概要: 年末調整の時期が近づき、どこで受けられるのか疑問に思っていませんか?この記事では、明治安田生命、郵便局(ゆうちょ)、メルカリ、ユニクロ、楽天証券といった主要なサービスや店舗での年末調整について、それぞれの特徴や受け取り方を詳しく解説します。
年末調整、どこでする?主要サービス・店舗別徹底解説
年末調整とは?基本をおさらい
そもそも年末調整って何?
年末調整とは、会社が従業員に支払った給与や賞与から源泉徴収した税額と、本来徴収すべき所得税額との差額を調整する手続きです。
1月から12月にかけて、毎月の給与から概算で天引きされている所得税は、あくまで仮の金額に過ぎません。
なぜなら、年間の正確な所得税額は、扶養親族の変動や生命保険料の支払いなど、12月末時点の個々の状況が確定してからでないと算出できないからです。
このため、会社は従業員から必要な申告書を集め、12月末の状況に基づいて正確な年間の所得税額を計算します。
そして、すでに源泉徴収した税額と比較し、過払いがあれば還付(返金)、不足があれば追加徴収することで、最終的な納税額を確定させるのです。
この一連の作業が「年末調整」と呼ばれます。
多くの会社員にとって、還付金を受け取るおなじみの手続きと言えるでしょう。
2024年、年末調整はここが変わる!
2024年の年末調整には、納税者にとって非常に重要な変更点がいくつかあります。
特に注目すべきは、定額減税の最終調整です。
今年6月から始まった定額減税(納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族一人につき所得税額から3万円、個人住民税所得割額から1万円)が、年末調整で最終的に精算されます。
年間の所得税額を計算した上で、定額減税額を控除し、正確な納税額を確定させることになります。
その他、手続きの簡略化も進んでいます。
まず、2025年(令和7年)分からは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」について、記載事項に変更がない場合に限り、その旨を記載した「簡易な申告書」の提出が可能になります。
また、2024年(令和6年)分の年末調整からは、保険料控除申告書における「申告者との続柄」欄の記載が不要になるなど、事務負担の軽減が図られています。
さらに、住宅ローン控除では、金融機関によっては「年末残高証明書」の提出が不要になる「調書方式」が採用されるようになり、手続きがさらにスムーズになる可能性があります。
年末調整をしないとどうなる?
年末調整は、会社員にとって非常に重要な手続きです。
もし年末調整の申告書を提出しなかった場合、いくつかの不利益を被る可能性があります。
最も大きな影響は、所得税の過払い分が還付されないことでしょう。
毎月の給与から天引きされている所得税は、各種控除(生命保険料控除、地震保険料控除、iDeCoの掛金など)が反映されていない概算額です。
年末調整でこれらの控除を申告することで、本来納めるべき所得税額が減り、差額が還付金として戻ってきます。
しかし、申告しなければこの還付金は受け取れません。
また、各種控除が適用されないため、結果的に多くの税金を納めてしまうことになります。
万が一、年末調整の対象外であるにも関わらず、確定申告も行わなかった場合、税務署からの指摘を受け、追徴課税や加算税が発生する可能性もあります。
忘れずに手続きを行うか、遅れてしまった場合は確定申告を行うようにしましょう。
主要サービス・店舗別!年末調整の受け取り方
会社員は「会社」が基本の窓口
ほとんどの会社員にとって、年末調整の窓口は勤めている「会社」です。
一般的に、年末調整の手続きは10月中旬頃から会社の経理や人事部門から案内が始まり、従業員は11月上旬頃までに必要な書類を提出することが求められます。
提出する書類は主に以下の3つです。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
これらの書類に加えて、生命保険料控除証明書やiDeCoの払込証明書、住宅ローン控除の年末残高証明書(初年度を除く)などを添付して提出します。
近年では、年末調整業務のデジタル化が進んでおり、多くの企業で電子申請システムが導入されています。
これにより、従業員は紙の書類ではなく、PCやスマートフォンから入力・提出できるようになり、手続きがよりスムーズになっています。
フリーランス・個人事業主の年末調整は?
フリーランスや個人事業主は、原則として年末調整の対象外となります。
年末調整は、会社から給与を受け取っている「給与所得者」を対象とした制度だからです。
フリーランスや個人事業主の場合、ご自身の所得税を計算し、納税する義務があり、その手続きが「確定申告」です。
ただし、フリーランスであっても、業務委託の報酬などから源泉徴収されている場合があります。
例えば、ライターやデザイナーとして企業から報酬を受け取る際、報酬額から所得税が天引きされているケースです。
この場合、年間を通して天引きされた税額は、本来納めるべき税額よりも多くなっている可能性が高いため、確定申告をすることで差額が還付されることがあります。
つまり、フリーランスにとっての「年末調整」に代わる制度が「確定申告」であり、年に一度、ご自身の所得と税金を精算する重要な機会となるのです。
「年末調整がないから何もしなくていい」ではなく、ご自身の責任で確定申告を行う必要があることを覚えておきましょう。
副業がある場合の年末調整
本業の他に副業を持っている場合、年末調整の扱いは少し複雑になります。
原則として、年末調整は「主たる給与の支払者」、つまり本業の会社で行われます。
副業がアルバイトやパートで給与収入がある場合、副業先の会社では年末調整が行われないことが一般的です。
この場合、副業の給与収入が年間20万円を超える場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
20万円以下の場合は、確定申告は不要とされていますが、年末調整で申告できなかった控除(医療費控除など)を受けたい場合は、確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。
副業が業務委託や原稿料など「給与所得以外」の場合は、その所得は事業所得や雑所得に分類され、年末調整の対象外です。
この場合も、年間所得額によっては確定申告が必要になります。
2か所以上から給与を受け取っている場合は、年末調整を行う会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出し、それ以外の会社からの給与は年末調整の対象外となります。
ご自身の働き方によって年末調整や確定申告の要否が変わるため、不明な点があれば税務署や税理士に相談することをおすすめします。
メルカリ、ユニクロ、楽天証券…意外な場所での年末調整
パート・アルバイトも年末調整の対象!
「年末調整は正社員だけ」と思われがちですが、パート・アルバイトの方も年末調整の対象となる場合があります。
基本的に、アルバイト先で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していれば、その勤務先で年末調整が行われます。
例えば、全国に店舗を展開するユニクロやセブン-イレブンなどの大手チェーン店でアルバイトをしている場合、会社の方針に従って年末調整の手続きが進められます。
ただし、複数のアルバイト先を掛け持ちしている場合は注意が必要です。
扶養控除等申告書は原則として1か所の勤務先にしか提出できないため、通常はメインの勤務先(最も給与が高い、または長く働いている場所など)で年末調整を行います。
他の勤務先からの給与については、年末調整では調整されません。
この場合、年末調整されなかった分の給与を含めて、翌年に自分で確定申告を行うことで、所得税の過払いを精算したり、各種控除を受けたりすることができます。
ご自身の雇用形態や働き方を確認し、適切な手続きを行いましょう。
株式投資やフリマアプリの利益は?
近年、株式投資やフリマアプリの利用が広まっていますが、これらの利益は年末調整の対象とはなりません。
例えば、楽天証券のような証券会社を通じて株式投資を行い利益が出た場合、その所得は「譲渡所得」や「配当所得」に分類されます。
もし特定口座(源泉徴収あり)を利用していれば、証券会社が自動的に税金を計算し、徴収してくれるため、原則として確定申告は不要です。
しかし、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を利用している場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
一方、メルカリのようなフリマアプリでの販売利益も、営利目的で継続的に行っている場合は「事業所得」または「雑所得」とみなされ、年末調整の対象外です。
所得の種類によっては確定申告が必要になります(例: 年間所得が20万円を超える場合など)。
これらは給与所得とは異なる種類の所得であるため、年末調整で調整されることはありません。
給与以外の所得がある場合は、年末調整ではなく確定申告で税金を精算する必要があることを理解しておきましょう。
生命保険やiDeCoは年末調整で控除!
生命保険料やiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、年末調整で所得控除の対象となり、所得税の負担を軽減できる代表的なものです。
これらの控除を受けるためには、会社から送られてくる年末調整の書類に、必要な情報を記載し、関連する証明書を添付して提出する必要があります。
- 生命保険料控除・地震保険料控除: 各保険会社から郵送される「控除証明書」を添付します。証明書には、支払った保険料の金額や控除の種類が記載されています。
- iDeCo(個人型確定拠出年金): 国民年金基金連合会から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付します。iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となるため、節税効果が非常に高い制度です。
これらの控除を忘れずに申告することで、課税対象となる所得が減り、結果として還付金が増えたり、納める税金が少なくなったりします。
年末調整の時期が近づいたら、これらの証明書を事前に準備しておくことがスムーズな手続きのポイントです。
年末調整でよくある疑問を解決!
「定額減税」って年末調整でどうなるの?
2024年6月から実施された定額減税は、年末調整で最終的な調整(年調減税)が行われます。
定額減税は、納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族一人につき所得税額から3万円、個人住民税所得割額から1万円が減税される制度です。
すでに毎月の給与明細で「定額減税額」として控除されている方もいらっしゃるかもしれません。
年末調整では、年間の所得税額を確定させた上で、その定額減税額を控除します。
もし、年間の所得税額が定額減税額よりも少なく、引ききれなかった場合は、翌年度の個人住民税で控除される形になります。
参考情報にもある通り、「定額減税により納付すべき所得税額がゼロになる場合でも、所得税徴収高計算書(納付書)は正確に記入し、税務署へ提出する」必要があるため、会社側の担当者は特に注意が必要です。
私たち従業員も、減税がどのように反映されるのかを源泉徴収票で確認すると良いでしょう。
年末調整の書類、提出し忘れたらどうする?
年末調整の書類提出をうっかり忘れてしまった、あるいは提出期限に間に合わなかった、という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
もし提出期限が過ぎてしまった場合は、まず慌てずに会社の人事・経理担当者に相談しましょう。
会社によっては、期限後でも受け付けてくれる場合があります。
しかし、会社の年末調整業務の締め切りが過ぎてしまった場合は、年末調整で控除を受けることはできません。
その場合でも、ご安心ください。
翌年の2月16日から3月15日の確定申告期間に、ご自身で確定申告を行うことで、年末調整で受けられなかった各種控除(生命保険料控除、医療費控除、住宅ローン控除など)を適用し、税金の還付を受けることが可能です。
特に、医療費控除やふるさと納税の寄付金控除は年末調整ではできないため、いずれにしても確定申告が必要になります。
確定申告をすれば、年末調整で受けられなかった控除もしっかり反映されるため、過払い分の税金を取り戻すことができます。
還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間遡って提出が可能です。
住宅ローン控除、年末調整で受けられる?
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築・増改築した場合に、所得税額から一定額が控除される制度です。
この控除を受けるための手続きは、初年度と2年目以降で異なります。
初年度は、確定申告が必須です。
税務署へ必要書類(源泉徴収票、住民票の写し、売買契約書・工事請負契約書、登記事項証明書、住宅ローンの年末残高証明書など)を提出し、手続きを行います。
しかし、2年目以降は、年末調整で控除を受けることが可能になります。
勤務先から受け取る「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に必要事項を記入し、金融機関から発行される「住宅ローンの年末残高証明書」を添付して会社に提出します。
2024年の変更点として、金融機関によっては「年末残高証明書」の提出が不要になる「調書方式」が採用されるようになります。
これにより、従業員の書類準備の手間が軽減され、手続きがより簡素化されることが期待されます。
自分に合った年末調整方法を見つけよう
デジタル化で年末調整もスマートに
年末調整業務は、かつては大量の紙の書類を扱う煩雑な作業でしたが、近年ではデジタル化が急速に進んでいます。
多くの企業で、年末調整の電子申請システムが導入されており、従業員はPCやスマートフォンから必要事項を入力し、オンラインで提出できるようになりました。
このデジタル化には、以下のような多くのメリットがあります。
- 従業員側のメリット: どこからでも入力・提出が可能、入力ミスが減る(システムによるチェック)、還付金がスピーディーに処理される。
- 企業側のメリット: 紙の書類の回収・管理の手間が省ける、計算ミスが減る、業務効率が大幅に向上する、ペーパーレス化が進む。
参考情報にもある通り、「年末調整業務のデジタル化が推奨」されており、電子化されたシステムを活用することで、従業員と担当者の双方の負担を軽減し、業務効率を向上させることが期待されています。
ご自身の会社でデジタルシステムが導入されている場合は、積極的に活用してスマートに年末調整を済ませましょう。
源泉徴収票で自分の税金を確認
年末調整が完了すると、会社から「給与所得の源泉徴収票」が発行されます。
この源泉徴収票は、あなたの年間の収入と、そこから差し引かれた所得税額、そして各種控除の内容が全て記載されている、非常に重要な書類です。
単なる税金の証明書としてではなく、自分の税金がどのように計算されたのかを確認するための貴重な資料となります。
源泉徴収票には、主に以下の情報が記載されています。
- 支払金額: 年間の給与・賞与の総額
- 給与所得控除後の金額: 給与所得控除を差し引いた後の所得額
- 所得控除の額の合計額: 基礎控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除など、適用された全ての控除の合計額
- 源泉徴収税額: 年末調整で確定した最終的な所得税額
これらの項目を確認することで、定額減税がどのように反映されたか、希望通りの控除が適用されているかなどをチェックできます。
また、確定申告をする際や、住宅ローンの審査、保育園の入所手続きなど、様々な場面で必要となる書類ですので、大切に保管しておきましょう。
困ったときは専門家や会社に相談
年末調整は、税金に関する重要な手続きであり、特に法改正があった年には内容が複雑に感じられることもあります。
「これで合っているのかな?」「この控除は使えるのかな?」といった疑問や不安が生じた場合は、一人で抱え込まず、積極的に相談するようにしましょう。
最も身近な相談先は、勤めている会社の人事・経理担当者です。
彼らは年末調整に関する専門知識を持っており、会社の手続きの流れや必要書類について具体的にアドバイスしてくれます。
もし、会社の担当者では解決できないような専門的な質問や、個人の複雑な税務状況に関わる疑問がある場合は、税務署の相談窓口や税理士に相談することを検討しましょう。
税務署では無料で相談に応じてもらえますし、税理士に依頼すれば、個別の状況に合わせた詳細なアドバイスや手続きの代行も可能です。
参考情報にもある通り、「分からない」を放置せず、適切な窓口に相談することで、年末調整をスムーズに、そして正確に完了させることができます。
まとめ
よくある質問
Q: 年末調整はいつからいつまでに行われますか?
A: 一般的に、年末調整の期間は給与が支払われる年の11月から翌年1月までです。会社によって締め切りが異なりますので、担当部署にご確認ください。
Q: メルカリやユニクロでも年末調整はできますか?
A: メルカリやユニクロは、直接的な年末調整の窓口ではありません。これらのサービスで収入を得た場合、その収入に応じた源泉徴収票などを別途入手し、ご自身で勤務先や税務署で年末調整の手続きを行う必要があります。ただし、一部のフリーランス向けプラットフォームなどでは、簡略化された手続きが提供されている場合もあります。
Q: 明治安田生命や楽天生命で年末調整はできますか?
A: 明治安田生命や楽天生命は、保険商品の販売元であり、生命保険料控除などの証明書を発行する機関です。これらの保険料控除を受けるために年末調整の手続きをする際の証明書を発行しますが、年末調整の窓口として直接手続きを行うわけではありません。発行された証明書を勤務先に提出して年末調整を行います。
Q: 郵便局(ゆうちょ銀行)で年末調整はできますか?
A: 郵便局(ゆうちょ銀行)は、ATMや窓口での預金・送金サービスを提供しており、直接的な年末調整の窓口ではありません。ゆうちょ銀行の特定口座などから生じた利子所得などについて、確定申告が必要になる場合がありますが、年末調整は勤務先で行うのが一般的です。
Q: 楽天証券で年末調整はできますか?
A: 楽天証券は証券口座の提供元であり、投資信託や株式の配当金などから生じた所得に対する年末調整は、原則としてご自身で確定申告を行う必要があります。ただし、NISA口座など税制優遇のある口座を利用している場合は、その制度に従って税金が処理されます。
