概要: 仕事の欠勤が続くと、解雇や懲戒処分、退職勧告につながる可能性があります。欠勤日数や回数、理由によってその影響は異なり、公務員の場合はより厳しい処分が課されることも。また、転職活動における評価にも影響するため、対策が重要です。
欠勤が続いた場合に考えられるリスク:解雇・懲戒処分
1. 就業規則に基づく解雇のリスクと条件
度重なる欠勤は、企業の就業規則に違反する行為として、最悪の場合「解雇」につながる深刻なリスクをはらんでいます。
多くの企業では、正当な理由なく長期間の無断欠勤が続いた場合、懲戒解雇や普通解雇の対象となる旨を就業規則に明記しています。
一般的に、無断欠勤が14日以上続くと、企業が自然退職扱いとすることが多いとされていますが、これはあくまで目安であり、企業ごとの規則によって基準は異なります。
解雇が法的に認められるためには、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要です。
連絡を一切取らずに長期間欠勤を続ければ、業務に重大な支障が生じ、他の従業員への負担も増大するため、解雇が正当と判断されやすくなります。
参考情報にある2023年の調査では、無断欠勤が2週間に及んだ場合、実に74.1%もの企業が懲戒解雇の対象とする可能性があると回答しており、このリスクの高さが浮き彫りになっています。
2. メンタルヘルス不調時の企業の対応義務
しかし、欠勤がうつ病などのメンタルヘルスの不調を原因とするものである場合、企業側は解雇を非常に慎重に検討する必要があります。
安易な解雇は、不当解雇として訴えられるリスクがあるためです。
この場合、企業には従業員の健康状態を配慮し、休職制度の適用、業務内容の軽減、あるいは医療機関の受診を推奨するなど、適切な対応が求められます。
従業員側も、病状を会社に適切に伝え、診断書を提出し、定期的に状況を報告することが重要です。
産業医面談などを活用し、会社と連携しながら回復に努める姿勢を見せることで、不当な処分を避けることにもつながります。
会社が適切なプロセスを踏まずに解雇した場合、従業員は不当解雇を主張し、地位確認や賃金支払いを求めて法的に争うことも可能です。
3. 多様な懲戒処分の種類とその影響
欠勤が続いた場合に考えられる処分は、解雇だけではありません。企業の就業規則には、さまざまな「懲戒処分」の種類が規定されています。
これには、比較的軽い「戒告」や「減給」、一定期間の出社を禁止する「出勤停止」、役職や給与が下がる「降格」などがあります。
欠勤の頻度や期間、理由、業務への影響度合いに応じて、これらの処分が段階的に適用される可能性があります。
特に「諭旨解雇」や「懲戒解雇」は、個人のキャリアに深刻な影響を及ぼします。
懲戒解雇の場合、退職金が支給されないことが多く、また再就職活動においても、職務経歴書や面接でその事実を説明する必要が生じ、採用担当者に極めてネガティブな印象を与えることになります。
ご自身の勤めている企業の就業規則を事前に確認し、どのような行為がどのような懲戒処分につながるのかを把握しておくことが重要です。
「何日」「何回」で解雇される?欠勤と解雇の目安
1. 無断欠勤の日数と解雇の一般的な基準
「無断欠勤が何日続けば解雇されるのか」という問いに対し、明確な一律の基準はありませんが、多くの企業で共通認識となっている目安は存在します。
一般的には、就業規則に「正当な理由なく無断欠勤が14日以上継続した場合、自然退職扱いとする」といった規定を設けているケースが多く見られます。
この「自然退職」は実質的に解雇と近い効果を持ち、雇用契約が終了することになります。
しかし、これはあくまで一般的な傾向であり、企業規模、業種、業務内容、そして個別の就業規則によって判断は大きく異なります。
例えば、重要なプロジェクトを抱える時期の無断欠勤は、14日未満であっても重大な問題と見なされる可能性があります。
前述の2023年の調査結果からも、無断欠勤が2週間続くと74.1%の企業で懲戒解雇の対象となりうるというデータは、この目安がいかに重い意味を持つかを示しています。
一般的な目安として、以下のような段階で対応が厳しくなる傾向にあります。
| 欠勤期間 | 一般的な対応(目安) |
|---|---|
| 1〜3日 | 厳重注意、始末書提出 |
| 1週間程度 | 減給、出勤停止処分 |
| 2週間以上 | 諭旨解雇、懲戒解雇、自然退職 |
2. 連絡の有無と理由の正当性による判断の違い
欠勤における最も重要な判断基準の一つが「無断」であるかどうかです。
連絡なしの無断欠勤と、事前に連絡があり正当な理由(病気、事故、家族の不幸など)がある欠勤では、会社の対応は大きく異なります。
たとえ病気で欠勤する場合であっても、会社への速やかな連絡は必須であり、必要に応じて診断書などの証拠を提出することが求められます。
連絡を怠ることは、業務命令違反や会社の秩序を乱す行為と見なされ、より厳しい処分につながりやすくなります。
一方で、きちんと連絡し、正当な理由がある欠勤であれば、会社の理解を得やすく、休職制度の適用など、解雇以外の解決策が検討される余地が生まれます。
ただし、たとえ連絡があったとしても、その理由が虚偽であったり、頻繁に繰り返される場合は、やはり問題視され、解雇事由となりうる点には注意が必要です。
3. 頻繁な欠勤が累積的に評価される場合
欠勤は、連続した日数だけでなく、その「頻度」も重要な評価対象となります。
たとえ一日ずつの欠勤であっても、短期間に何度も繰り返される場合、例えば毎週のように遅刻や早退、あるいは欠勤を繰り返すような状況は、勤怠不良として累積的に評価されます。
このような頻繁な欠勤は、業務の計画性やチームの生産性を著しく阻害し、他の従業員への負担を増大させるため、会社にとっては看過できない問題となります。
会社側は、こうした状況に対し、面談や改善指導、警告など段階的な対応を行うことが一般的です。
これらの指導にもかかわらず改善が見られない場合、最終的には業務命令違反や能力不足と判断され、懲戒処分や解雇の対象となる可能性があります。
欠勤がやむを得ない事情によるものであっても、その頻度や業務への影響を考慮し、会社と密にコミュニケーションを取りながら、解決策を模索することが求められます。
欠勤が懲戒処分につながるケースと公務員の例
1. 懲戒処分に至る具体的な欠勤ケース
欠勤が懲戒処分につながるケースは多岐にわたりますが、最も典型的なのは「無断欠勤」です。
正当な理由なく、会社への連絡もなしに欠勤を続けることは、労働契約における最も基本的な義務の一つである「労働義務」を放棄する行為と見なされ、重い懲戒処分の対象となります。
特に、重要な業務や会議がある日に無断で休むなど、会社の業務に具体的な損害を与えた場合は、その処分はさらに厳しくなる傾向があります。
また、欠勤理由の虚偽申告も重大な懲戒事由です。
例えば、病気を装って欠勤しながら実際には別の活動に従事していたり、偽の診断書を提出したりする行為は、会社への背信行為であり、発覚すれば懲戒解雇に直結する可能性があります。
上司の業務命令に反して欠勤した場合や、過去にも頻繁な欠勤を繰り返しており、再三の注意・指導にもかかわらず改善が見られない場合も、懲戒処分の対象となり得ます。
2. 公務員における欠勤と懲戒処分の特殊性
一般企業と異なり、公務員は「地方公務員法」や「国家公務員法」といった法律に基づいて、より厳格な服務規律が課せられています。
公務員の職務は公共性が高く、国民や市民の信頼によって成り立っているため、欠勤一つにしても一般企業よりも厳しい目が向けられ、懲戒処分も重くなる傾向があります。
公務員の欠勤は、単なる職務怠慢としてだけでなく、「信用失墜行為」として見なされることもあります。
例えば、数ヶ月にわたる無断欠勤で懲戒免職となった事例や、病気休暇中に私的な旅行や副業を行うなど、不適切な行動が発覚して減給や停職といった処分を受けた事例も報告されています。
公務員が職務を怠ることは、行政サービスの停滞や市民生活への影響にも直結するため、その責任はより重いと認識されています。
公務員を目指す方や現職の方は、服務規律について十分に理解しておく必要があります。
3. 懲戒処分後の退職金と再就職への影響
懲戒処分が下された場合、その後のキャリアへの影響は計り知れません。
特に「懲戒解雇」の場合、最も大きな影響の一つが退職金の不支給です。
多くの企業の就業規則では、懲戒解雇の場合には退職金を支給しない、あるいは大幅に減額すると規定されています。
長年勤め上げてきた退職金が受け取れないことは、経済的に大きな打撃となります。
さらに、懲戒解雇という事実は、その後の再就職活動において極めて不利に働きます。
職務経歴書に記載する義務はないものの、面接では必ず退職理由を問われるため、この事実を隠すことは困難です。
採用担当者は、懲戒解雇という経歴から「問題のある人物ではないか」「また同じことを繰り返すのではないか」といった懸念を抱き、内定に結びつきにくくなります。
公務員の場合、懲戒免職処分を受けると、一定期間公務員としての再就職ができないという制限も課せられるため、その影響はさらに甚大です。
欠勤が退職勧告や退職に与える影響
1. 退職勧告が行われる背景と企業側の意図
欠勤が慢性的に続く状況は、企業にとって従業員の雇用継続を困難と判断させる大きな要因となります。
会社は、解雇に伴う法的なトラブル(不当解雇訴訟など)のリスクを避けつつ、問題のある従業員との雇用関係を解消したいと考えるため、「退職勧告(退職勧奨)」を行います。
これは、「自主的な退職」を促すための話し合いであり、強制力はありません。
参考情報によると、2013年の調査では、約16.4%の企業が退職勧奨を行った経験があると報告されており、これは決して珍しいことではありません。
欠勤以外にも、業務成績の不振、ハラスメント行為、あるいは組織再編など、様々な理由で退職勧告は行われますが、欠勤の長期化や頻繁化は、企業が退職勧告に踏み切る主要な理由の一つとなり得ます。
会社側は、退職勧告を通じて、円満な形で雇用関係を終了させたいという意図を持っていることが多いです。
2. 退職勧告の法的性質と対応方法
退職勧告は、あくまで企業からの「退職してほしい」という要請であり、法的な強制力は一切ありません。
従業員にはこれに応じる義務はなく、拒否する権利があります。
しかし、度重なる欠勤が続く状況で退職勧告を拒否した場合、会社との関係がさらに悪化し、職場での居心地が悪くなる可能性は否定できません。
最悪の場合、会社が合法的な手続きを踏んで解雇に踏み切る可能性もゼロではありません。
退職勧告を受けた際には、まずその内容を冷静に聞き、即座に返答せず、持ち帰ってじっくり検討することが重要です。
可能であれば、労働組合や弁護士などの専門家に相談し、自身の権利や今後の選択肢についてアドバイスを求めるべきでしょう。
安易に退職に応じる前に、退職条件(退職金の上乗せ、退職日の調整など)についても交渉の余地がないか確認することも肝心です。
3. 自己都合退職と会社都合退職の選択の重要性
退職勧告に応じて退職する場合、その退職が「自己都合退職」として処理されるか、「会社都合退職」として処理されるかによって、その後の失業給付の受給条件や期間、そして転職活動への影響が大きく異なります。
一般的に、自己都合退職の場合は、失業給付の受給開始までに2ヶ月間の給付制限期間が設けられ、受給期間も短くなる傾向があります。
一方、会社都合退職(特定受給資格者)の場合は、給付制限期間がなく、失業給付を早期に、かつ長く受給できるメリットがあります。
退職勧告は、実質的には会社側からの退職要請であるため、会社都合退職として処理されるべきケースも少なくありません。
しかし、企業側は自己都合退職として処理しようとすることが多いため、退職勧告に応じる際には、会社都合退職として処理してもらえるよう交渉することが極めて重要です。
この違いは、退職後の生活設計や転職活動に大きな影響を与えるため、慎重な判断が求められます。
欠勤が転職活動に及ぼす影響と対策
1. 職務経歴書・履歴書作成時の課題と工夫
欠勤が続いた結果、会社を退職することになった場合、その事実は転職活動において大きな課題となります。
特に、短期間での退職や、退職後にブランク期間が生じた場合、職務経歴書や履歴書を作成する際に、どのようにその期間を説明するかが重要です。
退職理由を正直に書くべきか、あるいはより前向きな表現に工夫すべきか、多くの人が悩む点です。
在籍期間が短いと、採用担当者から「すぐに辞めてしまうのではないか」「何か問題があったのではないか」といった懸念を持たれやすくなります。
このような状況を乗り越えるためには、転職エージェントの活用が非常に有効です。
彼らは、あなたの状況を理解した上で、職務経歴書の書き方や退職理由の表現方法について具体的なアドバイスを提供してくれます。
単なる事実の羅列ではなく、その経験から何を学び、どのように成長したのかを前向きに伝える工夫が求められます。
2. 面接での退職理由の説明と信頼回復
面接の場では、必ずと言っていいほど「退職理由」について質問されます。
欠勤が原因で退職した事実がある場合、これをどのように説明するかが合否を分ける重要なポイントとなります。
嘘をつくことは信頼を損なうため避けるべきですが、ネガティブな事実をそのまま伝えるだけでは、採用に不利になる可能性があります。
もしメンタルヘルスの不調が原因であった場合は、参考情報にあるように、以下の点を具体的に説明できるように準備しましょう。
- 現在は病状が回復しており、業務に支障がないこと。
- 再発防止のためにどのような対策(通院、生活習慣の見直し、ストレスマネジメントなど)を講じているか。
- 休職や欠勤期間の経験から何を学び、どのように自己成長につながったか。
過去の経験を反省し、改善策を講じ、今後の業務への意欲と貢献の意思を伝えることで、採用担当者にポジティブな印象を与える努力が必要です。
3. 転職を成功させるための具体的な対策
欠勤が原因で退職した場合でも、適切な対策を講じることで転職を成功させることは可能です。
まず、自身の欠勤の原因を徹底的に自己分析し、今後のキャリアプランを明確にすることが重要です。
どのような仕事であれば安定して長く続けられるのか、どのような環境が自分に合っているのかを深く掘り下げましょう。
次に、ブランク期間がある場合は、その間にスキルアップや資格取得に励むことで、自身の市場価値を高めることができます。
そして、何よりも転職エージェントの積極的な活用を強くお勧めします。
エージェントは、あなたの状況を理解し、その上で最適な企業を紹介してくれるだけでなく、職務経歴書の添削、面接対策、さらには企業への推薦文作成など、多岐にわたるサポートを提供してくれます。
自身の状況をオープンに伝え、企業への熱意と貢献意欲を具体的に示すことで、新しいキャリアを築くチャンスは十分にあります。
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まとめ
よくある質問
Q: 欠勤が続くと、すぐに解雇されますか?
A: 必ずしもすぐに解雇されるわけではありません。就業規則に定められた欠勤日数や回数、欠勤の理由、これまでの勤務態度などを総合的に判断して、会社は解雇の可否を決定します。一般的には、正当な理由なく長期間の欠勤が続いた場合に解雇のリスクが高まります。
Q: 「何日」欠勤したら解雇されますか?
A: 明確な「何日」という基準は会社によって異なります。就業規則に明記されている場合もあれば、個別の状況に応じて判断される場合もあります。目安としては、1週間~1ヶ月以上の連続した正当な理由のない欠勤は、解雇につながる可能性が高いと考えられます。
Q: 公務員の場合、欠勤による懲戒処分はどのようなものがありますか?
A: 公務員の場合、欠勤が続くと懲戒処分として、戒告、減給、停職、そして最も重い懲戒免職となる可能性があります。公務員倫理の観点から、一般企業よりも厳しい処分が課される傾向があります。
Q: 欠勤が多いと、転職活動で不利になりますか?
A: はい、転職活動で不利になる可能性があります。面接で欠勤理由を説明する必要があり、それが正当な理由でない場合や、頻繁な欠勤が続いている場合は、採用担当者に「真面目に働かない」「自己管理ができない」といった印象を与えかねません。
Q: 欠勤が続いた後、転職活動をする上で気をつけるべきことは何ですか?
A: まず、欠勤が続いた理由を整理し、正直かつ具体的に説明できるように準備しましょう。やむを得ない理由であれば、それを説明し、改善策を伝えることが重要です。また、職務経歴書には、欠勤期間を正直に記載し、その期間に何をしていたのか(資格取得、自己学習など)をポジティブに伝えられるように工夫すると良いでしょう。
