AWS(Amazon Web Services)は、クラウドコンピューティングサービスを提供する大手企業であり、そのサービスを試用できる「無料利用枠」を提供しています。この無料利用枠は、新規ユーザーがAWSのサービスを体験し、学習や検証を行う上で非常に有用です。この記事では、AWS無料枠で利用できる主要サービスとその賢い活用法を徹底解説します。

AWS無料枠で利用できる主要サービスとは?

無料利用枠の種類とその特徴

AWSの無料利用枠は、「12ヶ月無料枠」「無期限無料枠」「無料トライアル」の3種類があります。12ヶ月無料枠は主要サービスを1年間試せる一方、期間満了後の課金に注意が必要です。無期限無料枠は常に利用可能ですが、利用量に上限があります。特定サービス向けの無料トライアルも活用し、AWSを賢く体験しましょう。

2025年7月15日以降は、新規ユーザーに最大200 USD相当のクレジットが付与される新制度に移行します。(出典:参考情報)

主要サービスの無料枠概要

AWS無料枠では、仮想サーバーのAmazon EC2 (t2.micro/t3.micro月750時間)、ストレージのAmazon S3 (5GB標準ストレージ)、リレーショナルデータベースのAmazon RDS (db.t2.micro月750時間)といった主要サービスを無料で利用できます。これらはAWSの基礎を学ぶ上で非常に有用です。(出典:参考情報)

他にも、サーバーレスのAWS Lambda (月100万リクエスト)、NoSQLデータベースのAmazon DynamoDB (月25GBストレージ)なども対象です。(出典:参考情報)

幅広いカテゴリをカバーする無料枠

上記の主要サービス以外にも、AWSでは広範なカテゴリで無料枠を提供しています。例えば、コンテンツ配信ネットワークのAmazon CloudFront (月50GBデータ転送)、ロードバランサーのElastic Load Balancing (月750時間)、さらに監視・ログ管理のAmazon CloudWatch、データカタログのAWS Glue、メッセージングサービスのAmazon SNS/SQSなども含まれます。(出典:参考情報)

これにより、Webサイト構築からデータ処理、運用監視まで、多岐にわたるソリューションを試すことが可能です。

AI、API、ストレージなど、無料機能の具体的な内容

AI/MLサービスの無料トライアル

AWSでは、最先端の人工知能・機械学習(AI/ML)サービスも無料枠や無料トライアルで利用可能です。例えば、画像・動画分析のAmazon Rekognition、テキストから音声を生成するAmazon Polly、自然言語処理のAmazon Comprehendなどが挙げられます。

これらのサービスは、特定の期間内または一定のリクエスト数まで無料で試すことができ、最新技術を自身のプロジェクトに取り入れる第一歩として最適です。

API連携とメッセージングの活用

アプリケーション間の連携やリアルタイム処理に欠かせないAPI関連サービスも、無料枠で利用できます。サーバーレスコンピューティングのAWS Lambdaは月100万リクエスト、400,000GB秒の実行時間が無料枠に含まれており、API Gatewayと組み合わせることで手軽にAPIを構築可能です。(出典:参考情報)

また、メッセージングサービスのAmazon SNSやAmazon SQSも一定のメッセージ数まで無料で、イベント駆動型アーキテクチャの実現をサポートします。(出典:参考情報)

多様なストレージオプション

データ保存には様々なサービスがあり、それぞれ無料枠が提供されています。Amazon S3は5GBの標準ストレージと20,000件のGETリクエスト、2,000件のPUTリクエストが無料です。Amazon DynamoDBは最大25GBのストレージと月200万リクエストまで無料で利用でき、NoSQLデータベースとして最適です。(出典:参考情報)

さらに、Amazon RDSではdb.t2.microインスタンスに20GBの汎用SSDストレージとバックアップ用に20GBが付属します。(出典:参考情報)

ECS, EBS, ELBなどのコンピューティング・ストレージ無料枠

EC2とEBSの無料枠詳細

AWSの根幹をなす仮想サーバー、Amazon EC2では、t2.microまたはt3.microインスタンスが月750時間まで無料です。これは1台のインスタンスをほぼ1ヶ月間稼働させられる計算ですが、複数インスタンスの同時利用には注意が必要です。(出典:参考情報)

また、EC2インスタンスの起動ディスクとして一般的に利用されるEBS (Elastic Block Store) の汎用SSDも、最大30GBまで無料枠に含まれることが多いです。

コンテナサービスとロードバランシング

コンテナ化されたアプリケーションの実行環境として人気のAmazon ECS (Elastic Container Service) は、基盤となるEC2インスタンスの無料枠を活用できます。

トラフィックを分散させるElastic Load Balancing (ELB) も月750時間まで無料で利用可能です。これにより、アプリケーションのスケーラビリティと可用性を向上させる基盤を無料枠で試すことができます。(出典:参考情報)

データベースとデータ転送

リレーショナルデータベースのAmazon RDSは、db.t2.microデータベースが月750時間利用でき、20GBの汎用SSDストレージとバックアップ用20GBも無料です。NoSQLデータベースのAmazon DynamoDBは月25GBストレージと200万リクエストが無料です。(出典:参考情報)

コンテンツ配信ネットワークのAmazon CloudFrontは、月50GBのデータ転送と200万件のHTTP/HTTPSリクエストが無料で、Webコンテンツの高速配信をサポートします。(出典:参考情報)

IAM, Cognito, Organizationsでセキュリティと管理を効率化

IAMでセキュアなアクセス管理

AWS Identity and Access Management (IAM) は、AWSリソースへのアクセスを安全に管理するためのサービスで、無期限無料枠で利用できます。ユーザーやグループ、ロールを作成し、最小限の権限を付与する「最小権限の原則」に基づいたセキュリティ設定が可能です。

これにより、誰がどのサービスにアクセスできるかを細かく制御し、クラウド環境のセキュリティを強固に保つことができます。

Cognitoでユーザー認証を簡単に

Amazon Cognitoは、Webおよびモバイルアプリケーションにユーザーサインアップ、サインイン、アクセスコントロールの機能を追加できるサービスです。こちらも無期限無料枠があり、月間アクティブユーザー数に応じて無料で利用できます(例:月間5万ユーザーまで無料)。

これにより、開発者は認証基盤の構築にかかる手間を大幅に削減し、アプリケーション開発に注力できます。

Organizationsで複数アカウントを一元管理

AWS Organizationsは、複数のAWSアカウントを一元的に管理するためのサービスであり、これも無期限無料枠の対象です。これにより、アカウントの階層化、一括請求、そしてサービスコントロールポリシー (SCP) を用いた統制を実現できます。

開発環境、テスト環境、本番環境など、用途に応じたアカウント分離を行いながら、ガバナンスを強化するのに役立ちます。

AWS無料枠を最大限に活用するコツと注意点

無料枠の制限を常に意識する

無料枠を効果的に活用するためには、各サービスに設定された利用時間、容量、リクエスト数などの上限を正確に理解することが不可欠です。特にEC2の月750時間制限は、複数インスタンスを同時に動かすと容易に超過してしまうため、注意が必要です。(出典:参考情報)

また、利用したいリージョンで無料枠が適用されるか、利用するインスタンスタイプやOSが無料枠対象かどうかも事前に確認しましょう。(出典:参考情報)

不要なリソースは停止・削除する

意図しない課金を避けるための最も重要な対策の一つは、使わなくなったリソースを確実に停止または削除することです。特にEC2インスタンスやRDSデータベースは、稼働し続けるだけで課金対象となることがあります。(出典:参考情報)

学習や検証目的で利用したリソースは、作業終了後に必ずAWSマネジメントコンソールから確認し、適切にクリーンアップする習慣をつけましょう。

コスト管理ツールとアラートを活用する

AWS BudgetsやCost ExplorerといったAWSのコスト管理ツールを活用し、予算や使用量の上限を設定しておくことを強く推奨します。これにより、設定したしきい値を超過しそうになった際にアラート通知を受け取ることができ、予期せぬ高額請求を防げます。(出典:参考情報)

定期的に利用状況をモニタリングし、賢くAWSリソースを管理することで、安心して無料枠を最大限に活用できます。