知らないと損!年金受給者のための年収・所得控除・税金対策完全ガイド

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この記事で得られること

これから年金を受給する方、すでに年金を受給しており、税金や控除について詳しく知りたいと考えている方、年金制度を賢く利用して手取り額を増やしたいと考えている方。

  1. 年金と税金の基本のき!公的年金は「雑所得」として課税対象に?
    1. 公的年金は「雑所得」として課税される仕組みとは?
    2. 確定申告不要制度の活用で税務手続きの負担を軽減する方法
    3. 所得控除と源泉徴収額の計算方法を押さえた節税ポイント
      1. 活用すべき主な所得控除
  2. 年金と年収・税金の境界線!「非課税」になる条件と年収制限のポイント
    1. 確定申告不要制度の理解と適用条件を押さえよう
    2. 課税対象となる年金収入の計算と非課税の境界を理解する
    3. 所得控除と税金対策で賢く負担を軽減するポイント
      1. 医療費控除
      2. 社会保険料控除
      3. 扶養控除・配偶者控除
  3. 知って得する!年金受給者が活用できる所得控除と扶養控除の賢い利用法
    1. 確定申告不要制度を賢く活用し、控除機会を逃さないためのポイント
    2. 年金収入の課税対象と所得控除の仕組みを理解し無駄な税負担を減らす
    3. 年金受給者が確実に利用すべき所得控除と扶養控除の活用法
      1. 医療費控除
      2. 社会保険料控除
      3. 扶養控除・配偶者控除
      4. その他の控除
  4. 年金受給者も忘れずに!「年末調整」と「確定申告」の手続きと注意点
    1. 年末調整の基本と年金受給者が注意すべきポイント
    2. 確定申告が不要な制度の理解と申告が必要なケース
    3. 確定申告で活用できる所得控除と税金対策のポイント
      1. 主な所得控除の種類と具体例
  5. 年金を賢く増やし、手取りを最大化する戦略:付加保険料やiDeCoの活用
    1. 付加保険料で年金を増やす仕組みとそのメリット
    2. iDeCoを活用した節税効果と年金上乗せの方法
    3. 確定申告と控除の賢い利用で手取りを増やすポイント
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 年金は全て非課税になるのでしょうか?
    2. Q: 年金受給者が「非課税世帯」になる基準はありますか?
    3. Q: 年金収入がある場合でも、配偶者や子を「扶養」に入れることはできますか?
    4. Q: 「付加保険料」を納めるメリットは何ですか?
    5. Q: 年金だけでも年末調整は必要ですか?

年金と税金の基本のき!公的年金は「雑所得」として課税対象に?

公的年金は「雑所得」として課税される仕組みとは?

公的年金は法律上、「雑所得」※1として扱われています。つまり、年金の収入は給与や事業所得とは別の所得区分になり、所得税の対象となります。ただし、すべての年金が課税対象ではなく、障害年金や遺族年金は非課税です。課税されるのは主に老齢年金です。

2025年(令和7年)12月からは課税開始の基準金額が変更され、年齢ごとに区分されています。具体的には、65歳未満の方は年金収入が155万円以上65歳以上の方は205万円以上の年金収入があると課税対象となります。この金額を下回る場合は所得税は課されません。

年金収入から所得を計算する際には、「公的年金等控除」と呼ばれる控除が適用されます。控除額は年齢や年金受給額で異なり、これによって実際の課税所得が減少します。つまり、単純に年金の総額に税率がかかるのではなく、一定額が差し引かれてから税金が計算されるわけです。

※1雑所得:給与所得や事業所得以外の所得の分類。公的年金はここに含まれ、税務上の扱いが異なります。

この仕組みを正しく理解しておくことは、年金受給者が税金の負担を把握し、必要な税務手続きを適切に行ううえで非常に重要です

確定申告不要制度の活用で税務手続きの負担を軽減する方法

公的年金受給者は、一定の条件を満たす場合に確定申告をしなくても所得税や復興特別所得税が確定する「確定申告不要制度」の利用が可能です。この制度を正しく理解すると、毎年の煩雑な申告手続きを大幅に軽減できます。

具体的には、公的年金等の収入が年間400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下の場合にこの制度が適用されます。これにより、確定申告をしなくとも源泉徴収された税金で納税が完了します。ただし、医療費控除や生命保険料控除、ふるさと納税の寄附金控除など、本来受けられる控除を申告して税金を還付してもらいたい場合は確定申告が必須です。

また、源泉徴収された税金が過払いになっているケースや、「扶養親族等申告書」※2の提出を忘れていた場合は、確定申告をすることで税金が戻る可能性があります。例えば医療費が年間10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除を申請することで数万円の還付を受けられるケースがあります。

※2扶養親族等申告書:年金受給者が扶養している家族を税務署に申告するための書類。提出で控除が適用されやすくなります。

自身の収入と所得控除の状況を見直し、申告すべきかどうかを賢く判断することが重要です。手続きを簡単に済ませたい方も、税金を取り戻せるチャンスを逃さないためにぜひ理解しておきましょう。

所得控除と源泉徴収額の計算方法を押さえた節税ポイント

公的年金から引かれる所得税の源泉徴収額は、単純に年金の総額に税率をかけたものではありません。「年金支給額-社会保険料-各種控除」に税率の5.105%(復興特別所得税を含む)が掛けられて計算されます。

例えば、年間年金支給額が250万円で社会保険料が30万円、基礎控除と公的年金等控除を合わせて60万円控除できる場合、

250万円-30万円-60万円=160万円(課税対象の所得)

となり、この160万円に税率5.105%をかけて源泉税が決まります。

所得控除の種類は多岐にわたり、活用次第で税負担が大きく軽減される可能性があります。主な控除には以下のようなものがあります。

活用すべき主な所得控除

– 医療費控除(年間10万円以上、または所得の5%超の場合)
– 社会保険料控除(国民年金、健康保険料など全額)
– 扶養控除・配偶者控除(扶養家族の所得状況による)
– 生命保険料控除・地震保険料控除
– 寄附金控除(ふるさと納税の寄附額の2,000円を超える部分)

これらの控除は確定申告を通じて適用を受けるため、特に医療費控除やふるさと納税を活用している方は申告を怠らないようにしましょう。また、2025年の税制改正により基礎控除額の見直しも予定されているため、最新情報を把握して計算に反映させることが大切です。

正確な控除の適用と源泉徴収額の理解が、公的年金受給者の税金対策の鍵となります。節税のためにできることは積極的に取り組み、余剰な税負担を減らしましょう。

年金と年収・税金の境界線!「非課税」になる条件と年収制限のポイント

確定申告不要制度の理解と適用条件を押さえよう

年金受給者の税務手続きでまず知っておきたいのが、確定申告不要制度の存在です。これは、公的年金等の収入が年間400万円以下で、かつ公的年金等に係る雑所得※1以外の所得が年間20万円以下の場合に、所得税と復興特別所得税の確定申告が不要となる制度です。ただし、この制度は申告の手間を軽減するためのものであり、医療費控除や寄附金控除など各種控除を利用して税金の還付を受けたい場合は確定申告が必要です。

また、年金から源泉徴収された税金がある場合や、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書の提出を忘れた場合は、確定申告を行うことで過払い分の税金が還付されるケースがあります。例えば、年金収入320万円でサラリーマン時代の給与収入が15万円だった場合でも、20万円以下の給与所得は申告不要ですが、扶養申告書を未提出なら確定申告で税金が戻る可能性があります。

年金とその他の所得の合計がポイントになるため、自分の収入を正確に把握し、申告の必要性をしっかり見極めましょう。

課税対象となる年金収入の計算と非課税の境界を理解する

年金の所得税の課税対象は、年金の種類と金額によって異なります。なお、障害年金と遺族年金は非課税で、老齢年金のみ一定額以上が課税対象です。2025年(令和7年)12月以降は、65歳未満で年金収入155万円以上、65歳以上で205万円以上が課税対象の目安となるため、これを超えると所得税の課税範囲に含まれます。

公的年金等には「公的年金等控除」※2があり、年齢や年金収入によって控除額は異なります。例えば、65歳以上で年金収入200万円の場合、控除額はおおむね120万円程度となり、差し引いた残りの80万円が課税所得になります。所得税の源泉徴収額は(年金支給額−社会保険料−控除額)×5.105%(復興特別所得税含む)で計算されますので、控除の活用が節税に直結します。

さらに、公的年金収入以外に給与収入や不動産収入などがある場合は、これらの合計所得が20万円以下であれば申告不要ですが、20万円を超えると確定申告が必要です。年金収入だけでなく、すべての所得を合わせた年収の把握が重要です。

所得控除と税金対策で賢く負担を軽減するポイント

年金受給者でも様々な所得控除を活用することで、税負担を軽くできます。主な控除は以下の通りです。

医療費控除

年間の医療費が10万円以上、あるいは所得200万円未満の場合は所得の5%を超える分で控除が受けられます。家族全員の医療費合算も可能なため、例えば自分と配偶者の合計医療費が15万円であれば該当します。特定の医薬品購入費に関してはセルフメディケーション税制も検討するとよいでしょう。

社会保険料控除

国民年金保険料や健康保険料、介護保険料など本人や生計を共にする家族の社会保険料全額が控除対象となります。例えば、年間12万円の国民年金保険料を支払った場合、その全額が所得から差し引かれます。

扶養控除・配偶者控除

扶養親族や配偶者が所得要件を満たす場合は控除が適用され、70歳以上の扶養親族がいる場合は控除額が増額されます。これらを受けるには「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の提出が必要です。未提出時は確定申告で申請が可能です。

さらに、生命保険料控除や地震保険料控除、ふるさと納税による寄附金控除(2,000円超の部分が控除対象)、災害等に対する雑損控除も税金対策の有効手段です。

これらの控除をしっかり把握し、適切に申告することで、年金受給者でも税負担を大幅に軽減できます。特に、医療費控除やふるさと納税は、具体的な金額をシミュレーションして積極的に利用しましょう。

※1 雑所得:年金や副収入など、給与所得や事業所得などに該当しない所得のこと。

※2 公的年金等控除:年金収入の所得計算時に一定額が控除される制度。年齢や収入額により控除額が変わります。

知って得する!年金受給者が活用できる所得控除と扶養控除の賢い利用法

確定申告不要制度を賢く活用し、控除機会を逃さないためのポイント

公的年金等の収入が年間400万円以下で、かつ公的年金以外の所得が20万円以下の場合、確定申告が不要になる制度があります。これにより、多くの年金受給者は税務手続きの負担を軽減できるため、まずは自身がこの条件に当てはまるかを確認しましょう。

しかし、確定申告不要と聞いても、注意すべきポイントがあります。例えば、医療費控除や生命保険料控除など各種控除を受けて税金の還付を希望する場合は、確定申告が必要です。また、年金の源泉徴収税がある場合や、扶養控除申告書を提出し忘れた場合も、申告することで過払い分の税金を取り戻せることがあります。

例えば、年間で医療費が10万円を超えた場合(または所得200万円未満なら5%超の医療費)、確定申告を行うことで所得税の控除を受けられ、数万円の還付を得るケースも珍しくありません。加えて、公的年金等の扶養親族等申告書は、年金支給開始時や毎年の給与所得者の扶養控除申告書のように、扶養控除を適用する重要な書類です。これを提出していない場合は、確定申告で申請することで控除が適用されます。

したがって、確定申告不要制度に安心しすぎず、自分に該当する控除を見逃さずに税金還付のチャンスを活かすことが、賢い年金受給者のポイントです。

年金収入の課税対象と所得控除の仕組みを理解し無駄な税負担を減らす

年金は種類によって課税対象が異なります。まず、障害年金や遺族年金は非課税ですから、これらは所得税の対象になりません。一方で、老齢年金は一定の年収基準を超えると課税対象になります。

2025年(令和7年)12月からは、新たに年齢別課税基準が設けられ、65歳未満の方は年金収入が155万円以上、65歳以上の方は205万円以上で課税対象となります。これにより、多くの高齢者が年金収入の一部に所得税を支払う必要が出てきますので注意が必要です。

課税所得を計算するときには、「公的年金等控除」が適用されます※。これは年齢や年金額に応じて控除額が決まるため、年金収入の全額に税金がかかるわけではありません。たとえば、65歳以上で年金収入が200万円の場合、一定額の控除を差し引いた後の所得に対して税率5.105%(所得税+復興特別所得税)がかかります。

また、年金から源泉徴収される税額は、「年金支給額-社会保険料-各種控除」に税率を掛けて算出されているため、自身がどの控除を受けているか把握しておくことが無駄な課税を防ぐコツです。社会保険料や扶養控除、生命保険料控除などを正確に申告し、控除の上限や適用条件を満たすことで所得税の負担を軽減できます

年金受給者が確実に利用すべき所得控除と扶養控除の活用法

年金受給者でも、さまざまな所得控除が活用でき、税負担を大きく軽減できます。特に以下の控除は見逃さないようにしましょう。

医療費控除

年間の医療費が10万円以上(もしくは所得200万円未満なら所得の5%を超える額)であれば、確定申告で控除可能です。家族全員の医療費を合算できるため、家計全体での医療費を見直し、確定申告の際に領収書を準備することが大切です。また、特定の医薬品購入費はセルフメディケーション税制の対象となり、医療費控除と選択して節税できます。

社会保険料控除

国民年金保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料など、本人や生計を共にする家族が支払った社会保険料は全額控除の対象です。年金からの特別徴収だけでなく、任意で支払った保険料も証明書を揃えて申告しましょう。

扶養控除・配偶者控除

扶養親族や所得要件を満たす配偶者がいる場合は扶養控除や配偶者控除が適用されます。特に70歳以上の扶養親族がいる場合、控除額が増額される特例があります。申告には「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の提出が必要です。万が一提出を忘れていても、確定申告で申請可能なので漏れのないようにしましょう。

その他の控除

生命保険料控除や地震保険料控除、ふるさと納税の寄附金控除も活用できます。ふるさと納税は2,000円を超える寄附部分が控除対象となり、限度額は年収や家族構成によって異なるため、シミュレーションすることをおすすめします。

これらの控除を活用することにより、年金世帯の税負担が軽くなり、生活資金の有効活用につながります。控除の種類・条件を理解し、毎年の申告を怠らないことが重要です

年金受給者も忘れずに!「年末調整」と「確定申告」の手続きと注意点

年末調整の基本と年金受給者が注意すべきポイント

年末調整は、給与所得者の年間の所得税額を正確に計算し、過不足を調整する手続きです。年金受給者も給与収入がある場合には、年末調整を忘れずに行うことが重要です。年金収入だけの場合は年末調整は適用されませんが、パートやアルバイトなどで給与所得がある場合には会社が年末調整を行いますので、必要書類の提出を怠らないよう注意しましょう。

具体的には、「扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出することがポイントです。この書類は扶養親族がいるかどうかの申告や、配偶者控除の適用を受ける際に使います。この申告書の提出を忘れると、扶養控除や配偶者控除が反映されず、税金が多く差し引かれる恐れがあります。また、医療費控除や生命保険料控除など、年末調整で適用可能な控除があれば勤務先に提出しましょうが、医療費控除など一部の控除は年末調整では対応できないため、確定申告が必要になります。

なお、年末調整はその年の給与所得に関する手続きなので、公的年金の収入やその他の所得がある場合は別途、確定申告を行う判断が必要です。特に、公的年金以外に年間20万円を超える収入がある場合は必ず確定申告が義務付けられていることを覚えておきましょう。

確定申告が不要な制度の理解と申告が必要なケース

公的年金の収入が一定の条件内であれば確定申告が不要となる「確定申告不要制度」があります。具体的には、公的年金等の収入が年間400万円以下で、かつその他の雑所得が年間20万円以下の場合には、所得税の確定申告をする必要がありません。これは、申告の手続き負担を減らすための制度です。

ただし、この制度は申告が不要というだけで、控除を受けるための申告が制限されるわけではありません。たとえば、年間の医療費が10万円を超えた場合や、生命保険料控除、寄附金控除(ふるさと納税)などを利用して税金の還付を受けたい場合は、確定申告を行うことで税金が戻る可能性が高いです。また、年金から源泉徴収された税金がある場合は、確定申告をして還付請求することもできます。

さらに、扶養控除や配偶者控除の申告書を年末調整で提出し忘れた場合、その年の税額を正しく計算し直すために確定申告を行いましょう。例えば、扶養親族を追加申告することで、結果として数万円の還付が受けられるケースもあります。

ただし、公的年金以外の給与や不動産収入の合計が20万円を超えると、申告不要制度の適用外となり確定申告が義務付けられます。自分の収入状況をしっかり確認して、無理のない申告を目指しましょう。

確定申告で活用できる所得控除と税金対策のポイント

確定申告の最大のメリットは、各種所得控除を活用して税負担を軽減できることです。年金受給者でも対象となる控除は多く、しっかり理解して活用すると効果的です。

主な所得控除の種類と具体例

  • 医療費控除: 年間の医療費が10万円以上か、所得が200万円未満の場合は所得の5%を超える額を控除できます。生計を共にする家族の医療費も合算可能です。例えば、家族の医療費合計が15万円の場合、控除対象は5万円または所得の5%を超える部分となり、所得税が軽減され還付が期待できます。
  • 社会保険料控除: 国民年金や国民健康保険などの社会保険料を1年間で支払った全額が控除されます。年金から天引きのほか、自分や家族が支払った保険料も対象です。
  • 扶養控除・配偶者控除: 70歳以上の扶養親族がいる場合は控除額が増える特例もあります。申告書の提出忘れは確定申告で取り戻せます。
  • 生命保険料控除・地震保険料控除: 保険料控除証明書を添付して確定申告を行いましょう。
  • 寄附金控除(ふるさと納税): 2,000円を超える寄附が控除対象です。家族構成や年収により控除上限額が異なるため、事前にシミュレーションし最適な寄附額を決めましょう。

これらの控除を組み合わせることで、源泉徴収された税金の還付はもちろん、翌年以降の税負担も軽くなります。確定申告の手続きはやや複雑に感じるかもしれませんが、市区町村の税務相談窓口や税理士への相談を活用し、自己負担の軽減に繋げてください。正しい知識と適切な手続きで、年金受給者の賢い税金対策が実現します

年金を賢く増やし、手取りを最大化する戦略:付加保険料やiDeCoの活用

付加保険料で年金を増やす仕組みとそのメリット

年金受給者や将来の年金受給見込み者にとって、付加保険料を活用することは賢い資産形成の一つです。付加保険料とは、国民年金保険料に上乗せして納める形の任意の追加保険料で、月額わずか400円で納付できます。これにより、将来受け取る老齢基礎年金が毎月200円増額される仕組みです。つまり、20年納めれば400円×12ヶ月×20年=96,000円の支払いに対し、毎月200円×12ヶ月×20年=48,000円の増額受給となり、約20年で元が取れる計算になります。

付加保険料は、年金の「原資」として積み立てられ、老後に安定した収入源を確保できるため、手取りの年金額を確実に増やすことが可能です。また、付加保険料の納付は社会保険料控除の対象となるため、毎年の所得控除にもつながり税負担も軽減できます。特に現在国民年金の第1号被保険者であれば、付加保険料の追加納付を検討する価値があります。

ただし、付加保険料は原則として60歳の誕生日がある月までに納める必要があるため、できるだけ早期に検討し始めることが重要です。いつごろから付加保険料の納付を始めても、将来の年金額が増える点は変わりませんが、長期間納めるほど増額分の総受給額が増えるためです。ご自身の年金加入状況や今後の収入を踏まえて、付加保険料の納付を検討してみてください。

iDeCoを活用した節税効果と年金上乗せの方法

確定拠出年金の一種であるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、年金受給者が所得控除と将来の年金額上乗せを狙える非常に有効な制度です。iDeCoは、自分で毎月一定額を積み立て、運用し、その資産を老後に年金や一時金として受け取れる仕組みで、積立時の掛金が全額所得控除の対象となります。

年金収入の他に給与や不動産収入がある方でも、iDeCoを利用すれば掛金分だけ所得を圧縮でき、所得税・住民税の節税効果を即時に享受可能です。たとえば、年間24万円(月2万円)を10年間積み立てれば、控除によって数万円の所得税還付が期待でき、運用益も非課税です。さらに60歳以降の受給時も税制上の優遇があるため、トータルで大きな節税メリットがあります。

ただし、2025年の税制改正後は65歳未満の課税対象となる年金額が変更されるため、受給者は自身の所得構成を踏まえて掛金額を調整することが望ましいです。また、iDeCoは原則60歳まで資産を引き出せないため、中長期の資産運用として計画的に活用してください。60歳以降の年金額を増やしつつ、節税効果も得たい方には最適な制度です。

運用商品も多様化しているため、リスク許容度や運用期間に合わせて選択しましょう。公的年金の不足分を補いながら、税金面での優遇も最大限活用するために、iDeCoをぜひ検討してください。

確定申告と控除の賢い利用で手取りを増やすポイント

年金受給者が手取りを最大化するには、確定申告および各種所得控除の適切な活用が不可欠です。公的年金等の収入が一定以下の場合は確定申告不要制度がありますが、医療費控除や社会保険料控除、ふるさと納税(寄附金控除)などを適用して税金の還付を受けるには、確定申告が必要です。

例えば、年間医療費が10万円を超える場合は「医療費控除」により所得税還付が受けられます。家族全員の医療費を合算でき、所得が低い方ほど還付額が大きくなります。また、国民年金保険料や国民健康保険料を1年間で納めた分も、すべて「社会保険料控除」として所得から差し引けるため、年金支給額に影響を与えず税負担を軽減可能です。

さらに、70歳以上の扶養親族や配偶者がいる場合は、控除額が増える特例も存在し、扶養控除や配偶者控除を受けるには「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の提出が必要です。これを忘れた場合にも確定申告で申請できます。

また、ふるさと納税を活用した「寄附金控除」も所得税・住民税を節税しつつ、実質2,000円の負担で地域の特産品などを受け取れるため、家計の味方になります。年収や家族構成によって控除上限額が異なるため、必ずシミュレーションして適正な額を寄附しましょう。

これらの控除や還付を最大限活用することで、年金受給者でも手取り収入を増やし、税負担を軽減できるため、ぜひ毎年の確定申告で漏れなく申請することが重要です。

まとめ

年金と税金の関係は複雑に見えますが、基本的な仕組み、特に年金収入が雑所得として課税されること、公的年金等控除や扶養控除などの所得控除を理解することが重要です。年金収入が一定額以下であれば非課税となり、非課税世帯向けの優遇措置も存在します。また、付加保険料の活用や年末調整・確定申告を適切に行うことで、手取り額を最大化し、賢く老後資金を管理できます。これらの知識を活用し、安心して豊かなセカンドライフを送りましょう。

よくある質問

Q: 年金は全て非課税になるのでしょうか?

A: いいえ、全ての年金が非課税になるわけではありません。公的年金は一定額を超えると「雑所得」として課税対象となります。ただし、年金収入が少ない場合や、公的年金等控除などの適用により非課税となるケースがあります。また、障害年金や遺族年金は非課税です。


Q: 年金受給者が「非課税世帯」になる基準はありますか?

A: 非課税世帯の基準は、住民税が非課税となる世帯を指し、前年の合計所得金額が自治体ごとに定められた基準額以下である場合に該当します。具体的には、所得割と均等割の両方が非課税となる条件があり、年金収入のみの場合でも、公的年金等控除などを適用した後の所得が基準を下回れば非課税世帯になります。


Q: 年金収入がある場合でも、配偶者や子を「扶養」に入れることはできますか?

A: はい、年金収入がある方でも、配偶者や子を扶養に入れることは可能です。ただし、扶養控除の対象となるには、扶養される方の所得が一定額以下(原則として合計所得金額が48万円以下)である必要があります。年金収入は公的年金等控除が適用されるため、見た目の収入額よりも所得は低くなることが多いです。


Q: 「付加保険料」を納めるメリットは何ですか?

A: 付加保険料は、国民年金保険料に月額400円を上乗せして納めることで、将来受け取る老齢基礎年金に「200円×付加保険料納付月数」が加算される制度です。2年で元が取れる計算になり、非常に有利な年金増額方法の一つと言えます。所得控除の対象にもなるため、節税効果も期待できます。


Q: 年金だけでも年末調整は必要ですか?

A: 原則として、公的年金等のみを受給している方は年末調整の対象とはなりません。年金保険者(日本年金機構など)から送付される「公的年金等の源泉徴収票」を基に、自分で確定申告を行うことで、所得税の還付や追加納税の手続きを行います。ただし、公的年金以外の所得(給与所得や副業所得など)がある場合は、確定申告が必須です。