概要: 本記事では、OJTを効果的に進めるための期間別・目的別の実践方法を解説します。特に、初期段階の「1pm」から長期的な「6ヶ月」まで、各フェーズで達成すべき目標と、フィードバックや評価のポイントを具体的にご紹介します。
OJTの基本と「1pm」~「3pm」の期間別目標設定
OJT(On-the-Job Training)は、職場で実務を通じて従業員の能力を育む、非常に効果的な育成手法です。
効果的なOJTには、「意図的」「計画的」「継続的」な実施が不可欠であり、期間に応じた明確な目標設定が成功の鍵を握ります。
OJTの導入期:即戦力化と定着率向上を目指す「1pm」
OJTの導入期、例えば入社後1ヶ月間(「1pm」の時間帯が示すように、まさに午後の業務開始のような集中を要する時期)は、新入社員が組織にスムーズに溶け込み、基礎的な業務知識とスキルを習得する重要なフェーズです。
この期間の主な目的は、育成対象者の即戦力化と定着率の向上にあります。業務の基本的な流れ、社内ルール、ビジネスマナーなどを重点的に指導し、早期に職場の一員としての自覚を促します。
厚生労働省の「能力開発基本調査」(令和5年度)によると、正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所の割合は63.2%に上りますが、導入期のOJTの質がその後の成長に大きく影響します。この時期は「見せる(Show)」と「教える(Tell)」のステップを中心に、指導者が丁寧に実演・説明を行い、疑問点を解消しながら進めることが肝要です。
また、職場の人間関係に慣れてもらうためのサポートも重要で、良好なコミュニケーションを通じて心理的安全性を確保し、早期離職を防ぐ土台を築きます。新入社員が安心して業務に取り組める環境を整えることが、長期的な育成に繋がる第一歩となるでしょう。
OJTの中期:実務を通じたスキルアップ「2pm」
導入期を経てOJTの中期に入ると、具体的な実務を通じてスキルアップを図る段階へと移行します。
ちょうど「2pm」の時間帯が本格的な業務の進捗を意味するように、この期間はより実践的な経験を積ませることが中心となります。
OJTの中期で特に重要となるのが、育成計画の作成とマイルストーン設定です。具体的な目標達成に向けたスケジュール、指導内容、指導方法を明確にした計画書は、指導者と育成対象者の共通認識となり、進捗管理を容易にします。
この段階では、指導者が「やらせる(Do)」のステップを積極的に取り入れ、育成対象者に主体的に業務に取り組ませることが重要です。単なる作業指示に留まらず、業務の背景や目的を説明し、自ら考えて行動する機会を提供することで、問題解決能力や応用力を養います。
指導者側も、教える経験を通じて自身のマネジメント能力を向上させる機会となります。中堅社員や教育部門の担当者など、育成目標を共有できる適切なOJTトレーナーを選定し、指導者の育成スキル向上も視野に入れることで、OJT全体の質が高まります。育成対象者が自信を持って業務を遂行できるよう、適切なサポートと挑戦の機会を提供しましょう。
OJTの完了期:自律的な成長を促す「3pm」
OJTの完了期、例えば3ヶ月程度の期間(「3pm」が示すように、日中の業務が終盤に差し掛かる時間帯で、一日の成果をまとめるように)では、育成対象者の自律性を高め、OJT後の継続的な成長への橋渡しをすることが目標となります。
この時期の主要なステップは「評価と指導(Check)」です。定期的に進捗状況を確認し、具体的なフィードバックを行うことで、育成対象者は自身の強みや課題を明確に把握し、改善へと繋げることができます。目標達成度を評価するとともに、次のステップでどのようなスキルを習得していくべきかを共に考える機会としましょう。
OJTは実務に特化しているため、体系的な知識やビジネススキルの習得が不足しがちです。そのため、Off-JT(Off the Job Training)と組み合わせることで、業務の背景や全体像を理解させ、より多角的な視点から業務に取り組めるよう促すことが有効です。例えば、基礎的なビジネスマナー研修や、業界知識に関する座学を取り入れることが考えられます。
OJT期間終了後も、継続的な育成やフォローを行うことが極めて重要です。育成対象者が完全に自律して業務を遂行できるよう、定期的な面談やキャリア相談の機会を設けるなど、社内文化として育成を支援する環境を整備することが、長期的な人材育成と組織の活性化に繋がります。
6ヶ月間のOJTで「3rd year out」~「4th year out」を目指す
長期的な視点でのOJTは、単なる業務習得に留まらず、従業員のキャリア形成と組織の持続的成長に貢献します。特に6ヶ月間のOJTは、新入社員を「3rd year out」(3年目社員レベル)から「4th year out」(4年目社員レベル)へと押し上げるための重要な期間となり得ます。
長期OJTの計画立案:キャリアを見据えた目標設定
6ヶ月間という長期的なOJTを効果的に進めるためには、初めにキャリアを見据えた明確な目標設定が不可欠です。ここでいう「3rd year out」とは、入社3年目を迎える社員が、自律的に業務を遂行し、一定の成果を出せるレベルを指すことが多いでしょう。
さらに「4th year out」は、専門性を深めたり、チーム内でのリーダーシップを発揮し始めたりするなど、より高度な役割を担えるレベルと捉えることができます。このような長期的な目標を見据えることで、単発的なタスク習得ではなく、一貫した育成計画を立てることが可能になります。
具体的な育成計画では、各月のマイルストーンを設定し、達成すべきスキルや知識、行動目標を明確にします。例えば、最初の3ヶ月で基本的な業務プロセスを習得し、次の3ヶ月で応用的なプロジェクトへの参加や、簡単な課題解決を経験させるなど、段階的なステップを踏むことが重要です。
この計画は、育成対象者の能力や性格を考慮し、OJTトレーナーと育成対象者が共に合意形成を行うことで、より主体的な取り組みを促します。目的が明確であればあるほど、長期的なモチベーション維持にも繋がりやすくなるでしょう。
実践と成長:段階的なスキル習得と課題克服
長期OJTの中では、段階的に複雑な業務や責任の伴うタスクに挑戦させることで、育成対象者の実践的なスキルと問題解決能力を効果的に育成します。
「やらせる(Do)」のステップを繰り返しながら、成功体験を積み重ねるとともに、失敗からも学びを得る機会を提供することが重要です。
例えば、最初の数ヶ月は定型業務の習得に重点を置き、その後は少し難易度の高いプロジェクトや、他部署との連携が必要な業務にアサインします。これにより、業務遂行能力だけでなく、コミュニケーション能力や調整力も養われます。
定期的な評価とフィードバックのサイクルを確立し、進捗状況を細かく確認することも不可欠です。OJTは指導者の通常業務に加えて行われるため、指導者への負担が増加する可能性があります。企業は、指導者へのサポート体制を構築したり、育成スキルの向上のための研修を実施したりする必要があります。これにより、指導の質を維持しつつ、育成対象者も安心して成長できる環境が整います。
実践を通じて直面する課題を共に乗り越えることで、育成対象者は自信を深め、より高度な業務への挑戦意欲を高めていくでしょう。
OJT後の展望:「4th year out」へ繋がる自律的学習
6ヶ月間のOJTが終了した後も、育成対象者の成長は続きます。この期間に培われた基盤を活かし、「4th year out」レベル、すなわち自律的に学習し、組織に貢献できる人材へと発展させるための展望を描くことが重要です。
OJT期間中に得た知識やスキルを定着させるためには、継続的なフォローアップが欠かせません。例えば、メンター制度の導入や、定期的なキャリア面談を通じて、自己学習の促進やキャリアパスへの接続を支援します。これにより、育成対象者が自らの意思で成長の機会を探し、スキルアップを図る習慣を身につけることができます。
企業は、OJTを含む従業員の職業訓練に対して、費用の一部を助成する「人材開発支援助成金」などの制度を活用することも検討すべきです(※OFF-JTも含む訓練の場合。中小企業の場合、OJT実施に対する助成額は200,000円、大企業は110,000円)。これにより、育成にかかるコストを軽減しつつ、より質の高いOJTの提供が可能になります。
長期的なOJTは、単に個人のスキルを向上させるだけでなく、指導者のマネジメント能力向上、ひいては組織全体のパフォーマンス向上にも貢献します。育成対象者が「4th year out」レベルに到達することで、組織は新たな価値創造や課題解決に取り組むことができるようになるでしょう。
OJTにおける「TV」と「simple」なフィードバックの重要性
OJTを成功させる上で、指導者が育成対象者に対して行うフィードバックの質は極めて重要です。効果的なフィードバックは、成長を加速させ、モチベーションを高める一方で、不適切なフィードバックは逆効果になりかねません。ここでは、「TV」のように鮮明で、「simple」に伝わるフィードバックの重要性について掘り下げます。
「TV」のように鮮明なフィードバックの原則
「TV」のように鮮明なフィードバックとは、まるでテレビ画面を見るかのように「具体的 (Transparent)」「視覚的 (Visual)」、そして「適時 (Timely)」「価値ある (Valuable)」情報を提供するフィードバックを指します。
フィードバックは、抽象的な評価ではなく、具体的な行動やその結果に基づいている必要があります。「〇〇の資料作成において、グラフの色使いが統一されていて非常に見やすかった」といった具体的な内容であれば、育成対象者は自身の強みを明確に認識できます。逆に、「もっと頑張って」のような漠然とした言葉では、何を改善すれば良いのか理解できません。
また、フィードバックはできるだけ速やかに行うことが重要です。業務が終わった直後や、課題が発生したその場で行うことで、状況が鮮明なうちに改善点を共有でき、学習効果が最大化されます。数日後では、育成対象者も具体的な状況を思い出せず、フィードバックが響きにくくなる可能性があります。
厚生労働省が提供する「OJTコミュニケーションシート」のようなツールを活用することで、目標設定から進捗確認、フィードバックまでを一貫して記録・共有でき、より効果的なフィードバックの実施を支援します。これにより、フィードバックが単なる感想に終わらず、成長に繋がる価値あるものとなるでしょう。
「simple」に伝える効果的なフィードバックのコツ
フィードバックは、内容が鮮明であると同時に、「simple」に、つまり簡潔で分かりやすく伝えることが非常に重要です。複雑な言葉や回りくどい表現は、育成対象者を混乱させ、メッセージの本質が伝わりにくくなります。
効果的なフィードバックのコツは、一つのフィードバックで伝えるメッセージを一つか二つに絞ることです。例えば、「今回のプレゼンテーションは資料の構成は良かったが、話し方が早口で聞き取りにくかった点が改善点だ」といったように、ポジティブな点と改善点をバランス良く、かつ簡潔に伝えます。
また、フィードバックは感情的にならず、客観的な事実に基づいて行うべきです。「なぜそう感じたのか」「具体的な状況はどうだったのか」を明確に伝えることで、育成対象者も納得しやすくなります。そして、一方的に伝えるだけでなく、育成対象者自身の考えや意見を引き出す対話型のアプローチを心がけることも大切です。
OJTの注意点として、指導者によって指導内容や質にばらつきが生じる可能性が挙げられます。これを防ぐためには、企業として標準化されたフィードバック手順やガイドラインを定め、定期的な情報共有や研修を行うことが重要です。これにより、指導者全体のフィードバックスキルが向上し、育成対象者全員が質の高い指導を受けられるようになります。
フィードバックが促す成長と定着率向上
「TV」のように鮮明で、「simple」なフィードバックは、育成対象者の成長を強力に促し、ひいては組織の定着率向上にも大きく貢献します。
適切なフィードバックを通じて、育成対象者は自身の行動がどのような結果に結びついたのかを具体的に理解し、成功体験を再現したり、課題を効果的に改善したりする方法を学びます。これにより、学習意欲が高まり、主体的に業務に取り組む姿勢が育まれます。
また、フィードバックは指導者と育成対象者間の信頼関係を築く上でも不可欠です。指導者が真剣に育成対象者の成長を願っていることが伝わることで、安心して相談できる関係性が構築され、組織へのエンゲージメントが高まります。特に新入社員にとって、自身の努力が認められ、成長を実感できる環境は、長期的な職場定着に繋がる重要な要素となります。
さらに、フィードバックは指導者のマネジメント能力向上にも寄与します。育成対象者の能力を引き出し、課題を解決に導く経験は、指導者自身のリーダーシップやコミュニケーションスキルを磨く機会となります。このように、質の高いフィードバックは、個人と組織双方の成長を促進する強力なツールなのです。
OJTで「pixel」を活かす!具体的な実践事例と「out」の評価
OJTの成功には、細かい点まで行き届いた「pixel」単位の指導と、その結果として生まれる「out」(成果)を適切に評価することが不可欠です。ここでは、具体的な実践事例を交えながら、OJTにおけるきめ細やかな指導と成果評価の重要性について解説します。
「pixel」単位の細やかな指導:基本動作の徹底
OJTにおける「pixel」単位の指導とは、業務を構成する最小単位の動作や手順まで、きめ細やかに指導することを意味します。特に新入社員や未経験者に対するOJTでは、この基本動作の徹底が、その後のスキル習得のスピードと精度を大きく左右します。
例えば、資料作成一つをとっても、「どのフォントを使用するか」「グラフの色使いのルール」「ファイル名の付け方」といった細部にわたる標準化された手順を指導します。電話応対であれば、「受話器を取るまでの秒数」「挨拶の言葉遣い」「保留時の対応」など、具体的な行動を「見せる(Show)」「教える(Tell)」のステップで丁寧に伝えます。
このような「pixel」レベルの指導は、業務の質の均一化を図るだけでなく、育成対象者が自信を持って業務に取り組むための土台を築きます。最初は時間がかかると感じるかもしれませんが、基本的な動作が身につけば、応用的な業務への移行がスムーズになります。
指導の質のばらつきを防ぐためには、企業として標準化された指導手順やマニュアルを整備することが有効です。これにより、どの指導者も同じ品質で「pixel」単位の指導を提供できるようになり、育成対象者全員が質の高いOJTを受けられるようになります。
「out」を生み出す具体的な実践事例:成果に繋がる行動
OJTの目的は、単に業務を教えることではなく、育成対象者が自律的に業務を遂行し、具体的な「out」(成果)を生み出せるようになることです。そのためには、実務を通じて成果に繋がる行動を促す具体的な実践事例を取り入れることが重要です。
例えば、営業職のOJTであれば、最初は先輩社員との同行から始め、「見せる(Show)」で顧客とのコミュニケーションや商談の流れを学びます。次に、簡単な資料作成やアポイント設定を「やらせる(Do)」ことで、部分的な業務の「out」を経験させます。
その後、育成対象者自身に小規模な顧客対応を任せたり、特定の製品に関する情報収集と提案資料作成を依頼したりするなど、責任のあるタスクを与えることで、より大きな「out」を生み出す経験を積ませます。この際、単にタスクをこなすだけでなく、「なぜこの業務が必要なのか」「顧客にとってどのような価値があるのか」といった業務の目的を理解させることで、主体的な行動を促します。
具体的な実践事例を通じて、育成対象者は自分の行動がどのように組織のパフォーマンス向上に貢献しているのかを実感し、モチベーションを高めることができます。このような経験が、早期の即戦力化と定着率向上に繋がるのです。
成果としての「out」を評価し、次に繋げる
OJTの最終段階では、育成対象者が生み出した「out」(成果)を適切に評価し、その後の成長に繋げることが不可欠です。この評価は、単なる合否判定ではなく、育成対象者の強みと課題を明確にし、次の目標設定へと繋がるようなものであるべきです。
評価は、定量的な目標達成度と定性的な成長の両面から行います。例えば、「契約件数〇件達成」といった具体的な数字だけでなく、「チームメンバーとの協調性」「問題発生時の対応力」「顧客からのフィードバック」など、行動面やプロセスにおける成長も評価対象とします。
厚生労働省が提供する「職業能力評価シート」や「OJTコミュニケーションシート」は、このような多角的な評価を行う上で非常に有用なツールです。これらのシートを活用することで、客観的な評価基準に基づき、育成対象者と指導者が共通認識を持って評価を進めることができます。例えば、職業能力評価基準(※厚生労働省 提供)などを参照し、具体的な評価項目を洗い出すと良いでしょう。
評価結果は、具体的なフィードバックを通じて育成対象者に伝え、今後のキャリアプランや、さらに習得すべきスキルについて共に話し合う機会とします。これにより、OJTで得た成果を最大限に活かし、継続的な成長へと繋げていくことができるのです。
OJTを成功させるための「9h-out」「9v-out」な視点
OJTは、単に目の前の業務を教えるだけでなく、育成対象者の長期的な成長と組織への貢献を最大化するために、多角的な視点からアプローチする必要があります。ここでは、「9h-out」と「9v-out」という二つの視点を取り入れ、OJTをより戦略的に進める方法を探ります。
「9h-out」:広い視野と全体像を把握する水平的視点
「9h-out」とは、「horizontal」(水平的)な視点、つまり業務の背景や組織全体、さらには外部環境までを広く見渡し、全体像を把握する視点を意味します。OJTにおいては、育成対象者に自身の業務が組織の中でどのような位置づけにあるのか、他の部署とどのように連携しているのかを理解させることが重要です。
例えば、ある部署の業務を教えている際、その業務が前工程や後工程の部署にどのように影響するか、最終的に顧客にどのような価値を提供するかを説明します。これにより、育成対象者は単なる作業者ではなく、組織全体の目標達成に貢献する一員としての自覚を持つことができます。
OJTの注意点として、「OJTは実務に特化しているため、業務の背景や全体像、基本的なビジネスマナーなど、体系的な知識やビジネススキルが不足する場合があります」という点が挙げられます。この水平的視点を補うために、Off-JT(Off the Job Training)など他の研修手法と組み合わせることが非常に有効です。
指導者自身も、自身の担当業務だけでなく、他部署の役割や企業全体の戦略を理解している必要があります。広い視野を持った指導者が育成対象者に多角的な視点を提供することで、将来的にリーダーシップを発揮できる人材へと成長させることが可能になるでしょう。
「9v-out」:深掘りし専門性を高める垂直的視点
一方、「9v-out」とは、「vertical」(垂直的)な視点、つまり特定の業務や専門知識を深掘りし、高度な専門性を追求する視点を意味します。これは、育成対象者が自身の専門分野において、より深い知識とスキルを習得し、その道のプロフェッショナルとして成長することを促すものです。
OJTでは、基礎的な業務を習得した後、特定のプロジェクトや専門性の高いタスクにアサインすることで、この垂直的視点を養います。例えば、データ分析の業務であれば、ツールの使い方だけでなく、データの解釈方法、分析結果をビジネスにどう活かすかといった、より高度なスキルを指導します。
問題解決能力や応用力の育成も、この垂直的視点において重要です。単に既存のやり方を教えるだけでなく、直面する課題に対して自ら考え、解決策を導き出すプロセスを経験させます。指導者は、安易に答えを与えるのではなく、適切なヒントを与えながら、育成対象者自身が解決策を見つけられるよう導きます。
育成対象者のキャリアパスを見据えた指導も不可欠です。将来的にどのような専門性を身につけたいのか、どのような役割を担いたいのかをヒアリングし、それに合わせた業務経験や学習機会を提供することで、OJTがよりパーソナライズされ、高い効果を発揮するでしょう。
OJTを成功に導くための多角的なアプローチ
OJTを成功に導くためには、「9h-out」と「9v-out」という水平的・垂直的視点の両方をバランス良く取り入れた、多角的なアプローチが不可欠です。
育成対象者が業務の全体像を理解しつつ、自身の専門性を深められるよう、意図的、計画的、継続的なOJT実施を心がけましょう。初期段階では水平的視点を重視し、業務の広がりを理解させ、徐々に垂直的視点を取り入れ、専門性を深掘りさせていくのが理想的な流れです。
このプロセスにおいて、厚生労働省が提供する「職業能力評価シート」や「OJTコミュニケーションシート」などの公的機関のツールは、目標設定、進捗管理、評価、フィードバックを効果的に行う上で非常に役立ちます。また、OJT実施に対する「人材開発支援助成金」のような支援制度も積極的に活用し、質の高いOJTの推進を図ることが推奨されます。
最後に、指導者への適切なサポート体制と、企業全体で育成を支援する文化の醸成も忘れてはなりません。指導者の負担を軽減し、育成スキルを向上させることで、OJTは従業員一人ひとりの成長を促し、組織全体の活性化に大きく貢献する強力なツールとなるでしょう。
まとめ
よくある質問
Q: OJTで「1pm」や「3pm」といった期間設定は何を意味しますか?
A: 「1pm」や「3pm」は、OJTの初期段階における短期的な目標達成期間を指すことがあります。例えば、「1pm」は最初の1ヶ月、「3pm」は最初の3ヶ月といったように、具体的な期間を設定し、その期間内に習得すべきスキルや知識を明確にします。
Q: 「3rd year out」や「4th year out」といった表現は、OJTのどの段階で使われますか?
A: これらの表現は、OJTが長期間にわたる場合、特に6ヶ月などの設定で、経験年数や習熟度を示す際に使われることがあります。「3rd year out」は3年目の社員、「4th year out」は4年目の社員がOJTで到達すべきレベルや、あるいはOJT期間終了後の独立した業務遂行能力を想定した表現として用いられることがあります。
Q: OJTにおける「TV」とは、どのようなフィードバックを指しますか?
A: 「TV」はTelevisionの略ではなく、OJTにおいては「Trainer’s Voice」や「Teaching Voice」のように、トレーナーからの指導・助言やフィードバックを指すことがあります。具体的な指導内容や、改善点などを伝える声掛けを意識することが重要です。
Q: 「simple」なフィードバックとは、具体的にどのようなことですか?
A: 「simple」なフィードバックとは、複雑な専門用語を避け、誰にでも理解しやすい平易な言葉で、簡潔かつ具体的に伝えるフィードバックのことです。例えば、「~の操作は、このボタンを押してから~するとスムーズだよ」といったように、具体的な行動に結びつくフィードバックが効果的です。
Q: OJTで「pixel」を活かす、また「9h-out」「9v-out」な視点とは、どのような意味合いですか?
A: 「pixel」を活かすとは、OJTにおける個々の細かい行動や、小さな成功体験に注目し、それを積み重ねていく視点です。「9h-out」や「9v-out」は、具体的な文脈がないため断定はできませんが、おそらく「9時間のアウトプット」や「9つのバリュー(価値)のアウトプット」のように、OJT期間中に達成・獲得すべき具体的な成果や価値を多角的に捉え、評価する視点を示唆している可能性があります。あるいは、特定の研修プログラムや評価指標を指す場合もあります。
