概要: 「欠勤が続くとどうなるの?」という疑問にお答えします。欠勤日数ごとの会社への影響、査定への影響、そして最悪の場合クビになる可能性まで、具体的な日数とともに解説。欠勤を繰り返さないための対策もご紹介します。
【解説】欠勤が続くとどうなる?知っておきたい日数と会社への影響
会社員として働く中で、体調不良や家庭の事情などで会社を休むことは誰にでも起こり得ます。
しかし、その欠勤が続いてしまうと、本人だけでなく会社全体にも様々な影響が及ぶ可能性があります。
この記事では、欠勤が続いた場合にどのような影響が出るのか、何日くらいで問題視されるのか、
そして最悪の場合「クビ」になる可能性まで、知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。
有給休暇の活用方法や、欠勤を防ぐための対策についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
欠勤が続いた場合、どれくらいで影響が出る?
欠勤が続くと、個人の評価だけでなく、会社全体の業務にも支障が出始めます。
ここでは、まず欠勤の基本的な定義から、会社が問題視し始める日数、そして直接的な影響について見ていきましょう。
欠勤の定義と種類
「欠勤」とは、本来出勤すべき日に、労働義務があるにもかかわらず休むことを指します。
風邪などの病気や私用など理由は様々ですが、会社への連絡の有無によって「届出欠勤」と「無断欠勤」に大きく分けられます。
例えば、前もって病院に行くことを伝えたり、朝急な発熱で連絡を入れる場合は「届出欠勤」にあたります。
一方、会社に何の連絡もせずに出勤しない場合は「無断欠勤」となります。
無断欠勤は、会社との信頼関係を大きく損なう行為であり、懲戒処分や解雇の対象となる可能性もある、非常に重い欠勤です。
労働基準法における賃金支払いの原則である「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されるため、欠勤した日は原則として給与が支払われません。
会社が問題視する「出勤率」の目安
欠勤に関して、法的に明確な日数上限が定められているわけではありませんが、多くの会社では「出勤率」を重視しています。
一般的に、出勤率が80%を下回ると、会社から問題視される可能性が高まります。
これは、有給休暇の付与要件が出勤率80%以上であることが一因とも言えます。
具体例として、月の所定労働日が20日(土日祝日を除く平日)の場合を考えてみましょう。
この場合、4日以上の欠勤があると出勤率が80%(16日出勤/20日労働)を下回ることになります。
もちろん、会社や部署、業務内容によって影響の度合いは異なりますが、この80%という数字は一つの目安として覚えておくと良いでしょう。
急な欠勤は、進行中のプロジェクトに影響を及ぼしたり、他のメンバーの業務負担を増加させたりするため、業務への支障は避けられません。
欠勤がもたらす直接的な影響
欠勤は、直接的にいくつかの不利益を従業員にもたらします。
最も分かりやすいのは、給与への影響です。
前述の「ノーワーク・ノーペイの原則」により、欠勤した分の賃金は支払われません。
月給制の場合は欠勤日数に応じて給与から控除され、日給制や時給制の場合はその分の給与が発生しません。
また、業務への支障も深刻です。
急な欠勤は、その日の業務計画を狂わせ、他の同僚がカバーに入らざるを得なくなります。
これにより、同僚の業務負担が増加し、チーム全体の生産性が低下するだけでなく、
人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
重要な会議や顧客とのアポイントメントに欠席することで、会社の信頼を損ねる事態に発展するリスクも考えられます。
欠勤日数は査定や評価にどう影響する?
欠勤が続くことは、日々の業務だけでなく、あなたの会社での評価やキャリアパスにも大きな影響を及ぼします。
ここでは、勤怠状況がどのように人事評価に結びつくのか、そしてその影響度合いについて掘り下げていきます。
勤怠状況と人事評価の連動
多くの企業では、従業員の人事評価において、業績やスキルだけでなく「勤怠状況」も重要な評価項目の一つとしています。
特に、無断欠勤や連絡のない急な欠勤が続く場合、勤怠状況が「良くない」とみなされ、評価に直接影響が出ることが少なくありません。
評価項目としては、「規律性」「責任感」「協調性」などが挙げられますが、欠勤が多ければこれらの項目で低評価を受ける可能性が高まります。
例えば、どんなに優れた業績を上げていたとしても、頻繁な欠勤で周囲に負担をかけたり、プロジェクトの進行を遅らせたりすれば、
組織への貢献度としてはマイナスに評価されてしまいます。
この低評価は、昇給・賞与額の決定や、昇進・昇格の機会に不利に働くことにつながります。
長期的に見れば、希望するキャリアパスから遠ざかる可能性も出てくるでしょう。
評価への影響度合いと企業文化
欠勤が評価に与える影響度合いは、企業ごとの文化や業種によって異なります。
例えば、チームでの連携が不可欠なプロジェクト型業務や、顧客対応が中心のサービス業などでは、
個人の欠勤が業務に与える影響が大きいため、勤怠管理は非常に厳しく見られる傾向があります。
一方、個人の裁量が大きく、成果主義が強い企業では、欠勤自体よりも「成果を出せているか」が重視されることもあります。
また、同じ会社内でも、部署や役職によって評価基準が変わることもあります。
特にリーダーやマネージャーといった役職の従業員には、組織を牽引する立場として、より高い責任感と安定した勤怠が求められます。
そのため、一般社員以上に欠勤が評価に与える影響は大きくなる傾向にあります。
自身の会社の就業規則や評価制度を理解し、勤怠に関する期待値を把握しておくことが重要です。
欠勤の理由と評価の関係
欠勤の理由も、評価に影響を与える要素の一つです。
例えば、病気や忌引き、家族の介護など、正当な理由による欠勤で、かつ会社に適切に連絡・相談が行われている場合は、
評価への影響は比較的小さく抑えられることが多いです。
もちろん、それでも業務への支障は考慮されますが、不誠実な印象を与えることは少ないでしょう。
しかし、理由が不明確な私的な欠勤や、特に無断欠勤となると、評価は著しく低下します。
会社は、従業員の責任感や会社へのコミットメントを重視するため、これらの行動は「信頼できない」という烙印を押されかねません。
また、事前に申請された有給休暇の取得と、急な欠勤とでは、業務調整の面で大きな違いがあるため、
評価上も全く異なる扱いを受けることを理解しておく必要があります。
いかなる理由であれ、会社への連絡と相談を怠らないことが、評価への悪影響を最小限に抑える上で非常に重要です。
欠勤を繰り返す場合の会社側の対応(クビになる可能性)
欠勤が常態化したり、特に無断欠勤が繰り返される場合、会社は従業員に対して何らかの対応を取らざるを得なくなります。
最悪の場合、解雇(クビ)に至る可能性もゼロではありません。
ここでは、会社がどのような段階を経て対応するのか、そして解雇に至るプロセスについて解説します。
懲戒処分の段階と内容
欠勤が続く場合、会社は就業規則に基づき、従業員に対して懲戒処分を検討します。
懲戒処分には、一般的に以下の段階があります。
- 口頭注意・始末書提出: 初期段階で、軽度の欠勤や無断欠勤に対して行われます。反省を促し、改善を期待するものです。
- 減給: 欠勤による会社への損害や、繰り返される場合に給与の一部を減額する処分です。
- 出勤停止: 一定期間の出勤を禁止し、その間の給与を支給しない処分です。比較的重い処分として認識されます。
- 諭旨解雇: 従業員に退職を勧告し、自主退職を促す処分です。応じない場合は懲戒解雇となります。
- 懲戒解雇: 最も重い処分で、会社との雇用契約を一方的に解除するものです。退職金が不支給となるケースも多く、今後の転職活動にも大きな影響を与えます。
特に、正当な理由なく無断欠勤が長期間(例: 14日以上)続くと、懲戒解雇の対象となる可能性が高まります。
欠勤の種類(無断か否か、連絡があったか)によって、処分の重さは大きく異なります。
解雇に至るまでのプロセスと企業の義務
「解雇」は、従業員にとって非常に大きな影響があるため、会社側には慎重な対応が求められます。
企業が従業員を解雇するためには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められるものでなければなりません。
そのため、いきなり解雇となることは稀で、以下のような段階を踏むのが一般的です。
- 注意・指導: 欠勤が続いた際、まず口頭や書面で注意を促し、改善を求めます。
- 面談・ヒアリング: 欠勤の原因を探るため、本人との面談を実施し、健康状態や家庭の事情などを確認します。必要に応じて産業医面談を促すこともあります。
- 改善機会の提供: 業務調整や休職制度の利用など、解雇以外の方法を検討し、従業員が働き続けられるよう支援する義務が会社にはあります。配置転換や休職期間中の復職支援なども含まれます。
- 最終勧告・解雇予告: これらの対応を経ても改善が見られない場合、最終勧告を行い、それでも状況が変わらなければ解雇を予告します。
会社は、就業規則に解雇事由を明記し、それに従って手続きを進める必要があります。
自身の会社の就業規則を一度確認しておくことが重要です。
休職制度の活用とその後の展望
病気や怪我、メンタルヘルス不調などで長期間の欠勤が必要な場合、会社の「休職制度」を利用することが可能です。
休職は、業務外の事由で勤務できない場合に、会社に申請し認められる休みであり、原則として給与は支払われませんが、籍を置いたまま治療に専念できる制度です。
参考情報によると、メンタルヘルス不調などで休職した場合の復職率は以下のようになっています。
| 休職期間 | 復職した割合 |
|---|---|
| 3ヶ月まで | 35% |
| 6ヶ月まで | 58% |
| 12ヶ月まで | 71% |
| 18ヶ月まで | 75% |
このように、期間が長くなるほど復職率は上がりますが、一方で復職後の再休職も課題となっています。
復職後6ヶ月以内で約20%、1年以内で約30%が再休職するというデータもあり、
また休職者の42.3%が、休職制度の利用中や職場復帰後に退職しているという調査結果も出ています。
このことから、休職後の復帰支援や職場環境の整備がいかに重要であるかがわかります。
休職制度を利用する際は、復職後のサポート体制についても会社とよく相談することが大切です。
有給休暇の活用と欠勤が重なる際の注意点
欠勤は、できれば避けたいものです。
そのためにも、与えられた有給休暇を賢く活用し、予期せぬ欠勤が重なる事態を未然に防ぐことが重要になります。
ここでは、有給休暇の基本的な権利から、欠勤との使い分け、そして長期の休みが必要な場合の相談先について見ていきましょう。
有給休暇の権利と取得原則
有給休暇は、労働基準法で認められた、給与が保障される労働者の権利です。
労働者は、雇い入れの日から6ヶ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば、年に10日以上の有給休暇が付与されます。
企業は、労働者からの有給休暇の申請に対し、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、原則として拒否することはできません。
有給休暇を取得すれば、給与が減額されることなく休むことができるため、急な体調不良や私用で休む際も、
欠勤扱いにならず、評価や給与への影響を避けることができます。
計画的に有給休暇を消化することで、心身のリフレッシュを図り、結果的に欠勤を防ぐことにもつながります。
年次有給休暇は、労働者の健康と生活の維持、そして企業の生産性向上にも寄与する重要な制度なのです。
欠勤と有給休暇の使い分け
体調不良などで会社を休む場合、まず有給休暇が残っていればそれを活用することを検討しましょう。
これにより、給与の控除を防ぎ、勤怠評価へのマイナス影響を避けることができます。
急な病気や怪我で有給休暇を使い切ってしまった場合や、そもそも有給休暇が付与されていない場合は、
やむを得ず欠勤扱いとなることを覚悟しなければなりません。
ただし、多くの企業では、有給休暇の申請は事前の届出が原則とされています。
急な体調不良の場合でも、出勤時間前には必ず会社に連絡し、その旨を伝えることが重要です。
会社の就業規則によっては、事後での有給休暇への振り替えが認められている場合もありますので、
困った際には人事部や上司に確認してみましょう。
無断欠勤だけは絶対に避け、必ず連絡を入れることが最優先です。
欠勤が続く場合の相談先と制度活用
病気や家庭の事情などで長期にわたる欠勤が見込まれる場合は、一人で抱え込まず、早めに会社に相談することが大切です。
相談先としては、直属の上司、人事担当者、そして会社の産業医やカウンセラーなどが挙げられます。
会社には、従業員の心身の健康を管理し、安心して働ける環境を提供する義務があります。
相談することで、休職制度の利用や、傷病手当金(健康保険から給付される賃金補償)、
育児休業、介護休業といった他の公的制度の活用についてのアドバイスを受けられる可能性があります。
例えば、うつ病などの精神疾患で欠勤が続く場合は、休職を検討し、その間の傷病手当金で生活を支えながら治療に専念できます。
自身の状況を正直に伝え、利用できる制度がないか積極的に尋ねることが、問題を解決するための第一歩となります。
欠勤が続くのを防ぐための対策
欠勤は、本人の健康だけでなく、職場の生産性や人間関係にも影響を及ぼします。
欠勤が続く状況を未然に防ぐためには、日頃からの健康管理と、適切なサポート体制の活用が不可欠です。
ここでは、そのための具体的な対策をいくつかご紹介します。
健康的なライフスタイルの維持
欠勤の多くは、体調不良やメンタルヘルス不調が原因となるため、日頃からの健康管理が何よりも重要です。
近年の研究では、従業員のライフスタイル(睡眠、運動、喫煙習慣など)がメンタルヘルス関連の欠勤率や離職率と関連していることが示唆されています。
特に、睡眠不足、運動不足、喫煙習慣などが欠勤率を高める可能性があり、これらを改善することで欠勤率の低下につながると考えられています。
具体的には、十分な睡眠時間の確保、バランスの取れた食事、適度な運動の習慣化が挙げられます。
例えば、毎日同じ時間に就寝・起床するリズムを作る、週に数回ウォーキングや軽いジョギングを取り入れる、
野菜を多く摂り、加工食品を控える、といった小さな積み重ねが、大きな健康効果をもたらします。
また、ストレスは心身の不調を引き起こす大きな要因であるため、趣味の時間を持つ、リラックスできる環境を作るなど、
自分に合ったストレス解消法を見つけることも大切です。
早期の相談と周囲のサポート
体調やメンタルに異変を感じたら、一人で抱え込まず、早めに周囲に相談することが欠勤を防ぐ上で非常に重要です。
直属の上司、信頼できる同僚、人事担当者、または会社の産業医やカウンセラーなど、
相談しやすい相手に状況を伝えることで、会社側も適切な対応を取りやすくなります。
例えば、業務量の調整、配置転換、病院受診の勧め、休職制度の案内など、様々なサポートが受けられる可能性があります。
また、家族や友人など、職場以外の身近な人々に相談することも有効です。
必要であれば、心療内科や精神科などの専門医療機関を受診することも検討しましょう。
早期発見・早期対応が、症状の悪化を防ぎ、結果として長期欠勤を避けるための最善策となります。
職場環境の整備と会社の役割
従業員個人の努力だけでなく、会社側が働きやすい職場環境を整備することも、欠勤率の低下には不可欠です。
具体的には、以下のような取り組みが考えられます。
- 柔軟な働き方の導入: リモートワーク、フレックスタイム制度、時短勤務など、多様な働き方を導入することで、従業員がライフステージの変化や突発的な事情に対応しやすくなります。
- ストレスチェック制度の活用: 定期的なストレスチェックを実施し、高ストレス者への面談指導や適切なフォローアップを行うことで、メンタルヘルス不調を未然に防ぎます。
- 健康経営の推進: 従業員の健康を経営的な視点から捉え、健康増進のための施策(健康診断の充実、運動機会の提供、禁煙支援など)を積極的に行うことで、組織全体の活力を高めます。
- コミュニケーションの促進: 上司と部下、同僚間の円滑なコミュニケーションを促すことで、悩みを抱え込まずに相談できる風通しの良い職場文化を醸成します。
これらの取り組みは、従業員が安心して長く働ける環境を作り、結果的に欠勤率の低下と、会社の生産性向上に繋がります。
従業員と会社が一体となって、健康で持続可能な働き方を追求していくことが大切です。
欠勤が続くと、本人だけでなく会社にも多岐にわたる影響があることをご理解いただけたでしょうか。
自身の健康管理を徹底し、会社のルールを遵守するとともに、困った時には一人で抱え込まず、早めに相談することが何よりも重要です。
この記事が、皆さんの健やかな職業生活の一助となれば幸いです。
まとめ
よくある質問
Q: 欠勤が90日続くとどうなりますか?
A: 一般的に、90日もの長期欠勤は、就業規則の休職期間を超過し、自動退職となる可能性が非常に高いです。会社によっては、それ以前の段階で休職勧告や解雇の検討に入ることもあります。
Q: 欠勤が9日続いた場合、会社から何か言われますか?
A: 欠勤が9日程度続いた場合、会社から理由を尋ねられたり、状況によっては注意や指導を受ける可能性があります。特に、連絡がないまま欠勤が続くと、会社は深刻に受け止めます。
Q: 欠勤が1ヶ月続いた場合、クビになる可能性はありますか?
A: 欠勤が1ヶ月続くと、就業規則に定められた休職期間や、会社が設けている「欠勤による解雇」の基準に抵触する可能性があります。ただし、病気など正当な理由があれば、即解雇とはならない場合もありますが、会社との連携は不可欠です。
Q: 欠勤が多い人は、査定でどのように評価されますか?
A: 欠勤が多い人は、勤務態度や貢献度といった点でマイナス評価につながることが一般的です。これにより、昇給や昇格の機会が失われたり、賞与が減額されたりする可能性があります。
Q: 欠勤を繰り返す場合、どれくらいでクビになる基準がありますか?
A: 「何日」という明確な基準は就業規則によって異なりますが、一般的には「頻繁な欠勤」や「一定期間内の累積欠勤日数」が基準となります。無断欠勤や、会社が認めていない理由での欠勤が繰り返される場合は、早期に解雇のリスクが高まります。
