概要: Javaのバージョン確認は、開発環境の整備やトラブルシューティングに不可欠です。本記事では、Windows・Linuxそれぞれの環境でのコマンドライン・GUIによる確認方法、バージョンアップのメリットや注意点、32bit/64bit版の違いと切り替え方法、そしてバージョン管理ツールの活用法までを網羅的に解説します。
Javaのバージョン確認・管理・アップグレードを徹底解説!
Javaを扱う上で、現在システムにどのバージョンのJavaがインストールされているかを確認し、適切に管理することは非常に重要です。開発や実行環境が特定のバージョンを要求する場合も多く、互換性の問題やセキュリティリスクを防ぐためにも、最新の情報を把握しておく必要があります。この記事では、Javaのバージョン確認方法から、バージョンアップのメリットと注意点、そして効率的なバージョン管理ツールの活用法までを徹底的に解説します。
Javaのバージョン確認方法:コマンドラインとGUI
Javaのバージョンを確認する方法はいくつかありますが、主にコマンドラインとグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使った方法が一般的です。どちらの方法も一長一短があり、状況に応じて使い分けることで、正確なバージョン情報を迅速に取得できます。ここでは、それぞれの確認方法とその詳細について解説します。
コマンドラインでの迅速なバージョンチェック
最も手軽で汎用的なJavaバージョン確認方法は、コマンドラインを使用することです。Windowsのコマンドプロンプトや、Mac/Linuxのターミナルを開き、以下のコマンドを実行するだけで、現在システムが認識しているJava Runtime Environment (JRE) のバージョン情報を素早く取得できます。
java -version
このコマンドを実行すると、通常はJavaのバージョン番号、ランタイム環境のビルド番号、そして時に64bit版かどうかの情報が表示されます。例えば、「openjdk version "17.0.5" 2022-10-18 LTS」のような出力が得られるでしょう。この出力から、現在コマンドラインで利用可能なJavaのバージョンが一目で分かります。(参考情報より)
この方法は、システムにJavaが正しく設定されているかを確認する最初のステップとしても役立ちます。また、複数のJavaバージョンがインストールされている環境で、現在どのバージョンがアクティブになっているかを確認する際に特に重宝するため、開発者にとっては必須の知識と言えるでしょう。
Windows GUIを使った直感的な確認方法
Windows環境を利用している場合、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使ってJavaのバージョンを確認することも可能です。コマンドライン操作に不慣れな方や、システムにインストールされている複数のJavaバージョンを一括で確認したい場合に特に便利です。この方法では、Javaの構成設定を管理するコントロールパネルを利用します。
まず、Windowsの「スタート」メニューを開き、「Java」と検索します。検索結果に表示される「Javaの構成」(または「Javaコントロールパネル」)をクリックして開いてください。Javaコントロールパネルが開いたら、「Java」タブを選択し、その中にある「表示」ボタンをクリックします。これにより、現在システムにインストールされているすべてのJava Runtime Environmentのバージョン情報が一覧で表示されます。(参考情報より)
この一覧では、各Javaバージョンのベンダー(Oracleなど)、製品名、およびインストールパスなどが詳細に表示されるため、どのJavaがどこにインストールされているかを視覚的に把握できます。開発環境のセットアップや、特定のアプリケーションが動作しない原因を調査する際に役立つでしょう。視覚的に分かりやすく、複数のバージョンをまとめて確認できるため、初心者の方にもおすすめの方法です。
開発者向け!JDKとJREのバージョンを理解する
Javaの開発に携わる方にとって、Java Development Kit (JDK) とJava Runtime Environment (JRE) の違いを理解し、それぞれのバージョンを確認することは非常に重要です。JREはJavaアプリケーションを実行するための環境であり、java -version コマンドで確認できるのは主にこのJREのバージョンです。
一方、JDKはJavaアプリケーションを開発するためのツール一式であり、Javaコンパイラ(javac)などが含まれています。開発を行う場合は、JDKがインストールされている必要があります。JDKのバージョンを確認するには、コマンドラインで以下のコマンドを使用します。(参考情報より)
javac -version
このコマンドは、Javaコンパイラのバージョンを表示します。例えば、「javac 17.0.5」のような出力が得られます。もし「javacコマンドが見つかりません」といったエラーが表示される場合、JDKが正しくインストールされていないか、環境変数が設定されていない可能性があります。開発環境では、JREとJDKのバージョンが一致していることが望ましい場合が多いですが、JREがJDKよりも新しいバージョンであっても問題なく動作することもあります。
これら二つのバージョンを適切に管理することで、開発プロジェクトにおける互換性の問題を未然に防ぎ、スムーズな開発ワークフローを維持することができます。特に、異なるプロジェクトで異なるJavaバージョンを使用する際には、JDKとJREの両方のバージョンを意識することが重要です。
WindowsとLinuxでのJavaバージョン確認手順
Javaのバージョン確認は、オペレーティングシステムによって細かな手順が異なりますが、基本的な考え方は共通しています。WindowsとLinux/macOSという主要な環境での具体的な確認手順と、複数のJavaバージョンが共存する状況での注意点について解説します。これにより、お使いの環境で確実にJavaのバージョンを把握できるようになります。
Windows環境でのコマンドラインとGUI手順
Windowsユーザーは、コマンドプロンプトとJavaコントロールパネルの二つの方法でJavaバージョンを確認できます。コマンドプロンプトを開くには、Windowsキーを押して「cmd」と入力し、Enterキーを押します。開いたコマンドプロンプトで java -version と入力すれば、現在システムが認識しているJREのバージョンが表示されます。JDKがインストールされている場合は javac -version でコンパイラのバージョンも確認できます。
GUIを使用する場合は、前述の通り「スタート」メニューから「Javaの構成」を開き、「Java」タブの「表示」をクリックします。ここには、システムにインストールされているすべてのJava Runtime Environmentのリストが表示され、それぞれのバージョンやインストール場所を詳細に確認できます。この方法は、特に開発環境の初期設定や、どのバージョンのJavaが利用可能か視覚的に把握したい場合に非常に有効です。(参考情報より)
Windowsでは、JAVA_HOME や Path といった環境変数の設定が、どのJavaバージョンが優先的に使用されるかを決定します。新しいJavaをインストールした際は、これらの環境変数が正しく更新されているかを確認し、必要であれば手動で設定し直すことが重要です。
Linux/macOS環境でのターミナル活用術
LinuxやmacOSユーザーにとって、Javaのバージョン確認はターミナルを介したコマンド実行が主な方法となります。ターミナルを開き、Windowsと同様に java -version コマンドを実行することで、現在システムで使用されているJREのバージョン情報を取得できます。出力形式はWindowsとほぼ同じで、Javaのバージョン番号とビルド情報が表示されます。
また、Java開発者であれば、JDKがインストールされていることを確認するためにも、javac -version コマンドの実行は必須です。このコマンドは、Javaコンパイラのバージョンを示すもので、通常はJREのバージョンと密接に関連しています。これらのコマンドは、シェルの設定(例えば .bashrc や .zshrc)によって異なるJavaバージョンを参照している場合があるため、注意が必要です。
LinuxやmacOSでは、update-alternatives (Debian/Ubuntu系) や archlinux-java (Arch系) といったシステムツールを使って、システム全体のデフォルトJavaバージョンを切り替えることも可能です。これらのツールを使うことで、手動で環境変数を設定するよりも簡単にバージョン管理が行えます。特に、プロジェクトごとに異なるJavaバージョンを使用する際には、このようなツールや後述のバージョン管理ツールが非常に役立ちます。
複数のJavaバージョンがインストールされている場合の注意点
一つのシステムに複数のJavaバージョンがインストールされていることは珍しくありません。特に開発環境では、異なるプロジェクトが異なるJavaバージョンを要求することがよくあります。このような状況では、システムがどのJavaバージョンを使用するかを正しく制御することが重要です。誤ったバージョンが使われると、アプリケーションが正常に動作しなかったり、コンパイルエラーが発生したりする可能性があります。
システムが使用するJavaバージョンを決定する主な要因は、環境変数 JAVA_HOME と Path です。JAVA_HOME は、JDKのルートディレクトリを指し示す重要な変数であり、多くのJavaアプリケーションやビルドツールがこの変数を参照します。Path 環境変数には、実行可能ファイルへのパスが含まれており、コマンドラインで java や javac を実行した際に、どのバージョンの実行ファイルが呼び出されるかを決定します。(参考情報より)
これらの環境変数が正しく設定されていないと、意図しないJavaバージョンが使用されてしまうことがあります。バージョンを切り替えたい場合は、これらの環境変数を手動で変更するか、SDKMAN!やjenvのようなJavaバージョン管理ツールを活用することをお勧めします。プロジェクトごとに異なるバージョンを使い分けたい場合は、特にこれらの管理ツールが効果的です。常にアクティブなJavaバージョンを確認する習慣をつけ、予期せぬ問題を回避しましょう。
Javaのバージョンアップ:メリットと注意点
Javaのバージョンアップは、開発環境や本番環境のセキュリティを保ち、最新の技術トレンドに対応するために不可欠なプロセスです。新しいバージョンは、単に機能が追加されるだけでなく、パフォーマンスの向上やバグ修正、そして最も重要なセキュリティ脆弱性のパッチが含まれています。しかし、アップグレードには注意すべき点もいくつか存在します。ここでは、バージョンアップの主なメリットと具体的な手順、そして長期的な視点でのLTSバージョンとライセンスについて解説します。
バージョンアップの主なメリット:セキュリティと新機能
Javaのバージョンを最新の状態に保つことには、多くのメリットがあります。第一に、セキュリティの強化が挙げられます。OracleやOpenJDKコミュニティは、発見されたセキュリティ脆弱性に対して定期的にパッチを提供しています。古いバージョンを使い続けることは、既知の脆弱性を放置することにつながり、悪意のある攻撃のリスクを高めます。最新バージョンにアップグレードすることで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。
第二に、パフォーマンスの向上と新機能の利用です。新しいJavaバージョンでは、JVM(Java Virtual Machine)の最適化やガベージコレクションの改善などにより、アプリケーションの実行速度が向上することがよくあります。また、開発者がより効率的でモダンなコードを書けるようになるための新しい言語機能やAPIが追加されます。例えば、Java 8のラムダ式、Java 11のHTTP Client、Java 17のSealed Classesなど、多くの機能が追加され、開発効率とコード品質が向上しています。(参考情報より)
これらのメリットを享受することで、より堅牢で高性能なJavaアプリケーションを開発・運用することが可能になります。特にLTS(長期サポート)バージョンへの移行は、長期的な安定性とセキュリティを確保する上で非常に重要です。
アップグレードの具体的な手順と考慮事項
Javaのアップグレードは、通常、最新のJDK(Java Development Kit)をダウンロードしてインストールする形で行われます。Oracle公式サイトや、Amazon Corretto、Eclipse TemurinなどのOpenJDKディストリビューションから、利用したいバージョンのJDKをダウンロードし、インストーラーの指示に従ってシステムに導入します。インストール後には、必要に応じてシステム環境変数(JAVA_HOME や Path)を新しいJDKのパスに更新する必要があります。(参考情報より)
Windowsユーザーの場合は、「Javaコントロールパネル」を利用した更新も可能です。「更新」タブを開き、「今すぐ更新」をクリックすることで、最新版の確認とインストールプロセスを開始できます。これにより、JREが最新版に保たれます。
アップグレードを検討する際には、以下の点に注意してください。
- 既存プロジェクトの互換性: 新しいJavaバージョンは後方互換性が高いものの、ごく稀に非推奨になったAPIや挙動の変更により、既存のコードに影響が出る場合があります。アップグレード前にテスト環境での十分な検証が不可欠です。
- 依存関係の確認: 使用しているライブラリやフレームワークが、新しいJavaバージョンに対応しているかを確認してください。
- 開発環境(IDE)の対応: 使用しているIDEが新しいJavaバージョンをサポートしているか確認し、必要であればIDEもアップデートしてください。
これらの考慮事項を事前に確認し、計画的にアップグレードを進めることで、スムーズな移行を実現できます。
LTSバージョンとライセンス:長期的な視点での選択
Javaには、Oracleが提供するLTS(長期サポート)バージョンが存在します。LTSバージョンは、数年間にわたる安定性とセキュリティアップデートが保証されるため、特にエンタープライズアプリケーションや長期運用が前提となるシステムでの利用が強く推奨されます。現在の主要なLTSバージョンにはJava SE 8, 11, 17, 21があり、今後は2年ごとにLTSリリースが行われる予定です。次のLTSはJava 25が予定されています。(参考情報より)
各LTSバージョンのサポート期間の目安は以下の通りです。
| LTSバージョン | Premier Support | Extended Support |
|---|---|---|
| Java SE 8 | 2025年3月まで | 2030年12月まで |
| Java SE 11 | 2023年9月まで | 2032年1月まで |
| Java SE 17 | 2026年9月まで | 2032年1月まで |
| Java SE 21 | 2028年9月まで | 2031年9月まで |
| Java SE 25 (LTS) | 2029年9月まで | 2033年9月まで |
※Premier Support期間は通常無償、Extended Supportは有償の場合があります。(参考情報より)
ライセンスに関する重要な注意点として、Java 11以降のOracle JDKは、本番環境での商用利用には有償契約が必要となる場合があります。ただし、個人学習や開発目的では無償で利用できます。商用利用を含めて無償で利用したい場合は、Amazon CorrettoやEclipse Temurinなど、OpenJDKディストリビューションの利用を強く推奨します。また、Java SE 21 LTSは2026年9月以降、Oracle JDK 25以降はパーミッシブ・ライセンスではなくOracle Technology Network (OTN) ライセンス下での提供が計画されており、パーミッシブ・ライセンスでの利用継続を希望する場合は新しいバージョンへの移行が必要です。(参考情報より)
長期的なプロジェクトでは、LTSバージョンを選択し、ライセンスモデルを十分に理解した上で適切なディストリビューションを選択することが、将来的なコストやコンプライアンスの問題を回避する鍵となります。
32bit vs 64bit Java:違いと確認・切り替え方法
Javaをシステムにインストールする際、32bit版と64bit版の選択に迷うことがあるかもしれません。現代のほとんどのコンピューターは64bitアーキテクチャを採用していますが、特定の古いアプリケーションやシステムでは32bit版Javaが必要となるケースも存在します。ここでは、両者の基本的な違い、現在利用しているJavaがどちらのビット数であるかを確認する方法、そして必要に応じた切り替え方法について解説します。
32bit版と64bit版Javaの基本的な違い
32bit版と64bit版のJava(および他のソフトウェア全般)の最も大きな違いは、メモリ管理能力とパフォーマンスにあります。32bit版のシステムは、約4GBのメモリしか直接アドレス指定できません。これは、大規模なデータ処理を行うJavaアプリケーションにとっては大きな制約となります。一方、64bit版のJavaは、理論上非常に大きなメモリ空間を扱えるため、大容量メモリを搭載したシステムでその能力を最大限に引き出すことができます。
現代のエンタープライズアプリケーションや高性能を要求されるアプリケーションは、通常64bit版Javaを前提として設計されています。これにより、より多くのヒープメモリを確保し、複雑なデータ構造や多数のオブジェクトを効率的に処理することが可能になります。また、64bit版は一般的にCPUのレジスタサイズが大きいため、特定の計算処理においてパフォーマンスが向上する傾向があります。
互換性の観点では、64bit OS上では32bit版Javaも動作しますが、32bit OS上では64bit版Javaは動作しません。現在のほとんどのPCやサーバーは64bit OSなので、特に理由がなければ64bit版Javaを選択するのが一般的です。特定の古いアプリケーションが32bit版Javaランタイムを要求する場合にのみ、32bit版の導入を検討することになります。
現在のJava環境がどちらかを確認する方法
現在システムにインストールされ、アクティブになっているJavaが32bit版なのか64bit版なのかを確認する方法は非常に簡単です。コマンドラインで java -version コマンドを実行し、その出力結果を確認するだけです。
java -version
このコマンドの出力には、Javaのバージョン情報に加えて、そのビット数に関する情報が含まれていることが多いです。例えば、64bit版Javaがインストールされている場合、出力結果のどこかに「64-Bit」や「x86_64」といった文字列が表示されます。具体的には、以下のような出力になるでしょう。
64bit版の例:
openjdk version "17.0.5" 2022-10-18 LTS
OpenJDK Runtime Environment (build 17.0.5+8-LTS)
OpenJDK 64-Bit Server VM (build 17.0.5+8-LTS, mixed mode, sharing)
この例では「OpenJDK 64-Bit Server VM」という部分で64bitであることが明確に示されています。
一方、32bit版Javaがインストールされている場合は、そのような「64-Bit」を示す文字列は含まれません。もし出力にビットに関する情報が見当たらない場合は、通常は32bit版であると判断できます。この簡単な確認方法で、アプリケーションの要件に合致するJavaが利用されているかを確認できます。
必要に応じた32bit/64bit Javaの切り替えと設定
もしアプリケーションの要件に合わせて32bit版と64bit版のJavaを切り替える必要がある場合、いくつかの方法があります。最も直接的な方法は、利用したいビット数のJDKまたはJREをダウンロードしてインストールし、システム環境変数を適切に設定することです。
例えば、現在64bit版Javaがメインで使われているシステムで、特定のアプリケーションのために32bit版Javaを使用したい場合、まず32bit版のJavaを別途インストールします。その後、そのアプリケーションを起動する際のスクリプトや設定ファイルで、JAVA_HOME 環境変数を32bit版Javaのインストールパスに明示的に設定します。これにより、そのアプリケーションはその32bit版Javaを使用するようになります。システム全体のデフォルトJavaを変更する場合は、JAVA_HOME や Path 環境変数を変更する必要があります。
複数のJavaバージョンを柔軟に切り替えたい場合は、SDKMAN!やjenvといったバージョン管理ツールの活用が非常に有効です。これらのツールを使えば、コマンド一つでアクティブなJavaのビット数を含むバージョンを簡単に切り替えることができます。例えば、jenvではプロジェクトごとに異なるJavaバージョン(ビット数を含む)を設定できるため、開発者の負担を大幅に軽減します。
OSのビット数とJavaのビット数の関係を理解し、適切に管理することで、アプリケーションの互換性とパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。基本的には64bit版のJavaを使用し、特定のニーズがある場合にのみ32bit版の導入を検討するのが良いプラクティスです。
Javaバージョン管理ツールの活用
Java開発において、プロジェクトごとに異なるJavaバージョンを使用したり、最新のJava機能を試したりするニーズは頻繁に発生します。しかし、複数のJavaバージョンを手動で管理し、システム環境変数を毎回変更するのは非常に手間がかかります。そこで役立つのが、Javaバージョン管理ツールです。これらのツールを導入することで、バージョンの切り替えが格段に容易になり、開発効率が向上します。ここでは、環境変数を使った手動管理の基本から、モダンな管理ツールの活用、そして開発環境(IDE)との連携について解説します。
環境変数を活用した手動管理の基本
Javaのバージョンを手動で管理する最も基本的な方法は、システム環境変数 JAVA_HOME と Path を設定することです。JAVA_HOME 環境変数は、インストールされているJDKのルートディレクトリ(例: C:\Program Files\Java\jdk-17.0.5 や /usr/lib/jvm/java-17-openjdk)を指し示します。多くのJavaアプリケーションやビルドツール(Maven, Gradleなど)はこの JAVA_HOME を参照して、使用するJavaのバージョンを決定します。
一方、Path 環境変数は、コマンドラインで実行する java や javac コマンドがどの実行ファイルを参照するかを決定します。通常、%JAVA_HOME%\bin (Windows) や $JAVA_HOME/bin (Linux/macOS) を Path の先頭に追加することで、JAVA_HOME で指定されたJavaが優先的に使用されるようになります。
これらの環境変数を変更することで、システム全体で使用するJavaのバージョンを切り替えることができます。しかし、これは複数のバージョンを頻繁に切り替える場合には非常に面倒な作業となります。特に、WindowsではGUIを開いて変数を編集し、コマンドプロンプトを再起動する手間がかかります。Linux/macOSでも、シェルの設定ファイル(.bashrcや.zshrcなど)を編集し、ターミナルを再起動する必要があります。このため、より柔軟な管理のためには専用のツールが推奨されます。
SDKMAN!とjenv:モダンなバージョン管理ツール
複数のJavaバージョンを効率的に管理し、プロジェクトごとに簡単に切り替えたい場合、SDKMAN!やjenvのようなモダンなバージョン管理ツールが非常に役立ちます。これらのツールは、手動での環境変数設定の煩わしさから解放してくれます。
- SDKMAN! (The SDK Manager):
SDKMAN!は、Java JDKだけでなく、Groovy、Kotlin、ScalaなどのJVM言語、さらにMavenやGradle、Antなどのビルドツールも一元的に管理できる強力なパッケージマネージャーです。シンプルなコマンドで複数のJDKをインストールし、必要なバージョンに切り替えることができます。例えば、
sdk install java 17.0.5-temでTemurin 17.0.5をインストールし、sdk use java 17.0.5-temでそのバージョンを現在のセッションでアクティブにできます。グローバルなバージョン設定も可能です。様々なJVMエコシステムのツールを扱う開発者にとって非常に便利です。(参考情報より) - jenv:
jenvは、RubyのrbenvやNode.jsのnvmに似た、Javaに特化したバージョン管理ツールです。複数のJavaバージョンを簡単にインストール、管理、そして「プロジェクトごとに異なるJavaバージョンを設定できる」点が大きな特長です。プロジェクトのルートディレクトリに
.java-versionファイルを配置することで、そのプロジェクトにアクセスした際に自動的に指定されたJavaバージョンがアクティブになるように設定できます。これにより、異なるJavaバージョンを要求する複数のプロジェクトを同時に開発する際の、バージョン切り替えの手間を大幅に削減します。システム全体のデフォルトバージョンを変更する機能も備えています。(参考情報より)
これらのツールを導入することで、Java開発環境の構築と管理が劇的に効率化され、開発者はより本質的な開発作業に集中できるようになります。
開発環境(IDE)とJavaバージョンの連携
統合開発環境(IDE)は、Java開発において不可欠なツールであり、Javaのバージョン管理と密接に連携しています。主要なIDEは、プロジェクトごとに使用するJDK(Java Development Kit)のパスを指定する機能を提供しており、これにより特定のJavaバージョンでコンパイルおよび実行を行うことができます。代表的なIDEには、Visual Studio Code (VS Code)、Eclipse IDE、JetBrains IntelliJ IDEA Community Edition、Apache NetBeansなどがあります。(参考情報より)
例えば、IntelliJ IDEAでは、プロジェクト設定(Project Structure)からプロジェクトSDKとして利用したいJDKのパスを選択できます。これにより、システムのデフォルトJavaバージョンが何であっても、プロジェクト固有のJavaバージョンで開発を進めることが可能になります。VS Codeでは、Java Extension Packを導入することで、プロジェクトごとにJDKパスを設定したり、複数のJDKを登録して切り替えたりする機能が利用できます。
このようなIDEの機能と、SDKMAN!やjenvのようなバージョン管理ツールを組み合わせることで、さらに柔軟かつ強力な開発環境を構築できます。例えば、SDKMAN!で複数のJDKをインストールしておき、IDEのプロジェクト設定でその中から任意のJDKを選択するといった運用が可能です。これにより、異なるJavaバージョンをターゲットとする複数のプロジェクトを並行して開発する際の複雑さが大幅に軽減されます。
開発効率を最大化するためには、お使いのIDEが提供するJavaバージョン設定機能を理解し、積極的に活用することが重要です。これにより、バージョンの不一致による問題を回避し、スムーズな開発体験を享受できるでしょう。
まとめ
よくある質問
Q: Javaのバージョンを確認する一番簡単な方法は?
A: コマンドプロンプト(Windows)またはターミナル(Linux/macOS)で `java -version` コマンドを実行するのが最も簡単で確実な方法です。
Q: Windows 11でJavaのバージョンを確認するには?
A: Windows 11では、コマンドプロンプトで `java -version` と入力して実行するか、コントロールパネルからJavaのバージョンを確認できます。また、インストールされているJDKのパスを確認する方法もあります。
Q: Javaを最新バージョンにアップグレードするメリットは?
A: 最新バージョンでは、パフォーマンスの向上、セキュリティの強化、新しい機能の追加、バグ修正などが期待できます。これにより、より安全で効率的な開発が可能になります。
Q: Javaの32bit版と64bit版で何が違いますか?
A: 主な違いは、扱えるメモリ容量です。64bit版は32bit版よりもはるかに大きなメモリを扱えるため、大量のデータを処理する場合や、大規模なアプリケーション開発で有利になります。
Q: 複数のJavaバージョンを管理するにはどうすれば良いですか?
A: SDKMAN! (Linux/macOS) やChocolatey (Windows) などのバージョン管理ツールを利用すると、複数のJavaバージョンを簡単にインストール、切り替え、管理できます。また、IDEによっては、プロジェクトごとに使用するJDKを指定する機能もあります。