概要: 「欠勤すると有給休暇が減るのでは?」そんな疑問にお答えします。欠勤と年休、特別休暇の違いや、欠勤が年休付与日数に与える影響を解説。さらに、欠勤手当の日割り計算や、有給休暇を賢く使うための具体的な方法もご紹介します。
【知らないと損】欠勤すると有給はどうなる?種類別の違いと賢い使い方
「急な体調不良で会社を休んでしまった…これって有給休暇扱いになるの?」
「欠勤が続くと、来年の有給が減ってしまうって本当?」
そんな疑問を抱えるビジネスパーソンは少なくありません。労働者として働く上で、有給休暇は非常に重要な権利ですが、その仕組みや欠勤との違いを正確に理解している人は意外と少ないものです。
本記事では、欠勤と有給休暇、そして特別休暇それぞれの定義から、給与や将来の有給付与日数への影響、さらには賢い有給休暇の使い方までを徹底解説します。知らないと損をしてしまう制度の基本をしっかりと押さえ、あなたのワークライフバランスをより良いものにしていきましょう。
欠勤すると有給休暇は減る?基本の仕組みを解説
突然の欠勤は誰にでも起こりうることですが、「欠勤」と「有給休暇」は似て非なるものです。これらを混同してしまうと、思わぬ不利益を被る可能性もあります。ここでは、まずそれぞれの基本的な定義と、それがあなたの給与や権利にどう影響するのかを解説します。
欠勤の基本定義と「ノーワーク・ノーペイ」原則
「欠勤」とは、本来出勤すべき日に、会社からの承認を得ずに休むことを指します。法律上の明確な定義はありませんが、一般的には正当な理由なく休む場合や、体調不良などで連絡はしたものの、有給休暇が残っておらず、会社が欠勤と判断した場合などがこれにあたります。
欠勤した日については、原則として「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されます。これは「労働者が働かなかった時間に対しては、使用者は賃金を支払う義務がない」という考え方です。つまり、欠勤した日の給与は支払われないのが基本となります。
この「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づく給与の差し引きを「欠勤控除」と呼びます。欠勤控除の具体的な計算方法や、無断欠勤の場合の対応などは、会社の就業規則に詳細が定められていることがほとんどです。そのため、自身の会社の就業規則を事前に確認しておくことが、いらぬトラブルを避ける上で非常に重要となります。予期せぬ欠勤時に慌てないためにも、制度を理解しておきましょう。
有給休暇の基本定義と労働者の権利
一方、「有給休暇」(正式には「年次有給休暇」)は、労働基準法によって定められた労働者の権利であり、その名の通り「賃金が保障される休暇」です。これは、仕事を休んでも給与が減らない画期的な制度であり、労働者の心身のリフレッシュや私的な活動を支援するために設けられています。
有給休暇が付与されるためには、いくつかの条件があります。具体的には、入社から6ヶ月以上継続勤務し、かつ全労働日の8割以上出勤している労働者に対して、最低でも年10日以上の有給休暇が付与されます。勤務年数が長くなるにつれて、付与される日数も増加していく仕組みです。
欠勤と有給休暇の最も大きな違いは、まさにこの「休暇中の賃金の有無」にあります。欠勤が原則無給であるのに対し、有給休暇は賃金が支払われるため、安心して休むことができるのです。この違いをしっかりと理解し、適切に活用することが、労働者としての権利を守る第一歩と言えるでしょう。自身の有給残日数や付与条件について、定期的に確認する習慣を持つことをおすすめします。
欠勤が有給休暇の取得に直接影響するか?
「欠勤すると、今持っている有給休暇が減ってしまうのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、ご安心ください。既に付与されている有給休暇の日数が、欠勤によって直接減ることはありません。有給休暇は、あくまで労働基準法に基づき付与された労働者の権利であり、欠勤を理由に会社が一方的に減らすことは認められていません。
ただし、欠勤が有給休暇に全く影響しないわけではありません。影響があるのは、主に「翌年度の有給休暇の付与日数」に対してです。有給休暇が付与される条件の一つに「全労働日の8割以上出勤」という規定があるため、欠勤が多いとこの出勤率を満たせず、翌年度の有給休暇が付与されなかったり、日数が減ったりする可能性があります。この点については、次のセクションで詳しく解説します。
また、会社によっては、欠勤が続く従業員に対して、計画的な有給休暇の取得を促す場合があります。特に、2019年4月1日より義務化された「年5日の有給休暇取得義務」を会社が果たすために、従業員が自ら取得しない場合に会社が時季を指定して取得させる措置が取られることがあります。この際、もし欠勤が続いていれば、欠勤日数分の賃金控除を避けるために、有給休暇の取得を提案されるケースも考えられます。
欠勤と年休の違いとは?付与日数への影響もチェック
欠勤と年次有給休暇(年休)は、どちらも「会社を休む」という点では共通していますが、その性質は大きく異なります。特に、翌年度の年休付与日数に欠勤がどのような影響を与えるのかは、多くの人が知りたいポイントでしょう。ここでは、その違いと影響について詳しく掘り下げていきます。
年次有給休暇の付与条件と「8割出勤」の重要性
年次有給休暇は、すべての労働者に無条件に付与されるわけではありません。労働基準法によって、以下の2つの条件を満たした場合に付与されることになっています。
- 6ヶ月以上継続勤務していること
- その期間の全労働日の8割以上出勤していること
この中でも特に重要なのが、「全労働日の8割以上出勤」という条件です。ここでいう「全労働日」とは、会社が定めた所定労働日のことを指します。そして、「出勤率」は、「実際の出勤日数 ÷ 全労働日数 × 100」で計算されます。
欠勤は、この出勤率の計算において「出勤しなかった日」として扱われます。例えば、全労働日が240日あり、そのうち20日間欠勤した場合、出勤日数は220日となり、出勤率は (220 ÷ 240) × 100 ≒ 91.6% となります。この場合は8割を超えているため問題ありません。しかし、もし49日以上欠勤して出勤率が8割を下回ってしまうと、翌年度の有給休暇は付与されないことになります。この「8割出勤」の条件を満たすことが、安定して有給休暇を取得し続ける上で極めて重要であることを覚えておきましょう。
欠勤による年休付与日数への具体的な影響
先述の通り、欠勤が続くことによって「全労働日の8割以上出勤」という条件を満たせなくなると、翌年度に付与される有給休暇の日数が減ったり、最悪の場合、全く付与されなくなったりする可能性があります。これは、短期的な欠勤よりも、病気や家庭の事情などによる長期の欠勤で顕著に現れる影響です。
例えば、入社から1年半が経過し、通常であれば年間11日の有給休暇が付与されるはずだった労働者が、特定の期間に大量の欠勤をしてしまい、結果的に出勤率が8割を下回ったとします。この場合、次回付与されるはずだった11日の有給休暇は付与されず、権利を失ってしまうことになります。
欠勤は、その日の給与が支払われないという「ノーワーク・ノーペイ」の影響だけでなく、このように将来的な有給休暇の権利にまで影響を及ぼす可能性があるのです。特に、持病の悪化や育児・介護など、やむを得ない事情で長期欠勤が必要となる場合は、事前に会社の人事担当者と相談し、欠勤による影響を最小限に抑えるための対策(有給休暇の計画的消化や休職制度の利用など)を検討することが賢明です。
日本の有給取得率の現状と取得義務の背景
日本の年次有給休暇の取得率は、長らく低い水準で推移してきましたが、近年は改善の兆しを見せています。厚生労働省の発表によると、令和5年度の年次有給休暇取得率は65.3%と、前年度から3.2ポイント上昇し、過去最高を記録しました。しかし、政府が目標とする70%にはまだ届いていないのが現状です。
この取得率向上を後押ししているのが、2019年4月1日より施行された「年5日の有給休暇取得義務」です。これは、年次有給休暇が10日以上付与されるすべての労働者に対し、企業が年5日については必ず取得させなければならないというものです。従業員が自ら取得した日数や、計画的付与で取得した日数を差し引いて、5日に満たない場合に、会社が取得時季を指定して取得させる必要があります。
この義務に違反した場合、企業には労働基準法違反として、従業員一人あたり30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。この制度は、労働者の心身の健康維持やワークライフバランスの向上を目的として導入されました。企業は労働者の健康経営の観点から、そして労働者は自身の権利を行使する観点から、積極的に有給休暇を取得していくことが求められています。
特別休暇と欠勤の違い、手当の有無と日割り計算について
会社を休む際に、「有給休暇」の他に「特別休暇」という言葉を耳にすることもあるでしょう。これらの休暇と「欠勤」にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、特別休暇の特性と、欠勤した場合の給与の日割り計算について詳しく解説します。
特別休暇の定義と企業ごとの取り扱い
「特別休暇」とは、労働基準法に定められた休暇ではなく、会社が従業員の福利厚生や特定の目的のために任意で設ける休暇のことです。法律で義務付けられていないため、制度の有無や内容、日数、そして有給か無給かといった取り扱いは、企業によって大きく異なります。
一般的な特別休暇の例としては、以下のようなものがあります。
- 慶弔休暇:結婚、出産、親族の逝去などの際に取得できる休暇。
- 夏季休暇:夏期にまとめて取得できる休暇。
- リフレッシュ休暇:勤続年数に応じて心身のリフレッシュを目的として付与される休暇。
- ボランティア休暇:社会貢献活動を行う際に取得できる休暇。
これらの特別休暇が有給となるか無給となるかは、会社の就業規則や人事制度で定められています。多くの場合、慶弔休暇や夏季休暇は有給とされていることが多いですが、リフレッシュ休暇などは無給の場合もあります。会社によって利用条件や申請方法も異なるため、自分が利用できる特別休暇の種類や条件については、必ず就業規則を確認するか、人事担当者に問い合わせるようにしましょう。
欠勤控除と日割り計算の原則
欠勤した際に給与から差し引かれる「欠勤控除」は、前述の通り「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいています。これは、働かなかった分の賃金は支払われない、という極めてシンプルな考え方です。この欠勤控除の具体的な計算方法は、会社の給与体系によって異なりますが、一般的には以下のいずれかの方法で日割り計算されます。
- 月給 ÷ その月の所定労働日数 × 欠勤日数
- 月給 ÷ 1ヶ月の平均所定労働日数(年間総労働日数を12で割った数など) × 欠勤日数
- 月給 ÷ 暦日数 × 欠勤日数
たとえば、月給30万円で、その月の所定労働日数が20日だったとして、3日間欠勤したとします。この場合、「30万円 ÷ 20日 × 3日 = 4万5千円」が給与から控除されることになります。
残業手当や通勤手当、役職手当など、給与の構成要素によっては欠勤控除の対象となるものとならないものがあります。基本給だけでなく、各種手当が控除の対象になるかどうかについても、就業規則に明記されているはずですので、一度確認しておくことが重要です。欠勤が続くと、手取り額に大きく影響するため、計画的な休暇取得や制度利用が推奨されます。
有給休暇と特別休暇の使い分けのコツ
急な体調不良や私用で会社を休む必要がある場合、まずは「有給休暇」を優先的に利用することが賢明です。有給休暇は賃金が保障されるため、収入が減る心配がありません。また、その利用目的は基本的には自由であり、個人の裁量に任されています。
一方、特別休暇は、慶弔や夏季休暇など、特定の目的や期間に限定されていることが多いのが特徴です。例えば、結婚式などの明確な理由がある場合には、会社の慶弔休暇を利用し、その分有給休暇は温存しておく、といった使い分けが考えられます。
もし有給休暇の残日数が少ない場合や、特定の特別休暇が有給扱いであれば、それを活用するのも良い選択肢です。しかし、特別休暇が無給である場合は、欠勤と同じく給与が控除されてしまうため、注意が必要です。自身の有給残日数、特別休暇の有無と条件(有給か無給か)、そして休む理由を総合的に考慮して、最もメリットの大きい休暇を選択するようにしましょう。不明な点は、必ず会社の人事担当者に相談し、最適な方法を選ぶことが大切です。
年休付与日数との関係性:欠勤が与える影響を理解しよう
欠勤が、その日の給与だけでなく、将来の有給休暇の付与日数にも影響を及ぼすことは、すでに説明しました。このセクションでは、その具体的なメカニズムを深く掘り下げ、長期欠勤の場合の複雑な関係や、有給休暇の繰り越し制度についても解説します。
「全労働日」と「出勤率」の正確な理解
年次有給休暇が付与されるための重要な条件である「全労働日の8割以上出勤」を理解するには、「全労働日」と「出勤率」の定義を正確に把握する必要があります。
- 全労働日:会社の就業規則や労働契約で定められた、労働義務のある日のことです。これには休日(土日祝など)は含まれません。
- 出勤率:「(実際に出勤した日数 + 出勤とみなされる日数) ÷ 全労働日 × 100」で計算されます。
ここで重要なのは、欠勤した日は「出勤しなかった日」として扱われ、出勤率を低下させる要因となる点です。しかし、すべてが「出勤しなかった日」となるわけではありません。労働基準法上、以下の期間は出勤したものとみなされます。
- 業務上の負傷・疾病による休業期間
- 産前産後休業期間
- 育児休業期間
- 介護休業期間
これらの期間は、たとえ実際に会社に出勤していなくても、出勤率の計算上は「出勤したもの」として扱われるため、翌年度の有給休暇付与に影響を与えません。一方、私的な理由による病欠、無断欠勤、生理休暇(有給と規定されていない場合)などは「欠勤」として扱われ、出勤率を低下させます。この違いを理解し、自分の休業がどちらに該当するのかを確認することが大切です。
長期欠勤と有給休暇の複雑な関係
短期的な欠勤であれば、翌年度の有給休暇付与に大きな影響を与えることは少ないかもしれませんが、病気や怪我、家庭の事情などによる長期欠勤は、有給休暇の権利に複雑な影響を及ぼす可能性があります。
まず、長期欠勤中に有給休暇を取得することは、原則としてできません。休業期間中は労働義務がないため、賃金の保障がある有給休暇を消化する対象とならないためです。もし長期欠勤が続く場合、欠勤期間が長ければ長いほど、出勤率の「8割」を下回るリスクが高まり、結果として翌年度の有給休暇が付与されない事態に繋がりかねません。
ただし、傷病手当金などの公的制度を利用できる場合もあります。これは、病気や怪我で会社を休む際に、健康保険から支給される手当で、生活費を保障するものです。また、会社によっては、休職制度や別途の見舞金制度を設けている場合もあります。長期欠勤が見込まれる場合は、これらの制度を早期に確認し、活用することが生活の安定に繋がります。自分の状況に合わせて、利用できる制度を積極的に調べてみましょう。
有給休暇の繰り越し制度とその時効
「今年使いきれなかった有給休暇は、どうなるの?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。年次有給休暇には、当年度に消化しきれなかった日数を翌年度に繰り越すことができる制度があります。この繰り越しに上限日数はなく、付与された日数と同数を翌年度に繰り越すことが可能です。
ただし、有給休暇には「付与から2年間」という時効があります。繰り越された有給休暇も、この時効期間を過ぎると消滅してしまいます。例えば、2023年4月1日に付与された有給休暇は、2025年3月31日までに取得しなければ消滅する、ということです。この時効は、パートタイムや派遣社員を含む、すべての雇用形態の従業員に適用されます。
会社によっては、時効が近い古い有給休暇から優先的に消化されるような運用がされていることが一般的です。これは、従業員が意図せず有給休暇を失効させてしまうことを防ぐための配慮と言えます。自身の有給休暇の残日数と、それぞれの有効期限を定期的に確認し、計画的に消化していくことが、権利を無駄にしないための賢い方法です。長期的な視点を持って、有給休暇を管理しましょう。
欠勤を避けて有給休暇を賢く使うためのポイント
ここまで、欠勤と有給休暇の違いや、欠勤が与える影響について詳しく見てきました。これらの知識を踏まえて、私たちはどのようにすれば欠勤を避け、有給休暇を最大限に活用できるのでしょうか。ここでは、賢い有給休暇の使い方と、トラブルを未然に防ぐためのポイントを解説します。
計画的な有給休暇の取得がもたらすメリット
有給休暇は、急な体調不良や冠婚葬祭などの際だけでなく、日々の心身のリフレッシュや自己啓発、プライベートの充実のために積極的に活用すべきものです。特に、年間5日の有給休暇取得義務が会社に課せられている今、計画的な取得は個人のメリットだけでなく、会社の義務達成にも貢献します。
計画的に有給休暇を取得することには、多くのメリットがあります。
- 心身のリフレッシュ:定期的に休暇を取ることでストレスを解消し、業務効率や生産性の向上に繋がります。
- プライベートの充実:旅行や趣味、家族との時間など、有給休暇があるからこそできる活動を楽しめます。
- 欠勤リスクの軽減:計画的に休暇を取得することで、急な体調不良や私用による欠勤を避けることができます。
- チームへの影響最小化:事前に休暇を申請することで、業務の調整がしやすくなり、周囲に迷惑をかけることを防げます。
長期休暇を取得したい場合は、早めに申請し、チーム内で業務分担を調整するなど、周囲への配慮も忘れないようにしましょう。前もって予定を立てる「計画的付与」制度を導入している会社もありますので、積極的に活用し、自身の生活の質を高めていきましょう。
不明点は積極的に確認し、権利を行使する
有給休暇は労働者に与えられた重要な権利ですが、その仕組みは意外と複雑です。自分の有給休暇の付与日数、残日数、繰り越し状況、取得義務、そして会社独自の特別休暇など、不明な点があれば、遠慮せずに会社の担当者(人事部や総務部)や信頼できる社労士に確認しましょう。
特に、以下の点については、定期的に確認することをおすすめします。
- 有給休暇の残日数と有効期限:時効で消滅する前に計画的に取得するため。
- 特別休暇の種類と条件:万が一の際に活用できるよう、制度を把握しておくため。
- 欠勤控除の計算方法:欠勤した場合の給与への影響を理解しておくため。
また、自身の会社の「就業規則」は、労働に関するすべてのルールが記載されている重要な書類です。有給休暇の取得に関するルールや欠勤の取り扱いについても明記されていますので、一度目を通しておくことを強く推奨します。正しい知識を持つことは、自身の権利を守り、会社との良好な関係を築く上で不可欠です。
有給休暇以外の制度も活用し、リスクを軽減する
人生には予期せぬ出来事がつきものです。病気や怪我、家族の介護など、長期の休みが必要になる場合もあります。このような時に、有給休暇だけでは対応しきれないことも考えられます。そこで、有給休暇以外の制度も積極的に活用し、リスクを軽減することを検討しましょう。
具体的な制度としては、以下のようなものがあります。
- 傷病手当金:病気や怪我で仕事を休んだ際に、健康保険から支給される給付金です。
- 育児休業給付金:育児のために仕事を休む際に、雇用保険から支給される給付金です。
- 介護休業制度:家族の介護のために会社を休むことができる制度です(給付金も支給される場合があります)。
- 会社の休職制度:病気や私傷病により長期間休む場合に利用できる、会社独自の制度です。
これらの制度は、有給休暇とは異なり、長期の休業期間中の収入を保障したり、雇用を維持したりする上で非常に重要な役割を果たします。いざという時に慌てないよう、これらの制度の有無や利用条件を事前に確認し、自分や家族のライフステージに合わせて、賢く活用していく準備をしておくことが大切です。
有給休暇は労働者の大切な権利であり、企業もその適切な運用を推進する義務があります。本記事で解説した情報を参考に、ご自身の有給休暇を賢く活用し、より充実した職業生活を送ってください。
まとめ
よくある質問
Q: 欠勤すると、必ず有給休暇の日数は減りますか?
A: 一般的に、正当な理由のない欠勤(無断欠勤など)は、有給休暇の日数に影響を与える可能性があります。しかし、病欠や慶弔休暇などの特別休暇の場合は、有給休暇とは別に取得できることが多く、減算されない場合がほとんどです。会社の就業規則を確認することが重要です。
Q: 「欠勤」と「年休(年次有給休暇)」の主な違いは何ですか?
A: 年休は労働者の権利として付与される休暇であり、取得しても賃金が減額されません。一方、欠勤は労働義務の不履行であり、原則として無給となります。また、年休は労働日数としてカウントされますが、欠勤は労働しなかった日として扱われます。
Q: 欠勤と特別休暇の違いは何ですか?
A: 特別休暇は、慶弔休暇、産前産後休暇、育児休暇など、法律で定められている休暇や、会社が独自に設けている休暇のことです。これらの休暇は、有給休暇とは別に取得でき、理由があれば原則として欠勤扱いにはならず、賃金も支払われる場合があります。一方、正当な理由のない欠勤は、無給となることが一般的です。
Q: 欠勤した場合、欠勤手当は日割りで計算されますか?
A: 「欠勤手当」という名称で別途支給される手当は一般的ではありません。通常、欠勤した日数分は賃金から差し引かれます。これを「欠勤控除」と呼び、日割りで計算されるのが一般的です。ただし、会社の就業規則によって扱いが異なる場合もあります。
Q: 欠勤が年休の付与日数に影響することはありますか?
A: はい、あります。労働基準法では、年次有給休暇の付与日数は、所定労働日の8割以上出勤した労働者に対して与えられます。そのため、無断欠勤や正当な理由のない欠勤が続くと、出勤率が8割を下回り、年次有給休暇の付与日数が減算されたり、付与されなくなったりする可能性があります。
