職が上がれば退職金も増える」という仕組みが明示されているのであれば、キャリアアップを目指す動機の一つにもなり得るでしょう。ただし、早見表はあくまで平均値や制度上のモデルケースを示すものであり、実際の支給額は個別の評価や企業業績によって変動する可能性もあるため、注意が必要です。

退職金早見表の読み方と注意点

退職金早見表を活用する際には、その読み方と注意点を理解しておくことが重要です。最も一般的に参照されるのは、前述の「中小企業退職金共済（中退共）の基本退職金額表」でしょう。この表は、掛金月額と納付月数を縦軸と横軸にそれぞれ取り、交差するセルに基本退職金額が記載されています。例えば、「掛金月額が2万円で、納付月数が240月（20年）」であれば、その交点に記載された金額が基本退職金となります。

しかし、早見表はあくまで「目安」であることを認識しておく必要があります。特に以下の点に注意しましょう。

• 付加退職金: 中退共の基本退職金額表には、掛金運用益などから支給される「付加退職金」は含まれていません。実際の支給額は、付加退職金が加算されることで表の金額よりも高くなる可能性があります。
• 個別の企業規程: 各企業は独自の就業規則や退職金規程を持っています。早見表はあくまで一般的な傾向や特定制度の例を示すものであり、最終的な退職金額は勤務先の規程に基づいて決定されます。
• 制度の有無: そもそも退職金制度自体がない企業も存在します。入社時に制度の有無や内容を確認しておくことが最も確実です。
• 経済状況の影響: 企業年金制度などでは、運用状況によって支給額が変動する可能性もあります。

早見表はあくまで参考として活用し、具体的な金額については、勤務先の人事部や担当部署に直接確認することが最も正確な情報を得る方法です。

手取りはいくら？退職金にかかる税金と控除

退職金は高額になることが多いため、「手取り額がどれくらいになるのか？」は誰もが気になる点です。退職金には税金がかかりますが、通常の給与所得とは異なる「退職所得」として優遇された計算方法が適用されます。この章では、退職金にかかる税金と、重要な退職所得控除について詳しく解説します。

退職所得控除の重要性と計算方法

退職金を受け取る際に最も重要な優遇措置が「退職所得控除」です。これは、長年の勤労への報償としての退職金に対する税負担を軽減するための制度で、勤続年数に応じて一定額までが非課税となります。

退職所得控除の計算式は以下の通りです。

• 勤続20年以下の場合:
  40万円 × 勤続年数（80万円に満たない場合は80万円）
• 勤続20年超の場合:
  800万円 + 70万円 × （勤続年数 – 20年）

例えば、勤続10年の場合、退職所得控除額は 40万円 × 10年 = 400万円 となります。もし退職金が400万円以下であれば、全額非課税です。

一方、勤続30年の場合、退職所得控除額は 800万円 + 70万円 × (30年 – 20年) = 800万円 + 70万円 × 10年 = 800万円 + 700万円 = 1,500万円 となります。この場合、退職金が1,500万円以下であれば非課税となります。

このように、勤続年数が長ければ長いほど控除額が大きくなるため、退職金にかかる税金は大幅に軽減されるか、全くかからないことも少なくありません。ご自身の勤続年数でいくら控除されるのか、計算してみましょう。

課税退職所得金額と税額の算出ステップ

退職所得控除額を差し引いた金額が、実際に課税対象となる「課税退職所得金額」となります。ここでも、退職所得には特別な計算式が適用され、他の所得と分離して課税される「分離課税」である点が大きな特徴です。

課税退職所得金額の計算式は以下の通りです。

（退職一時金 - 退職所得控除額）× 1/2 = 課税退職所得金額

ここでポイントとなるのは、「1/2」が乗じられる点です。退職所得控除を差し引いた金額のさらに半分にしか税金がかからないため、税負担が非常に軽くなる仕組みです。

課税退職所得金額が算出されたら、次にその金額に応じて所得税と復興特別所得税が計算されます。所得税率は、課税退職所得金額の多寡に応じて5%から45%まで変動する累進課税制度が適用されます。算出された所得税額に、復興特別所得税（所得税額の2.1%）が加算されて、最終的な税額が決定されます。

例えば、退職金が1,000万円で勤続20年の場合、控除額は800万円です。課税退職所得金額は (1,000万円 – 800万円) × 1/2 = 100万円 となります。この100万円に対して所得税が課税されるため、実際に支払う税金は給与所得と比較して非常に少額になることが分かります。

賢く退職金を受け取るための税務上のヒント

退職金を受け取る際、税負担を最小限に抑えるためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

1. 「退職所得の受給に関する申告書」の提出: 会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出することで、正確な退職所得控除額が適用され、税金が源泉徴収されます。この申告書を提出しない場合、一律20.42%の税率で源泉徴収されてしまうため、後から確定申告で還付を受ける手間が発生します。必ず提出しましょう。
2. iDeCo（個人型確定拠出年金）や企業型DCとの兼ね合い: iDeCoや企業型DCの老齢給付金も、原則として退職所得として扱われます。もし退職金とiDeCoなどの給付金を同じ年に受け取る場合、退職所得控除額は合算されて計算されます。そのため、受け取り方によっては控除額を使い切ってしまい、税金が高くなる可能性があります。複数から退職金を受け取る予定がある場合は、受け取り時期をずらすなどの戦略も検討すると良いでしょう。
3. 専門家への相談: 退職金額が高額になる場合や、複数の会社から退職金を受け取る場合など、税務処理が複雑になることもあります。そのような場合は、税理士などの専門家や、会社の福利厚生担当部署に相談することをおすすめします。適切なアドバイスを受けることで、無駄な税金を支払うことなく、退職金を最大限に活用できるでしょう。

退職金は人生の大きな節目に受け取る貴重な財産です。税制を理解し、賢く受け取るための準備を怠らないようにしましょう。

退職金が20万、100万、200万は普通？ケース別シミュレーション

退職金と聞くと、誰もが数千万円単位の高額をイメージしがちですが、実際には数十万円から数百万円といった比較的少額で退職を迎えるケースも少なくありません。「自分の退職金は少なすぎるのでは？」と不安に感じる方もいるかもしれません。ここでは、退職金が20万円、100万円、200万円となる具体的なケースをシミュレーションし、その背景にある事情や一般的な認識について解説します。

「退職金20万円」の背景と可能性

退職金が20万円程度という金額になることは、特定の条件下では十分にありえます。主な背景としては、以下のようなケースが考えられます。

• 勤続年数が非常に短い場合: 新卒で入社して数年以内（例えば1～3年）で自己都合退職した場合、多くの企業の退職金制度では支給対象外となるか、支給されてもごく少額に留まります。勤続年数に応じて支給率が設定されている場合、20万円は妥当な金額となり得ます。
• 退職金制度自体がない企業の場合: 残念ながら、全ての企業に退職金制度があるわけではありません。特に設立間もないベンチャー企業や、従業員数の少ない小規模企業などでは、福利厚生として退職金制度を設けていないケースもあります。この場合、退職金として受け取る金額はゼロ、あるいは会社の厚意で寸志として少額が支払われる程度になります。
• 非正規雇用の場合: アルバイトやパートタイム、契約社員などの非正規雇用の場合、正社員と同様の退職金制度が適用されないことが一般的です。会社の規程によっては、勤続年数が長い場合でも退職金が全く支給されないか、ごく少額の慰労金にとどまることがあります。

退職金が20万円という金額は、上記のいずれかのケースに該当する場合に「普通」であると言えるでしょう。退職金制度のない企業では、自分で老後資金を積み立てる必要があります。

「退職金100万円～200万円」が意味するもの

退職金が100万円から200万円という範囲になるケースも、決して珍しいことではありません。これは、主に以下のような状況で発生することが多いでしょう。

• 中小企業での勤続年数が短い～中期の場合: 大企業と比較して退職金の平均額が低い中小企業において、勤続年数が5年～10年程度で自己都合退職した場合、このレンジの金額になることは十分に考えられます。中退共制度を利用している場合でも、掛金月額が低い設定で、かつ納付月数が短いと、この程度の金額になります。
• 基本給が低く、評価が退職金に反映されにくい制度の場合: 退職金が基本給連動型であっても、退職時の基本給があまり高くない場合や、ポイント制などで個人の評価が退職金に十分に反映されない制度の場合、金額が伸び悩むことがあります。
• 再雇用・再任用の退職金: 定年退職後に再雇用や再任用で別の形態で勤務し、その契約期間が終了した際の退職金がこの金額帯になることがあります。一度定年退職でまとまった退職金を受け取っているため、再雇用後の退職金は少額になるのが一般的です。

この金額帯の退職金であれば、退職所得控除の範囲内で全額非課税になるケースがほとんどです。例えば、勤続10年であれば退職所得控除額は400万円ですので、退職金が100万円や200万円であれば税金はかかりません。税金面でのメリットは大きいと言えるでしょう。

高額退職金を実現するためのキャリア戦略

退職金をより高額にしたいと考えるのであれば、計画的なキャリア戦略が必要です。以下のポイントを意識することで、退職金を増やす可能性を高めることができます。

1. 企業選びの重要性: 就職・転職活動の際に、企業の退職金制度の有無や内容（計算方法、支給実績など）を事前にしっかり調査することが重要です。大企業の方が退職金が高額になる傾向があるため、そうした企業を選ぶことも一つの戦略です。
2. 勤続年数の延長: 退職金の金額は勤続年数に大きく比例します。できるだけ長く同じ企業に勤め続けることが、退職金を増やす最も確実な方法です。特に、勤続20年を超えると退職所得控除額も大幅に増えるため、長期的な視点でのキャリア形成が鍵となります。
3. 役職昇進・スキルアップ: 基本給連動型やポイント制、別テーブル制の場合、役職が上がったり、高い評価を得ることで、退職金の計算基準となる基本給やポイント、係数が増加し、結果として退職金も増額されます。キャリアアップを目指し、スキルを磨くことが直接退職金に結びつくこともあります。
4. 退職金制度のない企業での対策: もし退職金制度のない企業に勤務している場合は、iDeCo（個人型確定拠出年金）やNISA（少額投資非課税制度）などを活用し、自分で積極的に老後資金の積み立てを行うことが必須となります。企業に頼らず、自らの資産形成能力を高めることが、将来の安心につながるでしょう。

退職金は、老後資金の一部となる重要な要素です。自分の将来を見据え、今からできる対策を始めてみましょう。