ネットワークエンジニアの仕事内容とは?やりがいからデメリットまで徹底解説

ネットワークエンジニアは、現代社会のあらゆる情報流通を支えるITインフラの根幹を築き、維持する専門職です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速やクラウドサービスの普及、5Gといった最先端技術の発展に伴い、その重要性はますます高まっています。

この記事では、ネットワークエンジニアの具体的な仕事内容から、この職種の持つやりがい、そして大変な点、さらには将来性やキャリアパスまで、徹底的に解説します。

  1. ネットワークエンジニアの多様な仕事内容と役割
    1. ネットワークインフラの「要」を担う主な業務フェーズ
    2. クラウド化とDX推進がもたらす新たな役割
    3. 高い専門性と変化への適応力が求められる理由
  2. ネットワークエンジニアが活躍できるフィールドとキャリアパス
    1. 社会を支えるインフラエンジニアとしてのやりがい
    2. 需要拡大と将来性の高いキャリアパス
    3. スキルアップと年収アップを目指せる資格と統計データ
  3. ネットワークエンジニアになるには?必要なスキルと文系・女性でも活躍できるか
    1. 必須ではないが有利になる専門知識と技術
    2. 専門性と共に磨くべきソフトスキル
    3. 文系出身者・女性エンジニアの活躍の可能性
  4. ネットワークエンジニアのメリット・デメリットと独立の可能性
    1. ネットワークエンジニアとして働くメリットと魅力
    2. 大変な側面やデメリットへの対処法
    3. フリーランスとしての独立とキャリアアップ
  5. ネットワークエンジニアと関連職種の違い:プログラマーとの比較
    1. ネットワークエンジニアとプログラマーの役割の違い
    2. 業務内容と求められるスキルの相違点
    3. キャリアパスと将来性における共通点と多様性
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: ネットワークエンジニアは具体的にどのような仕事をするのですか?
    2. Q: ネットワークエンジニアの仕事で得られるスキルは何ですか?
    3. Q: ネットワークエンジニアになるのに文系・理系は関係ありますか?
    4. Q: ネットワークエンジニアのデメリットはありますか?
    5. Q: ネットワークエンジニアは独立できますか?

ネットワークエンジニアの多様な仕事内容と役割

ネットワークインフラの「要」を担う主な業務フェーズ

ネットワークエンジニアの仕事は、ITインフラの設計から構築、そしてその後の運用・保守に至るまで、多岐にわたります。

まず「要件定義・設計」フェーズでは、クライアントのビジネスニーズを深く理解し、どのようなネットワークシステムが必要かを明確にします。これには、IPアドレス設計、ルーティング設計、障害発生時の対応設計、将来的な拡張性を見据えた設計などが含まれます。

次に「構築」フェーズでは、設計書に基づいてルーターやスイッチといったネットワーク機器を選定し、導入・設置します。機器に適切な設定を投入し、物理的な配線や接続を行った後、通信テストを実施し、設計通りの性能が出ているか、不具合がないかを厳密に確認します。

そして「運用・保守・監視」フェーズでは、稼働中のネットワークシステムが常に安定した状態を保てるよう、24時間365日体制で監視を行います。異常を検知した際には、迅速に原因を特定し、復旧作業を行うことが求められます。定期的なメンテナンスやセキュリティアップデートもこのフェーズの重要な役割です。

クラウド化とDX推進がもたらす新たな役割

近年、企業のIT環境はオンプレミス(自社保有のデータセンター)からクラウドへと大きくシフトしています。

ネットワークエンジニアの業務も、従来の物理的なネットワーク機器の管理に加え、AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドプラットフォーム上でのネットワーク設計・構築・運用のスキルが必須となりつつあります。

DX推進の文脈では、ビジネスプロセスのデジタル化を支えるための柔軟でセキュアなネットワーク基盤の構築が求められます。

具体的には、IoTデバイスからのデータ収集ネットワーク、AIを活用したシステムのための高速通信環境、リモートワークを支えるVPN(仮想プライベートネットワーク)の設計など、新たな技術とビジネス要件に合わせたネットワークソリューションの提供がネットワークエンジニアに期待されています。

高い専門性と変化への適応力が求められる理由

ネットワーク技術は常に進化しており、その複雑さは増す一方です。新しいプロトコル、仮想化技術、SDN(Software-Defined Networking)といった概念が次々と登場するため、ネットワークエンジニアは絶えず最新の知識を学び続ける必要があります。

また、サイバー攻撃の手法も巧妙化しており、高度なセキュリティ知識と対策はネットワークエンジニアにとって不可欠なスキルです。ファイアウォール、IDS/IPS、VPN、認証システムなど、多岐にわたるセキュリティ技術を理解し、適切に導入・運用する責任があります。

さらに、クラウド化や自動化の進展により、従来のオンプレミス中心の業務だけでなく、インフラのコード化(Infrastructure as Code; IaC)やプログラミングの知識も求められる場面が増えてきました。

技術の進化に対応し、自身のスキルセットを常にアップデートしていく柔軟性と学習意欲が、この職種で長く活躍するための鍵となります。

ネットワークエンジニアが活躍できるフィールドとキャリアパス

社会を支えるインフラエンジニアとしてのやりがい

ネットワークエンジニアの最大のやりがいの一つは、その社会貢献性の高さにあります。

インターネットはもちろん、企業の基幹システム、金融サービス、医療システム、交通網に至るまで、現代社会はネットワークインフラがなければ機能しません。自身の仕事が社会の安定稼働を支え、人々の生活やビジネス活動に不可欠な基盤を提供しているという実感を強く得ることができます。

また、突発的なネットワーク障害が発生した際、迅速に原因を特定し、システムを復旧させたときの達成感も大きなモチベーションとなります。

ユーザーや企業活動の停滞を防ぎ、感謝されることで、大きなやりがいを感じるエンジニアは少なくありません。常に進化するクラウド、IoT、5G、AIといった最先端のIT技術に触れながら業務を行うため、知的好奇心を満たし、自身のスキルアップを実感できる点も魅力です。

需要拡大と将来性の高いキャリアパス

IT人材不足が深刻化する日本において、ネットワークエンジニアの需要は今後も安定して高いと予測されています。

経済産業省の資料によると、IT人材は2030年までに最大で約79万人の不足が見込まれており、ネットワークエンジニアもその一例として、採用競争が激化しています。

特に、クラウド環境への対応力、高度なセキュリティ対策の知識、そしてインフラ全体を俯瞰(ふかん)して設計・構築・運用できるスキルを持つ人材は、ますます市場価値が高まるでしょう。

キャリアパスとしては、技術を深めるスペシャリストの道だけでなく、プロジェクトマネージャーとして大規模なインフラプロジェクトを統括したり、ITコンサルタントとして企業のIT戦略を支援したりする道も開かれています。

自身の専門性を高めながら、多様なキャリアを選択できる将来性の高い職種と言えます。

スキルアップと年収アップを目指せる資格と統計データ

ネットワークエンジニアとして働く上で、特定の資格が必須というわけではありません。しかし、自身のスキルや知識を客観的に証明するため、あるいはキャリアアップのために、資格取得は非常に有効な手段です。

代表的な資格としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 国家資格:
    • ITパスポート試験(IT全般の基礎知識)
    • 基本情報技術者試験(ITエンジニアの基礎)
    • ネットワークスペシャリスト試験(高度なネットワーク技術)
  • ベンダー資格:
    • Cisco技術者認定(CCNA, CCNP, CCIEなど。Cisco製品に関する知識)
    • LinuC / LPIC(Linuxに関する知識)
    • AWS認定、Azure認定(クラウドサービスに関する知識)

これらの資格は、未経験者が就職活動で有利になるだけでなく、現役エンジニアのキャリアアップや年収交渉においても強力な武器となります。

年収については、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、ネットワークエンジニアの平均年収は684万9,000円とされており、他のIT職種と比較しても高い水準にあることが分かります。

もちろん、年収はスキルレベルや経験、担当する業務の範囲(設計・構築が中心か、運用・保守が中心かなど)によって大きく変動しますが、専門性を高めることでより高収入を目指せる職種と言えるでしょう。

ネットワークエンジニアになるには?必要なスキルと文系・女性でも活躍できるか

必須ではないが有利になる専門知識と技術

ネットワークエンジニアになるために、特定の学部や専攻を卒業している必要はありませんが、以下の専門知識や技術を習得していると有利にスタートを切ることができます。

  • ネットワークの基礎知識: TCP/IP、ルーティング、スイッチング、LAN/WANなど、ネットワークの仕組み全般。
  • OSの知識: 特にLinuxサーバーのコマンド操作や設定に関する知識は必須です。Windows Serverの知識も役立ちます。
  • サーバー・ミドルウェアの知識: ネットワークと連携するサーバーやデータベース、Webサーバーなどの基本的な知識。
  • セキュリティの知識: ファイアウォール、VPN、IDS/IPSなど、ネットワークセキュリティに関する基礎。
  • クラウドの基礎知識: AWS、Azure、Google Cloudなどの主要なクラウドサービスのネットワーク機能に関する理解。

未経験から目指す場合は、まずITパスポートやCCNAといった入門レベルの資格取得を通じて基礎知識を習得し、可能であれば実機や仮想環境で手を動かしながら学ぶことが推奨されます。プログラミングスクールや専門学校で集中的に学ぶ選択肢もあります。

専門性と共に磨くべきソフトスキル

ネットワークエンジニアは、単に技術知識があれば良いというわけではありません。

クライアントの要望を正確にヒアリングし、自社のメンバーや他部署と連携しながらプロジェクトを進めるため、高いコミュニケーション能力が求められます。特に、専門用語を多用せず、技術的な内容を分かりやすく説明する能力は非常に重要です。

また、ネットワーク障害発生時には、迅速かつ論理的に原因を特定し、解決策を導き出す問題解決能力が不可欠です。

24時間365日稼働が求められるシステムを担当する場合もあり、緊急時にも冷静に対応できる精神力も必要となるでしょう。常に進化する技術に対応し続けるためには、知的好奇心と継続的な学習意欲も欠かせません。

これらのソフトスキルは、日々の業務を通じて磨かれていくものですが、意識的に向上させる努力がキャリアを豊かにします。

文系出身者・女性エンジニアの活躍の可能性

「ネットワークエンジニアは理系の仕事」「男性が多い職種」といったイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実際はそのようなことはありません。

文系出身者でも、ITの基礎知識からコツコツと学習し、論理的思考力と学習意欲があれば十分に活躍できます。特に、クライアントとの要件定義やプロジェクト管理といったフェーズでは、共感力や調整力といった文系的な素養が強みとなることもあります。

女性エンジニアも増加傾向にあり、多様な視点や柔軟な発想は、チームやプロジェクトに新たな価値をもたらします。近年では、リモートワークやフレックスタイム制を導入する企業も増え、ライフステージに合わせた働き方がしやすくなっていることも、女性が活躍しやすい環境を後押ししています。

重要なのは、性別やバックグラウンドではなく、技術への興味と学習意欲、そして問題解決に取り組む姿勢です。</

ネットワークエンジニアのメリット・デメリットと独立の可能性

ネットワークエンジニアとして働くメリットと魅力

ネットワークエンジニアとして働くことは、多くのメリットと魅力に満ちています。

まず、自身の構築したネットワークが安定稼働し、社会の基盤を支えているという大きなやりがいと達成感を得られます。現代社会においてネットワークは空気のような存在であり、その重要性を日々実感できるでしょう。

また、クラウド、IoT、5G、AIといった最先端のIT技術に常に触れる機会があるため、自身のスキルと知識を絶えずアップデートし、市場価値の高いエンジニアへと成長できる点も大きな魅力です。

技術の進歩を肌で感じながら、自身の知的好奇心を満たすことができるでしょう。そして、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」が示すように、平均年収が高い水準にあることも、経済的な安定とキャリアアップを目指す上で重要なメリットと言えます。

専門性を極めることで、さらなる高収入も期待できるでしょう。

大変な側面やデメリットへの対処法

一方で、ネットワークエンジニアの仕事には大変な側面も存在します。

最も大きな課題の一つは、専門知識の習得と継続的な学習です。技術の進化が非常に速いため、常に最新の情報をキャッチアップし、新しい技術を学び続ける努力が求められます。

また、ネットワークは24時間365日稼働が求められることが多く、障害発生時には夜間や休日でも緊急対応を求められる可能性があります。これは、ワークライフバランスに影響を与える可能性のあるデメリットと言えるでしょう。

さらに、クラウド化や自動化の進展により、従来の業務内容が変化し、常に新しいスキルセットへの適応が求められます。これらの大変な点に対処するためには、効率的な学習習慣を身につけること、チーム内での役割分担を明確にし、無理のない体制を構築すること、そして常に変化を前向きに捉え、自身のスキルを拡張していく柔軟な姿勢が重要になります。

フリーランスとしての独立とキャリアアップ

ネットワークエンジニアとして十分な経験とスキルを積めば、フリーランスとして独立する道も開かれています。

特に、クラウド環境(AWS, Azureなど)でのネットワーク設計・構築・運用スキルや、高度なセキュリティに関する専門知識を持つエンジニアは、企業から高い単価で案件を受注できる可能性が高いです。

独立することで、自身の裁量で仕事を選び、働く時間や場所を自由にコントロールできるようになるため、より柔軟な働き方を実現できます。

ただし、フリーランスとして成功するためには、技術力だけでなく、営業力や自己管理能力、経理知識なども必要となります。また、企業に所属している時以上に、市場のトレンドを常に把握し、自身のスキルを磨き続ける努力が求められます。

独立は大きなチャンスをもたらしますが、それに見合う準備と覚悟が必要となるでしょう。</

ネットワークエンジニアと関連職種の違い:プログラマーとの比較

ネットワークエンジニアとプログラマーの役割の違い

IT業界には様々な職種がありますが、その中でも特に混同されやすいのがネットワークエンジニアとプログラマーです。

根本的な役割の違いとして、ネットワークエンジニアが「インフラ(土台)を築き、維持する」専門家であるのに対し、プログラマーは「アプリケーション(サービス)を開発する」専門家と言えます。

ネットワークエンジニアは、PCやサーバー、ストレージといったハードウェア、そしてそれらを繋ぐルーターやスイッチなどのネットワーク機器がスムーズに連携し、安定して稼働するための基盤を設計・構築・運用します。例えるなら、家の水道や電気、ガスといったライフラインを整備する役割です。

一方、プログラマーは、その基盤の上で動くWebサイトやスマートフォンアプリ、業務システムなどのソフトウェアを、プログラミング言語(Java、Python、Rubyなど)を用いて開発します。これは、ライフラインが整備された家の中に、便利な家電や家具を作る役割と言えるでしょう。

業務内容と求められるスキルの相違点

ネットワークエンジニアに求められるスキルは、主にハードウェア、OS(特にLinux)、各種ネットワークプロトコル、セキュリティ技術など、インフラ全般に関する知識です。

機器の設定やトラブルシューティング、ネットワークの監視などが主な業務となります。高度なネットワークスペシャリストになると、大規模なネットワークアーキテクチャの設計や、クラウド環境でのネットワーク最適化なども手掛けます。

対して、プログラマーに求められるのは、特定のプログラミング言語の深い知識、アルゴリズム、データ構造、ソフトウェア開発のフレームワークなどです。

ソースコードの記述、デバッグ、テスト、システムの機能追加や改善が主な業務です。近年では、ネットワークインフラをコードで管理する「Infrastructure as Code (IaC)」の概念が広がり、プログラマーがインフラの一部を自動化するケースも増えており、両者のスキルが融合する場面も出てきています。

キャリアパスと将来性における共通点と多様性

ネットワークエンジニアとプログラマーは、それぞれ異なる専門性を持つ一方で、どちらもIT業界において高い需要と将来性を持つという共通点があります。

IT人材不足が叫ばれる中、デジタル化を推進する上で不可欠な存在です。ネットワークエンジニアは、インフラのスペシャリストとしてキャリアを深め、大規模なシステム設計やセキュリティコンサルタントへと進む道があります。

プログラマーは、アプリケーション開発のスペシャリストとして、特定の技術領域を極めたり、プロダクトマネージャーやITアーキテクトへとステップアップしたりすることが可能です。

近年では、両者の境界線が曖昧になることもあり、ネットワークの知識を持つプログラマー(DevOpsエンジニアなど)や、プログラミングスキルを持つネットワークエンジニア(ネットワーク自動化エンジニアなど)も登場しています。自身の興味や適性に合わせて、多様なキャリアパスを選択できるのがIT業界の大きな魅力と言えるでしょう。