概要: 年末調整でいくら戻ってくるのか、その計算方法を知ることは大切です。累計課税支給額の理解や、戻ってこないケースを知ることで、より賢く年末調整を進めることができます。
年末調整でいくら戻ってくる?計算の基本
年末調整は、会社員にとって毎年恒例の重要な手続きです。多くの場合、毎月の給与から天引きされている所得税(源泉徴収税額)が、本来納めるべき年間の所得税額よりも多かった場合に、その差額が還付金として戻ってきます。
この還付金は、様々な所得控除を適用することで課税対象となる所得が減り、最終的な税額が少なくなることによって生じます。ここでは、還付金が発生する仕組みや基本的な計算方法、そして2023年分の年末調整における重要な変更点について詳しく解説します。
還付金が発生する仕組みを理解しよう
年末調整で還付金が発生する最も根本的な理由は、毎月の給与から差し引かれている所得税額が、実際の年間所得税額よりも多く見積もられているためです。会社は、従業員の家族構成や年間の所得、適用される様々な控除(社会保険料控除、生命保険料控除、住宅ローン控除など)を正確に把握できないため、毎月、ある程度の所得税を概算で徴収しています。
年末調整では、この概算で徴収された税金と、1年間の正確な所得に基づいて計算された最終的な所得税額との差額を精算します。特に、年間の所得から差し引かれる「所得控除」を正しく申告することで、課税対象となる所得(課税所得金額)が減少し、結果として納めるべき所得税額が少なくなります。
例えば、生命保険料や地震保険料を支払っている場合、あるいは扶養家族がいる場合など、適用できる控除が多ければ多いほど、課税所得金額が減り、還付される金額も増える可能性があります。このように、年末調整は、払いすぎた税金を取り戻すための大切な手続きなのです。
基本の計算ステップを把握する
年末調整による還付金の計算は、以下のステップで進められます。この流れを理解することで、ご自身の還付金がどのように算出されるのか、またどの部分に注目すべきかが明確になります。
- 年間の給与収入総額を計算する:1月1日から12月31日までの給与と賞与、その他手当などの合計額を算出します。
- 給与所得額を算出する:給与収入総額から、会社員に一律で認められている「給与所得控除」を差し引きます。この控除額は収入に応じて定められており、例えば、給与収入が660万円以上1,000万円以下の場合、給与所得控除額は198万円 + (給与収入額 – 660万円) × 10%となります。
- 課税所得金額を算出する:給与所得額から、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除、住宅ローン控除など、適用される各種「所得控除」の合計額を差し引きます。この金額が、最終的に税金がかけられる対象となる所得です。
- 所得税額を確定する:上記で算出した課税所得金額に、所得税の税率をかけて年間の所得税額を算出します。所得税率は累進課税方式が採用されており、課税所得が高いほど税率も高くなります。例えば、課税所得が195万円以下の部分は税率5%、195万円超330万円以下の部分は10%といった具合です。
- 還付金額を算出する:最後に、年間で源泉徴収された所得税額と、ステップ4で確定した所得税額を比較します。源泉徴収税額が確定した所得税額より多ければ、その差額が還付金として戻ってきます。逆に、少なければ追加徴収となります。
これらのステップを通じて、過不足なく所得税が精算されるため、自身の給与明細や源泉徴収票と照らし合わせて確認することが大切です。
2023年分の注意点と税制改正ポイント
年末調整の手続きは、毎年の税制改正によって申告書の様式や計算方法に変更が生じることがあります。2023年分の年末調整(令和5年分)では、特に以下の点に注意が必要です。
- 扶養控除等(異動)申告書の様式変更:非居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用要件が変更されました。特に30歳以上70歳未満の非居住者親族は、原則として扶養控除の対象外となります。ただし、留学生や障がい者である場合、または扶養控除の適用を受けようとする居住者から年間38万円以上の生活費や教育費の送金を受けている場合は対象となります。海外に家族を持つ方は、この要件変更を必ず確認しましょう。
- 給与所得者の保険料控除申告書の新設:住民税の計算における控除の適用漏れを防ぐ目的で、2023年分の申告書から「所得金額調整控除申告書」欄が新設されました。これにより、特定の条件下で所得金額調整控除の適用を申告できるようになりました。
- 住宅ローン控除の変更:2022年の税制改正により、住宅ローン控除の控除率や適用期間に変更がありました。特に、2023年12月31日以前に建築確認を受けた床面積40㎡以上50㎡未満の住宅についても、合計所得金額が1,000万円以下であるなどの一定の条件下で、住宅ローン控除の適用が可能になりました。これまで対象外だった方も、適用を受けられる可能性がありますので確認が必要です。
これらの変更点は、還付金に影響を与える可能性があります。自身の状況に合わせて、申告書を正確に記入し、必要な書類を漏れなく提出することが大切です。
累計課税支給額とは?年末調整の鍵を握る数字
年末調整の書類や給与明細を見ていると、「課税支給額」や「累計課税支給額」といった言葉を目にすることがあります。これは年末調整において非常に重要な数字であり、自身の所得税額を決定する上で基礎となるものです。このセクションでは、累計課税支給額の役割と、それが源泉徴収税額、ひいては還付金にどう影響するのかを解説します。
累計課税支給額がなぜ重要なのか
累計課税支給額とは、通常1月から12月までの1年間に、給与や賞与、手当などで支給された金額のうち、所得税が課税される対象となる金額の合計を指します。いわゆる「額面給与」から、非課税となる交通費などを除いた、税金計算のベースとなる収入です。
この数字が重要なのは、年末調整で最終的な年間の所得税額を確定する際の「給与収入」の根幹となるためです。国税庁が定める源泉徴収税額表は、この累計課税支給額(月々の課税支給額)と扶養親族の数に基づいて、毎月の給与から天引きすべき概算の所得税額(源泉徴収税額)を決定します。
したがって、この累計課税支給額が正しく計算されていなければ、所得控除を適用する前の段階で、既に所得税の計算が狂ってしまうことになります。ご自身の年間収入を正確に把握するために、この数字を意識しておくことが大切です。
源泉徴収税額との関係性
毎月の給与明細に記載されている「所得税」は、この累計課税支給額と扶養親族の状況に基づき、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」を用いて算出された概算額です。この税額表は、年間の所得税を平準化して徴収するためのもので、個々の従業員の詳細な所得控除(生命保険料控除や医療費控除など)は反映されていません。
つまり、毎月天引きされている源泉徴収税額は、あくまで「仮の税金」であり、年末調整によって各種所得控除が適用されることで、この仮の税額が「本来納めるべき税金」と比べて再計算されます。その結果、多くのケースで、源泉徴収税額の方が多く、差額が還付金となるわけです。
もし累計課税支給額が大きく変動した場合(例えば、年途中で昇給や降給があったり、多額の賞与があったりした場合)、毎月の源泉徴収額と年間の確定税額との間に大きな乖離が生じやすくなります。年末調整は、この乖離を是正し、過不足なく納税を完了させるための重要な機会なのです。
どこで確認できる?
ご自身の累計課税支給額は、いくつかの方法で確認することができます。最も手軽なのは、毎月の給与明細をチェックすることです。
- 毎月の給与明細:通常、「課税支給額」や「総支給額」といった項目でその月の課税対象となる収入が記載されています。1年間の累計額は、これらの月々の金額を合計することで確認できます。多くの企業では、給与明細にその時点までの「課税支給額累計」が記載されている場合もあります。
- 年末調整後の源泉徴収票:「支払金額」の項目が、1月1日から12月31日までの年間の総支給額(課税支給額の合計)に該当します。これは年末調整後の最終的な情報が記載された最も重要な書類です。
これらの書類を通じて、自身の年間収入状況を正確に把握しておくことは、年末調整の申告内容を確認する上で非常に役立ちます。特に、転職などで複数の会社から給与を得ていた場合は、それぞれの源泉徴収票や給与明細を確認し、年間の合計額を把握することが不可欠です。
これらの情報をもとに、ご自身の所得がどのように計算されているのかを理解し、年末調整に臨むことで、適用漏れや間違いを防ぎ、正しく還付金を受け取ることにつながります。
戻ってこないケースも?年末調整で損しないために
年末調整は還付金が戻ってくるイメージが強いですが、場合によっては還付金がほとんどなかったり、逆に税金を追加で徴収されたりするケースもあります。これはなぜ起こるのでしょうか? 年末調整で損をしないためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。ここでは、還付金が少ない・ない主な理由と、控除の適用漏れを防ぐためのチェックリスト、そして確定申告で税金を取り戻せるケースについて解説します。
還付金が少ない・ない主な理由
年末調整で還付金が期待したほど戻ってこない、あるいは全くないという場合、いくつかの理由が考えられます。
- 毎月の源泉徴収額が適切だった、または少なめに設定されていた:会社の経理担当者が、毎月の源泉徴収額を従業員の状況に合わせてかなり正確に計算している場合や、扶養親族が少なく、もともと源泉徴収される税額が少なかった場合などです。この場合、年末調整による過不足がほとんど生じないため、還付金も少なくなります。
- 適用できる所得控除が少ない:生命保険や地震保険に加入していない、住宅ローンがない、扶養親族がいない、医療費控除の対象となる支出がないなど、適用できる所得控除がもともと少ない場合、課税所得金額が大きく減少しないため、還付金も少なくなります。
- 年途中で転職し、前職の源泉徴収票を提出していない:年の途中で転職した場合、新しい会社に前職の源泉徴収票を提出しないと、年間の所得や社会保険料、源泉徴収税額が正しく合算されず、正しい税額が計算できません。これにより、適切な還付金を受けられないことがあります。
- 年間の所得税額がゼロ、または非常に少ない:所得が低く、各種控除を適用した結果、最終的な年間の所得税額がゼロ、または数千円程度になる場合です。この場合、元々納めるべき税金が少ないため、還付される金額も少なくなります。
これらの理由に心当たりがないか、自身の状況と照らし合わせて確認してみましょう。
控除適用漏れを防ぐチェックリスト
年末調整で最も損しやすいのが、適用できる控除を申告し忘れる「控除漏れ」です。還付金を最大限に受け取るために、以下のチェックリストを活用し、控除の適用漏れがないか確認しましょう。
- 社会保険料控除:国民年金保険料、国民健康保険料(ご自身や家族が支払ったもの)、健康保険、介護保険、雇用保険など、支払った社会保険料は全額控除の対象です。国民年金や国民健康保険料については控除証明書が必要です。
- 生命保険料控除・地震保険料控除:生命保険、医療保険、個人年金保険、地震保険に加入している場合、保険会社から送付される控除証明書を忘れずに提出しましょう。新制度と旧制度で控除額の上限が異なります(所得税の生命保険料控除合計上限は12万円)。
- 扶養控除・配偶者控除:配偶者や扶養親族がいる場合、その方の所得金額に応じて控除を受けられます。特に2023年分から適用される非居住者扶養親族の要件変更には注意が必要です。
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除):住宅ローンを利用して家を購入・リフォームした場合、一定の条件を満たせば控除を受けられます。初回は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で対応できます。金融機関から送付される残高証明書が必要です。
- 小規模企業共済等掛金控除:iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の掛け金は、全額所得控除の対象です。証明書が届いたら必ず添付しましょう。
これらの控除証明書は、秋から年末にかけて郵送されてきますので、なくさないように大切に保管し、提出期限までに会社に提出しましょう。
確定申告で取り戻せるケース
年末調整では対応できない控除や、年末調整を忘れてしまった場合でも、確定申告を行うことで税金を取り戻せる可能性があります。
- 医療費控除:1年間(1月1日~12月31日)で支払った医療費が、原則として10万円(所得に応じて総所得金額等の5%)を超えた場合、確定申告で控除を受けられます。これは年末調整では申告できません。
- 寄付金控除:国や地方公共団体、特定の公益法人などへの寄付(ふるさと納税を含む)を行った場合、確定申告で寄付金控除を受けられます。年末調整では対応できません。
- 雑損控除:災害や盗難、横領などによって生活用資産に損害を受けた場合、確定申告で控除を受けられます。
- 年末調整を忘れた・間に合わなかった場合:会社への年末調整の書類提出が間に合わなかった場合でも、翌年2月16日から3月15日の間に自身で確定申告を行うことで、還付金を受け取ることができます。
- 2か所以上から給与を得ていた場合:複数の会社から給与を受け取っていた場合、主たる給与の会社でしか年末調整ができません。その他の給与については、自身で確定申告を行う必要があります。
これらのケースに該当する場合は、翌年以降に税務署へ確定申告を行うことで、払いすぎた税金を取り戻すことが可能です。必要な書類を準備し、期限内に手続きを行いましょう。
年末調整の明細書で確認すべき料金と金額
年末調整が完了すると、会社から「源泉徴収票」が交付されます。この源泉徴収票は、1年間の収入や支払った税金、そして各種控除の適用状況が詳細に記載された、いわばあなたの所得税に関する成績表です。還付金が適切に計算されているか、また控除漏れがないかを確認するためには、この源泉徴収票を正しく読み解くことが重要です。ここでは、源泉徴収票で特に注目すべき項目と確認ポイントについて解説します。
源泉徴収票で見るべき項目
源泉徴収票には、以下の主要な項目が記載されています。これらを確認することで、自身の年収や納税状況、そして各種控除が正しく反映されているかを把握できます。
- 支払金額(①):1月1日から12月31日までの1年間に、会社から支払われた給与・賞与の総額(非課税の通勤手当などを除く)。これが、年末調整の計算の基礎となる年間収入です。
- 給与所得控除後の金額(②):支払金額から「給与所得控除」を差し引いた金額です。会社員にとっての、いわゆる「所得」に相当します。
- 所得控除の額の合計額(③):基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除など、適用された全ての所得控除の合計額です。この金額が大きいほど、課税所得金額が少なくなり、結果として所得税額も減少します。
- 源泉徴収税額(④):年末調整の結果、最終的に確定した1年間の所得税額です。この金額と、毎月給与から天引きされていた所得税額の合計を比較し、過払いがあれば還付、不足があれば追加徴収となります。
- 社会保険料等の金額(⑤):1年間に支払った社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など)の合計額です。国民年金や国民健康保険料を支払っていた場合は、その額もここに含まれます。
これらの項目を自身の給与明細や控除証明書と照らし合わせ、金額に間違いがないかを確認することが大切です。
各種控除額の記載と確認方法
源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」には、具体的な控除の内訳までは記載されていません。しかし、源泉徴収票の裏面や、会社から渡される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」の控(控え)を見れば、どの控除が、いくら適用されているかを確認できます。
- 扶養控除・配偶者控除:源泉徴収票の「控除対象配偶者の有無等」や「控除対象扶養親族の数」の欄に情報が記載されています。扶養親族の状況が正しく反映されているかを確認しましょう。
- 生命保険料控除・地震保険料控除:これらの控除額は、申告書控に記載された金額と、ご自身が提出した控除証明書に記載されている金額が一致しているかを確認します。新制度・旧制度の区分や、一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険のそれぞれの控除額が正しく計算されているか注意しましょう。
- 住宅ローン控除:源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除の額」の欄で確認できます。特に2023年分の税制改正で控除率や適用期間に変更があったため、自身の状況と照らし合わせて正しい額が適用されているかを確認しましょう。
もし記載内容に疑問や誤りを発見した場合は、速やかに会社の経理担当者に問い合わせて確認するようにしましょう。
最終的な納税額との照合
源泉徴収票の「源泉徴収税額」は、1年間の所得税に関する最終的な確定額です。この金額は、あなたがその年に納めるべき所得税の総額となります。
毎月の給与から天引きされていた所得税額の合計と、この源泉徴収票に記載された「源泉徴収税額」を比較することで、払いすぎた税金(還付金)や、不足していた税金(追加徴収額)を把握することができます。もし、毎月の給与明細で確認できる源泉徴収税額の累計が、源泉徴収票の「源泉徴収税額」よりも多ければ、その差額が還付金として戻ってきます。
源泉徴収票は、確定申告をする際にも重要な書類となりますので、年末調整後に必ず内容を確認し、大切に保管しておきましょう。これにより、ご自身の納税状況を正確に把握し、税制優遇を最大限に活用することができます。
知っておきたい!年末調整の計算をスムーズにするコツ
年末調整は、毎年必ず行う手続きですが、多くの人にとっては少し複雑に感じられるかもしれません。しかし、いくつかのポイントを押さえておくことで、スムーズに手続きを進め、正確な還付金を効率的に受け取ることが可能です。ここでは、年末調整をストレスなく終わらせるための具体的なコツをご紹介します。
必要書類の早め準備
年末調整をスムーズに進める上で最も重要なのが、必要書類の準備です。これらの書類は秋口から年末にかけて郵送されてくることが多いため、届き次第、すぐに内容を確認し、大切に保管しておきましょう。
- 控除証明書:生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、国民年金保険料控除証明書、iDeCoの掛金払込証明書など。これらの証明書は、年末調整の申告書に添付が必要となります。紛失すると再発行に時間がかかる場合があるため、注意が必要です。
- 住宅ローン控除関係書類:住宅借入金等特別控除証明書(税務署発行)、金融機関発行の住宅ローン残高証明書。これらは住宅ローン控除を適用する上で不可欠な書類です。
- 前職の源泉徴収票:年の中途で転職した方は、前職の源泉徴収票が必要です。転職先の会社に提出しないと、年間の所得が正しく計算されず、適切な年末調整ができません。
これらの書類は、届いたらすぐに内容を確認し、不足や誤りがないか確認する習慣をつけましょう。不明な点があれば、発行元に早めに問い合わせておくことが肝心です。
控除証明書の管理術
各種控除証明書は、その種類も多く、なくしやすいものです。効率的な管理術を身につけて、年末調整の時期に慌てないようにしましょう。
- 専用ファイルの活用:控除証明書が届き始めたら、専用のクリアファイルや封筒を用意し、そこに種類ごとにまとめて保管するようにしましょう。「生命保険料控除」「地震保険料控除」など、カテゴリ別にラベリングするとさらに分かりやすくなります。
- デジタル管理の併用:スマートフォンで写真を撮っておく、スキャンしてPDFファイルとしてPCに保存するなど、デジタルデータとしても管理しておくと良いでしょう。万が一、原本を紛失してしまっても、再発行の手続きをスムーズに進めるための情報として役立ちます。
- 会社への提出前チェック:年末調整の申告書を会社に提出する際には、必ず控除証明書の内容と申告書の記載内容が一致しているか、添付漏れがないか最終確認を行いましょう。
- e-Taxとの連携:マイナポータル連携を利用すれば、一部の控除証明書情報をe-Taxで自動取得し、年末調整書類や確定申告書の作成に利用できる場合があります。手間を省くためにも、このようなサービスを積極的に活用するのも一つの手です。
計画的に書類を管理することで、年末の忙しい時期でもスムーズに手続きを完了させることができます。
専門家のサポート活用
年末調整は比較的シンプルな手続きですが、個々の状況によっては複雑になることもあります。そのような場合は、専門家のサポートを積極的に活用しましょう。
- 会社の年末調整担当者:最も身近な相談相手です。社内の年末調整のルールや提出期限、書類の記入方法について不明な点があれば、遠慮なく質問しましょう。多くの企業では、従業員向けに説明会や相談会を設けている場合もあります。
- 税務署の相談窓口:国税庁や最寄りの税務署では、年末調整や確定申告に関する無料相談を受け付けています。一般的な質問や書類の書き方など、専門的なアドバイスを得ることができます。電話相談やオンラインでの情報提供も充実しています。
- 税理士:特に、医療費控除が高額になるケース、副業をしていて複数の所得があるケース、不動産売却など複雑な税金計算が必要な場合は、税理士に相談するのが最も確実です。費用はかかりますが、正確な申告と節税アドバイスを受けることができます。
ご自身の状況に合わせて適切なサポートを活用することで、年末調整の計算ミスを防ぎ、正確な還付金を安心して受け取ることができます。これらのコツを活かして、今年の年末調整をスマートに乗り切りましょう。
まとめ
よくある質問
Q: 年末調整で戻ってくる金額はどのように計算されますか?
A: 源泉徴収された所得税額と、本来納めるべき所得税額の差額が、年末調整で還付される金額となります。本来納めるべき所得税額は、年間の給与収入から所得控除額を差し引いた課税所得金額に税率をかけて計算されます。
Q: 「累計課税支給額」とは具体的に何ですか?
A: 累計課税支給額は、その年の1月1日から年末調整を行う時点までの給与・賞与などの合計額(課税対象となるもの)です。年末調整の計算において、最終的な所得税額を確定するために重要な指標となります。
Q: 年末調整で所得税が戻ってこないのはなぜですか?
A: 源泉徴収された所得税額が、本来納めるべき所得税額よりも少ない場合、あるいは源泉徴収額がゼロに近い場合は、所得税が戻ってきません。扶養控除や配偶者控除などが多く適用され、所得税額が軽減されていることが原因として考えられます。
Q: 年末調整の明細書では、どのような金額を確認すべきですか?
A: 給与・賞与の総支給額、各種控除額、源泉徴収された所得税額、そして最終的な所得税額などを確認しましょう。特に、ご自身の状況が正確に反映されているか、注意深くチェックすることが大切です。
Q: 年末調整の計算をスムーズに行うために、事前に準備しておくと良いものはありますか?
A: 年間の給与明細、各種控除証明書(生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、iDeCoの掛金証明書など)、扶養家族の情報などを事前に準備しておくと、計算がスムーズに進みます。確定申告が必要な場合は、さらに多くの書類が必要になります。
