概要: 中途入社は新しい環境への期待と同時に、有給休暇の扱いや年末調整、健康診断といった手続きに関する不安も伴います。この記事では、中途入社者が抱えがちな疑問を解消し、スムーズに新生活をスタートさせるための具体的な情報を提供します。安心して仕事に集中できるよう、各種制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
中途入社は、新たなキャリアをスタートさせる exciting な機会である一方で、「有給はいつからもらえるの?」「年末調整ってどうなるんだっけ?」「健康診断は受けなきゃダメ?」といった疑問や不安がつきものです。
このガイドでは、中途入社者が新しい職場で安心して働くための、有給休暇、雇入れ時健康診断、年末調整に関する基本的な情報から、スムーズに会社に馴染むためのヒントまで、幅広く解説します。
ぜひ、新しいスタートを切る皆さんの不安解消と、会社生活を充実させるための一助としてご活用ください。
1. 中途入社と有給休暇:付与条件と取得方法を徹底解説
新しい職場に慣れるまでは何かと心身の疲れを感じやすいもの。そんな時に頼りになるのが有給休暇です。しかし、中途入社の場合、いつからどれくらい有給がもらえるのか、前職の状況はどう影響するのかなど、疑問に思う方も多いでしょう。ここでは、中途入社者の有給休暇の付与条件と、賢い取得方法について詳しく解説します。
中途入社者の有給休暇付与条件とは?
年次有給休暇(以下、有給休暇)は、労働者の心身のリフレッシュを目的とした重要な制度です。労働基準法では、入社日から6ヶ月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、原則として10日の有給休暇を付与することが義務付けられています。中途入社者であっても、この条件を満たせば例外なく有給休暇が付与されます。
例えば、4月1日に入社した正社員の場合、10月1日以降に10日の有給休暇が付与されるのが一般的です。その後は、勤続年数に応じて付与日数が増加し、最大で20日までとなります。
企業によっては、管理の簡素化のため、全従業員の有給休暇の基準日を統一しているケースもあります。例えば、入社時期に関わらず、毎年1月1日や4月1日を基準日とし、そこまでの勤続期間に応じて比例付与する方式です。この場合、入社後すぐに有給休暇が付与されることもありますが、初回付与日数が通常より少なくなることもあります。入社時に必ず人事担当者に確認し、自分の有給休暇の付与タイミングと日数を把握しておきましょう。
有給休暇の取得義務と具体的な申請方法
2019年4月1日より、労働基準法が改正され、年間10日以上の有給休暇が付与される従業員に対し、年間5日以上の有給休暇を取得させることが企業の義務となりました。これは、従業員の健康確保とワークライフバランスの推進を目的としています。もし企業がこの義務を怠ると、労働基準法違反となり罰則の対象となるため、多くの企業が積極的な取得を推奨しています。
有給休暇の取得方法は、基本的に会社が定めるルールに従います。一般的な申請フローは以下の通りです。
- 申請書の提出またはシステムへの入力: 多くの企業では、所定の申請書を提出するか、社内システムを通じて申請します。
- 上長(直属のマネージャー)への承認: 申請後、上長が業務の状況を考慮して承認します。
- 必要な期間の事前通知: 業務調整のため、早めに申請することが求められます。特に長期休暇の場合は、1ヶ月前など具体的な期間が定められていることもあります。
また、企業によっては、計画的な有給休暇取得を促す「計画年休制度」を導入している場合もあります。これは、会社が労使協定に基づいて、あらかじめ従業員の有給休暇取得日を定めておく制度です。プロジェクトの閑散期などに計画的に取得できるため、業務への影響を最小限に抑えつつ、確実に休みが取れるメリットがあります。上手に活用して、心身のリフレッシュを図りましょう。
パート・アルバイトでも有給休暇は取れる?
「パート・アルバイトだから有給は関係ない」と考えている方もいるかもしれませんが、それは誤解です。パートやアルバイトといった非正規雇用労働者でも、正規雇用労働者と同様に、以下の条件を満たせば有給休暇が付与されます。
- 雇い入れの日から6ヶ月以上継続勤務していること。
- 全労働日の8割以上出勤していること。
ただし、付与される日数は、週の所定労働日数や年間所定労働日数に応じて異なります。これを「比例付与」と呼びます。例えば、週5日勤務の正社員が6ヶ月勤務で10日付与されるのに対し、週3日勤務のパートタイマーは6ヶ月勤務で6日付与されるといった具合です。
パート・アルバイトの場合も、年間10日以上の有給休暇が付与される場合は、企業は年間5日以上の有給休暇を取得させる義務が生じます。自身の契約内容(週の所定労働日数、年間所定労働日数)を確認し、付与される有給休暇の日数を把握しておくことが重要です。不明な場合は、必ず人事担当者や上長に確認しましょう。働く形態に関わらず、労働者に与えられた正当な権利ですので、積極的に利用して健康的な働き方を維持してください。
2. 雇入れ時健康診断の基本:対象者、時期、費用について
新しい職場に入社する際、多くの方が受けることになるのが「雇入れ時健康診断」です。これは、労働者の健康状態を把握し、適切な配置や健康管理に役立てるために法律で義務付けられているものです。ここでは、雇入れ時健康診断の対象者、必須項目、実施時期、そして費用負担について詳しく解説し、皆さんが安心して受診できるようサポートします。
雇入れ時健康診断の対象となる「常時使用する労働者」とは
労働安全衛生法第66条では、事業者は「常時使用する労働者」に対し、雇い入れの際に健康診断を実施する義務があると定めています。この「常時使用する労働者」とは、正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトといった雇用形態に関わらず、以下のいずれかの条件を満たす労働者を指します。
- 期間の定めのない労働者(正社員など)
- 期間の定めのある労働者で、1年以上の雇用が見込まれ、かつ週の所定労働時間が正社員の4分の3以上である者
- 期間の定めのある労働者で、雇用期間が定められていない者と同様の労働時間を勤務し、かつ実態として継続雇用が見込まれる者
簡単に言えば、長期的に会社で働き、フルタイムに近い形で勤務する人が対象となることが多いです。例えば、週4日勤務で1日8時間働く契約社員であれば、正社員の週5日勤務と比べて労働時間の4分の3以上となるため、多くの場合で対象となります。自身が対象となるかどうかは、雇用契約書や就業規則を確認するか、人事担当者に直接問い合わせるのが最も確実です。
この健康診断は、入社後の健康リスクを早期に発見し、適切な業務配置や職場環境の調整を行う上で非常に重要です。義務付けられている意味を理解し、必ず受診するようにしましょう。
必須検査項目と前職の健康診断結果との違い
雇入れ時健康診断で実施される検査項目は、労働安全衛生規則第43条で定められており、原則として以下の全項目を実施する必要があります。
- 既往歴および業務歴の調査: これまでの病歴や職務経験を問診で確認。
- 自覚症状および他覚症状の有無の検査: 体調に関する気になる症状がないか、医師が確認。
- 身長、体重、腹囲、視力および聴力(1000Hz、4000Hz)の検査: 基本的な身体計測。
- 血圧の測定: 高血圧の有無を確認。
- 尿検査(糖および蛋白の有無): 糖尿病や腎臓病のスクリーニング。
- 胸部X線検査: 肺結核や肺がんなどの呼吸器疾患の確認。
- 貧血検査(赤血球数、ヘモグロビン量): 貧血の有無を確認。
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP): 肝臓の健康状態を確認。
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド): 脂質異常症のリスクを確認。
- 血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c): 糖尿病の有無を確認。
- 心電図検査: 心臓の異常の有無を確認。
注意すべきは、前職で受けた定期健康診断の結果では代用できない場合があることです。定期健康診断では、年齢や医師の判断により一部の検査項目が省略されることがありますが、雇入れ時健康診断では原則として上記すべての項目を実施しなければなりません。特に、胸部X線検査や血液検査の一部は省略されがちですが、雇入れ時健康診断では必須です。
もし前職の退職から3ヶ月以内に、上記すべての項目を含む健康診断を受診しており、その結果を提出できるのであれば、一部または全部が省略される可能性があります。しかし、基本的には会社が指定する医療機関で改めて受診するのが一般的です。自身の健康状態を正確に把握するためにも、不足なく検査を受けましょう。
健康診断の実施時期、費用負担と結果通知のルール
雇入れ時健康診断の実施時期については、「雇い入れの際」と定められており、具体的には入社前後の比較的早い時期に行われるのが一般的です。入社後すぐに業務に就くことを考慮し、入社日から3ヶ月以内など、企業によって具体的な時期を定めていることが多いでしょう。
費用負担については、労働安全衛生法に基づき、雇入れ時健康診断の費用は原則として会社が負担することとされています。これは、会社が労働者の健康と安全に配慮する義務(安全配慮義務)を負っているためです。もし自己負担を求められた場合は、人事担当者に確認するようにしましょう。ただし、従業員が「個人的な事情」で会社指定以外の医療機関で受診した場合などは、自己負担となるケースもあります。
健康診断の結果については、会社は労働者本人に通知する義務があります。結果の通知は書面で行われることが多く、医師の診断結果や今後の健康管理に関する助言などが記載されています。結果に異常が見られた場合は、会社側が就業上の配慮について医師の意見を聞くこともありますが、労働者本人のプライバシーは保護されます。結果をしっかりと確認し、自身の健康状態に意識を向ける良い機会として捉えましょう。必要に応じて、再検査や精密検査を受けることも大切です。
3. 中途入社者の年末調整:無職期間がある場合の注意点も
中途入社者にとって、年末調整は前職の状況が影響するため、少し複雑に感じられるかもしれません。「前職の源泉徴収票はどうすればいい?」「無職期間があったらどうなるの?」といった疑問を解消し、スムーズに年末調整を終えられるよう、ここでは基本から注意点までを解説します。
中途入社者の年末調整手続きの基本と対象者
年末調整とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に支払われた給与・賞与に対する所得税を正確に計算し、払いすぎた税金があれば還付、不足があれば徴収する手続きです。基本的に、その年の12月31日時点で会社に在籍している従業員が対象となります。
中途入社の場合、年末まで勤務している場合は、新しい勤務先が前職の給与と合算して年末調整を行います。つまり、前職の給与と新しい職場の給与を合わせて、1年間の所得税を計算するのです。これにより、従業員は確定申告を行う手間を省くことができます。これは、転職後に新しい会社が主な給与の支払い元となり、個人の税務処理を一括して行うためです。
年末調整の時期は、通常11月頃から12月にかけて行われます。この時期になると、会社から年末調整に必要な書類が配布されますので、提出期限に遅れないよう、早めに準備を進めることが重要です。もし、年末調整の対象外となる場合(年途中で退職し、その後再就職しなかったなど)は、ご自身で確定申告を行う必要が生じます。年末調整は非常に重要な手続きですので、不明点があればすぐに人事担当者や経理担当者に確認しましょう。
年末調整で必要な書類とその準備方法
中途入社者が年末調整を受ける際に、特に重要となるのが「前職の源泉徴収票」です。これを含め、一般的に以下の書類が必要となります。
- 前職の源泉徴収票(必須): 年内に複数の職場で働いていた場合、全ての職場からの源泉徴収票が必要です。前職の給与所得や源泉徴収税額が記載されており、これがないと正確な年末調整ができません。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書: 扶養親族がいる場合に、配偶者や子などの情報を記載します。
- 給与所得者の保険料控除申告書: 生命保険料、地震保険料、社会保険料(国民年金・国民健康保険など自分で支払った分)の控除を受けるために必要です。控除証明書(保険会社から送付されるハガキなど)を添付します。
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書: 自身の基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、所得金額調整控除を受けるために必要です。
- 住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ): 住宅ローン控除の2年目以降の場合に必要です。金融機関から送付される年末残高証明書も添付します。初年度は確定申告が必要です。
前職の源泉徴収票を紛失した場合は、速やかに前職の会社に再発行を依頼してください。再発行には時間がかかることもあるため、早めの対応が肝心です。また、保険料控除証明書なども郵送されてくるのを待つだけでなく、オンラインでダウンロードできる場合もあるので、忘れずに手元に準備しておきましょう。これらの書類を正確かつ期限内に提出することで、適切な納税と還付を受けることができます。
無職期間がある場合や複数の会社を退職した際の注意点
中途入社の場合、転職活動期間中に一時的に無職の期間があったり、複数の会社を年内に退職・入社したりするケースがあります。このような場合、年末調整で特に注意が必要です。
まず、年の中途で退職し、その後再就職しなかった場合は、年末調整が行われないため、ご自身で確定申告を行う必要があります。退職時に会社から交付された源泉徴収票を基に、確定申告書を作成し、税務署に提出することで、払いすぎた所得税の還付を受けることができます。特に、医療費控除やふるさと納税などの寄付金控除を受けたい場合は、確定申告が必須となります。
次に、複数の会社を年内に退職・入社した場合は、年末調整を行う会社(通常は12月31日時点で在籍している会社)に、全ての前職の源泉徴収票を提出する必要があります。もし源泉徴収票が1枚でも欠けていると、正しい年末調整ができません。この場合も、税務署で確定申告を行うことになるため、前職の会社から確実に源泉徴収票を受け取るようにしましょう。
また、個人事業主としての所得がある場合や、副業で一定以上の収入がある場合も、年末調整だけでは完結せず、確定申告が必要になります。年末調整はあくまで給与所得に関するものですので、その他の所得については個別の対応が必要です。複雑な状況であれば、税務署の相談窓口や税理士に相談することも検討しましょう。適切な手続きを怠ると、過不足なく税金を納められないだけでなく、後から追徴課税される可能性もあります。
4. 働き始めの疑問解消!休み希望の出し方とその他の手続き
中途入社後、新しい環境での業務に慣れることはもちろん大切ですが、私生活とのバランスを保つための「休み」の取り方や、会社を円滑に回すための様々な手続きについても早めに把握しておくことが重要です。ここでは、有給休暇以外の休み希望の出し方や、入社時に確認すべき社内規定、そして社会保険関連の手続きについて解説します。
有給休暇以外の特別な休暇制度と申請方法
有給休暇以外にも、多くの企業では従業員の生活をサポートするためのさまざまな休暇制度を設けています。これらを適切に利用することで、プライベートの急な用事やライフイベントにも対応できるようになります。
代表的なものとしては、以下のような休暇が挙げられます。
- 慶弔休暇: 結婚、出産、身内の不幸など、慶事や弔事の際に取得できる休暇です。日数や申請に必要な書類(戸籍謄本、死亡診断書など)は会社によって異なります。
- 特別休暇(リフレッシュ休暇、誕生日休暇など): 企業が独自に設ける休暇です。勤続年数に応じて付与されるリフレッシュ休暇や、誕生日月に取得できる休暇など、内容は多岐にわたります。
- 半日休暇・時間単位有給休暇: 有給休暇を半日単位や時間単位で取得できる制度です。病院受診や役所での手続きなど、短時間の用事を済ませたい場合に便利です。
これらの休暇を申請する際は、必ず会社の就業規則や人事制度を確認し、所定の申請手続きに従いましょう。多くの場合、人事システムからの申請や、上長への事前相談、申請書の提出が必要となります。特に、慶弔休暇のように急を要する場合には、電話やメールで速やかに上長に連絡し、後日正式な申請を行うといった柔軟な対応が求められることもあります。事前に制度の内容と申請フローを理解しておくことで、いざという時に慌てずに対応できます。
入社時に確認すべき重要な社内規定と連絡ツール
中途入社者がスムーズに業務に馴染むためには、会社のルールや仕事の進め方を早期に理解することが不可欠です。入社時に必ず確認しておきたい社内規定や活用すべきツールは以下の通りです。
- 就業規則、給与規定、人事制度: 会社の最も基本的なルールを定めたものです。勤務時間、休憩、休日、残業、退職などの労働条件や、給与の計算方法、評価制度などが詳細に記載されています。入社時に説明があることが多いですが、配布された資料は必ず目を通し、不明点は人事担当者に質問しましょう。
- 勤怠管理システム: 出退勤の打刻方法、残業申請、休暇申請など、日々の勤怠管理に関するルールとシステムの使い方を把握します。
- 交通費・経費精算ルール: 交通費の支給基準、精算方法、必要な領収書、申請期限などを確認します。経費申請も同様に、定められたルールに従う必要があります。
- 社内コミュニケーションツール: 社内で日常的に使用されるチャットツール(Slack, Teamsなど)、メール、会議システム(Zoom, Google Meetなど)の使い方を習得します。誰にどのような内容で連絡すべきか、基本的なマナーも学びましょう。
- 社内ポータルサイトやマニュアル: 会社の組織図、部署紹介、業務マニュアル、過去の議事録、福利厚生情報などが集約されていることが多いです。積極的に活用し、自己学習を進めましょう。
これらの情報は、一度に全てを覚えるのは難しいかもしれません。焦らず、まずは自分の業務に直結する部分から確認し、疑問点があれば遠慮なく先輩や上長、人事担当者に質問する姿勢が重要です。
社会保険関連とその他の福利厚生手続き
入社に伴い、社会保険の手続きも行われますが、中途入社者は前職からの切り替えとなるため、いくつか確認しておきたい点があります。
- 健康保険証の発行と医療費の立て替え: 入社後、健康保険証が手元に届くまでに数週間かかることがあります。その間に病院にかかる場合は、一旦全額自己負担となることがほとんどです。後日、新しい保険証と領収書を提出すれば、自己負担分を除く金額が返還されますが、会社によって手続きが異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
- 厚生年金・雇用保険への加入: 正社員の場合、原則として入社日から厚生年金と雇用保険に加入します。前職でこれらの保険に加入していた場合、会社が切り替え手続きを行います。手続きが正しく行われたか、念のため確認しておくのも良いでしょう。
- 会社の福利厚生制度: 企業によっては、社員食堂、住宅手当、財形貯蓄、企業型DC(確定拠出年金)、社員割引、フィットネスジム提携、育児支援制度など、多種多様な福利厚生制度を設けています。これらは従業員にとって大きなメリットとなるため、利用条件や申請方法をしっかり把握し、活用を検討しましょう。特に、財形貯蓄や企業型DCは、長期的な資産形成に役立ちます。
これらの手続きや制度は、入社後の生活の安定と向上に直結するものです。入社時に配布される書類や説明会にしっかりと参加し、不明な点は積極的に質問する姿勢が大切です。自分の権利と利用できるサービスを最大限に活用し、安心して働く環境を整えましょう。
5. 中途入社後にスムーズに会社に馴染むためのポイント
中途入社は、これまでの経験を活かしつつ、新たな環境で自身の可能性を広げる素晴らしい機会です。しかし、新しい組織文化や人間関係、業務フローに慣れるまでには少なからず時間と労力を要します。ここでは、中途入社者が新しい会社にスムーズに馴染み、早期にパフォーマンスを発揮するための実践的なポイントを紹介します。
良好な人間関係を築くための積極的なコミュニケーション
新しい職場での人間関係は、業務の円滑な遂行だけでなく、日々のモチベーションにも大きく影響します。良好な人間関係を築くために、以下の点を意識しましょう。
- 自分から積極的に挨拶: 「おはようございます」「お疲れ様です」など、基本的な挨拶を明るく元気に行うことで、周囲に良い印象を与え、コミュニケーションのきっかけを作ります。
- 自己紹介の機会を活用: 入社時の自己紹介はもちろん、ランチや休憩時間など、ちょっとした機会にも自分のこれまでの経験や趣味などを話してみましょう。共通の話題が見つかれば、一気に距離が縮まります。
- ランチや飲み会への参加: 最初は気兼ねするかもしれませんが、ランチや社内イベント、懇親会などに積極的に参加することで、業務以外の顔が見え、人間関係が深まりやすくなります。無理のない範囲で参加し、顔と名前を覚えてもらいましょう。
- 傾聴の姿勢: 相手の話をじっくり聞くことで、会社の文化や人間関係のヒントを得られます。自分ばかり話すのではなく、相手に興味を持つ姿勢を見せることが大切です。
焦って全員とすぐに仲良くなろうとする必要はありません。まずは自分の部署のメンバーや、OJT担当者、先輩社員から徐々に信頼関係を構築していくことを心がけましょう。オープンな姿勢で接することで、周囲もあなたを受け入れやすくなります。
業務を早くキャッチアップするための効率的な情報収集術
中途入社者は、前職の経験があるからこそ、新しい会社のやり方に戸惑うことがあります。効率的に業務をキャッチアップするためには、計画的な情報収集が不可欠です。
- 積極的に質問する: 不明な点は早めに質問しましょう。ただし、「わからないこと」を漠然と聞くのではなく、「〇〇について調べたのですが、この点で理解が及びません。どのように解釈すれば良いでしょうか?」のように、具体的に質問することが重要です。質問前に自分で調べた形跡を見せることで、相手も快く教えてくれます。
- メモを習慣化する: 指示されたこと、教わったこと、会議で決定したことなどは、すぐにメモを取りましょう。後から見返すことで記憶が定着し、同じ質問を繰り返すことを防げます。
- 社内マニュアルや過去資料を活用: 多くの企業には、業務マニュアルや手順書、過去のプロジェクト資料などが共有されています。これらを読み込むことで、基本的な業務フローや会社の歴史、プロジェクトの進め方を効率的に学ぶことができます。社内ポータルや共有フォルダを積極的に活用しましょう。
- 業務フローを可視化する: 自分の担当業務や関連業務について、大まかな流れを図や表にまとめてみるのも有効です。全体のつながりを理解することで、個々のタスクの意味や重要性がより明確になります。
最初は分からないことだらけで当然です。完璧を目指すのではなく、まずは「誰に」「何を」「どう聞くか」を意識し、自分のペースで情報収集を進めていきましょう。新しい会社の一員として貢献する意欲を見せることが、周囲からのサポートを引き出す鍵となります。
中途入社者が直面しやすい課題とその乗り越え方
中途入社者は、新しい環境で様々な課題に直面することがあります。これらを事前に認識し、適切に対処することで、ストレスを軽減し、スムーズな適応を促すことができます。
- 前職との比較: 「前職ではこうだったのに…」と、つい前の会社と比較してしまうことがあります。しかし、会社にはそれぞれの文化やルールがあります。比較は建設的でなく、かえってストレスになることが多いです。「郷に入っては郷に従え」の精神で、新しい会社のやり方を一旦受け入れてみましょう。
- 期待値のギャップ: 入社前に抱いていたイメージと、実際の業務や職場環境にギャップを感じることがあります。これは自然なことです。すぐに結論を出すのではなく、まずは数ヶ月間、様子を見てみましょう。その上で、改善の提案ができる部分があれば、建設的に意見を出すことも検討します。
- 人間関係の構築ストレス: 新しい人間関係の構築はエネルギーを要します。最初は孤独感を感じることもあるかもしれません。焦らず、少しずつ信頼できる人を見つけていきましょう。ランチや休憩時間に同僚と会話する、社内イベントに参加するなど、小さなことから始めるのがおすすめです。
- 業務への適応ストレス: 新しいシステムやツール、業務プロセスに慣れるまで時間がかかるのは当然です。完璧主義にならず、「最初は誰もが通る道」と割り切り、焦らず一つずつ習得していくことが大切です。
これらの課題に直面した際は、一人で抱え込まず、上司、人事担当者、あるいはメンターや信頼できる同僚に相談してみましょう。会社によっては、中途入社者向けの相談窓口や研修制度を設けている場合もあります。自分を責めすぎず、「適応には時間がかかるもの」という認識を持つことが、新しい環境で成功するための重要な心構えとなります。
まとめ
よくある質問
Q: 中途入社の場合、有給休暇はいつから何日付与されますか?
A: 労働基準法に基づき、入社日から6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に最初の有給休暇が付与されます。付与日数は勤続年数に応じて、10日、11日、12日と増えていきます。会社によっては入社時に前倒しで付与されるケースもありますので、就業規則を確認しましょう。
Q: 中途入社でも「年5日の有給休暇取得義務」は適用されますか?
A: はい、適用されます。年間に10日以上の有給休暇が付与される労働者(中途入社者も含む)は、会社が時季を指定するか、労働者からの申請を受けて、年間5日の有給休暇を取得させることが義務付けられています。
Q: 雇入れ時健康診断は必ず受けなければなりませんか?費用は誰が負担しますか?
A: 労働安全衛生法により、事業者は常時使用する労働者(中途入社者も含む)を雇い入れた際に健康診断を実施する義務があります。労働者には受診する義務があり、その費用は会社の負担が原則です。入社後、指定された医療機関で速やかに受診しましょう。
Q: 無職期間を経て中途入社した場合、年末調整で何か特別な手続きが必要ですか?
A: はい。無職期間があった場合でも、前の会社からの源泉徴収票(もしあれば)は提出が必要です。また、無職期間中に国民健康保険料や国民年金保険料を自分で支払っていた場合は、その控除証明書を提出することで所得控除を受け、税金が還付される可能性があります。忘れずに申告しましょう。
Q: 中途入社後、いつから休み希望を出しても良いものでしょうか?
A: 会社の文化や業務内容にもよりますが、一般的には入社直後の試用期間中は、業務習得に専念することが期待されます。そのため、本格的な私用の休み希望は、業務に慣れてから(目安として数ヶ月後)にするのが望ましいでしょう。ただし、急な体調不良や冠婚葬祭などの場合は、早めに上司に相談することが重要です。