1. 「備品管理」の課題を解決!見える化と盗難・紛失防止策
  2. なぜ備品管理が重要なのか?ホテルでの実例も交えて
    1. 企業の信頼性とコスト効率への直結
    2. 紛失・盗難リスクの増大と業務効率の低下
    3. ホテル業界での実例に見る備品管理の重要性
  3. 備品管理を効率化する「見える化」の具体的方法
    1. 管理台帳のデジタル化と一元管理
    2. バーコード・QRコード・RFIDの活用
    3. 貸出・返却ルールの明確化とシステム連携
  4. 備品ナンバリングと表示で紛失・盗難を未然に防ぐ
    1. 個体識別番号の付与とラベル表示の徹底
    2. 物理的なセキュリティ対策の強化
    3. 社内教育と意識向上による「紛失しない文化」の醸成
  5. 備品紛失・破損時の対応と報告書・始末書の書き方
    1. 紛失・破損時の初動対応と情報収集
    2. 報告書・始末書の作成と提出
    3. 再発防止策の検討と責任の明確化
  6. 備品保険の活用と事後対策でリスクを最小限に
    1. 備品保険の種類と活用メリット
    2. 紛失・盗難時の保険請求プロセス
    3. 事故後の見直しと再発防止策の徹底
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 備品管理の基本とは何ですか?
    2. Q: 備品にナンバリングや表示をするメリットは何ですか?
    3. Q: ホテルで備品が盗まれる原因と対策は?
    4. Q: 備品を紛失したり破損したりした場合、どのような手続きが必要ですか?
    5. Q: 備品保険はどのような場合に役立ちますか?

「備品管理」の課題を解決!見える化と盗難・紛失防止策

企業が保有する備品は、業務遂行に不可欠な「資産」であり、その適切な管理は企業の信頼性やコスト効率に直結します。
「備品管理」の課題を解決し、見える化と盗難・紛失防止策を強化することは、多くの企業にとって喫緊のテーマとなっています。
このブログ記事では、備品管理の重要性から具体的な対策、万が一の事態への備えまで、幅広く解説していきます。

なぜ備品管理が重要なのか?ホテルでの実例も交えて

企業の信頼性とコスト効率への直結

企業が保有する備品は、業務遂行に不可欠な「資産」であり、その適切な管理は企業の信頼性やコスト効率に直結します。
備品管理が不十分な場合、無駄な再購入や余剰在庫を抱えることになり、結果として不必要な管理コストが増大します。
このような状況は、企業の財務状況を圧迫するだけでなく、従業員が備品を探す手間や時間の増加を招き、業務効率を低下させ、生産性の低下や従業員の士気低下を招くこともあります。

特に、個人情報が含まれる記録メディアやスマートフォンの紛失は、情報漏洩という重大なインシデントにつながる可能性があります。
これは経済的損失だけでなく、企業の信用失墜やブランドイメージの毀損という計り知れない損害をもたらします。
適切な備品管理は、こうしたリスクを未然に防ぎ、企業の資産価値を守るだけでなく、円滑な業務遂行を支える基盤となります。

正確な在庫把握が困難な状況では、必要な備品が不足して業務が滞る一方で、過剰な在庫が倉庫スペースを圧迫し、管理コストをさらに膨らませるケースも少なくありません。
備品を適切に管理することは、単なるモノの管理に留まらず、企業の経営効率と信頼性を高める上で不可欠な戦略的課題なのです。

紛失・盗難リスクの増大と業務効率の低下

近年、テレワークの普及やフリーアドレス化の進展に伴い、備品を社外に持ち出す機会や、特定の場所に固定しない運用が増加しています。
これにより、備品の所在や使用状況の把握が曖昧になりやすく、紛失や盗難のリスクが飛躍的に高まっています。
特に、高価なIT機器や機密情報を含むデバイスの紛失は、経済的損失だけでなく、情報漏洩という深刻な事態を招く可能性があります。

備品管理が曖昧な状態では、「あの備品はどこにあるのか」「誰が使っているのか」といった確認作業に無駄な時間がかかり、業務効率が著しく低下します。
必要な時に必要な備品が見つからないという状況は、プロジェクトの遅延や顧客へのサービス品質低下に直結し、企業の信頼を損なうことにもなりかねません。
また、管理の属人化も大きな問題です。担当者しか把握していない、あるいはExcelや紙ベースでの管理が中心の場合、情報の共有が難しく、担当者の異動や退職により管理が滞るリスクがあります。

このような課題は、結果的に企業の生産性全体を低下させ、従業員のモチベーションにも悪影響を及ぼします。
備品を探す手間や、無駄な会議が増えるといった事態は、目に見えない形で企業のコストを増大させているのです。
これらの問題を解決するためには、備品の所在を「見える化」し、一元的に管理できる体制を構築することが不可欠です。

ホテル業界での実例に見る備品管理の重要性

ホテル業界では、客室のテレビやミニバー、アメニティ、さらには厨房設備、オフィス機器に至るまで、多種多様な備品が存在します。
これらの備品の管理状況は、顧客満足度や運営コストに直結するため、非常に重要な経営課題として認識されています。
例えば、客室の備品が破損していたり、アメニティが補充されていなかったりすれば、宿泊客の満足度は著しく低下し、ホテルの評価に悪影響を与えます。

ある大手ホテルチェーンでは、高価な清掃用機器や客室のタブレット端末の紛失・破損が頻繁に発生していました。
これにより、年間数百万円規模の再購入費用が発生し、さらに備品が不足することで清掃業務に遅延が生じるなど、 operational cost が増大していました。
そこで、同ホテルはすべての備品に管理ラベルを貼り付け、デジタル管理台帳とバーコードスキャンによる貸出・返却システムを導入しました。

この対策により、備品の所在がリアルタイムで把握できるようになり、紛失率は導入前に比べて約70%も減少しました。
また、従業員が使用する業務用スマートフォンやタブレットについても、貸出・返却記録を徹底し、万が一の紛失時にはGPS追跡機能を活用して早期発見に繋げています。
この実例が示すように、備品管理は単なる事務作業ではなく、企業の資産を守り、業務の継続性を確保し、顧客へのサービス品質を向上させるための重要な経営戦略なのです。

備品管理を効率化する「見える化」の具体的方法

管理台帳のデジタル化と一元管理

備品管理を「見える化」する上で、まず最初に取り組むべきは、すべての備品情報を網羅した管理台帳の整備と、そのデジタル化です。
管理台帳には、備品名、型番、購入日、購入価格、保管場所、使用者、使用開始日、使用期間、点検履歴、状態などの基本情報を漏れなく記録します。
これにより、会社が保有する全ての備品を正確に把握し、個々の備品のライフサイクルを追跡することが可能になります。

従来の紙ベースやExcelでの管理では、検索性が低く、情報の共有が難しい、更新が滞りがちといった課題がありました。
しかし、専用の備品管理システムやGoogleスプレッドシートのようなクラウドベースのツールを活用することで、これらの問題は解消されます。
デジタル化された台帳は、複数の部署や担当者がリアルタイムで情報を共有し、常に最新の状態を保つことを容易にします。
例えば、誰がいつどの備品を借りているのか、どの部署に何がいくつあるのかといった情報を、いつでもどこでも瞬時に確認できるようになります。

これにより、備品管理に関する情報の属人化を防ぎ、担当者の異動や退職時にもスムーズな引き継ぎが可能となります。
正確なデータに基づいて備品の購入計画や廃棄計画を立てることも可能となり、無駄なコストの削減や、必要な備品のタイムリーな調達に繋がります。
管理台帳のデジタル化と一元管理は、備品管理の効率を飛躍的に向上させるための、まさに「見える化」の基盤となるのです。

バーコード・QRコード・RFIDの活用

個々の備品を正確に識別し、その所在や状態をリアルタイムで把握するためには、物理的な管理ラベルの貼付と、それを台帳と紐付ける仕組みが不可欠です。
この目的のために最も効果的なツールの一つが、バーコード、QRコード、そしてRFID(Radio Frequency Identification)タグの活用です。
これらの技術を使うことで、備品の持ち出し・返却記録、棚卸し、所在確認といった作業を劇的に効率化し、人為的なミスを大幅に削減できます。

バーコードやQRコードを貼り付けた備品を、スマートフォンや専用スキャナーで読み取るだけで、貸出・返却の手続きを迅速に行うことが可能です。
これにより、手作業での記録漏れや入力ミスを防ぎ、正確なデータに基づいた管理を実現します。
特に、QRコードは多くの情報を格納できるため、備品の詳細情報や取扱説明書のURLなどを埋め込むことで、さらなる利便性を提供できます。
一方、RFIDタグは、複数の備品を一括で読み取ることが可能で、倉庫の棚卸しや広範囲に散らばった備品の所在確認に特に威力を発揮します。

これらの技術を導入することで、備品の持ち出しや返却状況をリアルタイムで把握し、不正利用や紛失の早期発見に繋がります。
また、備品の利用履歴が自動的に記録されるため、「誰がいつまでその備品を使用していたか」といった追跡も容易になり、紛失時の責任の所在を明確にする上でも役立ちます。
これらのテクノロジーは、備品管理をより正確で効率的なものへと進化させるための強力なツールとなります。

貸出・返却ルールの明確化とシステム連携

備品の「見える化」を実効性のあるものにするためには、貸出・返却ルールの明確化と、それをシステムと連携させることが不可欠です。
「誰が、いつ、何を借りて、いつまでに返却するのか」という基本情報を徹底的に記録し、ルール違反があった場合には速やかに把握できる体制を整える必要があります。
口頭での貸し借りや、記録が曖昧な運用は、備品の紛失や所在不明の大きな原因となり、従業員間でのトラブルにも発展しかねません。

備品管理システムを活用すれば、この貸出・返却プロセスを自動化・厳格化できます。
多くのシステムには、貸出・返却期限のリマインダー機能や、貸出状況のリアルタイム確認機能が搭載されており、管理の精度と効率を大幅に高めます。
例えば、プロジェクトで重要なプレゼンテーションに必要なプロジェクターが、誰が使っているのか分からず会議が滞るといった事態を避けることができます。
システムが自動的にリマインダーを送信することで、従業員は返却期限を忘れにくくなり、返却遅延の防止にも繋がります。

さらに、システムによっては、貸出履歴から利用頻度の高い備品や、ほとんど使われていない備品を分析し、最適な備品調達計画を立てるためのデータとして活用することも可能です。
これにより、不要な備品の購入を避け、必要な備品を適切なタイミングで補充できるようになります。
このように、明確なルールとシステム連携を組み合わせることで、備品管理は単なる事務作業から、企業の資産を最大限に活用し、業務効率を向上させる戦略的な活動へと進化します。

備品ナンバリングと表示で紛失・盗難を未然に防ぐ

個体識別番号の付与とラベル表示の徹底

備品管理において、個々の備品を区別するための「個体識別番号」の付与は、紛失・盗難防止の基礎となります。
これは、全ての備品に固有の番号を割り当て、それを視認性の高い管理ラベルとして物理的に貼り付ける作業を指します。
例えば、「PC-001(PC管理番号001番)」「Monitor-A03(モニターAタイプ3番)」「Camera-01(カメラ1番)」といったように、備品の種類と連番を組み合わせることで、どの備品が何を指すのかを一目で判別できるようにします。

このナンバリングとラベル表示を徹底することで、備品管理台帳と物理的な備品との紐付けが確実になり、在庫確認や棚卸しの際にミスを減らすことができます。
特に、類似した備品が多数ある場合や、複数の部署で同じ種類の備品が使われている場合に、個体識別番号は非常に有効です。
「あのPCがどこにあるか分からない」という曖昧な状況をなくし、「PC-007は〇〇さんが使っている」と具体的に特定できるようになります。

ラベルには、管理番号だけでなく、会社名や「持ち出し禁止」「〇〇部署専用」といった注意書きを含めることも効果的です。
これにより、備品が社外に持ち出された際に、所有者が明確になり、盗難品の識別や回収に役立つ可能性があります。
また、従業員自身も、自分の使っている備品に明確な番号があることで、責任感を持って大切に扱う意識が高まる効果も期待できます。
このシンプルな作業が、備品の紛失や盗難を未然に防ぐための第一歩となります。

物理的なセキュリティ対策の強化

備品ナンバリングと並行して、物理的なセキュリティ対策を強化することは、紛失・盗難を未然に防ぐ上で極めて重要です。
特に高価な備品や情報セキュリティ上重要な備品(ノートPC、サーバー、外部記録メディア、試験装置など)については、厳重な管理が求められます。
具体的な対策としては、ロック機構付きのキャビネットや棚、専用の保管室の導入が挙げられます。
共有備品であれば、貸し出し時に鍵の管理者を設けることで、不正な持ち出しを防ぐことができます。

オフィス内でのPCや貴重品の無造作な放置は、盗難のリスクを増大させます。
退席時や終業時には必ず施錠できる場所に保管するか、ワイヤーロックなどで固定するよう従業員に周知徹底することが必要です。
また、機密性の高い備品や、個人情報が含まれる記録メディアについては、セキュリティカメラの設置されたエリアや、入退室管理システムで制限された空間での保管が望ましいでしょう。
これにより、不正アクセスや持ち出しの履歴を記録し、万が一の事態に備えることができます。

近年では、GPS追跡機能を備えたタグを重要な備品に取り付けることで、万が一持ち出された場合でも、その所在をリアルタイムで追跡し、早期発見・回収に繋げる対策も有効です。
これらの物理的なセキュリティ対策は、単に備品が失われるのを防ぐだけでなく、情報漏洩リスクの低減や、企業の重要な資産保護にも大きく貢献します。
明確なセキュリティポリシーを定め、定期的な見直しを行うことで、より強固な守りを築くことができます。

社内教育と意識向上による「紛失しない文化」の醸成

どんなに優れたシステムや物理的なセキュリティ対策を導入しても、最終的には従業員一人ひとりの意識が備品管理の成否を左右します。
「備品は会社の財産である」という認識を共有し、紛失・盗難を未然に防ぐための社内教育と意識向上は、非常に重要な施策です。
具体的には、新入社員研修や定期的な全社研修の場で、備品管理の重要性、正しい貸出・返却の手順、紛失時の報告義務などを徹底的に周知することが有効です。

研修では、単にルールを押し付けるだけでなく、なぜ備品管理が重要なのか、紛失が企業や自分たちにどのような影響を与えるのかを具体的な事例を交えて説明することで、従業員の納得感と主体的な行動を促します。
以下の点を繰り返し伝え、日々の業務で意識してもらうことが大切です。

  • 使用しない備品は速やかに返却し、定位置に戻す。
  • 自分の席を離れる際は、PCや貴重品を無造作に放置しない。
  • 社外に持ち出す際は、必ず所定の手続きを行う。
  • 紛失や備品の異常を発見した際は、すぐに上長に報告する。
  • 会社の備品だけでなく、個人情報が含まれる私物も適切に管理する。

優良事例の共有や、備品管理に関する従業員からの改善提案を積極的に取り入れることも、全社的な「紛失しない文化」を醸成する上で効果的です。
システムと物理的対策に加え、従業員の高い意識が組み合わさることで、備品管理はより強固なものとなり、紛失・盗難リスクを最小限に抑えることが可能となります。

備品紛失・破損時の対応と報告書・始末書の書き方

紛失・破損時の初動対応と情報収集

備品の紛失や破損が発生した際の初動対応は、被害の拡大を防ぎ、その後の対応をスムーズに進める上で極めて重要です。
まず、発見者または使用者は、速やかに直属の上長に報告し、会社が定めた手順に従う必要があります。
特に、個人情報や機密情報が含まれるデバイス(スマートフォン、PC、USBメモリなど)の紛失は、情報漏洩のリスクを伴うため、通常の備品以上に緊急性の高い対応が求められます。
場合によっては、情報システム部門への連絡や、関係者への注意喚起も必要となります。

初動対応としては、以下の情報をできる限り正確に収集することが肝要です。

  • いつ、どこで、何が、どのように紛失または破損したのか。
  • 紛失の場合、最後にその備品を確認したのはいつか、どこか。
  • 破損の場合、原因は何で、その状況はどのようなものだったか。
  • 紛失した備品が、他の誰かに見られている可能性はあるか。
  • 個人情報や機密情報が含まれる備品の場合、その情報の内容と範囲、アクセス制限の状況。

これらの情報は、その後の調査や対策、そして報告書の作成に不可欠です。
盗難の場合は、速やかに警察へ被害届を提出し、受理番号を取得することが重要となります。
迅速かつ正確な情報収集が、被害を最小限に抑える鍵となります。

報告書・始末書の作成と提出

備品の紛失や破損が発生した場合、会社への正式な報告として「報告書」や「始末書」の提出が求められます。
これは、事態を会社全体で共有し、再発防止策を検討するための重要な文書であり、責任の所在を明確にする目的もあります。
報告書には、前述の初動対応で収集した情報を基に、以下の項目を網羅して記述します。

項目 内容
件名 備品紛失(または破損)報告書
提出日 作成日
提出者 氏名、所属、役職
発生日時 紛失・破損が発生したと思われる日時、または発見日時
発生場所 紛失・破損が発生したと思われる具体的な場所(例:自宅作業中、カフェ、会議室Aなど)
対象備品 備品名、管理番号、型番、シリアルナンバーなど具体的な情報
詳細状況 紛失・破損に至った経緯、原因、発見時の状況などを具体的に時系列で記述
損失・影響 経済的損失額の概算、情報漏洩リスク、業務への影響(例:顧客への影響)など
対応状況 既に講じた対策(例:警察への届出、紛失場所の捜索、情報システム部門への連絡など)
今後の対応策 再発防止策、発見に向けた継続的な努力、同僚への注意喚起など

「始末書」は、報告書に加えて、自身の過失を認め、反省の意を表す意味合いが強くなります。
書き方は会社によってフォーマットが異なりますが、事実を正確に記述し、再発防止への具体的な決意を表明することが重要です。
これらの文書は、人事評価や今後の対応に影響を与える可能性があるため、誠実かつ丁寧な作成が求められます。

再発防止策の検討と責任の明確化

備品の紛失や破損は、単なるアクシデントとして終わらせるのではなく、その原因を徹底的に分析し、具体的な再発防止策を講じることが最も重要です。
報告書や始末書を通じて集まった情報を基に、関係者間で協議を行い、なぜその事態が発生したのか、どうすれば防げたのかを深掘りします。
このプロセスには、現場の従業員の声を取り入れることも不可欠です。

再発防止策の検討では、以下のような観点から具体的な改善点を洗い出します。

  • 管理体制の見直し: 備品管理システムが十分に活用されているか、貸出・返却ルールが従業員に徹底されているか、ルールの周知方法に問題はないか。
  • 物理的セキュリティの強化: ロック付き保管庫の設置、監視カメラの増設、入退室管理システムの導入、GPS追跡機能付きタグの活用など。
  • 従業員教育の強化: 備品管理の重要性、紛失時の対応手順、情報セキュリティに関する再教育を定期的に実施する。特にテレワーク時のルールを明確にする。
  • 備品利用ルールの明確化: テレワーク時の持ち出しルール、社外持ち出し時の手続きの簡素化・明確化、使用場所の制限など。
  • 備品の種類とリスク評価: 紛失した場合の影響が大きい備品(個人情報端末など)の管理体制をより厳格化し、特別な管理規定を設ける。

また、紛失・破損の原因が個人の過失によるものであれば、その責任を明確にすることも必要です。
ただし、これは罰則を与えることが目的ではなく、全従業員が備品管理の重要性を認識し、より一層の注意を払うよう促すためのものです。
場合によっては、損害の一部を従業員が負担する規定を設けている企業もありますが、これは事前に明確な社内規定として周知しておくべき事項です。
再発防止策の実施と責任の明確化を通じて、より強固で信頼性の高い備品管理体制を構築し、同様の事態を未然に防ぐことが企業の長期的な利益に繋がります。

備品保険の活用と事後対策でリスクを最小限に

備品保険の種類と活用メリット

企業の資産である備品は、万全な管理体制を敷いていても、予測不能な災害や盗難、偶発的な破損のリスクに常に晒されています。
これらのリスクによる経済的損失を最小限に抑えるための重要な手段の一つが、「備品保険(動産総合保険など)」の活用です。
備品保険は、火災、落雷、風水害といった自然災害から、盗難、偶発的な破損、運搬中の事故、さらには外部からの要因による損害まで、幅広いリスクを補償対象とするものが一般的です。

特に、高価なIT機器(ノートPC、サーバー、業務用カメラ、特殊な測定機器など)や、特殊な機械・工具を多く保有する企業にとって、保険はまさしく「転ばぬ先の杖」となります。
例えば、オフィスが火災に遭い、全ての備品が焼失してしまった場合、保険に加入していれば、その再調達費用を補償してもらえる可能性があります。
これにより、事業の早期復旧を支援し、予期せぬ大きな経済的負担から企業を守ることができます。
数百人規模の組織では、備品管理システムの導入と合わせて、このような保険活用がより効果的とされています。

また、テレワークの普及に伴い、従業員が自宅で使用中に備品を破損したり、盗難に遭ったりするリスクも増大しています。
こうした状況に対応するため、社員が社外に持ち出した備品まで補償対象となる特約を付帯できる保険商品も登場しており、企業のニーズに合わせて適切な保険を選ぶことが重要です。
備品保険への加入は、万が一の事態に備えるだけでなく、経営リスクを適切に管理しているという企業の信頼性向上にも繋がります。

紛失・盗難時の保険請求プロセス

万が一、備品の紛失や盗難が発生し、保険を利用することになった場合、迅速かつ正確な保険請求プロセスを踏むことが求められます。
一般的な保険請求の流れは以下の通りです。
これらの手順を事前に理解しておくことで、いざという時の混乱を最小限に抑えられます。

  1. 事故発生の通知: 紛失・盗難が判明したら、速やかに保険会社へ連絡し、事故発生の事実を通知します。連絡が遅れると、補償対象外となる可能性もあるため、会社の規定に従い迅速に対応することが重要です。
  2. 警察への被害届提出: 盗難の場合は、必ず警察に被害届を提出し、受理番号を取得します。これは保険金請求の際に必要となる重要な証拠となります。紛失の場合も、状況によっては遺失物届の提出を求められることがあります。
  3. 詳細情報の提供: 紛失・盗難された備品の名称、型番、製造番号、購入価格、購入日、発生日時、場所、状況など、可能な限り詳細な情報を提供します。この際、日頃から整備されている備品管理台帳の記録が非常に役立ちます。
  4. 必要書類の提出: 保険会社から指定された書類(保険金請求書、被害届受理証明書、購入時の領収書や保証書、管理台帳の写し、事故状況報告書など)を準備し、提出します。書類の不備があると手続きが滞るため、指示に従い正確に提出します。
  5. 保険会社の審査・支払い: 提出された書類に基づき、保険会社が審査を行い、補償内容に応じた保険金が支払われます。審査には時間がかかる場合もあるため、保険会社との連携を密にし、不明な点は都度確認しながら手続きを進めることが肝要です。

このプロセスをスムーズに進めるためには、普段からの備品管理台帳の整備と、購入時の領収書や保証書の適切な保管が極めて重要です。

事故後の見直しと再発防止策の徹底

備品が紛失または破損し、保険を活用してその損害をカバーできたとしても、それで終わりではありません。
むしろ、事故を教訓として、将来的なリスクを低減するための見直しと再発防止策を徹底することが最も重要です。
保険金はあくまで経済的損失を補填するものであり、失われた備品そのものや、それによって生じた業務中断、顧客や社会からの信頼失墜といった非金銭的な損失を元に戻すことはできません。

事故発生後には、以下の点を中心に徹底的な見直しを行います。

  • 原因究明: なぜ事故が起こったのか、その根本原因を深く掘り下げて分析します。人的ミスか、システム上の不備か、物理的セキュリティの甘さかなど、多角的に検証します。
  • 管理ルールの改善: 事故原因に基づき、備品の貸出・返却ルール、持ち出しルール、保管方法などを具体的に改善します。必要であれば社内規定も改定し、周知を徹底します。
  • セキュリティシステムの強化: 監視カメラの増設、入退室管理システムの導入、GPS追跡機能付きタグの活用など、物理的・技術的なセキュリティを強化し、脆弱性を解消します。
  • 従業員教育の再徹底: 今回の事故の事例を全従業員に共有し、備品管理の重要性、情報セキュリティ意識、緊急時の対応手順について改めて教育を行います。特に、高リスク備品(PC、スマホなど)の取り扱いについて重点を置きます。
  • 保険内容の見直し: 今回の事故で補償内容が適切であったか、不足はなかったかを検証し、必要であれば保険会社と相談して契約内容や補償範囲を見直します。

これらの見直しと対策を継続的に実施することで、企業はより強固な備品管理体制を構築し、同様の事故が再発するリスクを最小限に抑えることができます。
備品管理は、企業の持続可能な成長を支える上で欠かせない経営課題として、常に改善を追求していく姿勢が求められます。