1. 有給休暇申請書の基本:作成前に知っておきたいこと
    1. 有給休暇は労働者の権利!取得の基本原則
    2. スムーズな申請のための会社のルール確認
    3. 取得率向上と法改正の動向:知っておくべき背景
  2. 【場面別】有給休暇申請書の書き方:例文とコツ
    1. 書面での申請:必要事項とスムーズな提出のコツ
    2. 社内システム・アプリでの申請:効率的な入力方法
    3. 特別な事情がある場合の申請:柔軟な対応を引き出すために
  3. メールで有給休暇を申請する際の注意点と例文
    1. メール申請の基本ルールと件名の重要性
    2. 本文作成のポイント:簡潔さと情報整理
    3. 【例文】通常の申請と緊急時の対応メール
  4. 有給休暇申請書テンプレートの活用法と注意点
    1. テンプレート利用のメリット:効率化と漏れ防止
    2. テンプレートを選ぶ際のポイント:会社との適合性
    3. テンプレート活用時の注意点:柔軟な対応を忘れずに
  5. 有給休暇申請でよくある疑問を解決!
    1. 申請理由を伝える必要はある?
    2. 有給休暇は当日でも申請できる?
    3. 有給休暇の取得を拒否されることはある?
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 有給休暇申請書は必ず書く必要がありますか?
    2. Q: 有給休暇申請書に印鑑は必要ですか?
    3. Q: バイトでも有給休暇は申請できますか?
    4. Q: 有給休暇申請書を紛失してしまいました。どうすればいいですか?
    5. Q: 退職する際にも有給休暇は申請できますか?

有給休暇申請書の基本:作成前に知っておきたいこと

有給休暇は労働者の権利!取得の基本原則

有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の大切な権利です。これは、日々の労働で蓄積された心身の疲労を回復し、生活と仕事のバランス(ワークライフバランス)を充実させるために不可欠な制度として位置づけられています。

法律上、労働者は原則として希望する時期に有給休暇を取得できます。会社側は、労働者のこの権利を尊重し、取得を基本的に拒否することはできません。

ただし、例外として会社には「時季変更権」が認められています。これは、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社が有給休暇の取得時期を変更するよう求めることができる権利です。しかし、この権利は会社が自由に使えるものではなく、本当に業務に著しい支障が出る場合に限定されます。具体的な例としては、特定の時期にしかできない業務や、代替要員が全くいない場合などが挙げられます。

そのため、スムーズに有給休暇を取得するためには、まず自身の会社の就業規則をしっかりと確認し、定められた申請方法と期限を守ることが重要です。就業規則に記載された手続きを踏むことで、不必要なトラブルを避けることができます。

また、法律上、有給休暇の取得理由を会社に伝える義務はありません。「私用」と記載しても問題なく、理由によって有給休暇の取得を拒否されることもありませんので、ご安心ください。これは、有給休暇が労働者の自由な裁量に委ねられた権利であることの証です。

スムーズな申請のための会社のルール確認

有給休暇を申請する際は、まずご自身の会社の就業規則を詳細に確認することが最も重要です。会社によっては、申請の期日、提出方法(口頭、書面、メール、社内システムなど)、必要な書類などが細かく定められている場合があります。これらのルールを把握し、それに従うことが、円滑な申請・承認プロセスに繋がります。

一般的には、有給休暇を取得する日の1週間から1ヶ月前までに申請することが推奨されています。これは、会社が業務の調整や引き継ぎの準備をスムーズに行うための期間です。事前の申請によって、自身が不在の期間でも業務が滞ることなく進行し、安心して休暇を楽しむことができます。

申請方法は会社によって様々です。伝統的な書面での申請用紙の提出、電子メールでの申請、あるいは最近ではクラウドベースの勤怠管理システムや専用アプリを通じて申請するケースも増えています。自身の会社で採用されている具体的な申請方法を正確に理解し、それに沿った手続きを行いましょう。

また、急な体調不良や予期せぬ家族の事情など、緊急事態が発生した際に、当日申請や事後申請が認められるかどうかも就業規則によって異なります。原則は事前申請ですが、やむを得ない事情がある場合にのみ認められるという規定があることも多いです。当日申請の場合、業務に著しい支障が出る場合は時季変更権の対象となる可能性もあるため、できる限り早い段階で上司に連絡し、状況を説明することが肝心です。

会社のルールを理解し、適切に申請することは、労働者の権利を行使すると同時に、職場における円滑な人間関係と業務遂行にも寄与します。無用なトラブルを避け、スムーズに有給休暇を取得するためにも、事前の確認と計画的な申請を心がけましょう。

取得率向上と法改正の動向:知っておくべき背景

近年、日本の有給休暇取得率は国を挙げての課題となっており、取得率向上への取り組みが活発化しています。厚生労働省の「令和6年就労条件総合調査」によると、2023年の年次有給休暇の取得率は65.3%を記録し、これは過去最高となりました。しかし、政府が目標とする70%には、まだわずかに届いていないのが現状です。

国際比較に目を向けると、エクスペディアが発表した国際比較調査(2023年)では、日本の有給休暇取得率は63%と、世界11地域中では残念ながら最下位という結果でした。取得しない理由として最も多かったのは「人手不足など仕事の都合上難しいため」(32%)と「緊急時に取っておくため」(31%)が挙げられており、職場環境や個人の意識が影響していることが伺えます。

しかし、興味深いデータもあります。日本の有給休暇取得率が低い一方で、「休み不足を感じていない」と回答した割合は47%と、世界で最も高い結果が出ています。これは、日本人が有給休暇を「定期的に短期間」取得していることが要因の一つと分析されており、必ずしも長期休暇がすべてではないという考え方を示唆しています。

このような背景を受け、2019年4月からは「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務化されました。これは、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、会社が年5日について取得時季を指定し、確実に取得させることが義務付けられた画期的な制度です。これにより、有給休暇を取得しにくいと感じていた労働者も、最低限の休暇が保障されるようになりました。

さらに、より柔軟な働き方を支援するため、時間単位での有給休暇取得制度も導入されています。この制度は、1日単位ではなく1時間単位で有給休暇を取得できるもので、通院や子どもの学校行事、役所での手続きなど、短時間の休暇取得ニーズに応えるものです。2024年には制度導入率が24.8%に達しており、今後さらに利用が広がることで、より個人の状況に合わせた休暇取得が可能になると期待されています。

これらの法改正や制度の動向は、労働者の有給休暇取得を促進し、ワークライフバランスの向上を目指す国の強い意志を反映しています。自身の権利を正しく理解し、これらの制度を積極的に活用していくことが、より豊かな働き方と生活を実現するために不可欠と言えるでしょう。

【場面別】有給休暇申請書の書き方:例文とコツ

書面での申請:必要事項とスムーズな提出のコツ

書面で有給休暇を申請する場合、まずは会社指定の申請書があるかを確認することが第一歩です。もし指定のフォーマットがある場合は、必ずそれに従って記入しましょう。指定がない場合でも、一般的に以下の項目を記載した書類を作成します。

  1. 申請日:提出する日付を記入します。
  2. 宛先:直属の上司や人事担当者、または会社名を記載します。
  3. 申請者情報:所属部署、氏名、社員番号など、自身を特定する情報を正確に記入します。
  4. 休暇の種類:「年次有給休暇」と明記します。特別休暇など他の休暇と区別するためです。
  5. 休暇希望期間:例:「〇月〇日(〇)~〇月〇日(〇) 計〇日間」のように、具体的な期間と日数を明記します。
  6. 申請理由:任意です。法律上、伝える義務はありませんので、空欄にするか「私用」と記載しても全く問題ありません。理由によって取得を拒否されることはありません。
  7. 連絡先:休暇中に緊急連絡が必要な場合に備え、連絡がつきやすい携帯電話番号などを記載しておくと親切です。
  8. 業務引き継ぎ状況:休暇中の業務に支障が出ないよう、引き継ぎ事項や代理担当者について簡潔に記載します。

スムーズな提出のためには、提出期限を厳守し、事前に上司へ口頭で相談しておくことが効果的です。これにより、上司も業務調整の準備がしやすくなり、承認がスムーズに進む可能性が高まります。また、休暇中の業務に支障が出ないよう、引き継ぎ資料の準備や同僚への情報共有も忘れずに行いましょう。書面での申請は記録として残るため、後々の確認にも役立ちます。

社内システム・アプリでの申請:効率的な入力方法

近年、多くの企業で有給休暇の申請に社内システムや専用アプリが導入されています。これは申請手続きの効率化やペーパーレス化を目的としたもので、非常に便利なツールです。システムやアプリを通じて申請する際の効率的な入力方法とポイントを押さえましょう。

まず、システムやアプリの操作手順を確認することが重要です。初めて利用する場合は、人事担当者や上司に使い方を尋ねるか、社内マニュアルを参照してください。不明な点があれば、早めに確認し、正しい方法で申請することが求められます。

入力項目はシステムによって異なりますが、書面申請と同様に、休暇希望期間、休暇の種類、所属、氏名、社員番号などは必須入力項目であることがほとんどです。特に、休暇の開始日と終了日の間違いがないよう、慎重に入力し、カレンダー機能などを活用して正確な日付を選択してください。

また、多くの場合、コメント欄や備考欄が設けられています。ここに、休暇中の緊急連絡先や、業務の引き継ぎ状況(担当者名、引き継ぎ資料の場所、進捗状況など)を具体的に記載しておくと、上司や同僚が状況を把握しやすくなり、業務の停滞を防ぐことができます。これは、システム申請における重要なコミュニケーション手段の一つです。

申請後には、承認状況をシステム上でリアルタイムに確認できることが多いので、定期的にチェックし、承認が完了したことを確認するまで油断しないようにしましょう。万が一、承認が遅れている場合は、システムを通じて上司にリマインドを送る機能があれば活用するか、直接連絡を取ることを検討してください。デジタル申請は便利ですが、最終的な承認確認まで責任を持つことが大切です。

特別な事情がある場合の申請:柔軟な対応を引き出すために

急な体調不良や、予期せぬ家族の事情など、特別な事情により急遽有給休暇を取得する必要が生じる場合があります。このような緊急時には、できる限り早急な連絡が何よりも重要です。会社が柔軟な対応を取りやすくするためにも、以下のポイントを意識しましょう。

まず、直属の上司に電話やメッセージアプリで口頭連絡を行い、状況を簡潔に伝えましょう。メールよりも電話の方が、緊急性が伝わりやすく、迅速な指示を仰ぐことができます。その後、会社のルールに従い、改めて書面やシステムで正式な申請手続きを行います。

当日申請や事後申請が認められるかどうかは、会社の就業規則に委ねられています。就業規則には「急病その他やむを得ない事由がある場合」に限り認めるといった規定があることも多いです。事前に確認し、自身の権利と会社のルールを把握しておくことが大切です。

この際、申請理由を伝える義務はありませんが、緊急事態であることを鑑み、上司が状況を理解しやすいよう、差し支えない範囲で簡潔に理由を伝えることで、より柔軟な対応を引き出せる可能性があります。例えば、「急な発熱のため」や「家族の体調不良により」といった伝え方であれば、プライベートに踏み込みすぎることなく、状況を共有できます。

さらに、業務への影響を最小限に抑えるための配慮を示すことも重要です。「午前中に対応予定だった〇〇の件は、〇〇さんに引き継ぎをお願いしております。」といった形で、既に取った対応や今後の見込みを伝えることで、上司も安心して承認しやすくなります。緊急時だからこそ、迅速な連絡、状況の説明、業務への配慮を忘れずに行うことが、会社との信頼関係を維持し、柔軟な対応を引き出す鍵となります。

メールで有給休暇を申請する際の注意点と例文

メール申請の基本ルールと件名の重要性

メールで有給休暇を申請する際は、件名で要件を明確にすることが非常に重要です。多くのメールが日々飛び交うビジネス環境において、上司や人事担当者があなたの申請メールを見落とすことなく、迅速に対応できるよう配慮が必要です。

件名には、「有給休暇取得のご連絡」という目的と、具体的な休暇期間を明記しましょう。これにより、受信者はメールを開く前に内容を把握でき、緊急性や重要性をすぐに理解できます。例:件名:有給休暇取得のご連絡(〇月〇日〜〇月〇日)

宛先については、基本的に直属の上司を主とします。会社によっては、人事担当者やチームの主要メンバーをCC(カーボンコピー)に加えることがルールとなっている場合もありますので、会社の就業規則や慣例を確認し、適切な宛先設定を心がけましょう。

メールは記録として残るため、申請した日時や内容を後から確認できるメリットがありますが、その分、誤字脱字や情報漏れには十分注意が必要です。送信前に必ず見直しを行い、必要な情報がすべて記載されているか、表現が適切かを確認しましょう。

また、休暇期間中に緊急連絡が必要な場合に備え、連絡がつきやすい手段をメール本文中に追記することも検討してください。これは、不測の事態に備えるための配慮であり、業務の円滑な進行に貢献します。

メール申請は手軽ですが、ビジネスメールとしてのマナーと、必要な情報を漏れなく伝える責任を意識して作成しましょう。

本文作成のポイント:簡潔さと情報整理

有給休暇申請メールの本文は、簡潔かつ必要な情報が網羅されていることが重要です。読む人がすぐに理解できるように、以下のポイントを意識して作成しましょう。

  • 冒頭での名乗り:メールの冒頭で、所属部署と氏名を明確に記載し、誰からのメールであるかを伝えます。例:「〇〇部[氏名]です。」
  • 休暇期間の明示:最も重要な情報です。「〇月〇日(〇)から〇月〇日(〇)まで」と、具体的な期間と曜日を明確に記載してください。期間を間違えないよう、カレンダーで確認しながら記入しましょう。
  • 理由の添え方(任意):法律上、理由を伝える義務はありませんので、「私用のため」と記載するか、空欄でも問題ありません。ただし、急な申請や、上司の理解を得たい場合は、差し支えない範囲で「体調不良のため」など簡潔に添えることも選択肢の一つです。
  • 業務引き継ぎ:最も重要な項目の一つです。休暇中に発生する業務について、誰に何を依頼したか、必要な資料の場所、進捗状況などを具体的に記載し、業務に支障が出ないことを明確に伝えます。これにより、上司や同僚は安心して業務を引き継ぐことができます。
  • 結びの言葉:「ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします」といった配慮の言葉を添え、丁寧な印象を与えましょう。休暇中の協力に対する感謝の意を示すことも大切です。

これらの情報を分かりやすく箇条書きや段落分けで整理して記載することで、上司は承認手続きをスムーズに進めることができ、周囲の同僚も安心して業務を引き継ぐことができます。情報が整理されているメールは、受け取る側にとってもストレスが少なく、好印象を与えます。

【例文】通常の申請と緊急時の対応メール

ここでは、参考情報を基にした具体的なメール例文を2つご紹介します。ご自身の状況に合わせて修正して活用してください。

1. 通常の有給休暇申請メール

件名:有給休暇取得のご連絡(〇月〇日〜〇月〇日)

〇〇部長

お疲れ様です。〇〇部[氏名]です。
下記日程にて、有給休暇を取得させていただきたく、ご連絡いたしました。

【休暇期間】
〇月〇日(〇)〜〇月〇日(〇)

休暇期間中は、〇〇さんに業務の引き継ぎをお願いしております。
現在進行中の〇〇プロジェクトについては、〇〇フォルダに最新の資料を格納済みです。
緊急連絡先:[自身の携帯電話番号など、必要であれば記載]
ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

ポイント:件名で日付を明記し、本文で期間と引き継ぎ状況を具体的に伝えています。緊急連絡先を添えることで、万が一の事態にも備えられます。

2. 短期・当日申請の場合(緊急時など)

件名:【要連絡】有給休暇取得のご連絡(〇月〇日)

〇〇部長

お疲れ様です。〇〇部[氏名]です。
急な体調不良により、本日〇月〇日(〇)は有給休暇を取得させていただきたく、ご連絡いたしました。
午前中に対応予定だった〇〇の件は、〇〇さんに状況を伝え、対応を依頼済みです。
今日の会議資料は〇〇フォルダにありますので、ご確認ください。
[自身の携帯電話番号]にご連絡いただければ、対応可能です。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

ポイント:緊急時の場合は、件名に「【要連絡】」を入れるなど、緊急度を伝える工夫も有効です。また、業務への影響を最小限にするための対応策を簡潔に添えることが重要です。連絡が遅れる場合も想定し、連絡が取れる手段を明確に記載しましょう。

これらの例文はあくまで参考です。会社の慣例や、状況に応じて内容を調整し、最も適切で丁寧な申請を心がけましょう。

有給休暇申請書テンプレートの活用法と注意点

テンプレート利用のメリット:効率化と漏れ防止

有給休暇申請書テンプレートを活用する最大のメリットは、申請手続きの効率化と情報漏れの防止です。テンプレートには、一般的に必要な項目があらかじめ設定されているため、ゼロから書類を作成する手間が省けます。

これにより、申請者は短時間で確実に必要な情報を記入でき、提出の準備にかかる時間を大幅に短縮できます。特に、頻繁に有給休暇を取得する場合や、多くの従業員を抱える企業では、テンプレートの存在が業務効率化に大きく貢献します。記入ミスや漏れが減ることで、差し戻しの手間も省け、人事担当者の負担も軽減されます。

また、テンプレートに従って記入することで、「記入漏れ」や「必須事項の記載忘れ」といったヒューマンエラーを防ぐことができます。これにより、申請書が差し戻されるリスクが減り、申請から承認までのプロセスがスムーズに進みます。統一されたフォーマットは、処理する側にとっても非常に扱いやすく、申請業務全体の円滑化に繋がります。

会社によっては、独自のテンプレートを用意している場合もあります。その際は、必ず会社指定のフォーマットを使用するようにしましょう。会社指定のテンプレートには、その会社特有の必要項目(例:プロジェクトコード、部署内の承認フロー欄など)が組み込まれていることが多く、これに従うことが最も確実で効率的です。

テンプレートは、申請業務を標準化し、誰でも簡単に、かつ正確に手続きを行えるようにするための強力なツールと言えるでしょう。

テンプレートを選ぶ際のポイント:会社との適合性

有給休暇申請のテンプレートを選ぶ際には、まず自身の会社で指定されたフォーマットがあるかを確認することが最も重要です。社内規定のテンプレートがある場合は、それを最優先して使用しましょう。これが、最も会社にとって受け入れられやすい形式であり、スムーズな承認に繋がります。

もし会社指定のテンプレートがない場合や、個人的な控えとして利用したい場合は、インターネット上で公開されている無料テンプレートなどを活用することも可能です。ただし、その際は以下の点をチェックし、会社のルールや実情に適合しているかを見極める必要があります。

  • 必要な項目が含まれているか:所属部署、氏名、社員番号、休暇期間、休暇の種類、申請理由(任意)、引き継ぎ事項など、会社が求める情報が網羅されているかを確認します。不足している項目は、手書きで追記するなど対応が必要です。
  • 会社の文化や慣習に合致しているか:例えば、申請理由の記入欄が必須となっているテンプレートは、理由を問わない会社では不必要です。また、紙での提出が主流の会社でデジタル専用のテンプレートを使おうとするのも適切ではありません。
  • 汎用性:通常の有給休暇だけでなく、時間単位有給休暇や特別休暇など、多様な休暇に対応できるかどうかも確認ポイントです。一つのテンプレートで複数の休暇申請をカバーできると便利です。
  • 法的要件への対応:2019年4月からの「年5日の有給休暇確実取得」義務化など、法改正に対応した項目があるかどうかも確認すると良いでしょう。

テンプレートはあくまでひな形であり、会社の規則や運用方法に適合しているかを見極めることが、適切に活用するための鍵となります。不明な点があれば、上司や人事担当者に相談し、最適なテンプレートを選びましょう。

テンプレート活用時の注意点:柔軟な対応を忘れずに

有給休暇申請テンプレートは非常に便利ですが、活用する上での注意点も存在します。最も大切なのは、テンプレートはあくまでガイドラインであり、状況に応じた柔軟な対応を忘れないことです。テンプレートを過信しすぎると、かえってトラブルの原因となる可能性もあります。

例えば、急な体調不良や緊急の家族の事情などで、当日中に有給休暇を取得したい場合は、まず上司に電話や口頭で緊急連絡を優先しましょう。テンプレートを埋めてメールを送るよりも、迅速な直接連絡が何よりも重要です。テンプレートは後から正式な手続きとして使用できます。

テンプレートに記入漏れがないか、提出前に最終確認を怠らないようにしましょう。特に、日付や期間、氏名、所属などの基本情報は間違いがないか二重チェックすることが大切です。記入漏れや誤りがあると、申請が差し戻され、承認が遅れる原因となります。

また、テンプレートによっては、業務引き継ぎの詳細を記入する欄が少ない場合があります。その際は、別途、口頭やメールで詳細を補足するなど、業務に支障が出ないよう最大限の配慮をすることが求められます。テンプレートに記載しきれない情報がある場合は、積極的に補足情報を伝えるようにしましょう。

テンプレートの書式が会社の規定と異なる場合、修正が必要になることがあります。会社の規定を優先し、必要に応じてテンプレートをカスタマイズする柔軟性も求められます。

最終的には、申請書テンプレートは「申請」という行為をスムーズにするためのツールです。重要なのは、会社との良好なコミュニケーションを保ち、周囲に迷惑をかけずに休暇を取得するという配慮の姿勢です。テンプレートを活用しつつも、人間同士のコミュニケーションを大切にすることで、円滑な有給休暇取得に繋がるでしょう。

有給休暇申請でよくある疑問を解決!

申請理由を伝える必要はある?

有給休暇の取得理由については、多くの人が疑問に感じる点ですが、結論として、法律上、会社に伝える義務はありません。労働基準法では、有給休暇は労働者が「請求する時季」に与えなければならないと明確に定められており、その理由を会社が問うことは原則として認められていません。

そのため、申請書やメールの理由欄には「私用」と記載して全く問題ありませんし、空欄でも法的には何ら問題ありません。会社が理由を尋ねてきても、答える義務はないと知っておきましょう。理由によって有給休暇の取得を拒否されることもありません。

もし会社から正当な理由なく有給休暇の取得を拒否されたり、理由を述べないことを理由に取得を認めないと言われたりした場合は、不当な取り扱いである可能性が高いです。その際は、会社の人事担当者や労働組合、または労働基準監督署に相談することを検討してください。

ただし、円滑な人間関係や業務調整のために、差し支えない範囲で上司に「私事都合により」といった簡潔な理由を伝えることは、良好なコミュニケーションを築く上で有効な場合もあります。これは義務ではなく、あくまで個人の判断によるものです。職場の雰囲気を考慮し、ご自身の判断で対応しましょう。重要なのは、理由の有無に関わらず、有給休暇が労働者の正当な権利であるという認識です。

有給休暇は当日でも申請できる?

有給休暇は原則として事前申請が求められますが、当日申請が認められるかどうかは会社の就業規則によります。多くの会社では、急な体調不良や突発的な家庭の事情など、やむを得ない場合に限り当日申請を認めるケースが多いです。

しかし、当日申請は業務に影響を及ぼす可能性が高いため、会社側が「時季変更権」を行使する余地が大きくなります。業務の正常な運営を妨げる場合は、会社は労働者に休暇の時期を変更するよう求めることができます。例えば、その日にしかできない重要な会議や顧客対応がある場合などが該当します。

当日申請をする際は、何よりも迅速な連絡が重要です。出社時間前など、できるだけ早い段階で直属の上司に電話やメッセージアプリで連絡し、状況を伝えましょう。メールよりも、口頭での連絡の方が緊急性が伝わりやすく、迅速な指示を仰ぐことができます。その後、会社の指示に従って正式な申請手続きを進めます。

連絡が遅れたり、連絡がつかなかったりすると、会社が業務調整に苦慮し、時季変更権の行使や、場合によっては欠勤扱いとなる可能性も出てきますので注意が必要です。緊急時であっても、可能な範囲で業務への影響を最小限に抑えるための情報(例:緊急対応をお願いする同僚、資料の場所など)を伝える努力が求められます。

有給休暇の取得を拒否されることはある?

有給休暇は労働者の権利であり、原則として会社は取得を拒否できません。労働基準法により、労働者が指定した時期に有給休暇を与える義務が会社にはあります。

ただし、例外として会社には「時季変更権」があります。これは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、会社が労働者に対し、有給休暇の取得時季を変更するよう求めることができる権利です。この「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、単に人手不足だからといった漠然とした理由ではなく、その労働者が休むことで特定の業務が遂行できなくなり、事業全体に著しい損害が生じるなど、客観的・合理的な理由が必要です。過去の判例でも、この権利行使には厳しい要件が求められています。

もし会社から正当な理由なく有給休暇の取得を拒否されたり、時季変更権の行使が不当だと感じたりした場合は、まずは会社の人事担当者や労働組合に相談しましょう。それでも解決しない場合は、労働基準監督署に相談することも検討してください。労働基準監督署は、労働者の権利保護を目的とした公的機関であり、適切なアドバイスや指導を行ってくれます。

さらに、2019年4月からは、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、年5日の有給休暇を確実に取得させることが会社に義務付けられています。そのため、会社も労働者に有給休暇を取得させる責任があることを理解しておきましょう。会社側にも取得義務があることから、以前よりも取得拒否はしにくくなっています。