概要: 稟議書を電子化することで、承認までの時間短縮やミスの削減といった大きなメリットが得られます。本記事では、無料で始められるツールから、Microsoft 365やGoogle Workspace、LINE WORKS、サイボウズといった代表的なワークフローシステムを活用した具体的な電子化方法まで、網羅的に解説します。
稟議書電子化で業務効率UP!メリットを徹底解説
意思決定の迅速化とコスト削減
紙ベースの稟議書運用は、多くの企業で長年の課題となっていました。承認を得るまでに多くの部署や担当者を経由するため、時間と手間がかかり、意思決定の遅延を招くことが少なくありませんでした。また、物理的な紙の書類は保管スペースを必要とし、紛失や劣化のリスクも伴います。
稟議書を電子化することで、これらの課題は大きく改善されます。まず、意思決定スピードの飛躍的な向上が挙げられます。承認プロセスがオンライン上で完結するため、承認者の不在による遅延が解消され、必要な承認を迅速に得られるようになります。これにより、ビジネスチャンスを逃すことなく、スピーディーな経営判断が可能になります。
さらに、電子化は大幅なコスト削減にも貢献します。紙の印刷代、郵送費、保管するためのファイルやキャビネット費用などが不要になります。例えば、毎月数百件の稟議書を処理する企業であれば、年間数十万円から数百万円規模の印刷・郵送コスト削減が見込めるでしょう。物理的な保管スペースが不要になることで、オフィスの有効活用にも繋がります。
電子化は単なるペーパーレス化に留まらず、業務プロセス全体の最適化と、それに伴う経済的メリットを企業にもたらします。初期投資を考慮しても、長期的に見れば確実にプラスの効果を生み出すと言えるでしょう。
業務効率とテレワークへの貢献
稟議書の電子化は、業務プロセスの抜本的な効率化を実現します。システム上で申請・承認が行われるため、書類の準備や回覧の手間が省け、担当者や承認者の負担が軽減されます。申請状況がリアルタイムで可視化されるため、「今、この稟議書は誰のところで止まっているのか」が一目で分かり、進捗管理が格段に容易になります。これにより、電話やメールでの進捗確認といった無駄なコミュニケーションも削減できます。
特に現代の働き方において、電子化はテレワークやハイブリッドワークへの対応に不可欠です。場所を選ばずに申請・承認が可能になるため、オフィスにいる必要がなくなり、従業員は自宅やサテライトオフィスなど、どこからでも業務を進められます。これにより、生産性の向上だけでなく、従業員のワークライフバランスの改善にも寄与します。
働き方改革が推進される中、企業は従業員が多様な働き方を選択できる環境を整えることが求められています。稟議書の電子化は、まさにその一環として、柔軟な働き方を実現するための重要な基盤となります。例えば、出張先や外出先からでもスマートフォン一つで稟議書を承認できるため、業務の中断を最小限に抑えられます。
このように、電子化は個々の業務効率を高めるだけでなく、組織全体の生産性向上と現代の働き方への適応を強力に後押しするものです。
法改正とセキュリティ強化
稟議書の電子化が進む背景には、法改正と社会的な要請が大きく影響しています。特に注目すべきは、2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正です。これにより、一定の要件を満たせば国税関係書類の電子保存が認められるようになり、稟議書もその対象となりました。この法改正は、企業が紙の書類から電子データへの移行を加速させる強力な後押しとなっています。
また、政府が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)の波も、稟議書電子化の追い風となっています。「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、企業活動のデジタル化が求められており、内部業務の電子化はその中心的な取り組みの一つです。これにより、企業は競争力を維持し、持続的な成長を遂げるためにデジタル化が不可欠であることを認識しています。
電子化は、セキュリティ強化とコンプライアンス遵守にも大きく貢献します。アクセス権限の設定やログ記録により、誰がいつどのような操作をしたかを追跡できるため、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。電子署名技術を活用すれば、書類の改ざん防止や本人性の証明が可能となり、内部統制の強化に繋がります。これにより、不正行為の防止や監査対応も容易になります。
さらに、電子データとして保存されることで、過去の稟議書をキーワード検索で瞬時に見つけ出すことができ、検索性が飛躍的に向上します。これは、監査時や過去の経緯を確認する際に非常に強力なメリットとなります。
無料で始める!稟議書電子化におすすめのツール
無料ツールの選び方とメリット
稟議書の電子化を検討する際、初期費用や月額費用を抑えたいと考える企業も多いでしょう。そんなときに役立つのが、無料で利用できるツールや、無料プランを提供しているワークフローシステムです。これらのツールは、特に小規模企業や、まずはスモールスタートで電子化の効果を試したい場合に大きなメリットをもたらします。
無料ツールの最大の利点は、コストをかけずに導入できる点にあります。これにより、導入のハードルが下がり、手軽に電子化の第一歩を踏み出せます。また、試用期間中に実際の使用感や自社の業務フローへの適合性を確認できるため、本格的な有料システム導入前の検討材料としても有効です。
しかし、無料ツールには機能や利用規模に制限がある場合が多いことを理解しておく必要があります。例えば、ユーザー数制限、フォーム作成数の制限、データ保存期間の制限、サポート体制の有無などが挙げられます。そのため、無料ツールを選ぶ際には、これらの制限が自社の要件に合致しているか、将来的に有料プランへの移行が必要になった場合の費用対効果なども考慮して選定することが重要です。
まずは必要最低限の機能で十分か、将来的な拡張性を見据えるかといった視点で、賢くツールを選びましょう。
代表的な無料ツールとその特徴
無料で稟議書電子化を始めたい企業にとって、いくつかの魅力的な選択肢があります。ここでは、特に注目すべき無料ツールをいくつかご紹介します。
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ハーモス稟議:
ユーザー数30人までであれば、「契約申請」や「請求申請」といった基本的な稟議書フォーマットを無料で設定・利用可能です。特に人事系システムとの連携に強みを持つハーモスシリーズの一部でありながら、単体で稟議書管理にも利用できるのが特徴です。2025年4月末までは31人以上の利用でも無料というキャンペーンを実施しており、中規模企業でも試しやすいでしょう。 -
GRIDY:
初期費用・月額費用が完全に無料のグループウェアとして提供されています。カレンダー、掲示板、ファイル共有など多岐にわたる機能の中に、ワークフロー機能が含まれており、書類の申請・承認・決裁・確認といった一連のプロセスが可能です。無料でありながら、企業で必要な基本的なグループウェア機能を網羅しているため、稟議書だけでなく幅広い業務効率化に役立ちます。 -
ワークフローEX:
Excelシートで申請フォームを作成できる点が特徴で、Excelに慣れた担当者にとっては非常に直感的に利用できます。フォーム数やユーザー数に制限はなく、通知機能と一部のオプション機能を除けば、無料で利用できるプランが提供されています(ただし、データ保存期間に制限があります)。既存のExcel資産を活用したい企業や、複雑なシステム導入に抵抗がある企業におすすめです。
これらのツールは、それぞれ特徴が異なりますので、自社の稟議書の種類や承認プロセス、求める機能に合わせて最適なものを選びましょう。
制限と有料プランへの移行
無料の稟議書電子化ツールは、コストを抑えて手軽に導入できる大きなメリットがありますが、その反面、いくつかの制限があることも理解しておく必要があります。主な制限としては、ユーザー数の上限、利用できる機能の範囲、保存できるデータ容量や期間、そしてサポート体制の有無などが挙げられます。例えば、無料プランでは基本的な承認フローしか構築できず、条件分岐や複雑な連携ができないケースも少なくありません。
事業規模の拡大や、より高度な業務要件に対応するためには、いずれ有料プランへの移行や、より高機能なワークフローシステムの導入が必要になる可能性があります。無料ツールで業務効率化の効果を実感できたら、次のステップとして有料プランへの移行を検討しましょう。有料プランでは、より多くのユーザーが利用できたり、カスタマイズ性が向上したり、他システムとの連携が強化されたりと、ビジネスの成長を強力にサポートする機能が提供されます。
無料ツールを選ぶ際には、将来的な有料プランへのスムーズな移行が可能かどうかも考慮に入れておくと良いでしょう。データ移行の容易さや、アップグレード時のコスト、機能の互換性などを事前に確認しておくことで、後々の手間やコストを削減できます。まずは無料で試してみて、自社のニーズに合った形で段階的に電子化を進めていくのが賢明なアプローチと言えるでしょう。
Microsoft 365/Google Workspaceで稟議書ワークフローを構築
Microsoft 365での構築方法(Power Automate/SharePoint)
多くの企業で既に導入されているMicrosoft 365は、稟議書ワークフローを構築するための強力な基盤を提供します。特に、Power AutomateとSharePointを組み合わせることで、高度な承認フローを比較的容易に実現できます。
まず、SharePointリストを活用して稟議書の申請フォームを作成します。申請に必要な項目(件名、申請者、金額、承認ルートなど)をリストの列として設定し、ユーザーがデータを入力できるようにします。入力されたデータはSharePointリストに蓄積され、一元管理されます。
次に、Power Automateを使用して承認フローを構築します。SharePointリストに新しい項目が追加されたことをトリガーとして、承認者への通知、承認依頼の送信、承認状況に応じた条件分岐などを設定できます。例えば、一定金額以上の稟議書は部長、役員へと多段階承認を回すといった複雑なロジックも、Power Automateのドラッグ&ドロップ操作で構築可能です。
さらに、Microsoft Teamsと連携させれば、承認依頼がTeamsのチャットに通知され、そこから直接承認操作を行えるため、承認者の利便性が向上します。既存のMicrosoft 365ライセンス内で構築できるため、新たなシステム導入コストを抑えつつ、堅牢なセキュリティ環境下でワークフローを運用できる点が大きなメリットです。
Google Workspaceでの構築方法(Google Forms/AppSheet/Google Chat)
Google Workspaceを導入している企業も、既存のツールを活用して効率的な稟議書ワークフローを構築できます。主要なツールとして、Google Forms、Google Sheets、そしてAppSheetやGoogle Chatが挙げられます。
まずは、Google Formsを使って稟議書の申請フォームを作成します。申請に必要な情報を入力項目として設定し、フォームの回答は自動的にGoogle Sheetsに集約されます。このスプレッドシートが、稟議データのデータベースとなります。
次に、AppSheetを活用してカスタムの承認アプリを作成します。AppSheetはノーコード開発ツールであり、Google Sheetsのデータを元に、スマートフォンやPCで利用できるアプリを簡単に構築できます。このアプリ内で、申請者は稟議書を提出し、承認者は内容を確認して承認・却下を行うことができます。承認フローはAppSheet内で詳細に設定でき、条件分岐や多段階承認にも対応可能です。
承認依頼の通知や進捗確認には、Google Chatを活用できます。申請があった際や承認が必要な際に、関連するチャットルームに自動でメッセージを送信するように設定することで、承認漏れを防ぎ、迅速な対応を促します。これらのツールを組み合わせることで、費用を抑えつつ、柔軟で使いやすい稟議書承認システムを構築できるのがGoogle Workspace活用の強みです。
両サービスの連携と活用のポイント
Microsoft 365とGoogle Workspace、どちらのサービスを利用している企業にとっても、既存環境を最大限に活用して稟議書ワークフローを構築することは非常に有効な選択肢です。これらのサービスを基盤とする最大のメリットは、新たなシステムを導入することなく電子化を進められるため、コストと導入にかかる手間を大幅に削減できる点にあります。
また、これらのツールはローコード/ノーコード開発に対応しているため、専門的なIT知識がなくても、業務部門の担当者が自らワークフローの構築や改善を行うことが可能です。これにより、現場のニーズに即した柔軟な運用が可能となり、IT部門への負担を軽減しながら業務効率化を推進できます。
さらに、既存のセキュリティ設定やユーザー管理システム(Azure ADやGoogle Workspaceのディレクトリ)と連携できるため、情報統制がしやすく、セキュリティリスクの低減にも貢献します。シングルサインオン(SSO)を導入している場合は、従業員が追加のパスワード管理なしにワークフローシステムを利用できる利便性もあります。
自社の利用状況や、従業員が慣れ親しんでいるインターフェースに合わせて最適なサービスを選択し、その機能を最大限に引き出すことが、成功する稟議書電子化の鍵となるでしょう。無料の機能から始め、必要に応じて段階的に機能を拡張していくのがおすすめです。
LINE WORKS/サイボウズで実現する稟議書承認フロー
LINE WORKSを活用した簡易承認フロー
日頃からビジネスコミュニケーションツールとしてLINE WORKSを利用している企業にとって、稟議書の承認フローもその中で完結できれば、非常にスムーズで効率的です。LINE WORKSは、単なるチャットツールに留まらず、様々なビジネス機能が統合されており、簡易的な稟議書承認フローを構築するのに適しています。
最もシンプルな方法は、トークルームやグループ内で稟議内容を共有し、スタンプや既読確認、または特定のコメントで承認・却下を示すことです。これにより、口頭やメールでの承認に比べて履歴が残りやすく、スピード感を持った意思決定が可能です。
さらに踏み込んで活用するには、「フォーム」機能が便利です。稟議書のフォーマットをフォームで作成し、申請者が入力した内容を承認者へ自動通知するように設定できます。承認者は通知されたフォームの内容を確認し、コメントや承認ボタンで回答を行うことで、承認プロセスを完結させます。
LINE WORKSは、多くの従業員がすでに使い慣れているインターフェースであるため、導入障壁が非常に低いという大きなメリットがあります。特別なトレーニングなしにすぐに使い始められ、迅速なコミュニケーションと場所を問わない承認を実現することで、特に外出が多い従業員やテレワーカーの業務効率向上に大きく貢献します。
サイボウズ製品(Garoon/kintone)での柔軟なワークフロー
国内グループウェア市場で高いシェアを誇るサイボウズ製品も、稟議書ワークフローの電子化において強力なソリューションを提供します。特に「Garoon(ガルーン)」と「kintone(キントーン)」は、その柔軟性と拡張性で多様な企業のニーズに応えます。
Garoonは、多機能なグループウェアとして、稟議書機能も標準で搭載しています。申請書の作成から多段階承認、条件分岐による承認ルートの自動切り替え、進捗状況の可視化まで、一連のワークフローをシステム内で完結できます。役職や金額に応じた承認ルートの設定はもちろん、緊急性の高い稟議を優先処理するといった運用も可能です。組織全体の情報共有基盤としてGaroonを利用している企業であれば、追加のシステム導入なしに稟議書電子化を進められます。
一方、kintoneは、ノーコードで業務アプリを自由に開発できるプラットフォームです。稟議書アプリも、ドラッグ&ドロップ操作で申請フォームや承認ルートを自由に設計できます。複雑な計算式を組み込んだり、他の業務アプリ(例:顧客管理アプリや経費精算アプリ)と連携させたりすることで、より高度でカスタマイズ性の高いワークフローを構築できます。例えば、申請された稟議書の内容に基づいて自動的に会計システムに連携するといった業務効率化も可能です。
どちらの製品も、企業規模や求められる機能の複雑さに応じて最適な選択肢を提供し、柔軟な稟議書承認フローを実現します。
コミュニケーションツール連携の利点
LINE WORKSやサイボウズ製品のように、日常的に利用するコミュニケーションツールと稟議書承認フローを連携させることには、多くの利点があります。最も顕著なのは、承認プロセスにおける「タイムラグ」の解消です。承認依頼がチャットや掲示板を通じてリアルタイムで通知されるため、承認者は見落とすことなく、迅速に内容を確認し、承認操作に移ることができます。
これにより、承認依頼がメールの海に埋もれてしまう、あるいは承認者が気づかずに滞留してしまうといった事態を防ぐことが可能です。承認者からのコメントや差し戻しもチャット形式で手軽に行えるため、コミュニケーションロスを最小限に抑え、スムーズなやり取りが実現します。
また、承認状況がシステム上でリアルタイムに可視化されるため、申請者や関係者は、今どこまで承認が進んでいるのかを常に把握できます。これにより、進捗確認のための問い合わせが減り、全体的な業務効率が向上します。さらに、これらのコミュニケーションツールは、PCだけでなくスマートフォンやタブレットにも対応しているため、承認者は場所を選ばずにいつでもどこでも承認作業を行うことができます。
稟議書承認フローとコミュニケーションの連携は、単に書類を電子化するだけでなく、業務と情報共有を一体化させ、組織全体の生産性を高める上で非常に重要な要素となります。
稟議書メールでの承認依頼・確認の課題と解決策
メール承認の限界と潜在リスク
多くの企業で今なお行われている稟議書のメール承認は、手軽に思える反面、多くの課題と潜在的なリスクを抱えています。まず、メールでは承認依頼の件名や本文が定型化されていないことが多く、必要な情報を見落としやすいという問題があります。承認者は大量のメールの中から稟議書関連のメールを探し出し、内容を把握するのに時間を要します。
承認フローの管理も困難です。誰が承認済みで、誰の承認が残っているのか、今どこで滞留しているのかがメールだけでは把握しづらく、進捗確認のための手間が発生します。また、承認の証拠としての「メール承認」は、法的な証拠力に乏しい場合があります。後から「承認していない」と主張されるリスクや、改ざんのリスクもゼロではありません。電子署名がないため、本人性の証明も不十分です。
さらに、誤送信による情報漏洩のリスクも高く、一度送信されたメールは回収が困難です。過去の稟議書を探す際も、キーワード検索頼みになり、必要な情報にたどり着くまでに時間がかかることも少なくありません。これらの課題は、業務の非効率化だけでなく、コンプライアンス違反やセキュリティインシデントに繋がる可能性も秘めています。
メール承認は一時的な対応としては有効かもしれませんが、長期的な視点で見ると、企業にとって大きな負担となり得るのです。
ワークフローシステムによる解決策
メール承認の課題を根本から解決するのが、ワークフローシステムです。ワークフローシステムを導入することで、稟議書の申請から承認、決裁、そして保管までの一連のプロセスをシステム上で一元管理・自動化できます。
まず、申請フォームが標準化されているため、申請者は必要な情報を漏れなく入力でき、承認者は毎回同じ形式で内容を確認できます。これにより、情報伝達の正確性が向上し、内容確認の効率も高まります。承認ルートはシステムに事前登録されているため、自動で適切な承認者へ依頼が回送され、承認漏れや滞留を防ぎます。
承認依頼はシステムを通じて通知されるため、メールの海に埋もれる心配がありません。承認者はシステム内で内容を確認し、ボタン一つで承認・却下・差し戻し操作を行えます。これらの操作は全てシステムログとして記録されるため、誰がいつ承認したかという履歴が明確に残ります。
さらに、多くのワークフローシステムは電子署名機能を備えており、法的証拠力を確保できます。また、アクセス権限管理が徹底されているため、誤送信による情報漏洩のリスクも大幅に低減されます。ワークフローシステムは、メール承認が抱えるあらゆる課題に対する包括的な解決策を提供するのです。
進捗管理と監査証跡の重要性
ワークフローシステムが提供する最も重要な価値の一つが、「進捗管理の可視化」と「確実な監査証跡の記録」です。メールでの承認では、今稟議書が誰のところで止まっているのか、いつ承認されるのかが見えにくいという問題がありました。しかし、ワークフローシステムでは、申請状況がリアルタイムでダッシュボードなどに表示され、申請者も承認者も関係者も、現在のステータスを一目で確認できます。これにより、「あの稟議書どうなった?」という無駄な問い合わせが激減し、業務がスムーズに流れるようになります。
さらに、システム上で実行されたすべての操作は、詳細なログとして自動的に記録されます。誰がいつ、どの稟議書に対してどのような操作(申請、承認、却下、差し戻し、閲覧など)を行ったかという情報が、タイムスタンプと共に正確に残されます。この確実な監査証跡(オーディットトレイル)は、企業にとって非常に重要です。
内部統制の強化、コンプライアンス遵守、そして将来的な監査対応において、これらの記録は不可欠です。万が一、不正行為やトラブルが発生した場合でも、詳細な履歴があることで迅速な原因究明と適切な対処が可能になります。また、過去の稟議内容を検索し、関連する承認履歴を容易に参照できるため、企業の意思決定プロセスの透明性と信頼性が向上します。
進捗管理と監査証跡は、単なる業務効率化に留まらず、企業のガバナンス強化とリスクマネジメントにおいて、ワークフローシステムが果たすべき重要な役割を明確に示しています。
まとめ
よくある質問
Q: 稟議書を電子化する主なメリットは何ですか?
A: 稟議書を電子化することで、物理的な書類のやり取りが不要になり、承認までの時間を大幅に短縮できます。また、書類の紛失リスクの軽減、過去の稟議履歴の検索性向上、テレワークへの対応などもメリットとして挙げられます。
Q: 無料で利用できる稟議書電子化ツールはありますか?
A: はい、一部のクラウドストレージサービスやビジネスチャットツールには、簡単なワークフロー作成機能が備わっており、無料で稟議書を電子化できます。例えば、Google Workspaceのフォーム機能や、LINE WORKSの簡易的な承認フローなどが考えられます。
Q: Microsoft 365やGoogle Workspaceで稟議書ワークフローを構築できますか?
A: はい、Microsoft 365のPower AutomateやSharePoint、Google WorkspaceのGoogle FormsやAppSheetなどを連携させることで、本格的な稟議書ワークフローシステムを構築できます。
Q: LINE WORKSやサイボウズのおすすめポイントは何ですか?
A: LINE WORKSは、普段使い慣れたLINEのようなインターフェースで直感的に操作でき、手軽に導入しやすいのが魅力です。サイボウズは、kintoneなどのサービスを活用することで、柔軟性の高いカスタムワークフローの構築が可能です。
Q: 稟議書をメールで承認依頼・確認する際の注意点は?
A: メールでのやり取りは、件名の統一、件名に「【要対応】」「【確認】」などを明記する、添付ファイルの指定、期日の明記、返信のテンプレート化などが、円滑な承認・確認のために重要です。ただし、件数が増えると管理が煩雑になりやすいため、ワークフローシステムの導入も検討をおすすめします。
