1. 欠勤とは?基本から法律、パート・公務員まで徹底解説
  2. 欠勤の基本的な意味と定義を知ろう
    1. 「欠勤」とは具体的に何を指すのか?
    2. 欠勤とその他の「休み」との決定的な違い
    3. 企業が欠勤に対して持つ対応の基本
  3. 労働基準法における欠勤の扱いは?
    1. 「ノーワーク・ノーペイの原則」の具体的な適用
    2. 懲戒処分の可能性と就業規則の重要性
    3. 有給休暇との関係:欠勤を避けるための労働者の権利
  4. パート・アルバイトの欠勤と正社員の違い
    1. 時給・日給制における給与控除の考え方
    2. パート・アルバイトも取得できる有給休暇
    3. 「罰金制度」の危険性とその法的根拠
  5. 公務員の欠勤、その特殊性と注意点
    1. 労働基準法が適用されない公務員の根拠法
    2. 「職務専念義務」違反としての重い責任
    3. 公務員の欠勤が招く懲戒処分の具体的な内容
  6. 無断欠勤、事故欠勤、傷病欠勤:ケース別の意味と対応
    1. 連絡なしの「無断欠勤」がもたらす深刻な影響
    2. 突発的な「事故欠勤」と事前の「傷病欠勤」の扱い
    3. 欠勤を防ぐための準備と連絡の重要性
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 欠勤とは具体的にどのような状態を指しますか?
    2. Q: 労働基準法では、欠勤についてどのように定められていますか?
    3. Q: パート・アルバイトの場合、欠勤の扱いは正社員と異なりますか?
    4. Q: 公務員における欠勤は、民間企業と比べてどのような特徴がありますか?
    5. Q: 無断欠勤、事故欠勤、傷病欠勤のそれぞれの意味と、連絡の重要性を教えてください。

欠勤とは?基本から法律、パート・公務員まで徹底解説

会社を休む際、「欠勤」という言葉を耳にすることがあるでしょう。しかし、一言で「欠勤」と言っても、その定義や法律上の扱いは意外と複雑です。

特に、有給休暇や公休、休職など、さまざまな「休み」との違いを正確に理解しておくことは、労働者にとっても使用者にとっても非常に重要です。

本記事では、欠勤の基本的な意味から、労働基準法における扱い、パート・アルバイトや公務員といった働き方による違い、さらには無断欠勤のようなケース別の対応まで、網羅的に解説していきます。あなたの働き方に合わせた正しい知識を身につけ、安心して仕事に取り組めるよう、ぜひ最後までお読みください。


欠勤の基本的な意味と定義を知ろう

「欠勤」とは具体的に何を指すのか?

「欠勤」とは、労働者が労働契約や就業規則で定められた労働日に、会社に出勤しないこと全般を指します。これは、病気や怪我、家庭の事情など、いかなる理由であっても、事前に承認された休暇(有給休暇など)ではない場合に適用されます。

法律上で「欠勤」という明確な定義はありませんが、労働契約上の義務である「労働の提供」が行われなかったとみなされます。

このため、原則として、欠勤した日の給与は支払われません。これは「ノーワーク・ノーペイの原則」と呼ばれ、労働が提供されない限り、その対価である給与は発生しないという考え方に基づいています。

さらに、遅刻や早退も、定められた労働時間の一部を履行しなかったという意味で、広義では欠勤と同様に扱われることがあります。これらの時間分の給与も、ノーワーク・ノーペイの原則により控除されるのが一般的です。

欠勤とその他の「休み」との決定的な違い

欠勤と混同しやすい「休み」には、さまざまな種類があります。それぞれの違いを理解することが、適切な対応につながります。

  • 有給休暇(年次有給休暇):労働基準法で労働者に保障された権利であり、取得しても給与が支払われます。理由を詳細に説明する必要はなく、労働者が希望すれば原則として取得できます。
  • 公休:会社が就業規則などで定めている休日(土日祝日、年末年始など)であり、元々労働義務のない日です。当然ながら給与は発生しませんが、欠勤とは性質が異なります。
  • 休業:雇用主または労働者側の事情により、長期的に業務を休むことを指します。育児休業や介護休業などがこれにあたります。労働者側の事情の場合は給与が支払われないのが一般的ですが、会社都合の休業の場合は、休業手当の支払い義務が生じることがあります。
  • 休職:病気や怪我など、労働者側の長期的な事情により、労働契約を維持したまま一時的に働く義務を免除される制度です。原則として給与は支払われませんが、籍は会社に残り、復職の可能性があります。

このように、欠勤は「労働義務のある日に、労働が提供されなかった状態」であり、他の休みとは法的根拠や給与の有無、契約状態において明確な違いがあります。

企業が欠勤に対して持つ対応の基本

企業にとって、従業員の欠勤は業務計画の遅延や、他の従業員への負担増など、様々な影響を及ぼします。

そのため、多くの企業では就業規則に欠勤に関する規定を設けています。特に、無断欠勤は、労働契約における信頼関係を著しく損なう行為とみなされ、就業規則に違反する行為として、厳しく対処される可能性があります。

企業は、従業員が欠勤した場合、まずその理由や状況を確認し、必要に応じて連絡を試みます。正当な理由がなく、かつ連絡もない無断欠勤が続く場合、企業は就業規則に基づき、以下のような措置を検討することがあります。

  • 口頭注意・指導
  • 始末書の提出要求
  • 減給
  • 出勤停止
  • 懲戒解雇

これらの処分は、欠勤の回数や期間、企業への影響の大きさによって段階的に重くなることが一般的です。従業員としては、やむを得ない事情で欠勤する際には、必ず会社に連絡し、承認を得ることが何よりも重要です。


労働基準法における欠勤の扱いは?

「ノーワーク・ノーペイの原則」の具体的な適用

労働基準法は、労働者の権利を保護するための法律ですが、欠勤に関しては「ノーワーク・ノーペイの原則」という大前提があります。

この原則は、労働者が労働を提供しなかった場合、その対価としての賃金は支払われない、という考え方に基づいています。つまり、会社を休んだ日については、原則として給与は発生しないということです。

例えば、月給制の従業員が1日欠勤した場合、その日の給与は月給から控除されます。日給制や時給制の場合は、欠勤した日数や時間分の給与が単純に差し引かれます。

ただし、会社によっては福利厚生の一環として、病気など特定の理由による欠勤に対して、一定期間の給与補償を行う制度(傷病手当など)を設けている場合もありますが、これは法的な義務ではなく、会社の任意によるものです。

ご自身の会社の就業規則や賃金規程を確認し、欠勤時の給与の扱いや、会社の独自の制度について理解しておくことが重要です。

懲戒処分の可能性と就業規則の重要性

労働基準法では、欠勤そのものに対する罰則を定めているわけではありませんが、就業規則に違反する欠勤、特に無断欠勤については、懲戒処分の対象となる可能性があります。

企業は、労働基準法第89条に基づき、就業規則を作成し、労働者の服務規律や懲戒に関する事項を定める義務があります。就業規則に「無断欠勤は懲戒処分の対象となる」旨が明記されていれば、会社はその規則に則り、処分を下すことができます。

懲戒処分の種類は、戒告、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇など多岐にわたります。減給の場合、労働基準法第91条により、減給額に上限が設けられています。

「1回の事案につき平均賃金の半額まで、複数の事案でも一賃金支払期間の賃金総額の10分の1まで」という制限があり、これを越える減給は違法となります。企業はこれらのルールを守りつつ、公平かつ適切な処分を行う責任があります。

有給休暇との関係:欠勤を避けるための労働者の権利

「欠勤」と「有給休暇」は、どちらも会社を休むという点では共通していますが、その法的性質は大きく異なります。

有給休暇は、労働基準法第39条によって、一定の条件を満たした労働者に与えられる「賃金が支払われる休暇」です。これを取得すれば、給与が減額されることなく会社を休むことができます。

やむを得ず会社を休む必要がある場合、まずは有給休暇の取得を検討することが、欠勤扱いによる給与減額や、場合によっては懲戒処分を避けるための最も有効な手段となります。

近年、政府は有給休暇の取得促進に力を入れており、2019年からは年5日の有給休暇取得が義務化されました。厚生労働省の調査によると、年次有給休暇の取得率は年々上昇傾向にあり、2024年度の取得率は65.3%と過去最高を更新しています。

これは、労働者が自身の権利を認識し、活用している証拠と言えるでしょう。会社を休む必要がある際には、計画的に有給休暇を申請し、適切に利用することが賢明です。


パート・アルバイトの欠勤と正社員の違い

時給・日給制における給与控除の考え方

パート・アルバイトの多くは、時給制や日給制で働いています。この場合、欠勤した際の給与控除は正社員の月給制とは異なる考え方が適用されます。

時給制や日給制の場合、労働者が実際に働いた時間や日数に応じて給与が計算されるため、欠勤した日数や時間分の給与は、そのまま支払われないのが一般的です。これは、正社員の月給制における「ノーワーク・ノーペイの原則」と同様ですが、計算方法がより直接的である点が特徴です。

例えば、時給1,000円で1日8時間勤務のパート従業員が1日欠勤した場合、その日の給与8,000円は支払われません。月給制のパート・アルバイトの場合も、就業規則の定めに従い、欠勤日数に応じて月給から差し引かれることになります。

自分の働き方における給与計算の仕組みを理解し、欠勤が給与にどのように影響するかを把握しておくことが重要です。

パート・アルバイトも取得できる有給休暇

「パート・アルバイトだから有給休暇は取れない」と思っている方もいますが、これは誤解です。

労働基準法では、パート・アルバイトを含むすべての労働者に対して、以下の条件を満たせば有給休暇の取得を認めています。

  • 雇入れの日から6ヶ月以上継続勤務していること
  • 全労働日の8割以上出勤していること

この条件を満たせば、パート・アルバイトであっても、勤務日数や時間に応じた日数の有給休暇が付与されます。有給休暇を取得した場合は、欠勤扱いにならず、通常の賃金が支払われます。

厚生労働省の調査では、年次有給休暇の取得率は全体で上昇傾向にあり、2024年度は65.3%と過去最高を更新しています。これはパート・アルバイトを含む多くの労働者が有給休暇を取得していることを示しています。

体調不良や私用で休む必要がある場合は、欠勤ではなく、積極的に有給休暇の取得を検討しましょう。自身の労働条件における有給休暇の付与日数や取得方法を、会社の人事担当者や就業規則で確認しておくことが大切です。

「罰金制度」の危険性とその法的根拠

一部の職場では、遅刻や欠勤に対して「罰金」を課す制度を設けているケースが見られますが、これは労働基準法に抵触し、違法となる可能性が高いため注意が必要です。

労働基準法には、労働者保護のための重要な規定があります。

  • 労働基準法第16条(賠償予定の禁止):労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をすることを禁じています。これは、労働者が安心して働けるよう、過度な経済的負担を課さないための規定です。
  • 労働基準法第91条(減給の制裁):就業規則で減給の制裁を定める場合、その額は1回の事案につき平均賃金の半額以内、総額でも1賃金支払期間の賃金総額の10分の1以内としなければならない、と定めています。

これらの規定から、遅刻や欠勤に対して「一律〇〇円の罰金」といった制度は、違約金の設定や減給額の上限を超過する可能性があり、多くの場合で違法と判断されます。

万が一、職場でこのような罰金制度がある場合は、それが労働基準法に照らして適切であるかを確認し、必要であれば労働基準監督署に相談することも検討してください。適法な対応としては、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、働かなかった分の賃金を控除することに限られます。


公務員の欠勤、その特殊性と注意点

労働基準法が適用されない公務員の根拠法

一般企業の従業員が労働基準法によって保護されるのに対し、公務員には労働基準法が直接適用されません。これは、公務員の身分保障や職務の特殊性を考慮した結果です。

公務員の欠勤や服務規律については、以下の法律が根拠となります。

  • 国家公務員:国家公務員法
  • 地方公務員:地方公務員法

これらの法律は、公務員の職務内容や公共性・公益性に基づき、厳格な服務義務を定めています。したがって、公務員が欠勤した場合の扱いは、一般の民間企業とは異なる特別な規定に基づいて処理されることになります。

公務員として働く上で、自身の身分法がどのような内容で、欠勤に対してどのような規定があるのかを正確に理解しておくことは、非常に重要です。

「職務専念義務」違反としての重い責任

公務員は、国民や住民全体の奉仕者として、その職務に誠実に専念する義務があります。これを「職務専念義務」と呼びます。

国家公務員法第96条および地方公務員法第35条で明記されており、公務員が正当な理由なく勤務を欠いた場合、この職務専念義務に違反したとみなされます。

職務専念義務違反は、公務員としての信用を失墜させる行為であり、単なる欠勤とは異なる重い責任が問われます。その結果、一般の企業よりも厳しい懲戒処分の対象となる可能性が高まります。

公務員の職務は公共の利益に直結するため、その責任は非常に重く、日々の勤務においても、この職務専念義務を常に意識した行動が求められます。

公務員の欠勤が招く懲戒処分の具体的な内容

公務員が職務専念義務に違反し、正当な理由なく欠勤を続けた場合、国家公務員法や地方公務員法に基づき、厳しい懲戒処分が科せられます。懲戒処分の種類は以下の通りです。

  • 戒告(かいこく):文書または口頭で非違行為を戒める最も軽い処分。
  • 減給:一定期間、給与から一定割合を減額する処分。
  • 停職:一定期間、職務に従事させず、その間の給与も支給しない処分。
  • 免職(めんしょく):公務員の身分を失わせる最も重い処分。

特に、正当な理由のない21日以上の欠勤は、懲戒免職相当とされる場合があるなど、長期にわたる欠勤に対しては非常に厳しい姿勢が取られます。

公務員の場合、一度懲戒処分を受けると、その後の人事評価や昇任にも影響を及ぼし、再就職の際にも不利になる可能性があります。やむを得ない事情で勤務できない場合でも、必ず所属長に連絡し、適切な手続きを取ることが極めて重要です。


無断欠勤、事故欠勤、傷病欠勤:ケース別の意味と対応

連絡なしの「無断欠勤」がもたらす深刻な影響

「無断欠勤」とは、会社に連絡をせずに、また会社からの承認も得ずに、予定された労働日に出勤しないことを指します。これは、すべての欠勤の中で最も重い事案として扱われます。

無断欠勤は、労働者と会社の間の信頼関係を著しく損なう行為です。会社側にとっては、その日の業務が滞るだけでなく、他の従業員への負担が増大し、場合によっては取引先との信頼関係にも影響を及ぼす可能性があります。安否確認の観点からも、会社は連絡が取れない従業員を心配し、対応に追われることになります。

多くの場合、就業規則には無断欠勤に対する懲戒規定が設けられており、悪質なケースや長期間にわたる場合は、懲戒解雇につながる可能性が非常に高いです。例えば、「〇日以上の無断欠勤が続く場合、自然退職とする」といった規定を設けている企業もあります。

どのような状況であっても、会社に出勤できない場合は、必ず早めに連絡を入れることが、従業員としての最低限の義務であり、自身の身を守る上でも不可欠です。

突発的な「事故欠勤」と事前の「傷病欠勤」の扱い

欠勤には、事前に予測できるものと突発的に発生するものがあります。それぞれの状況に応じた適切な対応が求められます。

事故欠勤

「事故欠勤」は、交通機関の事故による遅延、予期せぬ身内の不幸、自宅の火事や災害など、突発的かつ不可抗力な事情により出勤できなくなるケースを指します。

この場合も、会社に労働を提供できないため、原則として給与は支払われません。しかし、無断欠勤とは異なり、正当な理由があり、かつ速やかに会社に連絡が行われた場合は、懲戒処分の対象となる可能性は低いです。

重要なのは、発生後速やかに会社に連絡し、状況を説明することです。会社によっては、特別な事情による欠勤に対して、有給休暇以外にも慶弔休暇や特別休暇を設けている場合があるため、確認してみると良いでしょう。

傷病欠勤

「傷病欠勤」は、病気や怪我により出勤できない場合に発生します。インフルエンザや胃腸炎といった一時的な体調不良から、骨折や手術といった数日~数週間の欠勤まで様々です。

こちらも原則として給与は支払われませんが、事故欠勤と同様に、速やかな連絡と、必要に応じて医師の診断書などの提出を求められることがあります。

長期にわたる傷病欠勤の場合は、有給休暇を使い切った後、会社の休職制度の利用を検討することになります。休職制度は会社によって規定が異なるため、就業規則を確認し、人事担当者に相談することが重要です。

欠勤を防ぐための準備と連絡の重要性

欠勤は、従業員自身の収入減だけでなく、会社や同僚に多大な影響を及ぼします。そのため、できる限り欠勤を避け、やむを得ない場合でも適切に対応するための準備と知識が不可欠です。

まず、日頃から自身の健康管理に努めることが最も重要です。また、有給休暇は労働者の権利であり、計画的に取得することで、急な体調不良や私用による欠勤を防ぐことができます。

次に、万が一欠勤せざるを得ない状況になった場合に備え、会社への連絡体制を確認しておきましょう。誰に、いつまでに、どのような方法で連絡すべきか、就業規則や職場のルールを把握しておくことが大切です。緊急時の連絡先(上司、同僚)を控えておくことも有効です。

近年では、2025年に育児・介護休業法の改正が予定されており、仕事と育児・介護の両立支援が強化される動きがあります。これは、やむを得ない事情で休まざるを得ない従業員を支援し、欠勤による不利益を軽減するための重要な取り組みと言えます。

連絡なしの欠勤は、最も避けるべき行為です。
どんな理由であれ、必ず会社に一報を入れること。
それが、社会人としての責任であり、あなた自身の信用を守ることにつながります。